説明

光照射装置および撮像システム

【課題】消費電力の増加を抑制しつつ、所定の領域に対してほぼ均一な強度の光を照射することができる光照射装置および当該光照射装置を用いた撮像システムを提供する。
【解決手段】弾性部材と、前記弾性部材に取り付けられ、前記弾性部材による拘束を受けながら振動する可動部材と、前記可動部材を駆動する駆動手段とを有するアクチュエータと、前記可動部材に取り付けられ、所定の周波数の光を発する発光手段と、前記可動部材の振動に関連する情報を取得する振動情報取得手段と、前記振動情報取得手段が取得した振動情報に基づいて定まる前記可動部材の動作速度の大きさが大きいほど、前記発光手段が発する前記光の強度を大きくする制御を行う制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の周波数の光を照射する光照射装置および当該光照射装置を用いた撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの移動体の外部に存在する物体の有無や物体までの距離などを検出するための技術として、レーザレーダやミリ波レーダを用いた物体検出システムが知られている。物体検出システムは、レーザ光または電波で所定の範囲を走査するアクチュエータを備えている。このようなアクチュエータとして、基端が固定された板ばねの先端にレンズまたはアンテナ等の部品を取付可能な可動部材を有し、この可動部材を駆動手段によって振動させることにより、所定の領域をレーザ光または電波で走査する板ばね式のアクチュエータが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この技術では、可動部材および板ばねからなる系が共振している場合、可動部材の動作速度の大きさは、変位が最大である振動の両端で最小となる一方、変位が最小である振動の中心で最大となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−177348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来技術では、可動部材に発光ダイオード(LED)等の発光手段を直接取り付けることによって所定の領域に光を照射することも考えられる。光源からの距離が等しい面上の単位面積当たりの光の強度(以下、照射強度という)は、光を照射する時間に比例するため、可動部材の振動の両端付近における照射強度は、振動の中心付近の照射強度よりも大きくなる。このため、上述した従来技術のアクチュエータの可動部材に発光手段を直接取り付けると、照射領域における照射強度に場所ごとのバラツキが生じ、照射性能の低下を招いてしまうという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、複数の光源を用いることによって照射領域を均一に照射することも考えられるが、この場合には光源部分が大きくなってしまうことに加えて、消費電力が著しく増加してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電力の増加を抑制しつつ、所定の領域に対してほぼ均一な強度の光を照射することができる光照射装置および当該光照射装置を用いた撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光照射装置は、弾性部材と、前記弾性部材に取り付けられ、前記弾性部材による拘束を受けながら振動する可動部材と、前記可動部材を駆動する駆動手段とを有するアクチュエータと、前記可動部材に取り付けられ、所定の周波数の光を発する発光手段と、前記可動部材の振動に関連する情報を取得する振動情報取得手段と、前記振動情報取得手段が取得した振動情報に基づいて定まる前記可動部材の動作速度の大きさが大きいほど、前記発光手段が発する前記光の強度を大きくする制御を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記光の強度は、前記可動部材の動作速度の大きさと線形な関係にあることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記発光手段から所定の照射面までの前記発光手段の光軸方向の距離に応じて前記光の強度に補正を加えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記駆動手段は、磁石と、前記磁石の近傍に位置するコイルと、を有し、前記磁石および前記コイルのいずれか一方は前記可動部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記振動情報は、前記コイルを横切る磁束の変化に伴う誘導起電力に関する情報であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記振動情報は、前記弾性部材の位置に関する情報であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記光は、可視光または赤外光であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記弾性部材は板ばねであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光照射装置は、上記発明において、前記弾性部材はトーションバーであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る撮像システムは、上記発明に記載の光照射装置と、前記発光手段による前記光の照射領域に含まれる画角を有し、被写体を撮像して画像データを生成する撮像装置と、前記撮像装置が生成した画像データに対応する画像を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アクチュエータの可動部材に取り付けられた発光手段が発する光の強度を、可動部材の動作速度の大きさが大きいほど大きくする制御を行うため、消費電力の増加を抑制しつつ、所定の領域に対してほぼ均一に光を照射することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る光照射装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の矢視A方向の平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係る光照射装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係る光照射装置の可動部材が振動の端点に位置している状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る光照射装置の可動部材が図4と異なる振動の端点に位置している状態を示す図である。
【図6】図6は、可動部材の位置および発光素子が照射する光の強度の時間変化を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態2に係る光照射装置の構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係る光照射装置が備える発光素子の照射領域の設定例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2に係る撮像システムの構成を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態3に係る光照射装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光照射装置の要部の構成を示す斜視図である。図2は、図1の矢視A方向の平面図である。図3は、本実施の形態1に係る光照射装置の構成を模式的に示す図である。
【0021】
図1〜図3に示す光照射装置1は、所定の周波数の光を発する発光手段としての発光素子2と、発光素子2が取り付けられ、発光素子2とともに振動する部材(後述する可動部材)を有するアクチュエータ3と、アクチュエータ3の可動部材の振動に関連する情報を取得する振動情報取得手段としてのセンサ部4と、センサ部4の検出結果に基づいて発光素子2およびアクチュエータ3の動作を制御する制御部5とを備える。
【0022】
発光素子2は、例えば所定の周波数の可視光または赤外光を発する発光ダイオードを用いて実現される。
【0023】
アクチュエータ3は、互いに同じ形状をなす2枚の板ばね6、7と、板ばね6、7の各基端部を固定する固定部材8と、板ばね6、7の各先端部を固定し、板ばね6、7の拘束を受けながら振動し、表面に発光素子2が取り付けられた可動部材9と、主面が半円環形状をなす薄板状の磁石10と、磁石10が固着され、磁石10とともに磁気回路を形成するヨーク11と、可動部材9に保持され、磁石10およびヨーク11の近傍に位置するコイル12と、固定部材8を保持する一方、ねじ部材13を介してヨーク11が固設されるベース部材14と、を有する。
【0024】
センサ部4は、発光素子41と受光素子42とを備えた光反射型のフォトリフレクタである。センサ部4は、発光素子41および受光素子42が板ばね6の一つの主面と対向しており、この主面が発光素子41によって発せられる光の反射面となっている。センサ部4は、発光素子41が発した光の板ばね6による反射光を受光素子42が受光することにより、反射光の到達時間に基づいた板ばね6までの距離を検出し、検出結果を振動情報として制御部5へ出力する。なお、センサ部4を板ばね7の一つの主面と対向させることによって板ばね7までの距離を検出するようにしてもよい。
【0025】
制御部5は、センサ部4から送られてくる振動情報すなわち板ばね6の位置情報に基づいて可動部材9の動作速度を算出し、この算出した動作速度の大きさに応じた制御信号を発光素子2およびコイル12に対してそれぞれ出力する。
【0026】
以下、アクチュエータ3の構成をより詳細に説明する。板ばね6、7は、図3に示すように基端部から先端部へ向けて徐々に幅が狭くなっている。また、板ばね6、7は、各々がたわんでいない初期状態(図1等に示す状態)において、互いの主面同士が同じ平面を通過し、かつ互いの長手方向が平行となるように並列に配置されている。
【0027】
板ばね6の基端部には、その基端部から板ばね6の長手方向に沿って突出し、制御部5と接続する配線を取り付ける電極端子部61が設けられている。また、板ばね6の先端部には、板ばね6の長手方向と略直交する方向に切り欠かれ、コイル12の巻き線(破線で表示)の一端を掛止してコイル12との通電を確保する欠切部62が設けられている。板ばね7も、板ばね6と同様に、電極端子部71と欠切部72とを有する。板ばね6、7は、ベリリウム銅、リン青銅またはステンレスなどのばね材からなり、プレス加工による打ち抜き成形やエッチング成形によって形成される。
【0028】
板ばね6、7は、電極端子部61、71をそれぞれ介して制御部5に接続される一方、欠切部62、72をそれぞれ介してコイル12の巻き線に接続される。このような構成においては、板ばね6、7が配線の一部をなしているため、コイル通電用の回路構造を簡略化することができる。
【0029】
固定部材8および可動部材9は、軽量で高い剛性を有するガラス繊維などを充填した液晶ポリマー(LCP)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などのエンジニアリングプラスチックを射出成形することによって形成されている。なお、板ばね6、7をインサート材として、固定部材8および可動部材9と一体成形することも可能である。
【0030】
可動部材9は、板ばね6、7の先端部を固定するとともにコイル12を固定するフレーム部材91と、フレーム部材91の先端部に設けられ、発光素子2が固定される薄平板状の発光素子固定部材92とを有する。可動部材9は、合成樹脂またはアルミニウムなどの軽金属を用いて実現される。フレーム部材91は、板ばね6、7の先端部をそれぞれ取り付ける板ばね取付部911、912と、発光素子固定部材92を支持する支持部913と、コイル12を載置して保持するコイル保持部914とを有する。発光素子固定部材92の主面は、板ばね6、7の初期状態における主面と直交している。
【0031】
ヨーク11は、磁石10の主面と同様の半円環形状をなす表面をそれぞれ有し、その表面同士が平行でありかつ離間した状態で対向する二つの弧状部111、112と、弧状部111、112の対向する端部同士をそれぞれ連結する二つの連結部113とを有する。図1や図3に示すように、弧状部112の表面のうち弧状部111と対向する表面には、磁石10が積層された状態で固定されている。連結部113は、ねじ部材13を介してベース部材14に固設される。以上の構成を有するヨーク11は、純鉄等の軟磁性材からなる。
【0032】
コイル12は、その開口面が略等脚台形をなしており、短辺側がヨーク11の弧状部111、112の内周側に位置する一方、長辺側が弧状部111、112の外周側に位置している。また、コイル12は、導線の巻線方向(開口面と直交する方向)の長さが開口面の最小径よりも小さい扁平な形状をなしている。以上の構成を有するコイル12は、その開口面が磁石10およびヨーク11の積層方向と直交する位置に開口面が位置するとともに、磁石10と弧状部111との隙間に配置されている。なお、本実施の形態1では、コイル12をベース部材14に固定し、磁石10およびヨーク11を可動部材9に取り付ける構成とすることも可能である。
【0033】
磁石10、ヨーク11およびコイル12は、コイル12を流れる電流によって生じる電磁力によって可動部材9を駆動する駆動手段の少なくとも一部をなしている。
【0034】
図4および図5は、以上の構成を有する光照射装置1の動作を説明する図であり、可動部材9が振動の端点に位置している状態を示す図である。これらの図において、初期状態における板ばね6、7の延在方向(図4の左右方向)と直交し、初期状態における板ばね6、7の延在方向との交点を原点とし、かつ図の上向きを正とする座標軸をx軸としている。また、振動の端点のx座標を±x0(x0>0)としている。可動部材9は、図4および図5に示す振動の端点を往復する単振動を行う。
【0035】
以下、図4および図5のx軸における可動部材9の位置が時間の関数として、
x(t)=x0sin(ωt) ・・・(1)
で表されるものとする。ここで、式(1)のωは、板ばね6、7および可動部材9からなる系が共振する時の角振動数である。この場合、制御部5は、発光素子2が発する光の強度P(t)を、
P(t)=A|dx(t)/dt|+B
=Aωx0|cos(ωt)|+B ・・・(2)
とする制御を行う。ここで、式(2)の定数A,Bは正の数である。式(2)から明らかなように、光の強度P(t)は、可動部材9の動作速度の大きさ|dx(t)/dt|と線形な関係にある。
【0036】
図6は、位置x(t)およびP(t)の時間変化を示す図である。図6においては、板ばね6、7および可動部材9からなる系の振動の周期をTとしている。図6および式(1),(2)によれば、光の強度P(t)は、振動の中心(x=0)で最大値Aωx0--+Bをとる一方、振動の端点(x=±x0)で最小値Bをとる。
【0037】
このようにして、本発明の実施の形態1においては、可動部材の動作速度の大きさが大きいほど、アクチュエータの可動部材に取り付けられた発光手段が発する光の強度を大きくする制御を行うため、消費電力の増加を抑制しつつ、所定の領域に対してほぼ均一な強度の光を照射することが可能となる。
【0038】
なお、発光素子2が時間tに発する光の強度P(t)は、位置x(t)の絶対値が大きいほど小さい値を有していさえすればよく、例えば三角波で表されるような時間の関数であってもよい。
【0039】
また、板ばね6または7の主面にひずみゲージ、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の薄膜、または接触式スイッチなどを取り付けることにより、板ばね6または7の初期状態からの変形量を振動状態として検出するようにしてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、発光素子が発する光の強度に、その発光素子から照射領域までの光軸方向の距離に応じた補正を加えることを特徴とする。
【0041】
図7は、本発明の実施の形態2に係る光照射装置の構成を示す図である。同図に示す光照射装置15は、上述した実施の形態1に係る光照射装置1の構成に加えて、発光素子2から照射領域までの発光素子2の光軸方向の距離を含む照射領域情報を記憶する照射領域情報記憶部16を備える。
【0042】
図8は、発光素子2の照射領域の設定例を模式的に示す図である。具体的には、図8は、平面をなす照射面S上に設けられる照射領域S0の端点Q1、Q2までの発光素子2の光軸方向の距離がそれぞれr1、r2である場合を示している。図8に示す場合、発光素子2から照射領域S0までの発光素子2の光軸方向の距離r(以下、距離rという)は、時間とともに変化している。
【0043】
図8に示す状況下において、制御部5は、光の強度P(t,r)として、式(2)の強度P(t)に対し、時間tにおける距離rの自乗を乗じた補正を行う。すなわち、光の強度P(t,r)は、
P(t,r)=C・r2・P(t) ・・・(3)
で与えられる。ここで、係数Cは正の定数である。また、距離rはx(t)の関数r(x(t))であり、r(x0)=r1,r(−x0)=r2である。この関数r(x(t))は、照射領域情報として照射領域情報記憶部16に格納されている。式(3)より、照射領域S0の端点Q1、Q2における強度の比は、
P(t、r1)/P(t、r2)=r12/r22 ・・・(4)
である。式(4)では、振動の端点(x=±x0)における光の強度P(t)の値がBであることを用いた(図6を参照)。
【0044】
このようにして、本発明の実施の形態2においては、距離rに応じた補正を加えるため、その距離rが時間tとともに変化するような場合であっても、照射領域S0に対してほぼ均一な強度の光を照射することができる。
【0045】
ところで、光照射装置15は、例えば物体を監視するために所定の領域を撮像する撮像システムに適用することもできる。図9は、本実施の形態2に係る撮像システムの構成を示す図である。同図に示す撮像システム17は、光照射装置15と、被写体を撮像して画像データを生成する撮像装置18と、撮像装置18が生成した画像データに対応する画像を表示する表示装置19と、を備える。図9において、光照射装置15の照射領域S0は、撮像装置18の画角を含むように設定されている。
【0046】
表示装置19は、撮像装置18が撮像した画像に所定の画像処理を施す画像処理部191と、画像処理部191によって所定の画像処理が施された画像を表示する表示部192とを有する。画像処理部191の機能として、例えば画像内に所定の物体が含まれているか否かを検出する物体検出機能を具備させることもできる。この場合には、検出した物体を表示部192で強調して表示するようにしてもよい。
【0047】
以上説明した本実施の形態2に係る撮像システム17によれば、発光素子2の照射領域が撮像装置18の画角を含むように構成しているため、撮像装置18が撮像した画像を表示装置19で表示する場合、照射領域S0の明るさのムラが少ない画像を取得して表示することができる。
【0048】
また、撮像システム17によれば、表示装置19の画像処理部191が物体検出機能を備えている場合、発光素子2による良好な照明状態により、物体検知の精度を向上させることができる。
【0049】
なお、光照射装置15の代わりに上述した実施の形態1に係る光照射装置1を適用することによって撮像システムを構成することも可能である。
【0050】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光照射装置の構成を示す図である。同図に示す光照射装置20は、発光素子2と、発光素子2とともに振動する可動部材を有するアクチュエータ21と、アクチュエータ21の可動部材の振動情報を取得する振動情報取得部22と、振動情報取得部22が取得した結果に基づいて発光素子2およびアクチュエータ21の動作を制御する制御部23とを備える。
【0051】
アクチュエータ21は、トーションバー24と、トーションバー24の両端をそれぞれ固定する二つの固定部材25a、25bと、表面に発光素子2が取り付けられた状態でトーションバー24の中央部に設けられ、トーションバー24のねじれに伴って回動する薄平板状の可動部材26と、可動部材26を駆動する駆動部27とを備える。トーションバー24は、上述した板ばね6等と同様のばね材からなる。駆動部27は、磁石、ヨークおよびコイルを適宜組み合わせることによって可動部材26を駆動する構成としてもよいし、トーションバー24を直接回動させることによって可動部材26を駆動する構成としてもよい。
【0052】
なお、固定部材25aと可動部材26との間、および固定部材25bと可動部材26との間に、各々独立した2つのトーションバーを設けるようにしてもよい。
【0053】
以上の構成を有する光照射装置20が行う制御の詳細は、上述した光照射装置1または15が行う制御と同様である。
【0054】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、可動部材26に取り付けられた発光素子2が発する光の強度を、可動部材26の動作速度の大きさが大きいほど大きくする制御を行うため、消費電力の増加を抑制しつつ、所定の領域に対してほぼ均一な強度の光を照射することが可能となる。
【0055】
ここまで、本発明を実施するための形態として実施の形態1〜3を説明してきたが、本発明は、上述した三つの実施の形態によって限定されるべきものではない。
【0056】
例えば、本発明において、ホール素子またはサーチコイルを有する磁気センサを用いることによって振動情報取得手段を構成してもよい。この場合の振動情報は、磁気センサが測定するコイル12に生じた誘導起電力である。したがって、制御部5は誘導起電力から所定の演算によって可動部材9の動作速度の大きさを算出することができる。
【0057】
また、本発明において、上述したアクチュエータ3とは異なる構成を有するアクチュエータを適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、可視光または赤外光を照射する製品全般に有用であり、特に、照射範囲を撮像して画像を取り込む自動車の監視カメラ、防犯用の監視カメラ、あるいは広範囲の照明として好適である。
【符号の説明】
【0059】
1、15、20 光照射装置
2、41 発光素子
3、21 アクチュエータ
4 センサ部
5、23 制御部
6、7 板ばね
8、25a、25b 固定部材
9 可動部材
10 磁石
11 ヨーク
12 コイル
13 ねじ部材
14 ベース部材
16 照射領域情報記憶部
17 撮像システム
18 撮像装置
19 表示装置
22 振動情報取得部
24 トーションバー
26 可動部材
27 駆動部
42 受光素子
191 画像処理部
192 表示部
S 照射面
0 照射領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材と、前記弾性部材に取り付けられ、前記弾性部材による拘束を受けながら振動する可動部材と、前記可動部材を駆動する駆動手段とを有するアクチュエータと、
前記可動部材に取り付けられ、所定の周波数の光を発する発光手段と、
前記可動部材の振動に関連する情報を取得する振動情報取得手段と、
前記振動情報取得手段が取得した振動情報に基づいて定まる前記可動部材の動作速度の大きさが大きいほど、前記発光手段が発する前記光の強度を大きくする制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記光の強度は、前記可動部材の動作速度の大きさと線形な関係にあることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記発光手段から所定の照射面までの前記発光手段の光軸方向の距離に応じて前記光の強度に補正を加えることを特徴とする請求項1または2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、
磁石と、
前記磁石の近傍に位置するコイルと、
を有し、
前記磁石および前記コイルのいずれか一方は前記可動部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記振動情報は、前記コイルを横切る磁束の変化に伴う誘導起電力に関する情報であることを特徴とする請求項4に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記振動情報は、前記弾性部材の位置に関する情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項7】
前記光は、可視光または赤外光であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項8】
前記弾性部材は板ばねであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項9】
前記弾性部材はトーションバーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の光照射装置と、
前記発光手段による前記光の照射領域に含まれる画角を有し、被写体を撮像して画像データを生成する撮像装置と、
前記撮像装置が生成した画像データに対応する画像を表示する表示装置と、
を備えたことを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−76895(P2011−76895A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227814(P2009−227814)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】