説明

基準電源電圧回路

【課題】小型で高電圧の基準電源電圧を用いた場合でも安全な基準電源電圧回路を提供する。
【解決手段】基準電源電圧回路は、VCC検出手段9と、コンパレータ10と、動作前不定期間誤動作防止回路7とを備える。VCC検出手段9は、VCC端子11の電圧を検出する。コンパレータ10は、VCC検出手段9によって検出されたVCC端子11の電圧とVBG電圧とを比較することによってVCC端子11の電圧以下であるVDD端子12の電圧を電源電圧とする動作回路の動作状態及び停止状態を制御する信号を出力する。動作前不定期間誤動作防止回路7は、VCC端子11の電圧が電圧VCCmを下回るとき、VDD端子12の電圧をゼロ電位に維持し、VCC端子11の電圧が電圧VCCm以上かつ電圧VCC_1を下回るとき、VDD端子12の電圧をVCC端子11の電圧と等しい電圧に設定し、VCC端子11の電圧が電圧VCC_1以上であるとき、VDD端子12の電圧をVCC端子11の電圧と比例する電圧に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電源電圧回路、特に、2つ以上の基準電源電圧を用いる基準電源電圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
簡単な構成で軽負荷時のスイッチング損失を減らすことにより、消費電力を削減して電源効率を向上することができるようにする従来例のスイッチング電源用半導体装置が開示されている。そのスイッチング電源用半導体装置の制御回路は、補助電源電圧と基準電圧との差からなる誤差電圧信号を生成する誤差増幅器と、電流検出回路により検出される素子電流検出信号と誤差電圧信号とを比較する素子電流検出用比較器とを有している。さらに、その制御回路は、誤差電圧信号が下限電圧値よりも小さい場合に、スイッチング信号制御回路に対してスイッチング素子へのスイッチング信号の出力を停止し、誤差電圧信号が上限電圧値よりも大きい場合に、スイッチング信号制御回路に対してスイッチング信号の出力を開始する軽負荷検出回路を有している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−224169号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例のスイッチング電源用半導体装置では、高い電源電圧(例えば15V以上)を必要とする場合、高耐圧の回路素子を複数個必要とするため、回路規模が増大し小型化に不利となる、という問題があった。この問題に対して、回路構成を第1の基準電源電圧で動作させる回路と、第1の基準電源電圧以下の第2の基準電源電圧で動作させる回路とに分けることで必要な高耐圧の回路素子数を減らす方法が考えられる。しかし、この場合、両内部回路の回路素子の閾値電圧の差が大きくなり、回路全体の誤動作を招く虞がある。
【0005】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、2つ以上の基準電源電圧を有する基準電源電圧回路において、高電圧の基準電源電圧を用いた場合でも安全かつ小型化に適した基準電源電圧回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る基準電源電圧回路は、第1の基準電圧を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記第1の基準電圧と、所定の基準検出電圧とを比較することによって、前記第1の基準電圧以下である第2の基準電圧を電源電圧とする動作回路の動作状態及び停止状態を制御する信号を出力するコンパレータと、前記第1の基準電圧が第1の所定電圧を下回るとき、前記第2の基準電圧を回路基準電位に維持し、前記第1の基準電圧が前記第1の所定電圧以上かつ第2の所定電圧を下回るとき、前記第2の基準電圧を前記第1の基準電圧と等しい電圧に設定し、前記第1の基準電圧が前記第2の所定電圧以上であるとき、前記第2の基準電圧を前記第1の基準電圧と比例する電圧に設定する動作前不定期間誤動作防止回路と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
第2の発明に係る基準電源電圧回路は、上記第1の発明に係る基準電源電圧回路において、前記第1の所定電圧は、前記第2の基準電圧を電源電圧とする動作回路が安定に動作できる電圧以上であり、前記第2の所定電圧は、前記第1の基準電圧を電源電圧とする動作回路が安定に動作できる電圧以上であることを特徴とする。
【0008】
第3の発明に係る基準電源電圧回路は、上記第1又は2の発明に係る基準電源電圧回路において、前記動作前不定期間誤動作防止回路は、回路基準電位にカソード端子が接続され、前記第2の所定電圧である順方向電圧を与えるダイオード部と、前記第1の基準電源と前記ダイオードのアノード端子との間に接続された第1の抵抗と、一方の端子が前記第1の基準電源に接続され、他方の端子が第2の抵抗を介して回路基準電位と接続され、制御端子が前記ダイオード部のアノード端子電圧に接続された第1のスイッチ素子と、一方の端子が前記第1の基準電圧に接続され、他方の端子が前記第2の基準電圧に接続され、制御端子が前記第2の抵抗と前記第1のスイッチ素子との接続点と接続された第2のスイッチ素子と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明に係る基準電源電圧回路は、上記第3の発明に係る基準電源電圧回路において、前記ダイオード部は、互いに直列接続された複数のダイオードを含むことを特徴する。
【0010】
第5の発明に係る基準電源電圧回路は、上記第3又は4の発明に係る基準電源電圧回路において、前記ダイオード部は、互いに直列接続された複数のバイポーラトランジスタを含むことを特徴とする。
【0011】
第6の発明に係る基準電源電圧回路は、上記第3の発明に係る基準電源電圧回路において、前記第1及び第2のスイッチ素子は、P型トランジスタであることを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る基準電源電圧回路によれば、2つ以上の基準電源電圧を有する基準電源電圧回路において、高電圧の基準電源電圧を用いた場合でも安全かつ小型化に適した基準電源電圧回路を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0014】
≪実施形態1≫
図1は、本発明の実施形態1に係る基準電源電圧回路3を備えた半導体装置の構成を示す回路図である。図1に示す半導体装置は、電源1、VCC電力供給回路2、基準電源電圧回路3、回路基準ブロック4、第1の動作回路5、第2の動作回路6及びキャパシタ15を備える。基準電源電圧回路3は、動作前不定期間誤動作防止回路7、VDD電力供給回路8、VCC検出回路9、コンパレータ10、VCC端子11、VDD端子12、V2端子13及びVBG端子14を備える。
【0015】
電源1の陽極側はVCC電力供給回路2に接続され、陰極側は接地電位に接続されている。コンデンサ15の一方の端子は、VCC電力供給回路2、第1の動作回路5、及び基準電源電圧回路3のVCC端子11に接続され、他方の端子は接地電位に接続されている。VCC電力供給回路2は、電源1の陽極側、コンデンサ15の一方の端子、第1の動作回路5、第2の動作回路6、及び基準電源電圧回路3のVCC端子11に接続されている。第1の動作回路5は、VCC電力供給回路2、コンデンサ15の一方の端子、第2の動作回路6、及び基準電源電圧回路3のVCC端子11に接続されている。第2の動作回路6は、基準電源電圧回路3のVDD端子12、基準電源電圧回路3のV2端子13、回路基準ブロック4、VCC電力供給回路2、及び第1の動作回路5に接続されている。回路基準ブロック4は、基準電源電圧回路3のVDD端子12、基準電源電圧回路3のVBG端子14、及び第2の動作回路6に接続されている。
【0016】
VDD電力供給回路8は、VCC端子11、VDD端子12、及び動作前不定期間誤動作防止回路7に接続されている。VCC検出回路9は、VCC端子11、及びコンパレータ10の反転入力端子に接続されている。動作前不定期間誤動作防止回路7は、VCC端子11、VDD端子12、及びVDD電力供給回路8に接続されている。コンパレータ10の反転入力端子はVCC検出回路9に接続され、非反転入力端子はVBG端子14に接続され、出力端子はV2端子13に接続されている。また、コンパレータ10は、出力信号の基準電位としてVDD電位及び接地電位に接続されている。
【0017】
VCC電力供給回路2は、電源1から電源電圧を入力し、VCCレベルの電圧を生成して、基準電源電圧回路3及び第1の動作回路5に供給する。VDD電力供給回路8は、VCC端子11を介してVCC電力供給回路2から供給されたVCCレベルの電圧を入力し、VDDレベルの電圧を生成して、回路基準ブロック4及び第2の動作回路6に供給する。
【0018】
回路基準ブロック4は、VDD端子12の電圧を入力し、VDD端子12の電圧が所定の電圧VDD_0より低い場合には、第2の動作回路6が安定に動作できないと判断し、第2の動作回路6を停止状態に制御するためにロウレベルのV1信号を出力する。回路基準ブロック4は、VDD端子12の電圧が所定の電圧VDD_0以上である場合には、第2の動作回路6が安定に動作できると判断し、第2の動作回路6を動作状態に制御するためにハイレベルのV1信号を出力する。また、回路基準ブロック4は、基準電源電圧回路3のコンパレータ10で比較のために用いる検出基準電圧(以下、VBG電圧という。)を生成してVBG端子14に出力する。
【0019】
第2の動作回路6は、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する。第2の動作回路6は、回路基準ブロック4からのV1信号がロウレベルのとき停止状態に制御され、V1信号がハイレベルのとき動作状態に制御される。また、第2の動作回路6は、基準電源電圧回路3のコンパレータ10からV2端子13を介して入力されるV2信号がロウレベルのとき第1の動作回路5を停止状態に制御するためにロウレベルのV4信号を出力し、V1信号及びV2信号が共にハイレベルのとき第1の動作回路5を動作状態に制御するためにハイレベルのV4信号を出力する。さらに、第2の動作回路6は、VCC電力供給回路2の出力電圧を一定に維持するために、VCC電力供給回路2を制御するためのV3信号を生成して出力する。第1の動作回路5は、VCC電力供給回路2から供給されるVCC端子11の電圧を基準電圧として入力し、第2の動作回路6から入力されるV4信号に応じて停止状態及び動作状態を切り替えられる。
【0020】
VCC検出回路9は、VCC端子11の電圧を検出して、VCC端子11の電圧に対応する電圧をコンパレータ10に出力する。コンパレータ10は、VBG端子14に入力される電圧VBGと、VCC検出回路9からのVCC端子11の電圧に対応する電圧とを比較し、電圧VBGがVCC端子11の電圧に対応する電圧よりも高い場合には、第1の動作回路5が安定に動作できると判断し、第1の動作回路5を動作状態にするためにハイレベルのV2信号を出力する。コンパレータ10は、電圧VBGがVCC端子11の電圧に対応する電圧以下である場合には、第1の動作回路5が安定に動作できないと判断し、第1の動作回路5を停止状態にするためにロウレベルのV2信号を出力する。電圧VBGは、VCC端子11の電圧がVCC_0であるときにVCC検出回路9が出力する電圧値と等しくなるように設定されている。
【0021】
動作前不定期間誤動作防止回路7は、入力したVCC端子11の電圧が所定の電圧VCCmに達するまで、VDD端子12の電圧をゼロ電位に維持する。また、動作前不定期間誤動作防止回路7は、入力したVCC端子11の電圧が所定の電圧VCCm以上かつ電圧VCC_1を下回る場合には、VDD端子12の電圧をVCC端子11の電圧と等しい電圧に設定し、入力したVCC端子11の電圧が電圧VCC_1以上であるとき、VDD端子12の電圧をVCC端子11の電圧と比例する電圧に設定する。
【0022】
次に、図2を用いて、本実施形態に係る基準電源電圧回路3を備えた半導体装置の動作について説明する。図2は、図1のように構成された基準電源電圧回路3を備えた半導体装置の起動時におけるVCC端子11の電圧とVDD端子12の電圧の関係を示す図である。図2において、電圧VDD_0は、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6が安定に動作可能な最小のVDD端子12の電圧を示す。即ち、VDD端子12の電圧が電圧VDD_0よりも小さい場合には、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は不安定となる。電圧VCC_0は、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5が安定に動作可能な最小のVCC端子11の電圧を示す。即ち、VCC端子11の電圧が電圧VCC_0よりも小さい場合には、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5は不安定となる。
【0023】
まず、電源1が印加されると、VCC電力供給回路2によりVCC電位に接続されたコンデンサ15が充電され、VCC端子11の電圧が徐々に上昇する。VCC端子11の電圧が電圧VCCmより低い状態においては、VDD端子12の電圧は動作前不定期間誤動作防止回路7によりゼロ電位に維持される。VCC端子11の電圧がさらに上昇して電圧VCCm以上となると、VDD端子12の電圧がゼロ電位からVCC端子11の電圧と等しい電圧VDD_1に切り替えられる。このとき、電圧VDD_1は、VDD_1>VDD_0の関係を満たす。従って、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は、安定に動作できる。回路基準ブロック4は、第2の動作回路6を動作状態に制御するハイレベルのV1信号を出力する。VCC端子11の電圧が電圧VCC_1となるまでは、VDD端子12の電圧はVCC端子11の電圧と等しい値となる。
【0024】
次に、VCC端子11の電圧がさらに上昇して電圧VCC_0より高い電圧VCC_1となると、VDD端子12の電圧がVCC端子11の電圧より低くかつVCC端子11の電圧と比例する電圧VDD_2に(例えば、VDD=VCC/a(aは1以上の数)の関数に従うように)切り替わる。このとき、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5は、安定に動作できる。コンパレータ10は、第1の動作回路5を動作状態に制御するハイレベルのV2信号を出力する。また、このとき、電圧VDD_2は、VDD_2>VDD_0の関係を満たすように予め設定されているため、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は、引き続き安定に動作できる。その後、VCC端子11の電圧がさらに上昇して一定のレベルに達するまで、VDD端子12の電圧はVCC端子11の電圧に比例して増加する。VCC端子11の電圧が一定のレベルに達すると、第2の動作回路6は、VCC電力供給回路2にV3信号を出力して、VCC電力供給回路2の出力電圧を一定に制御する。
【0025】
以上のように、本実施形態に係る基準電源電圧回路3によれば、起動時又は再起動時等において、VDD端子12の電圧は、従来、電圧VDD_0より低い電圧を入力していた不定期間の間常にゼロ電位に維持され、他方、電圧VDD_0以上の電圧を確保できるようになった時点で電圧VDD_0より高い電圧VDD_1が第2の動作回路6に印加される。従って、VDD端子12の電圧を基準電圧とする第2の動作回路6は安定に動作でき、安定に第1の動作回路5を制御できるので、回路全体の誤動作を低減できる。また、VCC端子11の電圧よりも低いVDD端子12の電圧を用いる場合でも、一旦VCC端子11の電圧と等しいVDD電圧を印加することによって、第2の動作回路6が短時間で動作可能となり、起動が早い。
【0026】
≪実施形態2≫
図3は、本発明の実施形態2に係る基準電源電圧回路3Aを備えた半導体装置の構成を示す回路図である。本実施形態における半導体装置は、図1の基準電源電圧回路3に代えて基準電源電圧回路3Aを有する点において、図1の実施形態1に係る半導体装置とは異なる。基準電源電圧回路3Aは、動作前不定期間誤動作防止回路7A、VDD電力供給回路8A、VCC検出回路9A、コンパレータ10Aを備える。それ以外の点については、図1の実施形態1に係る半導体装置と同様であり、同一符号を付した構成要素は同様の構成及び作用を有するので、それらについての重複した詳細な説明は省略する。
【0027】
図3において、動作前不定期間誤動作防止回路7Aは、互いに直列に接続されたN個のダイオードD1〜DNと、抵抗20及び33、電界効果トランジスタ21及び22を備える。抵抗33及びダイオードD1〜DNは、互いに直列に順にVCC電位及び接地電位との間に接続される。電界効果トランジスタ21のソース端子はVCC電位に接続され、ドレイン端子は抵抗20及び電界効果トランジスタ22のゲート端子に接続され、ゲート端子は、抵抗33及びダイオードD1の接続点に接続されている。電界効果トランジスタ22のソース端子はVCC電位に接続され、ドレイン端子はVDD電位に接続され、ゲート端子は電界効果トランジスタ21のドレイン端子に接続されている。抵抗20の一方の端子は電界効果トランジスタ21のドレイン端子及び電界効果トランジスタ22のゲート端子に接続され、他方の端子は接地電位に接続されている。なお、電界効果トランジスタ22の閾値電圧をVTHとし、各ダイオードD1〜DNの順方向電圧をVFとし、全部のダイオードD1〜DNが導通したときに発生する電圧をN・VFとする。
【0028】
VDD電力供給回路8Aは、抵抗23及び24、バイポーラトランジスタ25を備える。抵抗23及び24は、VCC電位及びVDD電位の間に互いに直列に順に接続されている。バイポーラトランジスタ25のコレクタ端子はVCC電位に接続され、エミッタ端子はVDD電位に接続され、ベース端子は抵抗23及び24の接続点に接続されている。なお、バイポーラトランジスタ25の閾値電圧をVBEとする。
【0029】
VCC検出回路9Aは、抵抗26及び27を備える。抵抗26及び27は、VCC電位及び接地電位との間に互いに直列に接続されている。
【0030】
コンパレータ10Aは、電界効果トランジスタ28及び29、バイポーラトランジスタ30及び31、抵抗32を備える。電界効果トランジスタ28のソース端子はVDD電位に接続され、ドレイン端子はバイポーラトランジスタ30のコレクタ端子及びV2端子13に接続され、ゲート端子は電界効果トランジスタ29のゲート端子に接続されている。電界効果トランジスタ29のソース端子はVDD電位に接続され、ドレイン端子及びゲート端子はバイポーラトランジスタ31のコレクタ端子に接続されている。バイポーラトランジスタ30のコレクタ端子は、電界効果トランジスタ28のドレイン端子及びV2端子13に接続され、エミッタ端子は、バイポーラトランジスタ31のエミッタ端子及び抵抗32の一方の端子に接続され、ベース端子は、VCC検出回路9Aの抵抗26及び27の接続点に接続されている。バイポーラトランジスタ31のコレクタ端子は、電界効果トランジスタ29のゲート端子及びドレイン端子に接続され、エミッタ端子はバイポーラトランジスタ30のエミッタ端子及び抵抗32の一方の端子に接続され、ベース端子はVBG端子14に接続されている。抵抗32の一方の端子はバイポーラトランジスタ30及び31の各エミッタ端子に接続され、他方の端子は接地電位に接続されている。
【0031】
次に、図4を用いて、本実施形態に係る基準電源電圧回路3Aを備えた半導体装置の動作について説明する。図4は、図3のように構成された基準電源電圧回路3Aを備えた半導体装置の起動時におけるVCC端子11の電圧とVDD端子12の電圧の関係を示す図である。図4において、電圧VDD_0は、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6が安定に動作可能な最小のVDD端子12の電圧を示す。即ち、VDD端子12の電圧が電圧VDD_0よりも小さい場合には、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は不安定となる。電圧VCC_0は、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5が安定に動作可能な最小のVCC端子11の電圧を示す。即ち、VCC端子11の電圧が電圧VCC_0よりも小さい場合には、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5は不安定となる。また、動作前不定期間誤動作防止回路7Aの電界効果トランジスタ22の閾値電圧VTHは、VTH>VDD_0の関係を満たすように予め設定されている。
【0032】
まず、電源1が印加されると、VCC電力供給回路2によりVCC電位に接続されたコンデンサ15が充電され、VCC端子11の電圧が徐々に上昇する。VCC端子11の電圧がトランジスタ22の閾値電圧VTHよりも低い状態においては、トランジスタ22が動作しないため、VDD端子12の電圧は回路基準電位であるゼロ電位に維持される。VCC端子11の電圧がさらに上昇してトランジスタ22の閾値電圧VTH以上となると、トランジスタ22がオン状態となり、VDD端子12の電圧がゼロ電位からVCC端子11の電圧と等しい電圧VDD_1に切り替えられる。このとき、電圧VDD_1は、VDD_1>VDD_0の関係を満たす。従って、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は、安定に動作できる。回路基準ブロック4は、第2の動作回路6を動作状態に制御するハイレベルのV1信号を出力する。VCC端子11の電圧が電圧VTHから電圧N・VFに達するまでは、VDD端子12の電圧はVCC端子11の電圧と等しい値となる。
【0033】
次に、VCC端子11の電圧がさらに上昇して電圧N・VFに達すると、N個のダイオードD1〜DNが導通状態となり、トランジスタ21がオン状態となる。そのため、トランジスタ21のゲート端子電圧はVCC端子11の電圧と等しくなり、トランジスタ22はオフ状態となる。これにより、VDD端子12の電圧は、VDD電力供給回路8の抵抗23及び24で分圧された電圧からトランジスタ25の閾値電圧VBE分を差し引いた電圧である電圧VDD_2に下がる。このとき、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5は、安定に動作できる。コンパレータ10は、第1の動作回路5を動作状態に制御するハイレベルのV2信号を出力する。また、このとき、電圧VDD_2は、VDD_2>VDD_0の関係を満たすように予め設定されているため、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は、引き続き安定に動作できる。その後、VCC端子11の電圧がさらに上昇して一定のレベルに達するまで、VDD端子12の電圧はVCC端子11の電圧に比例して増加する。VCC端子11の電圧が一定のレベルに達すると、第2の動作回路6は、VCC電力供給回路2にV3信号を出力して、VCC電力供給回路2の出力電圧を一定に制御する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る基準電源電圧回路3Aによれば、上記回路構成により、実施形態1と同等の効果を奏する基準電源電圧回路を容易に実現できる。また、VDD端子12の電圧を切り替えるために用いる電圧N・VFは、ダイオードD1〜DNの個数を調整することによって、他の数値に容易に調整可能である。
【0035】
≪実施形態3≫
図5は、本発明の実施形態3に係る基準電源電圧回路3Bを備えた半導体装置の構成を示す回路図である。本実施形態に係る半導体装置は、図3の基準電源電圧回路3Aに代えて基準電源電圧回路3Bを有する点において、図3の実施形態2に係る半導体装置とは異なる。基準電源電圧回路3Bは、動作前不定期間誤動作防止回路7Aに代えて、動作前不定期間誤動作防止回路7Bを有する点において、図3の実施形態2に係る基準電源電圧回路3Aとは異なる。動作前不定期間誤動作防止回路7Bは、ダイオードD1〜DNに代えて、互いに直列に接続されたバイポーラトランジスタT1〜TNを有する点において、図3に示した実施形態2に係る動作前不定期間誤動作防止回路7Aとは異なる。それ以外の点においては、図3の実施形態2に係る半導体装置と同様であり、同一符号を付した構成要素は同様の構成及び作用を有するので、それらについての重複した詳細な説明は省略する。なお、動作前不定期間誤動作防止回路7Bの各バイポーラトランジスタT1〜TNの順方向電圧をそれぞれVBEとし、全部のバイポーラトランジスタT1〜TNが導通したときに発生する電圧をN・VBEとする。
【0036】
次に、図6を用いて、本実施形態に係る基準電源電圧回路3Bを備えた半導体装置の動作について説明する。図6は、図5のように構成された基準電源電圧回路3Bを備えた半導体装置の起動時におけるVCC端子11の電圧とVDD端子12の電圧の関係を示す図である。図4において、VDD_0は、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する回路が安定に動作可能な最小のVDD端子12の電圧である。VDD端子12の電圧が電圧VDD_0よりも小さい場合には、その回路は不安定となる。VCC_0は、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5が安定に動作可能な最小のVCC端子11の電圧を示す。即ち、VCC端子11の電圧が電圧VCC_0よりも小さい場合には、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5は不安定となる。また、動作前不定期間誤動作防止回路7Aの電界効果トランジスタ22の閾値電圧VTHは、VTH>VDD_0の関係を満たすように予め設定されている。
【0037】
まず、電源1が印加されると、VCC電力供給回路2によりVCC電位に接続されたコンデンサ15が充電され、VCC端子11の電圧が徐々に上昇する。VCC端子11の電圧がトランジスタ22の閾値電圧VTHよりも低い状態においては、トランジスタ22が動作しないため、VDD端子12の電圧は回路基準電位であるゼロ電位に維持される。VCC端子11の電圧がさらに上昇してトランジスタ22の閾値VTH以上となると、トランジスタ22がオン状態となり、VDD端子12の電圧がゼロ電位からVCC端子11の電圧と等しい電圧VDD_1に切り替えられる。このとき、電圧VDD_1は、VDD_1>VDD_0の関係を満たす。従って、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は、安定に動作できる。回路基準ブロック4は、第2の動作回路6を動作状態に制御するハイレベルのV1信号を出力する。VCC端子11の電圧が電圧VTHから電圧N・VBEに達するまでは、VDD端子12の電圧はVCC端子11の電圧と等しい値となる。
【0038】
次に、VCC端子11の電圧がさらに上昇して電圧N・VBEに達すると、N個のバイポーラトランジスタT1〜TNが導通状態となり、トランジスタ21がオン状態となる。そのため、トランジスタ21のゲート端子電圧はVCC端子11の電圧と等しくなり、トランジスタ22はオフ状態となる。これにより、VDD端子12の電圧はVDD電力供給回路8の抵抗23及び24で分圧された電圧からトランジスタ25の閾値電圧VBE分を引いた電圧VDD_2に下がる。このとき、VCC端子11の電圧を基準電圧として動作する第1の動作回路5は、安定に動作できる。コンパレータ10は、第1の動作回路5を動作状態に制御するハイレベルのV2信号を出力する。また、このとき、電圧VDD_2は、VDD_2>VDD_0の関係を満たすように予め設定されているため、VDD端子12の電圧を基準電圧として動作する第2の動作回路6は、引き続き安定に動作できる。その後、VCC端子11の電圧がさらに上昇して一定のレベルに達するまで、VDD端子12の電圧はVCC端子11の電圧に比例して増加する。VCC端子11の電圧が一定のレベルに達すると、第2の動作回路6は、VCC電力供給回路2に信号V3を出力して、VCC電力供給回路2の出力電圧を一定に制御する。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る基準電源電圧回路3Bによれば、上記回路構成により、実施形態1と同等の効果を奏する基準電源電圧回路を容易に実現できる。また、VDD端子12の電圧を切り替えるために用いる電圧N・VBEは、バイポーラトランジスタT1〜TNの個数を調整することによって、他の数値に容易に調整可能である。
【0040】
なお、図5において、バイポーラトランジスタT1〜TNは、VDD電力供給回路8Aのバイポーラトランジスタ25と同タイプのバイポーラトランジスタであった。しかし、本発明はこの構成に限らず、バイポーラトランジスタT1〜TNは、バイポーラトランジスタ25と異なるタイプのバイポーラトランジスタであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、スイッチング電源等に用いられる半導体装置等の基準電源電圧回路に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態1に係る基準電源電圧回路3を備えた半導体装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1の基準電源電圧回路3の起動時におけるVCC端子11の電圧とVDD端子12の電圧の関係を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る基準電源電圧回路3Aを備えた半導体装置の構成を示す回路図である
【図4】図3の基準電源電圧回路3Aの起動時におけるVCC端子11の電圧とVDD端子12の電圧の関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態3に係る基準電源電圧回路3Bを備えた半導体装置の構成を示す回路図である
【図6】図5の基準電源電圧回路3Bの起動時におけるVCC端子11の電圧とVDD端子12の電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1…電源、
2…VCC電力供給回路、
3,3A,3B…基準電源電圧回路、
4…回路基準ブロック、
5,6…動作回路、
7,7A,7B…動作前不定期間誤動作防止回路、
8,8A…VDD電力供給回路、
9,9A…VCC検出回路、
10,10A…コンパレータ、
11,12,13,14…端子、
15…コンデンサ、
20,23,24,26,27,32,33…抵抗、
21,22,28,29…電界効果トランジスタ、
25,30,31…バイポーラトランジスタ、
D1〜DN…ダイオード、
T1〜TN…バイポーラトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基準電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記第1の基準電圧と、所定の基準検出電圧とを比較することによって、前記第1の基準電圧以下である第2の基準電圧を電源電圧とする動作回路の動作状態及び停止状態を制御する信号を出力するコンパレータと、
前記第1の基準電圧が第1の所定電圧を下回るとき、前記第2の基準電圧を回路基準電位に維持し、前記第1の基準電圧が前記第1の所定電圧以上かつ第2の所定電圧を下回るとき、前記第2の基準電圧を前記第1の基準電圧と等しい電圧に設定し、前記第1の基準電圧が前記第2の所定電圧以上であるとき、前記第2の基準電圧を前記第1の基準電圧と比例する電圧に設定する動作前不定期間誤動作防止回路と、
を備えたことを特徴とする基準電源電圧回路。
【請求項2】
前記第1の所定電圧は、前記第2の基準電圧を電源電圧とする動作回路が安定に動作できる電圧以上であり、
前記第2の所定電圧は、前記第1の基準電圧を電源電圧とする動作回路が安定に動作できる電圧以上であることを特徴とする請求項1記載の基準電源電圧回路。
【請求項3】
前記動作前不定期間誤動作防止回路は、
回路基準電位にカソード端子が接続され、前記第2の所定電圧である順方向電圧を与えるダイオード部と、
前記第1の基準電源と前記ダイオードのアノード端子との間に接続された第1の抵抗と、
一方の端子が前記第1の基準電源に接続され、他方の端子が第2の抵抗を介して回路基準電位と接続され、制御端子が前記ダイオード部のアノード端子電圧に接続された第1のスイッチ素子と、
一方の端子が前記第1の基準電圧に接続され、他方の端子が前記第2の基準電圧に接続され、制御端子が前記第2の抵抗と前記第1のスイッチ素子との接続点と接続された第2のスイッチ素子と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の基準電源電圧回路。
【請求項4】
前記ダイオード部は、互いに直列接続された複数のダイオードを含むことを特徴する請求項3記載の基準電源電圧回路。
【請求項5】
前記ダイオード部は、互いに直列接続された複数のバイポーラトランジスタを含むことを特徴とする請求項3又は4記載の基準電源電圧回路。
【請求項6】
前記第1及び第2のスイッチ素子は、P型トランジスタであることを特徴とする請求項3記載の基準電源電圧回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−265336(P2007−265336A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92988(P2006−92988)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】