説明

多層配線構造及び半導体搭載用基板

【課題】 積層した配線板間にボイドがないようにして信頼性を高くし、しかも、積層した両配線板の厚さを薄くする。
【解決手段】 プリプレグ32を挟んで積層される配線板18,19の各導体パターン面には、そのパターン非形成領域に、導体パターン30との間隔が100〜300μmの範囲内の幅Wとなるように、導体パターン30と同じ厚さの擬似パターン31を形成する。擬似パターン31は、導体パターン30の形成時に、電気的機能を具備しない導体パターンとして同一工程で形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導体パターンが形成された基板が複数積層された多層配線構造、及び、同多層配線構造を備えた半導体搭載用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、入出力端子数の多いICチップを収容するために、複数の配線板を積層して形成した多層配線構造を備えた半導体パッケージがある。このような半導体パッケージでは、表裏面にそれぞれ導体パターンが形成された複数の配線板が、層間絶縁層となるプリプレグ等の接着層によって接着されている。
【0003】プリプレグは、両基板の積層時に加えられる熱と圧力によって流動化し、重ね合わされた両配線板を硬化時に接着するとともに、所定の層厚を備えた層間絶縁層となる。ところが、プリプレグを挟んだだけで両配線板を積層した場合、導体パターン間の隙間にボイド(気泡)が発生することがあった。これは、積層時にプリプレグが流動化しても、厚さが30μm程度に形成された導体パターン間の隙間を完全に充填することができないためである。
【0004】このように、配線板の積層時に両配線板間にボイドが生じると、積層作業での加熱・加圧時にボイドが膨張し、両配線板が良好に接着されないことがあった。このため、半導体パッケージの多層配線板が層間で剥離する可能性があり、信頼性に問題がある。
【0005】そこで、図8に示すように、積層時に両配線板50間にボイドが生じないように、プリプレグ51に加えて、両配線板50の導体パターン面52全体にそれぞれソルダレジスト53を塗布していた。各配線板50の導体パターン面52にソルダレジスト53を塗布すると、導体パターン54間の隙間が埋められて導体パターン面52がある程度平坦化される。従って、両配線板50を積層すると、図9に示すように、プリプレグ51が導体パターン54間の凹部55を良好に充填し、両配線板50間にボイドが殆ど発生しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、各配線板50の導体パターン面52にソルダレジスト53を塗布すると、図9に示すように、導体パターン54の上にもソルダレジスト53がのる。このソルダレジスト53の厚さは、例えば、20〜30μmであることから、プリプレグ51を挟んで積層した両配線板50間の絶縁層56の厚さが厚くなり、多層配線板部の厚さが厚くなって半導体パッケージの小形化の支障となる問題があった。
【0007】又、各配線板50の導体パターン面52にソルダレジスト53を塗布するようにしたので、従来の製造工程に、各配線板50へのソルダレジスト53の塗布工程の分だけ製造工数が多くなる問題があった。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、接着層を挟んで積層した両基板間にボイドがないようにして信頼性を高くすることができ、しかも、積層した両基板の厚さを薄くすることができる多層配線構造、及び、同多層配線構造を備えた半導体搭載用基板を提供することにある。
【0009】第2の目的は、上記第1の目的に加えて、製造工数を少なくすることができる多層配線構造、及び、同多層配線構造を備えた半導体搭載用基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、導体パターンが形成された導体パターン面を備えた配線板を含む一対の基板が、前記導体パターン面が内側となる状態で、前記両基板間に接着層を挟んで積層される多層配線構造において、前記接着層に向き合う前記導体パターン面には、前記導体パターンが形成されていない領域に、前記導体パターンとの間隔が所定の幅となるように擬似パターンが形成されている。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記擬似パターンは、電気的な機能を具備しない状態で形成された導体パターンである。「電気的な機能を具備しない」とは、多層配線構造において電気路として使用されないことを意味する。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記間隔の幅は、100〜300μmの範囲内の値である。請求項4に記載の発明は、導体パターンが形成された複数の配線板が積層されて形成された多層配線部が形成されている半導体搭載用基板において、前記多層配線部は、請求項1〜請求項3 のいずれか一項に記載の多層配線構造で形成されている。「半導体搭載用基板」とは、半導体パッケージを構成する基板である。
【0013】(作用)請求項1に記載の発明によれば、両基板間に介在されるプリプレグ等の接着層に向き合う配線板の配線パターン面には、導体パターンが形成されていない領域に、導体パターンとの間隔が所定の幅となるように擬似パターンが形成されるので、導体パターン同士の間隔、又は、導体パターンと擬似パターンとの間隔が所定の大きさとなる。その結果、両配線板の積層時に加熱・加圧されて流動化したプリプレグ等の接着層が、所定の幅とされた導体パターン同士の間、又は、導体パターンと擬似パターンとの間にボイドを生じることなく良好に充填される。従って、予め各導体パターン面を平坦化するための被覆層を各配線板に形成することなく、接着層だけでボイドが発生しない状態で両基板が積層される。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、擬似パターンが、導体パターンの形成工程で一緒に形成される。請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、両配線板の積層時に加熱・加圧されて流動化した接着層がボイドを生じることなく隙間に確実に充填される。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、半導体搭載配線板の多層配線部の多層配線構造が請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の作用をなす。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を半導体搭載用基板に具体化した一実施の形態を図1〜図7に従って説明する。
【0017】図2は半導体搭載用基板10を示している。半導体搭載用基板10は、例えばICベアチップ等の半導体が搭載されるメタルスラグ11と、半導体に接続される多層配線部12とを備えている。多層配線部12の中央部には、メタルスラグ11上に半導体を搭載するための開口部13が形成されている。開口部13の周辺には、半導体の各ボンディングパッドをワイヤボンディングするためのボンディングパッド列14,15が設けられている。又、多層配線部12の上面には、各ボンディングパッド列14,15の各パッドに電気的に導通された複数のバンプ16が設けられている。
【0018】図3は多層配線部12の一部の断面を示している。多層配線部12は、積層された第1配線板17、第2配線板18及び第3配線板19とで形成されている。第1配線板17はメタルスラグ11の上面に積層され、第2配線板18は第1配線板17の上に積層され、第3配線板19は第2配線板18の上に積層されている。
【0019】第3配線板19の上面には第1配線層20が形成され、同じく下面には第2配線層21が形成されている。第2配線板18の上面には第3配線層22が形成され、同じく下面には第4配線層23が形成されている。第1配線板17の上面には第5配線層24が形成され、同じく下面には第6配線層25が形成されている。各配線層20〜25はバイアホール26によって接続されている。
【0020】第1配線板17の開口部13側の周縁部は、第2配線板18の開口部13側の周縁部よりも内側に張り出すように形成され、その張り出し部分において外部に露出する第5配線層24にボンディングパッド列14が形成されている。
【0021】又、第2配線板18の開口部13側の周縁部は、第3配線板19の開口部13側の周縁部よりも内側に張り出すように形成され、その張り出し部分において外部に露出する第3配線層22にボンディングパッド列15が形成されている。
【0022】第1配線板17は、接着層27によってメタルスラグ11に接着されている。第1配線板17の第6配線層25にはソルダマスク28が被覆されている。又、第3配線板19の第1配線層20にはソルダマスク29が被覆されている。
【0023】多層配線部12の多層配線構造について説明する。図4は、第2配線板18の上面に形成された第3配線層22を示している。第3配線層22は、導体パターン30によって形成されている。導体パターン30は、例えば、30μmの厚さに形成されている。
【0024】図5は第3配線層22の一部を拡大した図である。第3配線層22の各導体パターン30は、他の配線層20,21,23,24,25の各導体パターンとインピーダンスが調整された所定の線幅で形成されている。又、導体パターン30は、隣り合う導体パターン30との間隔が、少なくとも100μm以上となるように設けられている。尚、インピーダンス等の要因により線幅が制約されない導体パターン30は、例えば、導体パターン30aのように、隣り合う導体パターン30との間隔が100〜300μmの範囲内の幅となるように、あえて、その線幅が広く形成されている。
【0025】第2配線板18の上面には、第3配線層22を形成する導体パターン30に加えて、導体パターン30の間、即ち、導体パターン30が形成されていないパターン非形成領域に、擬似パターン31が形成されている。
【0026】擬似パターン31は、導体パターン30の厚さとほぼ同じ厚さ、即ち、30μm程度の厚さに形成されている。又、擬似パターン31は、電気的機能を具備しない、即ち、電気路として使用されない導体パターンとして形成されている。さらに、擬似パターン31は、各導体パターン30の周囲をできるだけ取り囲まないように、互いに独立した形状に形成されている。擬似パターン31の具体的な形状としては、三角形、四角形などの多角形、台形、線状形などがあり、又、曲線部分を有する自由形状のものでもよい。
【0027】図6は導体パターン30の一部を拡大した図である。擬似パターン31は、隣り合う導体パターン30間との間隔Wが、100〜300μmの範囲内となるように設けられている。即ち、擬似パターン31は、隣り合う導体パターン30同士の間隔が300μm未満である部分には設けられていない。
【0028】又、第2配線板18の第3配線層22と対向する状態で積層されている第3配線板19の第2配線層21にも、同様に擬似パターンが形成されている。図1は第2配線板18と第3配線板19の積層状態を模式的に示している。第2配線板18と第3配線板19とは、接着層としてのプリプレグ32のみを介在した状態で積層されている。プリプレグ32としては、積層前の厚さが例えば60μmのものが使用されている。第3配線層22及び第2配線層21において、導体パターン30同士の間、又は、導体パターン30と擬似パターン31との間は、積層時の加圧・加熱によって流動化したプリプレグ32によってボイドが生じていない状態で充填されている。
【0029】擬似パターン31が、導体パターン30との間隔が、100〜300μmの範囲内の幅となるように設けられている理由は、導体パターン30同士の間隔、又は、導体パターン30と擬似パターン31との間隔が100〜300μmの範囲内である場合には、配線板18,19の積層時に、流動化したプリプレグ32が導体パターン30同士の間、又は、導体パターン30と擬似パターン31と間に、ボイドを生じることなく良好に入り込むためである。即ち、100〜300μmの範囲は、接着層としてプリプレグ32等を使用する場合に好ましい範囲である。
【0030】尚、積層時にプリプレグ32を挟んだ状態で互いに向き合う状態で配置される第2配線板18の第4配線層23と、第1配線板17の第5配線層24についても、各導体パターン面のパターン非形成領域に、第2配線層21及び第3配線層22と同様に擬似パターン31が形成されている。
【0031】次に、多層配線部の製造方法について説明する。まず、各配線板17〜19を、銅張積層板から製造する。銅張積層板にサブトラクティブ法によって各配線層20〜25を形成する導体パターン30を形成する。このとき、擬似パターン31を形成する第1配線板17の第5配線層24、第2配線板18の第3,4配線層22,23、及び、第3配線板19の第2配線層21については、図7に示すように、導体パターン30と共に擬似パターン31を、電気的機能を具備しない導体パターンとして同一のパターン形成工程で形成する。
【0032】各配線板17〜19に配線層20〜25を形成した後は、メタルスラグ11及び各配線板17〜19を積層する。メタルスラグ11と第1配線板17とは、例えば、メタルスラグ11側に接着層27となる接着材を塗布し、第1配線板17の第6配線層25をソルダマスク28で被覆した状態で積層する。
【0033】第1配線板17と第2配線板18、及び、第2配線板18と第3配線板19とは、プリプレグ32のみを介在させた状態で加圧・加熱する。すると、図1に示すように、流動化したプリプレグ32が、各配線層間21,22、23,24において、間隔が100〜300μmの範囲内の幅とされた導体パターン30同士の間、又は、導体パターン30と擬似パターン31との間の隙間にボイドを生じることなく良好に入り込む。このとき使用するプリプレグ32は、Aステージに近いBステージのものであって含浸樹脂の流動性が高めのものが好ましい。
【0034】又、第3配線板19の第1配線層20は、スクリーン印刷によるソルダマスク29で被覆する。以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下に記載の各効果を得ることができる。
【0035】(1) 導体パターン面のパターン非形成領域に形成した擬似パターン31により、導体パターン30同士の間隔、又は、導体パターン30と擬似パターン31との間隔を100〜300μmの範囲内の幅とした。このため、両配線板17,18の積層時の加圧・加熱により流動化したプリプレグ32が導体パターン30同士の間、又は、導体パターン30と擬似パターン31との間にボイドを生じることがなく良好に入り込む。
【0036】従って、予め各導体パターン面を平坦化するための被覆層を各導体パターン面に形成することなく、プリプレグ32だけでボイドが発生しない状態で両配線板17,18が積層される。その結果、積層した配線板17,18間にボイドがないようにして信頼性を高くすることができ、しかも、積層した両配線板17,118の厚さを(被覆層の分だけ)薄くすることができる。
【0037】(2) 擬似パターン31を電気的な機能を具備しない導体パターンとして形成した。従って、擬似パターン31が導体パターン30の形成工程で一緒に形成されるので、従来のように、各配線板17,18の導体パターン面に平坦化のためのソルダレジスト層を形成する必要がない。その結果、従来の製造方法よりも、ソルダレジスト形成工程の分だけ製造工数を少なくすることができる。
【0038】(3) 隣り合う導体パターン30同士の間隔、導体パターン30と擬似パターン31との間隔が100〜300μmの範囲内の幅となるようにした。このため、両配線板17,18の積層時に加熱・加圧されて流動化したプリプレグ32がボイドを生じることなく隙間に確実に充填されるので、ボイドがより一層確実にないようにして信頼性をより一層高くすることができる。
【0039】(4) 導体パターン30についても、インピーダンス等の要因により線幅が制約されないものについては、隣り合う導体パターン30との間隔が100〜300μmの範囲内の幅となるように、あえて、その線幅を広く形成した。従って、あえて擬似パターン31を設けることなく、プリプレグ32だけでボイドが生じない状態で両配線板17,18のその領域を接合することができる。
【0040】(5) 半導体搭載用基板10の多層配線部12の多層配線構造に実施したので、多層配線部12の厚さを薄くして半導体パッケージの薄型化を図ることができる。又、多層配線部12の信頼性を向上することができる。
【0041】尚、実施の形態は上記実施の形態に限らず、以下に記載の各別例のように変更してもよい。
・ 擬似パターン31の厚さは、必ずしも導体パターン30と同じでなくてもよい。導体パターン30と擬似パターン31との間が流動化したプリプレグ32によってボイドが生じることなく良好に充填されるのであれば、擬似パターン31の厚さが導体パターン30より薄くてもかまわない。
【0042】・ 導体パターン30と、電気的機能を具備しない導体パターンとして形成される擬似パターン31とを、共にアディティブ法又はセミアディティブ法で同一工程で形成してもよい。
【0043】・ 導体パターン30の厚さは、30μmに限らず、例えば、10〜50μmの範囲内の厚さであればよい。
・ プリプレグ32は、60μmの厚さのものに限らず、例えば、20〜90μmの範囲内の厚さであればよい。
【0044】・ 擬似パターン31を、導体パターン30との間隔が50〜350μmの範囲内の幅となるように設けてもよい。この場合でも、積層時に流動化したプリプレグ32が、導体パターン30同士の間、又は、擬似パターン27と導体パターン28との間に極力ボイドを生じさせることなく充填されるので、積層した配線板17,18間にボイドが極力生じないようにして信頼性を高くすることができる。
【0045】・ 擬似パターン31を、電気的機能を具備しない導体パターンとして形成する代りに、例えばソルダレジスト等の樹脂で形成してもよい。擬似パターン31をソルダレジストで形成するには、例えば、導体パターン30を形成した導体パターン面に、フォトエッチングによって(あるいは熱硬化によって)形成する。但し、この場合には、擬似パターン形成工程の分だけ製造工数が増える。
【0046】・ 1つの導体パターン面に、電気的機能を具備しない導体パターンで形成した擬似パターン31と、ソルダレジスト等の樹脂で形成した擬似パターン31とを両方設けてもよい。
【0047】・ 1つの導体パターン面において、配線板の積層時にボイドが比較的生じ易い領域にのみ擬似パターン31を形成し、ボイドが比較的生じ難い領域には擬似パターン31を形成しないようにしてもよい。この場合には、無用に擬似パターン31を形成しないようにして、無用な材料の消費を防止することができる。
【0048】・ 1つの導体パターン面において、配線板の積層時にボイドが比較的生じ易い領域にのみ擬似パターン31を50〜350μmの範囲内の幅となるように形成し、ボイドが比較的生じ難い領域には擬似パターン31を100〜300μmの範囲内の幅となるように形成してもよい。
【0049】・ 積層する両配線板の導体パターン面同士が向き合う状態でプリプレグを挟んで積層される配線構造に限らず、少なくとも一方が片面配線板であって、その片面配線板の導体パターンが形成されていない面が内側となる状態でプリプレグを挟んで積層される配線構造に実施してもよい。
【0050】又、積層する両基板の一方が、導体パターン面を備えない基板であってもよい。
・ 両面プリント配線板同士を積層した多層配線構造に限らず、両面プリント板と片面プリント板、あるいは、片面プリント板同士を積層した多層配線構造に実施してもよい。
【0051】・ 半導体搭載用基板10によって構成される半導体パッケージの形態は、多層配線部を備えたものであればよく、BGAに限らずその他例えばLGA,PGA等であってもよい。
【0052】・ 半導体パッケージを構成する半導体搭載用基板10に限らず、その他の、多層配線構造を備えたプリント配線板に実施してもよい。以下、特許請求の範囲に記載した各発明の外に、前述した各実施の形態から把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
【0053】(1) 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記一対の基板は共に前記配線板であって、該各配線板の前記導体パターン面が共に内側となる状態で積層されている。このような構成によれば、プリプレグで形成される層間絶縁層を介在した状態で一対の配線板の導体パターン面同士が向き合う状態で形成された多層配線構造において、両配線板間にボイドがないようにして信頼性を高くすることができ、しかも、積層した両配線板の厚さを薄くすることができる。
【0054】(2) 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記擬似パターンは、導体パターンと同じ厚さで形成されている。このような構成によれば、導体パターン同士の間、又は、導体パターンと擬似パターンとの間の隙間にボイドがより一層生じないようにして、信頼性をより一層高くすることができる。
【0055】(3) 請求項3に記載の多層配線構造において、前記導体パターンは、10〜50μmの範囲内の厚さで形成されている。このような構成によれば、導体パターンとの間隔が100〜300μmの範囲内の幅となるように擬似パターンを設けたときに、配線板の積層時にボイドが一層確実に生じないようにして、信頼性をさらに一層確実に高くすることができる。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、積層した両基板間にボイドがないようにして信頼性を高くすることができ、しかも、積層した両基板の厚さを薄くすることができる。又、半導体搭載用基板の信頼性を高くし、薄型化を図ることができる。
【0057】請求項2〜請求項4に記載の発明によれば、製造工数を少なくすることができる。又、半導体搭載用基板の製造工数を少なくすることができる。請求項3又は請求項4に記載の発明によれば、ボイドがより一層確実にないようにして信頼性をより一層高くすることができる。又、半導体搭載用基板の信頼性をより一層高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多層配線部の一部を示す模式断面図。
【図2】 (a)は半導体搭載用基板の平面図、(b)は同じく(a)におけるA−A線模式断面図。
【図3】 半導体搭載用基板の多層配線部を含む模式断面図。
【図4】 第2配線板の第3配線層を示す模式平面図。
【図5】 第3配線層の一部を拡大した模式平面図。
【図6】 第3配線層の導体パターンの一部を示す模式平面図。
【図7】 積層工程前の多層配線部の一部を示す模式断面図。
【図8】 従来例の積層工程前の多層配線部の一部を示す模式断面図。
【図9】 積層工程後の多層配線部の一部を示す模式断面図。
【符号の説明】
11…放熱用基板としてのメタルスラグ、12…多層配線部、17…配線板としての第1配線板、18…同じく第2配線板、19…同じく第3配線板、30…導体パターン、31…擬似パターン、32…接着層としてのプリプレグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 導体パターンが形成された導体パターン面を備えた配線板を含む一対の基板が、前記導体パターン面が内側となる状態で、前記両基板間に接着層を挟んで積層される多層配線構造において、前記接着層に向き合う前記導体パターン面には、前記導体パターンが形成されていない領域に、前記導体パターンとの間隔が所定の幅となるように擬似パターンが形成されている多層配線構造。
【請求項2】 前記擬似パターンは、電気的な機能を具備しない状態で形成された導体パターンである請求項1に記載の多層配線構造。
【請求項3】 前記間隔の幅は、100〜300μmの範囲内の値である請求項1又は請求項2に記載の多層配線構造。
【請求項4】 導体パターンが形成された複数の配線板が積層されて形成された多層配線部が形成されている半導体搭載用基板において、前記多層配線部は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の多層配線構造で形成されている半導体搭載用基板。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2000−252595(P2000−252595A)
【公開日】平成12年9月14日(2000.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−54049
【出願日】平成11年3月2日(1999.3.2)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】