説明

履物用健康具

【課題】 使用者の好みに合った履物に後付けされ、その履物を健康履物として機能させることができる履物用健康具を提供することである。
【解決手段】 履物用健康具は、履物に後付けされ当該履物を健康履物として機能させるものであり、履物台底面に当着可能に形成される略板状の基板部材と、その基板部材と履物台底面との間に介在されその基板部材を履物台底面に貼着する貼着部材と、その基板部材から履物台底面へ向けて突設され、その履物台底面に押入可能に形成される押入部材と、その基板部材の底面から側面視略弧状に湾出形成され、履物台底面の幅方向に一定の幅をもって形成される支持脚部材とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に後付けされ当該履物を健康履物として機能させる履物用健康具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今を問わず、身体的な健康の維持増進は、人々の大きな関心事であり、このため、様々な健康器具が開発されており、例えば、下記特許文献1に記載されるが如き、健康履物などが提案されている。この健康履物は、断面視円弧状、弓形状又はこれらに類似の曲面となった凸曲面が履物本体の裏面に形成されており、この凸曲面を地面(床面を含む。以下同じ。)に接地させてバランスをとりながら歩行したり、凸曲面を支点に前後方向にシーソー運動させることで下肢をストレッチできるものである。
【0003】
ところで、通常、一般的な履物についてみれば、使用者毎にデザインの好みが異なることも多く、又、その履き心地についても使用者毎に好みが異なることが多いものである。そして、このような使用者の好みは、健康履物のデザインや履き心地についても自ずと現れるものであり、使用者においては、なるべく自らの好みにあったデザインや履き心地のものを使用することを望むものである。
【特許文献1】実開昭63−54304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1における図1から図4に記載の健康履物では、凸曲面が履物本体の裏面に一体的に固定されているため、この履物本体のデザインや履き心地が使用者に気に入られなければ、かかる健康履物を使用して貰えないという問題点があった。
【0005】
また、特許文献1における図5及び図6に記載の健康履物では、履物本体の裏面から凸曲面体が止着具やねじ釘を介して着脱可能に固定されるが、これらも、凸曲面体を固定するための専用の履物本体が必要となるため、この専用の履物本体のデザインや履き心地が使用者の好みと合致しない場合には、結局、かかる健康履物を使用して貰えないという問題点があった。
【0006】
もっとも、かかる場合において、デザインや履き心地が異なる健康履物や履物本体を多数用意することも可能ではあるが、実際問題として、多数のバリエーションを製造するには、製造コストが嵩むことから、せいぜい数種類程度のごく僅かなバリエーションしか用意できないという実情にあった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、使用者の好みに合った履物に後付けされ、その履物を健康履物として機能させることができる履物用健康具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために請求項1の履物用健康具は、履物に後付けされ当該履物を健康履物として機能させるものであり、履物台底面に当着可能に形成される略板状の基板部材と、その基板部材と履物台底面との間に介在されその基板部材を履物台底面に貼着する貼着部材と、その基板部材から履物台底面へ向けて突設され、その履物台底面に押入可能に形成される押入部材と、その基板部材の底面から側面視略弧状に湾出形成され、履物台底面の幅方向に一定の幅をもって形成される支持脚部材とを備えている。
【0009】
この請求項1の履物用健康具によれば、この履物用健康具が履物に後付けされることで、当該履物が健康履物として機能するものとなる。ここで、履物用健康具は、その基板部材が履物台底面に貼着部材を介して貼着されることで、かかる基板部材が履物台底面に当着される。この基板部材の当着によって、履物用健康具は、その押入部材が履物台底面に押入される状態となって履物台底面に食い込んで引っ掛かり、なおかつ、支持脚部材が履物台底面の幅方向に一定の幅をもって側面視略弧状に履物台底面から湾出した状態となって、履物に取り付けられる。
【0010】
このようにして履物用健康具が取り付けられた履物は、健康履物となり、そして、かかる健康履物を履いた使用者は、支持脚部材を支点にしてシーソーのように揺動する履物台の上で、バランスをとりながら立ったり又は歩行したりすることができる。しかも、このように支持脚部材を支点にして起立したり歩行したりする場合、押入部材が履物台底面に食い込んで引っ掛かっているので、基板部材が履物台底面に対して滑り動くことが防がれ、基板部材が履物台底面の定位置にしっかりと固定される。
【0011】
請求項2の履物用健康具は、請求項1の履物用健康具において、前記押入部材は、前記基板部材の前側部分から突設される第1突起部と、その第1突起部から前記基板部材の前後方向に間隔を隔てて、その基板部材の後側部分から突設される第2突起部とを備えている。
【0012】
この請求項2の履物用健康具によれば、請求項1の履物用健康具と同様に作用する上、押入部材は、基板部材の前側部分にある第1突起部、及び、基板部材の後側部分にある第2突起部が、それぞれ履物台底面に押入される。このため、基板部材が履物台底面に対して前後方向に摺れ動くことが前後の各突起部によって強固に防止されるとともに、歩行時や運動時の履物に対する捻り動作などによって基板部材に対して偶力が作用するような場合に、基板部材が履物台底面に対して滑って回り動くようなことも防止される。
【0013】
請求項3の履物用健康具は、請求項1又は2の履物用健康具において、前記支持脚部材は、側面視略弧状に湾曲形成される支持板部と、その支持板部の前端部に連設され前記基板部材の底面に当着される第1当着部と、その支持板部の後端部に連設され前記基板部材の底面に当着される第2当着部とを備えており、前記押入部材は、前記支持脚部材と一体形成されるものであって、前記第1当着部とともに前記支持板部の前端部に連設され前記基板部材を貫通して履物台底面へ向けて突設される第1突起部と、前記第2当着部とともに前記支持板部の後端部に連設され前記基板部材を貫通して履物台底面へ向けて突設される第2突起部とを備えている。
【0014】
この請求項3の履物用健康具によれば、請求項1又は2の履物用健康具と同様に作用する上、支持脚部材は、その支持板部が床面や地面に接地されることで履物台を支持するものとなる。また、支持脚部材は、その第1当着部及び第2当着部を介して基板部材の底面に当着される。さらに、支持脚部材には、押入部材が一体形成されており、部品点数の削減が図られている。この押入部材は、第1突起部及び第2突起部を備えており、この第1突起部及び第2突起部が、支持脚部材の第1当着部及び第2当着部とともに支持板部の前端部及び後端部に連設され、基板部材を貫通して突設されて履物台底面に押入される構造となっている。
【0015】
請求項4の履物用健康具は、請求項3の履物用健康具において、前記支持脚板の支持板部、第1当着部及び第2当着部、並びに、前記押入部材の第1突起部及び第2突起部は、1枚の板材を曲成することにより形成されている。
【0016】
請求項5の履物用健康具は、請求項1から4のいずれかの履物用健康具において、前記押入部材の先端、前記第1突起部の先端、又は、前記第2突起部の先端は、尖形状に形成されている。よって、押入部材の先端、第1突起部の先端、又は、第2突起部の先端を、履物台底面へ押入させる場合に、これらの先端を履物台底面へ容易に食い込ませることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の履物用健康具によれば、履物台底面に支持脚部材を取り付ける基板部材は、その基板部材と履物台底面との間に介在される貼着部材によって履物台底面に貼着されることで当着されるので、従来の健康履物のように、履物台の底面に支持脚部材を一体的に固定したり、或いは、履物底部自体に止着具や貫通孔を別途加工する必要がない。
【0018】
つまり、本発明の履物用健康具によれば、貼着部材を用いた極めて簡易的な固定方式を採用することによって、既製の履物の履物台底面にも、基板部材を介して支持脚部材を容易に後付けすることができるので、使用者が好むの形態、デザイン、履き心地を有する履物を、特殊な加工を施すことなく容易に健康履物として機能させることができるという効果がある。
【0019】
しかも、基板部材は、履物台底面に貼着部材を介して貼着されるという極めて簡易的な固定方式であるにも関わらず、押入部材が履物台底面に押入されて食い込むことによって、かかる基板部材を履物台底面に対して滑り動かすことなく履物台底面の定位置にしっかりと固定できるという効果がある。よって、この履物用健康具を取り付けた履物で利用者が歩行したり運動したりする場合に、支持脚部材がズレ動いてしまって不安定となることを防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の履物用健康具の一実施例である健康具1の平面図であり、図2は、健康具1の右側面図である。なお、健康具1の左側面図は、図2に示した健康具1の右側面図と対称に表れるものである。
【0021】
図1及び図2に示すように、健康具1は、主として、履物50の履物台51の底面(以下「履物台底面」という。)51a(図7参照。)に当着されるベース板2と、健康履物50の接地部として機能する支持脚3とを備えている。また、これらのベース板2及び支持脚3は、例えば、ポリカーボネート等の剛性を有する合成樹脂材料で形成されている。
【0022】
図1に示すように、ベース板2は、その前側部分(図1左側)が後側部分(図1右側)に比べて幅広であって、その前後方向(図1左右方向)中間部が前側部分及び後側部分に比べて幅が狭く括れた、平面視略洋梨形又は略ひさご形の略平板状に形成されている。また、ベース板2には、その前端部、中間部および後端部の3箇所に貼着シート4,5,6が貼着されている。
【0023】
これらの貼着シート4,5,6は、ベース板2を履物台底面51aに貼着するための両面粘着テープであり、例えば、アクリルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォームなどの弾力性又はクッション性を有した合成樹脂フォーム製の基材の両面に、粘着剤から成る粘着層が形成されたものである。
【0024】
また、このベース板2は、その前側部分であって前端部及び中間部の貼着シート4,5の間部分に、横幅方向(図1上下方向)に略一文字状の第1貫通孔7が穿設されている。さらに、ベース板2は、その後側部分であって後端部及び中間部の貼着シート5,6の間部分に、横幅方向に略一文字状の第2貫通孔8が穿設されている(図3参照。)。
【0025】
ここで、第1貫通孔7は、第1押入突起9をベース板2の天面2aから突出させるための開口部であり、第2貫通孔8よりも横幅が大きくされている。一方、第2貫通孔8は、第2押入突起10をベース板2の天面2aから突出させるための開口部である。
【0026】
第1押入突起9と第2押入突起10とは、履物台底面51aへ押入可能に形成されており、ベース板2が貼着シート4,5,6を介して履物台底面51aに貼着される場合に、履物台底面51aに押入されて食い込んで引っ掛かることで、ベース板2が履物台底面51aに対して滑り動くことを防止するものである。
【0027】
なお、「押入」とは、第1押入突起9や第2押入突起10が履物台底面51aへ押し入れられることをいい、特に、ベース板2が履物台底面51aに当着される場合に、かかるベース板2が履物台底面51aに対して押圧又は圧接されることによって、第1押入突起9や第2押入突起10が履物台底面51aへ向けて押されて履物台底面51aへ入り込むことを意味している。
【0028】
第1押入突起9は、第1貫通孔7を貫通してベース板2の天面2a前側部分から突設されており、第2押入突起10は、第2貫通孔8を貫通してベース板2の天面2a後側部分から突設されている。また、第1押入突起9及び第2押入突起10は、いずれもベース板2の横幅方向(図1上下方向)に略一文字状に形成されており、第1押入突起9が第2押入突起10よりも横幅が大きくされている。
【0029】
また、これらの第1押入突起9と第2押入突起10とは、ベース板2の前後方向(図1左右方向)に間隔を隔てて設けられており、この第1押入突起9と第2押入突起10との間部分には、上記した中間部の貼着シート5が貼着されている。また、ベース板2には、その前側部分の横幅方向両側部分、及び、その後側部分の横幅方向両側部分の、合計4箇所に取着されるリベット11を介して支持脚3が固着されている。
【0030】
このように、押入突起9,10は、ベース板2の天面2a全体に突設されるのではなく、局所的に突設されるので、貼着シート4,5,6などを設けるための平面スペースを十分に確保できる。このため、これら貼着シート4,5,6による粘着面の面積を大きくでき、その分、強固な粘着力をもって、ベース板2を履物台底面51aにしっかりと固定することができるのである。
【0031】
図2に示すように、ベース板2の天面(上面)2aには、上記した3箇所に貼着シート4,5,6が貼着されており、このベース板2の天面2aからは、上記した第1押入突起9及び第2押入突起10が上方へ向けて突設されている。また、ベース板2の底面(下面)2bには、上記したリベット11を介して支持脚3が固着されている。
【0032】
支持脚3は、ベース板2の底面2bから下方へ向けて湾出される側面視略弧状に湾曲形成された支持板部12と、その支持板部12の前端部(図2左側)に連設されベース板2の底面2bに当着される第1当着部13と、その支持板部12の後端部(図2右側)に連設されベース板2の底面2bに当着される第2当着部14とを備えている。
【0033】
ここで、支持板部12は、履物台51を実際に支持する部位であり、その下面が床面や地面に接地される支持面12aとなる。また、第1当着部13及び第2当着部14は、リベット11を介して、ベース板2の底面2bに当着される部位である。
【0034】
図3(a)は、ベース板2の平面図であり、図3(b)は、図3(a)のB−B線における縦断面図であり、図4(a)は、支持脚3の平面図であり、図4(b)は、支持脚3の右側面図である。図3に示すように、ベース板2には、その前側部分及び後側部分にそれぞれ、上記した第1貫通孔7及び第2貫通孔8が穿設されており、各貫通孔7,8は、横幅方向へ略一文字状に細長く形成されたいる。また、ベース板2には、リベット11を挿通させるためのリベット孔15も4箇所穿設されている。
【0035】
図4(a)に示すように、支持脚3は、支持板部12の前端部(図4(a)左側)における横幅方向両側(図4(a)上下両側)に略平板状の第1当着部13,13がそれぞれ連設されており、支持板部12の後端部(図4(b)右側)における横幅方向両側に略平板状の第2当着部14,14がそれぞれ連設されている。また、各当着部13,13,14,14には、ベース板2の各リベット孔15に対応した箇所に、リベット11を挿通可能なリベット孔16が穿設されている。
【0036】
また、この支持脚3には、上記した第1押入突起9及び第2押入突起10が一体形成されている。具体的には、第1押入突起9が、支持板部12の前端部(図4(a)左側)に、第1当着部13,13とともに連設され、これら第1当着部13,13の間から上方へ向けて突設されている。
【0037】
また、第2押入突起10が、支持板部12の後端部(図4(a)右側)に、第2当着部14,14とともに連設され、これら第2当着部14,14の間から上方へ向けて突設されている。このように、支持脚3と第1押入突起9及び第2押入突起10とを組み合わせて一体化することで、部品点数の削減が図られている。
【0038】
図5は、支持脚3の展開図であって、支持脚3を曲成する以前の原型材3’である。図5に示すように、支持脚3の原型材3’は1枚の板材であり、その前後方向(図5左右方向)中間部分に曲成前の支持板部12が設けられており、この曲成前の支持板部12は、その横幅方向(図5上下方向)両側が略円弧状に湾出形成されている。
【0039】
また、原型材3’は、その前端部(図5左側)の横幅方向両側に第1当着部13,13が形成され、その第1当着部13,13間に第1押入突起9が形成され、その後端部(図5右側)の横幅方向両側に第2当着部14,14が形成され、その第2当着部14、14間に第2押入突起10が形成されている。
【0040】
そして、支持脚3は、上記のように形成された原型材3’を加熱して曲成することで、図4に示すような形態に成形されるのである。
【0041】
図6は、健康具1の正面図である。図6に示すように、第1押入突起9は、その先端に複数の尖形状の押入歯9aが刻設され、この複数の押入歯9aが略鋸歯状に配列されており、履物台底面51aへ押入される場合に履物台底面51aへ食い込み易い形態となっている。また、支持脚3の支持板部12は、履物台底面51aの幅方向に一定の幅をもって形成されている。
【0042】
なお、図5にも示したように、第2押入突起10も、第1押入突起9と同様に、その先端に複数の尖形状の押入歯10aが刻設され、この複数の押入歯10aが略鋸歯状に配列されており、履物台底面51aへ食い込み易い形態となっている。
【0043】
図7は、健康具1を履物50に取り付けた状態を示した図であり、図7(a)は、健康具1が取り付けられた履物50の右側面図であり、図7(b)は、図7(a)の平面図であり、図7(c)は、図7(b)のC−C線における縦断面図である。
【0044】
図7に示すように、健康具1によれば、この健康具1が履物50に後付けされることで、当該履物50が健康履物として機能するものとなる。ここで、健康具1は、そのベース板2が履物台底面51aに貼着シート4,5,6を介して貼着されることで、かかるベース板2が履物台底面51aに当着される。このベース板2の当着によって、健康具1は、その第1押入突起9及び第2押入突起10が履物台底面51aに押入される状態となって履物台底面51aに食い込んで引っ掛かった状態で、支持脚3が履物台底面51aに取り付けられる。
【0045】
ここで、第1押入突起9は、ベース板2の第1貫通孔7を貫通して、ベース板2の天面2aから履物台底面51aへ向けて突設される。また、第2押入突起10は、ベース板2の第2貫通孔8を貫通して、ベース板2の天面2aから履物台底面51aへ向けて突設される。また、ベース板2は、その天面2aが貼着シート4,5,6を介して履物台底面51aに当着される。また、貼着シート4,5,6は、ベース板2の天面2aと履物台底面51aとの間に介在された状態で、ベース板2を履物台底面51aに貼着させている。
【0046】
このようにして健康具1が取り付けられた履物50は健康履物となり、かかる健康履物を履いた使用者は、支持脚3を支点にしてシーソーのように揺動する履物台51の上で、バランスをとりながら立ったり又は歩行したりすることができる。しかも、このように支持脚3の支持板部12を支点にして起立したり歩行したりする場合、第1押入突起9及び第2押入突起10が履物台底面51aに食い込んで引っ掛かっているので、ベース板2が履物台底面51aに対して滑り動くことが防がれ、ベース板2が履物台底面51aの定位置にしっかりと固定される。
【0047】
また、ベース板2と支持板部12との間には空隙部17が形設されており、この空隙部17は、支持脚3の横幅方向(図6の左右方向)両側が開放されている。このため、履物台51と支持脚3との間に形成される空隙部17にはベルトなどを挿通させることができるようになっている。
【0048】
そこで、例えば、健康具1を両足の履物50にそれぞれ取り付け、その両足の各空隙部17にゴム織物等の伸縮性ベルトをそれぞれ通し、その各ベルトを使用者が別々に両手で把持したまま、歩行運動や足踏み運動をすれば、その各ベルトを介して履物50ごと足を引き上げる運動を加えることができ、両脚の運動と両腕の運動とを同時に行うこともできるのである。
【0049】
次に、図8、図9及び図10を参照して、上記実施例の変形例について説明する。
【0050】
図8(a)は、第2実施例の健康具20が取り付けられた履物50の右側面図であり、図8(b)は、図8(a)の底面図である。第2実施例の健康具20は、上記した第1実施例の健康具1に対して、第1押入突起及び第2押入突起に代えて支持脚とは別体の押入部材21を使用したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0051】
図8(a)に示すように、第2実施例の健康具20は、ベース板2から履物台底面51aへ向けて突設される複数本の押入部材21が履物台底面51aに押入されている。押入部材21は、第1実施例とは異なり、支持脚22とは別体に形成されている。この押入部材21は、その先端が尖形状のビス(ネジ部材)であって、空隙部17内のベース板2の底面2bからベース板2に螺入され、このベース板2を貫通して天面2aから突設されている。
【0052】
図8(b)に示すように、押入部材21は、例えば、ベース板2の前側部分(図8左側)の横幅方向(図8(b)上下方向)両側、及び、ベース板2の後側部分(図8右側)の横幅方向両側の合計4箇所に設けられている。また、支持脚22の第1当着部23及び第2当着部24は、第1押入突起9及び第2押入突起10が不要となったため、いずれも横幅方向に連続した板状体となっており、その横幅方向両端部がリベット11によってベース板2に固着されている。
【0053】
図9(a)は、第3実施例の健康具30の平面図であり、図9(b)は、図9(a)の右側面図である(図中の2点鎖線は履物50を示した仮想線である。)。なお、第3実施例の健康具30の左側面図は、図9(b)に示した健康具30の右側面図と対称に表れるものである。
【0054】
第3実施例の健康具30は、上記した第1実施例の健康具1がベース板2及び支持脚3が別体であったのに対して、ベース板2及び支持脚3を一体成形したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0055】
図9に示すように、ベース板2の底面2bには、第1実施例における支持脚3の支持板部12と略同一形態の支持脚31が一体成形されており、この支持脚31は、側面視略弧状に湾曲形成された板状体であって、ベース板2の底面2bから下方へ向けて湾出されている(図9(b)参照。)。
【0056】
また、ベース板2の天面2aには第1押入突起32と第2押入突起33が一体成形されており、第1押入突起32及び第2押入突起33は、ベース板2の天面2aから履物台底面51aへ向けて突設されている(図9(b)参照。)。この第1押入突起32及び第2押入突起33は、その先端が尖形状に形成された複数の針状体32a,33aで形成されており(図9(a)参照。)、履物台底面51aに押入可能に形成されている。
【0057】
図10は、第4実施例の健康具40を履物50に取り付けた状態を拡大視した右側面図である。ここで、第4実施例の健康具40は、上記した第1実施例の健康具1に対し、支持脚3に取付可能な滑り止め部材41を追加したものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0058】
なお、履物50に取り付けられている健康具40の左側面図は、図9に示した健康具40の右側面図と対称に表れる。
【0059】
図10に示すように、第4実施例の健康具40は、滑り止め作用を発揮する滑り止め部材41が、支持脚3の支持面12aに覆設されている。この滑り止め部材41によって、支持脚3の支持面12aは、その略全体が覆われている。なお、滑り止め部材41のサイズは、必ずしも支持面12aの略全体を覆設するものに限定されるものではなく、例えば、支持面12aの最大曲率部分、即ち、支持面12aの最下端部を少なくとも被覆可能なものであれば、上記したサイズより小さくても良い。
【0060】
滑り止め部材41の表面は、柔軟性や弾力性を有する表層シート材で形成されており、この表層シート材は、地面との摩擦抵抗が大きな合成樹脂材料で形成されている。よって、この滑り止め部材41と地面とが摩擦接触することで、支持脚3に滑り止め機能を付与することができる。また、滑り止め部材41の内部には、健康具40が受ける衝撃を緩和するための緩衝材(図示せず)が収容されており、かかる緩衝材は、支持脚3の支持面12aと表層シート材との間に介装されている。
【0061】
さらに、滑り止め部材41には、かかる滑り止め部材41を支持脚3に固定するための複数の固定バンド41aが設けられている。この固定バンド41aは、支持脚3の幅方向(図10の紙面に対する垂直方向)両側にそれぞれ2個ずつ設けられている。この複数の固定バンド41aは、滑り止め部材41が支持脚3の支持面12aに覆設された場合に、支持脚3の幅方向両端部で折り返されて、支持脚3の内周面12bに当着されるものである。
【0062】
ここで、各固定バンド41aには、支持脚3の内周面12bとの当接面に面ファスナ42(図示せず)が取着されている。また、支持脚3の内周面12bには、各固定バンド41aの面ファスナ42と係合可能かつ脱着可能に形成される面ファスナ42が取着されている。よって、かかる支持脚3の面ファスナ42に対して各固定バンド41aの面ファスナ42が当接されることで、各固定バンド41aが支持脚3の内周面12bに当着されるのである。
【0063】
このように構成された第4実施例の健康具40によれば、滑り止め部材41が取り付けられる場合、かかる滑り止め部材41が支持脚3の支持面12aに当てられ、支持面12aの最下端部が覆われる。それから、滑り止め部材41にある固定バンド41aの各々が、空隙部17の内方へ向けて折り返されて、支持脚3の内周面12bに当接される。
【0064】
この当接によって、各固定バンド41aの面ファスナ42が支持脚3の面ファスナ42と係合される。すると、各固定バンド41aが支持脚3の内周面12bに当着されて、滑り止め部材41が支持脚3に対して固定され、結果、滑り止め部材41が健康具40に着脱可能に取付けられる。
【0065】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察ものである。例えば、第1及び第2実施例では、ベース板2に支持脚3をリベット11を介して固着したが、かかる固着方式は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、塩化ビニルなどの材料を用いてベース板及び支持脚を形成する場合には両者を接着剤で固着させても良い。
【0066】
また、本実施例では、貼着シート4,5,6として両面粘着テープを用いて説明したが、かかる貼着シートの形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、たとえば、面ファスナを貼着シートとして用いても良い。
【0067】
また、第4実施例では、滑り止め部材41が表層シート材と緩衝材とを用いて形成されたが、滑り止め部材41の構造は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、廃タイヤから切断加工して得られたタイヤ片を支持脚の支持面に覆設し、そのタイヤ片を支持脚にリベット止めによって固定するようにしても良い。
【0068】
また、第4実施例では、固定バンド41aを支持脚3の内周面12bに当着させる手段として面ファスナ42を用いたが、かかる当着手段の形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、固定バンドを支持脚の内周面に両面粘着テープで貼着するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例である健康具の平面図である。
【図2】健康具の右側面図である。
【図3】(a)は、ベース板の平面図であり、(b)は、(a)のB−B線における縦断面図である。
【図4】(a)は、支持脚の平面図であり、(b)は、支持脚の右側面図である。
【図5】支持脚の展開図であって、支持脚を曲成する以前の原型材である。
【図6】健康具の正面図である。
【図7】健康具を履物に取り付けた状態を示した図であり、(a)は、健康具が取り付けられた履物の右側面図であり、(b)は、(a)の平面図であり、(c)は、(b)のC−C線における縦断面図である。
【図8】(a)は、第2実施例の健康具が取り付けられた履物の右側面図であり、(b)は、(a)の底面図である。
【図9】(a)は、第3実施例の健康具の平面図であり、(b)は、(a)の右側面図である。
【図10】第4実施例の健康具を履物に取り付けた状態を拡大視した右側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1,20,30,40 健康具(履物用健康具)
2 ベース板(基板部材)
3,22 支持脚(支持脚部材)
4,5,6 貼着シート(貼着部材)
9,32 第1押入突起(第1突起部、押入部材の一部)
10,33 第2押入突起(第2突起部、押入部材の一部)
12 支持板部
13,23 第1当着部
14,24 第2当着部
21 押入部材
31 支持脚(支持脚部材)
50 履物
51 履物台
51a 履物台の底面(履物台底面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物に後付けされ当該履物を健康履物として機能させる履物用健康具において、
履物台底面に当着可能に形成される略板状の基板部材と、
その基板部材と履物台底面との間に介在されその基板部材を履物台底面に貼着する貼着部材と、
その基板部材から履物台底面へ向けて突設され、その履物台底面に押入可能に形成される押入部材と、
その基板部材の底面から側面視略弧状に湾出形成され、履物台底面の幅方向に一定の幅をもって形成される支持脚部材とを備えていることを特徴とする履物用健康具。
【請求項2】
前記押入部材は、前記基板部材の前側部分から突設される第1突起部と、その第1突起部から前記基板部材の前後方向に間隔を隔てて、その基板部材の後側部分から突設される第2突起部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の履物用健康具。
【請求項3】
前記支持脚部材は、側面視略弧状に湾曲形成される支持板部と、その支持板部の前端部に連設され前記基板部材の底面に当着される第1当着部と、その支持板部の後端部に連設され前記基板部材の底面に当着される第2当着部とを備えており、
前記押入部材は、前記支持脚部材と一体形成されるものであって、前記第1当着部とともに前記支持板部の前端部に連設され前記基板部材を貫通して履物台底面へ向けて突設される第1突起部と、前記第2当着部とともに前記支持板部の後端部に連設され前記基板部材を貫通して履物台底面へ向けて突設される第2突起部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の履物用健康具。
【請求項4】
前記支持脚板の支持板部、第1当着部及び第2当着部、並びに、前記押入部材の第1突起部及び第2突起部は、1枚の板材を曲成することにより形成されていることを特徴とする請求項3記載の履物用健康具。
【請求項5】
前記押入部材の先端、前記第1突起部の先端、又は、前記第2突起部の先端は、尖形状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の履物用健康具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−254482(P2009−254482A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105305(P2008−105305)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(500537305)
【Fターム(参考)】