説明

履物用の機械的緩衝システム

上プレートと、下プレートと、上プレートと下プレートとの間に配置されて上プレートを下プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の支柱部材とを備えたミッドソール要素を備える履物用のミッドソール。隣接する支柱部材は、同じ方向を向いたC字形断面を有する。ミッドソール要素は、靴底の可撓性を高めるために踵裂溝をさらに含んでもよい。好適な一実施形態では、内側の支柱部材は、靴底の外側の支柱部材に対して或る角度を成して配置される。この方向のデザインにより、靴底の縦方向及び横方向それぞれで靴底に可撓性及び剛性が異方的に与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
履物、特に運動靴は、適切な衝撃吸収性及び安定性を提供することにより、走行及び跳躍のような激しい動きが着用者の足に悪影響を及ぼす可能性を防止することが期待されている。履物業界は、衝撃吸収性及び安定性を最大にすると共に快適性及び耐久性も最大にすることを目標として、運動靴を開発してきた。残念ながら、これらの目標は互いに対立する可能性がある。例えば、十分な衝撃吸収性及び快適性を提供する靴は、十分な安定性を提供しない場合がある。運動靴の開発をさらに進めるために、走行のダイナミクス及び走行時の故障のメカニズムの基本を理解することが重要である。
【0002】
典型的な歩行又は走行の歩調周期は、(1)立脚相及び(2)遊脚相という、2つの相を伴う。立脚相では、片足が地面のような支持面と接触して体重を支えており、一方、遊脚相では、他方の足が空中に振り出されて前進する。これら2つの相が繰り返される。走行の歩調周期と歩行の歩調周期との違いは、走行周期中の或る時点では全く体重がかからない状態で人間が空中に浮くが、歩行周期にはこのような空中に浮いた点がないことである。
【0003】
走行の歩調周期の立脚相は、(1)着地及び支持期又は踵接地期とも呼ばれる荷重期(loading period)と、(2)立脚中期及び推進期とも呼ばれる立脚中期(mid-stance period)と、(3)復帰期とも呼ばれる足趾離地期(toe-off period)という3つの期間にさらに分割することができる。踵から爪先へ着地する走行スタイルの典型的なランナーの場合、荷重期は、踵と走行面との最初の接触で始まり、続いて前足部が走行面に制御されながら下ろされる。踵の最初の接地は、通常、踵の後方外側部分で生じる。立脚中期は、前足部が走行面と接触するときに始まる。立脚中期の間は、脚の筋肉組織の収縮が身体を前方へ推進させる力を発生させる。踵は徐々に持ち上がり、前足部が中足指節関節で曲がる。続いて、足趾離地期では、足が走行面と接触しなくなって空中に浮く。
【0004】
回内は、歩調周期の立脚相の荷重期及び立脚中期の間に生じる足の正常な動きである。荷重期中の踵接地時に、足の踵は回外し、上述のように走行面と最初に接触する。その瞬間に、距骨下関節と呼ばれる足骨間の関節が解除され、立脚相の荷重期の前足部を下ろしている状況で足の協調3平面運動である回内を生じる。足の協調3平面運動は、(1)足の前部がランナーの前進線から離れて外方に向けられる外転と、(2)足の前部が足の踵に対して上方に傾けられる背屈と、(3)足底が足の踵に対して外方に向けられる外反という3つの平面運動を伴う。これら3つの運動が組み合わさって、足がその外側から内側へロールする結果、足の内側面(アーチ領域)が走行面と接触するようになることによって、足が走行面に適応して負荷力の一部を走行面に伝えることができ、それによって走行の立脚相の間に故障する危険を減らす。足のこの回内位置は、立脚中期の間ずっと保たれる。
【0005】
回外は通常、回内の後に生じる。身体が足よりも前に移動すると、距骨下関節がロックする。これは、荷重期の間に生じた状況とは逆の状況を立脚中期の間に引き起こす。回外は、足の協調3平面運動であり、(1)距骨下関節のロックが足を前進線の方に内方に向ける内転と、(2)前足部が踵に対して下方に屈曲する底屈と、(3)足底が踵に対して内方に向けられる内反という3つの平面運動を伴う。これら3つの運動が組み合わさって、足が爪先に向かって前方にロールし続ける。母指球及び爪先が接地しているときの運動中、足は、爪先が離地し始める直前に外方にロールする。これらの運動の組み合わせにより、足は可動アダプタから剛直レバーへと役割を変え、これは身体の前方推進に重要である。足は、各ステップ間で離地している間は回外したままである。
【0006】
回内は自然な動作であると共に足に加わる極めて大きな衝撃に対する重要且つ健全な応答であると考えられるが、過回内及び高い回内速度がランナー及び他の競技者の間で足首、膝、及び腰の様々な故障を引き起こすことを、バイオメカニストは示唆している。多くの従来技術の靴底は、回内及び回外を制御するように設計されてきた。しかしながら、過回内を防止するために足の横方向運動の量を制御するように靴底の安定性を高めると、足に対する接地力の衝撃を減らすための衝撃吸収特性が普通は低下する。したがって、履物業界は、靴底の設計において安定性特性と衝撃吸収特性との間での適切なバランスを求め続けている。
【0007】
例えば、リデンらによって発行された米国特許第5,625,964号明細書は、ランナーの最初の踵接地時の接地区域を明確化することのできる屈曲線によって残りの踵領域から分けられた後足部接地区域を備える靴底を有する運動靴を開示している。屈曲線は、ランナー人口の大多数を占める踵から爪先へ着地する走行スタイルを反映して、後足部接地区域を画定するように位置付けられる。屈曲線付近での後足部接地区域の明確化を可能にすることに加えて、この靴底は、弾性気体を充填したブラダを含む緩衝要素を組み込んで、踵の種々の部分に異なる緩衝特性を提供して踵接地に関連する加力及び衝撃を減衰させるが、走行周期の後続相の間の履物の安定性を低下させることはない。屈曲線は、深い溝と、比較的柔軟なミッドソール材料の線と、区分けされた流体ブラダの比較的柔軟な部分とを含む様々な方法によって形成することができる。
【0008】
市場で現在入手可能な運動靴は、通常、アウトソールと、ミッドソールと、インソールとから成る多層構成である。アウトソールは、普通はゴムのような耐摩耗性材料から形成され、靴底のうち地面と接触する部分である。ミッドソールは、アウトソールとインソールとの間の部分であり、通常は緩衝用のエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームのような圧縮性材料から成る。インソールは、着用者の足と接触する部分であり、普通は靴の快適性を高めるための軟質パッドから成る。
【0009】
ミッドソールの耐久性も、靴底設計の重要な目標である。ミッドソールで一般的に用いられるEVAフォームのようなフォーム材料は、耐用寿命が限られており、時間が経つにつれて破損する傾向がある。フォーム材料に依存しないか又はあまり依存しない代替的なミッドソールのデザインの開発が、これまでに進められている。
【0010】
例えば、全てエリコーエンによって発行された米国特許第4,536,974号明細書、米国特許第4,611,412号明細書、米国特許第4,754,559号明細書、米国特許第4,573,021号明細書は、複数のリブの組が設けられたミッドソールを記載している。これら全てのリブに、リブの長さにわたって延びる少なくとも1つの曲面又は凸面が設けられている。靴底に体重がかかると、各リブは最初に、隣接するリブ同士が当接するまで撓み始め、当接した時点でリブの圧縮が始まる。隣接するリブの組間に挿入物を配置し、隣接するリブの組間の空間を埋めてリブの撓みを阻止することができる。リブの組間に圧縮性ブリッジ要素を設けて、隣接する組のリブ同士が接離を繰り返すことによって生じる騒音を回避することができる。
【0011】
いずれもシモンリューティらによって発行された米国特許第5,461,800号明細書及び米国特許第5,822,886号明細書は、管状サスペンション部材を有する一体成形ミッドソールを記載している。管状サスペンション部材は、ばねとして働き、管の長さ、管の肉厚、又は管材料の硬さの選択によって特定の用途に合わせて設計することのできるばね定数を有する。好ましくは、ミッドソールは、HYTREL(登録商標)のようなエラストマー製であり、これは、予め形成された形状に鋳造された後で大きな圧縮力を受けることにより、管状ばねが圧縮ひずみを得た後でほぼ理想的なばねとして働くようになる。
【0012】
ヴォルフアンドリエらによって発行された米国特許第5,337,492号明細書は、靴の縦方向を横切る方向に向いていると共に靴の縦方向に前後に並んで離間配置される複数の個別の屈曲弾性キャリア要素を有する靴底を記載している。このキャリア要素は、足側がカバープレート部に接続され、外側がアウトソール層に接続されている。各キャリア要素は、靴の縦方向を横切って延びる上側ウェブ部と、上側ウェブ部と平行な下側ウェブ部と、上側ウェブ部及び下側ウェブ部の端同士を接続する2つの側方支持壁と、下側ウェブ部に対して上側ウェブ部を支持するブレース手段とを有する、閉じた箱の外形で形成される。
【0013】
シモンリューティらによって発行された米国特許第6,769,202号明細書は、方向要素と、緩衝要素と、場合によっては踵クレードルとを含む靴用の靴底ユニットを記載している。方向要素は、上プレートと、下プレートと、方向要素の縦軸を横切る方向に向いて上プレート及び下プレートに接続された複数のほぼ平行な支柱要素とを有する。緩衝要素は、方向要素内に、より具体的には方向要素の支柱部材間に受け入れられるようになっている。
【0014】
上述の従来技術の靴底は、そのデザインが原因で靴に最適な衝撃吸収性及び安定性を提供していない。本発明は、優れた衝撃吸収特性及び安定性特性を提供すると共に種々の用途及び個人に合わせてカスタマイズできる、靴用のミッドソールを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0015】
[発明の概要]
上記に鑑みて、衝撃吸収性及び安定性という対立する問題を最適化すると共に快適性及び耐久性も最大にする運動靴を提供することが、本発明の目的である。
【0016】
走行の歩調周期における後続の運動を不安定にすることなく踵接地時の衝撃力を減衰させるように、靴底の異なる領域に異なる緩衝特性を提供する靴底ユニットを有する運動靴を構成することが、本発明のより具体的な目的である。
【0017】
耐久性のある弾性材料から成る特定の構成で衝撃力を吸収するように設計され、衝撃吸収に関して耐久性の低いフォーム材料に大きく依存する必要をなくす機械的緩衝システムを採用する運動靴用の靴底を提供することが、本発明の別の目的である。
【0018】
構成をわずかに変更することによって特定の用途及び靴を着用する個人に合わせて容易にカスタマイズできる機械的緩衝システムを有する運動靴用の靴底を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0019】
これら及び他の目的は、本発明による履物製品用のミッドソールよって達成される。当該ミッドソールはミッドソール要素を備え、当該ミッドソール要素は、(a)上内側プレートと、下内側プレートと、前記上内側プレートと前記下内側プレートとの間に配置されて前記上内側プレートを前記下内側プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の内側支柱部材とを備える内側要素と、(b)上外側プレートと、下外側プレートと、前記上外側プレートと前記下外側プレートとの間に配置されて前記上外側プレートを前記下外側プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の外側支柱部材とを備える外側要素とを備え、前記複数の外側支柱部材の少なくとも一部は、前記複数の内側支柱部材の少なくとも一部に対して或る角度を成して配置される。外側支柱部材と内側支柱部材との間の角度は、0度よりも大きく180度よりも小さく、好ましくは約5度〜約120度、より好ましくは約10度〜約90度、最も好ましくは約15度〜約75度である。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、上述のミッドソール要素の内側支柱部材及び外側支柱部材は、上内側プレート及び下内側プレート並びに上外側プレート及び下外側プレートとそれぞれほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に、C字形断面を有する。好ましくは、少なくとも2つの隣接するC字形断面の支柱部材が同じ方向に向いている。
【0021】
本発明の別の態様によれば、ミッドソール要素を備えた履物製品用のミッドソールであって、該ミッドソール要素は、上プレートと、下プレートと、前記上プレートと前記下プレートとの間に配置されて前記上プレートを前記下プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の支柱部材であって、該支柱部材の少なくとも2つは、互いに隣接すると共に、前記上プレート及び前記下プレートとほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に同じ方向を向いたC字形断面を有する複数の支柱部材とを備える履物製品用のミッドソールが提供される。
【0022】
本発明のさらなる態様によれば、上述のミッドソール要素は、ミッドソール要素における踵接地点の内側にある踵裂溝をさらに備える。踵裂溝は、ミッドソールに可撓性を与え、着地時にミッドソールを曲げることによって回内の量及び速度を減らすことができる。踵裂溝は、ミッドソールの横軸から約0度〜約180度、好ましくは約0度〜約120度、より好ましくは約0度〜約90度傾いている。歩行及び走行等の直線移動活動用の靴の場合、踵裂溝は、ミッドソールの横軸から好ましくは約15度〜約75度、より好ましくは約17度〜約65度傾いている。バスケットボール等の側方移動活動用の靴の場合、踵裂溝は、ミッドソールの横軸から約65度〜約90度、好ましくは約75度〜約90度傾いていてもよい。
【0023】
本発明のさらなる別の態様によれば、アッパーと、上述の本発明のミッドソールと、アウトソールとを備える履物製品が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[発明の詳細な説明]
本発明は、添付図面と共に、好適な実施形態の以下の説明からより良く理解することができる。本明細書に挙げられている本発明の実施形態は例示にすぎず限定的でないことが当業者には明らかであるはずである。この記載において開示される特徴は全て、他に明記しない限り、同一又は同様の目的を果たす代替的な特徴に代えることができる。したがって、本発明の変形形態の多くの他の実施形態は、本発明の範囲及びその均等物内にあるものと意図される。
【0025】
図1及び図2は、本発明の一態様によるミッドソール要素の例示的な一実施形態を示している。ミッドソール要素1は、内側要素2及び外側要素3を備えている。内側要素は、上内側プレート4と、下内側プレート5と、上内側プレート4と下内側プレート5との間に配置されて上内側プレート4を下内側プレート5から一定の距離だけ離して支持する複数の内側支柱部材6とを備えている。外側要素3は、上外側プレート7と、下外側プレート8と、上外側プレート7と下外側プレート8との間に配置されて上外側プレート7を下外側プレート8から一定の距離だけ離して支持する複数の外側支柱部材9とを備えており、複数の外側支柱部材9の少なくとも一部は、複数の内側支柱部材6の少なくとも一部に対して角度(θ)を成して配置されている。角度θは、0度よりも大きく180度よりも小さく、好ましくは約5度〜約120度、より好ましくは約10度〜90度、最も好ましくは15度〜約75度である。この方向のデザインにより、靴の縦方向及び横方向それぞれで靴底に可撓性及び剛性が異方的に与えられる。
【0026】
外側支柱部材9は、ミッドソール要素又はミッドソール要素を収容する靴の縦軸Lから角度(θ)に傾いた向きにある。外側支柱部材は、縦軸から0度よりも大きく180度よりも小さい、好ましくは0度よりも大きく約90度まで、より好ましくは約10度〜約90度、さらにより好ましくは約15度〜約75度、最も好ましくは約17度〜約65度の角度θに傾いた向きにあってもよい。
【0027】
内側支柱部材6も、縦軸Lから角度(θ)に傾いた向きにある。内側支柱部材は、縦軸から0度よりも大きく180度よりも小さい、好ましくは0度よりも大きく約90度まで、より好ましくは約10度〜約90度、例えば約15度〜約75度の角度θに傾いた向きにあってもよい。内側支柱部材6は、図2に示される歩行及び走行のような直線移動活動用の靴の横方向安定性を最大にするために、ミッドソールの縦軸Lに対してほぼ垂直であってもよい。バスケットボールのような横方向移動活動用の靴の場合、図3に示されるように、内側支柱部材26がミッドソールの縦軸Lから傾いて配置される角度は90度未満であってもよい。
【0028】
図1及び図2に示される本発明の実施形態では、ミッドソール要素1は、内側要素2と外側要素3との間にキャビティ10を有している。キャビティ10は、外側縁11及び内側縁12を有している。外側支柱部材9は、キャビティの外側縁11に対して垂直であり、内側支柱部材6の一部は、キャビティの内側縁12に対して垂直である。キャビティは、内側要素2と外側要素3とを分離し、ミッドソール要素1に可撓性を与える。可撓性のミッドソールは、着地時に靴を曲げることで、靴に加えられる衝撃力のモーメントアーム(レバー)を減らすことができる。モーメントアームが減ると、足趾下関節付近のトルクが減ることで、足趾下関節で示される回内の量が減ると共に回内の速度が低下することによって、内側要素2が与える靴の安定性が高まると共に、ミッドソール要素1の外側要素3が示す最適な衝撃吸収性が維持される。
【0029】
内側要素2及び外側要素3は接続することができる。例えば、内側要素2及び外側要素3は、一体成形によって図4に示されるように後端同士を接続してもよい。内側要素及び外側要素は、上内側プレート4と上外側プレート7との間にある少なくとも1つのブリッジ部材13によってさらに接続することができる。1つ又は複数のブリッジ要素13が下内側プレート5と下外側プレート8との間に存在してもよいことも意図されている。
【0030】
図5は、ミッドソール要素1の内側側面(medial side)図である。上内側プレート4と下内側プレート5との間に配置された内側支柱部材6は、上内側プレート4及び下内側プレート5とほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に、C字形断面を有する。この例示的な実施形態では、隣接するC字形断面の支柱部材は全て同じ方向を向いている。支柱部材は、2つの隣接する支柱部材間に空間を残して離間している。同じ方向を向いた少なくとも2つの隣接するC字形断面の支柱部材を有する他の実施形態も、本発明の範囲内に入ることが意図される。例えば、踵領域のC字形断面の支柱部材は同じ方向を向いていてもよく、一方、前足部領域のC字形断面の支柱部材は逆方向を向いていてもよい。
【0031】
C字形断面の支柱部材は、S字形断面の支柱、波状断面の支柱、直線状断面の支柱、及び傾斜断面の支柱のような他の形状の支柱よりも緩衝特性が優れている。いかなる特定の理論にもとらわれたくはないが、S字形断面構造の反曲点がその中心にある一方でC字形断面構造には反曲点がないため、C字形断面構造及びS字形断面構造の力対たわみ曲線特性は異なる。その結果、動的範囲(dynamic range)及び予測可能性のようなS字形断面構造の特性は、C字形断面の支柱部材の特性とは著しく異なる。例えば、C字形断面構造の力−たわみ曲線はS字形断面構造よりも線形であるため、C字形断面構造は、S字形断面構造よりも大きな動的範囲を有する。S字形断面の支柱の力−たわみ曲線は、たわみの初期段階ではやわさ(compliance)を、後続の段階ではこわさ(stiffness)を示す。さらに、S字形断面構造には屈曲領域が3つあるがC字形断面構造には屈曲領域が1つしかないため、S字形断面構造はC字形断面構造よりも性能を予測し難い。したがって、S字形断面の支柱部材ではC字形断面の支柱部材よりも材料の均一性が重要である。波状断面の支柱には、S字形断面構造よりもさらに多くの屈曲領域があるため、上述のS字形断面構造の欠点の少なくとも全てを有する。直線状断面の支柱及び傾斜断面の支柱は、変形の制御を行わないため、衝撃力に対するこれらの応答はほとんど予測不可能である。例えば、力が加わる場所に応じて、支柱はその上部、中間部、及び下部で曲がり得る。
【0032】
図6に示されるように、上外側プレート7と下外側プレート8との間に配置された外側支柱部材9も、ミッドソール要素を裏返しの位置にするとC字形である。C字形断面の支柱部材は、多くの変形形態を有し得る。図7〜図13は、いくつかの例を示している。
【0033】
支柱部材の厚さは、約0.5mm〜約15mm、好ましくは約1mm〜約6mm、より好ましくは約2mm〜約5mmである。支柱部材の肉厚は、均一であってもよく、又は内側では回内を制御すると共に外側では緩衝を制御するように内側要素と外側要素とで異なっていてもよい。さらに、支柱部材ごとに、靴の設計対象である用途及び個人に応じて緩衝を調整するように、肉厚が横方向又は鉛直方向に異なっていてもよい。例えば、肉厚は、支柱部材の外側縁から内側縁にかけてテーパ状になっていてもよいことが意図される。支柱部材の構成は、ミッドソール要素の性能を最適化すると共に特定の用途及び靴を着用する個人に合わせてカスタマイズするように当業者によって変更してもよい。
【0034】
内側要素及び外側要素の材料は、エンジニアリング樹脂のようなプラスチック材料、又は任意の耐久性のあるエラストマー材料であってもよい。内側要素及び外側要素の上プレート、支柱部材、及び下プレートは、他の適当な材料も意図されることを留意して、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル−TPU、ポリエーテル−TPU、ポリエステル−ポリエーテルTPU、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、熱可塑性エチルビニルアセテート、スチレンブタジエンスチレン、Pebax(登録商標)という商標で入手可能なポリエーテルブロックアミド、Hytrel(登録商標)という商標で入手可能なエンジニアリングポリエステル、天然ゴム及び合成ゴムを含むTPUブレンド、並びにそれらのブレンド又は組み合わせの例示的な材料から独立して選択することができる。TPUは、内側要素及び外側要素に好ましい材料である。本発明の例示的な一実施形態では、内側要素及び外側要素の上プレート、支柱部材、及び下プレートは、TPUから一体成形される。ミッドソール要素に適したプラスチック材料の硬さは、約60ショアA〜約70ショアD、好ましくは約75ショアA〜約45ショアDである。ミッドソールの性能特性は、ミッドソール要素の硬さを変えることによって調整することができる。例えば、ミッドソール要素の外側の方にやわさの高い材料を用い、内側の方にこわさの高い別の材料を用いることが意図される。
【0035】
ミッドソール要素に加えて、本発明によるミッドソールは、ミッドソールのアーチ領域にアーチ支持部をさらに備えてもよい。アーチ支持部は、例えば上プレート及び/又は下プレートで、内側要素及び/又は外側要素と一体成形してもよく、あるいはアーチ支持部は、内側要素及び外側要素とは別個の要素であってもよい。図1に示される例示的な実施形態では、アーチ支持部14は、内側要素2及び外側要素3と一体成形されている。アーチ支持部は、可撓性材料、例えばプラスチック材料製である。アーチ支持部は、他の適当な材料も意図されることを留意して、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル−TPU、ポリエーテル−TPU、ポリエステル−ポリエーテルTPU、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、熱可塑性エチルビニルアセテート、スチレンブタジエンスチレン、Pebax(登録商標)という商標で入手可能なポリエーテルブロックアミド、Hytrel(登録商標)という商標で入手可能なエンジニアリングポリエステル、天然ゴム及び合成ゴムを含むTPUブレンド、並びにそれらのブレンド又は組み合わせの例示的な材料から選択することができる。TPUは、内側要素及び外側要素に好ましい材料である。
【0036】
上述のC字形断面の支柱部材の利点に鑑みて、本発明の別の態様によるミッドソールは、上プレートと、下プレートと、上プレートと下プレートとの間に配置されて上プレートを下プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の支柱部材とを備えるミッドソール要素を備え、支柱部材の少なくとも2つ、好ましくはほとんど、最も好ましくは全てが、互いに隣接しており、上プレート及び下プレートとほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に同じ方向を向いたC字形断面を有している。ミッドソール要素は、複数の要素、例えば内側要素及び外側要素を備えていてもよい。代替的に、ミッドソール要素は、1つの要素であってもよい。例えば、ミッドソール要素は、内側要素のみを備えていて外側要素がなくてもよく、又は外側要素のみを備えていて内側要素がなくてもよい。ミッドソール要素は、足の選択領域又は全領域に所望の緩衝及び支持を与えるように、靴の任意の部分に収容してもよい。例えば、ミッドソール要素は、前足部領域、踵領域、又は全足底領域に位置付けてもよい。
【0037】
ミッドソール要素は、踵裂溝をさらに備えてもよい。踵裂溝は、歩行時及び走行時に、着地点の内側にあるように概して位置決めされる。踵裂溝の目的は、靴の踵に可撓性を与えることである。可撓性の踵は、着地時に靴の踵を曲げることで、力の中心が加えられるモーメントアーム(レバー)を減らすことができる。上述のように、モーメントアームが減ると、回内の量が減ると共に回内の速度が低下する。着地点は、競技者によってさまざまであり得るため、踵の外側に沿って広がる。例えば、競技者Aは、踵の端に最も近い踵外側の遠位縁で着地し、競技者Bは、中足部に最も近い踵の外側縁で着地する。踵裂溝が全競技者の各着地点の内側に位置決めされることを確実にすることが望ましい。これにより、全競技者に関して踵裂溝が着地時に屈曲することが確実になる。
【0038】
図14A〜Dは、靴底における踵裂溝の機能設計に対する速度の影響を示す。踵裂溝は、靴底又は靴の横軸Tから角度(θ)に傾いた向きにある。踵裂溝15は、図14Aに示されるような低速歩行で通常用いられる靴では約17度、図14Bに示されるような中速歩行では約47度、図14Cに示されるような高速歩行では約62度、及び図14Dに示されるような走行では約65度の角度θに横軸Tから傾いて配置することが好ましい。トレイルシューズは、踵を横断して水平な、すなわち0度の向きの踵裂溝を有することができ、バスケットボール、テニス、及びクロストレーニングのような側方運動活動用に設計される一部の運動靴は、踵のほぼ中心に90度の向きの踵裂溝を有することができる。例えば、図3に示されるバスケットボールシューズ用のミッドソール要素は、踵の中心に踵裂溝25を有している。したがって、踵裂溝は、ミッドソールの横軸から約0度〜約180度、好ましくは約0度〜約120度、より好ましくは約0度〜約90度、最も好ましくは約10度〜約80度傾いた向きにあってもよい。歩行及び走行のような直線移動活動を意図した靴の場合、踵裂溝は、ミッドソールの横軸から好ましくは約15度〜約75度、より好ましくは約17度〜約65度傾いている。バスケットボールのような側方移動活動を意図した靴の場合、踵裂溝は、ミッドソールの横軸から約65度〜約90度、好ましくは約75度〜約90度傾いていてもよい。好ましくは、踵裂溝の側方に配置された支柱部材は、衝撃吸収性を最大にするために踵裂溝に対してほぼ垂直である。例えば、内側要素及び外側要素を備えるミッドソール要素では、外側要素の外側支柱部材は、踵裂溝に対してほぼ垂直な向きであってもよい。
【0039】
図1及び図2に示される例示的な実施形態では、キャビティ10の外側縁11は、踵裂溝に概ね対応する。踵裂溝は、スリット、溝、細長い形状若しくは任意の他の形状のキャビティ、弱化構造線、又は弾性及び可撓性がより高い材料によって形成された可撓性接合線の形態であってもよい。参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第5,625,964号明細書は、本発明による踵裂溝の一例である屈曲線を記載している。
【0040】
図15に示されるように、ミッドソールは、靴の前足部領域に収容されるようになっている可撓性部材16をさらに備えてもよい。可撓性部材16は、ミッドソール要素1と接触し、フォーム材料、プラスチック材料、及びエンジニアリング樹脂のような可撓性材料製である。好適な一実施形態では、可撓性部材は、スチレンブタジエンスチレンから成り、これは緩衝の利益を高めると共に耐圧縮性を改善する。
【0041】
例示的な実施形態では、ミッドソール要素は靴の踵領域に収容されるようになっているように示されているが、本発明のミッドソール要素は、足の選択領域、例えば前足部領域、又は足の全領域に所望の緩衝及び支持を与えるように、靴の任意の部分に収容してもよいことが意図される。
【0042】
本発明によるミッドソールは、上内側プレート4と、上外側プレート7と、可撓性部材16とに接触する衝撃緩和要素17をさらに備えてもよい。図16に示されるように、緩衝要素17は、可撓性部材16に収容されるようになっている押出部分19を有してもよい。場合によっては、緩衝要素は、ミッドソール要素1のブリッジ部材13間のキャビティ10に収容されるようになっている付加的な押出部分を有していてもよい。緩衝要素17は、靴のインソールとしての役割を果たすことができる。代替的に、靴はインソールをさらに有していてもよい。
【0043】
緩衝要素の材料は、フォーム材料又は任意の適当な弾性緩衝材料であることが好ましい。これは、他の適当な材料も意図されることを留意して、エチルビニルアセテート(EVA)コポリマー、熱硬化性ポリエステル及びポリエステルウレタン、イソプレンゴム、ポリオレフィン、天然ゴム、及び合成ゴムを含むエチルビニルアセテートコポリマーブレンド、スチレンブタジエンスチレン、並びにそれらのブレンド又は組み合わせの例示的な材料から選択することができる。EVAコポリマーは、緩衝要素に好ましい材料である。
【0044】
図17〜図19は、ミッドソール要素1と、可撓性部材16と、衝撃緩和要素17と、アウトソール20とを含む組み立て済みの靴底を示している。可撓性部材16は、アーチ領域でアーチ支持部14と接触する。緩衝要素17は、可撓性部材16及びミッドソール要素1の上にある。
【0045】
図20は、本発明による靴底を組み込んだ靴を示している。靴21は、アッパー22と、ミッドソールと、アウトソール20とを含んでいる。ミッドソールは、ミッドソール要素1と、可撓性部材16と、衝撃緩和要素17とを含んでいる。C字形断面の支柱は、視覚効果のために、周縁に露出させることが好ましい。ミッドソール要素1のキャビティ10のサイズ及び形状は、衝撃吸収性及び安定性性能のバランスを取ると共に靴の重量を最小限に抑えるように変えることができる。
【0046】
図21〜図24は、本発明による靴底のいくつかの実施形態を示している。図21に示される実施形態は、ミッドソール要素101と、緩衝要素117と、アウトソール120とを含んでいる。この実施形態は、アーチ支持部も可撓性部材も有していない。図22に示される実施形態は、図21に示されるミッドソール要素101よりも多くのC字形断面の支柱部材を有するミッドソール要素102と、緩衝要素117と、アウトソール120とを含んでいる。この実施形態も、アーチ支持部を有していない。図23に示される実施形態は、ミッドソール要素101と、アーチ支持部114と、緩衝要素117と、可撓性部材116と、アウトソール120とを含んでいる。図24に示される実施形態は、ミッドソール要素102と、緩衝要素117と、可撓性部材116と、アウトソール120とを含んでいる。この実施形態は、アーチ支持部を有していない。要素をさまざまに組み合わせたさらなる実施形態も、本発明の範囲内に入ることが意図されている。
【0047】
図25〜図28は、図21〜図24のそれぞれに示される靴底を組み込んだ靴を示している。それぞれの靴は、アッパー122をさらに備えている。アーチ支持部又は可撓性部材の有無と組み合わせてミッドソール要素の支柱部材の数を変えることによって、さまざまな小売価格の靴を開発することができる。
【0048】
図29は、走行の歩調を通した本発明による靴底の5つの区域を示している。線23は、走行の歩調の大体の接地経路を示している。これは、足が着地から推進へ移行するときの正常な歩調線における力の進行を示している。正常な歩調線は、正常な足が歩調周期の立脚相の間に進むときにその底部に作用する全ての力の平均ベクトルである。本発明による靴底は、走行の歩調を通して5つの区域で調整した。区域1は、踵接地に最適化されている。区域2は、中足部接地及び最初の屈曲に最適化されている。区域3は、前足部接地に最適化されている。区域4は、ポスティングに最適化されている。一体型アーチ支持部を組み込んだ区域5は、安定性に最適化されている。複数区域にある支柱部材106は、機械的緩衝特性を異方的に提供する。
【0049】
図30は、本発明によるバスケットボールシューズ用の靴底における3つの区域を走行の歩調を通して示している。線24は、内側移動及び外側移動を示している。この靴底は、走行の歩調を通して3つの区域で調整した。区域1は、踵接地に最適化されている。区域2は、中足部接地及び最初の屈曲に最適化されている。区域3は、前足部接地に最適化されている。
【0050】
本発明の各種実施形態及び個々の特徴を説明し記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに様々な他の変更及び改変を行うことができることは当業者には自明であろう。また、当業者には明らかであるように、上記の記載において教示された実施形態及び特徴の様々な組み合わせが可能であり、その組み合わせにより、本発明の好適な実施を得ることができる。したがって、かかる変更及び改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明によるミッドソール要素の斜視図である。
【図2】ミッドソール要素の平面図である。
【図3】本発明の代替的な一実施形態を示す。
【図4】図1に示すミッドソール要素の背面図である。
【図5】図1に示すミッドソール要素の内側側面図である。
【図6】図1に示すミッドソール要素の裏返しの位置にした外側側面図である。
【図7】上プレートと、下プレートと、支柱部材との組み合わせを含むミッドソール要素の一部の側面図である。
【図8】本発明の代替的な一実施形態の図である。
【図9】本発明の代替的な一実施形態の図である。
【図10】本発明の代替的な一実施形態の図である。
【図11】本発明の代替的な一実施形態の図である。
【図12】本発明の代替的な一実施形態の図である。
【図13】本発明の代替的な一実施形態の図である。
【図14A】踵裂溝の機能設計に対する速度の影響を示す図である。
【図14B】踵裂溝の機能設計に対する速度の影響を示す図である。
【図14C】踵裂溝の機能設計に対する速度の影響を示す図である。
【図14D】踵裂溝の機能設計に対する速度の影響を示す図である。
【図15】本発明による靴底の分解図である。
【図16】緩衝要素の斜視図である。
【図17】本発明による右靴用の靴底の底面図である。
【図18】靴底の外側側面図である。
【図19】靴底の内側側面図である。
【図20】本発明によるミッドソール要素を組み込んだ靴の斜視図である。
【図21】本発明による代替的な靴底を示す図である。
【図22】本発明による代替的な靴底を示す図である。
【図23】本発明による代替的な靴底を示す図である。
【図24】本発明による代替的な靴底を示す図である。
【図25】図21に示す代替的な靴底を組み込んだ靴の側面図である。
【図26】図22に示す代替的な靴底を組み込んだ靴の側面図である。
【図27】図23に示す代替的な靴底を組み込んだ靴の側面図である。
【図28】図24に示す代替的な靴底を組み込んだ靴の側面図である。
【図29】本発明による靴の5つの区域を示す図である。
【図30】本発明による代替的な一実施形態の3つの区域を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッドソール要素を備えた履物製品用のミッドソールであって、
前記ミッドソール要素は、
(a)上内側プレートと、下内側プレートと、前記上内側プレートと前記下内側プレートとの間に配置されて前記上内側プレートを前記下内側プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の内側支柱部材とを備える内側要素と、
(b)上外側プレートと、下外側プレートと、前記上外側プレートと前記下外側プレートとの間に配置されて前記上外側プレートを前記下外側プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の外側支柱部材とを備える外側要素と
を備え、
前記複数の外側支柱部材の少なくとも一部は、前記複数の内側支柱部材の少なくとも一部に対して或る角度を成して配置される、履物製品用のミッドソール。
【請求項2】
前記角度は、0度よりも大きく180度よりも小さい、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項3】
前記角度は、約5度〜約120度である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項4】
前記角度は、約10度〜約90度である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項5】
前記角度は、約15度〜約75度である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項6】
前記内側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸に対してほぼ垂直である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項7】
前記外側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から0度よりも大きい角度〜約90度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項8】
前記外側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から約10度〜約90度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項9】
前記外側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から約15度〜約75度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項10】
前記外側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から約17度〜約65度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項11】
前記内側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から0度よりも大きい角度〜約90度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項12】
前記内側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から約10度〜約90度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項13】
前記内側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から約15度〜約75度の角度に傾いた向きにある、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項14】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、前記上内側プレート及び前記下内側プレート並びに前記上外側プレート及び前記下外側プレートとそれぞれほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に、C字形断面を有する、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項15】
少なくとも2つの隣接するC字形断面の支柱部材が同じ方向に向いている、請求項14に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項16】
前記ミッドソール要素は、前記内側要素と前記外側要素との間にキャビティをさらに有する、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項17】
前記キャビティは、外側縁及び内側縁を有し、
前記外側支柱部材は、前記キャビティの前記外側縁に対してほぼ垂直に配置される、請求項16に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項18】
前記内側要素及び前記外側要素は後端同士で接続される、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項19】
前記内側要素及び前記外側要素は一体成形される、請求項18に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項20】
前記内側要素及び前記外側要素は、前記上内側プレートと前記上外側プレートとの間にある少なくとも1つのブリッジ部材によって接続される、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項21】
前記ミッドソール要素は、該ミッドソール要素における踵接地点の内側にある踵裂溝をさらに備え、
該踵裂溝は、前記ミッドソールに可撓性を与えると共に、着地時に該ミッドソールを曲げることによって回内の量及び速度を減らすことができる、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項22】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約0度〜約120度傾いている、請求項21に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項23】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約0度〜約90度傾いている、請求項21に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項24】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約10度〜約80度傾いている、請求項21に記載のソール。
【請求項25】
前記上内側プレートと、前記上外側プレートと、前記内側支柱部材と、前記外側支柱部材と、前記下内側プレートと、前記下外側プレートとは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル−TPU、ポリエーテル−TPU、ポリエステル−ポリエーテルTPU、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、熱可塑性エチルビニルアセテート、スチレンブタジエンスチレン、ポリエーテルブロックアミド、エンジニアリングポリエステル、天然ゴム及び合成ゴムを含むTPUブレンド、それらのブレンド又は組み合わせから独立して選択される、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項26】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約60ショアA〜約70ショアDの硬さを有するプラスチック材料製である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項27】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約75ショアA〜約45ショアDの硬さを有するプラスチック材料製である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項28】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)製である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項29】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約0.5mm〜約15mmの厚さを有する、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項30】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約1mm〜約6mmの厚さを有する、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項31】
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約1mm〜約6mmの厚さを有する、請求項27に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項32】
前記内側要素及び前記外側要素の少なくとも一方と接触する緩衝要素をさらに備える、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項33】
前記緩衝要素は、前記内側要素の前記上内側プレート及び前記外側要素の前記上外側プレートの上に配置される、請求項32に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項34】
前記緩衝要素は、フォーム材料又はスチレンブタジエンスチレン製である、請求項32に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項35】
前記ミッドソールのアーチ領域に、アーチ支持部をさらに備え、
該アーチ支持部は、前記内側要素及び/又は前記外側要素と一体成形されるか、又は別個の要素である、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項36】
前記アーチ支持部はプラスチック材料製である、請求項35に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項37】
前記ミッドソールの前足部領域に配置される可撓性部材をさらに備える、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項38】
前記可撓性部材はエンジニアリング樹脂製である、請求項37に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項39】
前記ミッドソール要素は、前記ミッドソールの踵領域に配置される、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項40】
前記内側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸に対してほぼ垂直であり、前記外側支柱部材は、前記縦軸から約15度〜約75度の角度に傾いた向きにあり、
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約75ショアA〜約45ショアDの硬さを有するプラスチック材料製であり、
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、前記上内側プレート及び前記下内側プレート並びに前記上外側プレート及び前記下外側プレートとそれぞれほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に、C字形断面を有し、隣接するC字形断面の支柱部材が同じ方向に向いており、
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約1mm〜約6mmの厚さを有する、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項41】
前記内側支柱部材は、前記ミッドソールの縦軸から約15度〜約75度の角度に傾いた向きにあり、前記外側支柱部材は、前記縦軸から約15度〜約75度の角度に傾いた向きにあり、
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約75ショアA〜約45ショアDの硬さを有するプラスチック材料製であり、
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、前記上内側プレート及び前記下内側プレート並びに前記上外側プレート及び前記下外側プレートとそれぞれほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に、C字形断面を有し、隣接するC字形断面の支柱部材が同じ方向に向いており、
前記内側支柱部材及び前記外側支柱部材は、約1mm〜約6mmの厚さを有する、請求項1に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項42】
アッパーと、
請求項1に記載のミッドソールと、
アウトソールと
を備える履物製品。
【請求項43】
アッパーと、
請求項40に記載のミッドソールと、
アウトソールと
を備える履物製品。
【請求項44】
ミッドソール要素を備えた履物製品用のミッドソールであって、
該ミッドソール要素は、
上プレートと、
下プレートと、
前記上プレートと前記下プレートとの間に配置されて前記上プレートを前記下プレートから一定の距離だけ離して支持する複数の支柱部材であって、該支柱部材の少なくとも2つは、互いに隣接すると共に、前記上プレート及び前記下プレートとほぼ直角に交わる仮想平面で切った場合に同じ方向を向いたC字形断面を有する複数の支柱部材と
を備える履物製品用のミッドソール。
【請求項45】
前記上プレートと、前記下プレートと、前記複数の支柱部材とは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル−TPU、ポリエーテル−TPU、ポリエステル−ポリエーテルTPU、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、熱可塑性エチルビニルアセテート、スチレンブタジエンスチレン、ポリエーテルブロックアミド、エンジニアリングポリエステル、天然ゴム及び合成ゴムを含むTPUブレンド、それらのブレンド又は組み合わせから独立して選択される、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項46】
前記複数の支柱部材は、約60ショアA〜約70ショアDの硬さを有するプラスチック材料製である、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項47】
前記複数の支柱部材は、約75ショアA〜約45ショアDの硬さを有するプラスチック材料製である、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項48】
前記複数の支柱部材は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)製である、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項49】
前記複数の支柱部材は、約0.5mm〜約15mmの厚さを有する、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項50】
前記複数の支柱部材は、約1mm〜約6mmの厚さを有する、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項51】
前記複数の支柱部材は、約1mm〜約6mmの厚さを有する、請求項47に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項52】
前記ミッドソール要素は、該ミッドソール要素における踵接地点の内側にある踵裂溝をさらに備え、
該踵裂溝は、前記ミッドソールに可撓性を与えると共に、着地時に該ミッドソールを曲げることによって回内の量及び速度を減らすことができる、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項53】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約0度〜約120度傾いている、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項54】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約0度〜約90度傾いている、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項55】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約10度〜約80度傾いている、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項56】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約15度〜約75度傾いている、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項57】
前記踵裂溝は、前記ミッドソールの横軸から約17度〜約65度傾いている、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項58】
前記複数の支柱部材の少なくとも一部は、前記踵裂溝に対してほぼ垂直である、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項59】
前記踵裂溝の側方に配置される前記複数の支柱部材は、前記踵裂溝に対してほぼ垂直である、請求項52に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項60】
前記上プレートと接触する緩衝要素をさらに備える、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項61】
前記緩衝要素は、フォーム材料又はスチレンブタジエンスチレン製である、請求項60に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項62】
前記ミッドソールのアーチ領域に、アーチ支持部をさらに備え、
該アーチ支持部は、前記上プレート及び/又は前記下プレートと一体成形されるか、又は別個の要素である、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項63】
前記アーチ支持部はプラスチック材料製である、請求項62に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項64】
前記ミッドソールの前足部領域に配置される可撓性部材をさらに備える、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項65】
前記可撓性部材はエンジニアリング樹脂製である、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項66】
前記複数の支柱部材は、約75ショアA〜約45ショアDの硬さを有するプラスチック材料製であると共に約1mm〜約6mmの厚さを有し、
前記ミッドソールは、前記ミッドソール要素における踵接地点の内側にある踵裂溝をさらに備え、該踵裂溝は、前記ミッドソールに可撓性を与え、着地時に該ミッドソールを曲げることによって回内の量及び速度を減らすことができ、該ミッドソールの横軸から約0度〜約90度傾いている、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項67】
前記複数の支柱部材は、約75ショアA〜約45ショアDの硬さを有するプラスチック材料製であると共に約1mm〜約6mmの厚さを有し、
前記ミッドソールは、前記ミッドソール要素における踵接地点の内側にある踵裂溝をさらに備え、該踵裂溝は、前記ミッドソールに可撓性を与え、着地時に該ミッドソールを曲げることによって回内の量及び速度を減らすことができ、該ミッドソールの横軸から約15度〜約75度傾いており、
前記踵裂溝の側方に配置される前記複数の支柱部材は、前記踵裂溝に対してほぼ垂直である、請求項44に記載の履物製品用のミッドソール。
【請求項68】
アッパーと、
請求項44に記載のミッドソールと、
アウトソールと
を備える履物製品。
【請求項69】
アッパーと、
請求項66に記載のミッドソールと、
アウトソールと
を備える履物製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2008−532618(P2008−532618A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500688(P2008−500688)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/007877
【国際公開番号】WO2006/098715
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500262119)ニュー バランス アスレティック シュー,インコーポレーテッド (7)
【住所又は居所原語表記】20 Guest Street, Boston, MA 02135, U.S.A.
【Fターム(参考)】