説明

多条苗移植機

【課題】各機器を収納位置に格納した状態において、煩わしい取扱いを要することなく、機器の保護を確保することができる多条苗移植機を提供する。
【解決手段】多条苗移植機は、多条の植付け幅の外側部分を収納位置に格納可能として苗を多条並列に保持しつつ苗株を植付けする苗移植装置と、この苗移植装置より前寄りの圃場面相当位置に破砕ロータ(352)を軸支して植付け条を整地する整地ローター装置とを備えて構成され、上記整地ローター装置は、植付け進行方向に延びる支軸についてその外側部分を側方に跳ね上げるようにして破砕ロータ(352)の軸線が起立する収納位置まで回動可能に軸支し、この収納位置の破砕ロータ(352)は、格納状態の苗移植装置より外側方に突出して配置したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植装置と整地ローター装置とを備え、それぞれの多条の植付け幅の外側部分を収納位置に格納可能として圃場に多条の苗株を植付けする多条苗移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多条の植付け幅の外側部分を収納位置に格納可能に苗移植装置と整地ローター装置を備えて圃場に多条の苗株を植付けする多条苗移植機が知られている。この多条苗移植機は、例えば、特許文献1に示すように、苗移植装置の外側の苗載台を内側の固定苗載台の部分に重ね合わせて折り畳み、また、軸線方向に移動可能な可動ローターを設けて整地ローター装置の全幅を縮小可能に構成することにより、移動走行、機体格納のために機体幅を縮小することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−205813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記多条苗移植機は、苗移植装置の苗載台を格納した際に、左右にスライド動作する苗載台を支持するスライド支持部部等の機構部分が機体外側端位置に露出されることから、格納状態で走行する際に地上側の障害物との干渉によってダメージを被ることがあり、また、狭い格納庫内で損傷を受けることがあり、煩わしい取扱いを強いられるという問題があった。
【0005】
解決しようとする問題点は、各機器を収納位置に格納した状態において、煩わしい取扱いを要することなく、機器の保護を確保することができる多条苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、多条の植付け幅の外側部分を収納位置に格納可能として苗を多条並列に保持しつつ苗株を植付けする苗移植装置と、この苗移植装置より前寄りの圃場面相当位置に破砕ロータを軸支して植付け条を整地する整地ローター装置とを備えた多条苗移植機において、上記整地ローター装置は、植付け進行方向に延びる支軸についてその外側部分を側方に跳ね上げるようにして破砕ロータの軸線が起立する収納位置まで回動可能に軸支し、この収納位置の破砕ロータは、格納状態の苗移植装置より外側方に突出して配置したことを特徴とする。
【0007】
上記構成の多条苗移植機は、格納状態では、破砕ロータが軸線を起立した姿勢で苗移植装置より前寄りの低い位置で外側に突出して軸支される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記整地ローター装置は、苗移植装置が収納状態であることを条件に、格納可能としたことを特徴とする。
上記整地ローター装置は、その収納スペースが確保された場合に限って収納位置に格納が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の多条苗移植機は、格納状態では、破砕ロータが苗移植装置より前寄りの低い位置で外側に突出して収納されることから、格納状態で移動中に障害物との干渉があっても、苗移植装置より前寄りで外側に突出する破砕ロータが障害物を低位置で排除するとともに、破砕ロータが軸線を起立して軸支されていることから、障害物の接触によっても破砕ロータが空転して整地ローター装置に対する衝撃が小さく抑えられる。
【0010】
請求項2の苗移植機は、請求項1の効果に加え、整地ローター装置の収納スペースが確保された場合に限ってその格納が可能となることから、混乱なしに整地ローター装置を収納位置に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】乗用苗移植機の平面図
【図2】苗タンク下部の拡大側面図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】側端部材の収納状態の要部平面展開図
【図5】リヤフレーム部の左半部分の平面図
【図6】リヤフレームの折畳み状態の植付部の側面図
【図7】植付機構の拡大側面図
【図8】植付部の拡大平面図
【図9】固定レバー部の側面図
【図10】レバーの駆動構成図
【図11】植付機構の折畳み状態の平面図
【図12】破砕ロータの要部拡大背面図
【図13】施肥ホースの収納状態の側面図
【図14】施肥ホースの他の収納例の平面展開図
【図15】施肥ホースステーの支持部の拡大側面図
【図16】フロート部の側面図
【図17】施肥ホースの支持ステー部の平面図
【図18】苗植付部の一部を省略した平面図
【図19】苗植付部の一部を省略した背面図
【図20】苗載部下部の側部断面図
【図21】図20におけるA矢視図
【図22】左右外端部の苗載部を折りたたんだ状態を示す苗載部の側面図
【図23】一部を省略して表した図22におけるA矢視図その2
【図24】中央部の苗載部と左右外側部の苗載部との上部連結部の断面図
【図25】中央部の苗載部と左右外側部の苗載部との下部連結部の断面図
【図26】苗載部支持フレームの要部の正面図
【図27】フロート支持軸の分割部の(a)平面図、及び(b)平面図
【図28】折畳部の拡大側面図
【図29】折畳み牽制スイッチの配置側面図
【図30】整地ロータ装置の側面図
【図31】ローター部の正面図
【図32】図31の苗移植機の上平面図
【図33】乗用苗移植機の側面図
【図34】乗用苗移植機の平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の適用例である乗用苗移植機の側面図である。この苗移植機1は、圃場走行可能な車体2の後側に昇降リンク3を介して多条マット苗移植装置4が昇降可能に装着され、10条の植付け幅の左右の外側2条ずつを内側方に折畳み可能に構成される。
【0013】
多条マット苗移植装置4は、外側条部分を折畳み可能に構成されて苗の集合体であるマット苗を多条並列に保持する苗タンク6、この苗タンク6に保持されたマット苗の下端部を受ける苗受板7、この苗受板7の後方から植付け条別に臨む植付機構8等を備えるとともに、植付け幅を整地する整地ロータ装置9を折畳み可能に備える。
【0014】
苗受板7について説明すると、その折り畳み構造は、苗タンク6下部の拡大側面図を図2に示すように、外側2条部分を別体の側端部材7aと、この側端部材7aを外側条部分に固定するための長尺ロッド状のハンドル付きボルト7bとによって着脱可能に構成することにより、植付け全幅に及ぶ長さの苗受板7が別途詳述する苗タンク6の折畳み部分と対応して収納位置に折り畳み可能となる。
【0015】
詳細には、苗受板7は、苗タンク6の下端に臨んでマット苗を受ける横長の仕切材であり、この苗受板7の基部に苗タンク6の下端部を左右にスライド動作可能に支持するスライド支持部311である中空フレームを一体に構成するとともに、植付け条別にマット苗から株分け取出しするための株取口312を備え、その外側条部分を側端部材7aとして別体に形成する。
【0016】
この側端部材7aは、スライド支持部311の中空部にハンドル付きボルト7bを通し、外側端からハンドル操作によって締結することにより着脱可能に構成する。また、植付機構8の伝動ケース313から後方にステー314を延ばし、その後端部に横断方向に延びて後部を保護するリヤフレーム315を支持し、このリヤフレーム315に苗受板7の側端部材7aを着脱可能に吸着保持するマグネットによる苗受板保持機構316を設けて収納手段を構成する。
【0017】
上記のように構成した苗受板7は、側端部材7aが着脱可能な別体部材によって構成されることから、苗受板7からその側端部材7aを取り外すことにより幅方向に長い苗受板7の構成寸法が縮小され、また、植付機構8の後縁を保護するリヤフレーム315にマグネットによる苗受板保持機構316を構成して収納位置とすることにより、苗受板7の側端部材7aをその保護範囲内に着脱可能に保持することができる。
【0018】
したがって、苗移植機の多条マット苗移植装置は、苗受板7の折り畳みに際して、その側端部材7aの簡易な着脱移動の操作により、スライド支持部311や株取口312等が機体の外側縁に露出されることを回避して、周囲の障害物に対する苗受板7の保護を確保することができる。
【0019】
この場合において、図2の要部の拡大図を図3に示すように、側端部材7aをリヤフレーム315の上に保持するように、苗受板保持機構316のマグネットブラケット317を構成することにより、苗受板保持機構316による着脱操作を容易にすることができる。
【0020】
また、苗受板保持機構316は、リヤフレーム315の上に沿うように平行する姿勢で側端部材7aを着脱可能に保持することにより、多条マット苗移植装置は、横に長い側端部材7aを苗受板7から取外した姿勢のままの簡易な移動操作によって苗受板7の収納と装着が可能となるとともに、保護を要する側端部材7aのスライド支持部311を前側に配置して確実に保護することができる。
【0021】
また、別の苗受板保持機構として、側端部材7aの収納状態の要部平面展開図を図4に示すように、マグネット式の苗受板保持機構316に代え、または、それに加えて、側端部材7aを固定するためのハンドル付きボルト7bとの螺合が可能なねじ穴を形成した螺合部318を収納位置に設けることにより、側端部材7aおよびハンドル付きボルト7bをリヤフレーム315の上に確実に保持することができる。
【0022】
(リヤフレーム)
次に、リヤフレーム等の収納構成について説明する。
リヤフレーム315は、その左半部分の平面図を図5に示すように、外側条部分315aを起立姿勢の収納位置に折畳み可能に構成するとともに、折畳み時は、植付部の側面図を図6に示すように、収納位置の苗タンク6の後端より後方位置とし、かつ、植付機構8の拡大側面図を図7に示すように、その植込杆8aの軌跡Pより後方に配置することにより、植込杆8aを保護することができる。
【0023】
また、図6の回動ステー321を植付駆動軸322の前側に、植付け深さパイプ323を後下に配置し、さらに、植付部の拡大平面図を図8に示すように、リヤフレーム315はパッチン錠315bでロック可能に構成し、リヤフレーム315、駆動ケース331、苗取フレーム332を共通の回動軸線Cにより折畳み可能に構成する。
【0024】
(牽制スイッチ)
折畳部の取扱いに関し、折畳み状態を検出するスイッチでは折畳み状態から展開して植付け作業をする場合のロック忘れが検出できないことから、回動固定用のロックレバー部の側面図を図9に示すように、ロックレバー341にマグネットスイッチ等による牽制スイッチ342を設ける。このようにロック忘れを検出する牽制スイッチ342を設けることによって植付部の破損を効果的に防止することができる。
【0025】
また、レバーの駆動構成図を図10に示すように、電動駆動部343によって苗取調節ガイドと植付深さガイドを動作させ、ロックレバー341を解除すると植付深さ、苗取レバーが収納位置まで移動し、ロックレバー341をロックすると元の位置に戻るように構成する。
【0026】
このように、牽制スイッチ342によりロックレバー341の位置に応じて、収納位置と展開位置とを切替えることにより従来の煩雑な作業、すなわち、植付部を折畳むために手動で収納位置に合わせ、展開するとそれぞれの必要な位置に合わせる煩雑な作業を要することなく、ロックレバー341をロックすると元の位置に戻るので、多条折畳みの煩雑な位置合わせ操作を簡単にでき、また、作業終了時の位置から変えなくてよい。
【0027】
(警報システム)
次に、レバー収納位置の警報装置について説明する。
植付回動ロックレバー341のスイッチ342によってレバー位置をチェックできるようにした上で、苗取調節レバーに収納位置検出スイッチを設け、収納位置でないときにロックレバー341を操作するとエラーとみなしてホーンやブザーまたは音声ガイドによってオペレータに警報を発することにより、全ての装置が収納位置にあるかどうかを容易に判断でき、破損を防止することができる。音声ガイドは、例えば、「苗取調節レバーを収納位置に操作してください」等のごとく、問題箇所の具体的な音声案内を行う。
【0028】
上記苗取調節レバーのほかに、植付深さレバーの収納位置、苗タンクの中央位置、施肥ホースの収納位置を検出するスイッチを設け、それぞれが収納位置にない場合を警報条件とすることにより、多数の機器について破損につながる操作漏れを簡易に防止することができる。
【0029】
(整地ローター)
整地ローター装置9は、植付機構の折畳み状態の平面図を図11に示すように、植付け幅を整地する破砕ロータ352を備えるとともに、その外側条部分を植付機構と一体的に折畳み可能に構成し、苗タンク6を含む折畳み状態において、破砕ロータ352の外側端位置Bが、機体の最外側となるように構成することにより、側壁等に機体が干渉した場合には、破砕ロータ352が空転して接触による機体側の損傷を防ぐことができる。
【0030】
また、破砕ロータ352は、その要部拡大背面図を図12に示すように、折畳み支点353の位置をローターカップリング354より内側に配置するとともに、株植装置が折畳み状態であることを条件に、折畳みを作可能に構成する。ローターカップリング354は、伝達効率の観点および藁屑等の夾雑物の引っ掛かりを抑えるために、外径寸法をローター外径とほぼ同じに構成する。
【0031】
(施肥ホース)
施肥ホース361は、その収納例の側面図を図13に示すように、苗タンクフレーム362の屈曲部に収納し、または、他の収納例の平面展開図を図14に示すように、ローターフレーム363の屈曲部に収納する。回動側施肥ホースステー364は、その支持部の拡大側面図を図15に示すように、展開側を位置決め用のピン364aにより固定し、収納側をフリーに構成する。また、サイドフロート365との関係において、フロート部の側面図を図16に示すように、施肥ホース361とサイドフロート365のパイプの形状を合わて回動可能に構成する。
【0032】
施肥ホース361のステー364は、平面図を図17に示すように、ガイド364bを設け、畦クラッチケーブル366を取付ける。また、施肥ホース361の支持は、図11のピアノ線のフック371を用いてステー364に支持することで、施肥ホース361の動きが上下方向に自由になり、収納状態でも無理なくおさめることができる。
【0033】
(植付装置全体)
以下において、植付装置の折畳み構造を新たな実施形態により詳細に説明する。
図33及び図34は本発明の適用例である乗用苗移植機を表している。この苗移植機1は、車体2の後側に昇降リンク装置3を介して10条植の苗植付部4が昇降可能に装着され、車体2の後部上側に施肥装置5が設けられている。
【0034】
四輪駆動車両である車体2は、機体の前部にミッションケース10を配し、該ミッションケースの左右側方に設けた前輪ファイナルケース13,13に前輪14,14を取り付けるとともに、ミッションケース10の背面部にメインフレーム15の前端部を固着し、該メインフレームの後端部にローリング自在に支持された後輪ギヤケース19,19に主後輪20,20及び補助内後輪21,21、補助外後輪22,22を取り付けている。
【0035】
エンジン25はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジンの回転動力が、第一ベルト伝動装置及び第二ベルト伝動装置によりミッションケース10へ伝達される。ミッションケース10に伝達された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と作業動力とに分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪14,14を駆動するとともに、後輪ギヤケース19,19に伝達されて後輪20,20を駆動する。また、作業動力は、作業伝動軸を介して車体2の右側後部に設けた植付クラッチケースに伝達し、それから植付伝動軸によって苗植付部4へ伝達するとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝達する。
【0036】
エンジン25の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に操縦座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪14,14を操向操作するハンドル33が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は、その上を人が移動可能なメインステップ35になっている。また、メインステップ35の後部左右外側にはメインステップ35とほぼ同レベルの拡張ステップ36,36が設けられている。そして、この拡張ステップ36,36の外側下方に、昇降用の足掛け37,37が設けられている。さらに、メインステップ35及び拡張ステップ36,36の後側には、これらステップの後部高さとほぼ同レベルのリヤステップ及び補助リヤステップが設けられている。なお、補助リヤステップは、収納のため内側に折りたたみ可能になっている。
【0037】
昇降リンク3は、メインフレーム15の後端部に固定のリンクベースフレーム50に上リンク51及び下リンク52,52を回動自在に取り付け、これらリンクの後端部に縦リンク53を連結している。そして、縦リンク53の下端部から後方に突出する軸受部に苗植付部側に設けたローリング軸が回転自在に挿入連結され、苗植付部4がローリング軸を中心にしてローリング自在に装着されている。メインフレーム15と上リンク51に一体のスイングアーム57との間に設けた昇降油圧シリンダ56を伸縮させると、上リンク51及び下リンク52,52が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0038】
苗植付部4は、フレームを兼ねる伝動ケース60、苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ所定の苗取口に供給する苗載部80、苗取口に供給された苗を圃場に植付ける植付装置200,…、苗植付けに先行して泥面を整地するフロート210,…等を備えている。収納時の左右幅を縮小するために、苗載部80を含む苗植付部4の各部はその外側部分を内側に折りたためるようになっている。
【0039】
伝動ケース60は、左右中央部に位置する苗載部駆動ケース61の背面に中央配置すなわち左側から3番目のユニット伝動部62−3の前端部を固着し、また苗載部駆動ケース61の左右側面に第一連結パイプ63,63の内端部を固着し、その第一連結パイプ63,63の外端部にユニット伝動部62−2,62−4の前部内面を固着し、そのユニット伝動部62−2,62−4の前部外面に第二連結パイプ64,64の内端部を固着し、その第二連結パイプ64,64の外端部にユニット伝動部62−1,62−5の前部内面を固着している。伝動ケース60の上側に苗載部80が支持されていると共に、各ユニット伝動部62−1〜62−5の後部に支承されている植付駆動軸65,…の左右突出部に左側から1番目の植付装置200−1〜10番目の植付装置200−10が取り付けられている。
【0040】
車体2のミッションケース10より伝動される苗植付部駆動用動力が、伝動ケース60の入力部に伝動される。その回転動力が、苗載部駆動ケース61の下部を貫通してユニット伝動部62−2〜62−4の前部と第一連結パイプ63,63の内部に支承されているセンター部の植付軸69に伝えられ、更に、左側から2番目の畦クラッチ71−2〜4番目の畦クラッチ71−4によって植付軸69と伝動入・切可能なチエン72…を介してユニット伝動部62−2〜62−4の各植付駆動軸65,…へ伝動される。また、植付軸69の回転動力が、両外側位置の畦クラッチ71−1,71−5によって、第二連結パイプ64,64の内部とユニット伝動部62−1,62−5の前部に支承されているサイド部の植付主軸70,70に伝動入・切可能に伝えられ、更に植付主軸70,70からチエン72,72を介してユニット伝動部62−1,62−5の植付駆動軸65,65へ伝動される。
【0041】
また、植付軸69の回転は、後記苗縦送り装置101,…を駆動する苗縦送り駆動軸73と、苗載部80を左右移動させる横移動棒74とに伝動される。
【0042】
各畦クラッチ71,…は個別に入・切操作するようになっているので、植付条PL1〜PL10を2条づつの単位で植付け・非植付けを切り替えられる。外側2条分すなわち左側から1番目と5番目の畦クラッチ71−1,71−5を操作する畦クラッチレバー75−1,75−5は車体2に設けられ、中央6条分の畦クラッチ71−2〜71−4を操作する畦クラッチレバー75−2〜75−4は苗植付部4に設けられ、それぞれの操作レバーと畦クラッチのクラッチピン76,…とを操作ワイヤ77,…で結んでいる。
【0043】
(苗載部)
苗載部80は、前側が上位となるよう傾斜して設けられており、仕切壁81,…によって各苗植付条ごとの左側から1番目の苗載部80−1〜10番目の苗載部80−10に区分されている。苗載部80は苗載面の裏面側で左右動自在に支持されている。その支持構造は、苗載面の裏面側下部に左右方向に設けた横枠82に係合摺接部材84,…を固着し(図20に図示)、該係合摺接部材をユニット伝動部62,…の上に設けた左右に長い苗受板83に左右に摺動自在に係合させていると共に、ユニット伝動部62−2,62−4に基部が支持された苗載部支持フレーム85に取り付けたローラ86,…を苗載面の裏面上部に固着した左右方向の断面コ字状の上部レール87に係合させている。前記横移動棒74の両端部に取り付けた連結部材74a,74aが横枠82に固着の取付部材88,88に連結させてあり(図24に図示)、横移動棒74が左右往復動することにより苗載部80も苗受板83に沿って左右往復動する。なお、各苗載面の上端部には、延長苗載せ部89,…が苗載面側へ回動可能に取り付けられている。
【0044】
前記苗受板83は、図20に示すごとく、係合摺接部材84,…が係合する断面長方形の基台部83aと、苗載部上の苗の下端面を受け止める断面L字状の本体部83bとを一体成形したものであり、各苗載部80に対応させて10箇所にコ字状に切り欠かれた苗取口90,…が形成されている。苗載部80が左右往復動することにより、各苗載部80の下端部に位置する苗がこの苗取口90,…に順次供給される。植付装置200の後記株挿具202が苗取口90を通過し、苗を一株分に分割して取り出す。また、図21に示すごとく、苗取口90の縁部左右側にゴム製の苗取ガイド91,91が取り付けられていると共に、苗取口90の縁部前側に株挿具202の先端軌跡に沿う形状に形成された金属線材製の背面ガイド92が取り付けられている。
【0045】
苗受板83の支持部の構造は下記のようになっている(図20参照)。すなわち、ユニット伝動部62,…に固着のブラケット94,…に苗受板上下動ガイドプレート95,…を取り付け、該ガイドプレートに対し上下に摺動自在に苗受板取付部材96,…を設け、さらに該取付部材96,…に苗受板83を取り付けている。また、ブラケット94,…には左右方向の苗取り量調節軸97が回転自在に嵌合しており、該苗取り量調節軸に固着した苗受板上下動アーム98,…の先端部が苗受板取付部材96,…にピン99にて連結されている。図示を省略した苗取り量調節レバーを用いて苗取り量調節軸97を回転させると、苗受板取付部材96,…と苗受板83が苗載部80と平行に上下移動し、それにより株挿具202による苗取り量が調節される。
【0046】
各苗載部80−1〜80−10の裏面側下部には、苗載部の下端部に位置する横1列分の苗が全て移植されると苗を下方に移送するベルト式の苗縦送り装置101,…がそれぞれ設けられている。この苗縦送り装置101は、図20及び図21に示すように外周部に小突起が形成された無端の苗送りベルト102を駆動ローラ103と従動ローラ104に張架し、引っ張りスプリング105によって従動ローラ104の回転軸104aを苗送りベルト102が張る方向に引っ張っている。駆動ローラ103が取り付けられているローラ駆動軸103aには駆動アーム107がラチェット機構108を介して取り付けられている。また、図23に示すように前記苗縦送り駆動軸73には苗縦送りアーム109,…が一体に取り付けられており、該苗縦送りアームの先端部にローラ110,…が支持されている。苗載部80が左右行程の端部に到達すると、駆動アーム107がローラ110に接当し、ローラ駆動軸103aが所定角度回転させられ、これによって苗送りベルト102が所定量だけ作動するようになっている。ローラ110が駆動アーム107から離れると、トルクスプリング111の張力によって駆動アーム107が駆動前の姿勢に戻る。また、前記畦クラッチ71を操作する操作具71aとワイヤ112を介して連動する作動停止部材113が設けられており、畦クラッチ71が「切」に操作されると、この作動停止部材113が従動ローラ104に係合して苗送りベルト102が送り作動しないようになる。
【0047】
各苗載部の上面側下部には、苗が浮き上がるのを防止する苗押え具115と、最下段に位置する苗の葉を受けて葉が下方に垂れ下がらないように持ち上げる抵抗棒116,…とが設けられている。苗押え具115は、仕切壁81,81に突設した支柱117,117に回動自在に支持されており、図20において実線で示す苗押え作用状態と同図において鎖線で示す苗押え非作用状態とに切り替えられるようになっている。
【0048】
(折畳構造)
この苗移植機1は、運搬時や格納時に苗植付部4の左右幅を縮小させるための構成が各所に施されている。まず、苗載部80の左右端部をりたたみむ構成について説明する(図21〜図25参照)。
【0049】
左側から3番目の苗載部80−3と4番目の苗載部80−4を仕切る仕切壁81−4は、内側の部位81aと外側の部位81bとに分割されており、内側の部位81aは中央部の苗載部80−4〜80〜8と一体に形成され、外側の部位81bは左外側3条の苗載部80−1,80−2,80−3と一体に形成されている。この仕切壁81−4は、仕切壁81−9を除く他の仕切壁よりも苗載面に対して高く形成されている。そして、内側と外側の両部位81a,81bの上端部に形成した筒状部120a,120b,…に1本の回動軸121を挿通して設け、この回動軸121を中心として左外側3条の苗載部80−1,80−2,80−3を上側内向きに反転させ、当該部分を左側から4番目乃至6番目の苗載部80−4,80−5,80−6の上に重なり合う状態に折りたたむようにしている。左側から5番目乃至7番目の仕切壁81−5,81−6,81−7に設けた支柱117,…の頂部には凹状の支柱受け122,…が固着されており、左外側3条の苗載部が折りたたまれたとき仕切壁81−1,81−2,81−3に設けた支柱117,…の頂部がこの支柱受け122,…に係合する。
【0050】
また、右から2番目の苗載部80−9と3番目の苗載部80−8を仕切る仕切壁81−9は、内側の部位81aと外側の部位81bとに分割されており、内側の部位81aは中央部の苗載部80−4〜80−8と一体に形成され、外側の部位81bは右外側2条の苗載部80−9,80−10と一体に形成されている。この仕切壁81−9は仕切壁81−4よりも更に苗載面に対して高く形成されている。そして、内側と外側の両部位81a,81bの上端部に形成した筒状部120a,120b,…に1本の回動軸121を挿通して設け、この回動軸121を中心として右外側2条の苗載部80−9,80−10を上側内向きに反転させ、当該部分を右から3番目と4番目の苗載部80−7,80−8の上に重なり合う状態に折りたたむようにしている。一番左側の仕切壁81−1の底面に凹状の支柱受け122が固着されており、右外側2条の苗載部が折りたたまれたときに一番右側の仕切壁81−11に設けた支柱117の頂部がこの支柱受け122に係合する。また、仕切壁81−8の設け支柱117の頂部と仕切壁81−10に設けた支柱117の頂部を補助支柱123で連結して、苗載部80−9,80−10を支える。
【0051】
なお、前記筒状部の配置に関し、内側の部位81aと対応する筒状部120aと外側の部位81bと対応する筒状部120bは上下3組に分けて配置され、上から120b,120a,120b,120a,120a,120bの順に並んでいる。また、上2組の筒状部120a,120b間には隙間がないが、最下部の筒状部120a,120bには隙間Sが設けられている。これは次の理由による。すなわち、苗受板83のL状本体部83bは側面視で鋭角になっているので、左外側3条の苗載部80−1,80−2,80−3及び右外側2条の苗載部80−9,80−10をそのままの位置では反転させることができず、L状本体部83bとの干渉を避けるために苗載部の傾斜に沿って隙間S分だけ押し上げた状態で上記苗載部を反転させるためである。
【0052】
図24における82は前記横枠で、この横枠は中央部の苗載部80−4〜80−8と左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)の境界部近傍で中央部分82Aと外側部分82Bに分離している。そして、中央部分82Aの左右両端部に前記取付部材88が固着されていると共に、外側部分82Bの内端部に取付部材88に対向させて固定部材124が固着されている。固定部材124には左右に貫通する丸孔125が穿設され、また取付部材88には前記丸孔125の延長線上にねじ孔126が穿設されている。先端部にねじが切られた固定棒127を外側から固定部材124の丸孔125に挿入し、その先端ねじ部を取付部材88のねじ孔126に螺合させることにより、左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)を中央部の苗載部80−4〜80−8に固定する。なお、固定棒127の適所に小径部127aが形成されており、左右外側部の苗載部を折りたたむに際して固定棒127をねじ孔126から引き抜くと、この小径部127aにノックピン128の先端が係合するため、固定棒127がそれ以上抜けないようになっている。小径部127aの外側の壁面はテーパ状になっているので、固定棒127を押し込むことはできる。図中の129はノックピン128を固定棒側に付勢するスプリングである。
【0053】
図25における131は苗載部の裏面上部に設けた横パイプで、この横パイプも中央部の苗載部80−4〜80−8と左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)の境界部近傍で中央部分131Aと外側部分131Bに分離している。そして、中央部分131Aの中空部内端側に雄ねじ部材132が嵌装されている。先端部にねじ孔133が形成された固定棒134を外側から横パイプ131内に挿入し、そのねじ孔133を雄ねじ部材132に螺合させることにより、左右外側部の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)を中央部の苗載部80−4〜80−8に固定する。この固定棒134の抜落ち防止機構は、前記固定棒127のそれと同様で、スプリング136で付勢されたノックピン137を固定棒134の小径部134aに係合させるようになっている。
【0054】
左右外側部の苗載部を展開した状態では、中央部の苗縦送り装置101Aと左右外側部の苗縦送り装置101Bが伝動連結されるように構成されている(図21参照)。すなわち、中央部の苗縦送り装置101Aのローラ駆動軸103aAは、その内端部に駆動アーム107がラチェット機構108を介して取り付けられていると共に、外端部にクラッチ爪を備えた駆動クラッチ体140が一体に取り付けられている。駆動クラッチ体140には、外側部のローラ駆動軸103aBに取り付けた従動クラッチ体141が咬み合うようになっている。従動クラッチ体141は、外側部のローラ駆動軸103aBに一体回転するように嵌合し、かつ軸心方向に摺動可能で、スプリング142によって軸端側に付勢されている。したがって、駆動クラッチ体140,従動クラッチ体141の両クラッチ体を連結する際に、双方のクラッチ爪同士が突き合っても、従動クラッチ体141が逃げることができるので、駆動クラッチ体140,従動クラッチ体141の位相が合っていなくても無理なく連結すると共に、迅速に咬み合い状態になる。
【0055】
苗載部支持フレーム85は、図20に示すように、ユニット伝動部62−2,62−4に基部が固着された縦フレーム85a,85aの上部に横フレーム85bを水平に設け、該横フレームの左右端部に回動フレーム85c,85cを回動自在に設けた構成で、縦フレーム85a,85aの上端部に中央部の苗載部80−4〜80−8を支持するローラ86,86が取り付けられ、また回動フレーム85c,85cの先端部に左右外側の苗載部80−1,80−2,80−3(或は80−9,80−10)を支持するローラ86,86が取り付けられている。
【0056】
左右外側の苗載部を支持するローラ86は、図26に示すごとく、そのローラ軸86aが回動フレーム85cのローラ軸孔に軸方向に摺動自在に嵌合しており、ローラ軸86aに遊嵌するスプリング86bにて回動フレーム85cから離れる方向に付勢されローラ軸86aに挿通した割りピン86cによって抜止めされている。ローラ軸86aの端部には、指掛け86dが固着されている。この指掛け86dに指を掛けてローラ軸86aを下方に引き下げると、ローラ86が上部レール87のコ字状凹部から外れる。
【0057】
横フレーム85bと回動フレーム85cの連結部は、横フレーム85b側の軸85dに回動フレーム85c側の筒部85eが回動自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合している。筒部85eには波状のカム85fが一体に形成されており、軸85dに直交させて挿通したピン85gがこのカム85fに接当するようにスプリング85hによって筒部85eが上向きに付勢されている。常時は、カム85fの凹部にピン85gが係合し、回動フレーム85cが左右側方を向く状態で安定するようになっている。その安定状態よりも回動フレーム85cが苗載部側に回動しないようにするストッパ85iがカム85fに固着されている。
【0058】
更に、前記外側2条部分の苗送りベルト作動停止用ワイヤ112の中間部が、回動フレーム85cの適所に固定されている。このため、左右外側の苗載部を支持するローラ86が上部レール87のコ字状凹部から外れた状態で苗載部の外側2条部分を折りたたむと、ワイヤ112に引かれて回動フレーム85cが後方に回動する。この時、ピン85gが波状のカム85fに沿って摺動するため、回動フレーム85cの回動は滑らかに行われる。
【0059】
図27はフロート支持軸の分割部の構造を表す図である。フロート支持軸211は、センターフロート210C及びミッドフロート210M,210Mを支持する中央部分211Aと、サイドフロート210S,210Sを支持する左右端部分211B,211Bとからなり、両部にそれぞれ固着した断面U字状の連結具260,261を互いに係合させてある。連結具260,261は前後に長く成形されているので、植付深さレバー215の操作による中央部分211Aの回動が左右端部分211B,211Bへ確実に伝達される。また、この構成にすると、連結具260,261の内側に形成された前後に連通する空間部262を通って泥が後方に抜けるため、泥等を咬み込むことによる連結不良が生じない。
【0060】
伝動ケース60の左右端部を上側に回動させて折り曲げると、それに連動して折りたたみ部211B,211Bも上側に折りたたまれ、また伝動ケース60の左右端部を本体側に連結すると、それに連動して両部211A,211Bが連結される。このように、フロート支持軸211については折りたたみ時及び戻し時に操作を行わなくてもよいので、水田作業機全般の左右幅縮小作業の労力が軽減される。なお、フロート支持軸211を折りたたむ際には、植付深さレバー215を運搬位置すなわちフロート210,…が持ち上がる位置に操作して行う。この時、連結具260,261が回動支点軸170と平行になるようしてあるので、フロート支持軸211を折りたたんだときに連結具260,261が下方に突出せず邪魔にならない。
【0061】
(ロックアーム)
苗移植機の苗植付部4は、苗載部80と植付装置200とを植付け条と対応して並列配置し、横並びの苗載部80の下端で共通伝動する植付主軸であるサイド部の植付主軸70を備え、外側端の植付装置200を植付主軸70とともに内側に折畳み可能に構成される。
【0062】
この折畳部には、その拡大側面図を図28に示すように、外側端の植付装置200に伝動する植付主軸70の外側部70Bを展開状態に固定するための規制部221aを形成したロックアーム221を設け、このロックアーム221は、その規制部221aの固定位置から解除位置に及ぶ範囲Aを揺動可能に軸支する軸支部223を備え、固定位置においてその規制部221aと軸支部223を植付主軸70の前側位置に上下に振り分けて配置する。また、ロックアーム221は、固定位置においてその規制部221aから機体前側に突出するように屈曲してなる揺動操作用の把持部224を形成する。
【0063】
上記構成のロックアーム221は植付主軸70の前側の開放空間に臨んで配置されることから、作業者はロックアーム221を固定位置まで無理なく揺動操作することができる。また、上記構成のロックアーム221は、規制部221aに近接する把持部224を介して規制部221aに効率よく操作力を作用することができるので、ロックアーム221を固定位置まで容易に操作することができる。
【0064】
(フロート調節部)
フロート210には、要部拡大側面図を図20に示すように、高さを変更するアクチュエータとしてのモータ241を取付け、ダイヤルで高さ設定可能に構成する。また、図29の側面図に示すように、マグネットスイッチによる折畳み牽制スイッチ242を固定側に設け、可動側に対応してマグネット243を取付ける。このスイッチ信号により、折畳んだ時に最深の高さ位置に制御して展開時に噛み合いやすくすることができ、その結果、深さレバーが不要となり、また、操作が1つ減ることにより折畳みが容易となる。
【0065】
(ロータ装置)
ここで、改めて、ロータ装置の全体構成の具体例について説明する。
図30、図31にそれぞれ整地ロータ装置の側面図と背面図を示し、図32にロータ部分の要部平面図を示す。
【0066】
ロータ支持構造には、苗載台の支持枠体の両側辺部材に上端を回動自在に支持された梁部材266と該梁部材266の両端に固着した支持アーム267と該支持アーム267に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム268が設けられている。該ロータ支持フレーム268の下端にはロータ227(227a,227b)の駆動軸270(270a,270b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム268の下端部近くは伝動ケースに回動自在に取り付けられた連結部材271に連結している。
【0067】
図32に示すように、フロート255〜257との配置位置の関係でセンタフロート255の前方にある中央部の整地ロータ227bはミドルフロート257とサイドフロート256の前方にある側方部の整地ロータ227aより前方に配置されている。そのためロータ227aの駆動軸270aへの動力は後輪のギアケース218内のギアから自在継手272等を介して伝達され、ロータ227bの駆動軸270bは両方のロータ227a,227aの駆動軸270a,270aの車体内側の端部からそれぞれ動力が伝達される左右一対のチェーンケース273,273内の一対のチェーン(図示せず)から動力伝達される。
【0068】
また、機体中央部のロータ227bの駆動軸270bは左右一対のチェーンケース273,273を介して支持されているだけなので、チェーンケース273,273の補強のために左右一対のチェーンケース273,273を橋渡しする補強部材274が設けられている。さらに、ロータ227bは梁部材266に上端部が支持された一対のリンク部材276,277によりスプリング278を介して吊り下げられている。
【0069】
該一対のリンク部材276,277は梁部材266に一端部が固着支持された第一リンク部材276と該第一リンク部材276の他端部に一端が回動自在に連結した第二リンク部材277からなり、該第二リンク部材277の他端部と補強部材274に回動自在に支持された取付片274aとの間に前記スプリング278が接続している。
【0070】
ロータ227a,227bをロータ支持フレーム268とロータ支持アーム267と梁部材266を介して上下位置調節レバー281で上下位置を調節可能にしているが、梁部材266と上下位置調節レバー281との係止部については以下のとおりである。
【0071】
上下位置調節レバー281の下端部は断面「コ」字状のリンク部材と該リンク部材を水平方向に貫通するロッドにより連結されている。該リンク部材はレバーボス282と一体的に結合している。またレバーボス282は側面視でL字状のプレートと該L字状のプレートと一体の平面プレートとからなり、L字状プレートの中央部には支持枠体に支持された軸部が設けられ、L字状プレートは軸部に回動自在に支持されている。またレバーボス282の平面プレートは梁部材266から突出した突出部266aを回転軸とするローラの円筒部に接するように配置されている。
【0072】
従って上下位置調節レバー281を図31の矢印S方向へ回動させるとレバーボス282の平面プレートがローラを押し上げるので梁部材266は上方に移動する。このときローラは、回転しながらレバーボス282の平面プレートと接するので、上下調節レバー281の操作荷重の低減が図れると共に回転体であるため摩耗がなく良好な操作性が確保できる。そしてレバーボス282が上下に回動し、該レバーボス282は突出部266aを回転軸とするローラの円筒部に接するように係止しているので、該突出部266aがレバー281の機体右方向(図31の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材266を動かす。該突出部266aの前記上動により第一リンク部材276の梁部材266との連結部と反対側の端部も梁部材266を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材276の上方への回動により第二リンク部材277と2スプリング278を介してロータ227bを上方に上げることができる。ロータ227bを上方に移動させると、駆動軸270bと駆動軸270aを介してロータ227aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー281は走行部のほぼ中央部に設けているので、ロータ227a,227bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
【0073】
また、支持アーム267の回動でロータ支持フレーム268が上方に移動するので、ロータ227a,227bを収納位置、すなわち苗載台の裏面側に収納状態となるように移動させることができる。
【0074】
本実施例ではロータ上下位置調節レバー281の標準位置で圃場面より40mmの高さにあるロータ227a,227bをロータ上下位置調節レバー281を図31の矢印S方向へ回動させることで標準位置より最大15mm高くでき、図31の矢印S方向の反対方向への回動で標準位置より最大15mm低くできるように設定している。
【0075】
図31に示すように左右両端の複数の外側の整地ロータ(第二側方整地ロータ)227a1,227a1は左右方向に延びるロータ延長駆動軸(第二側方駆動軸)270a1,270a1で支持されているが、該ロータ延長駆動軸270a1,270a1は、より中央部側のロータ駆動軸(第一側方駆動軸)270a,270aに着脱可能に取り付られており、該ロータ延長駆動軸270a1,270a1に装着される整地ロータ(第二側方整地ロータ)227a1,227a1を取り外し可能な構成としている。
【符号の説明】
【0076】
4 苗移植装置
6 苗タンク
7 苗受板
7a 側端部材
8 植付機構
9 整地ローター装置
311 スライド支持部
312 株取口
352 破砕ロータ
353 支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多条の植付け幅の外側部分を収納位置に格納可能として苗を多条並列に保持しつつ苗株を植付けする苗移植装置(4)と、この苗移植装置(4)より前寄りの圃場面相当位置に破砕ロータ(352)を軸支して植付け条を整地する整地ローター装置(9)とを備えた多条苗移植機において、
上記整地ローター装置(9)は、植付け進行方向に延びる支軸(353)についてその外側部分を側方に跳ね上げるようにして破砕ロータ(352)の軸線が起立する収納位置まで回動可能に軸支し、この収納位置の破砕ロータ(352)は、格納状態の苗移植装置(4)より外側方に突出して配置したことを特徴とする多条苗移植機。
【請求項2】
前記整地ローター装置(9)は、苗移植装置(4)が収納状態であることを条件に、格納可能としたことを特徴とする請求項1記載の多条苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−220496(P2010−220496A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69018(P2009−69018)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】