説明

差動増幅装置及び過電流保護装置

【課題】オペアンプが有するオフセット電圧による影響を回避し、高精度に過電流の発生を検出することが可能な差動増幅装置及び過電流保護装置を提供する。
【解決手段】スイッチング用のMOSFET(T1)のドレインとグランドとの間に設けられる、抵抗R3,R4,R5の直列接続回路と、MOSFET(T1)のソースとグランドとの間に設けられる、抵抗R1,抵抗R2,トランジスタ(T2)の直列接続回路とを備える。更に、アンプ(AMP1)の正転入力端子a1と点aとの間に設けられた抵抗R7から電流Ixを引き抜き、且つ、アンプ(AMP1)の反転入力端子b1と点bとの間に設けられた抵抗R8から電流Iyを引き抜くことにより、点aと点bとの間に生じる電圧Vabを低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源と負荷との間にスイッチング用の半導体素子を設けて負荷を駆動する回路の、過電流を検出して回路を保護する過電流保護装置、及び該過電流保護装置等に適用可能な差動増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されるランプ、モータ等の負荷を駆動する負荷回路では、電源(バッテリ)と負荷との間にスイッチング用の半導体素子を設け、該半導体素子をオン、オフ操作することにより、負荷の駆動、停止を制御する。また、負荷回路にデッドショート、或いはレアショート等による過電流が流れた場合には、これを検出して即時に負荷回路を遮断するために、過電流保護装置が設けられている。
【0003】
このような過電流保護装置の従来例として、例えば、特開2002−353794号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
【0004】
上記特許文献1に記載された技術では、半導体素子として用いるMOSFETのドレイン・ソース間電圧(Vds)をオペアンプで増幅し、増幅した電圧を予め設定した判定電圧と比較して、過電流が発生しているか否かを判定する。
【0005】
図6は、従来における過電流保護装置の回路図であり、同図を参照して従来例について説明する。同図に示すように、ランプ或いはモータ等の負荷RLと電源VBとの間には、スイッチング用のMOSFET(T101)が設けられており、該MOSFET(T101)のゲートは、抵抗R110を介してドライバ101に接続されている。従って、ドライバ101より出力される制御信号により、MOSFET(T101)がオン、オフ操作され、負荷RLの駆動、停止が制御される。
【0006】
MOSFET(T101)のドレイン・ソース間電圧Vdsは、MOSFET(T101)のドレイン電圧(点P1の電圧)をV1、ソース電圧(点P2の電圧)をV2、MOSFET(T101)のオン抵抗をRon、ドレイン電流をIDとすると、以下の(1)式で示される。
【0007】
Vds=V1−V2=Ron*ID …(1)
また、ドレイン・ソース間電圧Vdsは、抵抗R103、R105、トランジスタ(T102)、オペアンプAMP101からなる増幅回路で増幅される。なお、図6の各抵抗の符号の下に記載している数字は、抵抗値の例を示している。例えば、抵抗R103は、抵抗値が100[Ω]である。
【0008】
抵抗R103とトランジスタ(T102)の接続点P3の電圧Vaが、オペアンプAMP101の正転入力端子に入力され、MOSFET(T101)のソース電圧(点P2の電圧)V2が、オペアンプAMP101の反転入力端子に入力され、オペアンプAMP101出力は、トランジスタ(T102)の制御端子に入力される。
【0009】
そして、点P1→抵抗R103→トランジスタ(T102)→抵抗R105→グランドの経路を流れる電流I1の大きさは、アンプAMP101とトランジスタ(T102)が常にVa=V2となるように制御する結果として定まる電流値になる。ここで、アンプAMP101のオフセット電圧を±Voffとすると、次の(2)式が得られる。
【0010】
Vds±Voff=R103*I1 …(2)
また、抵抗R105に生じる電圧V5が、電圧Vdsを増幅した電圧となり、R105/R103=mとすると、電圧V5は、次の(3)式で示される。
【0011】
V5=R105*I1=(R105/R103)*R103*I1
=R105/R103*(Vds±Voff)
=m*(Ron*ID±Voff) …(3)
(3)式から理解されるように、アンプAMP101のオフセット電圧(±Voff)をm倍した電圧が、電圧V5のばらつきとして発生する。
【0012】
増幅された電圧V5がコンパレータCMP101の反転入力端子に入力され、コンパレータCMP101の正転入力端子には、点P4に生じる判定電圧V4が入力される。判定電圧V4は、電源VBの出力電圧、即ち点P1の電圧V1を、抵抗R101と抵抗R102で分圧して生成される。
【0013】
ここで、ドレイン電流IDが過電流状態になると、MOSFET(T101)のドレイン・ソース間電圧Vdsが大きくなり、V5>V4となって、コンパレータCMP101の出力が反転することにより、過電流状態が検出される。過電流として検知されるドレイン電流IDの値を、Iovcとすると、次の(4)式が得られる。
【0014】
V5=m*(Ron*Iovc±Voff)=V4
∴Iovc=(V4/m/Ron)±(Voff/Ron) …(4)
ここで、アンプAMP101にオフセット電圧が存在しなければ、即ち、Voff=0であれば、過電流検出値IovcはV4,R103,R105,Ronで決まる一定値となる。しかし、アンプAMP101のオフセット電圧(±Voff)が存在する場合には、過電流検出値Iovcがばらつき、そのばらつき量は(±Voff/Ron)となり、同一オフセット電圧に対しては、オン抵抗Ronが小さくなるに連れてIovcのばらつき幅が大きくなる。
【0015】
また、アンプAMP101を含めて増幅回路がIC化された場合、オフセット電圧(±Voff)のばらつき幅はIC化プロセスに依存し、通常のICでは±10[mV]程度のばらつき幅となるので、Ron=3[mΩ]とすれば、遮断電流値は±3.3[A]ばらつくことになる。
【特許文献1】特開2002−353794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、スイッチング素子として用いる半導体素子(MOSFET)のドレイン・ソース間電圧Vdsを増幅し、この増幅出力を用いて過電流判定を行う過電流保護装置では、アンプAMP101のオフセット電圧Voffは過電流検出値のばらつき要因となり、過電流検出値の精度を低下させる。更に、今後MOSFET(T1)のオン抵抗Ronが小さくなる傾向が進むと、相対的にばらつき幅が増大し、精度低下はますます大きくなるので、増幅回路におけるアンプAMP101のオフセット電圧の影響を回避することが重要な問題となる。
【0017】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、オペアンプが有するオフセット電圧による影響を回避し、高精度に過電流の発生を検出することが可能な過電流保護装置、及び該過電流検出装置等に適用可能な差動増幅装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の差動増幅装置は、増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)と第2の抵抗(R2)の接続点bを接続し、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)と第4の抵抗(R4)の接続点aを接続し、前記第2の抵抗の他端に第2の半導体素子(T2)の第1の主電極(ソース)を接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を接地し、制御電極(ゲート)を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、前記第4の抵抗の他端を第5の抵抗(R5)を経由して接地し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力し、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子との接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1,R3,R7,R8」(但し、R1=R3,R7=R8)、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流を「Iy」とするとき、「Iy−Ix」が前記Vabに比例し、且つ、(R1+R7)*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するようにIx、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の差動増幅装置は、増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)を接続し、接続点をbとし、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)を接続し、接続点をaとし、第2の抵抗(R2)の一端を接地し、他端を第2の半導体素子(T2)の第2の主電極(ソース)に接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記接続点bに接続し、制御電極(ゲート)を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、第4の抵抗の一端を接地し、他端を第5の抵抗(R5)を経由して前記接続点aに接続し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力し、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子の接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1,R3,R7,R8」(但し、R1=R3,R7=R8)、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流を「Iy」とするとき、「Iy−Ix」が前記Vabに比例し、且つ、(R1+R7)*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するようにIx、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする。
【0020】
請求項3、請求項4に記載の差動増幅装置は、請求項1または2において、前記Ix、Iyを生成する方法は、前記電源端子dに定電流源(Ia)の一端を接続し、他端を第3および第4の半導体素子(T3、T4)の第2の主電極(ソース)に接続し、前記第3の半導体素子(T3)の制御電極(ゲート)を前記接続点aに接続し、且つ、前記第4の半導体素子(T4)の制御電極(ゲート)を前記接続点bに接続し、第5(T5)、第6(T6)、第7(T7)、および第10(T10)、第8(T8)、第9(T9)の各半導体素子の第2の主電極(ソース)を接地し、前記第5の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)と制御電極(ゲート)を接続し、更にこの接続点に前記第6、第7の半導体素子の制御電極(ゲート)を接続し、前記第5の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を、前記第3及び第8の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)に接続し、前記第6の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記増幅手段(AMP1)の正転入力端子a1に接続し、一方、前記第10の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)と制御電極(ゲート)を接続し、更にこの接続点に前記第8、第9の半導体素子の制御電極(ゲート)を接続し、前記第10の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を、前記第4及び第7の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)に接続し、前記第9の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記増幅手段の正転入力端子b1に接続し、前記第6の半導体素子のドレイン電流を前記Ix、前記第9の半導体素子のドレイン電流を前記Iyとすることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の過電流保護装置は、電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、前記負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項1または3に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の他端に接続して前記請求項1または3に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、前記電源端子dと前記接続点yとの間の電圧が、前記電源端子dと前記接続点x間の電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の過電流保護装置は、電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、該負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項2または4に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の他端に接続して前記請求項2または4に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、前記接続点yの電圧が、前記接続点xの電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の差動増幅装置は、増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)と第2の抵抗(R2)の接続点bを接続し、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)と第4の抵抗(R4)の接続点aを接続し、前記第2の抵抗の他端に第2の半導体素子(T2)の第2の主電極(ソース)を接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を接地し、且つ、制御電極(ゲート)を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、前記第4の抵抗の他端を第5の抵抗(R5)を経由して接地し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力して、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子の接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1、R3、R7、R8」(但し、R1=R3,R7=R8)とし、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」とし、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流「Iy」とするとき、前記Ixが前記第1の抵抗を流れ、前記Iyが前記第3の抵抗を流れるように構成し、且つ、R7*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するように、前記Ix、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の差動増幅装置は、増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)を接続し、この接続点をbとし、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)を接続し、この接続点をaとし、第2の抵抗の一端を接地し、他端を第2の半導体素子(T2)の第2の主電極(ソース)に接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記接続点bに接続し、制御電極(ゲート)を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、第4の抵抗の一端を接地し、他端を第5の抵抗(R5)を経由して前記接続点aに接続し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力して、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子の接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1、R3、R7、R8」(但し、R1=R3,R7=R8)とし、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」とし、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流を「Iy」とするとき、前記Ixが前記第1の抵抗を流れ、前記Iyが前記第3の抵抗を流れるように構成し、且つ、R7*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するように、前記Ix、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする。
【0025】
請求項9、請求項10に記載の差動増幅装置は、請求項7または8において、前記Ix、Iyを生成する方法は、前記電源端子dに定電流源(Ia)の一端を接続し、他端を第3及び第4の半導体素子(T3、T4)の第2の主電極(ソース)に接続し、前記第3の半導体素子(T3)の制御電極(ゲート)を前記接続点aに接続し、且つ、前記第4の半導体素子(T4)の制御電極(ゲート)を前記接続点bに接続し、第5(T5)、第6(T6)、第7(T7)、第20(T20)、及び第10(T10)、第8(T8)、第9(T9)、第21(T21)の各半導体素子の第2の主電極(ソース)を接地し、前記第5の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)と制御電極(ゲート)を接続し、且つ、この接続点に前記第6、第7、第20の半導体素子の制御電極(ゲート)を接続し、前記第5の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記第3及び第8の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)に接続し、前記第6の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記増幅手段の正転入力端子a1に接続し、前記第20の半導体素子のチャンネル幅、及びチャンネル長を前記第6の半導体素子と同一に設定し、且つ第20の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記接続点bに接続し、一方、前記第10の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)と制御電極(ゲート)を接続し、且つ、この接続点に前記第8、第9、第21の半導体素子の制御電極(ゲート)を接続し、前記第10の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記第4及び第7の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)に接続し、前記第9の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記増幅手段の反転入力端子b1に接続し、前記第21の半導体素子のチャンネル幅、及びチャンネル長を前記第9の半導体素子と同一に設定し、且つ第21の半導体素子の第1の主電極(ドレイン)を前記接続点aに接続し、前記第6の半導体素子のドレイン電流をIx、前記第9の半導体素子のドレイン電流をIyとすることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の過電流保護装置は、電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、該負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項7または9に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の一端に接続して前記請求項7または9に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、前記電源端子dと前記接続点yとの間の電圧が、前記電源端子dと前記接続点xとの間の電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の過電流保護装置は、電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、該負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項8または10に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の他端に接続して前記請求項8または10に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、前記接続点yの電圧が、前記接続点xの電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る差動増幅装置、及び過電流保護装置では、増幅手段(AMP1)の正転入力端子a1と接続点aとの間に第7の抵抗(R7)を設け、且つ、増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1と接続点bとの間に第8の抵抗(R8)を設ける。そして、第7の抵抗を介して電流Ixをグランドに流し、且つ第8の抵抗を介して電流Iyをグランドに流すことにより、増幅手段(AMP1)が有するのオフセット電圧Voffにより発生する電位差を低減させる。これにより、増幅手段が有するオフセット電圧の影響を除去することができ、ひいては過電流検出値のばらつきを抑制することができ、高精度な過電流検出が可能となる。更に、過電流判定値のばらつきが抑制されることにより、負荷回路を構成する電線サイズを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示すMOSFET(電界効果トランジスタ)は、半導体素子の一例であり、ドレインを第1の主電極とし、ソースを第2の主電極とし、ゲートを制御電極とした場合を例に挙げている。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置が搭載された負荷回路の構成を示す回路図である。図2は、理解を促進する際の煩雑さを避けるため、図1からアンプ(AMP1)のオフセット電圧Voffを補正する回路を取り去った回路を示している。まず、図2を参照して、全体構成の概略について説明する。
【0031】
図2に示すように、電源VB(例えば12V直流電源)と、ランプ或いはモータ等の負荷RLとの間には、MOSFET(T1;第1の半導体素子)が設けられており、ドライバ11より出力される駆動信号により、MOSFET(T1)のオン、オフが切り換えられ、負荷RLの駆動、停止が制御される。即ち、ドライバ11の出力信号がHレベル(電源VBの電圧より約10V高い電圧)となり、このHレベルの出力信号がMOSFET(T1)のゲートに供給されると、該MOSFET(T1)がオンとなり、電源VBより出力される電力が負荷RLに供給される。これにより、負荷RLが駆動する。
【0032】
また、MOSFET(T1)のドレイン、即ち、点d(電圧V1)は3系統に分岐しており、このうち、1つ目の分岐線は、抵抗R3(第3の抵抗;例えば5[KΩ])と、抵抗R4(第4の抵抗;例えば25[KΩ])と、抵抗R5(第5の抵抗;例えば30[KΩ])の直列接続回路を介して、グランドに接続されている。抵抗R3とR4の接続点をaとする。
【0033】
2つ目の分岐線は、トランジスタ(T11;例えばMOSFET)と、抵抗R11(例えば2.27[KΩ])と、抵抗R12(例えば80[KΩ])の直列接続回路を介して、グランドに接続されている。抵抗R11とR12との接続点をeとする。また、3つ目の分岐線は、図2では省略されており、図1を参照して後述する。
【0034】
図2において、MOSFET(T1)のソース(電圧V2)は、抵抗R1(第1の抵抗;例えば5[KΩ])と、抵抗R2(第2の抵抗;例えば25[KΩ])と、トランジスタ(T2;第2の半導体素子、例えばMOSFET)の直列接続回路を介して、グランドに接続されている(接地されている)。
【0035】
抵抗R3と抵抗R4の接続点(点a)は、アンプ(AMP1;増幅手段)の正転入力端子に接続され、抵抗R1と抵抗R2の接続点(点b)は、アンプ(AMP1)の反転入力端子に接続されている。アンプ(AMP1)の出力端子は、トランジスタ(T2)の制御端子に接続されている。また、アンプ(AMP1)が有するオフセット電圧Voffを、反転入力端子に接続された電圧Voffとして記載している。
【0036】
また、抵抗R4と抵抗R5の接続点(点x)は、アンプ(AMP2)の正転入力端子に接続され、抵抗R11と抵抗R12の接続点(点e)は、アンプ(AMP2)の反転入力端子に接続されている。また、該アンプ(AMP2)の出力端子は、トランジスタ(T11)の制御端子に接続されている。
【0037】
トランジスタ(T11)のソースは、抵抗R9(例えば10[KΩ])を介してコンパレータCMP1の正転入力端子に接続され、抵抗R2とトランジスタ(T2)のソースとの接続点(点y)は、抵抗R10(例えば10[KΩ])を介して、コンパレータCMP1の反転入力端子に接続されている。また、コンパレータCMP1の出力端子は、ドライバ11に接続されている。
【0038】
次に、図1に示す回路図を参照して、アンプ(AMP1)のオフセット電圧Voffを補正する回路について説明する。図1に示すように、アンプ(AMP1)の正転入力端子と点aとの間には、抵抗R7(第7の抵抗;例えば5[KΩ])が設けられ、アンプ(AMP1)の反転入力端子に設けられるオフセット電圧Voffと点bとの間には、抵抗R8(第8の抵抗;例えば5[KΩ])が設けられている。そして、アンプ(AMP1)の正転入力端子と抵抗R7との接続点を点a1とし、オフセット電圧Voffと抵抗R8との接続点を点b1とする。
【0039】
MOSFET(T1)のドレイン(点d)には、定電流源Iaが接続されており、この定電流源Iaの出力端子は、2系統に分岐されている。
【0040】
1つ目の分岐線は、トランジスタ(T3;第3の半導体素子、例えばP型のMOSFET)のソースに接続され、該トランジスタ(T3)のドレインは、トランジスタ(T5;例えばMOSFET)のドレイン及びゲート、及びトランジスタ(T8;例えばMOSFET)のドレインに接続されている。また、トランジスタ(T3)のゲートは、点aに接続されている。更に、トランジスタ(T5)のゲートは、トランジスタ(T6;例えばMOSFET)のゲートに接続され、該トランジスタ(T6)のドレインは、点a1に接続されている。
【0041】
2つ目の分岐線は、トランジスタ(T4;第4の半導体素子、例えばP型のMOSFET)のソースに接続され、該トランジスタ(T4)のドレインは、トランジスタ(T10;例えばMOSFET)のドレイン及びゲート、及びトランジスタ(T7;例えばMOSFET)のドレインに接続されている。また、トランジスタ(T4)のゲートは、点bに接続されている。更に、トランジスタ(T10)のゲートは、トランジスタ(T9;例えばMOSFET)のゲートに接続され、該トランジスタ(T9)のドレインは、点b1に接続されている。
【0042】
更に、トランジスタ(T6)のゲートとトランジスタ(T7)のゲートが接続され、トランジスタ(T9)のゲートとトランジスタ(T8)のゲートが接続されている。
【0043】
トランジスタ(T5〜T7)、及びトランジスタ(T8〜T10)は、それぞれトランジスタ(T5)、トランジスタ(T10)をレファレンストランジスタとするカレントミラー回路を形成する。
【0044】
また、各電圧、電流の符号を図1に示すように設定する。即ち、MOSFET(T1)のドレイン・ソース間電圧を「Vds」、ドレイン電流を「ID」、抵抗R1に生じる電圧を「Vds-C」、MOSFET(T1)のドレイン(点d)と点yとの間の電圧を「Vy」とする。更に、抵抗R2に流れる電流をI23、トランジスタ(T9)に流れる電流をIy、抵抗R1に流れる電流をI23+Iy、トランジスタ(T10)に流れる電流をI21、トランジスタ(T7)に流れる電流をI22、トランジスタ(T4)に流れる電流をI2とする。
【0045】
また、抵抗R3に生じる電圧をVa、抵抗R3とR4に生じる電圧をVx、抵抗R11に生じる電圧をVs、抵抗R4,R5に流れる電流をI13、トランジスタ(T6)に流れる電流をIx、抵抗R3に流れる電流をI13+Ix、トランジスタ(T5)に流れる電流をI11、トランジスタ(T8)に流れる電流をI12、トランジスタ(T3)に流れる電流をI1とする。なお、図1に示す一点鎖線で囲まれる部分は、通常1個のICで構成されることとなる。
【0046】
次に、図1に示す過電流保護装置の動作について説明する。
【0047】
MOSFET(T1)のオン抵抗をRonとすると、該MOSFET(T1)のドレイン・ソース間には、電圧降下Vds=Ron*IDが発生する。そして、電圧Vdsの大きさが予め設定された判定値を上回ると過電流と判定され、負荷回路を保護するために、MOSFET(T1)が遮断される。
【0048】
上記の電圧Vdsの大きさを検出し、予め設定した判定値と比較するため、アンプ(AMP1)、アンプ(AMP2)、コンパレータ(CMP1)、トランジスタ(T2,T11)、及び抵抗R1〜R5、R9〜R12からなる回路が組み込まれている。
【0049】
ここで、R1=R3、R2=R4とし、R2/R1=R4/R3=pとする。そして、オフセット電圧Voffがゼロであれば(Voff=0)、点a〜点b間の電位差Vab=0[V]となり、Va=Vds+Vds-Cとなるので、次の(5)式が得られる。
【0050】
Vx=Va*(R4+R3)/R3=Va*(p+1)
Vy=Vds+Vds-C*(R2+R1)/R1=Vds+Vds-C*(p+1)
∴Vx−Vy=(p+1)(Va−Vds-C)−Vds=p*Vds …(5)
他方、オフセット電圧Voffがゼロでない場合(Voff≠0)には、次の(6)式が得られる。
【0051】
Va=Vds+Vds-C−Voff
Vx−Vy=(p+1)*Va−(Vds+Vds-C*(p+1))
=(p+1)*(Vds+Vds-C−Voff)−(Vds+Vds-C*(p+1))
=p*(Vds−Voff)−Voff …(6)
ここで、アンプ(AMP1)、及び抵抗R1〜R4を含む回路は、電圧Vds-Cと電圧Vaを同一の抵抗比(p)で増幅することになるので、電圧Vdsを入力とし、電圧(Vx−Vy)を出力とする差動増幅回路(差動増幅装置)となる。
【0052】
上記の(5)式より、Voff=0であれば、「Vx−Vy」は、MOSFET(T1)のドレイン・ソース間電圧Vdsをp倍した電圧となっているので、この大きさを求めることにより、ドレイン電流IDが過電流となっているか否かを判定することができる。
【0053】
しかし、一般的にはVoff≠0であるから、(6)式に示すように「Vx−Vy」には、Voffがp倍に増幅されて含まれることになり、これが誤差となる。本発明は、この誤差を補正するために、図1に示す定電流源Iaからグランドに繋がる回路を設けている。詳細については、後述する。
【0054】
次に、点xの電圧Vxと点yの電圧Vyの差分電圧(Vx−Vy)に基づいて、過電流が発生しているか否かを判定する動作について説明する。
【0055】
この判定処理は、電圧Vxから所定電圧Vsを差し引いた電圧(Vx−Vs)を生成し、この電圧(Vx−Vs)と電圧Vyとを、コンパレータ(CMP1)で比較することにより行う。電圧(Vx−Vs)を生成するために、アンプ(AMP2)、トランジスタ(T11)、抵抗R11,R12が用いられる。
【0056】
アンプ(AMP2)とトランジスタ(T11)でボルテージレギュレータが形成され、点xの電圧と、点eの電圧が等しくなるように制御され、抵抗R11に生じる電圧降下が上記の所定電圧Vsとなる。点eとグランドとの間に生じる電圧、即ち、点xとグランドとの間に生じる電圧は、電源電圧V1に比例するので、所定電圧Vsは、電源電圧V1に比例する。その大きさは、抵抗R11と抵抗R12の抵抗比で任意に設定することができる。
【0057】
抵抗R11とトランジスタ(T11)の接続点がコンパレータ(CMP1)の正転入力端子に入力され、点yがコンパレータ(CMP1)反転入力端子に接続されるので、コンパレータ(CMP1)は、電圧(Vx−Vs)と電圧Vyを比較することになる。MOSFET(T1)のドレイン・ソース間電圧Vdsが大きくなると、電圧Vyが減少し、電圧(Vx−Vs)を下回るとコンパレータ(CMP1)の出力信号が反転し、過電流と判定される。この出力信号は、ドライバ11に出力され、該ドライバ11の制御により、MOSFET(T1)を遮断する。即ち、過電流保護が行われる。
【0058】
次に、図1に示したアンプ(AMP1)のオフセット電圧Voffを補正する動作について説明する。
【0059】
[記号の説明及び前提条件]
電圧Voffは、アンプ(AMP1)が有するオフセット電圧である。電圧Vabは、点a〜点b間の電位差であり、点aの電位が点bの電位より高いときプラスとする。
【0060】
係数「m」は、m=(T7のW)/(T5のW)=(T8のW)/(T10のW)であり、カレントミラー比を示す。但し、「W」は各トランジスタ(MOSFET)のチャンネル幅を示す。トランジスタT5〜トランジスタT10のチャンネル長さは同一であるとする。
【0061】
係数「n」は、n=(T6のW)/(T5のW)=(T9のW)/(T10のW)であり、カレントミラー比を示す。pは抵抗増幅率であり、p=R2/R1=R4/R3である。
【0062】
また、前提条件として、R1=R3、R2=R4、R7=R8とする。また、トランジスタ(T3)、(T4)のスレッショルド電圧Vthが等しいとする。
【0063】
最初に、電圧Vabと、トランジスタ(T6)に流れる電流Ixとトランジスタ(T10)に流れる電流Iyとの電流差(Ix−Iy)の関係を求める。
【0064】
I11=I1−I12=I1−m*I21 …(7)
I21=I2−I22=I2−m*I11 …(8)
(7)式右辺の「I21」に(8)式を代入すると、次のようになる。
【0065】
I11=I1−m*I2+m*I11
∴I11=(I1−m*I2)/(1−m
また、(8)式の右辺の「I11」に(7)式を代入すると、次のようになる。
【0066】
I21=I2−m*I1+m*I21
∴I21=(I2−m*I1)/(1−m
従って、「I11−I21」は、次のようになる。
【0067】
I11−I21=(1+m)*(I1−I2)/(1−m
=(I1−I2)/(1−m)
Ix−Iy=n*I11−n*I21=n*(I11−I21)
=n/(1−m)*(I1−I2)
一方、(I1−I2)は、−Vabに比例するので、比例定数をkとすると、次の(9)式が得られる。
【0068】
Vab=−k(I1−I2)
=−k*(1−m)/n*(Ix−Iy) …(9)
ここで、オフセット電圧Voff=0[V]のとき、Vab=0[V]になるから、I1=I2となり、Ix−Iy=0となる。従って、電流(Ix−Iy)、及びカレントミラー比n、mは、回路動作に影響しなくなる。
【0069】
他方、Voff≠0[V]の場合には、R7=R8=Rbとおくと、電圧Vabは、次式で示される。
【0070】
Vab=Voff+R7*Ix−R8*Iy
=Voff+Rb(Ix−Iy)
ここで、上述した(9)式を用いて、電圧Vabを消去すると、オフセット電圧Voffは、次の(10)式で示される。
【0071】
Voff=Vab−Rb(Ix−Iy)
=−k*(1−m)/n*(Ix−Iy)−Rb(Ix−Iy)
=−{k*(1−m)/n+Rb }(Ix−Iy) …(10)
(10)式より、差電流(Ix−Iy)は、オフセット電圧Voffに比例することが分かる。
【0072】
以上をまとめると、オフセット電圧Voff≠0[V]であれば、電圧Vabが発生する。差電流(Ix−Iy)は、この電圧Vabを打ち消す電圧降下を抵抗R7、及び抵抗R8に発生させる。この電圧Vabの打ち消し効果は、n/(1−m)で決まり、調整することができる。打ち消し効果ゼロのとき、Vab=Voffである。
【0073】
打ち消し効果を大きくすると、同一のオフセット電圧Voffに対して、電圧Vabは小さくなる。しかし、電圧Vabが小さくなると、差電流(I1−I2)が小さくなり、これに伴って差電流(Ix−Iy)が小さくなり、従って、Vabの打ち消し効果も小さくなるので、Vabはゼロにすることはできない。
【0074】
以下、電圧Voffの補正処理をより具体的に説明する。最初に、Vx−Vyを求めると、次の(11)式となる。
【0075】
Vx−Vy=R3(I13+Ix)+R4*I13
−{Vds+R1(I23+Iy)+R2*I23} …(11)
ここで、点d→点a→点a1→点b1→点b→T1→点dのループからなる配線経路の電圧降下を足し合わせるとゼロになるから、次の(12)式が得られる。
【0076】
R3(I13+Ix)+R7*Ix+Voff
−R8*Iy−R1(I23+Iy)−Vds=0 …(12)
ここで、R1=R3=Ra、R7=R8=Rb、R2/p=R4/p=Raとして、上記(11)式、(12)式を書き直すと、次の(13)式、(14)式が得られる。
【0077】
Vx−Vy=Ra(I13+Ix)+p*Ra*I13
−{Vds+Ra(I23+Iy)+p*Ra*I23}
=p*Ra(I13−I23)+Ra(I13−I23)
+Ra(Ix−Iy)−Vds …(13)
Ra(I13+Ix)+Rb*Ix+Voff
−Rb*Iy−Ra(I23+Iy)−Vds=0
Vds=Ra(I13−I23)+(Ra+Rb)(Ix−Iy)+Voff …(14)
上記の(14)式において、次の(15)式が成立すれば、下記(16)式が得られる。
【0078】
(Ra+Rb)(Ix−Iy)+Voff=0 …(15)
Vds=Ra(I13−I23) …(16)
(15)式の左辺を、上述した(10)式を用いて変形すると、次式が得られる。
【0079】
(Ra+Rb)(Ix−Iy)+Voff
=(Ra+Rb)(Ix−Iy)−{k*(1−m)/n+Rb}(Ix−Iy)
=(Ra−k*(1−m)/n)(Ix−Iy)
=Ra*(Ix−Iy)+Vab
従って、次の(17)式を成立させれば、差電流(Ix−Iy)に関わらず、上述の(15)式が成立することとなる。
【0080】
Ra−k*(1−m)/n=0 …(17)
上記の(17)式は、m、nの値を調整することにより実現することができる。このとき、Ra*(Ix−Iy)+Vab=0となる。
【0081】
ここで、(15)式、(16)式を上述した(13)式に代入すると、次の(18)式が得られる。
【0082】
Vx−Vy=p*Vds−Ra/(Ra+Rb)*Voff …(18)
以上より、上述した前提条件に加えて、(15)式、または(17)式が成立するようにm、nの値を調整すると、(Vx−Vy)は電圧Vdsをp倍に増幅した電圧と、Ra/(Ra+Rb)*Voffとの差分として示されることになる。
【0083】
この場合、(18)式の右辺第2項の「Ra/(Ra+Rb)*Voff」はp倍に増幅されないので、増幅後の電圧Vdsに対するオフセット電圧Voffの比は、Ra/(Ra+Rb)/pに低減されることとなる。
【0084】
一例として、p=10とし、Ra=Rbとすれば、増幅後のVdsに対して、Voffは1/20になり、実質的にはVds検出におけるばらつき要因ではなくなる。即ち、アンプ(AMP1)のオフセット電圧Voffが補正されることを示す。
【0085】
ここで、上述したように、Ra=R1=R3であるから、Ra*(Ix−Iy)+Vab=(R3*Ix−R1*Iy)+Vab=0と表現することができる。
【0086】
これは電流Ixと電流Iyがそれぞれ抵抗R3、及び抵抗R1に流れて発生させる電圧降下の差が、点a〜点b間に生じる電位差Vabに等しくなる条件であると解釈できる。即ち、第1実施形態では、Vab≠0での状態で、オフセット電圧Voffの補正を行っていることを示す。
【0087】
このようにして、第1実施形態に係る過電流保護装置では、カレントミラー比m、nの値を適宜調整することにより、オフセット電圧の影響を補正することができる。従って、アンプ(AMP1)に存在するオフセット電圧Voffの影響を回避し、負荷RLに流れる過電流判定を高精度に行うことができる。その結果、過電流が発生した際には、迅速且つ確実にMOSFET(T1)を遮断して、負荷回路を保護することができる。
【0088】
なお、上記の説明では、PMOSである各トランジスタ(T3),(T4)のスレッショルド電圧Vthが等しいことを前提としたが、この前提条件が成立しなくても、本発明の効果は発揮される。即ち、各トランジスタ(T3),(T4)のスレッショルド電圧Vthが相違すると、電圧Vabが異なることになるが、電圧Vabに対して補正が働くので、スレッショルド電圧Vthが等しくないときでも、電圧Vabに対しても補正が働く。但し、(R3*Ix−R1*Iy)+Vab=0が成立しなくなるので、Vthが等しくないときは補正効果が低下する。
【0089】
次に、上述した第1実施形態の、変形例について説明する。図3は、第1実施形態の変形例に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置の構成を示す回路図である。
【0090】
図3に示す変形例では、図1に示した回路に対して、抵抗R2の取り付け位置、及び抵抗R4の取り付け位置を変更している。即ち、図1に示した回路では、抵抗R2を点bに接続したが、図3に示す変形例では、グランドに接続している。これに伴い、トランジスタ(T2)をP型MOSFETからN型MOSFETに変更し、トランジスタ(T2)のソースを抵抗R2に接続し、この接続点を点yとし、トランジスタ(T2)のドレインを点bに接続している。また、点yの電圧をVyとする。
【0091】
また、図3に示す変形例では、図1に示した第1実施形態に対して、抵抗R4と抵抗R5の取り付け位置を入れ替えている。よって、抵抗R4と抵抗R5の接続点である点xの電圧をVxとすると(Vx−Vy)=m*Vdsとなる。従って、電圧Vyが電圧Vxよりも所定電圧Vsを超えて低下したとき、過電流と判定する。判定電圧は電圧Vxを基準として生成し、電圧Vxを抵抗R11と抵抗R12で分圧した電圧、即ち、抵抗R11と抵抗R12の接続点である点eと点xとの間の電位差が、所定電圧Vsとなる。そして、点eを、コンパレータ(CMP1)の正転入力端子に入力し、電圧Vyを反転入力端子に入力することにより過電流を判定することができる。
【0092】
それ以外の動作については、上述した第1実施形態と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0093】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態では、Ix≠Iyとなる電流Ix、電流Iyがそれぞれ抵抗R3、抵抗R1に流れ、オフセット電圧Voffの補正の一端を担っている。また、そのためにVab≠0となっている。これに対して、第2実施形態では、Vab≒0として、オフセット電圧Voffを補正する。
【0094】
図4は、第2の実施形態に係る差動増幅器を含む過電流保護装置の構成を示す回路図でる。図4に示す回路は、前述したは図1に示した回路に対し、トランジスタ(T20;例えばN型MOSFET)、及び、トランジスタ(T21;例えばN型MOSFET)を追加し、更に、上述したカレントミラー比m、nの値を変更したものである。それ以外の構成については、図1に示した回路と同様である。
【0095】
図4において、トランジスタ(T20)のドレインは点bに接続され、トランジスタ(T21)のドレインは点aに接続される。また、トランジスタ(T20)のゲートはトランジスタ(T5)のゲートに接続され、ソースはグランドに接続されている。トランジスタ(T21)のゲートはトランジスタ(T10)のゲートに接続され、ソースはグランドに接続されている。また、各トランジスタ(T20),(T21)のチャンネル幅はそれぞれ、トランジスタ(T6),(T9)と同様である。従って、トランジスタ(T20)のドレイン電流をIxxとし、トランジスタ(T21)のドレイン電流をIyyとすると、Ixx=Ix、Iyy=Iyとなる。その結果、補正回路が抵抗R3、及び抵抗R1に流す電流は(Ix+Iy)となり、両者は等しくなる。更にカレントミラー比m、nを十分に大きくして、(I1−I2)に対する(Ix−Iy)の増幅比を大きく設定して、Vab≒0にする。
【0096】
ここで、第1実施形態では(Ix−Iy)を大きくしてVab≒0とすると、(Ix−Iy)がゼロにならないため、抵抗R3、抵抗R1にそれぞれ電流Ix,Iyが流れて、電圧降下差(R3*Ix−R1*Iy)を発生させ、オフセット電圧Voffに対して過補正となる場合がある。これに対して、第2実施形態は、この過補正を除去する方式と解釈することができる。
【0097】
このようにして、第2実施形態に係る差動増幅装置及び過電流保護装置では、上述した第1実施形態と同様に、カレントミラー比m、nの値を適宜調整することにより、オフセット電圧の影響を補正することができる。この際、オフセット電圧Voffに対して過補正となることを防止して、アンプ(AMP1)に存在するオフセット電圧Voffの影響を回避することができる。その結果、負荷RLに流れる過電流判定を高精度に行うことができ、過電流が発生した際には、迅速且つ確実にMOSFET(T1)を遮断して、負荷回路を保護することができる。
【0098】
次に、上述した第2実施形態の、変形例について説明する。図5は、第2実施形態の変形例に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置の構成を示す回路図である。
【0099】
図5に示す変形例では、図4に示した回路に対して、抵抗R2の取り付け位置、及び抵抗R4の取り付け位置を変更している。即ち、図4に示した回路では、抵抗R2を点bに接続したが、図5に示す変形例では、グランドに接続している。これに伴い、トランジスタ(T2)をP型MOSFETからN型MOSFETに変更し、トランジスタ(T2)のソースを抵抗R2に接続し、この接続点を点yとし、トランジスタ(T2)のドレインを点bに接続している。また、点yの電圧をVyとする。
【0100】
また、図5に示す変形例では、図4に示した第2実施形態に対して、抵抗R4と抵抗R5の取り付け位置を入れ替えている。よって、抵抗R4と抵抗R5の接続点である点xの電圧をVxとすると(Vx−Vy)=m*Vdsとなる。従って、電圧Vyが電圧Vxよりも所定電圧Vsを超えて低下したとき、過電流と判定する。判定電圧は電圧Vxを基準として生成し、電圧Vxを抵抗R11と抵抗R12で分圧した電圧、即ち、抵抗R11と抵抗R12の接続点である点eと点xとの間の電位差が、所定電圧Vsとなる。そして、点eを、コンパレータ(CMP1)の正転入力端子に入力し、電圧Vyを反転入力端子に入力することにより過電流を判定することができる。
【0101】
それ以外の動作については、上述した第2実施形態と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0102】
以上、本発明の差動増幅装置及び過電流保護装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
負荷回路に過電流が発生した際に、迅速且つ高精度に回路を遮断して回路を保護する上で極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施形態に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示した過電流保護装置から、オフセット電圧を補正する回路を取り除いた回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置の変形例の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る差動増幅装置を含む過電流保護装置の変形例の構成を示す回路図である。
【図6】従来における過電流保護装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0105】
11 ドライバ
VB 電源
RL 負荷
T1 MOSFET(第1の半導体素子)
T2 トランジスタ(第2の半導体素子)
T3 トランジスタ(第3の半導体素子)
T4 トランジスタ(第4の半導体素子)
T5〜T11,T20,T21 トランジスタ
AMP1 アンプ(増幅手段)
AMP2 アンプ
CMP1 コンパレータ
Ia 定電流源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)と第2の抵抗(R2)の接続点bを接続し、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)と第4の抵抗(R4)の接続点aを接続し、前記第2の抵抗の他端に第2の半導体素子(T2)の第1の主電極を接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極を接地し、制御電極を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、前記第4の抵抗の他端を第5の抵抗(R5)を経由して接地し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力し、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子との接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、
前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、
前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1,R3,R7,R8」(但し、R1=R3,R7=R8)、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流を「Iy」とするとき、「Iy−Ix」が前記Vabに比例し、且つ、(R1+R7)*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するようにIx、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする差動増幅装置。
【請求項2】
増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)を接続し、接続点をbとし、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)を接続し、接続点をaとし、第2の抵抗(R2)の一端を接地し、他端を第2の半導体素子(T2)の第2の主電極に接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極を前記接続点bに接続し、制御電極を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、第4の抵抗の一端を接地し、他端を第5の抵抗(R5)を経由して前記接続点aに接続し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力し、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子の接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、
前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、
前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1,R3,R7,R8」(但し、R1=R3,R7=R8)、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流を「Iy」とするとき、「Iy−Ix」が前記Vabに比例し、且つ、(R1+R7)*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するようにIx、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする差動増幅装置。
【請求項3】
前記Ix、Iyを生成する方法は、
前記電源端子dに定電流源(Ia)の一端を接続し、他端を第3および第4の半導体素子(T3、T4)の第2の主電極に接続し、前記第3の半導体素子(T3)の制御電極を前記接続点aに接続し、且つ、前記第4の半導体素子(T4)の制御電極を前記接続点bに接続し、第5(T5)、第6(T6)、第7(T7)、および第10(T10)、第8(T8)、第9(T9)の各半導体素子の第2の主電極を接地し、
前記第5の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、更にこの接続点に前記第6、第7の半導体素子の制御電極を接続し、
前記第5の半導体素子の第1の主電極を、前記第3及び第8の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第6の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段(AMP1)の正転入力端子a1に接続し、
一方、前記第10の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、更にこの接続点に前記第8、第9の半導体素子の制御電極を接続し、
前記第10の半導体素子の第1の主電極を、前記第4及び第7の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第9の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段の正転入力端子b1に接続し、
前記第6の半導体素子のドレイン電流を前記Ix、前記第9の半導体素子のドレイン電流を前記Iyとすることを特徴とする請求項1に記載の差動増幅装置。
【請求項4】
前記Ix、Iyを生成する方法は、
前記電源端子dに定電流源(Ia)の一端を接続し、他端を第3および第4の半導体素子(T3、T4)の第2の主電極に接続し、前記第3の半導体素子(T3)の制御電極を前記接続点aに接続し、且つ、前記第4の半導体素子(T4)の制御電極を前記接続点bに接続し、第5(T5)、第6(T6)、第7(T7)、および第10(T10)、第8(T8)、第9(T9)の各半導体素子の第2の主電極を接地し、
前記第5の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、更にこの接続点に前記第6、第7の半導体素子の制御電極を接続し、
前記第5の半導体素子の第1の主電極を、前記第3及び第8の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第6の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段(AMP1)の正転入力端子a1に接続し、
一方、前記第10の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、更にこの接続点に前記第8、第9の半導体素子の制御電極を接続し、
前記第10の半導体素子の第1の主電極を、前記第4及び第7の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第9の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段の正転入力端子b1に接続し、
前記第6の半導体素子のドレイン電流を前記Ix、前記第9の半導体素子のドレイン電流を前記Iyとすることを特徴とする請求項2に記載の差動増幅装置。
【請求項5】
電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、前記負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項1または3に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、
前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の他端に接続して前記請求項1または3に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、
前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、
前記電源端子dと前記接続点yとの間の電圧が、前記電源端子dと前記接続点x間の電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする過電流保護装置。
【請求項6】
電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、該負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項2または4に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、
前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の他端に接続して前記請求項2または4に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、
前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、
前記接続点yの電圧が、前記接続点xの電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする過電流保護装置。
【請求項7】
増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)と第2の抵抗(R2)の接続点bを接続し、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)と第4の抵抗(R4)の接続点aを接続し、前記第2の抵抗の他端に第2の半導体素子(T2)の第2の主電極を接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極を接地し、且つ、制御電極を前記増幅手段の出力端子に接続し、
前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、前記第4の抵抗の他端を第5の抵抗(R5)を経由して接地し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力して、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子の接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、
前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、
前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1、R3、R7、R8」(但し、R1=R3,R7=R8)とし、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」とし、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流「Iy」とするとき、前記Ixが前記第1の抵抗を流れ、前記Iyが前記第3の抵抗を流れるように構成し、且つ、R7*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するように、前記Ix、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする差動増幅装置。
【請求項8】
増幅手段(AMP1)の反転入力端子b1に第1の抵抗(R1)を接続し、この接続点をbとし、正転入力端子a1に第3の抵抗(R3)を接続し、この接続点をaとし、第2の抵抗の一端を接地し、他端を第2の半導体素子(T2)の第2の主電極に接続し、前記第2の半導体素子の第1の主電極を前記接続点bに接続し、制御電極を前記増幅手段の出力端子に接続し、前記第3の抵抗の他端を電源端子dに接続し、第4の抵抗の一端を接地し、他端を第5の抵抗(R5)を経由して前記接続点aに接続し、前記電源端子dと前記第1の抵抗の他端との間に入力電圧(Vds)を入力して、前記第2の抵抗と前記第2の半導体素子の接続点yと、前記第4の抵抗と前記第5の抵抗の接続点xと、の間の電位差を出力電圧とする差動増幅装置において、
前記正転入力端子a1と前記接続点aの間に第7の抵抗(R7)を挿入し、前記反転入力端子b1と前記接続点bの間に第8の抵抗(R8)を挿入し、
前記増幅手段のオフセット電圧を「Voff」、前記接続点aと前記接続点bの間の電位差を「Vab」、前記第1、第3、第7、および第8の各抵抗の抵抗値をそれぞれ「R1、R3、R7、R8」(但し、R1=R3,R7=R8)とし、電源→R3→R7→接地の経路で流れる電流を「Ix」とし、電源→入力電圧(Vds)→R1→R8→接地の経路で流れる電流を「Iy」とするとき、前記Ixが前記第1の抵抗を流れ、前記Iyが前記第3の抵抗を流れるように構成し、且つ、R7*(Ix−Iy)+Voff=0を満足するように、前記Ix、Iyを制御することにより、前記入力電圧(Vds)を増幅して出力電圧を生成する際に生じる、前記増幅手段のオフセット電圧(Voff)による誤差を低減することを特徴とする差動増幅装置。
【請求項9】
前記Ix、Iyを生成する方法は、
前記電源端子dに定電流源(Ia)の一端を接続し、他端を第3及び第4の半導体素子(T3、T4)の第2の主電極に接続し、前記第3の半導体素子(T3)の制御電極を前記接続点aに接続し、且つ、前記第4の半導体素子(T4)の制御電極を前記接続点bに接続し、第5(T5)、第6(T6)、第7(T7)、第20(T20)、及び第10(T10)、第8(T8)、第9(T9)、第21(T21)の各半導体素子の第2の主電極を接地し、
前記第5の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、且つ、この接続点に前記第6、第7、第20の半導体素子の制御電極を接続し、前記第5の半導体素子の第1の主電極を前記第3及び第8の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第6の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段の正転入力端子a1に接続し、前記第20の半導体素子のチャンネル幅、及びチャンネル長を前記第6の半導体素子と同一に設定し、且つ第20の半導体素子の第1の主電極を前記接続点bに接続し、
一方、前記第10の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、且つ、この接続点に前記第8、第9、第21の半導体素子の制御電極を接続し、前記第10の半導体素子の第1の主電極を前記第4及び第7の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第9の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段の反転入力端子b1に接続し、前記第21の半導体素子のチャンネル幅、及びチャンネル長を前記第9の半導体素子と同一に設定し、且つ第21の半導体素子の第1の主電極を前記接続点aに接続し、
前記第6の半導体素子のドレイン電流をIx、前記第9の半導体素子のドレイン電流をIyとすることを特徴とする請求項7に記載の差動増幅装置。
【請求項10】
前記Ix、Iyを生成する方法は、
前記電源端子dに定電流源(Ia)の一端を接続し、他端を第3及び第4の半導体素子(T3、T4)の第2の主電極に接続し、前記第3の半導体素子(T3)の制御電極を前記接続点aに接続し、且つ、前記第4の半導体素子(T4)の制御電極を前記接続点bに接続し、第5(T5)、第6(T6)、第7(T7)、第20(T20)、及び第10(T10)、第8(T8)、第9(T9)、第21(T21)の各半導体素子の第2の主電極を接地し、
前記第5の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、且つ、この接続点に前記第6、第7、第20の半導体素子の制御電極を接続し、前記第5の半導体素子の第1の主電極を前記第3及び第8の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第6の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段の正転入力端子a1に接続し、前記第20の半導体素子のチャンネル幅、及びチャンネル長を前記第6の半導体素子と同一に設定し、且つ第20の半導体素子の第1の主電極を前記接続点bに接続し、
一方、前記第10の半導体素子の第1の主電極と制御電極を接続し、且つ、この接続点に前記第8、第9、第21の半導体素子の制御電極を接続し、前記第10の半導体素子の第1の主電極を前記第4及び第7の半導体素子の第1の主電極に接続し、前記第9の半導体素子の第1の主電極を前記増幅手段の反転入力端子b1に接続し、前記第21の半導体素子のチャンネル幅、及びチャンネル長を前記第9の半導体素子と同一に設定し、且つ第21の半導体素子の第1の主電極を前記接続点aに接続し、
前記第6の半導体素子のドレイン電流をIx、前記第9の半導体素子のドレイン電流をIyとすることを特徴とする請求項8に記載の差動増幅装置。
【請求項11】
電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、該負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項7または9に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、
前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の一端に接続して前記請求項7または9に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、
前記電源端子dと前記接続点yとの間の電圧が、前記電源端子dと前記接続点xとの間の電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする過電流保護装置。
【請求項12】
電源(VB)と負荷(RL)との間に第1の半導体素子(T1)を配置し、該第1の半導体の第1の主電極を電源側に接続し、且つ、第2の主電極を負荷側に接続し、該負荷の他端は接地電位レベルに接続し、前記第1の半導体素子の制御電極に制御信号を供給して、前記負荷の駆動、停止を制御する負荷回路に設けられ、前記請求項8または10に記載の差動増幅装置を用いて、過電流発生時に該負荷回路を保護する過電流保護装置であり、
前記第1の半導体素子(T1)の第1の主電極を前記第3の抵抗(R3)の一端に接続し、第2の主電極を前記第1の抵抗の他端に接続して前記請求項8または10に記載の差動増幅装置の入力電圧(Vds)として、前記第1の半導体素子の第1の主電極と第2の主電極の間の電圧を入力し、前記第2の抵抗の抵抗値を前記第1の抵抗より大きく設定し、且つ、前記第2の抵抗と第4の抵抗の抵抗値を等しい値に設定し、
前記接続点yの電圧が、前記接続点xの電圧から所定の電圧(Vs)を差し引いた電圧より小さくなったときに、前記負荷に流れる電流が過電流であると判定し、前記第1の半導体素子を遮断することを特徴とする過電流保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−100281(P2009−100281A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270179(P2007−270179)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】