説明

半導体装置の検査方法

【課題】本発明は、半導体装置を固定すると共に、移動可能な構成とされた半導体装置用ステージと、プローブピンをクリーニングするクリーニングステージとを備えた検査装置を用いた半導体装置の検査方法に関し、半導体装置の電気的検査を精度良く行うことを課題とする。
【解決手段】半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所の鉛直方向の第1の位置に対する半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所の鉛直方向の第2の位置のずれ量を検出するずれ量検出手段35により検出されたずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の検査方法に係り、特に半導体装置を固定すると共に、移動可能な構成とされた半導体装置用ステージと、プローブピンをクリーニングするクリーニングステージとを備えた検査装置を用いた半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の検査装置の断面図である。図12において、Y1,Y1方向は鉛直方向、X1,X1方向は鉛直方向と直交する面方向をそれぞれ示している。
【0003】
図12を参照するに、従来の検査装置200は、プローバー201と、テスタ202とを有する。プローバー201は、筐体204と、ヘッドプレート205と、半導体装置用ステージ206と、温度制御手段207と、支持体209と、クリーニングステージ211と、クリーニングシート212と、プローブカードホルダー213と、プローブカード215と、コンタクトリング219と、テストヘッド221とを有する。
【0004】
筐体204は、半導体装置用ステージ206やクリーニングステージ211等を収容するためのものである。筐体204の上端部は、開放端とされている。ヘッドプレート205は、筐体204に対して開閉可能な状態で筐体204の上端部に設けられている。ヘッドプレート205は、コンタクトリング219を保持するためのものである。
【0005】
半導体装置用ステージ206は、半導体装置208(半導体基板上に複数の半導体集積回路が形成されたもの)を固定するためのものである。半導体装置用ステージ206は、X1,X1方向及びY1,Y1方向に移動可能な構成とされている。温度制御手段207は、半導体装置用ステージ206に内蔵されている。温度制御手段207は、半導体装置用ステージ206を介して、半導体装置208を所定の温度に加熱または冷却するためのものである。
【0006】
支持体209は、X1,X1方向及びY1,Y1方向に移動可能な構成とされている。支持体209は、クリーニングステージ211を支持するためのものである。クリーニングステージ211は、支持体209の上端部に固定されている。クリーニングステージ211は、半導体装置用ステージ206の近傍に配置されている。クリーニングステージ211は、支持体209がX1,X1方向及び/またはY1,Y1方向に移動した際、支持体209と一体的に移動する。
【0007】
クリーニングシート212は、クリーニングステージ211の上面211Aに設けられている。クリーニングシート212は、プローブピン218の先端(半導体装置208と接触する部分)を削ってプローブピン218のクリーニングを行うためのものである。プローブカードホルダー213は、ヘッドプレート205の下方に設けられている。プローブカードホルダー213は、プローブカード215を保持するためのものである。
【0008】
プローブカード215は、プローブカードホルダー213に着脱可能に装着されている。プローブカード215は、コンタクトリング219の下方に配置されている。プローブカード215は、支持基板216と、配線パターン217と、プローブピン218とを有する。
【0009】
支持基板216は、板状とされており、配線パターン217及びプローブピン218を配設するためのものである。配線パターン217は、支持基板216を貫通すると共に、支持基板216の両面に亘って設けられている。配線パターン217は、コンタクトリング219の接続ピンと電気的に接続されている。プローブピン218は、支持基板216の下面側に複数設けられている。プローブピン218は、配線パターン217と電気的に接続されている。検査装置200により半導体装置208の電気的な検査を行う際、プローブピン218は、半導体装置208に設けられた半導体集積回路のパッド(図示せず)と接触される。
【0010】
コンタクトリング219は、ヘッドプレート205に保持されている。コンタクトリング219は、プローブカード215とテストヘッド221との間において信号の授受が可能なように、電気的信号の中継を行なうためのものである。
【0011】
テストヘッド221は、コンタクトリング219上に配置されている。テストヘッド221は、コンタクトリング219及びテスタ202と電気的に接続されている。
【0012】
テスタ202は、テストヘッド221と電気的に接続されている。テスタ202は、プローバー201の制御全般を行う。具体的には、テスタ202は、例えば、半導体装置用ステージ206及びクリーニングステージ211の移動方向及び移動量の制御や、半導体装置用ステージ206の上面206A及びクリーニングステージ211の上面211Aの傾きの制御等を行う。テスタ202は、予めテスタ202内に格納されたプログラムに従って、プローバー201を駆動させて半導体装置208の電気的検査を行う。
【0013】
このような構成とされた従来の検査装置200は、温度制御手段207により半導体装置208の温度を所定の温度に保持した状態で、半導体装置208の電気的検査を行う。
【0014】
また、検査装置200では、検査装置200の導入時に検査装置200の製造元が検査装置200の立ち上げ(検査装置200に電源等のユーティリティを接続して使用可能な状態とする行為)を行うときにのみ、ダイヤルゲージやデジタルインジケータ等を用いて、半導体装置用ステージ206の上面206A及びクリーニングステージ211の上面211Aの傾きを検出し、半導体装置用ステージ206の上面206A及びクリーニングステージ211の上面211Aが略水平となるように調整を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−144892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の検査装置200では、検査装置200の製造元が検査装置200の導入時にのみ、半導体装置用ステージ206の上面206Aが略水平となるように調整を行っていたため、時間の経過と共に、半導体装置用ステージ206の上面206Aに傾きが生じて、半導体装置208の電気的検査を精度よく行うことが困難であるという問題があった。
【0016】
また、従来の検査装置200では、検査装置200の製造元が検査装置200の導入時にのみ、クリーニングステージ211の上面211Aが略水平となるように調整を行っていたため、時間の経過と共に、クリーニングステージ211の上面211Aが傾いた場合には、複数のプローブピン218の先端の削れ量が異なってしまう。これにより、プローブピン218と半導体集積回路のパッド(図示せず)との間で接触不良が発生して、半導体装置208の電気的検査を精度よく行うことが困難であるという問題があった。
【0017】
さらに、半導体装置208を所定の温度に加熱または冷却して半導体装置208の電気的検査を行う場合、熱の影響により常温時の半導体装置用ステージ206の上面206Aよりも半導体装置用ステージ206の上面206Aの傾きが大きくなってしまう。これにより、プローブピン218と半導体集積回路のパッド(図示せず)との間で接触不良が発生して、半導体装置208の電気的検査を精度よく行うことが困難であるという問題があった。
【0018】
また、半導体装置208を所定の温度に加熱または冷却して半導体装置208の電気的検査を行う場合、半導体装置用ステージ206の近傍に配置されたクリーニングステージ211に温度勾配が生じて、クリーニングステージ211の上面211Aが傾いてしまう。これにより、複数のプローブピン218の先端の削れ量が異なってしまうため、プローブピン218と半導体集積回路のパッド(図示せず)との間で接触不良が発生して、半導体装置208の電気的検査を精度よく行うことが困難であるという問題があった。
【0019】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体装置の電気的検査を精度良く行うことのできる半導体装置の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一観点によれば、半導体装置(20)を固定すると共に、移動可能な構成とされた半導体装置用ステージ(17)と、プローブカード(31)のプローブピン(49)をクリーニングするクリーニングステージ(23)と、
前記半導体装置用ステージ(17)の上面(17A)及び/または前記クリーニングステージ(23)の上面(23A)の所定の場所の鉛直方向の第1の位置に対する前記半導体装置用ステージ(17)の上面(17A)及び/または前記クリーニングステージ(23)の上面(23A)の他の場所の前記鉛直方向の第2の位置のずれ量を検出するずれ量検出手段(35)と、を備えた検査装置(10)を用いた半導体装置(20)の検査方法であって、前記ずれ量検出手段(35)により検出された前記ずれ量に基づいて、前記半導体装置用ステージ(17)の上面(17A)及び/または前記クリーニングステージ(23)の上面(23A)が略水平となるように調整することを特徴とする半導体装置(20)の検査方法が提供される。
【0021】
本発明によれば、ずれ量検出手段(35)により検出されたずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ(17)の上面(17A)及び/またはクリーニングステージ(23)の上面(23A)が略水平となるように調整することにより、プローブピン(49)と半導体装置(20)との間における接触不良がなくなるため、半導体装置(20)の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0022】
なお、上記参照符号は、あくまでも参考であり、これによって、本願発明が図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、半導体装置の電気的検査を精度良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の断面図である。図1において、Y,Y方向は鉛直方向、X,X方向は鉛直方向に直交する面方向をそれぞれ示している。
【0026】
始めに、図1を参照して、半導体装置20の電気的な検査を行う際に使用する検査装置10について説明する。検査装置10は、プローバー11と、テスタ12とを有した構成とされている。プローバー11は、筐体14と、駆動装置15,21と、支持体16,22と、半導体装置用ステージ17と、温度制御手段18と、クリーニングステージ23と、クリーニングシート25と、ヘッドプレート26と、ホルダー支持体27と、プローブカードホルダー28と、プローブカード31と、コンタクトリング32と、テストヘッド33と、ずれ量検出手段35とを有する。
【0027】
筐体14は、駆動装置15,21、支持体16,22、半導体装置用ステージ17、クリーニングステージ23、及びずれ量検出手段35等を収容するためのものである。筐体14の上端部は、開放端とされている。
【0028】
駆動装置15は、筐体14の底部に設けられている。駆動装置15は、支持体16を介して、半導体装置用ステージ17をX,X方向及び/又はY,Y方向に移動させるための装置である。支持体16は、駆動装置15上に設けられている。支持体16は、半導体装置用ステージ17を支持するためのものである。
【0029】
半導体装置用ステージ17は、支持体16の上端部に固定されている。半導体装置用ステージ17は、半導体装置20を固定するためのものである。半導体装置用ステージ17は、駆動装置15により支持体16が移動させられた際、支持体16と一体的に移動する。半導体装置20は、例えば、SiやGa−As等の材料からなる半導体基板上に複数の半導体集積回路が形成されたものである。半導体集積回路は、半導体装置20の電気的な検査時にプローブピン49の先端部が接触するパッド(図示せず)を有する。
【0030】
温度制御手段18は、半導体装置用ステージ17に内蔵されている。温度制御手段18は、半導体装置20の温度が所定の温度Txとなるように半導体装置用ステージ17を加熱又は冷却するためのものである。所定の温度Txとは、半導体装置20の電気的な検査を行う際の半導体装置20の温度のことである。温度制御手段18は、常温よりも高い温度で半導体装置20を検査する場合には半導体装置用ステージ17を加熱し、常温よりも低い温度で半導体装置20を検査する場合には半導体装置用ステージ17を冷却する。
【0031】
駆動装置21は、筐体14の底部に設けられている。駆動装置21は、支持体22を介して、クリーニングステージ23をX,X方向及び/又はY,Y方向に移動させるための装置である。支持体22は、駆動装置21上に設けられている。支持体22は、クリーニングステージ23を支持するためのものである。
【0032】
クリーニングステージ23は、支持体22の上端部に固定されている。クリーニングステージ23は、駆動装置21により支持体22がX,X方向及び/又はY,Y方向に移動させられた際、支持体22と一体的に移動する。
【0033】
クリーニングシート25は、クリーニングステージ23の上面23Aに貼り付けられている。クリーニングシート25は、プローブピン49の先端部(半導体集積回路のパッド(図示せず)と接触する部分)を削って、プローブピン49の先端部をクリーニングするためのシートである。
【0034】
ヘッドプレート26は、ヘッドプレート本体37と、コンタクトリング装着部38とを有する。ヘッドプレート本体37は、筐体14の上端部に設けられている。ヘッドプレート本体37は、筐体14に対して開閉可能な構成とされている。コンタクトリング装着部38は、ヘッドプレート本体37の中央付近を貫通するようにヘッドプレート本体37に形成されている。コンタクトリング装着部38は、コンタクトリング32をヘッドプレート本体37に装着するためのものである。また、筐体14内の空間は、コンタクトリング32が装着されたヘッドプレート26が筐体14の上端部を塞ぐことで密閉される。
【0035】
ホルダー支持体27は、ヘッドプレート本体37の下面37Aに設けられている。ホルダー支持体27は、プローブカードホルダー28を支持するためのものである。
【0036】
プローブカードホルダー28は、ホルダー本体41と、プローブカード装着部42とを有する。ホルダー本体41は、ホルダー支持体27に支持されている。プローブカード装着部42は、ホルダー本体41の中央付近を貫通するようにホルダー本体41に設けられている。プローブカード装着部42は、プローブカード31をホルダー本体41に装着するためのものである。
【0037】
プローブカード31は、プローブカード装着部42に着脱可能に装着されている。プローブカード31は、支持基板47と、配線パターン48A,48Bと、複数のプローブピン49とを有する。支持基板47は、板状とされており、貫通孔51A,51Bを有する。配線パターン48Aは、貫通孔51Aを充填すると共に、支持基板47の両面に亘って設けられている。配線パターン48Aは、コンタクトリング32の接続ピン44Aと接触している。配線パターン48Bは、貫通孔51Bを充填すると共に、支持基板47の両面に亘って設けられている。配線パターン48Bは、コンタクトリング32の接続ピン44Bと接触している。これにより、プローブカード31は、テスタ12、コンタクトリング32、及びテストヘッド33と電気的に接続されている。プローブピン49は、支持基板47の下面側に設けられている。プローブピン49は、配線パターン48Aまたは配線パターン48Bと接続されている。これにより、プローブピン49は、配線パターン48Aまたは配線パターン48Bと電気的に接続される。
【0038】
プローブカード31は、半導体装置20に設けられた半導体集積回路のパッド(図示せず)に、プローブピン49の先端部を押し当てて、半導体集積回路のパッド(図示せず)に電気信号を入出力するための検査用治具である。
【0039】
コンタクトリング32は、コンタクトリング装着部38に着脱可能な状態で装着されている。コンタクトリング32は、コンタクトリング本体43と、接続ピン44A,44B,45A,45Bとを有する。コンタクトリング本体43は、接続ピン44A,44B,45A,45Bを介して、プローブカード31及びテストヘッド33と電気的に接続されている。コンタクトリング本体43は、プローブカード31と、テストヘッド33との間のデータ(信号)の中継をするためのものである。
【0040】
接続ピン44A,44Bは、コンタクトリング本体43の下面側に設けられている。接続ピン44A,44Bは、コンタクトリング本体43の下面から突出している。接続ピン44Aは、入力用の接続ピンであり、接続ピン44Bは、出力用の接続ピンである。接続ピン44Aは、配線パターン48Aと接触しており、接続ピン44Bは、配線パターン48Bと接触している。
【0041】
接続ピン45A,45Bは、コンタクトリング本体43の上面側に設けられている。接続ピン45Aは、入力用の接続ピンであり、接続ピン45Bは、出力用の接続ピンである。接続ピン45A,45Bは、コンタクトリング本体43の上面から突出しており、テストヘッド33と電気的に接続されている。また、接続ピン45Aは接続ピン44Aと電気的に接続されており、接続ピン45Bは接続ピン44Bと電気的に接続されている。
【0042】
テストヘッド33は、コンタクトリング32上に設けられており、コンタクトリング32と電気的に接続されている。テストヘッド33は、テスタ12と電気的に接続されている。テストヘッド33は、テスタ12から送信される半導体装置20の検査条件を受信し、コンタクトリング32を介して、プローブカード31に受信した検査条件を与えるためのものである。
【0043】
ずれ量検出手段35は、筐体14内に収容されており、テスタ12と電気的に接続されている。ずれ量検出手段35は、駆動装置53と、支持体54と、測定部55とを有する。駆動装置53は、筐体14の内壁に設けられている。駆動装置53は、支持体54をX,X方向及び/またはY,Y方向に移動させるための装置である。支持体54は、一方の端部が駆動装置53と接続されており、他方の端部が測定部55と接続されている。支持体54は、伸縮自在な構成とされている。支持体54は、測定部55を支持すると共に、測定部55を所望の位置に移動させるためのものである。
【0044】
図2は、第1の実施の形態のずれ量検出手段の測定部を示す図であり、図3は、第1の実施の形態のずれ量検出手段がステージの上面のずれ量を検出している様子を模式的に示した図である。図2及び図3において、図1に示す検査装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0045】
図2を参照するに、測定部55は、測定部本体57と、ステム58と、スピンドル59と、測定子61と、測定用針62とを有する。測定部本体57は、支持体54により支持されている。測定部本体57は、スピンドル59をY,Y方向に移動させる駆動部(図示せず)を内蔵している。ステム58は、スピンドル59の一部を収容すると共に、スピンドル59がX,X方向に移動することを防止するためのものである。スピンドル59は、その一部がステム58に収容されている。スピンドル59は、Y,Y方向に移動可能な構成とされている。測定子61は、スピンドル59の一方の端部に設けられている。
【0046】
測定用針62は、測定子61に設けられている。測定用針62は、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所(例えば、半導体装置用ステージ17の場合は上面17Aの中心、クリーニングステージ23の場合は上面23Aの中心)の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置に対する半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所の鉛直方向(Y,Y方向)の第2の位置のずれ量を検出するためのものである。測定用針62は、ずれ量を検出する際、ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aと接触する(図3参照)。
【0047】
なお、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置は、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所の鉛直方向(Y,Y方向)の第2の位置を検出する前に、ずれ量検出手段35により求める。
【0048】
測定用針62の直径R1は、測定子61の直径よりも小さい。測定用針62の直径R1は、例えば、20μm〜50μmとすることができる。測定用針62の材料としては、例えば、ReW(レニウムタングステン)やWを用いることができる。
【0049】
このように、測定子61に測定子61の直径よりも小さい直径R1を有した測定用針62を半導体装置用ステージ17に対して垂直に設けることにより、オーバードライブ量の精度が向上するため、ずれ量を精度よく検出することができる。
【0050】
なお、測定部55としては、例えば、ダイヤルゲージやデジタルインジケータの測定子に測定用針62を設けたものを用いることができる。また、測定部55としては、検出誤差が2μm以下のダイヤルゲージまたはデジタルインジケータを用いるとよい。
【0051】
上記構成とされたずれ量検出手段35は、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所(例えば、半導体装置用ステージ17の場合は上面17Aの中心、クリーニングステージ23の場合は上面23Aの中心)の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置に対する半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所(通常、複数の場所)の鉛直方向(Y,Y方向)の第2の位置のずれ量を検出する。ずれ量検出手段35は、検出した半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量をテスタ12に送信する。
【0052】
次に、図1を参照して、テスタ12について説明する。テスタ12は、テストヘッド33と電気的に接続されており、記憶部12Aと、制御部12Bとを有する。記憶部12Aは、制御部12Bと電気的に接続されている。記憶部12Aには、半導体装置20を検査する際の検査条件、ずれ量検出手段35が測定する半導体装置用ステージ17の上面17A及びクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所及び他の場所に関するマップ(測定場所の座標情報)等が格納されている。
【0053】
制御部12Bは、プローバー11の制御全般を行う。例えば、駆動装置15を介して半導体装置用ステージ17の移動方向及び移動量を制御したり、駆動装置21を介してクリーニングステージ23の移動方向及び移動量を制御したり、駆動装置53を介して測定部55の移動方向及び移動量を制御したりする。
【0054】
また、制御部12Bは、ずれ量検出手段35から送信されるずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整する。
【0055】
さらに、制御部12Bは、記憶部12Aに格納された検査条件に基づいて、プローバー11を制御して半導体装置20の電気的検査を行う。
【0056】
本実施の形態の検査装置によれば、筐体14の内壁にずれ量検出手段35を設け、ずれ量検出手段35から送信される半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うことにより、半導体装置20の電気的な検査を行う際、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0057】
また、ずれ量検出手段35から送信されるクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行うことにより、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0058】
さらに、半導体装置20を検査する所定の温度Txに半導体装置用ステージ17を加熱または冷却した後に、ずれ量検出手段35により半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出し、この検出したずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うことにより、所定の温度Txに加熱又は冷却された半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0059】
また、半導体装置20を検査する所定の温度Txに半導体装置用ステージ17を加熱または冷却した後に、ずれ量検出手段35によりクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出し、この検出したずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行うことにより、クリーニングステージ23が半導体装置用ステージ17の温度の影響を受けた場合でも、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、クリーニングステージ23を備えた検査装置10を例に挙げて説明したが、クリーニングステージ23を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段35を設けてもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0061】
また、温度制御手段18を備えていない検査装置に、本実施の形態のずれ量検出手段35を設けてもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態では、ずれ量検出手段35に測定用針62を設けた場合を例に挙げて説明したが、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aに測定子61を直接接触させた場合でも、ずれ量を検出することは可能である。
【0063】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の検査方法を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。
【0064】
図4を参照して、上記構成とされた検査装置10を用いて、所定の温度Txに加熱又は冷却された半導体装置20を検査する場合を例に挙げて、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置20の検査方法について説明する。
【0065】
図4に示す処理が起動されると、STEP71では、半導体装置20を検査する温度(所定の温度Tx)となるように、温度制御手段18により半導体装置用ステージ17を加熱又は冷却する。
【0066】
続く、STEP72では、ずれ量検出手段35により、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所(例えば、半導体装置用ステージ17の場合は上面17Aの中心、クリーニングステージ23の場合は上面23Aの中心)の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置を基準としたときの、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所の鉛直方向(Y,Y方向)の第2の位置のずれ量を検出する。ずれ量検出手段35が検出した半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量、及びクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量はテスタ12に送信され、処理はSTEP73に進む。なお、STEP72では、クリーニングステージ23の上面23Aにクリーニングシート25を貼り付けた状態で、クリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出する。
【0067】
STEP73では、半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うと共に、クリーニングステージ23の上面23Aのずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行う。
【0068】
続く、STEP74では、複数のプローブピン49の先端部をクリーニングシート25に接触させてプローブピン49をクリーニングする。
【0069】
このように、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整した後に、複数のプローブピン49をクリーニングすることで、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となり、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0070】
次いで、STEP75では、半導体装置用ステージ17上に半導体装置20を固定する。続く、STEP76では、半導体装置20の温度が所定の温度Txとなるように、温度制御手段18により半導体装置20を加熱又は冷却する。
【0071】
次いで、STEP77では、テスタ12の制御部12Bにより、半導体装置20の温度が所定の温度Txに到達したか否かの判定が行なわれる。半導体装置20の温度が所定の温度Txに到達していないと判定された場合(Noの場合)、処理はSTEP76に戻る。また、半導体装置20の温度が所定の温度Txに到達したと判定された場合(Yesの場合)、処理はSTEP78に進む。
【0072】
次いで、STEP78では、テスタ12の記憶部12Aに記憶された検査条件に基づいて、半導体装置20の電気的検査を行う。続く、STEP79では、半導体装置20に設けられた全ての半導体集積回路の電気的検査が終了したか否かの判定が行なわれる。半導体装置20に設けられた全ての半導体集積回路の電気的検査が終了していないと判定された場合(Noの場合)、処理はSTEP78に戻る。また、半導体装置20に設けられた全ての半導体集積回路の電気的検査が終了したと判定された場合(Yesの場合)、処理は終了する。
【0073】
本実施の形態に係る半導体装置の検査方法によれば、ずれ量検出手段35により、半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出し、このずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うことにより、半導体装置20の電気的検査を行う際、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0074】
また、ずれ量検出手段35により、クリーニングステージ23の上面23Aを検出し、このずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行うことにより、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0075】
さらに、半導体装置20を検査する所定の温度Txに半導体装置用ステージ17を加熱または冷却した後に、ずれ量検出手段35により半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出し、この検出したずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うことにより、所定の温度Txに加熱又は冷却された半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0076】
また、半導体装置20を検査する所定の温度Txに半導体装置用ステージ17を加熱または冷却した後に、ずれ量検出手段35によりクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出し、この検出したずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行うことにより、クリーニングステージ23が半導体装置用ステージ17の温度の影響を受けた場合でも、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0077】
なお、本実施の形態の半導体装置の検査方法では、半導体装置20の電気的検査を行う前に、プローブピン49のクリーニングを行う場合を例に挙げて説明したが、検査する半導体集積回路の数が多い場合には、STEP78とSTEP79の工程において、再度、プローブピン49のクリーニングを行ってもよい。また、検査装置10の使用頻度が低い場合には、半導体装置20の電気的検査を行う前に、必ずプローブピン49のクリーニングを行う必要はなく、例えば、所定期間(例えば、1ヶ月)経過後にプローブピン49のクリーニングを行ってもよい。
【0078】
また、本実施の形態の半導体装置の検査方法では、クリーニングステージ23を備えた検査装置10を用いた場合を例に挙げて説明したが、クリーニングステージ23を備えていない検査装置にずれ量検出手段35を設けて、半導体装置20の検査を行ってもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0079】
さらに、温度制御手段18を備えていない検査装置にずれ量検出手段35を設けて、半導体装置20の検査を行ってもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0080】
また、本実施例では、制御部12Bによって、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整しているが、ずれ量検出手段35から送信されるずれ量に基づいて、マニュアル操作で半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整してもよい。
【0081】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る検査装置の断面図である。図5において、第1の実施の形態の検査装置10と同一構成部分には同一符号を付す。また、図5では、ずれ量検出手段72が半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出している状態を模式的に示している。
【0082】
図5を参照するに、第2の実施の形態の検査装置70は、テスタ12と、プローバー71とを有する。プローバー71は、第1の実施の形態で説明したプローバー11(図1参照)に設けられたずれ量検出手段35の代わりに、ずれ量検出手段72を設けた以外はプローバー11と同様に構成される。
【0083】
図6は、第2の実施の形態のずれ量検出手段の断面図である。
【0084】
図5及び図6を参照して、ずれ量検出手段72について説明する。ずれ量検出手段72は、プローブカード装着部42に着脱可能に装着されている。ずれ量検出手段72は、支持基板73と、入力用端子75と、出力用端子76と、支持部材77,82と、支持板78,83と、金属膜84と、配線85,93と、ばね87と、測定用針88と、測定用針位置規制部材91,92とを有する。
【0085】
支持基板73は、入力用端子75、出力用端子76、及び支持部材77を配設するためのものである。支持基板73は、板状とされており、その中央付近に凹部95が形成されている。支持基板73の厚さM1は、例えば、3.2mmとすることができる。
【0086】
入力用端子75は、支持基板73の上面73Aに設けられている。入力用端子75は、コンタクトリング32の接続ピン44Aと接触している。入力用端子75は、配線85を介して、支持板83に設けられた金属膜84と電気的に接続されている。ずれ量検出手段72が半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出する際、入力用端子75には、接続ピン44Aを介して、所定の電圧Vinが入力される。
【0087】
出力用端子76は、支持基板73の上面73Aに設けられている。出力用端子76は、コンタクトリング32の接続ピン44Bと接触している。出力用端子76は、配線93を介して、導電性を有した測定用針位置規制部材92と電気的に接続されている。金属膜84と測定用針位置規制部材92とが接触している状態において、入力用端子75に所定の電圧Vinが入力された際、出力用端子76は所定の電圧Vinを出力し、その出力結果がテスタ12に送信される。また、金属膜84と測定用針位置規制部材92とが接触していない状態(金属膜84から測定用針位置規制部材92が離間した状態)において、入力用端子75に所定の電圧Vinが入力された際、出力用端子76から電圧は出力されない。
【0088】
支持部材77は、その一方の端部が支持基板73の下面73Bと接続されており、他方の端部が支持板78の上面78Aと接続されている。支持部材77は、支持板78を支持するための部材である。支持部材77の材料としては、例えば、セラミックを用いることができる。また、支持基板77の厚さM2は、例えば、1mmとすることができる。
【0089】
支持板78は、支持部材77と支持部材83との間に配置されており、支持部材77,82と接続されている。支持板78は、その中心付近に貫通孔81を有する。貫通孔81は、測定用針88を挿入するためのものである。凹部95の底面95Aから支持板78の上面78Aまでの距離D1は、例えば、3mmとすることができる。
【0090】
支持部材82は、その一方の端部が支持板78の下面78Bと接続されており、他方の端部が支持板83の上面83Aと接続されている。支持部材82は、支持板83を支持するための部材である。支持基板82の高さH1は、例えば、2mmとすることができる。
【0091】
支持板83は、支持板78の下方に設けられている。支持板83の上面83Aは、支持部材82と接続されている。支持板83は、その中央付近に貫通孔83Bを有する。貫通孔83Bは、測定用針88を挿入するためのものである。支持板83の厚さM3は、例えば、1mmとすることができる。
【0092】
金属膜84は、貫通孔83Bの側壁を覆うと共に支持板83の両面83A,83Bに亘って設けられている。金属膜84は、配線85を介して、入力用端子75と電気的に接続されている。金属膜84は、例えば、めっき法により形成することができる。
【0093】
配線85は、一方の端部が入力用端子75と接続されており、他方の端部が金属膜84と接続されている。配線85は、入力用端子75と金属膜84とを電気的に接続するためのものである。
【0094】
ばね87は、凹部95の底面95Aと測定用針88との間に設けられている。ばね87の一方の端部は、凹部95の底面95Aと接続されており、他方の端部は測定用針88の端部と接続されている。ばね87は、測定用針88を下方に押圧するためのものである。
【0095】
測定用針88は、針本体88Aと、接触部88Bとを有する。針本体88Aは、貫通孔81,83Bを通過するように配設されている。針本体88Aの上端部は、ばね87と接続されている。接触部88Bは、針本体88Aの下端部に設けられている。接触部88Bは、針本体88Aよりも直径の小さい棒状とされている。接触部88Bは、ずれ量検出手段72が半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出するときに、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aと直接接触する部分である。接触部88Bの直径R2は、例えば、20μm〜50μmとすることができる。接触部88Bの材料としては、例えば、ReW(レニウムタングステン)やWを用いることができる。
【0096】
このように、針本体88Aに針本体88Aの直径よりも小さい直径R2を有した接触部88Bを半導体装置用ステージ17に対して垂直に設けることにより、オーバードライブ量の精度が向上するため、ずれ量を精度よく検出することができる。
【0097】
上記構成とされた測定用針88は、接触部88Bが半導体装置用ステージ17の上面17Aまたはクリーニングステージ23の上面23Aと接触した後に、上方に移動する。
【0098】
測定用針位置規制部材91は、ばね87と接続された側の針本体88Aに設けられている。測定用針位置規制部材91は、支持基板73の下面73Aから接触部88Bの先端までの距離D2を決定するための部材である。距離D2は、例えば、6mmとすることができる。測定用針位置規制部材91の材料としては、例えば、セラミックを用いることができる。
【0099】
測定用針位置規制部材92は、接触部88Bが設けられた側の針本体88Aに設けられている。測定用針位置規制部材92は、支持板78と支持板83との間に配置されている。測定用針位置規制部材92は、測定用針88がY,Y方向に移動した際、測定用針88と一体的に移動する。測定用針位置規制部材92は、導電性を有する。測定用針位置規制部材92は、配線93と接続されており、配線93を介して、出力用端子76と電気的に接続されている。
【0100】
測定用針位置規制部材92は、入力用端子75に入力された所定の電圧Vinを出力用端子76に出力するか否かを切り換える切換スイッチのような機能を有する。測定用針位置規制部材92と金属膜84とが接触した状態では、入力用端子75に入力された所定の電圧Vinが出力用端子76に出力され、測定用針位置規制部材92と金属膜84とが離間した状態では、入力用端子75に入力された所定の電圧Vinは出力用端子76に出力されない。このように、ずれ量検出手段72は、出力用端子76から入力用端子75に入力された所定の電圧Vinが出力されるか否かで、接触部88Bが半導体装置用ステージ17の上面17Aまたはクリーニングステージ23の上面23Aと接触したか否かを判定する。
【0101】
配線93は、一方の端部が出力用端子76と接続されており、他方の端部が測定用針位置規制部材92と接続されている。配線93は、出力用端子76と測定用針位置規制部材92とを電気的に接続するためのものである。
【0102】
このような構成とされたずれ量検出手段72は、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所(例えば、半導体装置用ステージ17の場合は上面17Aの中心、クリーニングステージ23の場合は上面23Aの中心)の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置に対する半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所(通常、複数)の鉛直方向(Y,Y方向)の第2の位置のずれ量を検出する。ずれ量検出手段72は、検出した半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量をテスタ12に送信する。
【0103】
テスタ12は、ずれ量検出手段72から送信された半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行う。
【0104】
上記構成とされたずれ量検出手段72を備えた第2の実施の形態の検査装置70においても、第1の実施の形態の検査装置10と同様な効果を得ることができる。具体的には、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0105】
なお、本実施の形態では、クリーニングステージ23を備えた検査装置70を例に挙げて説明したが、クリーニングステージ23を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段72を設けてもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0106】
また、温度制御手段18を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段72を設けてもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0107】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の検査方法を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。
【0108】
図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の検査方法を説明する。なお、本実施の形態では第2の実施の形態の検査装置70を用いて、所定の温度Txに加熱又は冷却された半導体装置20の電気的検査を行う場合を例に挙げて以下の説明を行う。
【0109】
図7に示す処理が起動されると、STEP101では、半導体装置20を検査する温度(所定の温度Tx)となるように、温度制御手段18により半導体装置用ステージ17を加熱又は冷却する。
【0110】
続く、STEP102では、ずれ量検出手段72により、半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量、及びクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出する。
【0111】
具体的には、例えば、始めに、金属膜84と測定用針位置規制部材92とは接触している状態(図6に示す状態)で、入力用端子75に所定の電圧Vinとして5Vの電圧を印加する。このとき、金属膜84と測定用針位置規制部材92とが接触しているため、出力用端子76から5Vの電圧が出力される。次いで、半導体装置用ステージ17の上面17Aの所定の場所の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置を基準位置とし、半導体装置用ステージ17の上面17Aの他の場所において、基準位置から鉛直方向(Y,Y方向)に±50μmの移動範囲で、鉛直方向(Y,Y方向)に半導体装置用ステージ17を1μm刻みで移動させる。
【0112】
そして、半導体装置用ステージ17の上面17Aと接触部88Bとが接触すると、測定用針88が上方に移動させられて、測定用針位置規制部材92が金属膜84から離間して、出力用端子76から5Vの電圧が出力されなくなる。この出力用端子76から5Vの電圧が出力されなくなったときの半導体装置用ステージ17の上面17Aの他の場所の鉛直方向の第2の位置と、基準位置(第1の位置)とから半導体装置用ステージ17の上面17Aの基準位置(第1の位置)に対するずれ量を検出する。クリーニングステージ23の上面23Aのずれ量についても、同様な手法により検出する。
【0113】
ずれ量検出手段72は、半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量及びクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出した際、その検出したずれ量をテスタ12に送信し、処理はSTEP103に進む。
【0114】
なお、STEP102では、クリーニングステージ23の上面23Aにクリーニングシート25を貼り付けた状態で、クリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出する。
【0115】
次いで、STEP103では、半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うと共に、クリーニングステージ23の上面23Aのずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行う。その後、処理は、STEP104へと進む。
【0116】
STEP104では、プローブカードホルダー28に装着されたずれ量検出手段72を取り外して、プローブカードホルダー28に第1の実施の形態で説明したプローブカード31(図1参照)を装着する。
【0117】
続く、STEP105では、複数のプローブピン49の先端部をクリーニングシート25に接触させてプローブピン49をクリーニングする。
【0118】
このように、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整した後に、複数のプローブピン49をクリーニングすることで、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0119】
次いで、STEP106では、半導体装置用ステージ17上に検査したい半導体装置20を固定する。続く、STEP107では、半導体装置20の温度が所定の温度Txとなるように、温度制御手段18により半導体装置20を加熱又は冷却する。
【0120】
次いで、STEP108では、テスタ12の制御部12Bにより、半導体装置20の温度が所定の温度Txに到達したか否かの判定が行なわれる。半導体装置20の温度が所定の温度Txに到達していないと判定された場合(Noの場合)、処理はSTEP107に戻る。また、半導体装置20の温度が所定の温度Txに到達したと判定された場合(Yesの場合)、処理はSTEP109に進む。
【0121】
STEP109では、テスタ12の記憶部12Aに記憶された検査条件に基づいて、半導体装置20の電気的検査を行う。続く、STEP110では、半導体装置20に設けられた全ての半導体集積回路の電気的検査が終了したか否かの判定が行なわれる。半導体装置20に設けられた全ての半導体集積回路の電気的検査が終了していないと判定された場合(Noの場合)、処理はSTEP109に戻る。また、半導体装置20に設けられた全ての半導体集積回路の電気的検査が終了したと判定された場合(Yesの場合)、処理は終了する。
【0122】
本実施の形態に係る半導体装置の検査方法によれば、ずれ量検出手段72により、半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出し、このずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うことにより、半導体装置20の電気的検査を行う際、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0123】
また、ずれ量検出手段72により、クリーニングステージ23の上面23Aを検出し、このずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行うことにより、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0124】
さらに、半導体装置20を検査する所定の温度Txに半導体装置用ステージ17を加熱または冷却した後に、ずれ量検出手段72により半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出し、この検出したずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17Aが略水平となるように調整を行うことにより、所定の温度Txに加熱又は冷却された半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0125】
また、半導体装置20を検査する所定の温度Txに半導体装置用ステージ17を加熱または冷却した後に、ずれ量検出手段72によりクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出し、この検出したずれ量に基づいて、クリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行うことにより、クリーニングステージ23が半導体装置用ステージ17の温度の影響を受けた場合でも、クリーニングシート25により削られる複数のプローブピン49の先端部の削れ量を略等しくすることが可能となる。これにより、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0126】
なお、本実施の形態の半導体装置の検査方法では、半導体装置20の電気的検査を行う前に、プローブピン49のクリーニングを行う場合を例に挙げて説明したが、検査する半導体集積回路の数が多い場合には、STEP109とSTEP110の工程において、再度、プローブピン49のクリーニングを行ってもよい。また、検査装置70の使用頻度が低い場合には、半導体装置20の電気的検査を行う前に、必ずプローブピン49のクリーニングを行う必要はなく、例えば、所定期間(例えば、1ヶ月)経過後にプローブピン49のクリーニングを行ってもよい。
【0127】
また、本実施の形態の半導体装置の検査方法では、クリーニングステージ23を備えた検査装置70を用いた場合を例に挙げて説明したが、クリーニングステージ23を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段72を設けて、半導体装置20の検査を行ってもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0128】
さらに、温度制御手段18を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段72を設けて、半導体装置20の検査を行ってもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0129】
また、本実施例では、テスタ12によって、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整しているが、ずれ量検出手段75から送信されるずれ量に基づいて、マニュアル操作で半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整してもよい。
【0130】
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る検査装置の断面図である。図8において、第2の実施の形態の検査装置70と同一構成部分には同一符号を付す。また、図8では、ずれ量検出手段122が半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量を検出している状態を模式的に示している。
【0131】
図8を参照するに、第3の実施の形態の検査装置120は、テスタ12と、プローバー121とを有する。プローバー121は、第2の実施の形態で説明したずれ量検出手段72の代わりに、ずれ量検出手段122を設けた以外は第2の実施の形態のプローバー71と同様に構成される。
【0132】
図9は、第3の実施の形態のずれ量検出手段の断面図であり、図10は、第3の実施の形態のずれ量検出手段の平面図である。また、図11は、ステージの上面またはクリーニングステージの上面と測定用針とが接触した後のずれ量検出手段を模式的に示した図である。図9〜図11において、第2の実施の形態で説明したずれ量検出手段72と同一構成部分には同一符号を付す。
【0133】
図9及び図10を参照して、ずれ量検出手段122について説明する。ずれ量検出手段122は、プローブカード装着部42に着脱可能に装着されている(図8参照)。ずれ量検出手段122は、支持基板123と、入力用端子75と、出力用端子76と、支持部材77,82と、支持板78,83と、測定用針88と、第1の可撓性部材126と、配線127,132と、第2の可撓性部材129と、発光ダイオード131と、測定用針位置規制部材135,136とを有する。
【0134】
支持基板123は、入力用端子75、出力用端子76、及び支持部材77等を配設するためのものである。支持基板123は、板状とされており、その中央付近に貫通部124を有する。貫通部124は、第1及び第2の可撓性部材126,129を配置するための空間である。支持基板123の厚さM4は、例えば、3.2mmとすることができる。
【0135】
入力用端子75は、支持基板123の上面123Aに設けられている。入力用端子75は、導電性を有した測定用針位置規制部材135と電気的に接続されている。入力用端子75は、コンタクトリング32の接続ピン44Aと接触している(図8参照)。ずれ量検出手段122が半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出する際、入力用端子75には、接続ピン44Aを介して、所定の電圧Vinが入力される。
【0136】
出力用端子76は、支持基板123の上面123Aに設けられている。出力用端子76は、コンタクトリング32の接続ピン44Bと接触している(図8参照)。出力用端子76は、第2の可撓性部材129及び発光ダイオード131と電気的に接続されている。出力用端子76は、第1の可撓性部材126と第2の可撓性部材129とが接触している状態において、入力用端子75に所定の電圧Vinが印加されたときに、所定の電圧Vinを出力する。この出力結果は、テスタ12に送信される。また、第1の可撓性部材126と第2の可撓性部材129とが離間している状態において、入力用端子75に所定の電圧Vinが印加されたときには、出力用端子76に電圧は出力されない。
【0137】
支持部材77は、その一方の端部が支持基板123の下面123Bと接続されており、他方の端部が支持板78の上面78Aと接続されている。支持部材77の厚さM2は、例えば、1mmとすることができる。
【0138】
支持板78は、支持部材77と支持部材83との間に配置されており、支持部材77,82と接続されている。支持板78は、その中心付近に貫通孔81を有する。
【0139】
支持部材82は、その一方の端部が支持板78の下面78Bと接続されており、他方の端部が支持板83の上面83Aと接続されている。支持基板82の高さH1は、例えば、2mmとすることができる。
【0140】
支持板83は、支持板78の下方に設けられている。支持板83の上面83Aは、支持部材82と接続されている。支持板83は、その中央付近に貫通孔83Bを有する。支持板83の厚さM3は、例えば、1mmとすることができる。
【0141】
測定用針88は、針本体88Aと、接触部88Bとを有する。針本体88Aは、貫通孔81,84Aを通過するように配設されている。針本体88Aの上端部は、測定用針位置規制部材135と接続されている。接触部88Bは、針本体88Aの下端部に設けられている。接触部88Bは、ずれ量検出手段122が半導体装置用ステージ17の上面17Aのずれ量及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量を検出するときに、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aと直接接触する部分である。接触部88Bの直径R2は、例えば、20μm〜50μmとすることができる。接触部88Bの材料としては、例えば、ReW(レニウムタングステン)やWを用いることができる。
【0142】
このように、針本体88Aに針本体88Aの直径よりも小さい直径R2を有した接触部88Bを半導体装置用ステージ17に対して垂直に設けることにより、オーバードライブ量の精度が向上するため、ずれ量を精度よく検出することができる。
【0143】
上記構成とされた測定用針88は、接触部88Bが半導体装置用ステージ17の上面17Aまたはクリーニングステージ23の上面23Aと接触した後に、上方に移動する。
【0144】
第1の可撓性部材126は、一方の端部が支持基板123の上面123Aに固定されており、他方の端部が測定用針位置規制部材135に固定されている。第1の可撓性部材126は、第2の可撓性部材129の上方に配置されている。第1の可撓性部材126は、可撓性を有した部材である。第1の可撓性部材126は、測定用針88がY,Y方向に移動させられた際、測定用針88と一体的に移動する。第1の可撓性部材126は、導電性を有する。第1の可撓性部材126は、配線127を介して、入力用端子75と電気的に接続されている。
【0145】
測定用針位置規制部材135が支持板78と接触している状態(図9に示す状態)において、第1の可撓性部材126は、第2の可撓性部材129と接触すると共に、第2の可撓性部材129と電気的に接続される。また、測定用針位置規制部材135が支持板78の上方に離間した場合、第1の可撓性部材126は第2の可撓性部材129から離間(図11に示す状態)し、第1の可撓性部材126と第2の可撓性部材129との間は絶縁される。
【0146】
このように、第1の可撓性部材126は、入力用端子75に入力された所定の電圧Vinを、第2の可撓性部材129に印加するか否かを選択するスイッチとしての機能を奏する。
【0147】
配線127は、支持基板123の上面123Aに設けられている。配線127は、その一方の端部が入力用端子75と接続されており、他方の端部が第1の可撓性部材126と接続されている。
【0148】
第2の可撓性部材129は、その一方の端部が出力用端子76と接続されており、他方の端部が第1の可撓性部材126の下方に配置されている。第2の可撓性部材129は、可撓性を有した部材であり、導電性を有する。第2の可撓性部材129は、配線132を介して、発光ダイオード131と電気的に接続されている。
【0149】
発光ダイオード131は、支持基板123の上面123Aに設けられている。発光ダイオード131は、配線132を介して、出力用端子76と電気的に接続されている。発光ダイオード131は、半導体装置用ステージ17の上面17Aまたはクリーニングステージ23の上面23Aと接触部88Bとが離間している状態、つまり、第1の可撓性部材126と第2の可撓性部材129とが接触して、所定の電圧Vinが発光ダイオード131に印加されたときに発光する。また、発光ダイオード131は、半導体装置用ステージ17の上面17Aまたはクリーニングステージ23の上面23Aと接触部88Bとが接触した状態、つまり、第1の可撓性部材126と第2の可撓性部材129とが離間した場合には発光しない。
【0150】
このように、ずれ量検出手段122に発光ダイオード131を設けることにより、作業者は、半導体装置用ステージ17の上面17Aまたはクリーニングステージ23の上面23Aと接触部88Bとが接触したことを目視で認識することができる。
【0151】
配線132は、支持基板123の上面123Aに設けられている。配線132は、出力用端子76と発光ダイオード131とを電気的に接続している。
【0152】
測定用針位置規制部材135は、針本体88Aの上端部に設けられている。測定用針位置規制部材135の上部には、第1の可撓性部材126が接続されている。測定用針位置規制部材135は、針本体88AがY,Y方向に移動した際、針本体88Aと一体的に移動する。また、支持板78と測定用針位置規制部材135とが接触した状態(図9に示す状態)から測定用針位置規制部材135が上方に移動する(図11に示す状態)ことで、第1の可撓性部材126が第2の可撓性部材129から離間するため、第1の可撓性部材126と第2の可撓性部材129との間が絶縁される。また、測定用針位置規制部材135は、支持基板123の下面123Bから接触部88Bの先端までの距離D2を規定しており、距離D2は、例えば、6mmとすることができる。
【0153】
測定用針位置規制部材136は、接触部88Bが設けられた側の針本体88Aに設けられている。測定用針位置規制部材136は、支持板78と支持板83と間に配置されている。測定用針位置規制部材136は、測定用針88がY,Y方向に移動した際、測定用針88と一体的に移動する。
【0154】
このような構成とされたずれ量検出手段122は、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの所定の場所(例えば、半導体装置用ステージ17の場合は上面17Aの中心、クリーニングステージ23の場合は上面23Aの中心)の鉛直方向(Y,Y方向)の第1の位置に対する半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの他の場所(通常、複数の場所)の鉛直方向(Y,Y方向)の第2の位置のずれ量を検出する。ずれ量検出手段122は、検出した半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aのずれ量をテスタ12に送信する。
【0155】
テスタ12は、ずれ量検出手段122から送信されたずれ量に基づいて、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように調整を行う。
【0156】
上記構成とされたずれ量検出手段122を備えた検査装置120においても、第1の実施の形態の検査装置10と同様な効果を得ることができる。具体的には、プローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0157】
なお、本実施の形態では、クリーニングステージ23を備えた検査装置120を例に挙げて説明したが、クリーニングステージ23を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段122を設けてもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0158】
また、温度制御手段18を備えていない検査装置に本実施の形態のずれ量検出手段122を設けてもよい。この場合もプローブピン49と半導体装置20(具体的には、半導体集積回路のパッド(図示せず))との間における接触不良がなくなるため、半導体装置20の電気的検査を精度よく行うことができる。
【0159】
また、上記説明した検査装置120を用いて、所定の温度Txに加熱又は冷却した半導体装置20を検査する場合、第2の実施の形態で説明した図7に示すフローと同様な手法により行うことができ、第2の実施の形態の半導体装置20の検査方法と同様な効果を得ることができる。
【0160】
また、本実施の形態では、ずれ量検出手段122に発光ダイオード131を設けた場合を例に挙げて説明したが、発光ダイオード131を備えていないずれ量検出手段122においても同様な効果を得ることができる。
【0161】
また、本実施例では、テスタ12によって、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aが略水平となるように、半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整しているが、ずれ量検出手段122から送信されるずれ量に基づいて、マニュアル操作で半導体装置用ステージ17の上面17A及び/またはクリーニングステージ23の上面23Aの傾きを調整してもよい
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、半導体装置を固定すると共に、移動可能な構成とされた半導体装置用ステージと、プローブピンをクリーニングするクリーニングステージとを備えた検査装置を用いた半導体装置の検査方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の断面図である。
【図2】第1の実施の形態のずれ量検出手段の測定部を示す図である。
【図3】第1の実施の形態のずれ量検出手段がステージの上面のずれ量を検出している様子を模式的に示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の検査方法を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る検査装置の断面図である。
【図6】第2の実施の形態のずれ量検出手段の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の検査方法を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る検査装置の断面図である。
【図9】第3の実施の形態のずれ量検出手段の断面図である。
【図10】第3の実施の形態のずれ量検出手段の平面図である。
【図11】ステージの上面またはクリーニングステージの上面と測定用針とが接触した後のずれ量検出手段を模式的に示した図である。
【図12】従来の検査装置の断面図である。
【符号の説明】
【0164】
10,70,120 検査装置
11,71,121 プローバー
12 テスタ
12A 記憶部
12B 制御部
14 筐体
15,21,53 駆動装置
16,22,54 支持体
17 半導体装置用ステージ
17A,23A,73A,78A,83A,123A 上面
18 温度制御手段
23 クリーニングステージ
25 クリーニングシート
26 ヘッドプレート
27 ホルダー支持体
28 プローブカードホルダー
31 プローブカード
32 コンタクトリング
33 テストヘッド
35,72,122 ずれ量検出手段
37 ヘッドプレート本体
37A,73B,78B,132B 下面
38 コンタクトリング装着部
41 ホルダー本体
42 プローブカード装着部
43 コンタクトリング本体
44A,44B,45A,45B 接続ピン
47,73 支持基板
48A,48B 配線パターン
49 プローブピン
51A,51B,81,83B 貫通孔
55 測定部
57 測定部本体
58 ステム
59 スピンドル
61 測定子
62 測定用針
75 入力用端子
76 出力用端子
77,82 支持部材
78,83 支持板
84 金属膜
85,93,127,132 配線
88 測定用針
88A 針本体
88B 接触部
87 ばね
91,92,135,136 測定用針位置規制部材
95 凹部
95A 底面
124 貫通部
126 第1の可撓性部材
129 第2の可撓性部材
131 発光ダイオード
D1,D2 距離
H1 高さ
M1〜M4 厚さ
R1,R2 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を固定すると共に、移動可能な構成とされた半導体装置用ステージと、
プローブカードのプローブピンをクリーニングするクリーニングステージと、
前記半導体装置用ステージの上面及び/または前記クリーニングステージの上面の所定の場所の鉛直方向の第1の位置に対する前記半導体装置用ステージの上面及び/または前記クリーニングステージの上面の他の場所の前記鉛直方向の第2の位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、を備えた検査装置を用いた半導体装置の検査方法であって、
前記ずれ量検出手段により検出された前記ずれ量に基づいて、前記半導体装置用ステージの上面及び/または前記クリーニングステージの上面が略水平となるように調整することを特徴とする半導体装置の検査方法。
【請求項2】
前記検査装置は、前記半導体装置用ステージに設けられ、前記半導体装置を所定の温度に加熱又は冷却する温度制御手段を有し、
前記ずれ量検出手段は、前記半導体装置用ステージを前記所定の温度に保持しつつ、前記ずれ量を検出することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の検査方法。
【請求項3】
前記半導体装置の検査は、前記半導体装置用ステージの上面及び/または前記クリーニングステージの上面が略水平とされた後に行うことを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の検査方法。
【請求項4】
前記プローブピンのクリーニングは、前記クリーニングステージの上面が略水平とされた後に行うことを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか一項記載の半導体装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−294489(P2007−294489A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117132(P2006−117132)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】