説明

履物用パッド及びパッド保持具

【課題】室内用履物への装着時の機械的な強度を高め、室内用履物から手軽に取り外して再使用することが容易である履物用パッド及びパッド保持具を提供する。
【解決手段】履物用パッド10は、シート状の基材1と、該基材1の一方の面に形成された接着層2とを有し、接着層2は、室内用履物の底部材5の下面に装着可能であり、接着した底部材5の下面から剥離可能である。基材1は水分を吸収する吸水シートにて構成され、接着層2は、吸着層(複数の微小気泡を有する樹脂層)又は粘着層(粘着性の樹脂層)であり、複数の凸条2aが離隔して並んだ構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリッパなどの室内用履物の底部材の上面又は下面に装着される掃除用途等の履物用パッド、及び、該履物用パッドを保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人が室内用履物を履いて台所、リビング等を歩くときに床面を掃除する目的で、スリッパの底部材の下面に両面接着テープを用いて掃除用シートを貼り付けるようにした掃除パッドが公知である。例えば特許文献1には、スリッパの形に切断した複数枚の不織布を重ねて外周を縫合したシートの周縁部に両面接着テープを配してスリッパの下面に接着するようにした掃除パッドが示されている。また特許文献2には、高吸水性樹脂を含む吸収シートの面に両面粘着シートの片方の粘着面を接合し、両面粘着シートの他方の粘着面をスリッパの下面に接合させるようにした掃除パッドが示されている。
【特許文献1】特開平9−322801号公報
【特許文献2】実開平7−43325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の掃除パッドは、不織布によって床上のゴミを吸着するものであり、液体を吸収する機能はない。また、両面接着テープは綺麗に剥がすことが難しく、事実上再使用することは困難であり、さらに周縁部に配置した両面接着テープでスリッパに貼り付ける構造であるので接着力があまり強くなく、特に両面接着テープに水分が浸透した場合には接着力が大きく低下するおそれがある。
【0004】
特許文献2に記載の掃除パッドでも、同様に両面粘着シートが水に濡れた場合に粘着力が低下する問題がある。さらに、特許文献2に記載の掃除パッドでは、吸収シートは吸い取った液体成分を内側に閉じ込めるだけで発散させる機能はないので、吸収シートの内部に液体成分が蓄積し、吸収効果が低下する問題がある。
【0005】
また、スリッパ等を長期間使用した場合に足の裏と底部材との間に湿気がたまり、その結果、足がむれて変な匂いがし、菌類が繁殖する等の問題が生じる。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、室内用履物への装着時の機械的な強度を高めた履物用パッドを提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、室内用履物から手軽に取り外して再使用することが容易である履物用パッドを提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、水分に対する吸収効果を高めた掃除用途の履物用パッドを提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、室内用履物に装着したときに滑り止め効果を有する履物用パッドを提供することを他の目的とする。
【0010】
また本発明は、室内用履物に装着したときにソフトな履き心地を与えるとともに、吸水性能及びゴミ吸着性能に優れた履物用パッドを提供することを他の目的とする。
【0011】
また本発明は、室内用履物に装着したときに菌類が繁殖する等の問題を解消する中敷き用途の履物用パッドを提供することを他の目的とする。
【0012】
また本発明は、室内用履物への装着に好適な材料及び構造を有する履物用パッドを提供することを他の目的とする。
【0013】
また本発明は、上記履物用パッドを接着層によって安定に保持することができるパッド保持具を提供することを他の目的とする。
【0014】
また本発明は、極力小型化したパッド保持具を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明に係る履物用パッドは、室内用履物の底部材に装着する履物用パッドにおいて、シート状の基材と、該基材の一方の面に形成された接着層とを有することを特徴とする。
第1の発明においては、シート状の基材の一方の面に形成された接着層を室内用履物の底部材に接着することにより、該基材を有する履物用パッドが室内用履物の底部材に装着される。
【0016】
第2の発明に係る履物用パッドは、前記接着層は、接着した前記室内用履物の底部材から剥離可能であることを特徴とする。
第2の発明においては、室内用履物の底部材に接着された接着層を剥離させることにより、履物用パッドが室内用履物の底部材から取り外される。
【0017】
第3の発明に係る履物用パッドは、前記基材は水分を吸収する吸水シートにて構成され、前記底部材の下面に装着可能であることを特徴とする。
第3の発明においては、室内用履物を履いた人が室内を歩行するときに、室内用履物の底部材の下面に接着層によって接着された吸水シートが床面上の水分を吸収する。
【0018】
第4の発明に係る履物用パッドは、前記吸水シートと接着層との間に防水層を設けてあることを特徴とする。
第4の発明においては、吸水シートが吸収した水分は、防水層によって接着層への浸入が阻止される。
【0019】
第5の発明に係る履物用パッドは、前記吸水シートは吸収した水分を拡散させる拡散性を有することを特徴とする。
第5の発明においては、吸水シートが吸収した水分は吸水シートによって拡散され、蒸発し易くなる。
【0020】
第6の発明に係る履物用パッドは、前記吸水シートの外側表面に、複数の突起部を離散させて設けてあることを特徴とする。
第6の発明においては、吸水シートの外側表面に離散した複数の突起部によって、吸水シートの外側表面が床面に接触するときの接触抵抗が増加し、滑り難くなる。
【0021】
第7の発明に係る履物用パッドは、前記吸水シートの外側表面にパイル織の生地を重ねてあることを特徴とする。
第7の発明においては、床面に接触するパイル織の生地は毛羽立っていてクッション性を有し、また吸水性能及びゴミ吸着性能に優れている。
【0022】
第8の発明に係る履物用パッドは、前記基材は抗菌剤を含有した抗菌シートにて構成され、前記底部材の上面に装着可能であることを特徴とする。
第8の発明においては、室内用履物を履いた人が室内を歩行するときに、室内用履物の底部材の上面に接着層によって接着された抗菌シートが菌類の繁殖を抑制する。
【0023】
第9の発明に係る履物用パッドは、前記抗菌剤は木炭であることを特徴とする。
第9の発明においては、木炭は抗菌作用を有し、さらには消臭作用も有するので、抗菌シートに含有する抗菌剤に適している。
【0024】
第10の発明に係る履物用パッドは、前記接着層は、複数の微小気泡を有する樹脂の吸着層であることを特徴とする。
第10の発明においては、前記基材の一方の面に形成された樹脂の吸着層の表面に開口した複数の微小気泡が真空吸着作用をなすことによって当該樹脂層が室内用履物の底部材に吸着され、履物用パッドが室内用履物の底部材に装着される。
【0025】
第11の発明に係る履物用パッドは、前記接着層は粘着層であることを特徴とする。
第11の発明においては、前記基材の一方の面に形成された粘着層が室内用履物の底部材に粘着して、履物用パッドが室内用履物の底部材に装着される。
【0026】
第12の発明に係る履物用パッドは、前記接着層は複数の凸条を離隔して並んだ構造を有することを特徴とする。
第12の発明においては、履物用パッドを室内用履物の底部材に押し付けて装着するときに凸条の頂部部分が室内用履物の底部材の表面に当接して接着され、凸条の谷部は室内用履物の底部材の表面から離れているので、凸条の頂部に押圧力が集中して良好に接着することができ、また履物用パッドを取り外すときは接着層を綺麗に剥がすことができる。
【0027】
第13の発明に係るパッド保持具は、第1から12のいずれかの発明に係る履物用パッドを前記接着層により付着させる付着部と、該付着部に連設され、他部材に係合する係合部とを備えたことを特徴とする。
第13の発明においては、シート状の基材の接着層をパッド保持具の付着部に付着させ、パッド保持具の係合部を他部材に係合させる。これにより、一方の面に接着層が形成されシート状の基材を有する履物用パッドがパッド保持具にて確実に保持される。
【0028】
第14の発明に係るパッド保持具は、前記付着部はシート状に形成され、両面に前記履物用パッドを付着させる構成としてあることを特徴とする。
第14の発明においては、シート状の付着部の両面に履物用パッドを付着させるので、シート状の付着部を履物用パッドの面積の半分程度の大きさに形成することができる。
【0029】
第15の発明に係るパッド保持具は、前記付着部は、前記履物用パッドの形状に応じた形状をなすことを特徴とする。
第15の発明においては、シート状の付着部を履物用パッドの形状に応じた必要最小限の大きさに形成することができる。
【発明の効果】
【0030】
第1の発明に係る履物用パッドによれば、接着層の接着力を大きくすることにより、履物用パッドと室内用履物の底部材との接着強度を高くすることができる。特に基材の一方の面に形成する接着層を基材の面に強固に結合させておけば、履物用パッドを室内用履物の底部材へ装着するときの接着強度は、主として室内用履物の底部材と接着層の間の接着状態に依存するので、この面における接着層の接着力を大きくすることにより、全体としての履物用パッドと室内用履物の底部材との接着強度を高くすることができる。従って、室内用履物への装着時の機械的な強度を高めた履物用パッドが提供される。
【0031】
第2の発明に係る履物用パッドによれば、使用後、接着層を室内用履物の底部材から剥離して履物用パッドを取り外し、例えば使用により履物用パッドが汚れている場合には洗濯することができる。従って、室内用履物から手軽に取り外して再使用することが容易である履物用パッドが提供される。
【0032】
第3の発明に係る履物用パッドによれば、室内用履物を履いて室内を歩行するときに、室内用履物の底部材の下面に装着された履物用パッドによって床面上の水分が吸収されるので、水分に対する吸収効果を高めた掃除用途の履物用パッドが提供される。
【0033】
第4の発明に係る履物用パッドによれば、吸水シートが吸収した水分の接着層への浸入が阻止されるので、水分に対する吸収効果を高めつつ、水分の浸入による接着層の劣化を防止することができる掃除用途の履物用パッドが提供される。
【0034】
第5の発明に係る履物用パッドによれば、吸水シートが吸収した水分が吸水シートによって拡散され、蒸発するので、水分に対する吸収効果をさらに高めることができる掃除用途の履物用パッドが提供される。
【0035】
第6の発明に係る履物用パッドによれば、底部材の下面に履物用パッドが装着された室内用履物を履いて室内を歩行するときに、滑り難くなるので、室内用履物に装着したときに滑り止め効果を有する掃除用途の履物用パッドが提供される。
【0036】
第7の発明に係る履物用パッドによれば、室内用履物に装着したときにソフトな履き心地を与えるとともに、吸水性能及びゴミ吸着性能に優れた掃除用途の履物用パッドが提供される。
【0037】
第8の発明に係る履物用パッドによれば、室内用履物に装着したときに菌類が繁殖する等の問題を解消する中敷き用途の履物用パッドが提供される。
【0038】
第9の発明に係る履物用パッドによれば、菌類が繁殖する等の問題を解消する具体的な材料を有する中敷き用途の履物用パッドが提供される。
【0039】
第10の発明に係る履物用パッドによれば、室内用履物への装着に好適な材料として、複数の微小気泡を有する樹脂の吸着層を備えた履物用パッドが提供される。特に該樹脂の吸着層は剥離性に優れているので、室内用履物への装着及び取外しを繰り返すような履物用パッドに適している。
【0040】
第11の発明に係る履物用パッドによれば、室内用履物への装着に好適な材料として粘着層を備えた履物用パッドが提供される。特に粘着層は接着性に優れているので、室内用履物へ強固に装着するような履物用パッドに適している。
【0041】
第12の発明に係る履物用パッドによれば、複数の凸条を離隔させて並べた構造の接着層によって、室内用履物への装着に好適な構造を有する履物用パッドが提供される。
【0042】
第13の発明に係るパッド保持具によれば、履物用パッドをパッド保持具の付着部に付着させ、パッド保持具の係合部を他部材に係合させて履物用パッドを保持するので、例えば、係合部を洗濯物干し台などの竿、紐等の他部材に係合させて履物用パッドを干す場合、あるいは係合部を収納用の金具に掛けて履物用パッドを収納保存する場合に、履物用パッドの接着層が他物に接着し、あるいは接着層同士が接着するような不都合が回避され、室内用履物の底部材に接着させて使用するパッドを接着層によって安定に保持することができるパッド保持具が提供される。
【0043】
第14の発明及び第15の発明に係るパッド保持具によれば、シート状の付着部を履物用パッドの面積の半分程度の大きさに形成することができ、あるいはシート状の付着部を履物用パッドの形状に応じた必要最小限の大きさに形成することができるので、極力小型化したパッド保持具が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明に係る履物用パッド、及び、パッド保持具の実施の形態について、スリッパの底部材に装着する掃除パッド及び中敷きパッドを例に図面に基づいて説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る掃除パッドの平面図、図2は同掃除パッドの底面図、図3は図1のIII−III線における断面図である。
【0046】
第1の実施形態に係る掃除パッド10は、水分を吸収する吸水シート1と、該吸水シート1の一方の面に形成された接着層2とを有する。吸水シート1はスリッパの底部材の外形に合わせた足型形状であり、実際には左右の足に対応して左右対称の一対の吸水シート1が設けてある。吸水シート1は、吸水性に優れた繊維(ポリエステル繊維)を使用している。吸水シート1は外側表面及び内側表面に起毛3を有する。起毛3は吸水シート1の材料であるポリエステル繊維にポリウレタン繊維を組み合わせたツーウエイ(2WAY)トリコット起毛にて作製してある。吸水シート1は両側の起毛3の部分を含めて約2mm程度の厚さを有する。起毛3は少なくとも吸水シート1の外側表面に設けてあればよい。ただし、吸水シート1の材料としては、ポリエステル繊維以外の繊維でもよい。
【0047】
接着層2は、具体的には厚さ0.3〜0.5mm程度のアクリル樹脂の塗布層であり、吸水シート1の足型形状における爪先と踵とを結ぶ線に略直交する方向に平行で1mm程度の幅を有する凸条2aが吸水シート1の表面に3〜4mm程度のピッチで複数並ぶように塗布して形成してある。尚、隣接する凸条2aの間の部分にも層厚は薄くなるがアクリル樹脂の塗布層が存在する。アクリル樹脂の材料は、例えばアクリル系の合成樹脂(粘着性を有するアクリル酸エステル共重合体及び熱可塑性繊維と良好に相溶するメチルメタアクリレートブタジエン共重合体)を主成分とするエマルジョン、発泡剤等を含む組成物である。この接着層2により、表面に開口し、吸着作用をなす複数の微小気泡を有する吸着層が形成される。またアクリル樹脂自体が粘着性を有するので該接着層2は一部、粘着層としても働く。接着層2には使用前は透明な保護フィルムを被せて保護してある。
【0048】
図4は本発明の第1の実施形態に係る掃除パッド10をスリッパの底部材5の下面に装着した状態を示す断面図である。接着層2の凸条2aが底部材5の下面に当接して接着される。具体的には、底部材5に押し付けられた接着層2(アクリル樹脂の塗布層の凸条2a)の表面に開口する微小気泡が内部空気を排出し、該真空吸着作用及び表面の粘着性により底部材5に接着される。そして、人がスリッパを履いて室内を歩行する際に起毛3付きの吸水シート1に床面上の水分が吸収され、またゴミも付着して床面が清掃される。
【0049】
(第2の実施形態)
図5は本発明の第2の実施形態に係る掃除パッドの断面図である。第2の実施形態に係る掃除パッド11は、第1の実施形態に係る掃除パッド10において、吸水シート1と接着層2との間に防水シート4を設けてある点だけが相違する。この防水シート4により、吸水シート1で吸収された水分が接着層2に浸入することが阻止されるので、接着層2の材料が耐水性に弱いとして接着力の低下が防止できる。
【0050】
防水シート4は防水性を有するポリエステル繊維である。防水シート4は、熱可塑性繊維であるポリエステル繊維を互いにからませて集合してなる薄肉(約0.1mm程度の厚さ)の不織布からなり、適度の撓み性を有する。ただし、防水シート4の材料としては、ポリエステル繊維以外の繊維、又は合成樹脂のフィルムでもよい。吸水シート1と防水シート4とは、シートの周縁部の全周、及び、内側個所で熱溶着してある。
【0051】
第1及び第2の実施形態に係る掃除パッドにおいて、吸水シート1は吸収した水分を拡散させる拡散性を有し、その結果、速乾性を有することが好ましい。具体的には、旭化成せんい株式会社製のポリエステル繊維(商品名:テクノファイン(旭化成せんい株式会社の登録商標である))が使用可能である。テクノファインは、特殊なW型繊維構造による細かい溝が水分をすばやく吸い上げ、吸った水分をすばやく拡散させて乾燥させるため、多量の水分を吸収してもべたつきにくく速乾性に優れる。尚、これ以外の吸水性及び拡散性(速乾性)に優れた各種合成繊維材料を使用してもよい。
【0052】
第1及び第2の実施形態に係る掃除パッドにおいて、吸水シート1の外側表面に複数の突起部6を離散させて設けて、床面滑り難くするようにしてもよい。図6は第1及び第2の実施形態に係る掃除パッドの変形例を示す断面図である。突起部6は、合成樹脂材料を印刷によって吸水シート1の表面に塗布し、熱硬化させて形成することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図7は本発明の第3の実施形態に係る掃除パッドの平面図、図8は同掃除パッドの底面図、図9は図7のIX−IX線における断面図である。第3の実施形態に係る掃除パッド12は、第1の実施形態に係る掃除パッド10において、吸水シート1の外側表面にパイル織の生地7を重ねてある点だけが相違する。尚、吸水シート1とパイル織の生地7の基材7aとは、シートの周縁部の全周で縫合してあり、また接着層2の凸条2aは吸水シート1の足型形状における爪先と踵とを結ぶ線に平行である。このパイル織の生地7により、吸水性能及びゴミ吸着性能が高くなる。
【0054】
(第4の実施形態)
図10は第4の実施形態に係る中敷きパッドの平面図、図11は同中敷きパッドの底面図、図12は図9のXII−XII線における断面図である。
【0055】
第4の実施形態に係る中敷きパッド20は、抗菌剤を含有した抗菌シート21と、該抗菌シート21の一方の面に形成された接着層22とを有する。抗菌シート21はスリッパの底部材の外形に合わせた足型形状である。ただし、スリッパの内部に装着するので、第1〜第3の実施形態に係る掃除パッドより外形寸法を小さくしている。抗菌シート21は、抗菌剤として木炭(具体的には備長炭)の微粉を含有し、約1〜2mm程度の厚さを有する不織布(三菱レイヨン製)を使用している。ただし、抗菌シート21に、備長炭以外の木炭、又は木炭以外の抗菌剤を含有させてもよい。
【0056】
接着層22は、第1〜第3の実施形態に係る掃除パッドと同様のアクリル樹脂の塗布層であり、抗菌シート21の足型形状における爪先と踵とを結ぶ線に略直交する方向に平行で2mm程度の幅を有する凸条22aが抗菌シート21の表面に4mm程度のピッチで複数並ぶように塗布して形成してある。
【0057】
図13は本発明の第4の実施形態に係る中敷きパッド20をスリッパの底部材5の上面に装着した状態を示す断面図である。接着層22の凸条22aが底部材5の上面に当接し、吸着作用及び粘着作用を発揮して接着されている。そして、人がスリッパを履いているときにスリッパの内部に発生した菌類が抗菌シート21に含有された備長炭によって吸収されて除菌され、また悪臭も備長炭に吸収されて消臭される。
【0058】
前述の実施の形態1〜4では、接着層2,22をアクリル樹脂の塗布層により吸着層として構成したが、アクリル樹脂の塗布層以外の材料を用いた吸着層、又は粘着性の材料を用いた粘着層として構成してもよい。また、接着層2,22は接着したスリッパの底部材5から剥離可能に構成してパッド10,11,12,20をスリッパの底部材5から取り外しできるようにしたが、接着層2,22は接着したスリッパの底部材5から剥離できないようにしてもよい。要するに、パッド10,11,12,20を押し当てて外れない状態で接着する材料であればよい。また、使用後はパッド10,11,12,20を手で引っ張ってスリッパの底部材5から剥離する構成の場合は、剥離操作を所定の回数行うことができる程度の接着力で接着する材料であればよい。
【0059】
次に、パッド保持具について説明する。図14は本発明に係るパッド保持具を示す正面図、図15は図14のXV−XV線における断面図である。本発明に係るパッド保持具30は、保持対象のパッド10,11,12,20の形状に応じた形状をなすシート状の付着部31と、付着部31の一端部の縁部に取り付けられた係合部32とを備えている。付着部31は、パッド10,11,12,20と同様の足型形状であり、各パッド10,11,12,20の外形寸法よりも少し大きめに形成されている。付着部31は、厚さが0.3mm程度のポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂板で構成しているが、該樹脂板の厚さはこれに限るものではない。
【0060】
係合部32は太さが2mm程度で所定長さの軟質の合成樹脂線材32eの中間部分を他の部分よりも太く(3mm程度に)形成し、該線材32eの両端部に星形の盤状部32a,32bを一体形成した部材からなるが、線材32eの太さはこれらの数値に限るものではない。一方の盤状部32aは支柱及び該支柱の断面径よりも大きい直径の頭部からなる突起32cを中央に備え、他方の盤状部32bは貫通孔32dを中央に有している。付着部31には取付孔31aが開成されている。突起32cの頭部の直径は取付孔31a及び貫通孔32dより大径に形成されている。他方の盤状部32bを付着部31の一方の面に貫通孔32dと取付孔31aとが位置合わせされた状態に配置し、付着部31の他方の面から一方の盤状部32aの突起32cの頭部を取付孔31aと貫通孔32dとに挿通させることにより、突起32cの頭部が貫通孔32dにて抜け止め機能を果たし、係合部32を構成するように環状に折り曲げられた合成樹脂線材の両端部が付着部31に連結固定される。
【0061】
図16はパッド保持具による掃除パッド10の保持状態を示す(a)正面図と(b)一部断面図である。本発明に係るパッド保持具30の付着部31の一方の面に一対のパッド10の一方を付着部31に合わせた状態にし、上から押えることでパッド10の接着層2が付着部31の一方の面に付着して固定保持される。また付着部31の他方の面(裏面)に一対のパッド10の他方を同様に付着して固定保持させる。図示はしないが、他のパッド11,12,20についても同様に付着部31の両面に付着して保持される。
【0062】
本発明の履物用パッドを装着できる室内用履物はスリッパに限らない。例えば室内用軽量靴の中敷きパッド、及び、底部材の下面が平らな室内用軽量靴の掃除パッドとして装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る掃除パッドの平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る掃除パッドの底面図である。
【図3】図1のIII−III線における断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る掃除パッドをスリッパの底部材の下面に装着した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る掃除パッドの断面図である。
【図6】本発明の第1及び第2の実施形態に係る掃除パッドの変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る掃除パッドの平面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る掃除パッドの底面図である。
【図9】図7のIX−IX線における断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る中敷きパッドの平面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る中敷きパッドの底面図である。
【図12】図9のXII−XII線における断面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る中敷きパッドをスリッパの底部材の上面に装着した状態を示す断面図である。
【図14】本発明に係るパッド保持具を示す正面図である。
【図15】図14のXV−XV線における断面図である。
【図16】本発明に係るパッド保持具による掃除パッドの保持状態を示す(a)正面図と(b)一部断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 吸水シート(基材)
2 接着層(吸着層、粘着層)
2a 凸条
4 防水シート(防水層)
6 突起部
7 生地
10 掃除パッド
11 掃除パッド
12 掃除パッド
20 中敷きパッド
21 抗菌シート(基材)
22 接着層(吸着層、粘着層)
22a 凸条
30 パッド保持具
31 付着部
32 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内用履物の底部材に装着する履物用パッドにおいて、
シート状の基材と、該基材の一方の面に形成された接着層とを有することを特徴とする履物用パッド。
【請求項2】
前記接着層は、接着した前記室内用履物の底部材から剥離可能であることを特徴とする請求項1に記載の履物用パッド。
【請求項3】
前記基材は水分を吸収する吸水シートにて構成され、前記底部材の下面に装着可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の履物用パッド。
【請求項4】
前記吸水シートと接着層との間に防水層を設けてあることを特徴とする請求項3に記載の履物用パッド。
【請求項5】
前記吸水シートは吸収した水分を拡散させる拡散性を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の履物用パッド。
【請求項6】
前記吸水シートの外側表面に、複数の突起部を離散させて設けてあることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の履物用パッド。
【請求項7】
前記吸水シートの外側表面にパイル織の生地を重ねてあることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の履物用パッド。
【請求項8】
前記基材は抗菌剤を含有した抗菌シートにて構成され、前記底部材の上面に装着可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の履物用パッド。
【請求項9】
前記抗菌剤は木炭であることを特徴とする請求項8に記載の履物用パッド。
【請求項10】
前記接着層は、複数の微小気泡を有する樹脂の吸着層であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の履物用パッド。
【請求項11】
前記接着層は粘着層であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の履物用パッド。
【請求項12】
前記接着層は複数の凸条が離隔して並んだ構造を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の履物用パッド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の履物用パッドを前記接着層により付着させる付着部と、該付着部に連設され、他部材に係合する係合部とを備えたことを特徴とするパッド保持具。
【請求項14】
前記付着部はシート状に形成され、両面に前記履物用パッドを付着させる構成としてあることを特徴とする請求項13に記載のパッド保持具。
【請求項15】
前記付着部は、前記履物用パッドの形状に応じた形状をなすことを特徴とする請求項13又は14に記載のパッド保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−99332(P2010−99332A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274740(P2008−274740)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(596060594)株式会社サンコー (65)
【Fターム(参考)】