説明

圧力検出機能付きスパークプラグ、スパークプラグ用電圧供給部品及び圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル

【課題】内燃機関におけるエンジンヘッドからの振動によるノイズを低減して精度よく圧力測定を行うことができる圧力検出機能付きスパークプラグ、これに接続するスパークプラグ用電圧供給部品、及びこれらを組み合わせた圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルを提供すること。
【解決手段】中心貫通孔210を有する絶縁碍子21と、中心貫通孔210に保持された中心電極22と、取付金具20と、接地電極23と、圧力センサ24とを有する圧力検出機能付きスパークプラグ1。スパークプラグ用電圧供給部品3と接続するための端子220が、中心貫通孔210の内部に没入した状態で配置されている。中心貫通孔210の中にスパークプラグ用電圧供給部品3の挿入先端部35を挿入することによりスパークプラグ用電圧供給部品3と端子220とが接触可能なように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関における圧力検出機能付きスパークプラグ、スパークプラグ用電圧供給部品及び圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図12に示すごとく、燃焼状態やノッキングの検出、或いは、燃焼消費率の向上、排気ガスの清浄化等を行うために、内燃機関の燃焼室内の圧力を検出する圧力センサ94を備えた圧力検出機能付きスパークプラグ9が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
該圧力検出機能付きスパークプラグ9は、図12に示すごとく、取付金具90と、該取付金具90に挿嵌された絶縁碍子91と、該絶縁碍子91の中心貫通孔910に保持された中心電極92と、該中心電極92との間に火花放電ギャップを形成する接地電極93とを有する。更に、中心貫通孔910の基端側に配される端子電極97と、該端子電極97と中心電極92との間に配される抵抗体96とを備えており、圧力検出機能付きスパークプラグ9は、接続された電圧供給部品(図示せず)から高電圧を供給することができるよう構成されている。
【0004】
また、圧力検出機能付きスパークプラグ9は、具備している圧力センサ94を用いて燃焼室の圧力を計測できるように構成してある。そのため、燃焼室の圧力を計測するよう構成された上記圧力検出機能付きスパークプラグ9によれば、内燃機関の燃焼状態、例えば、ノッキング等の検出が可能となる。
【0005】
しかしながら、従来の圧力検出機能付きスパークプラグ9は、内燃機関がその運転時に振動することにより、プラグ全体をおもり、取付金具90における薄肉部900をバネとしたバネ振動系となる。そして、圧力検出機能付きスパークプラグ9は、圧力検出機能付きスパークプラグ9の軸方向に長い端子電極97と抵抗体96とを有するため、プラグ全体として重量が大きくなってしまう。その結果、その大きな重量に対してエンジンヘッド等の振動による加速度が作用することにより、上記圧力検出機能付きスパークプラグ9に過大な慣性力が作用するおそれがある。
【0006】
更に、圧力検出機能付きスパークプラグ9と、例えば、点火コイル(図示せず)とが一体化され、圧力検出機能付きのプラグ一体型点火コイルが構成される場合がある。この場合、上記プラグ一体型点火コイルは、圧力検出機能付きスパークプラグ9単体の場合よりも一層重量が大きくなり、過大な慣性力が圧力センサ94に作用する。そして、そのため、上記の過大な慣性力がエンジンヘッドを介して圧力センサ94に圧力のノイズとして伝わり、圧力の検出精度が低下してしまうおそれがある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−246148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、内燃機関におけるエンジンヘッドからの振動によるノイズを低減して精度よく圧力測定を行うことができる圧力検出機能付きスパークプラグ、これに接続するスパークプラグ用電圧供給部品、及び圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、中心貫通孔を有する絶縁碍子と、該絶縁碍子の先端から突出する状態で上記中心貫通孔に保持された中心電極と、上記絶縁碍子を突出させた状態で上記絶縁碍子を保持する取付金具と、該取付金具から延設され上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極と、上記絶縁碍子に伝わる燃焼室内の圧力を測定するための圧力センサとを有する圧力検出機能付きスパークプラグにおいて、
スパークプラグ用電圧供給部品と接続するための端子が、上記絶縁碍子における上記中心貫通孔の内部に没入した状態で配置されており、上記絶縁碍子の基端側から上記中心貫通孔の中に上記スパークプラグ用電圧供給部品の挿入先端部を挿入することにより該スパークプラグ用電圧供給部品と上記端子とが接触可能なように構成してあることを特徴とする圧力検出機能付きスパークプラグにある(請求項1)。
【0010】
本発明の上記圧力検出機能付きスパークプラグ(以下、単にスパークプラグという)は、上記絶縁碍子と、上記中心電極と、上記取付金具と、上記接地電極と、上記圧力センサとを有するが、従来の圧力検出機能付きスパークプラグにおける絶縁碍子の基端側から突出した構造の端子電極とは異なり、上記端子は上記絶縁碍子の基端側から突出した構造を有していない。即ち、従来は、スパークプラグと電圧供給部品との電気的接続を容易に行うために、絶縁碍子の基端側から端子電極を外部に突出させる構造をとっていたが、本発明の上記スパークプラグは、上記端子を上記絶縁碍子の内部に没入させた構造を積極的に採用している。
【0011】
そして、上記構造を採用することにより、例えば、従来の端子電極の基端側から中心電極の基端側までの間にある部品の削除や長さの低減が可能となり、ひいては、上記スパークプラグの軽量化を図ることができる。その結果、エンジンヘッド等の振動による加速度が上記スパークプラグに加わっても、過大な慣性力が上記スパークプラグに作用することがない。したがって、上記スパークプラグに備え付けられる上記圧力センサは、過大な慣性力に起因する圧力のノイズの影響を受けることがないため、精度よく圧力測定を行うことができる。
【0012】
また、上記スパークプラグは、上記中心貫通孔の中に上記挿入先端部を挿入することにより、上記スパークプラグ用電圧供給部品(以下、単に電圧供給部品という)と上記端子とが接触可能なように構成してある。
即ち、上記電圧供給部品と上記スパークプラグとは、強固な接合をすることなく、上記挿入先端部と上記端子とを接触させた状態でエンジンヘッドのプラグホール内に配設される。これにより、上記スパークプラグは、上記電圧供給部品の重量等をほとんど支承することがないため、より一層精度よく圧力測定を行うことができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、内燃機関におけるエンジンヘッドからの振動によるノイズを低減して精度よく圧力測定を行うことができる圧力検出機能付きスパークプラグを提供することができる。
【0014】
第2の発明は、エンジンヘッドにおけるプラグホール内に挿入配置され、上記第1の発明の圧力検出機能付きスパークプラグに接続されるスパークプラグ用電圧供給部品であって、
上記圧力検出機能付きスパークプラグにおける上記絶縁碍子の上記中心貫通孔の内径よりも小さい外径を有する挿入先端部を有しており、該挿入先端部を上記中心貫通孔に挿入することにより、上記挿入先端部の先端と上記中心貫通孔内の上記端子とが接触可能なように構成してあることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品にある(請求項4)。
【0015】
本発明の上記電圧供給部品は、その上記挿入先端部が、上記スパークプラグの中心貫通孔の内径よりも小さい外径を有する。そのため、上記挿入先端部を上記スパークプラグにおける上記絶縁碍子の上記中央貫通孔の内周面には実質的に接触させることなく、容易に挿入することができる。また、これにより、上記スパークプラグと上記電圧供給部品との強固な結合状態を回避することができる。それ故、エンジンヘッドの振動による加速度に起因して、上記電圧供給部品の重量に対して発生する過大な慣性力が、上記スパークプラグに備え付けられた圧力センサに伝達されるという不具合を防ぐことができる。
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、内燃機関におけるエンジンヘッドからの振動によるノイズを低減して精度よく圧力測定を行うことができる圧力検出機能付きスパークプラグに、容易に接続することができるスパークプラグ用電圧供給部品を提供することができる。
【0017】
第3の発明は、燃焼室内の圧力を測定するための圧力センサを備えた圧力検出機能付きスパークプラグと、該圧力検出機能付きスパークプラグに高電圧を供給するための1次コイル及び2次コイルを備えたスパークプラグ用電圧供給部品とを組み合わせてなる圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルであって、
上記圧力検出機能付きスパークプラグは、中心貫通孔を有する絶縁碍子と、該絶縁碍子の先端から突出する状態で上記中心貫通孔に保持された中心電極と、上記絶縁碍子の先端を突出させた状態で上記絶縁碍子を保持する取付金具と、該取付金具から延設され上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極と、上記絶縁碍子に伝わる燃焼室内の圧力を測定するための圧力センサとを有し、上記スパークプラグ用電圧供給部品と接続するための端子が、上記絶縁碍子における上記中心貫通孔の内部に没入した状態で配置されており、
上記スパークプラグ用電圧供給部品は、同心円状に配設した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部と、該円筒部から突出した挿入先端部とを有する点火コイルであって、該挿入先端部の外径は上記絶縁碍子の上記中心貫通孔の内径よりも小さく設けてあり、
上記圧力検出機能付きスパークプラグの上記絶縁碍子の基端側から上記中心貫通孔の中に、上記点火コイルの上記挿入先端部を挿入することにより、該挿入先端部と上記端子とが接触していることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルにある(請求項10)。
【0018】
本発明の上記圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル(以下、単にプラグ一体型点火コイルという)は、上記スパークプラグと電圧供給部品としての上記点火コイルとを組み合わせてなり、上記中心貫通孔の中に上記挿入先端部を挿入することにより構成している。また、上記点火コイルの挿入先端部は、上記絶縁碍子の上記中心貫通孔の内径よりも小さい外径を有する。そのため、上記プラグ一体型点火コイルを構成する部品である上記スパークプラグと上記点火コイルとは、両者を強固に接合することなく、上記中心貫通孔内に存在する上記端子と上記挿入先端部の先端とを接触させた状態でエンジンヘッドのプラグホール内に配設することができる。
【0019】
それ故、上記プラグ一体型点火コイルにおける上記スパークプラグと上記点火コイルとの接続を、上記スパークプラグが上記点火コイル等の重量をほとんど支承することがない構造とすることができる。そのため、エンジンヘッド等の振動に起因して上記点火コイルの重量に対して発生する過大な慣性力が、上記スパークプラグに作用することがない。したがって、上記スパークプラグに備え付けられた上記圧力センサは、振動による圧力のノイズの影響を受けることがなく、精度よく圧力測定を行うことができる。
【0020】
また、上記プラグ一体型点火コイルにおける上記スパークプラグは、従来の圧力検出機能付きスパークプラグとは異なり、上記端子を上記絶縁碍子の基端側から外部に突出させる構造とする必要がないため、構成部品の削除又は長さの低減が可能となる。その結果、上記スパークプラグの部分の軽量化を図ることができる。そのため、エンジンヘッドからの振動によるノイズを低減して、より一層精度よく圧力測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書においては、上記スパークプラグ及び上記プラグ一体型点火コイルにおける、内燃機関の燃焼室等に挿入する側を先端側とし、その反対側を基端側とする。
【0022】
第1の発明(請求項1)及び第3の発明(請求項10)において、上記端子は、導電性を有し、かつ、上記中心電極よりも密度が小さい厚膜導体により形成されていることが好ましい(請求項2、請求項15)。
この場合には、上記中心電極よりも密度が小さい上記厚膜導体を端子として配設した分、上記中心電極の先端側から上記端子の基端側までの重量をも低減することができる。その結果、上記スパークプラグの軽量化を図ることができ、エンジンヘッド等からの振動によるノイズを充分に低減することができる。
【0023】
また、上記厚膜導体は、Au、Ag、Cu、Pt、Pdのうち少なくともいずれか一種を含有する金属粉とガラス粉と有機系の樹脂材料とを混合して作製したペーストを焼成したものであり、焼成前における上記樹脂材料の含有量は、上記ペーストの全重量に対して20〜40重量%であることが好ましい(請求項3、請求項16)。
焼成前における上記樹脂材料の含有量が上記の範囲内であれば、上記樹脂材料を焼成して蒸散させることによって、上記中心電極の先端側から上記端子の基端側までの重量、ひいては、上記スパークプラグの重量を充分に低減することができる。
【0024】
一方、上記樹脂材料の含有量が20重量%未満である場合には、蒸散する樹脂材料の量が充分とはいえず、中心電極の先端側から端子の基端側までの重量を充分に低減させることが困難となるおそれがある。
また、上記樹脂材料の含有量が40重量%を超える場合には、樹脂材料が蒸散し過ぎるため、厚膜導体の強度が低下してしまうおそれがある。
【0025】
また、第2の発明(請求項4)、第3の発明(請求項10)において、上記挿入先端部の先端には、上記端子と接触した際に弾性変形するバネ部材が配設されていることが好ましい(請求項5、請求項11)。
この場合において、エンジンヘッド等が振動する際には、充分な弾性力を有する上記バネ部材の伸縮によって、上記挿入先端部の先端と上記端子との間の接触状態を常に維持することができる。
【0026】
また、上記挿入先端部は、高電圧電流を通電するための電極部と、該電極部の外周を囲う電気絶縁性を有する外周絶縁部とよりなることが好ましい(請求項6、請求項12)。
この場合には、上記外周絶縁部により、上記電極部を上記端子以外の他の部分と電気的に充分に絶縁することができるため、上記電極部から上記中心電極に、より一層安定的に高電圧を供給することがでる。
【0027】
また、上記電圧供給部品は、上記挿入先端部の外周側に、上記スパークプラグの上記絶縁碍子を外周側から非接触状態で覆う筒状突出部を有していることが好ましい(請求項7、請求項13)。
この場合には、上記中心貫通孔等に直接的に水が浸入することを抑制することができる。
【0028】
また、上記筒状突出部には、導電性材料よりなるハウジングが配設されていることが好ましい(請求項8、請求項14)。
この場合には、上記ハウジングに電磁波シールド機能を持たせることができる。そのため、上記電圧供給部品から外部への、或いは外部から上記電圧供給部品への電磁波によるノイズの影響を低減することができる。
【0029】
また、第2の発明(請求項4)において、上記電圧供給部品は、同心円状に配設した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部と、該円筒部の先端側から突出した上記挿入先端部を有する点火コイルであることが好ましい(請求項9)。
この場合には、小型かつ高出力の点火コイルを用いることができるため、上記プラグ一体型点火コイルの小型化及び高出力化を図ることができる。
【0030】
また、第3の発明(請求項10)において、上記圧力検出機能付きスパークプラグは、上記絶縁碍子の基端面に凹凸形状を有するプラグ側凹凸部を有しており、上記スパークプラグ用電圧供給部品は、上記圧力検出機能付きスパークプラグと上記スパークプラグ用電圧供給部品とを組み付けた状態において上記プラグ側凹凸部と隙間を保って対向配置される凹凸形状を有する電圧供給部品側凹凸部を有することが好ましい(請求項17)。
この場合には、上記プラグ側凹凸部及び上記電圧供給部品側凹凸部が形成された分、上記端子と上記挿入先端部との接触点と、外部とを電気的に絶縁する絶縁距離を更に長く確保することができる。これにより、上記スパークプラグに安定的に高電圧を供給することができる。
【0031】
尚、上記プラグ側凹凸部及び上記電圧供給部品側凹凸部を構成する凹部及び凸部をそれぞれ複数個形成しても良い。
また、上記プラグ側凹凸部及び上記電圧供給部品側凹凸部は、それぞれに凹部と凸部とを混在させて構成することもできる。
【0032】
また、上記プラグ側凹凸部及び上記電圧供給部品側凹凸部を構成する各凹部及び各凸部の幅及び軸方向長さは、0.5〜2mmであることが好ましい(請求項18)。
この場合には、上記端子と上記挿入先端部との接触点と、外部との電気的な絶縁をより一層確保することができる。そのため、上記スパークプラグに、より一層安定的に高電圧を供給することができる。
【0033】
一方、幅や軸方向長さが0.5mm未満である場合には、プラグ側凹凸部及び電圧供給部品側凹凸部を形成することによる効果を充分に発揮することが困難となるおそれがある。
また、幅が2mmを超える場合には、プラグ側凹凸部又は電圧供給部品側凹凸部を形成することが困難となるおそれがある。
また、軸方向長さが2mmを超える場合には、プラグ側凹凸部又は電圧供給部品側凹凸部周辺の強度が低下するおそれがある。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル(以下、単にプラグ一体型点火コイルという)につき、図1〜図8を用いて説明する。
本例のプラグ一体型点火コイル1は、図1に示すごとく、燃焼室800内の圧力を測定するための圧力センサ24を備えた圧力検出機能付きスパークプラグ2(以下、単にスパークプラグ2という)と、該スパークプラグ2に高電圧を供給するための1次コイル31及び2次コイル32を備えた点火コイル3からなるスパークプラグ用電圧供給部品(以下、単に電圧供給部品3又は点火コイル3という)とを組み合わせてなるプラグ一体型点火コイル1である。
尚、以下では、プラグ一体型点火コイル1における、内燃機関の燃焼室800に挿入する側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
【0035】
まず、スパークプラグ2について説明する。
スパークプラグ2は、図1、図4、図5に示すごとく、中心貫通孔210を有する絶縁碍子21と、該絶縁碍子21の先端から突出する状態で中心貫通孔210に保持された中心電極22と、碍子先端を突出させた状態で絶縁碍子21を保持する取付金具20と、該取付金具20から延設され中心電極22の先端部との間に火花放電ギャップGを形成する接地電極23と、絶縁碍子21に伝わる燃焼室800内の圧力を測定するための圧力センサ24とを有し、点火コイル3と接続するための端子220が、絶縁碍子21における中心貫通孔210の内部に没入した状態で配置されている。
【0036】
更に詳しく説明すると、取付金具20の碍子収容部200の内周面には、図6に示すごとく、碍子収容部200よりも小径を呈する段部201を形成してあり、該段部201における基端側の表面には、後述する絶縁碍子21の当り面211と当接する棚状の受け面203を形成してある。
【0037】
また、取付金具20における碍子収容部200側の先端側の外周面には、図2、図6に示すごとく、雄ネジ部202が形成してあり、該雄ネジ部202よりも基端側には、工具を係合可能な六角部206を形成してある。スパークプラグ2は、所定の工具を六角部206に係合して軸芯中心に回転させることにより、雄ネジ部202をプラグホール811の内周面に形成した雌ネジにネジ結合できるよう構成してある。
【0038】
更に、取付金具20における雄ネジ部202の先端側には、接地電極23を接合してある。この接地電極23は、中心電極22の先端が所定の間隙を形成した状態で対向するように構成してある。
【0039】
また、取付金具20には、図4〜図6に示すごとく、アルミナ等の電気絶縁材料からなる円筒状の絶縁碍子21を内挿収容してある。
そして、絶縁碍子21には、図6に示すごとく、その内部に中心貫通孔210が形成されてなる。
また、絶縁碍子21の外周面には、図6に示すごとく、基端側に向けて拡径する段部212を形成してある。そして、該段部212における先端側の表面には、取付金具20の受け面203と当接する当り面211を形成してある。
【0040】
また、取付金具20に対する絶縁碍子21の軸方向の挿入位置は、図6に示すごとく、受け面203と当り面211との当接により規制されるよう構成してある。
そして、両者を当接させた際、絶縁碍子21の先端側が、接地電極23と所定の間隙を形成した状態で取付金具20の端部から突出するよう構成してある。
【0041】
また、受け面203と当り面211との当接により、取付金具20と絶縁碍子21との間の気密性を高く保持し得るように構成してある。
尚、図6に示すごとく、スパークプラグ2を構築する際には、まず、絶縁碍子21の中心貫通孔210に中心電極22を挿通する。次いで、絶縁碍子21を取付金具20の碍子収容部200に挿通して当り面211と取付金具20の受け面203とを当接させた後、取付金具20のかしめ部205をスパークプラグ2の径方向内側に向かって折り曲げる。
【0042】
スパークプラグ2は、図1、図4、図5に示すごとく、導電性金属よりなる中心電極22と、導電性金属よりなる接地電極23とを有している。そして、中心貫通孔210に配置された中心電極22は、その先端と接地電極23との間に所定の間隙、即ち、火花放電ギャップGを形成した状態で、内燃機関の燃焼室800に露出するよう構成する。
【0043】
また、本例においては、スパークプラグ2の圧力検出素子として、図2に示すごとく、ひずみゲージ241、242を用いている。
軸方向ひずみゲージ241は、上述の取付金具20の薄肉部204に軸方向のひずみを計測する向きに張り付けられている。また、周方向ひずみゲージ242は、軸方向ひずみゲージ241に隣接して周方向のひずみを計測する向きに張り付けられている。そして、上記軸方向ひずみゲージ241及び周方向ひずみゲージ242は、ぞれぞれ、軸対称になる位置に1対ずつ設けられる。
【0044】
また、軸方向ひずみゲージ241及び周方向ひずみゲージ242は、図3に示すごとく、ホイーストンブリッジを形成し、アンプ240に結線されている。
また、図2、図4、図5に示すごとく、アンプ240の駆動電源と出力は、コネクタピン243につながっていて、点火コイル3を装着した際にカバー7の圧力センサコネクタ71及び導線70を介して、ハウジング6の外側を通って取り出されるようになっている。
【0045】
尚、薄肉部204は、図4に示すごとく、肉厚の大きい六角部206よりも基端側にあることが好ましい。仮に、薄肉部204が六角部206よりも先端側にある場合には、内燃機関が振動した際、スパークプラグ2の振幅が大きくなり、圧力のノイズが大きくなってしまうおそれがある。
また、本例においては、ひずみゲージは、軸方向及び周方向の双方において設けられているが、軸方向又は周方向のいずれか一方であっても良い。
【0046】
次に、点火コイル3について説明する。
本例の電圧供給部品としての点火コイル3は、図1、図5に示すごとく、同心円状に配設した1次コイル31及び2次コイル32を備えた円筒部30と、該円筒部30から突出した挿入先端部35とを有していると共に、該挿入先端部35の外径は絶縁碍子21の中心貫通孔210の内径よりも小さく設けてある。
また、図1、図4、図5に示すごとく、スパークプラグ2の絶縁端子21の基端側から中心貫通孔210の中に、点火コイル3の挿入先端部35を挿入することにより、該挿入先端部35と端子220とが接触している。
【0047】
また、挿入先端部35の先端には、端子220と接触した際に弾性変形すると共に導電性を有するバネ部材5が配設されている。そして、本例においては、挿入先端部35の先端側の端部は、バネ部材5の基端側の端部と結合されている。また、図4に示すごとく、バネ部材5と当接する端子220の基端側と、中心貫通孔210との間は、ガラスに銅粉を混入した導電性に優れる銅ガラス50によって封着されており、絶縁碍子21との間の密着性を高めるよう構成されている。
なお、本例では、挿入先端部35にバネ部材5を配設したが、バネ部材5を、銅ガラス50を介して端子220に固定する構造とすることもできる。
【0048】
また、挿入先端部35は、図4、図7(a)、図7(c)に示すごとく、高電圧電流を通電するための電極部351と、これにつながる抵抗体352と、電極部351及び抵抗体352の外周を囲う電気絶縁性を有する外周絶縁部350とよりなる。
尚、この電極部351及び抵抗体352は、従来ならば、スパークプラグ2の絶縁碍子21内に内蔵される部品であるが、本例では、点火コイル3に内蔵させてある。
【0049】
また、点火コイル3は、図4、図5、図7(c)に示すごとく、挿入先端部35の外周側に、スパークプラグ2の絶縁碍子21を外周側から非接触状態で覆う筒状突出部36を有している。
また、筒状突出部36には、図1、図4に示すごとく、導電性材料よりなるハウジング6が配設されている。
【0050】
更に詳しく説明すると、図1、図5に示すごとく、本例の点火コイル3は、1次コイル31及び2次コイル32を巻回させた円筒部30を収容する金属製のハウジング6を有する。そして、該ハウジング6には、アルミナ或いは合成樹脂等の電気絶縁材料からなる円筒状の外周絶縁部350を内挿し、収容してある。また、外周絶縁部350の先端側には、図7(c)に示すごとく、内部貫通孔353が形成されてなる。
【0051】
また、図1、図5に示すごとく、点火コイル3は、図示しない点火装置とイグナイタとの組合せにより電力供給する1次コイル31と、該1次コイル31の内周側に配置した2次コイル32と、該2次コイル32の更に内周側に配置した円柱状の中心コア33とを組み合わせてなる。
そして、この点火コイル3は、1次コイル31への電力供給に応じた電磁誘導により、2次コイルの両端に高電圧を発生するように構成される。
【0052】
2次コイル32の高電圧端は、電極部351を介してスパークプラグ2の中心電極22に電気的に接続される。一方、低電圧端は、ターミナルを介して取付金具20に接続される。そして、取付金具20はエンジンヘッド810等を介して、内燃機関を搭載する車両のボディに接地されている。
【0053】
1次コイル31は、図1、図7(c)に示すごとく、外周絶縁部350における巻線配設部302に配設する巻線である。
この巻線配設部302に配設した1次コイル31の両端には、ターミナルを電気的に接続する。また、1次コイル31は、このターミナル及びこれと電気的に接続したターミナルピンを介して外部から電力供給できるように構成する。
本例の1次コイル31は、銅よりなる断面矩形状を呈する絶縁被覆付きの電線を、外周絶縁部350の巻線配設部302の外周に巻回してなる1重巻の巻線である。また、本例では、巻回した1次コイル31に、エポキシ樹脂を含浸させて固定してある。
【0054】
中心コア33は、強磁性材料よりなる円柱状の部材である。この中心コア33は、スプール34の軸方向の一方の端部から穿孔された穴に収容された状態で、2次コイル32の内周側に配置してある。
また、外周絶縁部350の基端部側には、スプール貫通穴303が形成されている。そして、スプール貫通穴303には、スプール34が収容するよう構成してある。
【0055】
また、図7(c)に示すごとく、外周絶縁部350におけるスプール貫通穴303の内周面基端側には、雌ネジ部301を形成してある。雌ネジ部301には、後述する保持部材4をネジ結合するように構成してある。
スプール34は、図7(b)に示すごとく、2次コイル32を巻き付ける巻線用筒部341とこの巻線用筒部341から更に基端側に向けて延びる突出筒部342とを有している。そして、図1、図5、図7(b)に示すごとく、スプール34の巻線用筒部341の外周に2次コイル32が巻回される。
【0056】
また、スプール34の軸方向に穿設した中心穴340には、図1、図5に示すごとく、中心コア33を挿入してある。
この中心穴340は、中心コア33が巻回用筒部341の内周側に対応して配置されるように、中心コア33と比較して軸方向に長く形成してある。本例では、中心コア33の端部が突出筒部342に配置されないように、中心穴340を構成してある。
【0057】
また、図1、図5に示すごとく、本例では、スプール34の中心穴340に中心コア33を収容した上、その開口部をゴムやスポンジ等の弾性材よりなるコア押え蓋37により封止してある。
また、2次コイル32、中心コア33及びコア押え蓋37等を上記のごとく組付けたスプール34は、外周絶縁部350のスプール貫通穴303に充填した電気絶縁性の樹脂中で固定される。このように、本例のプラグ一体型点火コイル1では、2次コイル32、電極部351及び中心電極22を含む高電圧部と、1次コイル31及びハウジング6を含む低電圧部とが外周絶縁部350によって完全に絶縁されている。
そのため、本例のプラグ一体型点火コイル1は、電気的な信頼性が高く、優れた点火性能を有する装置である。
【0058】
点火コイル3を構築する際には、図5に示すごとく、1次コイル31及び2次コイル32を巻回した円筒部30を、ハウジング6に挿通した後、後述する保持部材4をハウジング6の基端側に固定する。そして、点火コイル3全体を覆うようにカバー7を取り付ける。
【0059】
保持部材4は、図1、図8に示すごとく、ハウジング6の内径より小径の貫通穴40を軸方向に有する円筒形状を呈する部材である。貫通穴40は、後述するコネクタ43を嵌合するように構成してある。
保持部材4の外周面のうち、ハウジング6に収容される部分には、図5、図8に示すごとく、ハウジング6の雌ネジ部61とネジ結合する雄ネジ部41を形成してある。
【0060】
また、保持部材4の外周面のうち、ハウジング6に収容されず外部に露出する部分には、断面略六角形状を呈するナット部42を形成してある。そして、スパナ等の工具をナット部42に係合して保持部材4を回転させることにより、保持部材4の進退を可能としてある。
【0061】
また、保持部材4の軸方向における先端側の端面には、図5、図8に示すごとく、外周絶縁部350の端面300と対向する端面400を形成してある。
そして、保持部材4は、外周絶縁部350の螺入に伴って、端面400から外周絶縁部350の端面300に向けて軸方向の荷重を作用し得るように構成してある。
【0062】
コネクタ43は、図8に示すごとく、保持部材4の貫通穴40に嵌合するよう構成してなる樹脂製の部材である。このコネクタ43は、円筒状を呈していると共に、軸方向の1箇所に壁面44を形成してなる。この壁面44の存在により、コネクタ43の軸方向の両端面には、相互に連通しないへこみが形成されている。
【0063】
次に、本例のプラグ一体型点火コイル1の構築手順及び取り付け手順について説明する。
前述の手順により構築したスパークプラグ2を、中心電極22及び接地電極23を内燃機関の燃焼室800内に露出させた状態で、内燃機関のエンジンヘッド810に穿孔されたプラグホール811に装着する。このとき、スパークプラグ2は、所定の工具を用いて六角部206を軸芯中心に回転させてプラグホール811に固定される。
【0064】
また、図1に示すごとく、前述の手順により構築された点火コイル3を、フランジ830に挿通して固定する。そして、スパークプラグ2の絶縁碍子21の基端側から中心貫通孔210の中に点火コイル3の挿入先端部35を挿入し、バネ部材5を介して端子220と挿入先端部35の先端とを接触させる。即ち、該挿入先端部35は、絶縁碍子21の中心貫通孔210の内径よりも小さい外径を有するため、中心貫通孔210に強固に接合されることなく遊挿されている。
次いで、エンジンヘッドカバー820に対してフランジ830を固定具840によって固定することにより、本例のプラグ一体型点火コイル1が構築される。
【0065】
本例の点火コイル3は、上述のごとく、フランジ830に保持されているため、スパークプラグ2との接触状態を常に維持することができる。即ち、点火コイル3は、フランジ830に固定された位置から点火コイル3の軸方向にずれることがないため、スパークプラグ2と実質的に接触することがない。それ故、端子220と挿入先端部35の先端とが、バネ部材5を介して接触するという接触状態を保つことができる。
【0066】
また、この状態において、点火コイル3の重量は、フランジ830を介してエンジンヘッドカバー820に支承されている。それ故、点火コイル3の重量は、スパークプラグ2には直接かかっておらず、本例においては、バネ部材5の付勢によって、わずかにスパークプラグ2へと伝達されるのみである。
【0067】
次に、本例のプラグ一体型点火コイル1の点火動作について説明する。
上記プラグ一体型点火コイル1は、図1に示すごとく、点火装置に接続された直流端子311及びイグナイタ(図示せず)に結線されている点火端子312から1次コイル31に通電された後、通電が遮断されると2次コイル32に高電圧が発生する。
該高電圧は、電極部351、抵抗352及びバネ5を介して中心電極22に通電され、中心電極22と接地電極23との間の火花放電ギャップGにおいて電位差が発生することにより放電する。
【0068】
次に、本例のプラグ一体型点火コイル1の圧力検出動作について説明する。
内燃機関の燃焼室800の圧力が上昇すると燃焼室800に露出している絶縁碍子21が基端側に押圧される。このとき、取付金具20は、かしめ部205を介して基端側に引っ張られる。この引張により取付金具20の薄肉部204がひずみ、軸方向ひずみゲージ241及び周方向ひずみゲージ242の抵抗値が変化する。この変化をアンプ240で増幅して取り出すことで燃焼室の圧力を測定することができる。
【0069】
本例のプラグ一体型点火コイル1は、スパークプラグ2と電圧供給部品3としての点火コイル3とを組み合わせてなり、中心貫通孔210の中に挿入先端部35を挿入することにより構成している。また、点火コイル3の挿入先端部35は、絶縁碍子21の中心貫通孔210の内径よりも小さい外径を有する。そのため、プラグ一体型点火コイル1を構成する部品であるスパークプラグ2と点火コイル3とは、両者を強固に接合することなく、中心貫通孔210内に存在する端子220と挿入先端部35の先端とを接触させた状態でエンジンヘッド810のプラグホール811内に配設することができる。
【0070】
それ故、プラグ一体型点火コイル1におけるスパークプラグ2と点火コイル3との接続を、スパークプラグ2が点火コイル3等の重量をほとんど支承することがない構造とすることができる。そのため、エンジンヘッド810等の振動に起因して、点火コイル3に対して発生する過大な慣性力が、スパークプラグ2に作用することがない。したがって、スパークプラグ2に備え付けられた圧力センサ24は、振動による圧力のノイズの影響を受けることがなく、精度よく圧力測定を行うことができる。
【0071】
また、プラグ一体型点火コイル1におけるスパークプラグ2は、従来の圧力検出機能付きスパークプラグとは異なり、端子電極(図12における符号97参照)を絶縁碍子の基端側から外部に突出させる構造(図12参照)とする必要がないため、構成部品の削除又は長さの低減が可能となる。その結果、プラグ一体型点火コイル1の軽量化を図ることができる。
【0072】
また、本例では、従来の圧力検出機能付きスパークプラグにおける端子電極(図12における符号97参照)の機能を、点火コイル3の電極部351と抵抗体352とに持たせている。それ故、電極部351及び抵抗体352の長さを短くした分、絶縁碍子21の軸方向の長さを短くすることができるため、より一層スパークプラグ2の軽量化を図ることができる。
【0073】
また、本発明の電圧供給部品3は、上記のごとく、小型かつ高出力の点火コイル3であるため、プラグ一体型点火コイル1の小型化及び高出力化を図ることができる。
また、挿入先端部35の先端には、図4、図5に示すごとく、端子220と接触した際に弾性変形するバネ部材5の伸縮によって、挿入先端部35の先端と端子220との間の接触状態を常に維持することができる。
【0074】
また、挿入先端部35は、図4に示すごとく、高電圧電流を通電するための電極部351と、該電極部351の外周を囲う電気絶縁性を有する外周絶縁部350とよりなる。これにより、電極部351を端子220以外の他の部分と電気的に充分に絶縁することができるため、電極部351から中心電極22に、より一層安定的に高電圧を供給することができる。
【0075】
また、点火コイル3は、図4、図5に示すごとく、挿入先端部35の外周側に、スパークプラグ2の絶縁碍子21を外周側から非接触状態で覆う筒状突出部36を有しているため、中心貫通孔210等に直接的に水が浸入することを抑制することができる。また、本例のおいては、筒状突出部36は絶縁材料よりなるため、電極部351を端子220以外の他の部分と絶縁する長さを充分に確保することができる(図4における符号W、及び図12における符号w参照)。
【0076】
また、筒状突出部36には、図1、図4、図5に示すごとく、導電性材料よりなるハウジング6が配設されているため、ハウジング6に電磁波シールド機能を持たせることができる。そのため、点火コイル3から外部への、或いは外部から点火コイル3への電磁波によるノイズの影響を低減することができる。それ故、圧力センサ24に接続されて圧力検出信号を送信する導線70への電磁波によるノイズの影響を低減することができるため、圧力センサ24は精度よく圧力測定を行うことができる。
【0077】
以上のごとく、本例のプラグ一体型点火コイルによれば、内燃機関におけるエンジンヘッドからの振動によるノイズを低減して精度よく圧力測定を行うことができるプラグ一体型点火コイルを提供することができる。
【0078】
(実施例2)
本例は、図9に示すごとく、かしめ部205と絶縁碍子21との間に配設した圧力検出素子244が圧力センサ24に接続されているプラグ一体型点火コイル1の例である。
その他の構成及び作用効果は実施例1と同様である。
尚、図10に示すごとく、上記圧力検出素子244をエンジンヘッド810と取付金具20との間に設けても良いが、エンジンヘッド810の振動により圧力のノイズが増大してしまうおそれがある。
【0079】
(実施例3)
本例は、図11に示すごとく、実施例1のプラグ一体型点火コイル1を構成するスパークプラグ2を単独で用いた場合に適用可能な電圧供給部品としてのハイテンションコード3の例である。
本例のハイテンションコード3は、挿入先端部35と筒状突出部36と、フランジ830に保持されるプラグコード38とを有する。該プラグコード38は、ゴム製、或いは樹脂製の絶縁体380によって構成されており、該絶縁体380内には電極部351が挿通されている。
【0080】
プラグコード38は、図示しない点火電源に接続されており、該点火電源より送られてきた高圧電流を、電極部351及び抵抗体352を介してスパークプラグ2の端子220へと送電するよう構成されている。
また、プラグコード38は、フランジ830に保持されているため、上記スパークプラグ2とハイテンションコード3とを組み合わせる際には、実施例1と同様、スパークプラグ2にはハイテンションコード3の重量が直接かからないよう構成することができる。
【0081】
同図に示すごとく、プラグコード38の先端部を構成する挿入先端部35には、上記電極部351と抵抗体352とが設けられており、電極部351及び抵抗体352の外周を絶縁体380が覆っている。
本例のハイテンションコード3の挿入先端部35も、実施例1の点火コイル3と同様、スパークプラグ2における絶縁碍子21の中心貫通孔210の内径よりも小さい外径を有している。そして、ハイテンションコード3とスパークプラグ2とは、強固な結合をすることなく、バネ部材5を介して端子220と挿入先端部35とを接触させた状態で一体化されている。
【0082】
本例の場合には、電気的信頼性の高いハイテンションコード3を接続するため、スパークプラグ2に高電圧を供給することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
(実施例4)
本例は、図12に示すごとく、端子220が、導電性を有し、かつ、中心電極22よりも密度が小さい厚膜導体221により形成されているプラグ一体型点火コイル1の例である。即ち、挿入先端部35の先端側に配されたバネ部材5の先端側から中心電極22の基端側までは、厚膜導体221が充填されて端子220の役割を果たしている。
【0084】
上記厚膜導体221は、Au、Ag、Cu、Pt、Pdのうち少なくともいずれか一種を含有する金属粉とガラス粉と有機系の樹脂材料とを混合して作製したペーストを焼成したものである。そして、焼成前における樹脂材料の含有量は、焼成前の厚膜導体(ペースト)221の全重量に対して20〜40重量%である。
【0085】
また、中心電極22の基端側に設けられた碍子当接部223、及び該碍子当接部223を受ける中心貫通孔210に配された電極受け部213は、図4、図12に示すごとく、実施例1における碍子当接部223及び電極受け部213よりも先端側に配設してある。これに伴い、中心電極22の軸方向長さL2を、実施例1における中心電極22の軸方向長さL1(図4参照)よりも短くしてある。
その他は、実施例1と同様である。
【0086】
本例の場合には、中心電極22よりも密度が小さい厚膜導体221を端子220として配設した分、中心電極22の先端側から端子220の基端側までの重量をも低減することができる。特に、焼成前における上記樹脂材料の含有量が20〜40重量%の範囲内であれば、上記樹脂材料を焼成して蒸散させることによって、厚膜導体221の重量、ひいては、スパークプラグ2の重量を充分に低減することができる。その結果、エンジンヘッド等からの振動によるノイズを充分に低減することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0087】
(実施例5)
本例は、図13、図14に示すごとく、上記実施例4のプラグ一体型点火コイル1を改良した例である。即ち、スパークプラグ2の絶縁碍子21の基端面には凹形状からなる凹部214が形成されており、電圧供給部品3の外周絶縁部350には上記凹部214と隙間を保って凸形状からなる凸部354が対向配置されている。
【0088】
また、上記凹部214及び凸部354は、図13に示すごとく、プラグ一体型点火コイル1の中心軸Mを含む断面形状が略台形状に形成されている。また、凹部214及び凸部354は、それぞれ絶縁碍子21及び外周絶縁部354においてリング状に形成されている。また、凹214部及び凸部354の幅及び軸方向長さは0.5〜2mmである。また、凹部214は、凸部354の幅及び軸方向長さよりも若干大きく形成してある。
その他は、実施例1と同様である。
【0089】
本例の場合には、凹部214(プラグ側凹凸部)及び凸部354(電圧供給部品側凹凸部)が形成された分、端子220と挿入先端部35との接触点と、外部とを電気的に絶縁する絶縁距離(図13における符号W参照)を更に長く確保することができる。これにより、スパークプラグ2に安定的に高電圧を供給することができる。特に、凹部214及び凸部354の幅及び軸方向長さが0.5〜2mmであるため、凹部214及び凸部354を形成することによる効果を充分に発揮することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0090】
尚、プラグ側凹凸部及び電圧供給部品側凹凸部を構成する凹部又は凸部を、それぞれ複数個形成することもできる。
また、プラグ一体型点火コイルの中心軸を含む断面におけるそれぞれの凹凸部の断面形状を曲面とすることもできる。
その他、上記実施例5の構成とは逆に、プラグ側凹凸部を凸部、電圧供給部品側凹凸部を凹部として形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例1における、圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルの組付け構造を示す断面説明図。
【図2】実施例1における、圧力検出機能付きスパークプラグの側面図。
【図3】実施例1における、ひずみゲージの構造の説明図。
【図4】実施例1における、圧力検出機能付きスパークプラグと点火コイルとの組付け構造を示す断面説明図。
【図5】実施例1における、圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルの組み付け手順を示す断面説明図。
【図6】実施例1における、圧力検出機能付きスパークプラグの組み付け手順を示す断面説明図。
【図7】実施例1における、点火コイルの(a)高電圧部の説明図、(b)スプールの説明図、(c)碍子の説明図。
【図8】実施例1における、保持部材の断面説明図。
【図9】実施例2における、圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルの断面説明図。
【図10】実施例2における、圧力センサの配設位置を変えた場合の圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルの断面説明図。
【図11】実施例3における、圧力検出機能付きスパークプラグとハイテンションコードとを組み合わせた圧力検出機能付きプラグ一体型点火装置の断面説明図。
【図12】実施例4における、プラグ一体型点火コイルの先端側の断面説明図。
【図13】実施例5における、プラグ一体型点火コイルの先端側の断面説明図。
【図14】実施例5における、圧力検出機能付きスパークプラグの絶縁碍子の基端面の説明図。
【図15】従来例における、圧力検出機能付きスパークプラグの断面説明図。
【符号の説明】
【0092】
1 圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル
2 圧力検出機能付きスパークプラグ
20 取付金具
21 絶縁碍子
210 中心貫通孔
22 中心電極
23 接地電極
24 圧力センサ
3 スパークプラグ用電圧供給部品
3 点火コイル
31 1次コイル
32 2次コイル
35 挿入先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心貫通孔を有する絶縁碍子と、該絶縁碍子の先端から突出する状態で上記中心貫通孔に保持された中心電極と、上記絶縁碍子を突出させた状態で上記絶縁碍子を保持する取付金具と、該取付金具から延設され上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極と、上記絶縁碍子に伝わる燃焼室内の圧力を測定するための圧力センサとを有する圧力検出機能付きスパークプラグにおいて、
スパークプラグ用電圧供給部品と接続するための端子が、上記絶縁碍子における上記中心貫通孔の内部に没入した状態で配置されており、上記絶縁碍子の基端側から上記中心貫通孔の中に上記スパークプラグ用電圧供給部品の挿入先端部を挿入することにより該スパークプラグ用電圧供給部品と上記端子とが接触可能なように構成してあることを特徴とする圧力検出機能付きスパークプラグ。
【請求項2】
請求項1において、上記端子は、導電性を有し、かつ、上記中心電極よりも密度が小さい厚膜導体により形成されていることを特徴とする圧力検出機能付きスパークプラグ
【請求項3】
請求項2において、上記厚膜導体は、Au、Ag、Cu、Pt、Pdのうち少なくともいずれか一種を含有する金属粉とガラス粉と有機系の樹脂材料とを混合して作製したペーストを焼成したものであり、焼成前における上記樹脂材料の含有量は、上記ペーストの全重量に対して20〜40重量%であることを特徴とする圧力検出機能付きスパークプラグ。
【請求項4】
エンジンヘッドにおけるプラグホール内に挿入配置され、請求項1に記載の圧力検出機能付きスパークプラグに接続されるスパークプラグ用電圧供給部品であって、
上記圧力検出機能付きスパークプラグにおける上記絶縁碍子の上記中心貫通孔の内径よりも小さい外径を有する挿入先端部を有しており、該挿入先端部を上記中心貫通孔に挿入することにより、上記挿入先端部の先端と上記中心貫通孔内の上記端子とが接触可能なように構成してあることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品。
【請求項5】
請求項4において、上記挿入先端部の先端には、上記端子と接触した際に弾性変形するバネ部材が配設されていることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品。
【請求項6】
請求項4又は5において、上記挿入先端部は、高電圧電流を通電するための電極部と、該電極部の外周を囲う電気絶縁性を有する外周絶縁部とよりなることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項において、上記スパークプラグ用電圧供給部品は、上記挿入先端部の外周側に、上記圧力検出機能付きスパークプラグの上記絶縁碍子を外周側から非接触状態で覆う筒状突出部を有していることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品。
【請求項8】
請求項7において、上記筒状突出部には、導電性材料よりなるハウジングが配設されていることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか1項において、上記スパークプラグ用電圧供給部品は、同心円状に配設した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部と、該円筒部の先端側から突出した上記挿入先端部を有する点火コイルであることを特徴とするスパークプラグ用電圧供給部品。
【請求項10】
燃焼室内の圧力を測定するための圧力センサを備えた圧力検出機能付きスパークプラグと、該圧力検出機能付きスパークプラグに高電圧を供給するための1次コイル及び2次コイルを備えたスパークプラグ用電圧供給部品とを組み合わせてなる圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイルであって、
上記圧力検出機能付きスパークプラグは、中心貫通孔を有する絶縁碍子と、該絶縁碍子の先端から突出する状態で上記中心貫通孔に保持された中心電極と、上記絶縁碍子の先端を突出させた状態で上記絶縁碍子を保持する取付金具と、該取付金具から延設され上記中心電極の先端部との間に火花放電ギャップを形成する接地電極と、上記絶縁碍子に伝わる燃焼室内の圧力を測定するための圧力センサとを有し、上記スパークプラグ用電圧供給部品と接続するための端子が、上記絶縁碍子における上記中心貫通孔の内部に没入した状態で配置されており、
上記スパークプラグ用電圧供給部品は、同心円状に配設した1次コイル及び2次コイルを備えた円筒部と、該円筒部から突出した挿入先端部とを有する点火コイルであって、該挿入先端部の外径は上記絶縁碍子の上記中心貫通孔の内径よりも小さく設けてあり、
上記圧力検出機能付きスパークプラグの上記絶縁碍子の基端側から上記中心貫通孔の中に、上記点火コイルの上記挿入先端部を挿入することにより、該挿入先端部と上記端子とが接触していることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項11】
請求項10において、上記挿入先端部の先端には、上記端子と接触した際に弾性変形するバネ部材が配設されていることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項12】
請求項10又は11において、上記挿入先端部は、高電圧電流を通電するための電極部と、該電極部の外周を囲う電気絶縁性を有する外周絶縁部とよりなることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項において、上記スパークプラグ用電圧供給部品は、上記挿入先端部の外周側に、上記圧力検出機能付きスパークプラグの上記絶縁碍子を外周側から非接触状態で覆う筒状突出部を有していることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項14】
請求項13において、上記筒状突出部には、導電性材料よりなるハウジングが配設されていることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか一項において、上記端子は、導電性を有し、かつ、上記中心電極よりも密度が小さい厚膜導体により形成されていることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項16】
請求項15において、上記厚膜導体は、Au、Ag、Cu、Pt、Pdのうち少なくともいずれか一種を含有する金属粉とガラス粉と有機系の樹脂材料とを混合して作製したペーストを焼成したものであり、焼成前における上記樹脂材料の含有量は、上記ペーストの全重量に対して20〜40重量%であることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれか一項において、上記圧力検出機能付きスパークプラグは、上記絶縁碍子の基端面に凹凸形状を有するプラグ側凹凸部を有しており、上記スパークプラグ用電圧供給部品は、上記圧力検出機能付きスパークプラグと上記スパークプラグ用電圧供給部品とを組み付けた状態において上記プラグ側凹凸部と隙間を保って対向配置される凹凸形状を有する電圧供給部品側凹凸部を有することを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。
【請求項18】
請求項17において、上記プラグ側凹凸部及び上記電圧供給部品側凹凸部を構成する各凹部及び各凸部の幅及び軸方向長さは、0.5〜2mmであることを特徴とする圧力検出機能付きプラグ一体型点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−53074(P2007−53074A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137957(P2006−137957)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】