説明

基板搬送保管容器及びその使用方法

【課題】 基板搬送容器固定用のラッチ動作で容器を開ける際に、ファンの運転に伴う気流が発生せず、汚染粒子の吸込みなどを生じない基板搬送容器及び使用方法を提供する。
【解決手段】 基板を内部に収容すると共に基板搬出入用の開口部を持った容器本体と該開口部を開閉可能なドアとで構成される基板搬送保管容器において、基板搬送保管容器は、ファンを内蔵し気流を形成する手段を有する環境ボックスと、ドアをロックするロック機構とを備え、ロック機構の開閉ロック動作を検知するセンサを設けた基板搬送保管容器。センサが前記基板搬送保管容器のロック機構のツメに取り付けられ、センサによりロック状態を検知する。ロック機構のロックの解除動作が開始される前に環境ボックスのファンに停止信号が送信されて、基板搬送保管容器が開く前に環境ボックスのファンの運転が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、フォトマスク又はハードディスク等の被処理物を極めて清浄度の高い雰囲気下で保管又は搬送するのに使用して好適な基板搬送保管容器のドアと容器本体(Pod)のロック状態を検知するセンシング機構を備えた基板搬送保管容器に関し、特に、前記基板搬送保管容器(ポッド)のロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ、或いは液晶デバイス用のガラス基板等を保管又は搬送する場合には、塵埃等の微粒子やガス状汚染物質が基板に付着すると、基板が汚染され、デバイスの製造歩留まりの低下につながる。このため、半導体ウェハやガラス基板等の高清浄度を要求される基板を保管・搬送するには、微粒子等の汚染物質やガス状汚染物質の存在しない清浄空間を作りだし、その空間内に基板を収納し、保管・搬送することが必要である。
このような半導体ウェハや磁気ディスク等の基板の搬送・保管の場合に基板を収容する清浄空間を作るため、ファンモータとHEPA(high efficiency particle air)フィルタやULPA(ultra low penetration air)フィルタを搭載した基板搬送保管容器等が開発されている。このような基板搬送保管容器においては、更にガス状汚染物質の悪影響を避けるため、ケミカルフィルタ等のガス状不純物の除去フィルタが配置されている。また、湿度を低減するために乾燥剤等の湿度除去手段が配置されている。
【0003】
作業者による人為的なミスや、作業者から発生する微量のアンモニアや有機物による半導体ウェハ等の基板の汚染を防止するには、基板の取り扱い空間から作業者を遠ざけることが有効であり、その手段として自動化設備の導入がある。この自動化設備に対応した基板搬送容器は、例えば、図3(a)に示すようにSMIF(Standard Mechanical InterFace)容器(Pod)や、図3(b)に示すようにFOUP(Front Opening Unified Pod)があり、この搬送容器を所定の位置に位置決めし、外部からドアを開閉するためのドアオープナや、自動搬送するための搬送装置と合わせて使用する。SMIF容器(Pod)やFOUPは密閉容器であり、容器外の清浄度、即ちクリーンルームの清浄度を緩くすることができる。
【0004】
上記したように、半導体ウェハや磁気ディスク等の基板の搬送・保管には基板搬送保管容器が用いられているが、前記ウェハ搬送保管容器(基板搬送保管容器)には下記のような問題点が存在する。
(1)基板搬送保管容器は容器(ポッド)とドアから構成されており、両者はツメ状のロック機構により固定できるようになっているが、ロック状態か否かを検知する機構は有していない。
(2)環境ボックスのドア開閉検知の機構は、図5に示すようなドア上及びポッドに取り付けたマグネットセンサ15を用いているが、この場合、ポッド(容器)とドアがセンサの重なりの分だけ開いた位置でセンサ検知を行うことになる。
「特許文献1」には、空気清浄器及び/又は除湿機を備え、基板を収納するための基板搬送保管容器において、ドア及び/又は容器に検知センサを持ち、ドアが開放している時に、空気清浄器及び/又は除湿機の運転を停止することを特徴とした空気清浄器及び/又は除湿機を備えた基板搬送容器が記載されている。
【0005】
(3)しかし、ドアを開けるとき上記センサによって、開いた状態を検知しファンを止めることが出来るが、図5に示すように常用されているセンサでは、ポッド(容器)のドアが開く前(事前)にファンを停止させることが出来ないため、ドアを開けた瞬間にファンの運転によって発生する気流によるパーティクルの吸込み、舞い上げを発生する懸念がある。これは図5に示すように、センサでドアの開放を検知する前にポッド(容器)とドアのシールが効かなくなってしまうからである。
なお、図4の基板搬送容器では気流の流れがファンからフィルタ、ウェハの間を通過した気体が、容器の左右内壁面に沿ってファンに戻る例を示している。
【特許文献1】特開2002−261159号公報、第2頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、ウェハ搬送保管容器(基板搬送保管容器)において、従来にない形式の、ドアと容器(Pod)のロック状態を検知する機構を提供しようとするものである。ウェハ搬送保管容器(基板搬送保管容器)を開ける際は外部雰囲気の巻込みがないように容器内循環気流がないことが望ましく、容器(Pod)固定用のラッチ動作を検知することによって容器を開ける前にファンの運転を停止させることができ、容器を開けたとき気流が発生せず、パーティクルの吸込み、舞い上げを生じない基板搬送保管容器(以下基板搬送容器と言う)及びその運転方法を提供することを課題とするものである。
また、今後、半導体製品の需要の多様化により、DRAMやMPUのような少品種大量生産する製品よりもシステムLSIのような多品種少量生産する製品が占める割合が増えていくことが予想されため、半導体処理プロセスを容易に且つ、迅速に組替えることが可能な設備が必要になってくるが、本発明は自動化された半導体製造工場において、多品種少量生産する半導体チップも含めた半導体デバイスの製造等に用いて好適な基板搬送容器、及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(1)〜(5)の手段により上記の課題を解決した。
(1)基板を内部に収容すると共に基板搬出入用の開口部を持った容器本体と該開口部を開閉可能なドアとで構成される基板搬送保管容器において、該基板搬送保管容器は、ファンを内蔵し気流を形成する手段を有する環境ボックスと、前記ドアをロックするロック機構とを備え、前記ロック機構の開閉ロック動作を検知するセンサを設けたことを特徴とする基板搬送保管容器。
(2)該センサが前記基板搬送保管容器のロック機構のツメに取り付けられ、前記センサによりロック状態を検知することを特徴とする前記(1)に記載の基板搬送保管容器。
(3)該環境ボックスが少なくとも粒子状汚染物質除去フィルタ、ガス状不純物捕捉フィルタ、ファンモータ、ファン及び除湿器ユニットを備えていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の基板搬送保管容器。
(4)前記ロック機構のロックの解除動作が開始される前に前記環境ボックスのファンに停止信号が送信されて、基板搬送保管容器が開く前に環境ボックスのファンの運転が停止されることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の基板搬送保管容器。
【0008】
(5)基板を内部に収容すると共に基板搬出入用の開口部を持った容器本体と該開口部を開閉可能なドアとで構成され、ファンを内蔵し気流を形成する手段を有する環境ボックスと、前記ドアをロックするロック機構とを備え、前記ロック機構の開閉ロック動作を検知するセンサを設けた基板搬送保管容器において、前記基板搬送保管容器のロック機構に取り付けられたセンサにより、前記ロック機構の開閉ロック動作の開始を検知し、環境ボックスのファンに停止信号を送り、ドアが開く前に該ファンの運転を停止して内部気流を止めることを特徴とする基板搬送保管容器の使用方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板搬送容器のロック機構であるツメなどにセンサを取付け、ドアが開く前にロック状態を検知するため、ドアが開く前にファンを止め、内部気流が発生しない状態でドアを開けることが可能となり、半導体基板の搬送や保管を良好な状態で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、実施の形態及び実施例を説明する全図において、同一機能を有する構成要素は同一の符号を付けて説明する。
【0011】
次に、本発明の基板搬送容器の実施形態について説明する。先ず、自動化に対応した基板搬送容器の一般的な機能について説明する。例えば、半導体ウェハを複数枚収納するための基板搬送容器は、少なくとも次の部品から構成されている。
(a)四角形の逆コップ形状をした容器本体、
(b)容器本体と係合し、外部から開閉するための機構を内蔵したドア、
(c)容器内に基板を所定の間隔で保持するための保持手段、
(d)ウェハの振動を防止するためのリテーナ、
(e)容器を取り扱うための把持手段。
【0012】
容器本体は、一般的に内部の収納物が確認できるような透明材料又は不透明材料に一部透明材料を使用した高分子材料で造られている。ドアには外部から開閉用のラッチピン等をガイドするための位置決め孔が設けられており、更に外部からの開閉用ラッチピンの動作と連動して施錠及び開錠する機構を内蔵している。このラッチ機能は、機械的な駆動により動作するものや、真空又は圧縮空気、更に磁石による固定の補助をしたものが製品化されている。把持手段は、容器天井部や側壁部に配置されており、ロボットが掴むための位置決めノッチを有するフランジ形状をしたものや、人が握って取り扱える形状をしたものがある。本発明の実施の形態における、前記自動化対応容器としての基本要件は、機能を満たすものであればいずれの方法を採用しても良い。
【0013】
図6に、本発明の一実施形態である半導体ウェハを搬送する基板搬送容器の具体的な概念図を示す。図6の基板搬送容器は、容器本体1、ドア2、環境ボックス3、カセット4、環境ボックスに備えられた、粒子状汚染物質除去フィルタ5、ガス状不純物捕捉フィルタ6、ファンモータ7、除湿器ユニット8、及び演算処理ユニット9、二次電池10等から構成されているが、一方向の図面である関係で、そのうちの一部は図示されていない。また、図6には、容器本体1のロック機構であるツメに取り付けたドア開閉検知センサが取付けられているが、図示していない。
【0014】
図8には、本発明の一実施形態として、ドアのロック機構とセンサとの関係を示した説明図であり、ロック機構の端にあるL型部片の先端にセンサ11が付いており、ロック機構を開放(リリース)する動作をすると、ヒンジ14を中心としてL型部片が回転することにより、ドア2が容器1の端部に圧着していたのが緩むが、その際L型部片の先端にあるセンサ11が移動するので、その動きを容器1側に配置したセンサ11により感知し、容器1内のファンの回転を停止する。この場合、その停止に要する時間は短いので、L型部片が動いてドア2が容器1の端部にあるドアシールパッキン13に圧着しているのが、隙間ができるまでの時間に比較しても問題が起こることはない。
【0015】
上記ドア開閉検知センサは、ドアの開閉を検知してファンモータ及び/又は除湿器の運転を調整するために取り付けられている。ドアが開放状態の時は搬送容器外の汚染した空気を吸い込むのを防止するため、運転を停止したり、ファンモータの回転数を調整したりする。ドアの開閉ではなく、カセット及び/又はウェハの有無を検知して空気清浄器の運転を調整してもよい。
更に、ウェハのID、履歴、ステータスを各バッチごとに管理するために、基板搬送容器にメモリチップを搭載させて、プロセスデータを管理させてもよい。容器は容器本体(ポッド)1とドア2から構成され、それらは例えば止め具、ラッチ機構などで固定され、外環境からの汚染を遮断する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態である図6の基板搬送容器のロック機構(ラッチ機構)の拡大図を示す。
図1は、基板搬送容器の概念図であり、点線で示した円内はロック機構のツメにロック機構を作動させるセンサ11と信号線12が取付けられていることを示す。本発明では前記ツメに取付けたセンサでロック状態を検知する機構とした。更に本発明の一実施形態として環境ボックス3が備えられている。環境ボックス3には、図示はしていないが、図6と同様に、少なくとも粒子状汚染物質除去フィルタ5、ガス状不純物捕捉フィルタ6、ファンモータ7及び除湿器ユニット8が設けられている。
【0017】
図2(a)はロックが開放状態にあることを示す拡大図であり、図5(b)は容器がロック状態にあるあることを示す拡大図である。容器のロックが解除されて開放状態になったとき、センサがそれを検知して信号線12により信号が送られファンが停止する。その結果、ドアが開く前に内部気流は停止状態となる。ドアのロック状態は信号によりLED表示することが出来る。
図2(c)は基板搬送容器のロック機構のツメにロック状態を検知するセンサを設置したことを示す拡大図である。
【0018】
上記したように本発明のロック機構を採用した結果、下記(1)〜(4)の操作条件の改善により基板搬送容器の清浄環境が格段に向上した。
(1)容器のロック機構であるツメにセンサを取付けロック状態を検知できる機構としたため、ロック状態をモニタできるようになる。
(2)ドアが開く前にファンを止め、内部気流を停止させた状態でドアを開けることが可能となる。
(3)外部からロック状態をLED表示により確認することができ、ポッドを手動で開閉操作する場合などにロックがなされているか否かを確認できるので、例えば、ロックが効いていない状態で誤って持上げてしまったり開けてしまうことを防ぐことができる。
(4)容器(ポッド)−ドア自動開閉オープナーへ開閉状態を通信することにより、開閉動作誤動作を未然に防ぐことができる。
【0019】
本発明の基板搬送容器には、どのようなロック機構でも使用することができるが、ドア2容器本体1に固定するロック機構には、機械的なロック機構をドア内部に備えたもの、容器とドアのシール面に磁石(電磁石)を備えたもの、容器とドアのシール面に真空チャックを備えたもの等がある。真空チャックは真空源、例えば真空ポンプから吸気能力を得る。また、容器内全体の圧力を負圧にすることによりドア2を容器1に取り付けてもよい。
【0020】
基板搬送容器の内部の空気は本発明の一実施形態である環境ボックスのファンモータ7で強制的に循環させて、除湿剤又は除湿ユニット8、ガス状不純物捕捉フィルタ6、粒子状汚染物質除去フィルタ5によって積極的に不純物を除去する。なお、粒子汚染が問題にならない場合は、粒子状汚染物質除去フィルタ5を省いてもよい。基板搬送容器の外部に、外部から電源を供給するための端子を備え、ファンモータ及び/又は除湿器を駆動するための電源を外部から供給してもよい。その端子表面は、通常金属メッキ(金メッキ、銅メッキ)をして金属パーティクル発生を減らすことが望ましい。端子の連続使用による劣化によって完全には金属パーティクル発生の懸念が完全にぬぐいきれない。特に端子がポット−ドア開閉部近くにある場合、ドア開時にドア周囲の空気の巻き込みが懸念されるが、端子の金属メッキを行いつつ、ドアの開閉ロック機構動作のセンシングを行うことで、より一層基板の金属パーティクル汚染を防止することができる。更に外部から給電する場合、基板搬送容器の存在と給電の要否を確認し、又は外部電源コネクタと、基板搬送容器の電源供給端子が接続されていることを確認してから電源を供給することが望ましい。クリーンルームで使用されるので、電気端子間でスパークすると、金属微粒子が発生してクリーンルームを汚染するからである。
【0021】
複数のシリコンウェハWは、ウェハキャリア(カセット)4に収納され、それが基板搬送容器の内部に収納されている。その基板搬送容器の内部にはガス状不純物捕捉フィルタ6と除湿剤ユニット8が配置されている。ガス状不純物捕捉フィルタ6としては、イオン交換不織布や活性炭素繊維、ゼオライト等が用いられ、基板搬送容器内の例えば炭化水素やアンモニア等のガス状汚染物質(不純物)を除去する。除湿剤ユニット8としては例えばシリカゲルが用いられ、基板搬送容器内の水分を除去する。これらは、ガス状汚染物質捕捉効率、除湿効率を高めるために、表面積をなるべく多くとることが望ましい。フィルタ形状として、波形又はひだおり等が望ましい。イオン交換不織布又は活性炭素繊維の面積は、その基板搬送容器内部の表面積の10%以上、好ましくは20%以上を持つことが望ましい。除湿剤は、交換頻度削減のため、除湿したい空間容積1L当たり、0.1g以上0.4g以下、好ましくは0.5g以上3g以下の吸湿容量を持つものが望ましい。
【0022】
基板を入れた場合の基板搬送容器内の気体の流れは、本発明の一実施形態である環境ボックスのファンから送られた気体がケミカルフィルタ(ガス状不純物捕捉フィルタ)6、粒子状汚染物質除去フィルタ5を通り、最も清浄な気体がウェハWへ供給される。ウェハWを通過後、容器1の内壁面に沿って再びファンに戻る。容器1の内壁面は、容器の上下左右面のうち少なくとも1面を示す。ボックスドア開口部は、どこに設けてもよい。自動化対応基板搬送容器に対しては、ボックスドア開口部は前面又は下面となる。
【0023】
基板搬送容器の断面は、(a)四角形であっても、(b)円形であってもよいが、四角形である場合、汚染物質を洗浄するために、四隅の曲率Rは、好ましくは半径10mm以上、より好ましくは、半径20mm以上がよい。
【0024】
半導体ウェハの容器内への保管時で、最も困難なのは湿度の問題である。この実施の形態の基板搬送容器においては、その容器本体とドアとの材料を吸水率0.1%以下の高分子材料または不透湿材料で構成している。吸水率の測定方法はASTM(American Society for Testing and Materials)D570規格により定められている。半導体ウェハ等の搬送・保管容器に使用される一般的な材料の吸水率を述べると、PC(ポリカーボネート)0.2%、PBT(ポリブチレンテレフタレート)0.08%、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)0.14%、PEI(ポリエーテルイミド)0.25%、PP(ポリプロピレン)0.03%である。
【0025】
また、低湿度にすると、ウェハが帯電しやすくなるので、少なくともウェハに接するウェハ支持部材とウェハ支持部材から容器下部に接地するドアは、カーボン又は他の導電性材料を添加した導電性材料が特に好ましい。高分子材料は一般的に、表面抵抗率が1×10〜1×10Ωの材料を静電気導電性材料、1×10〜1×1012Ωの材料を静電気拡散性材料、1×1012Ω以上の材料を絶縁性材料として分類する。また、体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・cmの材料を静電気導電性材料、1×10〜1×1011Ω・cmの材料を静電気拡散性材料、1×1011Ω・cm以上の材料を絶縁性材料として分類する。本発明では、表面抵抗率が1×1010Ω以下、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下、更に好ましくは表面抵抗率が1×10Ω以下、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下が望ましい。更に、ガス状不純物捕捉素子として用いるイオン交換不織布や活性炭は、製造直後の状態で水を吸着しているので、予め脱水処理をして使用するのが好ましい。
【0026】
気密性の高い容器内を乾燥ガス、即ち乾燥空気又は水分を含まない不活性ガスと置換すると、置換直後は湿度は略0%の限界湿度まで低下する。しかしながら、この状態で乾燥ガスの供給を停止して放置しておくと、容器内壁面の高分子材料が保持している水分が湿度勾配によって容器内部に拡散する。従って、乾燥ガスにより置換した容器内部の湿度は、時間の経過と共に増大する。一例として、乾燥ガスによる置換後に略0%の相対湿度が従来の市販PC(ポリカーボネート)容器を使用した場合には、数時間後には30%以上に上昇することを示している。吸水率0.02%のポリフェニレンスルフィド(PPS)を使用することで、乾燥ガスにより置換直後の略0%の相対湿度は数時間以上経過しても略12%程度に留まり、顕著な湿度上昇抑制効果が確認された。これにより保管搬送時の容器内湿度が上昇することが防止できることは明らかである。尚、自然酸化膜の成長は暗所で保管することにより抑制効果があることが知られている。このため、容器本体を構成する材料は、光透過性材料よりも光遮断性材料を用いることが好ましい。
【0027】
容器内の清浄雰囲気維持のため、ボックスとボックスドアを閉じる際にシールを要する。お互いのシール面に部材を介してシールする方法がある。ドア2に配置されたシール材と圧接する容器本体フランジ部には、機械的強度を上げるためフランジ内側にガイドリブを設けても良い。また、シール材との接触部に突起を設けてより小さな圧接力で高い気密性を持つようにしても良い。シール材にはフッ素系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー又はポリオレフィン系エラストマーが好ましい。更に加熱処理するとシール材からの脱ガス防止効果が高まる。また、容器内の圧力を陽圧にして外部環境から汚染物質導入を防ぐ方法もある。陽圧環境は、常に、または定期的に作る。
【0028】
次に、粒子除去フィルタについて説明する。粒子除去手段としてはエアフィルタを使用する方法が一般的である。JIS規格では、対象粒径と捕集効率等によって以下の4種類に大別している。
(1) 粗塵用エアフィルタ:主として5μmより大きい粒子の除去に用いるエアフィルタ。
(2) 中性能フィルタ:主として5μmより小さい粒子に対して中程度の粒子捕集効率を持つエアフィルタ。
(3) HEPAフィルタ:定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集効率を持ち、かつ圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ。
(4) ULPAフィルタ:定格風量で粒径が0.1μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集効率を持ち、かつ圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ。
【0029】
本発明の対象とする基板搬送容器のように高度な清浄空間を創る場合には、HEPAフィルタ又はULPAフィルタを用いるのが良い。ULPAフィルタは一般的にひだ折りした濾材に流路を確保するためのスペーサを設けた構造である。このULPAフィルタの圧力損失は、濾材の通気抵抗や濾材の折り込み量、流路の均一性等によって変わる。構造的にフィルタの開口面積が小さくなる場合は、奥行き寸法を大きくし、より多くの濾材を充填してやることにより極力圧力損失が小さいフィルタを用いることが好ましい。濾材もガラス繊維、弗素樹脂等、種々製品化されており、どの濾材を用いても良いが、耐薬品性に優れ、発生ガスが少なく、通気抵抗の小さい弗素系樹脂が好ましい。開口面積が大きくできる場合は、奥行き寸法を小さくし、限られた空間を有効に使用するのが良い。
【0030】
次に、ケミカルフィルタ(ガス状不純物捕捉フィルタ)6について説明する。ガス状不純物除去手段としては、除去対象物質に応じて種々選択することができる。塩基性ガス除去手段としては、強酸性、弱酸性カチオン交換不織布又は繊維、あるいは強酸性、弱酸性カチオン交換ビーズで効率良く除去することができる。また、酸性薬液を添着した活性炭やセラミックでも除去できる。酸性ガスやボロン、リンの除去手段としては、強塩基性、弱塩基性アニオン交換不織布又は繊維、あるいは強塩基性、弱塩基性カチオン交換ビーズで効率良く除去することができる。また、塩基性薬液を添着した活性炭やセラミックでも除去できる。有機物は、活性炭、活性炭素繊維、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、多孔質セラミックで除去できる。オゾンは、粒状又はシート状の二酸化マンガンを担持又は添着したメディアや活性炭などで除去できる。また、ベーパー状でイオン化したメタル、例えば硫酸銅などは、イオン交換不織布やイオン交換ビーズで除去できる。吸着素材構成は除去対象物質とフィルタの許容寸法、形状、圧力損失などに応じて適宜選択することができる。
【0031】
次に、除湿剤及び除湿器について説明する。空気中の水分を除去するには、例えばシリカゲル、ゼオライト(合成ゼオライト含む)、炭酸カルシウム、塩化マグネシウムを主成分とした除湿剤で除湿する方法がある。除湿剤を使う場合は、シリカゲルのように加熱脱離して再利用できる除湿剤で、カートリッジタイプで簡便に交換ができ、自動交換が可能な構造が好ましい。容器を冷却したり、冷却した棒を一定時間容器内に挿入して湿気分を結露水にして回収する方法も考えられる。また、固体高分子電解質膜を使用した除湿ユニットも利用可能である。
【0032】
いずれの方法も、本発明の一実施形態である環境ボックスのファンによって容器内の気体が流動することにより、より短時間で除湿が可能になる。本発明の実施に当たっては、機器類を配置可能な手段であればどの除湿手段を用いても良い。また、容器本体又はドアに高純度窒素や不活性ガスあるいは乾燥空気の給気、排気ポートを配置し、容器内空気の置換を除湿器と併用すれば、容器内を低湿度にする時間を削減することが可能になる。
【0033】
また水分を除去する除湿ユニットとして、除湿器と吸湿性の材料(活性炭、イオン交換体、シリカゲルなど)を併せて搭載するのが好ましい。これは吸湿性の材料を除湿器により常に乾燥させた状態にしておき、吸湿性材料の持つ最も吸湿速度が大きい初期状態を常に保つためである。更に強制的にガスを供給する手段を持つ容器の運用がもっとも短時間で急速に除湿する。気体の流れを発生させる手段がファンであっても、ガスパージであっても、基板搬送容器内に基板を収納後、再度取り出すまでの間、少なくとも1回以上好ましくは3回以上循環することが望ましく、収納する基板の要求する環境と基板を収納する前後の容器外環境の汚染度に応じて循環回数を増やせば良い。ファンの消費電力量に制限がない場合は気体の流れは常に循環するようにすることが最も望ましい。尚ここでいう「収納する基板の要求する環境」とは各工程間の搬送環境として歩留まり悪化原因になる汚染物質,具体的には粒子状物質、イオン、ドーパント、有機物、水分をすべてもしくはいずれかを管理濃度以下に低減した環境を容器内に構築することを意味する。この環境制御を行う基板収納ボックスは、例えば半導体製造プロセスの工程内、工程間、工場内フロア間、工場間のいずれの間の搬送に用いてもよく、また搬送だけでなく保管の用途に用いてもよい。
【0034】
送風装置には軸流ファン、シロッコファン、スクロールファンなどを用いる。
また、低湿度にすると、ウェハが帯電しやすくなるので、少なくともウェハに接するウェハ支持部材とウェハ支持部材から容器下部に接地するドアは、カーボン等を添加した導電性材料が特に好ましい。更に、ガス状不純物捕捉素子として用いるイオン交換不織布や活性炭は、製造直後の状態で水を吸着しているので、予め脱水処理をして使用するのが好ましい。
【0035】
次に半導体素子の製造方法について説明する。半導体製造工程は、半導体チップ内のトランジスタ、コンデンサ等の素子を形成してそれらの素子を銅配線等で結ぶ前工程と、ウェハから各チップを切断して、外部端子へ配線する後工程に分かれる。図7に工程図を示す。前工程では素子がウェハ上に形成された後、多層配線の層の数だけ配線工程が繰り返される。トランジスタ(FET)、コンデンサ等が形成されたシリコンウェハは、その上に絶縁体膜を形成するために、コータ又はCVD等のプロセス装置に搬送される。ここで、誘電率3以下の低誘電率絶縁膜が形成される。低誘電率絶縁膜としては、SiOX系等の無機材料例えば多孔質やハニカム形状にしたもの、またはPAE(Poly Arylene Ether)系やMSQ(Methyl Silses Quioxane)系の有機材料、更に有機物を多孔質にしたもの等が用いられようとしている。これらの低誘電率絶縁膜は、水分を吸収しやすく水分を吸収することにより劣化したり、吸収された水分により、絶縁膜の誘電率が上昇してしまったりする。更に、環境中の有機物やイオン、メタルといった不純物の影響を受けて絶縁膜の物性が変化することが想定される。環境の変動により安定した成膜が得られない可能性があるため、安定してクリーンな環境を提供することが必須となる。
【0036】
そこで、表面に低誘電率絶縁膜が形成されたウェハを基板搬送容器内に収納して、CVD、コータ等の絶縁膜形成装置からレジスト塗布装置の間を搬送する。基板搬送容器としては、既に説明した種々のものが使用可能であるが、基板搬送容器内部には除湿手段を有し、除湿できた方が好ましい。また、基板搬送容器内の空気が循環して除湿手段を通って除湿されるのが好ましい。基板搬送容器内の湿度は25%以下が好ましく、更には10%以下、更に5%以下が望ましい。
【0037】
湿度が低くて静電気による素子の破壊が問題になる場合には各ウェハにアースをとるのが好ましい。ウェハを収納するウェハ支持部材を導電性材料で構成しそれらを介してウェハ電荷を除電する。導電性材料としては、高分子材料にカーボン、界面活性剤、メタル等を添加した高分子材料を用いる。例えば、底部にドアを持つ容器では、ウェハ支持部材を支えるのはボックスドアであり、ボックスドアを導電材料で形成する。ボックスが装置やステーション接地時にボックスドアを介して接地する。ボックスドアは全体が導電性材料でも、表層のみ導電性材料でそこからボックスドア底部へ導電する物体を用いてアースするようにしても良い。またウェハ支持部材を支える部分のみ例えば導電性高分子又は金属材料を用いても良い。
【0038】
そして、別の実施態様として基板搬送容器の内部に粒子除去フィルタとファンモータを設置して、基板搬送容器の内部の気体を循環させ清浄化させることで、基板間のクロスコンタミネーションを防ぐことができる。また、基板搬送容器の内部に化学吸着フィルタと粒子フィルタの両方を設置することで、粒子及びイオン等を除去することができる。なお、粒子フィルタのみを設置したり、化学フィルタとしてイオン除去フィルタのみを使用しても良いことは勿論である。また、基板搬送容器の内部にファンモータ等を設置した場合には、基板搬送容器の内部に電池を備えることなく、基板搬送容器をベース部材等に設置した時に該ベース部材等に設けたコンセントと通電してファンモータが回転するようにしても良い。
【0039】
また、基板搬送容器の内部は、通常空気で満たされるが、酸素量を制限した不活性ガス等を使用することで、銅の酸化を防止することができる。その酸素量としては、10000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることが更に好ましい。
【0040】
表面に低誘電率絶縁膜が塗布された基板(シリコンウェハ)を内部に収納した基板搬送容器は、例えば基板搬送容器に取付けられた、ロボット把持手段によりロボットにより把持され、AGVのような搬送装置上に載置される。ロボットアームには、基板搬送容器を把持できたかどうかを検出する検出手段と、脱落を防止するためのロック機構を持つのが望ましい。基板搬送容器がAGV上の正しい位置に載置され及び/又は給電を必要とする容器であることをセンサによって検知したAGVは、AGV内のバッテリー又は、外部から給電した電力の一部から、基板搬送容器1に給電を行い、基板搬送容器内のモータファン7を回して、基板搬送容器内の空気を除湿剤又は電気式除湿器等を通して、循環させることで、基板搬送容器内の湿度やケミカル濃度を一定値以下にコントロールしながら、次のプロセス装置であるコータやエッチャー、あるいは銅メッキ装置に搬送する。
【0041】
レジスト塗布装置でレジストをその表面に塗布されたウェハは、アンモニア濃度を低減する必要がある、内部にアンモニアを吸収するためのケミカルフィルタを設置した基板搬送容器によって、コータから露光装置に搬送される。これは、最近使われる化学増幅型レジスト材料として、感度増幅されたものが使われており、このレジストは空気中のアンモニアを吸収、反応して、いわゆるT−トップ現像を生じるからである。基板搬送容器でシリコンウェハを搬送中の基板搬送容器内のアンモニア濃度は、好ましくは1μg/m以下、更に好ましくは0.5μg/m以下、更に好ましくは0.1μg/m以下である。又、アンモニア濃度を低減するのは、基板搬送容器内部のみだけでなく、搬送前後のプロセス装置であるコータ、露光装置、現像装置、エッチング装置内のウェハ上のレジストが曝露される雰囲気である。搬送用ロボットアームを有するウェハ搬送部も含めてこの環境管理を行ってもよい。
【0042】
絶縁膜エッチング後のレジストは、アッシャーによって取り除かれるものであり、”T−トップ”現像は、考慮する必要がない。従って、エッチング装置からアッシャー装置へのシリコンウェハの搬送、アッシャー装置から金属膜形成装置であるCVD(化学蒸着装置)、めっき装置への搬送においては、基板搬送容器内の湿度のみをコントロールすればよい。更に、エッチング後の絶縁膜溝側面の化学汚染が問題になる場合は、エッチング装置からアッシャー金属膜形成装置までの搬送を除湿剤又は除湿器に加え、ケミカルフィルタが設置されている基板搬送容器で搬送してもよい。
【0043】
更に、銅膜がその表面に形成されたシリコンウェハをCVD、めっき装置などの金属膜形成装置からアニール装置を経由して、CMP装置、更にコータ、CVDなどの絶縁膜形成装置へ基板搬送容器で搬送する場合、基板搬送容器の内部に、除湿器、除湿剤等の除湿手段を設けて基板搬送容器の内部の湿度を制御することで、酸化膜成長を防ぐことが出来る。この場合、基板搬送容器の内部の湿度を10%以下に抑えるのが好ましく、5%以下に抑えるのが更に好ましい。非常にわずかな酸化膜成長も起こさないようにするには、容器の扉2閉後10分以内に10%以下に低減することが好ましく、3分以内10%さらに好ましくは5%以下に低減することが好ましい。また、クリーンルーム運用時間の短期化の観点からも急速な湿度低減が望ましい。なお、湿度が少ない場合に、静電気発生により素子が破壊されるおそれがある場合は、各基板の銅膜等が形成された表面にアースをとり、その静電気を逃がして基板を搬送/保管するのが望ましい。逆にイオン除去を優先的に行いたい工程間の搬送での運用、例えばアンモニア濃度を低減する必要のある露光工程や酸性ガスを抑制したいRIE工程は際限なく除湿するのではなくイオン交換体の性能を発揮できる湿度範囲内に湿度を調整する必要があるので、少なくとも基板搬送容器内の湿度を10%以上50%以下で運用するのが望ましい。
【0044】
又、基板搬送容器として、各プロセスのプロセス装置のデータを基板搬送容器にデータ保存手段を有した基板搬送容器を使用する場合、全層の配線工程終了後、経由したプロセス装置番号等のプロセスデータを、プロセス管理コンピュータに渡すと共に、チップ内の配線の電気的特性を計測する。そして、プロセス管理コンピュータの方で、配線検査装置からの計測データと、その対象ウェハの経由したプロセス装置のデータを、統計データ等のデータ処理を行い、次のロットの製造にフィードバックする。
通常量産工場では各プロセス装置を複数台所有しており、同じ工程の各装置は異なるレシピに設定されていることが多い。そのため、そのロットが製品になるまで繰り返されるプロセスの、各工程のどのプロセス装置にて処理するかを含めた情報を処理した時刻も含め管理することを履歴管理という。ここでいうレシピとは、ウェハプロセス処理の制御を行うために設定する、各プロセス装置へのプロセスシーケンス及び制御パラメータ(温度、圧力、ガスの種類及びガス量、時間等の制御目標値)に関する装置個別の処理プログラムのことを意味する。尚、上記記載のプロセス装置とは半導体製造装置のことを指すが、プロセス装置間とは、ロードポート、搬送装置、移載装置、装置前棚、保管庫等を含めた装置間を意味する。基板搬送容器は、洗浄/乾燥され、又、保存データはクリアされ、又、次の処理ロットに使用される。
【0045】
上述したように、空気清浄器及び/又は電気式除湿機を容器に搭載する場合、駆動電源が必要になる。駆動電源は、搬送容器自体に二次電池などの電源を搭載する方法と、外部から給電する方法の2種類ある。
【0046】
基板搬送容器の給電や充電場所は、半導体製造装置のロードポートに給電ステーションを設け、原則として容器が給電・充電端子を持った所定の位置に着座したときに行う。また、PGV、RGV、AGVといった搬送装置を用いて搬送を行う際にも、搬送台車に給電ステーションを備え、容器が給電ステーションに着座した時に給電を行う。搬送台車への給電は接触式端子や電磁誘導を利用した非接触式端子を用いて行うのが良い。接触式を使用する場合は、端子の破損防止機構を持つものが良い。
尚、本発明の実施の形態は底部にドアを持った基板搬送容器について記載したが、前面にドアを持つFOUPにも勿論適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、エレクトロニクス分野で、半導体ウェハ、フォトマスク又はハードディスク等の被処理物を清浄度の高い雰囲気下で保管又は搬送するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の基板搬送容器の概念図であり、点線の円内はロック機構のツメにロック機構を作動させるセンサと信号線が取付けられていることを示す。
【図2】本発明の一実施形態であるロック機構の拡大図を示し、(a)はロックが開放状態にあることを示し、(b)はロック状態にあることを示す。(c)はロック状態検知機構のセンサの設置位置を示す。
【図3】従来の基板搬送容器の概念図であり、(a)はSMIFタイプの基板搬送容器を示し、(b)はFOUPタイプの基板搬送容器を示す。
【図4】従来の基板搬送容器における気流の流れとドアの開閉センサの位置を示す概念図を示し、(a)は基板搬送容器の上面図、(b)は基板搬送容器の正面図、(c)は基板搬送容器の断面図を示す。
【図5】従来の基板搬送容器において、センサでドアの開放を検知するより前に容器とドアのシールが効かなくなることを示す概念図である。
【図6】本発明の一実施形態である基板搬送容器の概念図を示す。
【図7】半導体の一般的な製造工程を説明する図である。
【図8】本発明の基板搬送容器におけるドアのロック機構とセンサとの配置例を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
1 容器本体(ポッド)
2 ドア(基板搬出入ドア)
3 環境ボックス
4 カセット
5 粒子状汚染物質除去フィルタ
6 ガス状不純物捕捉フィルタ
7 ファンモータ
8 除湿ユニット
9 演算処理ユニット
10 二次電池
11 センサ(ドア開閉検知センサ)
12 信号線
13 ドアシールパッキン
14 ヒンジ
15 マグネットセンサ
R ロック
W 基板(ウェハ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を内部に収容すると共に基板搬出入用の開口部を持った容器本体と該開口部を開閉可能なドアとで構成される基板搬送保管容器において、該基板搬送保管容器は、ファンを内蔵し気流を形成する手段を有する環境ボックスと、前記ドアをロックするロック機構とを備え、前記ロック機構の開閉ロック動作を検知するセンサを設けたことを特徴とする基板搬送保管容器。
【請求項2】
該センサが前記基板搬送保管容器のロック機構のツメに取り付けられ、前記センサによりロック状態を検知することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送保管容器。
【請求項3】
該環境ボックスが少なくとも粒子状汚染物質除去フィルタ、ガス状不純物捕捉フィルタ、ファンモータ、ファン及び除湿器ユニットを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板搬送保管容器。
【請求項4】
前記ロック機構のロックの解除動作が開始される前に前記環境ボックスのファンに停止信号が送信されて、基板搬送保管容器が開く前に環境ボックスのファンの運転が停止されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の基板搬送保管容器。
【請求項5】
基板を内部に収容すると共に基板搬出入用の開口部を持った容器本体と該開口部を開閉可能なドアとで構成され、ファンを内蔵し気流を形成する手段を有する環境ボックスと、前記ドアをロックするロック機構とを備え、前記ロック機構の開閉ロック動作を検知するセンサを設けた基板搬送保管容器において、前記基板搬送保管容器のロック機構に取り付けられたセンサにより、前記ロック機構の開閉ロック動作の開始を検知し、環境ボックスのファンに停止信号を送り、ドアが開く前に該ファンの運転を停止して内部気流を止めることを特徴とする基板搬送保管容器の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−5072(P2006−5072A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178299(P2004−178299)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】