説明

基板搬送システム

【課題】搬送アームのベース上方に設けた撮像装置だけで,搬送アームのピック上の基板を検出する。
【解決手段】搬送アーム210と共に旋回自在に支持され,ピック側に配置されるピック側ミラー310を備えたピック側ユニット304とベース側に配置されるベース側ミラー312を備えたベース側ユニット306とを少なくとも有し,ピック側ミラーはピックに保持されたウエハWの周縁を含む画像をベース側に向けて反射するように配置し,ベース側ミラーはピック側ミラーからの画像をベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,ベース側ミラーからの画像が撮像領域に含まれるようにベースの上方に設けられた撮像装置130とを設け,撮像装置で取り込んだ当該画像に基づいて基板状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,搬送アームを用いて半導体ウエハ,液晶基板,太陽電池用基板などの基板を搬送する基板搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する際の装置として,半導体ウエハなどの基板に対して所定の処理を繰り返し施すために,多種多様なプロセスチャンバが組み合わされており,これらのチャンバ同士間及び基板を多数枚収容するカセットと上記チャンバとの間などに基板を自動的に受け渡しを行うための搬送アーム機構が設けられている。この搬送アーム機構は,例えば屈伸及び旋回自在になされた搬送アームを有しており,この搬送アームの先端に設けたピックで基板を保持して搬送するようになっている。
【0003】
このような搬送アーム機構では,基板の位置ずれや落下,損傷などが発生する虞があるので,従来より搬送アームのピックに光センサや発光器などの検出器を直接取り付けて,ピック上の基板の有無や位置ずれなどを検出するものがある(例えば下記特許文献1,2参照)。また,ピック以外に検出器を設けるものとして,プロセスチャンバの搬出入口付近に設けたCCDによって,基板を直接撮像することによって位置ずれを検出するものもある(例えば下記特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−60135号公報
【特許文献2】特開平07−69406号公報
【特許文献3】特開2008−306162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,上記特許文献1,2のようにピックに検出器を直接取り付けるものでは,ピックの数が多くなるほど検出器の数も増えてしまう。それだけでなく,その検出器を駆動する電力を供給のためのバッテリや配線もピックに取り付けなければならない。これらは熱に弱いため,例えば基板の搬送先が高温チャンバの場合には,ピックで基板を搬出入する際にその熱によって検出器自体だけでなく,バッテリや配線まで損傷する虞があるという問題がある。
【0006】
また,ピック以外に検出器を設ける場合には上記の問題は生じないものの,例えば上記特許文献3のようにCCDで基板を直接撮像して位置ずれを検出するものなどにおいては,そのCCDの撮像範囲に基板が入っていなければ検出できないため,ピックの数だけではなく,その動きなどに応じてCCDの数を増やしたり,CCDの配置位置を見直したりしなければならないという問題がある。
【0007】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,搬送先のチャンバや搬送アームの構成に拘わらず適用でき,検出器の数を減少できる基板搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板に所定の処理を施すプロセスチャンバに接続され,搬出入口を介して基板のやり取りを行うトランスファチャンバを備えた基板搬送システムであって,前記トランスファチャンバ内に設けられたベースに旋回自在に支持され,屈伸自在に構成された搬送アームと,前記搬送アームの先端に設けられ,前記基板を保持するピックと,前記ベースに前記搬送アームと共に旋回自在に支持され,前記ピック側に配置されるピック側ミラーを備えたピック側ユニットと前記ベース側に配置されるベース側ミラーを備えたベース側ユニットとを少なくとも有し,前記ピック側ミラーは前記ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像を前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記ベース側ミラーは前記ピック側ミラーからの画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,前記ベース側ミラーからの画像が撮像領域に含まれるように前記ベースの上方に設けられた撮像装置と,前記撮像装置で取り込んだ前記ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記基板の状態を検出する制御部と,を備えたことを特徴とする基板搬送システムが提供される。
【0009】
また,上記ミラーユニットは,例えば前記ピック側ユニットと前記ベース側ユニットとを連結ユニットで水平に連結して構成し,前記連結ユニットは,筒状に形成し,その両端で前記ピック側ミラーと前記ベース側ミラーが対向するように配置する。この場合,上記ベース側ユニットは前記ベースに支持したまま,前記ピック側ユニットは前記ピックに取り付け,前記連結ユニットは伸縮自在に構成してもよい。
【0010】
また,上記ミラーユニットは,前記ピック側ユニットと前記ベース側ユニットを水平に離間させて構成し,前記ベース側ユニットは前記ベースに支持したまま,前記ピック側ユニットは前記ピックに取り付け,前記ピック側ユニットと前記ベース側ユニットは,前記ピック側ミラーと前記ベース側ミラーが対向するように配置するようにしてもよい。
【0011】
また,上記ベースに前記搬送アームを複数設け,前記搬送アームごとに前記ミラーユニットを設け,前記各ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像をそれぞれ前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記各ベース側ミラーは前記各ピック側ミラーからの画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置し,前記撮像装置は,前記各ベース側ミラーからの画像がすべて撮像領域に含まれるように配置し,前記制御部は,前記撮像装置で取り込んだ前記各ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を一度に検出するようにしてもよい。この場合,上記複数の搬送アームのピックをそれぞれ鉛直方向にずらして設けた場合には,前記各ベース側ミラーが重ならないように,前記各ベース側ユニットを水平方向にずらして設けるようにしてもよい。
【0012】
また,上記ベースに前記搬送アームを水平に2つ並べて設け,これらのピックの中間に1つの前記ミラーユニットを設け,前記ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を両方含む画像を前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記ベース側ミラーは前記ピック側ミラーからの画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置し,前記撮像装置は,前記ベース側ミラーからの画像が撮像領域に含まれるように配置し,前記制御部は,前記撮像装置で取り込んだ前記ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を一度に検出するようにしてもよい。
【0013】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板に所定の処理を施すプロセスチャンバに接続され,搬出入口を介して基板のやり取りを行うトランスファチャンバを備えた基板搬送システムであって,前記トランスファチャンバ内に設けられたベースに旋回自在に支持され,屈伸自在に構成された複数の搬送アームと,前記搬送アームの先端に設けられ,前記基板を保持するピックと,前記ベースに前記搬送アームと共に旋回自在に支持され,前記各ピック側に配置されるピック側ミラーを備えた複数のピック側ユニットと前記ベース側に配置される複数のベース側ミラーを備えた1つのベース側ユニットとを有し,前記各ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像をそれぞれ前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記各ベース側ミラーは前記各ピック側ミラーからの画像をそれぞれ前記ベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,前記各ベース側ミラーからの画像がすべて撮像領域に含まれるように前記ベースの上方に設けられた撮像装置と,前記撮像装置で取り込んだ前記各ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を検出する制御部と,を備えたことを特徴とする基板搬送システムが提供される。
【0014】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板に所定の処理を施すプロセスチャンバに接続され,搬出入口を介して基板のやり取りを行うトランスファチャンバを備えた基板搬送システムであって,前記トランスファチャンバ内に設けられたベースに旋回自在に支持され,屈伸自在に構成された搬送アームと,前記搬送アームの先端に筒状連結部を介して設けられ,前記基板をそれぞれ保持する複数のピックと,前記ベースに前記搬送アームと共に旋回自在に支持され,前記各ピック側に配置されるピック側ミラーを備えた複数のピック側ユニットと前記ベース側に配置されるベース側ミラーを備えた1つのベース側ユニットとを有し,前記各ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像をそれぞれ前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記各ベース側ミラーは前記各ピック側ミラーからそれぞれ前記筒状連結部に設けられた中継ミラーを介して反射された画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,前記各ベース側ミラーからの画像がすべて撮像領域に含まれるように前記ベースの上方に設けられた撮像装置と,前記撮像装置で取り込んだ前記各ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を検出する制御部と,を備えたことを特徴とする基板搬送システムが提供される。
【0015】
また,上記搬送アームの前記ベースをスライド自在に設けて,前記ベースのスライド方向の複数の位置に停止して前記搬送アームを旋回させる場合には,その停止位置にそれぞれ前記撮像装置を設けるようにしてもよく,また上記搬送アームの前記ベースをスライド自在に設けて,前記撮像装置は前記ベースとともにスライド自在に設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,搬送先のチャンバや搬送アームの構成に拘わらず,ミラーユニットによって搬送アームのピックに保持された基板の画像をベース側で見ることができる。このため,搬送アームのベース上方に設けた撮像装置だけで,搬送アームのピック上の基板を検出できるので,検出器の数を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板搬送システムを適用したトランスファチャンバの構成例を示す断面図である。
【図2】同実施形態にかかるミラーユニットの第1構成例を説明するための図である。
【図3】図2に示すミラーユニットと搬送アーム装置を上方から見た平面図である。
【図4】同実施形態における搬送アームが旋回したときのミラーユニットの位置を説明するための図である。
【図5】図4に示すように搬送アームが旋回したときのベース側ミラーに映る画像を上方から見たものと,撮像装置の画像との関係を示す図である。
【図6】同実施形態にかかるミラーユニットの第2構成例を説明するための図である。
【図7】図6に示すミラーユニットと搬送アーム装置を上方から見た平面図である。
【図8A】ピックを前進させたときの第2構成例にかかるミラーユニットの動作説明図である。
【図8B】図8Aに続く第2構成例にかかるミラーユニットの動作説明図である。
【図8C】図8Bに続く第2構成例にかかるミラーユニットの動作説明図である。
【図9】同実施形態にかかるミラーユニットの第3構成例を説明するための図である。
【図10】図9に示すミラーユニットと搬送アーム装置を上方から見た平面図である。
【図11A】ピックを前進させたときの第3構成例にかかるミラーユニットの動作説明図である。
【図11B】図11Aに続く第3構成例にかかるミラーユニットの動作説明図である。
【図11C】図11Bに続く第3構成例にかかるミラーユニットの動作説明図である。
【図12】同実施形態にかかる搬送アームの他の構成例を説明するための図である。
【図13】図12に示す搬送アームに適用される他のミラーユニットの構成例を説明するための図である。
【図14】同実施形態にかかる搬送アームの他の構成例を説明するための図である。
【図15】図14に示す搬送アームに適用される他のミラーユニットの構成例を説明するための図である。
【図16】同実施形態にかかる搬送アームの他の構成例を説明するための図である。
【図17】同実施形態にかかる搬送アームの他の構成例を説明するための図である。
【図18】同実施形態にかかるトランスファチャンバの他の構成例を説明するための図である。
【図19】同実施形態にかかるトランスファチャンバの他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
(基板搬送システム)
先ず,本発明の実施形態にかかる基板搬送システムについて図面を参照しながら説明する。ここでは,基板搬送システムをプロセスチャンバなどとの間で基板をやり取りするトランスファチャンバに適用した場合の例を挙げて説明する。図1は,本実施形態にかかる基板搬送システム100の概略構成を示す断面図である。
【0020】
図1に示すトランスファチャンバ110は,ウエハWのプロセス処理を行うプロセスチャンバ120にゲートバルブ102を介して接続される。トランスファチャンバ110とプロセスチャンバ120はそれぞれ,例えばアルミニウム製の気密な容器112,122を備える。
【0021】
これら容器112,122の側壁にはそれぞれ,基板を搬出入する基板搬出入口113,123が対向して設けられている。これら基板搬出入口113,123はゲートバルブ102を開閉することで連通,遮断されるようになっている。
【0022】
プロセスチャンバ120内には,ウエハWを載置する載置台124が設けられている。なお,図1では載置台124以外の構成を省略しているが,プロセスチャンバ120は,ウエハWに対する処理に応じて様々な構成を適用可能である。例えばウエハWにエッチングや成膜などのプロセス処理を行う場合には,チャンバ内圧力を真空圧力に調整する真空ポンプなどの排気部,エッチングガスや成膜ガスなどをウエハW上に供給する処理ガス導入部などが設けられる。また高温でウエハWの処理を行う場合には載置台124にヒータや温調装置などを設けるようにしてもよい。
【0023】
また,このような真空雰囲気で処理を行うプロセスチャンバ120を接続する際など,トランスファチャンバ110内の圧力も調整する必要がある場合には,トランスファチャンバ110側にも図示しない不活性ガス導入部や真空ポンプなどの排気部が設けられる。
【0024】
トランスファチャンバ110の容器112内には,搬送アーム装置200が設けられている。搬送アーム装置200は,プロセスチャンバ120に対してウエハWを搬出入できるようになっている。具体的には搬送アーム装置200は,ベース220にモータ202によって旋回自在に支持された屈伸自在な搬送アーム210を備える。ここでの搬送アーム210は,複数(例えば2つ)のリンク230を接続したリンク機構により構成される。リンク230の先端には,ウエハWを保持するピック(エンドエフェクタ)240が設けられる。ピック240は搬送アーム210の屈伸によって,進退動作するようになっている。
【0025】
このような搬送アーム装置200でウエハWをプロセスチャンバ120に搬入する際には,ゲートバルブ102を開き,ウエハWを載置したピック240を搬出入口113,123を介してプロセスチャンバ120内に挿入し,載置台124に載置する。こうしてウエハWの搬入が完了すると,ピック240をプロセスチャンバ120から抜き出して,ゲートバルブ102を閉塞する。これにより,プロセスチャンバ120内ではウエハWの処理が行われる。この際,もしプロセスチャンバ120内に処理済みのウエハWが存在するときには,先にそれを搬出して図示しないロードロックチャンバなどに戻してから,新しいウエハWを搬入する。
【0026】
基板搬送システム100には,制御部(全体制御装置)140が接続されており,この制御部140によってトランスファチャンバ110,プロセスチャンバ120の各部などが制御されるようになっている。また,制御部140には,オペレータが管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや,稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなる操作部142が接続されている。
【0027】
さらに,制御部140には,ウエハWの搬送処理やウエハWに対するプラズマ処理の他,後述する撮像装置130の画像を取り込んでピック240上のウエハWの状態を検出したり,ウエハWの位置を補正したりする処理などの各種処理を制御部140の制御にて実現するためのプログラムやプログラムを実行するために必要な処理条件(レシピ)などが記憶された記憶部144が接続されている。
【0028】
記憶部144には,例えば複数の処理条件(レシピ)やウエハWの状態検出処理などで用いるデータが記憶されている。このうち処理条件については,各部を制御する制御パラメータ,設定パラメータなどの複数のパラメータ値をまとめたものである。各処理条件は例えば処理ガスの流量比,チャンバ内圧力,高周波電力などのパラメータ値を有する。
【0029】
なお,これらのプログラムや処理条件はハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく,またCD−ROM,DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶部144の所定位置にセットするようになっていてもよい。
【0030】
ところで,上述した搬送アーム装置200でウエハWを搬出入する場合,その搬送精度の誤差や温度の急激な変化などによって,ウエハWに位置ずれが生じる場合がある。特に位置ずれが大きい場合にはチャンバの搬出入口に当たってウエハWが損傷したり,ウエハを落下したりする虞もある。
【0031】
このため,ウエハWの状態を検出して,位置ずれが発生したらそれを修正するようにすることが好ましい。この場合,もしピック240やチャンバの搬出入口付近などに多数のセンサを設けてウエハWの有無やずれを直接検出するようにしたのでは,検出位置を増やすほどセンサの数も多くなり,プロセスチャンバ120やウエハWが高温(例えば200℃以上)になる場合には,ピック240を搬入したときに熱によってセンサやセンサを駆動するための駆動系などが損傷する虞が高くなる。
【0032】
そこで,本発明においては,搬送アーム装置200に複数のミラーを内蔵したミラーユニット300を取り付けて,ピック側のミラーに映るウエハWの端部画像をベース側のミラーに反射させて,その上方に配置した撮像装置130で取り込むようにした。これによれば,撮像装置130だけでウエハWの状態を検出できる。
【0033】
この場合,例えば図1に示すようにミラーユニット300は,搬送アーム装置200の旋回中心付近にベース側を配置して,搬送アーム装置200とともに旋回するように取り付ける。一方,撮像装置130はミラーユニット300のベース側ミラーの画像が撮像視野に入るように,ベース220の上方に配置する。撮像装置130はその光軸が搬送アーム210の旋回中心軸に一致するように配置することがより好ましい。
【0034】
図1は,この撮像装置130をトランスファチャンバ110の天井壁114上に支持部材132で支持した場合を例に挙げたものである。具体的には天井壁114に観察窓(ビューポート)116を設け,そこからトランスファチャンバ110内を覗くことができるように撮像装置130を配置している。なお,撮像装置130の支持方法は,搬送アーム装置200とともに旋回するように支持してもよく,また旋回しないように支持してもよい。
【0035】
撮像装置130としては,ミラーユニット300に映された画像を取り込むことができるものであればよい。例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラが挙げられる。
【0036】
このような構成によれば,搬送アーム210が旋回してその先端のピック240が旋回しても,ミラーユニット300も旋回するので,その旋回中においても常にウエハWの端部の画像は撮像装置130で取り込むことができる。なお,ミラーユニット300の具体的構成例は後述する。
【0037】
(ミラーユニットの第1構成例)
ここで,ミラーユニット300の第1構成例について説明する。図2,図3は,ミラーユニット300の第1構成例を説明するための図である。図2は,ミラーユニット300をその内部構成とともに説明するため,ミラーユニット300のみを断面図にしたものである。また,図3は,図2に示すミラーユニット300を含む搬送アーム装置200を上方から見た図を示す。
【0038】
図2に示すミラーユニット300は,搬送アーム210のピック側にウエハWの端部を覗くように鉛直に配置される筒状のピック側ユニット304と,ベース側に撮像手段の撮像領域に入るように鉛直に配置されるベース側ユニット306とを備える。これらユニット304,306は水平に配置される筒状の連結ユニット302によって接続される。
【0039】
具体的には,これらユニット304,306の側面にはそれぞれ互いに対向する位置に側部開口部305b,307bが形成され,これら側部開口部305b,307bが連結ユニット302によって連通するように接続される。なお,図2はこれらユニット302,304,306を一体で構成した場合を示しているが,これに限られるものではなく,それぞれを別体で構成してもよい。
【0040】
ピック側ユニット304には,その下方に設けられたピック側開口部305aと,この開口部305aを通してウエハWの端部を映すピック側ミラー310を備える。ベース側ユニット306には,その上方に設けられたベース側開口部307aと,この開口部307aを通してピック側ミラー310の画像を撮像装置130の撮像範囲に反射させるベース側ミラー312が設けられている。
【0041】
ピック側ミラー310とベース側ミラー312の位置や傾斜角度は,ピック側開口部305aを通してピック側ミラー310に映されたウエハWの端部の画像が,側部開口部305b,307bを通して,ベース側ミラー312を反射し,ベース側開口部307aを通して撮像装置130の撮像範囲に入るように調整される。図2では,ピック側ミラー310とベース側ミラー312を側部開口部305b,307bを介して対向するように配置し,それぞれ入射角と反射角が45度になるように傾斜させた場合を例に挙げているが,これに限定されるものではない。また,ピック側開口部305aとベース側開口部307aは,ミラーユニット300内にパーティクルなどが侵入しないように透明窓で塞ぐようにしてもよい。
【0042】
このような図2に示すミラーユニット300によれば,ピック240に載置されたウエハWの端部を含む画像は,ミラーユニット300内のピック側ミラー310,ベース側ミラー312を介して,例えば後述する図5の左欄のようにベース側開口部307aに映される。この画像は例えば図5の右欄のように撮像装置130で取り込まれ,この画像を解析することによってウエハWの状態を検出できる。
【0043】
これにより,搬送アーム210のピック240に保持されたウエハWの画像をベース220側で見ることができる。このため,搬送アーム210のベース220上方に設けた撮像装置130だけで,搬送アーム210のピック240上のウエハWを検出できるので,検出器の数を減少できる。
【0044】
図2に示すミラーユニット300は,搬送アーム210を旋回させるモータ202の駆動軸222に取り付けられる。この場合,搬送アーム210に直接取り付けても良いが,搬送アーム210の動作に干渉しないように取り付けることが好ましい。図2ではピック240の進退動作を行う方向の反対方向に支持部材320を介して取り付けている。
【0045】
これによれば,搬送アーム210が旋回しても,ミラーユニット300は支持部材320とともに同じ回転角度で旋回するので,常に搬送アーム210の反対側に位置することになる。このため,ミラーユニット300は搬送アーム210の旋回動作に邪魔になることはない。また,旋回したどの位置でピック240の進退動作を行っても,その進退動作の邪魔になることもない。
【0046】
ここで,搬送アーム210が旋回したときのミラーユニット300の位置と画像について説明する。図4は,搬送アーム210が旋回したときのミラーユニット300の位置を説明するための図である。図5は,搬送アーム210が旋回したときのミラーユニット300のベース側ユニット306のベース側ミラーに映る画像を上方から見たものと,撮像装置の画像との関係を示す図である。図4,図5では,(a)の搬送アーム210の旋回角度を0度としたときに,右に45度旋回したときの状態を(b)に示し,右に90度旋回したときの状態を(c)に示す。
【0047】
搬送アーム210が図3の矢印に示すように旋回すると,ミラーユニット300も搬送アーム210と一緒に同じ方向に同じ角度で旋回するようになっている。具体的には図4(a)に示す位置を旋回角度0度として,さらに右に旋回したときに,搬送アーム210の旋回角度が45度の場合は図4(b)に示すようにミラーユニット300の旋回角度も45度となり,搬送アーム210の旋回角度が90度の場合は図4(c)に示すようにミラーユニット300の旋回角度も90度となる。これによれば,搬送アーム210が旋回しても,ミラーユニット300のベース側ユニット306から見れば常に同じ方向の画像が映されることになる。
【0048】
従って,上記の例によれば,図4(a)〜(c)の各旋回角度の場合に,ベース側ユニット306のベース側ミラー312を上方から見た画像はそれぞれ図5(a)〜(c)の左欄のようになる。
【0049】
このため,もし撮像装置130が旋回する場合は,撮像装置130を搬送アーム210と同じ角度で旋回させることで,搬送アーム210が旋回しても常に同じ方向の画像を取り込むことができる。具体的には撮像装置130を例えばモータによって搬送アーム210と同じ方向に同じ角度で旋回させるようにする。このとき,搬送アーム210が旋回しても撮像装置130で取り込んだ画像の中心位置がずれないように,搬送アーム210の旋回中心軸上に撮像装置130の撮像範囲の中心を合わせるようにすることが好ましい。
【0050】
この場合には,撮像装置130の画像を補正しなくても図5(a)〜(c)の右欄に示すように撮像装置130ではウエハWの端部が常に同じ方向に向くような画像が得られる。これにより,搬送アーム210が旋回しても,ウエハWの端部を正確に検出することができる。
【0051】
これに対して,撮像装置130が旋回しない場合は,搬送アーム210が旋回すると,撮像装置130ではその旋回角度に応じて方向も変わった画像,すなわち図5(a)〜(c)の左欄の画像の向きのまま取り込まれる。そこで,この場合は,撮像装置130で取り込んだ画像の方を搬送アーム210が旋回角度に応じて回転させる補正を行うことによって,図5(a)〜(c)の右欄の画像にすることができる。これにより,撮像装置130を旋回させなくても,旋回させた場合と同様の補正画像からウエハWの端部を正確に検出することができる。
【0052】
このような撮像装置130によるウエハWの端部の画像からウエハWの状態を検出する制御について説明する。撮像装置130は上述したように制御部140に接続され,ミラーユニット300の上記のような画像を取り込むことができるようになっている。この場合の画像は上述したように図5(a)〜(c)の右欄のようになる。制御部140は,このような撮像装置130の画像,すなわちウエハWの端部(ここでは周縁曲線(エッジライン))の画像からウエハWの有無,位置ずれなどを検出する。
【0053】
先ず,ウエハWの有無については,ウエハWの周縁曲線を境界にして,ウエハWのある部分とない部分の明暗が異なるので,これによってウエハWの周縁曲線が存在するか否か,すなわちウエハWが存在するか否かを検出できる。具体的には,制御部140は撮像装置130から取り込んだ画像の中にウエハWの周縁曲線が存在すればピック240上にウエハW有りと判断し,ウエハWの周縁曲線が存在しなければピック240上にウエハW無しと判断する。
【0054】
次に,ウエハWの位置ずれについては,記憶部144に予め記憶されたウエハWの周縁曲線と,撮像装置130の画像中のウエハWの周縁曲線を比較することによって,ウエハWの中心位置を求める。これにより,本来のウエハWの中心位置と比較してウエハWの位置ずれを検出する。そして,ウエハWの位置ずれが検出された場合は,搬送アーム210でその位置ずれを解消する方向に補正しながら,ウエハWを載置台124に載置させる。
【0055】
このように,図2に示すミラーユニット300によれば,ピック側ミラー310に映るウエハWの端部画像をベース側ミラー312に反射させて,その上方に配置した撮像装置130で取り込むことができる。これにより,ピック240にセンサを設けなくても,撮像装置130だけでウエハWの状態(ウエハWの有無や位置ずれなど)を検出できる。なお,ミラーユニット300の構成は,図2に示すものに限られるものではない。ミラーユニット300の他の構成例について以下に説明する。
【0056】
(ミラーユニットの第2構成例)
次に,ミラーユニット300の第2構成例について説明する。図6,図7は,ミラーユニット300の第2構成例を説明するための図である。図6は,ミラーユニット300をその内部構成とともに説明するため,ミラーユニット300のみを断面図にしたものである。また,図7は,図6に示すミラーユニット300を含む搬送アーム装置200を上方から見た図を示す。図8A〜図8Cは,図7に示すピック240を前進させたときのミラーユニット300の動作説明図である。
【0057】
図6に示すミラーユニット300は,連結ユニット302を伸縮自在に構成したものである。具体的には,図6に示す連結ユニット302は,内径が徐々に小さくなるような連結部302a,302b,302cを備え,この順に出し入れ自在に挿入されることで,一方向に伸縮できるように構成されている。その他の構成は図2と同様であるため,詳細な説明を省略する。
【0058】
図6に示すミラーユニット300によれば,図8A〜図8Cに示すようにピック240の進退動作に応じて連結ユニット302を伸縮させることができる。これにより,搬送アーム210を旋回させた場合のみならず,ピック240を進退させた場合においても,ウエハWの端部の画像を検出することができる。これにより,ピック240が前進位置と後退位置で静止しているときだけでなく,進退動作している最中においてもピック240上のウエハWの状態を検出することができる。
【0059】
なお,図6に示す連結ユニット302は,3段構成で伸縮自在にしたものであるが,2段構成でもよく,また4段以上の構成にしてもよい。また,ピック240の進退動作に応じて伸縮するような構成であれば,図6に示す構成に限られるものではなく,例えば連結ユニット302を蛇腹状に構成してもよい。
【0060】
また,図6に示すピック側ユニット304は,ピック240に固定せずに配置してもよく,またピック240に固定して配置してもよい。ピック240に固定して配置する場合には,ピック240の進退動作とともにピック側ユニット304も動くので,連結ユニット302を自動的に伸縮させることができる。
【0061】
(ミラーユニットの第3構成例)
次に,ミラーユニット300の第3構成例について説明する。図9,図10は,ミラーユニット300の第3構成例を説明するための図である。図9は,ミラーユニット300をその内部構成とともに説明するため,ミラーユニット300のみを断面図にしたものである。また,図10は,図9に示すミラーユニット300を含む搬送アーム装置200を上方から見た図を示す。
【0062】
図9に示すミラーユニット300は,ピック側ユニット304とベース側ユニット306を連結ユニット302で接続しないで構成したものである。具体的には,ピック側ユニット304とベース側ユニット306とを別体にしてこれらの側部開口部305b,307bがそれぞれ対向するように,ピック側ユニット304をピック240側に設け,ベース側ユニット306をベース220側に設けたものである。
【0063】
図9では,ピック240の基端にウエハWの端部が張り出すように段部242を形成し,その段部242にピック側ユニット304をそのピック側開口部305aを上側に向けて配置した場合を例に挙げている。この場合,ピック側ミラー310はピック側開口部305aからウエハWの端部が映るように,図2とは上下逆向きに鏡面が上を向くように傾斜させる。その他の構成は図2と同様であるため,詳細な説明を省略する。
【0064】
図9に示すミラーユニット300によれば,連結ユニット302がないので,図11A〜図11Cに示すようにピック240を進退させた場合においても,ウエハWの端部の画像を検出することができる。これにより,ピック240が前進位置と後退位置で静止しているときだけでなく,進退動作している最中においてもピック240上のウエハWの状態を検出することができる。
【0065】
なお,トランスファチャンバ110に設けられる搬送アーム装置として,単一の搬送アーム210を備えたものにミラーユニットを設けた場合を例に挙げて説明したが,これに限られるものではなく,後述するように複数の搬送アームを備えた搬送アーム装置に上述したミラーユニット300を設けることも可能である。
【0066】
また,図9に示すミラーユニット300は,ピック側開口部305aとベース側開口部307aのみならず側部開口部305b,307bについても透明窓で塞ぐようにしてもよい。これにより,各ユニット304,306へのパーティクルなどの侵入を防止できる。
【0067】
(搬送アーム装置の他の構成例)
ここで,搬送アーム装置の他の構成例について説明する。ここでは,複数の搬送アームを設けた搬送アーム装置にミラーユニットを適用する場合を例に挙げる。
【0068】
先ず,図12に示すように,各ピック240A,240Bが隣に並ぶように2つの搬送アーム210A,210Bを水平に配置した搬送アーム装置200に,上記第1構成例にかかるミラーユニット300を適用した場合について説明する。
【0069】
図12に示す搬送アーム装置200は,2つの搬送アーム210A,210Bを隣に並ぶように水平に並べて設けたものである。具体的には搬送アーム210Aは,2つのリンク230Aにより屈伸自在にベース220に取り付けられ,この隣に搬送アーム210Bは,2つのリンク230Bにより屈伸自在にベース220に取り付けられている。下側のリンク230A,230Bにはそれぞれ駆動リンク234A,234Bが取り付けられ,駆動リンク234A,234Bはベース220に回転自在に取り付けられた回転台236に取り付けられている。
【0070】
これによれば,回転台236を回転させることにより,駆動リンク234A又は234Bによってリンク230A又はリンク230Bを屈伸させてピック240A又は240Bを進退させることができる。
【0071】
このような図12に示す搬送アーム装置200には,搬送アーム210A,210Bにそれぞれ図3と同様のミラーユニット300A,300Bを取り付けることができる。これによれば,2つのミラーユニット300A,300Bのベース側ユニット306A,306Bにはそれぞれ,ピック側ユニット304A,304Bからの各ウエハWの端部が反射してその画像が現れる。
【0072】
これらベース側ユニット306A,306Bの画像が同時に撮像装置130の撮像視野に入るようにすることで,撮像装置130で両方のピック240A,240Bに載置されたウエハWの端部の画像を同時に取り込むことができるので,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0073】
なお,図12に示す搬送アーム装置200に適用されるミラーユニット300は,上記第1構成例にかかるものに限られるものではなく,上記第2,第3構成例にかかるものを適用してもよい。この場合,上記第2,第3構成例にかかるミラーユニット300についても,図12の場合と同様に各搬送アームにそれぞれ1つずつ設けることで,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0074】
また,図12に示すように2つのピック240A,240Bを並べて設けた搬送アーム装置200では,各搬送アーム210に1つずつミラーユニット300を設けなくても,各搬送アーム210に共通のミラーユニット300を1つだけ設けるようにしてもよい。具体的には例えば図13に示すように,2つのピック240A,240Bの間に図3と同様の構成のミラーユニット300を1つだけ設け,ピック側ユニット304のピック側開口部305aにこれらに載置された各ウエハWの端部が両方入る位置(例えば図13の位置)に配置する。これによれば,ベース側ユニット306には各ウエハWの端部が両方映されるので,この画像を撮像装置130で取り込むことで,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0075】
次に,図14に示すように,各ピック240A,240Bの進退方向が反対になるように2つの搬送アーム210A,210Bを水平に配置した搬送アーム装置200に,上記第1構成例にかかるミラーユニット300を適用した場合について説明する。
【0076】
図14に示す搬送アーム装置200は,2つの搬送アーム210A,210Bを進退方向が反対になるように水平に並べて設けたものである。具体的には搬送アーム210Aは,左右2つのリンク230Aの先端にピック240Aが設けられるとともに,搬送アーム210Bは,左右2つのリンク230Bの先端にピック240Bが設けられている。リンク230A,230Bはそれぞれ駆動リンク234A,234Bの一端に連結されている。この駆動リンク234A,234Bの他端はそれぞれベース220に回転自在に取り付けられている。
【0077】
これによれば,駆動リンク234A,234Bをピック240Aの進退方向に動かすことによってピック240Aを進退させることができ,駆動リンク234A,234Bをピック240Bの進退方向に動かすことによってピック240Bを進退させることができる。
【0078】
このような図14に示す搬送アーム装置200には,搬送アーム210A,210Bにそれぞれ図3と同様のミラーユニット300A,300Bを取り付けることができる。これによれば,2つのミラーユニット300A,300Bのベース側ユニット306A,306Bにはそれぞれ,ピック側ユニット304A,304Bからの各ウエハWの端部が反射してその画像が現れる。
【0079】
これらベース側ユニット306A,306Bの画像が同時に撮像装置130の撮像視野に入るようにすることで,撮像装置130で両方のピック240A,240Bに載置されたウエハWの端部の画像を同時に取り込むことができるので,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0080】
なお,図14に示す搬送アーム装置200に適用されるミラーユニット300は,上記第1構成例にかかるものに限られるものではなく,上記第2,第3構成例にかかるものを適用してもよい。この場合,上記第2,第3構成例にかかるミラーユニット300についても,図12の場合と同様に各搬送アームにそれぞれ1つずつ設けることで,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0081】
また,図14に示すように2つのピック240A,240Bを進退方向が反対になるように並べて設けた搬送アーム装置200では,ミラーユニット300A,300Bは一直線に並ぶため,図15に示すようにベース側ユニット306Aと306Bで連結してミラーユニット300A,300Bを一体化するようにしてもよい。この場合,図15に示すように,1つの共通するベース側ユニット306を連結ユニットの結合部(中央部)に配置して,その内部に各ベース側ミラー312A,312Bを図14と同様の角度で配置し,この共通のベース側ユニット306のベース側開口部307aから各ベース側ミラー312A,312Bの画像が見えるようにしてもよい。これによれば,ベース側ユニット306には各ウエハWの端部が両方映されるので,この画像を撮像装置130で取り込むことで,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0082】
次に,図16に示すように,各ピック240A,240Bを連結して搬送アーム210A,210Bに接続し,ピック240A,240Bが同方向に同時に進退するように構成した搬送アーム装置200に,ミラーユニット300を適用する場合について説明する。
【0083】
図16に示す搬送アーム装置200は,2つのピック240A,240Bを同方向に向けて離間した状態で,略コ字型の筒状連結部308の両端にそれぞれ接続し,この筒状連結部308に搬送アーム210A,210Bのリンク230A,230Bを接続して構成される。
【0084】
これによれば,リンク230A,230Bをピック240A,240Bの進退方向に屈伸させることによって,ピック240A,240Bを同方向に同時に進退させることができる。
【0085】
このような図16に示す搬送アーム装置200には,図10に示すミラーユニット300を変形して適用することができる。具体的には例えば図10と同様のピック側ユニット304A,304Bをそれぞれ各ピック240A,240Bに配置し,図10と同様のベース側ユニット306をベース側に配置する。
【0086】
そして,筒状連結部308に複数の中継ミラーを設けることによって,ピック側ユニット304A,304Bに映されるウエハWの端部の画像をベース側ユニット306に向けて反射させる。具体的には,筒状連結部308のピック240Aを接続する方に中継ミラー314A,316Aを設け,ピック240Bを接続する方に中継ミラー314B,316Bを設ける。
【0087】
中継ミラー314A,314Bは,それぞれピック側ミラー310A,310Bに映る画像が,筒状連結部308の中央付近に設けた中継ミラー316A,316Bに反射するように配置される。また,筒状連結部308の中央付近には,ベース側ユニット306に対向するように側部開口部309が設けられ,中継ミラー316A,316Bに映るピック側ミラー310A,310Bの画像は側部開口部309を通してベース側ユニット306のベース側ミラー312に映るようになっている。
【0088】
このベース側ユニット306の画像が撮像装置130の撮像視野に入るようにすることで,撮像装置130で両方のピック240A,240Bに載置されたウエハWの端部の画像を同時に取り込むことができるので,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0089】
次に,図17に示すように,各ピック240A,240Bを上下に配置されるように2つの搬送アーム210A,210Bを設けた搬送アーム装置200に,上記第3構成例にかかるミラーユニット300を適用した場合について説明する。
【0090】
このような図17に示す搬送アーム装置200には,図9に示す場合と同様に,ピック240A,240Bの基端にそれぞれウエハWの端部が張り出すように段部242A,242Bを形成し,その段部242A,242Bにピック側ユニット304A,304Bを配置する。この場合,ベース側ユニット306A,306Bはそれぞれ水平方向にずらして配置する。
【0091】
このように,ベース側ユニット306A,306Bをずらすことによってこれらの画像を同時に撮像装置130の撮像視野に入るようにすることができる。これにより,撮像装置130で両方のピック240A,240Bに載置されたウエハWの端部の画像を同時に取り込むことができるので,ピック240A,240Bの各ウエハWの状態を同時に検出できる。
【0092】
なお,ベース側ユニット306A,306Bは,図17に示すように連結してもよく,別体としてもよい。また,1つのベース側ユニット306の内部にベース側ミラー312A,312Bをずらして設けるようにしてもよい。これによっても,撮像装置130で両方のピック240A,240Bに載置されたウエハWの端部の画像を同時に取り込むことができる。
【0093】
以上,本発明にかかる基板搬送システムを適用可能なトランスファチャンバの具体例として,図1に示すような1つのプロセスチャンバが接続したものを例に挙げて説明したが,これに限られるものではなく,複数のプロセスチャンバやロードロックチャンバが接続されてこれらとの間でウエハWのやり取りを行うトランスファチャンバに適用してもよい。
【0094】
(基板搬送システムを適用可能なトランスファチャンバの他の構成例)
ここで,本発明にかかる基板搬送システムを適用可能なトランスファチャンバの他の構成例について図面を参照しながら説明する。図18は,4つのプロセスチャンバを接続した6角形のトランスファチャンバの構成例を示す。
【0095】
図18のトランスファチャンバ110は6角形に構成され,その周囲に4つのプロセスチャンバ120A〜120Dと2つのロードロックチャンバLLA,LLBがそれぞれゲートバルブ102を介して接続されている。このトランスファチャンバ110内には,例えば図13に示す搬送アーム装置200が略中央に設けられている。
【0096】
ロードロックチャンバLLA,LLBには大気側の図示しないローダーチャンバが接続され,ローダーチャンバには複数のウエハWが収容された収納容器がセットできるようになっている。ローダーチャンバから必要に応じて新しいウエハWがローディングされると,それを搬送アーム装置200で取り出して,処理を実行するプロセスチャンバに搬送する。
【0097】
このとき,搬送アーム装置200は,搬送アーム210A,210Bを旋回させることによって,アクセスしたいチャンバの方向に向けて,搬送アーム210A又は210Bを進退させることによってウエハWの搬出入を行うようになっている。
【0098】
この図18に示すトランスファチャンバ110に基板搬送システム100を適用する場合は,搬送アーム装置200に上述したミラーユニット300を設けるとともに,トランスファチャンバ110の天井壁114における略中央の位置P1に撮像装置130を取り付ける。
【0099】
なお,本発明にかかる基板搬送システムは,搬送アーム装置200自体が例えば水平方向に移動可能に構成されたトランスファチャンバに適用することも可能である。このようなトランスファチャンバの構成例を図19に示す。
【0100】
図19に示すトランスファチャンバ110は一方向に長い6角形に構成され,その周囲に6つのプロセスチャンバ120A〜120Fと2つのロードロックチャンバLLA,LLBがそれぞれゲートバルブ102を介して接続されている。このトランスファチャンバ110内には,例えば図13に示す搬送アーム装置200がトランスファチャンバ110のその長手方向に沿って設けられた案内レール118に沿ってスライド自在に設けられている。
【0101】
このような搬送アーム装置200では,そのスライド方向の位置はアクセスするチャンバに応じて予め設定されている。ここではトランスファチャンバ110内の先端側寄り位置P1と基端側寄り位置P2が予め設定されている場合を例に挙げる。
【0102】
例えば4つのプロセスチャンバ120A〜120Dのいずれかにアクセスする際には,搬送アーム装置200を先端側寄り位置P1に配置させる。この位置P1で搬送アーム210A,210Bを旋回させることによって,アクセスしたいチャンバの方向に向けて,搬送アーム210A又は210Bを進退させることによってウエハWの搬出入を行うことができる。
【0103】
また2つのプロセスチャンバ120E,120Fと2つのロードロックチャンバLLA,LLBのいずれかにアクセスする際には,搬送アーム装置200を基端側寄り位置P2に配置させる。この位置P2で搬送アーム210A,210Bを旋回させることによって,アクセスしたいチャンバの直前に対向させて,搬送アーム210A又は210Bを進退させることによってウエハWの搬出入を行うことができる。
【0104】
この図19に示すトランスファチャンバ110に基板搬送システム100を適用する場合は,搬送アーム装置200に上述したミラーユニット300を設けるとともに,トランスファチャンバ110の天井壁114の位置P1,P2にそれぞれ,撮像装置130A,130Bを取り付ける。
【0105】
これによれば,搬送アーム装置200がトランスファチャンバ110の位置P1の位置にある場合は,撮像装置130AによってウエハWの状態を検出し,搬送アーム装置200がトランスファチャンバ110の位置P2の位置にある場合は,撮像装置130BによってウエハWの状態を検出する。これによれば,搬送アーム装置200がP1,P2のいずれの位置にあっても,ウエハWの状態を検出できる。
【0106】
なお,上記図19では,複数の撮像装置を設ける場合を例に挙げて説明したが,これに限られるものではない。例えば図19に示すトランスファチャンバ110の天井壁114に1つの撮像装置をスライド自在に設け,搬送アーム装置200のスライド動作に応じて撮像装置をスライドさせるようにしてもよい。これによれば,搬送アーム装置200の旋回位置だけでなく,スライド動作中においてもウエハWの状態を検出することができる。
【0107】
また,上述した図18,図19の例はともに,図13に示すミラーユニット300を設けた例を図示したものであるが,搬送アーム装置200もミラーユニット300もこれに限られるものではない。例えば上述した搬送アーム装置200のいずれを適用してもよく,さらにその搬送アーム装置に応じて上述した各構成例のミラーユニット300を適用することができる。
【0108】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は,搬送アームを用いて基板を搬送する基板搬送システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
100 基板搬送システム
102 ゲートバルブ
110 トランスファチャンバ
112 容器
113 基板搬出入口
114 天井壁
116 観察窓
118 案内レール
120,120A〜120F プロセスチャンバ
122 容器
123 基板搬出入口
124 載置台
130,130A,130B 撮像装置
132 支持部材
140 制御部
142 操作部
144 記憶部
200 搬送アーム装置
202 モータ
210,210A,210B 搬送アーム
220 ベース
222 駆動軸
230 230A,230B リンク
234A,234B 駆動リンク
236 回転台
240,240A,240B ピック
242 242A,242B 段部
300,300A,300B ミラーユニット
302 連結ユニット
302a,302b,302c 連結部
304A,304B ピック側ユニット
305a ピック側開口部
305b 側部開口部
306,306A,306B ベース側ユニット
307a ベース側開口部
307b 側部開口部
308 筒状連結部
309 側部開口部
310,310A,310B ピック側ミラー
312,312A,312B ベース側ミラー
314A,314B,316A,316B 中継ミラー
320 支持部材
LLA,LLB ロードロックチャンバ
W ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の処理を施すプロセスチャンバに接続され,搬出入口を介して基板のやり取りを行うトランスファチャンバを備えた基板搬送システムであって,
前記トランスファチャンバ内に設けられたベースに旋回自在に支持され,屈伸自在に構成された搬送アームと,
前記搬送アームの先端に設けられ,前記基板を保持するピックと,
前記ベースに前記搬送アームと共に旋回自在に支持され,前記ピック側に配置されるピック側ミラーを備えたピック側ユニットと前記ベース側に配置されるベース側ミラーを備えたベース側ユニットとを少なくとも有し,前記ピック側ミラーは前記ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像を前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記ベース側ミラーは前記ピック側ミラーからの画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,
前記ベース側ミラーからの画像が撮像領域に含まれるように前記ベースの上方に設けられた撮像装置と,
前記撮像装置で取り込んだ前記ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記基板の状態を検出する制御部と,
を備えたことを特徴とする基板搬送システム。
【請求項2】
前記ミラーユニットは,前記ピック側ユニットと前記ベース側ユニットとを連結ユニットで水平に連結して構成し,
前記連結ユニットは,筒状に形成し,その両端で前記ピック側ミラーと前記ベース側ミラーが対向するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送システム。
【請求項3】
前記ベース側ユニットは前記ベースに支持したまま,前記ピック側ユニットは前記ピックに取り付け,
前記連結ユニットは伸縮自在に構成したことを特徴とする請求項2に記載の基板搬送システム。
【請求項4】
前記ミラーユニットは,前記ピック側ユニットと前記ベース側ユニットを水平に離間させて構成し,
前記ベース側ユニットは前記ベースに支持したまま,前記ピック側ユニットは前記ピックに取り付け,
前記ピック側ユニットと前記ベース側ユニットは,前記ピック側ミラーと前記ベース側ミラーが対向するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送システム。
【請求項5】
前記ベースに前記搬送アームを複数設け,前記搬送アームごとに前記ミラーユニットを設け,
前記各ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像をそれぞれ前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記各ベース側ミラーは前記各ピック側ミラーからの画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置し,
前記撮像装置は,前記各ベース側ミラーからの画像がすべて撮像領域に含まれるように配置し,
前記制御部は,前記撮像装置で取り込んだ前記各ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を一度に検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板搬送システム。
【請求項6】
前記複数の搬送アームのピックをそれぞれ鉛直方向にずらして設けた場合には,前記各ベース側ミラーが重ならないように,前記各ベース側ユニットを水平方向にずらして設けたことを特徴とする請求項5に記載の基板搬送システム。
【請求項7】
前記ベースに前記搬送アームを水平に2つ並べて設け,これらのピックの中間に1つの前記ミラーユニットを設け,
前記ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を両方含む画像を前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記ベース側ミラーは前記ピック側ミラーからの画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置し,
前記撮像装置は,前記ベース側ミラーからの画像が撮像領域に含まれるように配置し,
前記制御部は,前記撮像装置で取り込んだ前記ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を一度に検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の基板搬送システム。
【請求項8】
基板に所定の処理を施すプロセスチャンバに接続され,搬出入口を介して基板のやり取りを行うトランスファチャンバを備えた基板搬送システムであって,
前記トランスファチャンバ内に設けられたベースに旋回自在に支持され,屈伸自在に構成された複数の搬送アームと,
前記搬送アームの先端に設けられ,前記基板を保持するピックと,
前記ベースに前記搬送アームと共に旋回自在に支持され,前記各ピック側に配置されるピック側ミラーを備えた複数のピック側ユニットと前記ベース側に配置される複数のベース側ミラーを備えた1つのベース側ユニットとを有し,前記各ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像をそれぞれ前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記各ベース側ミラーは前記各ピック側ミラーからの画像をそれぞれ前記ベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,
前記各ベース側ミラーからの画像がすべて撮像領域に含まれるように前記ベースの上方に設けられた撮像装置と,
前記撮像装置で取り込んだ前記各ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を検出する制御部と,
を備えたことを特徴とする基板搬送システム。
【請求項9】
基板に所定の処理を施すプロセスチャンバに接続され,搬出入口を介して基板のやり取りを行うトランスファチャンバを備えた基板搬送システムであって,
前記トランスファチャンバ内に設けられたベースに旋回自在に支持され,屈伸自在に構成された搬送アームと,
前記搬送アームの先端に筒状連結部を介して設けられ,前記基板をそれぞれ保持する複数のピックと,
前記ベースに前記搬送アームと共に旋回自在に支持され,前記各ピック側に配置されるピック側ミラーを備えた複数のピック側ユニットと前記ベース側に配置されるベース側ミラーを備えた1つのベース側ユニットとを有し,前記各ピック側ミラーは前記各ピックに保持された前記基板の周縁を含む画像をそれぞれ前記ベース側に向けて反射するように配置し,前記各ベース側ミラーは前記各ピック側ミラーからそれぞれ前記筒状連結部に設けられた中継ミラーを介して反射された画像を前記ベースの上側に向けて反射するように配置したミラーユニットと,
前記各ベース側ミラーからの画像がすべて撮像領域に含まれるように前記ベースの上方に設けられた撮像装置と,
前記撮像装置で取り込んだ前記各ベース側ミラーからの画像に基づいて,前記各基板の状態を検出する制御部と,
を備えたことを特徴とする基板搬送システム。
【請求項10】
前記搬送アームの前記ベースはスライド自在に設けられ,前記ベースのスライド方向の複数の位置に停止して前記搬送アームを旋回させる場合には,その停止位置にそれぞれ前記撮像装置を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基板搬送システム。
【請求項11】
前記搬送アームの前記ベースはスライド自在に設けられ,前記撮像装置は前記ベースとともにスライド自在に設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の基板搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−110200(P2013−110200A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252581(P2011−252581)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】