医療用マニピュレータ
【課題】対象物をより安定して把持することができる医療用マニピュレータを提供する。
【解決手段】対象物を把持する医療用マニピュレータ1は、先端側に設けられ、開閉する第1鉗子片11及び第2鉗子片12と、第1鉗子片及び第2鉗子片の基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより第1鉗子片及び第2鉗子片を開閉させる操作部材20とを備え、第1鉗子片及び第2鉗子片のそれぞれに設けられ、閉じる際に互いに接近して対象物と接触する把持面11A、12Aは、ヤング率が120ギガパスカル以下の金属材料で形成されていることを特徴とする。
【解決手段】対象物を把持する医療用マニピュレータ1は、先端側に設けられ、開閉する第1鉗子片11及び第2鉗子片12と、第1鉗子片及び第2鉗子片の基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより第1鉗子片及び第2鉗子片を開閉させる操作部材20とを備え、第1鉗子片及び第2鉗子片のそれぞれに設けられ、閉じる際に互いに接近して対象物と接触する把持面11A、12Aは、ヤング率が120ギガパスカル以下の金属材料で形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用マニピュレータ、より詳しくは、生体に対する各種処置に用いられる医療用マニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の分野において、医療用マニピュレータが生体に対する各種処置に用いられている。
このような医療用マニピュレータとして、特許文献1には、開閉可能な鉗子部を備える把持鉗子が記載されている。通常、鉗子部はステンレス等の金属で形成されることが多い。
【0003】
医療用マニピュレータを用いて行う手技は様々あるが、その一つに曲針を用いた縫合処置がある。上記の把持鉗子を用いた縫合処置においては、縫合糸を掛けた曲針を鉗子部で把持して組織に刺入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−224246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縫合処置においては、曲針の先端の向きが重要であるため、鉗子部で曲針を把持したまま、曲針を軸線回りに回転させて先端の向きを調節する等の操作が行われる。しかし、鉗子部を形成するステンレス等の材料は、弾性に乏しいため、丸棒状の曲針とは線接触となりやすく、安定した把持は容易ではない。かといって確実に把持するために把持力量を大きくしすぎると、曲針の破損等の恐れがある。
ここでは一例として縫合処置を説明したが、縫合処置に限らず医療用マニピュレータを用いた手技の多くは、上述のような理由により術者に高度な熟練を要求するものとなっている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、対象物をより安定して把持することができる医療用マニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象物を把持する医療用マニピュレータであって、先端側に設けられ、開閉する一対のアームと、前記一対のアームの基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより前記一対のアームを開閉させる操作部材とを備え、前記一対のアームのうち、閉じる際に互いに接近して前記対象物と接触する把持部は、ヤング率が120ギガパスカル以下の金属材料で形成されていることを特徴とする。
【0008】
前記金属材料は、降伏応力が1500メガパスカル以上であってもよい。また、ガラス遷移領域が20度以上の金属ガラスであってもよい。
【0009】
前記把持部は、複数の突起を有してもよい。
また、前記一対のアームは、前記把持部が設けられた側と反対側に凹部を有してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の医療用マニピュレータによれば、対象物をより安定して把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の医療用マニピュレータの備えた医療用マニピュレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】同医療用マニピュレータの先端部を示す部分拡大図である。
【図3】同先端部を、一部断面で示す図である。
【図4】同医療用マニピュレータの使用時の動作を示す図である。
【図5】鉗子片の好適な物性を検討する実験の方法を説明する図である。
【図6】実験における評価範囲を説明する図である。
【図7】実験における、比較例の把持面の形状変化を示すグラフである。
【図8】実験における、実施例の把持面の形状変化を示すグラフである。
【図9】実験における、他の実施例の把持面の形状変化を示すグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態の医療用マニピュレータにおける第1鉗子片を示す図である。
【図11】同医療用マニピュレータの変形例の第1鉗子片を示す図である。
【図12】同医療用マニピュレータの変形例の第1鉗子片を示す図である。
【図13】同医療用マニピュレータの変形例の先端部を示す図である。
【図14】同医療用マニピュレータの変形例の先端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施形態について、図1から図9を参照して説明する。図1は、本実施形態の医療用マニピュレータ(以下、単に「マニピュレータ」と称する。)1を備えた医療用マニピュレーションシステム(以下、単に「システム」と称する。)100を示す図である。システム100は、モニタ101を有する制御装置102と、制御装置102に取り付けられたマスターアーム103と、患者Pの体腔内に挿入される処置部104とを備えている。処置部104は、体腔内を観察するための内視鏡105を有し、マニピュレータ1は、内視鏡105のチャンネルに挿入されている。術者Opがマスターアーム103を操作すると、マスターアーム103の位置および姿勢の情報が電気信号としてスレーブアームとしてのマニピュレータ1に送られ、マニピュレータ1の位置および姿勢に反映される。これにより、各種処置を行うことができる。
【0013】
図2は、マニピュレータ1の先端部10を示す部分拡大図である。マニピュレータ1は、体腔内で処置を行うための先端部10と、先端部10に接続された操作部材20と、操作部材20が挿通された本体部30とを備えている。
先端部10は、第1鉗子片11及び第2鉗子片12からなる一対の鉗子片(アーム)を備えており、マニピュレータ1は、いわゆる把持鉗子として構成されている。第1鉗子片11及び第2鉗子片12は、回動軸13で互いに回動可能に連結されており、回動軸13は、カバー部材14によって本体部30に保持されている。
なお、第1鉗子片11及び第2鉗子片12は非晶質合金である金属ガラスを用いて所定の物性を有するように形成されているが、これについては後述する。
【0014】
図3は、閉じた状態の先端部10を、一部断面で示す図である。操作部材20は、2本の操作ワイヤ20Aおよび20Bからなり、それぞれ第1鉗子片11及び第2鉗子片12の基端側に、各鉗子片に対して相対回動可能に接続されている。操作ワイヤ20A、20Bは、金属等の一定の剛性を有する材料で形成されている。操作ワイヤ20A、20Bは、第1鉗子片11及び第2鉗子片12に接続された先端側が図3に示すようにクランク状に曲げ加工されており、基端側は本体部30内を通って図示しないモータ等の駆動機構に接続されている。当該駆動機構を用いて2本の操作ワイヤ20A、20Bを軸線方向に進退させることにより、第1鉗子片11及び第2鉗子片12を開閉させることができる。
【0015】
本体部30の先端にはカバー部材14が固定されており、本体部30と回動軸13との相対位置関係はほぼ一定に保持されている。本体部30の内腔には、操作ワイヤ20A、20Bが挿通されている。
【0016】
第1鉗子片11及び第2鉗子片12は、非晶質合金である金属ガラスを用いた成形により形成されている。
非晶質合金とは、複数の金属元素が結晶構造を形成せずに凝固(アモルファス化)した合金のことである。非晶質合金は、複数の金属元素からなる金属材料の溶湯を、ガラス遷移温度以下になるまで急速冷却することにより形成される。非晶質合金は、通常の結晶金属に見受けられるような結晶粒界を有さず、結晶粒界を起因とした粒界腐食(結晶粒界に沿って腐食が進行する現象)を生じないことから、耐食性に優れている。
【0017】
非晶質合金の例としては、例えば、チタン(Ti)基合金、鉄(Fe)基合金、ジルコニウム(Zr)基合金、マグネシウム(Mg)基合金などを挙げることができる。
非晶質合金のうち、ガラス遷移領域(結晶化温度からガラス遷移温度を引いた値)が20℃以上である非晶質合金は、特に、金属ガラスと称される場合があり、本発明においても、金属ガラスとはこのような特性を有する非晶質合金を指す。
【0018】
金属ガラスは、結晶金属のような凝固収縮を生じないことから、成形金型に対する高精度な転写性を有し、さらにガラス遷移領域ではガラスのような熱間プレス加工も可能であることから、成形品の形状自由度、寸法精度、生産性に優れている。また、金属ガラスは、その物性として低ヤング率・高強度であり、さらに熱に対して低膨張である。
【0019】
金属ガラスで形成された第1鉗子片11及び第2鉗子片12は、低ヤング率であるため、曲針のような硬質の対象物を把持した際は、図4に示すように、第1鉗子片11及び第2鉗子片12のそれぞれにおいて、一対の鉗子片が閉じた際に曲針110と接触する把持面(把持部)11Aおよび12Aが曲針110の外面形状に対応して弾性変形する。その結果、第1鉗子片11及び第2鉗子片12と曲針110との接触面積が増加し、安定して曲針110等を把持することができる。
一方、金属ガラスは高強度であり、降伏応力が大きい。そのため、曲針110等を把持したときも塑性変形しにくく、第1鉗子片11及び第2鉗子片12を開くと、弾性変形した把持面11Aおよび12Aは、把持前の形状に良好に復帰する。したがって、つかみなおし等によって曲針等を何度も把持しても、把持面11Aおよび12Aに曲針等の形状が残ることはなく、安定した把持を繰り返すことができ、耐久性に優れたマニピュレータとすることができる。
【0020】
第1鉗子片11及び第2鉗子片12を形成する金属材料は、金属ガラスに限られるものではなく、所定の物性を有するものであれば上述した効果を奏する。そこで、上述した効果を好適に奏するヤング率および降伏応力の範囲を検討するため、第1鉗子片11及び第2鉗子片12を複数の金属材料で形成して実験を行った。以下に、各実施例および比較例の詳細と実験結果について記す。
【0021】
まず、実験に用いた実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12をZr系金属ガラスZr55Cu30Al10Ni5で形成し、操作部材として、各鉗子片にφ0.36ミリメートル(mm)のステンレス(SUS304)製ワイヤを接続した。把持面11Aおよび12Aの大きさは、いずれも幅2mm×長さ6mmとした。なお、上述の記載及び以降の記載において、金属ガラスの組成中の数字は、原子%(at%)を示す。
(実施例2)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12をTi系金属ガラスTi51Cu19Ni16.5Al7Zr3Si3B0.5で形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(実施例3)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12をZr系金属ガラスZr65Cu17.5Ni10Al7.5で形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(実施例4)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12を金属ガラスでないチタン系合金Ti-18Nb-20Zr-1Al-1Cr-6Sn(数字は重量%)で形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(比較例1)
SUS304を用いて第1鉗子片11及び第2鉗子片12を形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(比較例2)
ベリリウム銅(C1720)を用いて第1鉗子片11及び第2鉗子片12を形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
【0022】
実験は、実験1と実験2との2種類行った。以下に、各実験方法について説明する。
(実験1)
実験1は、すべての実施例および比較例を対象にして行った。図5に示すように、SUS304製の棒状試料S(φ0.5mm、長さ20mm)を第1鉗子片11と第2鉗子片12との間に挟み、鉗子片間に5ニュートン(N)の力がかかるように操作部材20を牽引して棒状試料Sを把持した。
圧子120により、棒状試料Sの一方の端部Saに鉗子片の先端側から把持面と平行な力をかけつつ、他方の端部Sbの変位をセンサ121で計測した。圧子120に作用する反力をロードセルによってモニターし、棒状試料Sが把持された部位を中心に10度回転するまでの最大力量を把持力として評価した。
(実験2)
実験2は、実施例3、4、および比較例1を対象にして行った。棒状試料Sを挟んだ各例の鉗子片に対して、実験1と同様に鉗子片間に5Nの力がかかるように操作部材20を牽引し、棒状試料Sの把持操作を100回繰り返した。把持操作の前後において、図6に示すように、任意に選択した一方の鉗子片の把持面の長手方向中間部2mmの範囲で幅方向中央(図6中のL1)における断面形状を測定し、その変化を比較した。
実験1および2の結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1には、各実施例および比較例における金属材料のヤング率および降伏応力を示している。
実験1においては、いずれの実施例においても把持力は20N以上であり、棒状試料Sが良好に把持されていた。一方、比較例では、いずれも把持力は18N程度であり、充分でなかった。したがって、少なくともヤング率にして120ギガパスカル(GPa)以下の弾性を有することが必要と考えられた。
【0025】
図7から図9は、それぞれ比較例1、実施例4、および実施例3における把持面の断面形状を示すグラフである。いずれの例でも、把持操作前(図7(a)、図8(a)、図9(a))は把持面が概ね平坦であるが、比較例1においては、図7(b)に示すように、100回の把持操作後、把持面の顕著な変形が発生した。この変形は目視でも確認可能であり、把持操作により鉗子片が塑性変形を起こしたことによるものと推測された。実施例4においても、比較例1ほどではないものの、把持面に若干の変形が発生しており、塑性変形が発生していると推測された(図8(b))。
これに対し、実施例3では、図9(a)および図9(b)に示すように、把持操作の前後で把持面の形状に大きな変化はなく、塑性変形を起こしていないことが確認された。
3つの例における把持操作後の把持面の形状の違いは、主に金属材料の降伏応力の違いによるものと考えられ、把持面の塑性変形を好適に防止する観点からは、降伏応力が少なくとも1500メガパスカル(MPa)以上であることが好ましいと考えられた。
【0026】
以上説明したように、本実施形態のマニピュレータ1によれば、ヤング率120GPa以下の金属材料で第1鉗子片11及び第2鉗子片12が形成されているため、硬質の部材等を把持すると、把持面11A、12Aが当該部材の形状に合わせて弾性変形し、部材との接触面積が増加する。その結果、硬質の対象物であっても安定した状態で把持することができる。
【0027】
さらに、降伏応力が1500MPa以上の金属材料を選択することで、塑性変形を起こしにくく把持面の形状が変化しにくいマニピュレータとすることができる。その結果、把持操作を連続して行っても、安定して対象物を把持可能な耐久性の高いマニピュレータとすることができる。
【0028】
さらに、金属材料として金属ガラスを選択することで、寸法の小さな鉗子片であっても、射出成形や遠心鋳造等により容易かつ高精度に形成することができ、製造時間および製造コストを著しく低減して効率よく製造することができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態について、図10から図14を参照して説明する。本実施形態のマニピュレータ41と、第1実施形態のマニピュレータ1との異なるところは、把持面の形状である。なお、以降の説明において、既に説明したものと同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
図9は、マニピュレータ41の第1鉗子片42を示す図である。把持面43には、凹部44が形成されている。凹部44の幅方向の最大寸法D1、深さD2、底部の幅方向寸法D3等は、想定される把持対象物等によって適宜設定されてよい。例えば、本実施形態では、一般的な曲針を、その湾曲方向と把持面とが略直交するように把持した際も安定して把持できるように、把持面の寸法2mm×6mmに対して、上述のD1、D2、およびD3が、それぞれ1.6mm、0.5mm、0.5mmに設定されている。
また、図示を省略するが、もう一方の第2鉗子片も凹部44と同一形状の凹部を有するように形成されている。
【0031】
上記のように構成されたマニピュレータ41においては、曲針の湾曲方向が把持面と平行なときは、第1実施形態のマニピュレータ1とほぼ同様に好適に把持することができる。
また、曲針が軸線回りに回転して、湾曲方向が把持面と交差する方向を向いた際は、湾曲部分が凹部44内に収容されるとともに、凹部44の周縁は曲針の外周面に追随して変形し、好適に曲針を把持することができる。
【0032】
本実施形態では、曲針のような形状を有する対象物に対応した例として、把持面に凹部を形成した例を説明したが、把持面に形成する形状はこれに限られず、対象物の形状や物性等に応じて適宜設定することができる。
【0033】
例えば、図11に示す変形例のように、把持面43に把持面の長手方向に延びる溝50を複数形成し、長手方向に延びる突起51を複数把持面43に形成してもよい。また、図12に示す変形例のように、円筒状の微細な突起52を複数把持面43に形成してもよい。これらの突起51および52は、応力が集中することにより対象物の形状にさらに良好に追従するように弾性変形するため、複雑な形状の対象物であっても安定した把持を行うことができる。
突起51や突起52等の微細な形状は、一般的な切削等により形成するのは容易ではないが、鉗子片の材料として金属ガラスを用いると、射出成形や遠心鋳造等により容易に形成することができる。
【0034】
さらに、図13に示す変形例のように、把持面に形成された凹部53が幅方向にわたって連続するように形成されてもよい。このようにすると、一対の鉗子片を閉じたときでも、把持面間の一部に間隙が確保される。当該間隙の寸法等を、対象物に合わせて設定することにより、より安定した把持を行うことができる。このとき、図14に示す変形例のように、各鉗子片において、幅方向に延びる凹部54を把持面と反対側に形成し、一対の鉗子片が互いに離間する方向に変形しやすくしてもよい。凹部54の形成位置としては、凹部53よりも回動軸13寄りの位置とするのが好ましい。
【0035】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0036】
例えば、上述の各実施形態においては、鉗子片全体が所定の物性を有する金属材料で形成された例を説明したが、少なくとも対象物に接触する把持部がこのような物性を有していれば、上述の効果を奏することができる。したがって、把持部を構成する部分のみを金属材料で所定の物性を有するように形成し、ステンレス等で形成された残りの部位に取り付けることにより本発明のマニピュレータのアームが形成されてもよい。
また、上述の実施形態では、マニピュレーションシステム用のマニピュレータの例を説明したが、本発明の適用範囲はこれには限られず、術者が直接操作するタイプのマニピュレータに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、41 医療用マニピュレータ
11、42 第1鉗子片(アーム)
11A、12A、43 把持面(把持部)
12 第2鉗子片(アーム)
20 操作部材
51、52 突起
53 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用マニピュレータ、より詳しくは、生体に対する各種処置に用いられる医療用マニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の分野において、医療用マニピュレータが生体に対する各種処置に用いられている。
このような医療用マニピュレータとして、特許文献1には、開閉可能な鉗子部を備える把持鉗子が記載されている。通常、鉗子部はステンレス等の金属で形成されることが多い。
【0003】
医療用マニピュレータを用いて行う手技は様々あるが、その一つに曲針を用いた縫合処置がある。上記の把持鉗子を用いた縫合処置においては、縫合糸を掛けた曲針を鉗子部で把持して組織に刺入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−224246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縫合処置においては、曲針の先端の向きが重要であるため、鉗子部で曲針を把持したまま、曲針を軸線回りに回転させて先端の向きを調節する等の操作が行われる。しかし、鉗子部を形成するステンレス等の材料は、弾性に乏しいため、丸棒状の曲針とは線接触となりやすく、安定した把持は容易ではない。かといって確実に把持するために把持力量を大きくしすぎると、曲針の破損等の恐れがある。
ここでは一例として縫合処置を説明したが、縫合処置に限らず医療用マニピュレータを用いた手技の多くは、上述のような理由により術者に高度な熟練を要求するものとなっている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、対象物をより安定して把持することができる医療用マニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象物を把持する医療用マニピュレータであって、先端側に設けられ、開閉する一対のアームと、前記一対のアームの基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより前記一対のアームを開閉させる操作部材とを備え、前記一対のアームのうち、閉じる際に互いに接近して前記対象物と接触する把持部は、ヤング率が120ギガパスカル以下の金属材料で形成されていることを特徴とする。
【0008】
前記金属材料は、降伏応力が1500メガパスカル以上であってもよい。また、ガラス遷移領域が20度以上の金属ガラスであってもよい。
【0009】
前記把持部は、複数の突起を有してもよい。
また、前記一対のアームは、前記把持部が設けられた側と反対側に凹部を有してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の医療用マニピュレータによれば、対象物をより安定して把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の医療用マニピュレータの備えた医療用マニピュレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】同医療用マニピュレータの先端部を示す部分拡大図である。
【図3】同先端部を、一部断面で示す図である。
【図4】同医療用マニピュレータの使用時の動作を示す図である。
【図5】鉗子片の好適な物性を検討する実験の方法を説明する図である。
【図6】実験における評価範囲を説明する図である。
【図7】実験における、比較例の把持面の形状変化を示すグラフである。
【図8】実験における、実施例の把持面の形状変化を示すグラフである。
【図9】実験における、他の実施例の把持面の形状変化を示すグラフである。
【図10】本発明の第2実施形態の医療用マニピュレータにおける第1鉗子片を示す図である。
【図11】同医療用マニピュレータの変形例の第1鉗子片を示す図である。
【図12】同医療用マニピュレータの変形例の第1鉗子片を示す図である。
【図13】同医療用マニピュレータの変形例の先端部を示す図である。
【図14】同医療用マニピュレータの変形例の先端部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施形態について、図1から図9を参照して説明する。図1は、本実施形態の医療用マニピュレータ(以下、単に「マニピュレータ」と称する。)1を備えた医療用マニピュレーションシステム(以下、単に「システム」と称する。)100を示す図である。システム100は、モニタ101を有する制御装置102と、制御装置102に取り付けられたマスターアーム103と、患者Pの体腔内に挿入される処置部104とを備えている。処置部104は、体腔内を観察するための内視鏡105を有し、マニピュレータ1は、内視鏡105のチャンネルに挿入されている。術者Opがマスターアーム103を操作すると、マスターアーム103の位置および姿勢の情報が電気信号としてスレーブアームとしてのマニピュレータ1に送られ、マニピュレータ1の位置および姿勢に反映される。これにより、各種処置を行うことができる。
【0013】
図2は、マニピュレータ1の先端部10を示す部分拡大図である。マニピュレータ1は、体腔内で処置を行うための先端部10と、先端部10に接続された操作部材20と、操作部材20が挿通された本体部30とを備えている。
先端部10は、第1鉗子片11及び第2鉗子片12からなる一対の鉗子片(アーム)を備えており、マニピュレータ1は、いわゆる把持鉗子として構成されている。第1鉗子片11及び第2鉗子片12は、回動軸13で互いに回動可能に連結されており、回動軸13は、カバー部材14によって本体部30に保持されている。
なお、第1鉗子片11及び第2鉗子片12は非晶質合金である金属ガラスを用いて所定の物性を有するように形成されているが、これについては後述する。
【0014】
図3は、閉じた状態の先端部10を、一部断面で示す図である。操作部材20は、2本の操作ワイヤ20Aおよび20Bからなり、それぞれ第1鉗子片11及び第2鉗子片12の基端側に、各鉗子片に対して相対回動可能に接続されている。操作ワイヤ20A、20Bは、金属等の一定の剛性を有する材料で形成されている。操作ワイヤ20A、20Bは、第1鉗子片11及び第2鉗子片12に接続された先端側が図3に示すようにクランク状に曲げ加工されており、基端側は本体部30内を通って図示しないモータ等の駆動機構に接続されている。当該駆動機構を用いて2本の操作ワイヤ20A、20Bを軸線方向に進退させることにより、第1鉗子片11及び第2鉗子片12を開閉させることができる。
【0015】
本体部30の先端にはカバー部材14が固定されており、本体部30と回動軸13との相対位置関係はほぼ一定に保持されている。本体部30の内腔には、操作ワイヤ20A、20Bが挿通されている。
【0016】
第1鉗子片11及び第2鉗子片12は、非晶質合金である金属ガラスを用いた成形により形成されている。
非晶質合金とは、複数の金属元素が結晶構造を形成せずに凝固(アモルファス化)した合金のことである。非晶質合金は、複数の金属元素からなる金属材料の溶湯を、ガラス遷移温度以下になるまで急速冷却することにより形成される。非晶質合金は、通常の結晶金属に見受けられるような結晶粒界を有さず、結晶粒界を起因とした粒界腐食(結晶粒界に沿って腐食が進行する現象)を生じないことから、耐食性に優れている。
【0017】
非晶質合金の例としては、例えば、チタン(Ti)基合金、鉄(Fe)基合金、ジルコニウム(Zr)基合金、マグネシウム(Mg)基合金などを挙げることができる。
非晶質合金のうち、ガラス遷移領域(結晶化温度からガラス遷移温度を引いた値)が20℃以上である非晶質合金は、特に、金属ガラスと称される場合があり、本発明においても、金属ガラスとはこのような特性を有する非晶質合金を指す。
【0018】
金属ガラスは、結晶金属のような凝固収縮を生じないことから、成形金型に対する高精度な転写性を有し、さらにガラス遷移領域ではガラスのような熱間プレス加工も可能であることから、成形品の形状自由度、寸法精度、生産性に優れている。また、金属ガラスは、その物性として低ヤング率・高強度であり、さらに熱に対して低膨張である。
【0019】
金属ガラスで形成された第1鉗子片11及び第2鉗子片12は、低ヤング率であるため、曲針のような硬質の対象物を把持した際は、図4に示すように、第1鉗子片11及び第2鉗子片12のそれぞれにおいて、一対の鉗子片が閉じた際に曲針110と接触する把持面(把持部)11Aおよび12Aが曲針110の外面形状に対応して弾性変形する。その結果、第1鉗子片11及び第2鉗子片12と曲針110との接触面積が増加し、安定して曲針110等を把持することができる。
一方、金属ガラスは高強度であり、降伏応力が大きい。そのため、曲針110等を把持したときも塑性変形しにくく、第1鉗子片11及び第2鉗子片12を開くと、弾性変形した把持面11Aおよび12Aは、把持前の形状に良好に復帰する。したがって、つかみなおし等によって曲針等を何度も把持しても、把持面11Aおよび12Aに曲針等の形状が残ることはなく、安定した把持を繰り返すことができ、耐久性に優れたマニピュレータとすることができる。
【0020】
第1鉗子片11及び第2鉗子片12を形成する金属材料は、金属ガラスに限られるものではなく、所定の物性を有するものであれば上述した効果を奏する。そこで、上述した効果を好適に奏するヤング率および降伏応力の範囲を検討するため、第1鉗子片11及び第2鉗子片12を複数の金属材料で形成して実験を行った。以下に、各実施例および比較例の詳細と実験結果について記す。
【0021】
まず、実験に用いた実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12をZr系金属ガラスZr55Cu30Al10Ni5で形成し、操作部材として、各鉗子片にφ0.36ミリメートル(mm)のステンレス(SUS304)製ワイヤを接続した。把持面11Aおよび12Aの大きさは、いずれも幅2mm×長さ6mmとした。なお、上述の記載及び以降の記載において、金属ガラスの組成中の数字は、原子%(at%)を示す。
(実施例2)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12をTi系金属ガラスTi51Cu19Ni16.5Al7Zr3Si3B0.5で形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(実施例3)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12をZr系金属ガラスZr65Cu17.5Ni10Al7.5で形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(実施例4)
第1鉗子片11及び第2鉗子片12を金属ガラスでないチタン系合金Ti-18Nb-20Zr-1Al-1Cr-6Sn(数字は重量%)で形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(比較例1)
SUS304を用いて第1鉗子片11及び第2鉗子片12を形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
(比較例2)
ベリリウム銅(C1720)を用いて第1鉗子片11及び第2鉗子片12を形成した。操作部材および把持面11Aおよび12Aの大きさは、実施例1と同一とした。
【0022】
実験は、実験1と実験2との2種類行った。以下に、各実験方法について説明する。
(実験1)
実験1は、すべての実施例および比較例を対象にして行った。図5に示すように、SUS304製の棒状試料S(φ0.5mm、長さ20mm)を第1鉗子片11と第2鉗子片12との間に挟み、鉗子片間に5ニュートン(N)の力がかかるように操作部材20を牽引して棒状試料Sを把持した。
圧子120により、棒状試料Sの一方の端部Saに鉗子片の先端側から把持面と平行な力をかけつつ、他方の端部Sbの変位をセンサ121で計測した。圧子120に作用する反力をロードセルによってモニターし、棒状試料Sが把持された部位を中心に10度回転するまでの最大力量を把持力として評価した。
(実験2)
実験2は、実施例3、4、および比較例1を対象にして行った。棒状試料Sを挟んだ各例の鉗子片に対して、実験1と同様に鉗子片間に5Nの力がかかるように操作部材20を牽引し、棒状試料Sの把持操作を100回繰り返した。把持操作の前後において、図6に示すように、任意に選択した一方の鉗子片の把持面の長手方向中間部2mmの範囲で幅方向中央(図6中のL1)における断面形状を測定し、その変化を比較した。
実験1および2の結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1には、各実施例および比較例における金属材料のヤング率および降伏応力を示している。
実験1においては、いずれの実施例においても把持力は20N以上であり、棒状試料Sが良好に把持されていた。一方、比較例では、いずれも把持力は18N程度であり、充分でなかった。したがって、少なくともヤング率にして120ギガパスカル(GPa)以下の弾性を有することが必要と考えられた。
【0025】
図7から図9は、それぞれ比較例1、実施例4、および実施例3における把持面の断面形状を示すグラフである。いずれの例でも、把持操作前(図7(a)、図8(a)、図9(a))は把持面が概ね平坦であるが、比較例1においては、図7(b)に示すように、100回の把持操作後、把持面の顕著な変形が発生した。この変形は目視でも確認可能であり、把持操作により鉗子片が塑性変形を起こしたことによるものと推測された。実施例4においても、比較例1ほどではないものの、把持面に若干の変形が発生しており、塑性変形が発生していると推測された(図8(b))。
これに対し、実施例3では、図9(a)および図9(b)に示すように、把持操作の前後で把持面の形状に大きな変化はなく、塑性変形を起こしていないことが確認された。
3つの例における把持操作後の把持面の形状の違いは、主に金属材料の降伏応力の違いによるものと考えられ、把持面の塑性変形を好適に防止する観点からは、降伏応力が少なくとも1500メガパスカル(MPa)以上であることが好ましいと考えられた。
【0026】
以上説明したように、本実施形態のマニピュレータ1によれば、ヤング率120GPa以下の金属材料で第1鉗子片11及び第2鉗子片12が形成されているため、硬質の部材等を把持すると、把持面11A、12Aが当該部材の形状に合わせて弾性変形し、部材との接触面積が増加する。その結果、硬質の対象物であっても安定した状態で把持することができる。
【0027】
さらに、降伏応力が1500MPa以上の金属材料を選択することで、塑性変形を起こしにくく把持面の形状が変化しにくいマニピュレータとすることができる。その結果、把持操作を連続して行っても、安定して対象物を把持可能な耐久性の高いマニピュレータとすることができる。
【0028】
さらに、金属材料として金属ガラスを選択することで、寸法の小さな鉗子片であっても、射出成形や遠心鋳造等により容易かつ高精度に形成することができ、製造時間および製造コストを著しく低減して効率よく製造することができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態について、図10から図14を参照して説明する。本実施形態のマニピュレータ41と、第1実施形態のマニピュレータ1との異なるところは、把持面の形状である。なお、以降の説明において、既に説明したものと同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
図9は、マニピュレータ41の第1鉗子片42を示す図である。把持面43には、凹部44が形成されている。凹部44の幅方向の最大寸法D1、深さD2、底部の幅方向寸法D3等は、想定される把持対象物等によって適宜設定されてよい。例えば、本実施形態では、一般的な曲針を、その湾曲方向と把持面とが略直交するように把持した際も安定して把持できるように、把持面の寸法2mm×6mmに対して、上述のD1、D2、およびD3が、それぞれ1.6mm、0.5mm、0.5mmに設定されている。
また、図示を省略するが、もう一方の第2鉗子片も凹部44と同一形状の凹部を有するように形成されている。
【0031】
上記のように構成されたマニピュレータ41においては、曲針の湾曲方向が把持面と平行なときは、第1実施形態のマニピュレータ1とほぼ同様に好適に把持することができる。
また、曲針が軸線回りに回転して、湾曲方向が把持面と交差する方向を向いた際は、湾曲部分が凹部44内に収容されるとともに、凹部44の周縁は曲針の外周面に追随して変形し、好適に曲針を把持することができる。
【0032】
本実施形態では、曲針のような形状を有する対象物に対応した例として、把持面に凹部を形成した例を説明したが、把持面に形成する形状はこれに限られず、対象物の形状や物性等に応じて適宜設定することができる。
【0033】
例えば、図11に示す変形例のように、把持面43に把持面の長手方向に延びる溝50を複数形成し、長手方向に延びる突起51を複数把持面43に形成してもよい。また、図12に示す変形例のように、円筒状の微細な突起52を複数把持面43に形成してもよい。これらの突起51および52は、応力が集中することにより対象物の形状にさらに良好に追従するように弾性変形するため、複雑な形状の対象物であっても安定した把持を行うことができる。
突起51や突起52等の微細な形状は、一般的な切削等により形成するのは容易ではないが、鉗子片の材料として金属ガラスを用いると、射出成形や遠心鋳造等により容易に形成することができる。
【0034】
さらに、図13に示す変形例のように、把持面に形成された凹部53が幅方向にわたって連続するように形成されてもよい。このようにすると、一対の鉗子片を閉じたときでも、把持面間の一部に間隙が確保される。当該間隙の寸法等を、対象物に合わせて設定することにより、より安定した把持を行うことができる。このとき、図14に示す変形例のように、各鉗子片において、幅方向に延びる凹部54を把持面と反対側に形成し、一対の鉗子片が互いに離間する方向に変形しやすくしてもよい。凹部54の形成位置としては、凹部53よりも回動軸13寄りの位置とするのが好ましい。
【0035】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態の構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0036】
例えば、上述の各実施形態においては、鉗子片全体が所定の物性を有する金属材料で形成された例を説明したが、少なくとも対象物に接触する把持部がこのような物性を有していれば、上述の効果を奏することができる。したがって、把持部を構成する部分のみを金属材料で所定の物性を有するように形成し、ステンレス等で形成された残りの部位に取り付けることにより本発明のマニピュレータのアームが形成されてもよい。
また、上述の実施形態では、マニピュレーションシステム用のマニピュレータの例を説明したが、本発明の適用範囲はこれには限られず、術者が直接操作するタイプのマニピュレータに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、41 医療用マニピュレータ
11、42 第1鉗子片(アーム)
11A、12A、43 把持面(把持部)
12 第2鉗子片(アーム)
20 操作部材
51、52 突起
53 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を把持する医療用マニピュレータであって、
先端側に設けられ、開閉する一対のアームと、
前記一対のアームの基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより前記一対のアームを開閉させる操作部材と、
を備え、
前記一対のアームのうち、閉じる際に互いに接近して前記対象物と接触する把持部は、ヤング率が120ギガパスカル以下の金属材料で形成されていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
【請求項2】
前記金属材料は、降伏応力が1500メガパスカル以上であることを特徴とする請求項1に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項3】
前記金属材料は、ガラス遷移領域が20度以上の金属ガラスであることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項4】
前記把持部は、複数の突起を有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項5】
前記一対のアームは、前記把持部が設けられた側と反対側に凹部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項1】
対象物を把持する医療用マニピュレータであって、
先端側に設けられ、開閉する一対のアームと、
前記一対のアームの基端側に接続され、軸線方向に進退させることにより前記一対のアームを開閉させる操作部材と、
を備え、
前記一対のアームのうち、閉じる際に互いに接近して前記対象物と接触する把持部は、ヤング率が120ギガパスカル以下の金属材料で形成されていることを特徴とする医療用マニピュレータ。
【請求項2】
前記金属材料は、降伏応力が1500メガパスカル以上であることを特徴とする請求項1に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項3】
前記金属材料は、ガラス遷移領域が20度以上の金属ガラスであることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項4】
前記把持部は、複数の突起を有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
【請求項5】
前記一対のアームは、前記把持部が設けられた側と反対側に凹部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療用マニピュレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−50691(P2012−50691A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195763(P2010−195763)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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