説明

多連ピストンポンプ

【課題】ピストンポンプとギヤポンプとを連結するカップリングに滞留するエアーを取り除いて、作動油の潤滑により該カップリングの摩耗を減少する。
【解決手段】多連ピストンポンプ10は、カバー25にギヤポンプ吸入ライン11とカップリング34とを連通する連通路12を設けている。多連ピストンポンプ10の駆動によりギヤポンプ32がギヤポンプ吸入ライン11より作動油を吸込む際、連結部34に滞留したエアーが作動油と共に、連通路12より吸い込まれるので、作動油が循環するようになり連結部34に作動油を積極的に供給するようになり、連結部34への潤滑により多連ピストンポンプ10の耐久性能を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多連ピストンポンプ連結部の耐久性向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つのポンプ駆動軸により、複数のポンプ、例えばピストンポンプとギヤポンプ等を同時に駆動するようにした多連ピストンポンプが知られている。
図3は従来の斜板式可変吐出量ピストンポンプ(以下、ピストンポンプという)20の略縦断面図を示し、図4は図3のIV―IV線の断面図を示す。
図3において、参照符号21はベアリング22、23を介してハウジング24、カバー25に取り付けられたシャフトであり、多数のピストン26を持ったシリンダバレル27がスプライン28で結合されている。斜板29はその裏面(図3で右面)にピストン26の頭部に取り付けられている球部と結合するシュー30によって保持されている。
【0003】
よって、シリンダバレル27がシャフト21の駆動により回転すると、シュー30が斜板29の裏面を摺動してピストン26をストロークするよう構成される。
斜板29は支点31を中心にして傾転可能に支持されている。前記支点31は、例えばシャフト21の軸心に対して略水平方向(紙面に対して垂直方向)に等間隔で2個配置され、前記斜板29にはピストン26の反力を受け支点31の回りに回転する力を受ける。カバー25の端面(図3で右側面)には、ギヤポンプ32の駆動軸33がカップリング34を介してシャフト21に連結されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−10786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、ピストンポンプ20とギヤポンプ32はそれぞれの軸であるシャフト21と駆動軸33がカップリング(連結部)34にて連結されているが、該連結部34にエアーが滞留して作動油が循環せず、潤滑不良による摩耗が発生する場合があるので、ギヤポンプ32が動作不良を起こす要因になっている。
本発明は係る課題を解決するためになされたもので、連結部のエアーを排出し作動油を循環させることで該連結部を潤滑し、耐久性向上させることが可能な多連ピストンポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため請求項1記載の発明は、
ハウジング及びカバー内に装着されたべリングにより回転自在に支持されたシャフト、
前記シャフトと共に回転可能に支持されたシリンダバレルの複数個のピストン室に軸方向摺動可能に嵌挿された複数個のピストン、前記ピストンの一端側の前記ピストン室に開口する吸入ポート及び吐出ポートを有するバルブプレート、前記ピストンの他端側頭部及びシューを介して摺接可能な斜板を備えた油圧ポンプと、
前記油圧ポンプのシャフトに連結部を介して連結された駆動軸を有するギヤポンプと、を備えた多連ピストンポンプにおいて、
前記カバーにギヤポンプ吸入ラインと前記連結部とを連通する連通路を設け、作動油が連結部に流れて該連結部にエアーの滞留を防止したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、油圧ポンプのシャフトに連結部を介して連結された駆動軸を有するギヤポンプを備えた多連ピストンポンプにおいて、安価な構造でカバーにギヤポンプ吸入ラインと前記連結部とを連通する連通路を設けることにより、作動油が連結部に流れて該連結部にエアーが滞留することを防止し、油圧ポンプの耐久性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る多連ピストンポンプの概略構造図である。
【図2】図1のII−II線の断面図である。
【図3】従来の多連ピストンポンプの概略構造図である。
【図4】図3のIV−IV線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る多連ピストンポンプにつき好適の実施の形態を挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る多連ピストンポンプ10の概略構造を示す縦断面図であり、図2は図1のII−II線の断面図を示す。図1及び図2中、図3及び図4の構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0010】
図1に示すように、多連ピストンポンプ10には、カバー25にギヤポンプ吸入ライン11と(カップリング)連結部34とを連通する連通路12を設け、作動油が連結部34に流れて該連結部34にエアーが滞留することを防止している。
係る多連ピストンポンプ10において、該ピストンポンプ10の駆動と共に、ギヤポンプ32も協動し、該ギヤポンプ32がギヤポンプ吸入ライン11より作動油を吸込む際、多連ピストンポンプ10の連結部34に滞留したエアーが作動油と共に、連通路12より吸い込まれるので、作動油が循環するようになり連結部34に作動油を積極的に供給するようになり、連結部34への潤滑により多連ピストンポンプ10の耐久性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0011】
10、20 多連ピストンポンプ 11 ギヤポンプ吸入ライン
12 連通路 )
21 シャフト 22、23 ベアリング
24 ハウジング 25 カバー
26 ピストン 27 シリンダバレル
29 斜板 30 シュー
32 ギヤポンプ 34 カップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング及びカバー内に装着されたべリングにより回転自在に支持されたシャフト、
前記シャフトと共に回転可能に支持されたシリンダバレルの複数個のピストン室に軸方向摺動可能に嵌挿された複数個のピストン、前記ピストンの一端側の前記ピストン室に開口する吸入ポート及び吐出ポートを有するバルブプレート、前記ピストンの他端側頭部及びシューを介して摺接可能な斜板を備えた油圧ポンプと、
前記油圧ポンプのシャフトに連結部を介して連結された駆動軸を有するギヤポンプと、を備えた多連ピストンポンプにおいて、
前記カバーにギヤポンプ吸入ラインと前記連結部とを連通する連通路を設け、作動油が連結部に流れて該連結部にエアーの滞留を防止したことを特徴とする多連ピストンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−112284(P2012−112284A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260963(P2010−260963)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】