説明

出力回路

【課題】2つの問題(電源ノイズ及び放射ノイズ)を低減する機能と、且つ、そこで得られる効果を選定できる機能を有する出力回路を提供すること。
【解決手段】ソースが第1の電源に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1の伝導タイプの第1のMOSFETと、ソースが第2の電源に接続され、ドレインが出力端子に接続される第2の伝導タイプの第2のMOSFETから成る出力回路において、
前記第1のMOSFETのゲートを制御する第1の制御回路と、前記第2のMOSFETのゲートを制御する第2の制御回路を持ち、出力端子から第1の制御回路と、第2の制御回路のそれぞれに出力端子の変動の高周波成分を帰還し、第1若しくは第2のMOSFETのうち、導通状態から非導通状態に変化するMOSFETについては高周波成分を帰還する手段によらず高速に非導通状態になるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路の出力回路に関するものである。更に詳しくは、半導体集積回路の最終段を構成する出力バッファ部の動作に起因する電源ノイズ及び放射ノイズの低減に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
図8は従来の半導体集積回路における出力回路の一例である。
【0003】
図8において、入力端子(同図記号3)に入力された信号(論理値;H若しくはL)は、PMOSトランジスタ10とNMOSトランジスタ11から成るインバータ回路で一旦その論理値が反転され論理値がL若しくはHとなる。続いてPMOSトランジスタ5とNMOSトランジスタ6から成るインバータ回路で反転された論理値が再度反転されて(正転に戻り)出力端子(同図記号4)に出力される。容量12は本出力回路が駆動する負荷容量を表している。
【0004】
図8の波形は、出力端子電圧の変化に伴う電流波形及び電源電圧波形である。波形は上から順番に、出力端子電圧波形、貫通電流波形(I1)、電源から負荷容量12へ流れる負荷充電時の電流波形(I2)、負荷容量12からGDへ流れる負荷放電時の電流波形(I3)、電源端子1の電源電圧波形、そして、GND端子2のGND電圧波形である。出力電圧の変化(HからL、若しくはLからH)に伴い、貫通電流(I1)が電源端子1からGND端子2に流れる。これはPMOSトランジスタ5とNMOSトランジスタ6のゲートへ入力される(PMOSトランジスタ10とNMOSトランジスタ11で構成されるインバータ回路の出力)信号の過渡的状態によって発生するものである。この過渡状態では、一時的にPMOSトランジスタ5とNMOSトランジスタ6が同時にONとなり得る状態があり、瞬間的な電流が流れる。出力電圧がLからHへの変化に際しては、負荷容量12の充電に必要な電流が電源電圧1から流れ込む。これが電流波形I2である。
【0005】
一方、出力電圧がHからLへの変化に際しては、負荷容量12の放電に必要な電流がGND端子2へ流れ込む。これが電流波形I3である。貫通電流及び充放電電流は、インバータ回路を構成するトランジスタサイズ及び駆動する負荷容量値に依存する。一般に出力回路は大きな負荷容量を高速に駆動することが要求されるため、これら貫通電流及び負荷充放電電流が大きい。PMOSトランジスタ10及びNMOSトランジスタ11で構成されるインバータ回路でも貫通電流及び負荷容量充放電電流は存在するが、上記理由から本明細では小さいと仮定して無視している。
【0006】
電源配線及びGND配線には配線固有の抵抗成分が存在し、電流量に比例して電源変動が生じる。図8の下から2番目の波形は電源電圧波形である。貫通電流(I1)及び負荷充電電流(I2)の合算電流と電源配線の配線抵抗による電圧変動が発生し、理想的な電源電圧値よりも電圧値が降下する。同様に図8の1番下の波形はGND電圧波形である。貫通電流(I1)及び負荷放電電流(I3)の合算電流とGND配線の配線抵抗による電圧変動が発生し、理想的なGND電圧値よりも電圧値が上昇する。瞬間的に所望の(回路動作に必要な)電源電圧を下回り、回路誤動作が発生するという第1の問題点がある。
【0007】
更に、近年の半導体集積回路の動作速度の高速化及び出力ビットの多ビット化に伴い放射ノイズという第2の問題点がある。この放射ノイズは、出力信号の急激な信号変動がもたらす一種の共振である。この共振は半導体集積回路が実装される基板若しくはモジュールの形態及び実装方法等に密接に関連し発生するノイズである。放射ノイズは自身も含め、他の機器の誤動作を誘引するという問題点がある。モジュール全体を電磁シールドする等の解決手段も存在するが、実装形態の制限及び製造コスト等から好ましくなく、半導体集積回路においては急激な信号変化を可能な範囲で回避することが求められる。
【0008】
両問題、第1の問題点「電源ノイズ」及び第2の問題点「放射ノイズ」の低減を目的に図9及び図10の回路が公知である。
【0009】
図9は出力インバータ回路のPMOSトランジスタ5及びNMOSトランジスタ6のゲートを独立に制御するための回路が追加されている。具体的には、縦列接続されたインバータ回路13−1及び13−2があり、その入力が入力端子3に、出力端子がNAND回路13−3の一方の入力端子に接続されてあり、他方の入力は入力端子3に接続されており、その出力端子がPMOSトランジスタ1のゲートに接続されている。ゲート信号を波形N1に示す。同様にNMOSトランジスタ6のゲートにはNOR回路14−3の出力が接続されている。ゲート信号を波形N2に示す。
【0010】
図9の波形は上から、入力電圧(3)、N1電圧波形、N2電圧波形、出力電圧(4)、電源端子1の電源電圧波形、そしてGND端子2のGND電圧波形である。本波形の特徴的なところは、波形N1及びN2の立ち上がり及び立下りの位相関係である。N1がLからHへの変化が終了した後にN2がLからHへ変化する。同様にN2がHからLへの変化が完了した後にN1がHからLへ変化する。即ち、両トランジスタ5及び6が同時にONとなる状態を故意的に回避し、ONである一方のトランジスタを先ずOFFさせた後で、他方のトランジスタをONする。従って、図8の従来例で発生していた貫通電流がなくなることで、電源電圧変動を抑圧する効果が期待される。
【0011】
図10は放射ノイズの低減を目的に構成された、特許文献1の図5に記載されている半導体記録装置で使用されている出力回路の従来例である。PMOSトランジスタ5及びNMOSトランジスタ6の各ゲートが独立なインバータ回路(16と17及び18と19)で駆動されていることと、出力制御回路15が設けられているのは読み出し信号に起因する記録装置特有の構成であり説明は割愛する。本回路の特徴的なところは、出力端子4とNMOSトランジスタ6のゲート間に容量20が設けられ、出力端子4とPMOSトランジスタ5のゲート間には容量が設けられていない点である。本容量20を追加したことで、出力の立下り応答時だけ立下り応答の鈍化効果が得られる。
【0012】
具体的には、NMOSトランジスタ6のゲートがLからHへの変化に伴い、出力端子電圧はHからLへ変化する。この出力変化が容量20を介してゲート端子がLからHへの変化を抑圧する効果として動作する。結果、出力がHからLへの応答時の応答速度が鈍化する。図10の波形は上から、出力電圧波形(4)、貫通電流波形(I1)、負荷充電電流波形(I2)、負荷放電電流波形(I3)、電源端子1の電源電圧波形、そしてGND端子2のGND電圧波形である。容量20のフィードバック効果により出力電圧波形(4)の立下り応答が鈍化する。破線は容量20がない時の応答である。立下り応答が鈍る分、その間は貫通電流が流れる。
【0013】
一方、容量負荷の放電電流I3は応答が鈍くなる分ピーク電流は抑えられる。結果として、立下り出力応答時の急激な応答が鈍化されことで放射ノイズ低減効果が得られ、且つ、負荷放電電流のピーク電流値が抑えられることで電源ノイズ低減効果が得られる。
【0014】
【特許文献1】特開平9−20018号公報
【特許文献2】特開平10−155100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
近年の半導体集積回路では、動作速度の高速化及び集積度の向上により出力回路の多ビット化が進んでいる。多ビット化された出力回路から多ビットの出力信号が同時且つ急峻に出力されると、特性上好ましくない2種類のノイズ、電源ノイズ及び放射ノイズが発生し易くなる。
【0016】
電源ノイズは電源電圧及びGNDの定電圧性を欠く電圧振動をもたらすノイズである。例えば、電源電圧3Vを使用した半導体集積回路において、電源ノイズにより電源電圧が所望の3Vの一定電圧とはならずに、瞬間的には2.6Vになったり、又更に別の瞬間には2.8Vになったり時々刻々の変化である。又、インダクタンス成分により瞬間的に3.2V等に電源電圧が変化する場合もある。これら電源電圧変動が大きいと、半導体集積回路において誤動作をもたらすという問題点がある。
【0017】
放射ノイズは、出力信号の急激な変動がもたらす一種の共振である。この共振は半導体集積回路が実装される基板若しくはモジュールの形態及び実装方法等に密接に関連し発生するノイズである。放射ノイズは自身も含め、他の機器の誤動作を誘引するという問題点がある。モジュール全体を電磁シールドする等の解決手段も存在するが、実装形態の制限及び製造コスト等から好ましくなく、半導体集積回路においては急激な信号変化を可能な範囲で回避することが求められる。
【0018】
本発明は、上記従来の半導体集積回路の問題点に鑑み、2つの問題(電源ノイズ及び放射ノイズ)を低減する機能と、且つ、そこで得られる効果を選定できる機能を有する出力回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では次の3手段で課題を解決している。

1)出力回路であるインバータ回路を構成するPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのゲート信号を制御する制御回路を各々独立に持つ。その制御回路はトランジスタがOFFからON、若しくはONからOFFへ変化する時の応答速度を別々に制御する。トランジスタがOFFからONへの応答時は、貫通電流の低減を目的に他方のトランジスタの応答(ONからOFF)よりも遅れて動作すると共に、出力端子の急激な信号変化を緩やかにすることを目的に出力端子の変動の高周波成分を帰還する。トランジスタがONからOFFへの応答時は、貫通電流の低減を目的に他方のトランジスタの応答(OFFからON)よりも高速に動作する手段を有する出力回路。
【0020】
2)前記制御回路の高周波成分の帰還において、出力端子の信号変化を段階的に緩やかに切り替えることが可能な切替え手段を有する出力回路。
【0021】
3)前記制御回路及びインバータ回路とは別に、出力端子の急激な信号変化を緩やかにすることを目的に、駆動力が前記インバータ回路の駆動能力より小さい補助回路を持つ。この駆動力の小さい補助回路は、前記インバータ回路の変化に際し、その変化より僅かな時間だけ早く同一の変化を開始する。具体的には、インバータ回路の出力がLからH(若しくはHからL)に変化する場合、駆動力の小さい補助回路の出力は時間的に少し前からLからH(若しくはHからL)に変化する。駆動力の小さい補助回路の変化を、駆動力の大きいインバータ回路より時間的に早く開始することで、駆動力の大きいインバータ回路で一気に駆動される時の応答を緩和することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、貫通電流を低減、且つ、出力変動を緩やかにする構成であるため、電源ノイズ及び放射ノイズによる誤動作を防止することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1の出力回路の構成を示す図である。
【0025】
図1において、1は電源電圧、2はGND、3は入力端子、4は出力端子である。入力端子3に入力された信号が第1の制御回路6及び第2の制御回路8に各々入力される。制御回路6の出力は、PMOSトランジスタ5のゲート端子に接続されている。同様に、制御回路8の出力はNMOSトランジスタ7のゲート端子に接続されている。PMOSトランジスタ5のソース端子は電源電圧1に接続され、ドレイン端子は出力端子4に接続されている。同様に、NMOSトランジスタ7のソース端子はGND2に接続され、ドレイン端子は出力端子4に接続されている。出力端子4は各制御回路6及び8へ入力され、出力変動の高周波成分のみが帰還される。
【0026】
12は出力回路の負荷容量を示してある。前述の制御回路6及び8は、その出力が接続されるトランジスタの動作によって2種類の出力方法がある。具体的には、出力へ接続されるトランジスタがONからOFFへと変化する場合と、OFFからONへと変化する場合である。第1の出力方法としてトランジスタがOFFからONへの変化に際しては、貫通電流の低減を目的に他方のトランジスタの応答(ONからOFF)よりも遅れて動作が開始されると共に、出力端子4の急激な信号変化を緩やかにすることを目的に出力端子の変動の高周波成分が帰還され、制御回路の出力波形を緩やかにする。
【0027】
第2の出力方法としてトランジスタがONからOFFへの変化に際しては、貫通電流の低減を目的に他方のトランジスタの応答(OFFからON)よりも高速に動作する。同図の波形は、出力電圧波形(4)、電源電圧波形(1)及びGND電圧波形(2)である。出力電圧波形(4)の破線は、図9記載の従来回路での出力波形である。従来出力に比べ波形の角が取れていることが確認できる。これは出力変動の高周波成分の帰還によるものである。電源電圧波形(1)及びGND電圧波形(2)の瞬間的な電圧降下及び電圧上昇は、図9記載の従来回路でのそのと比較して小さくなっていることが確認できる。
【0028】
<実施の形態2>
図2は本発明の実施の形態2の出力回路の構成を示す図である。
【0029】
出力端子から制御回路への帰還手段が容量6−4及び8−4でなされている。図1で示した実施の形態1と異なるところは、第1及び第2の制御回路が各々記号6−1〜6−4及び8−1〜8−4で表されている点である。入力端子(3)へ入力される入力信号がLからHに変化すると、NMOSトランジスタ8−1がONとなり、NMOSトランジスタ7はOFFとなる。NMOSトランジスタ7応答、具体的にはONからOFFへの応答、はNMOSトランジスタ8−1のみでスイッチングされるため、高速且つゲート端子電圧は低インピーダンスでGND端子へ接続される。
【0030】
一方、PMOSトランジスタ5はOFFからONの動作となる。入力信号のHがPMOSトランジスタ6−1はOFFとなる。その後、インバータ6−2及び抵抗6−3を介してPMOSトランジスタ5のゲートが駆動される。入力端子に入力された信号Hが、インバータ6−2でLとなり、PMOSトランジスタ5がONとなるため、応答までに遅延が生じると共にゲート端子電圧は抵抗6−3による抵抗成分を持ってGNDに接続される。出力インバータ回路を構成するPMOSトランジスタ5及びNMOSトランジスタ7が同時に変化(ON→OFF及びOFF→ON)するのではなく、ON→OFFに変化するトランジスタ(本例ではNMOSトランジスタ7)の変化が先行し、OFF→ONに変化するトランジスタ(本例ではPMOSトランジスタ5)はインバータ遅延及び抵抗遅延後に変化するので、貫通電流が抑圧される。
【0031】
又、出力インバータ回路を構成するPMOSトランジスタ5及びNMOSトランジスタ7のゲート端子のインピーダンスは、OFFしているトランジスタは低インピーダンスで駆動され、ONしているトランジスタは抵抗(6−3若しくは8−3)固有のインピーダンスを持つ。容量を介した出力端子からの帰還の影響は、ゲートが駆動されているインピーダンスで異なる。具体的には、駆動されているインピーダンスが低いほど、容量を介した帰還の影響が小さい。即ち、ONからOFFへ向かうトランジスタでは、駆動されているゲートは低インピーダンスのため、出力変動によらず高速に変化する。
【0032】
一方、OFFからONへ向かうトランジスタでは、駆動されているゲートは抵抗(6−3若しくは8−3)固有のインピーダンスがあるため、出力変動により影響を受け応答が鈍くなる。
【0033】
<実施の形態3>
図3は本発明の実施の形態3の出力回路の構成を示す図である。
【0034】
図2で示した実施の形態2と異なるところは、帰還容量6−4及び8−4に並列に容量6−5及び8−5がスイッチ6−6及び8−6が設けられている点である。スイッチ6−6及び8−6の閉開により、帰還容量の大きさを制御することで、最適な出力応答を得ることが可能となる。尚、本実施の形態では、スイッチと直列接続された切替え可能な帰還容量を1つとしての例であるが、複数の場合もある。
【0035】
<実施の形態4>
図4は本発明の実施の形態4の出力回路の構成を示す図である。
【0036】
図1で示した実施の形態1と異なるところは、入力端子3と出力端子4の間に補助回路9が追加されている点である。本補助回路9の成す効果は、PMOSトランジスタ5及びNMOSトランジスタ7で構成されるインバータ回路から出力される出力変動の変化開始時の応答に対し、予め(時間的に先行して)出力変動を開始することで、急激な過渡応答による高周波成分を除去することにある。
【0037】
図1で示した実施の形態1の出力変動の高周波成分の帰還では、変動の発生した時点から変動が完了するまでの間の応答が鈍くなる。具体的には、出力がLからHへの変動に対してはHへの変動が鈍化するが、Lからの立ち上がりの瞬間に対しては鈍化することはできずに急激な変化が残る。本補助回路9では、この残りの急激な変化に対し予め(時間的に先行して)出力変動を作り込むことで出力応答から急激な変化を除去している。そのため、本補助回路9の駆動能力は前記インバータ回路のそれよりも小さい。
【0038】
本実施の形態での出力応答波形を同図の出力電圧(4)に示す。破線は、図9に示した従来例での出力応答波形である。従来例に比べ、変化開始時点に補助回路9による出力変化があり、その後、PMOSトランジスタ5及びNMOSトランジスタ7による駆動力の大きい強力な出力変化が起こる。この変化は、出力変動の高周波成分が制御回路6及び8に帰還され、出力変動が鈍っている。
【0039】
<実施の形態5>
図5は本発明の実施の形態5の出力回路の構成を示す図である。
【0040】
出力端子から制御回路への帰還手段が容量6−4及び8−4でなされている。図4で示した実施の形態1と異なるところは、補助回路9がインバータ9−1及びPMOSトランジスタ9−2とNMOSトランジスタ9−3で構成されるインバータ回路で表されている点である。入力端子3に入力された信号がインバータ9−1を介してPMOSトランジスタ9−2及びNMOSトランジスタ9−3のゲートを駆動し、出力を変動させる。
【0041】
具体的には、入力信号がLからHに変動すると、NMOSトランジスタのONに伴いNMOSトランジスタ7がOFFとなる。その間は未だPMOSトランジスタ5はOFFのままである。インバータ9−1を介しPMOSトランジスタ9−2がONとなり、出力電位をHへと導く。但し、PMOSトランジスタ9−2の駆動能力は小さいため、この変化は緩やかなものである。然る後(インバータ6−2及び抵抗6−3による遅延を経てPMOSトランジスタ5のゲートがLとなるまでの時間)、駆動能力の大きいPMOSトランジスタ5がONとなる。
【0042】
<実施の形態6>
図6は本発明の実施の形態6の出力回路の構成を示す図である。
【0043】
図5で示した実施の形態5と異なるところは、PMOSトランジスタ9−2及びNMOSトランジスタ9−3の共通ドレイン端子と出力端子4との間に抵抗9−4が追加されている点である。本抵抗9−4の追加目的は、次の2つがある。第1の目的は、予め(時間的に先行して)駆動される出力波形の駆動能力を更に低減することである。第2の目的は、貫通電流に対するケアである。抵抗9−4があることで、貫通電流が発生した場合、電流値が低減される。
【0044】
<実施の形態7>
図7は本発明の実施の形態7の出力回路の構成を示す図である。
【0045】
図6で示した実施の形態6と異なるところは、入力端子3とインバータ9−1の間に遅延回路9−5が追加されている点である。本遅延回路9−5の追加目的は、補助回路の動作開始時間に対し遅延を設けることで、貫通電流が発生しないようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1の出力回路を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2の出力回路を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態3の出力回路を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態4の出力回路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態5の出力回路を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態6の出力回路を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態7の出力回路を示す図である。
【図8】第1の従来例として出力回路を示す図である。
【図9】第2の従来例として出力回路を示す図である。
【図10】第3の従来例としての出力回路を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 電源電圧
2 GND
3 入力端子
4 出力端子
5,6−1,9−2,10,16,18 PMOSトランジスタ
7,8−1,9−3,11,17,19 NMOSトランジスタ
6,8 制御回路
6−2,8−2,9−1,13−1,13−2,14−1,14−2 インバータ
6−3,8−3,9−4 抵抗
6−4,6−5,8−4,8−5,20 容量
6−6,8−6 スイッチ
9 補助回路
12 負荷容量
13−3 NAND回路
14−3 NOR回路
15 出力制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースが第1の電源に接続され、ドレインが出力端子に接続される第1の伝導タイプの第1のMOSFETと、ソースが第2の電源に接続され、ドレインが出力端子に接続される第2の伝導タイプの第2のMOSFETから成る出力回路において、
前記第1のMOSFETのゲートを制御する第1の制御回路と、前記第2のMOSFETのゲートを制御する第2の制御回路を持ち、出力端子から第1の制御回路と、第2の制御回路のそれぞれに出力端子の変動の高周波成分を帰還し、第1若しくは第2のMOSFETのうち、導通状態から非導通状態に変化するMOSFETについては高周波成分を帰還する手段によらず高速に非導通状態になるように制御することを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記帰還手段が容量手段を含むハイパスフィルターであると共に、前記第1MOSFETのゲートと第1電源間に第1伝導タイプの第3MOSFETを接続し、前記第1MOSFETのゲートに第1抵抗の一方を接続し、第1抵抗の他方と第3MOSFETのゲートに相反するロジック信号を入力し、前記第2MOSFETのゲートと第2電源間に第2伝導タイプの第4MOSFETを接続し、前記第2MOSFETのゲートに第2抵抗の一方を接続し、第2抵抗の他方と第4MOSFETのゲートに相反するロジック信号を入力することを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項3】
前記容量手段が、直列にスイッチが繋がる複数の容量素子を並列に接続し、スイッチの閉開により容量手段の大きさを制御可能にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の出力回路。
【請求項4】
前記第1のMOSFET及び前記第2のMOSFETより駆動力の小さい補助回路の出力が出力端子に接続されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の出力回路。
【請求項5】
前記補助回路が、第1の伝導タイプの第5のMOSFETと第2の伝導タイプの第6のMOSFETから成るインバータ回路であることを特徴とする請求項4記載の出力回路。
【請求項6】
前記インバータ回路の出力と出力端子の間に抵抗を設けたことを特徴とする請求項5記載の出力回路。
【請求項7】
前記インバータ回路の入力と入力端子の間に遅延回路を設けたことを特徴とする請求項6記載の出力回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−33301(P2006−33301A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208024(P2004−208024)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】