説明

光部品の実装構造

【課題】光部品実装後に雰囲気温度が変化しても、光結合部を固定して光結合損失の増加を防止する光部品の実装構造を提供する。
【解決手段】光素子112を取り囲むように光素子搭載基板111上に2つの基板固定部100が配置されており、近接するそれぞれの端部の間に開口部100aが設けられている。開口部100aを設けることで、2つの基板固定部100で囲まれた空間が密閉されないようにしている。基板固定部100は、広い接触面積で両基板に固定されていることから、外部から力を受けても容易に変形することはない。また、基板固定部100が光素子112の周りを取り囲むことで、光素子112周りの各基板が曲げに対しても強固になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光素子を搭載した光部品を、光導波路を備えたプリント配線板に実装するための光部品の実装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体からなる集積素子の分野では、高速・高密度化への進展が著しく、従来の電気的な配線による相互接続では、信号の遅延、減衰、干渉等により、十分な特性が期待できなくなることが問題となっている。この問題は、IOボトルネックといわれ、これを解決するために光インターコネクション技術が注目されている。光インターコネクション技術は、通信機器相互間や通信機器内のボード間にとどまらず、1つのボード内の集積回路素子間にも適用することが検討されている。
【0003】
ボード内光インターコネクションが適用された光回路基板では、発光素子あるいは受光素子における光結合損失が信号の減衰に大きな影響を与える。そこで、このような信号の減衰を抑えるために、光素子と光導波路との位置合わせを数μmという高い精度で行う光結合手段が必要となる。このような高精度の位置合せを行うための従来の光部品の実装方法として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。
【0004】
特許文献1では、はんだが有するセルフアライメント作用により、光部品が所定の実装位置に配置されるようにしている。ここで、セルフアライメント作用とは、ソルダーレジスト層がはんだをはじくことから、リフロー処理時に、はんだが有する流動性によってソルダーレジストの開口中央部付近により安定な形状で存在しようとする作用である。これにより、リフロー前に位置ズレが発生していたとしても、リフロー時に上記のセルフアライメント作用によって位置の修正が行われる。
【特許文献1】特許第3771169号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の実装方法では、以下のような問題があった。光素子を搭載した光部品を光導波路を備えたプリント配線板に高精度に位置合わせして実装したのち、雰囲気温度が変化すると、光部品とプリント配線板とで線膨張率が異なるために、両者の線膨張差や基板の反り変形等によって光結合部におけるずれが生じるといった問題があった。図10(a)は、光素子911を搭載した光部品910が光導波路921を備えたプリント配線板920に実装され常温状態にあるときの一例を示す断面図であり、図10(b)は、光部品910を実装したプリント配線板920が使用環境にあるときの一例を示す断面図である。
【0006】
図10(a)に示すように、実装後に光部品910とプリント配線板920とが高精度に位置合わせされた場合でも、これを使用するときの雰囲気温度が変化すると、図10(b)に示すように光素子911と光導波路921との光結合部で位置ずれが生じてしまう。
【0007】
図10(b)に示す光結合部における位置ずれは、光部品910とプリント配線板920とで線膨張率が異なることによる線膨張差(位置ずれ)、および基板(光部品910)の反り変形(角度ずれ)によるものである。一例として、光結合部の光軸(図10に示す一点鎖線C)が常温時に基板中心(図10に示す一点鎖線D)から距離L=10mmの位置にあり、光部品910とプリント配線板920との線膨張率差が10ppm/℃程度の場合には、常温から100℃温度が変化することで10μmの位置ずれが生じ、さらにそれぞれの基板の反り変形が生じる。このように、雰囲気温度の変化により光結合部でずれが生じ、相対位置精度が低下して数μmといった高い精度を維持するのが極めて難しくなるという問題があった。
【0008】
特許文献1に開示されているように、受光素子および発光素子が実装されたICチップ実装用基板と光導波路が形成された多層プリント配線板とが、はんだが有するセルフアライメント作用により所定の位置に高精度に配置されたとしても、使用時の雰囲気温度が異なると、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板との線膨張率の差及び基板の反り変形によって、光結合部における相対位置精度が低下してしまう。その結果、数μmといった高い精度を維持するのが困難になってしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、光部品実装後に雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止する光部品の実装構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の光部品の実装構造の第1の態様は、光素子を搭載した光部品を、光導波路を備えたプリント配線板に固定する光部品の実装構造であって、前記光部品および前記プリント配線板の各々の対向面の間を接続する複数の基板固定部を、前記光素子を取り囲むように配置して前記光部品を前記プリント配線板に固定していることを特徴とする。
【0011】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記光素子を取り囲むように配置された複数の前記基板固定部の間に開口部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、少なくとも表面をはんだ層で覆って形成され、前記対向面の各々に配置されて前記はんだ層同士が融着接続されていることを特徴とする。
【0013】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、少なくとも表面を熱硬化性樹脂層で覆って形成され、前記対向面の各々に配置されて前記熱硬化性樹脂層同士が融着接続されていることを特徴とする。
【0014】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、前記対向面の各々に設けられた電気回路層よりも厚い銅パッドをはんだ層で覆って形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、前記対向面の各々に設けられた電気回路層よりも厚い銅パッドを熱硬化樹脂層で覆って形成されていることを特徴とする。
【0016】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、前記対向面の各々に配列されたコアボールをはんだ層で覆って形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記コアボールは、球形状の銅で形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記コアボールは、球形状の樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0019】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、前記光素子を多重に取り囲むように配置されていることを特徴とする。
【0020】
この発明の光部品の実装構造の他の態様は、前記基板固定部は、前記光素子を中心に放射状に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光部品実装後に雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止する光部品の実装構造を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における光部品の実装構造の構成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0023】
本発明の実施形態に係る光部品の実装構造を、図1、2を用いて説明する。図1は、本実施形態の実装構造に使用する光部品110を示しており、同図(a)は光部品110の側面図を、また同図(b)は平面図をそれぞれ示している。光部品110は、たとえば光素子を搭載した半導体装置であって、光素子搭載基板111の上に光素子112が搭載されている。光素子搭載基板111には、プリント配線板と電気的に接続するためのはんだボール113が複数配列されている。
【0024】
図1に示す光部品110では、光素子112を取り囲むように光素子搭載基板111上に2つの基板固定部100が配置されている。2つの基板固定部100は、近接するそれぞれの端部の間に開口部100aを設けるように配置されている。このような開口部100aを設けることで、2つの基板固定部100で囲まれた空間が密閉されないようにしている。基板固定部100で光素子112の周囲を完全に覆ってしまうと、その内部に残された空気が高温時に高圧となり、基板固定部100を変形させたり破裂して光軸がずれてしまうおそれがある。開口部100aを設けることで内部の空気が外に逃げられるようにしている。
【0025】
上記のように構成された光部品110は、所定のプリント配線板に搭載されて基板固定部100およびはんだボール113で固定される。光部品110がプリント配線板に搭載された一実施例を図2に示す。図2は、光部品110と、これを搭載したプリント配線板120の断面図である。図2に示す断面図は、図1(b)の平面図のA−A’線における断面図であり、破線Bの範囲内のみを示している。
【0026】
プリント配線板120は、電気回路基板121と、これに平行な方向に光を導波させる光導波路122とを備えており、光導波路122の所定の位置に反射面123が設けられている。光導波路122は、光を導波させるコア部122aと、これを囲むクラッド部122bとを備えた構造となっている。光素子112が発光素子の場合には、図2に示すように、光素子112から出射された光が反射面123で90°方向に反射されてコア部122a内を伝達する。光素子112が受光素子の場合には、図2に示す方向と逆方向に光が伝達されて光素子112に入射される。
【0027】
プリント配線板120には、光部品110に設けられた2つの基板固定部100と対向する電気回路基板121上の位置に、別の2つの基板固定部100を設けている。そして、光部品110をプリント配線板120に搭載する際に、対向する基板固定部100同士を接合している。4つの基板固定部100は、開口部100aを除いて光素子112の周囲を取り囲み、光部品110とプリント配線板120との間を強固に接続している。本実施形態では、光素子112の周辺を4つの基板固定部100で強固に固定する実装構造としている。
【0028】
光部品110とプリント配線板120との間は、はんだボール113をリフローして両者を電気的に接続したはんだ接続部113aが複数配置されているが、本実施形態ではさらに基板固定部100でも接続するように構成されている。はんだ接続部113aは、はんだの特性上柔らかくかつ各基板との接触面積が小さいことから、外部から力を受けると容易に変形する。そのため、雰囲気温度が変化し、光素子搭載基板111と電気回路基板121との間で線膨張率が異なることにより線膨張差が生じた場合には、線膨張差に応じてはんだ接続部113aが位置ずれして変形する。
【0029】
これに対し、基板固定部100は、光素子112の周りで広い接触面積で両基板に固定されていることから、外部から力を受けても容易に変形することはない。また、基板固定部100が光素子112の周りを取り囲むことで、光素子112周りの各基板が曲げに対しても強固になる。その結果、光素子搭載基板111と電気回路基板121との間で線膨張差が生じた場合には、光素子112の周りでは光素子搭載基板111と電気回路基板121との位置ずれが生じず、基板固定部100から離れた位置のはんだ接続部113aが線膨張差に応じて位置ずれして変形する。また、両基板に反り変形が生じる場合でも、光素子112周りでは各基板が平たんに維持される。
【0030】
上記のように、本実施形態の光部品の実装構造では、光部品実装後に雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止することが可能となる。なお、はんだ接続部113aは、所定範囲内の変形に対しては、破断することなく電気的接続を維持することができる。
【0031】
次に、基板固定部の配置パターンが異なる実施例を、図3〜5を用いて説明する。
まず図3には、形状の異なる長尺の基板固定部を光素子112の周囲を取り囲むように配置した実装構造を示している。図3(a)は、図1(b)に示した基板固定部100と同じ配置パターンのものを示している。基板固定部100は、長尺の略コの字形状を有しており、2つの基板固定部100を対称に配置して光素子112を取り囲む実装構造としている。2つの基板固定部100は、両者の端部を接触させずに開口部100aを形成している。
【0032】
図3(b)に示す基板固定部131は、半円程度の大きさの円弧形状を有しており、2つの基板固定部131を対称に配置して光素子112を取り囲む実装構造としている。この場合も、2つの基板固定部131の端部を接触させずに開口部131aを形成している。
【0033】
図3(a)および(b)に示す実装構造は、2つの基板固定部100または131を用いて光素子112を取り囲むように配置したものであるが、これに対し図3(c)および(d)では、4つの基板固定部132、または133で光素子112を取り囲む実装構造としている。図3(c)に示す基板固定部132は、長尺の略くの字形状を有しており、4つの基板固定部132を開口部132aを形成して光素子112の周りに配置している。また、図3(d)に示す基板固定部133は、1/4円程度の大きさの円弧形状を有しており、4つの基板固定部133を開口部133aを形成して光素子112の周りに配置している。
【0034】
図3に示すいずれの形状の基板固定部も、光素子112の周りで各基板に広い接触面積で固定されていることから、光素子搭載基板111と電気回路基板121との間で線膨張差が生じた場合には、光素子112の周りでは基板固定部100で強固に固定されて位置ずれが生じない。これに対し、基板固定部100から離れた位置のはんだ接続部113aが線膨張差に応じて位置ずれして変形する。また、図3に示すいずれの実装構造においても、各基板固定部が光素子112の周りを取り囲むことで、各基板に反り変形が生じる場合でも、光素子112の周りでは各基板が平たんに維持される。その結果、光部品実装後に雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止することが可能となる。
【0035】
図4では、図3に示した各形状の基板固定部が光素子112の周囲を2重に取り囲むように配置された実装構造を示している。図4(a)〜(d)に示す各実装構造は、それぞれ図3(a)〜(d)に示した各基板固定部の外周を、それぞれに略相似形でより大きい基板固定部134,135,136、137で取り囲む構造としている。あるいは、内周の基板固定部を図3に示した基板固定部100,131,132、133と異なる大きさに(たとえばより小さく)してもよい。
【0036】
図4に示す各実装構造では、各基板固定部を2重に配置した構造とすることで、光部品112周りの接続強度をさらに高めることができる。これにより、光部品112周辺での基板の位置ずれや反り変形を防止することができ、雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止することが可能となる。
【0037】
図5に示す実装構造では、略矩形状の基板固定部138または139が複数個、光素子112を中心に放射状に配置されている。図5(a)では8個の基板固定部138を放射状に配列しており、隣接する基板固定部138との間には開口部138aが設けられている。また図5(b)では、さらに小さな基板固定部139を放射状に24個並べた構造としており、やはり隣接する基板固定部139との間には開口部139aが設けられている。
【0038】
基板固定部138及び139は、光素子搭載基板111および電気回路基板121との接触面積がともに図3、4に示した各基板固定部よりも小さいが、光素子112の周りに多数配置することで、光部品112周りの接続強度を高めている。これにより、光部品112周辺での基板の位置ずれや反り変形を防止することができ、雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止することが可能となる。また、基板固定部138及び139を用いて開口部を多数形成することで、基板固定部に用いる部材の使用量を減らしつつ、どの方向からの剪断歪みに対しても接続強度を高めることができる。
【0039】
上記説明の本発明の光部品の実装構造では、光素子を取り囲む複数の基板固定部間に開口部を設けていた。この開口部は、基板固定部で取り囲まれた内部の空気が外に逃げられるようにするためのものであるが、この開口部に配線等を敷設することも可能である。一例として、図3(d)に示した実装構造を用いて配線を行ったものを図6に示す。図6では、光素子112から引き出された信号線(電気)114が開口部133aを通過して外部に取り出された実施例が示されている。
【0040】
つぎに、基板固定部の詳細な構造を、図7〜9に示す断面図を用いて詳細に説明する。図3、4に示した基板固定部100,131〜137は、はんだボール113に比べて光素子搭載基板111および電気回路基板121と接する面積を大きくするために、図7〜9に示すような構造を有している。はんだボール113は、一般的にパッド上に球状のはんだボールを搭載後リフローして半球状にするが、同一面積のパッドおよび同一径のはんだボールを使用すれば全てのパッドで同じ大きさのはんだボール113を得ることが出来る。これに対し、基板との接触面積が大きい基板固定部は、パッドサイズが非常に大きいためパッド上にはんだボールを並べてもリフロー後の高さははんだボール113よりも低くなってしまいリフロー接続する際に接触しないで接続不良を起こしてしまう。また、基板固定部は、少なくとも光素子112の高さよりも高くする必要がある。
【0041】
図7〜9に示す基板固定部200〜230は、リフロー接続時に確実に接触されるように構成されている。図7〜9では、基板240上にそれぞれ基板固定部200〜230が形成された実施例を示しているが、ここでの基板固定部200〜230は基板固定部100,131〜137のいずれかとすることができ、基板240は光素子搭載基板111または電気回路基板121とすることができる。さらに、図5に示した基板固定部138,139にも、図7〜9に示す基板固定部200〜230のいずれかを用いることができる。
【0042】
図7(a)に示す基板固定部200は、基板240上に銅パッド201を形成し、これをはんだ層202で覆うことで形成されている。銅パッド201は、めっき等によりその厚さを容易に調整することができるため、銅パッド201の高さを調整することで、基板固定部200の高さを容易に調整することができる。銅パッド201は、基板240上に形成されている電気回路層よりも厚くするのがよい。所定の高さの銅パッド201をはんだ層202で覆うことで、少ない量のはんだで基板固定部200を形成することができる。このように構成された基板固定部200は、容易に量産化することができる。
【0043】
基板固定部200を光素子搭載基板111と電気回路基板121のそれぞれに形成し、それぞれのはんだ層202を融着接続した状態を図7(b)に示す。光素子搭載基板111と電気回路基板121との接合は、基板固定部200だけでなくはんだボール113でも行われる。そのため、基板固定部200の高さが十分でないと、基板固定部200同士の接続が不十分となり、必要な固定強度が得られなくなるおそれがある。基板固定部200は、めっき等で銅パッドの高さを調整することでその高さ調整を行うことができ、これにより基板固定部200同士の接続を強固にすることができる。
【0044】
また、図8(a)に示す基板固定部210は、基板240上に銅パッド211を形成し、これを熱硬化性の樹脂層212で覆うように構成されている。基板固定部210も、銅パッド211の高さをめっき等により容易に調整することができ、銅パッド211の高さを調整することで基板固定部210の高さを調整することができる。
【0045】
基板固定部210は、銅パッド211の外周をはんだに代えて熱硬化性樹脂で覆うようにしているが、この場合にははんだボール113の接続後に、対向する基板固定部210間の隙間に熱硬化性樹脂を充填することもできる。すなわち、図8(b)に示すように、光素子搭載基板111と電気回路基板121との間で、基板固定部210およびはんだボール113を溶融接続した際に、仮に対向する基板固定部210間に隙間ができた場合には、後から熱硬化性樹脂を隙間に這わせて充填することができる。
【0046】
さらに、図9に示す基板固定部は、複数のコアボールをはんだ層で覆って構成されている。図9(a)に示す基板固定部220は、複数の銅コアボール221をはんだ層222で覆って構成されている。また、図9(b)に示す基板固定部230は、複数の樹脂コアボール231をはんだ層232で覆って構成されている。基板固定部220、230の高さは、銅コアボール221または樹脂コアボール231の径を適切に選択することにより容易に調整できる。
【0047】
銅コアボール221は、銅をコアとし、その周りをはんだで覆った構造を有している。銅コアボール221の径は、コアの銅の径を調整することで任意な大きさにすることができ、基板固定部220の高さを調整するのに好適である。また、樹脂コアボール231の径も、コアの樹脂の径を調整することで任意な大きさにすることができ、基板固定部230の高さを調整するのに好適である。銅コアボール221および樹脂コアボール231のいずれも、パッド上に搭載する際リフローで溶融されたとき周りに拡がって高さが低くなってしまうといったおそれはない。
【0048】
図7に示した基板固定部200、および図8に示した基板固定部210は、ともに銅パッド201および211を内部に有しているが、この銅パッド201、211はめっきまたはエッチングで容易に形成することができる。特に、エッチングで銅パッドを形成する場合には、厚い銅パッドを容易に形成することができる。
【0049】
上記説明のように、本発明の光部品の実装構造では、光素子の周囲を基板固定部で取り囲んで光部品を強固に固定していることから、光部品実装後に雰囲気温度が変化しても光結合部を固定して光結合損失の増加を防止することが可能となる。
【0050】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る光部品の実装構造の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における光部品の実装構造の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る光部品の実装構造を示す側面図および平面図である。
【図2】本実施形態に係る光部品の実装構造を示す断面図である。
【図3】基板固定部の配置パターンが異なる実施例を示す平面図である。
【図4】基板固定部の配置パターンが異なる別の実施例を示す平面図である。
【図5】基板固定部の配置パターンが異なるさらに別の実施例を示す平面図である。
【図6】開口部に信号線を通過させて外部に取り出した実施例を示す平面図である。
【図7】基板固定部の詳細な構造を示す断面図である。
【図8】基板固定部の別の詳細な構造を示す断面図である。
【図9】基板固定部のさらに別の詳細な構造を示す断面図である。
【図10】従来の光部品の実装構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
100、131〜139、200、210、220、230:基板固定部
100a:開口部
110、910:光部品
111:光素子搭載基板
112、911:光素子
113:はんだボール
114:信号線
120、920:プリント配線板
121:電気回路基板
122:光導波路
123:反射面
201:銅パッド
202、222、232:はんだ層
221:銅コアボール
231:樹脂コアボール
240:基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光素子を搭載した光部品を、光導波路を備えたプリント配線板に固定する光部品の実装構造であって、
前記光部品および前記プリント配線板の各々の対向面の間を接続する複数の基板固定部を、前記光素子を取り囲むように配置して前記光部品を前記プリント配線板に固定している
ことを特徴とする光部品の実装構造。
【請求項2】
前記光素子を取り囲むように配置された複数の前記基板固定部の間に開口部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の光部品の実装構造。
【請求項3】
前記基板固定部は、少なくとも表面をはんだ層で覆って形成され、前記対向面の各々に配置されて前記はんだ層同士が融着接続されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光部品の実装構造。
【請求項4】
前記基板固定部は、少なくとも表面を熱硬化性樹脂層で覆って形成され、前記対向面の各々に配置されて前記熱硬化性樹脂層同士が融着接続されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光部品の実装構造。
【請求項5】
前記基板固定部は、前記対向面の各々に設けられた銅パッドを前記はんだ層で覆って形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の光部品の実装構造。
【請求項6】
前記基板固定部は、前記対向面の各々に設けられた銅パッドを前記熱硬化樹脂層で覆って形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の光部品の実装構造。
【請求項7】
前記基板固定部は、前記対向面の各々に配列されたコアボールを前記はんだ層で覆って形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の光部品の実装構造。
【請求項8】
前記コアボールは、球形状の銅をはんだで覆って形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光部品の実装構造。
【請求項9】
前記コアボールは、球形状の樹脂をはんだで覆って形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光部品の実装構造。
【請求項10】
前記基板固定部は、前記光素子を多重に取り囲むように配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至9に記載の光部品の実装構造。
【請求項11】
前記基板固定部は、前記光素子を中心に放射状に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至9に記載の光部品の実装構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−200087(P2009−200087A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37089(P2008−37089)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】