床暖房パネル
【課題】床仕上げ材を剥がすときの床暖房パネルの損傷を抑制しながら低廉化を図ることが可能となる床暖房パネルを提供する。
【解決手段】加熱用長尺体2が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体3Pが止着されたパネル形成体4に、複数の小根太5がその小根太5の幅方向に間隔を隔てて並設され、パネル形成体用均熱体3Pにおける複数の小根太5の夫々に隣接する複数の小根太隣接部分3Prに止着される状態で複数の帯状の分離用非接着層10が備えられ、複数の小根太5の夫々とそれら夫々に隣接する分離用非接着層10とからなる複数の小根太対応箇所11の夫々に、小根太5及び分離用非接着層10を覆う状態で、且つ、パネル形成体用均熱体3Pがパネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて分離用非接着層10に貼着される状態で帯状の接着性シート12が備えられている。
【解決手段】加熱用長尺体2が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体3Pが止着されたパネル形成体4に、複数の小根太5がその小根太5の幅方向に間隔を隔てて並設され、パネル形成体用均熱体3Pにおける複数の小根太5の夫々に隣接する複数の小根太隣接部分3Prに止着される状態で複数の帯状の分離用非接着層10が備えられ、複数の小根太5の夫々とそれら夫々に隣接する分離用非接着層10とからなる複数の小根太対応箇所11の夫々に、小根太5及び分離用非接着層10を覆う状態で、且つ、パネル形成体用均熱体3Pがパネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて分離用非接着層10に貼着される状態で帯状の接着性シート12が備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
上記床暖房パネルにおいて、従来では、前記パネル形成体に止着されている前記パネル形成体用均熱体の表面側に、その全面にわたって床仕上げ材用接着剤が接着しにくい非接着層を設ける構成としたものがあった。具体的には、パネル形成体用均熱体の表面に酸化防止用の塗料を塗付して酸化防止膜を形成して、その酸化防止膜の表面に非接着性の樹脂を塗付することによって前記非接着層を形成する、又は、離形紙を用いて前記非接着層を形成する構成となっており、床仕上げ材を剥すときに、床仕上げ材が前記非接着層の表面で剥がれるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
説明を加えると、このような床暖房パネルは、床下地材上に配置して小根太にビスを捩じ込んだり、釘を打ちつけることにより、床下地材上に敷設するものであり、更に、そのように敷設した床暖房パネルの小根太の表面部に接着剤を塗布して、木質材等で形成された床仕上げ材を床暖房パネルの表面に配置することにより、床仕上げ材を接着剤にて小根太に固定した状態で床暖房パネルの表面に敷設する構成となっている。
【0004】
そして、床仕上げ材に傷がつく等により、床暖房パネルの表面に敷設した床仕上げ材を張り替える場合があるが、パネル形成体用均熱体の表面に床仕上げ材を敷設する構成であれば、床仕上げ材を敷設する際に、小根太の表面部に塗布された接着剤が床仕上げ材により押し広げられて、パネル形成体用均熱体の表面に広がって、床仕上げ材がパネル形成体用均熱体の表面にも接着されることがあると、傷が付く等により張り替える必要がある床仕上げ材等を床暖房パネルから剥がすときに、パネル形成体用均熱体も一緒に剥がれてしまい、そのパネル形成体用均熱体に損傷を与えたり、パネル形成体にも損傷を与える虞がある。
【0005】
そこで、従来の床暖房パネルでは、床仕上げ材を剥がすときに、パネル形成体用均熱体やパネル形成体に損傷を与えるのを抑制するために、パネル形成体に止着されているパネル形成体用均熱体の表面に全面にわたって接着剤が接着しない非接着層を設けて、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設する際に接着剤がパネル形成体用均熱体の表面に広がったとしても、非接着層により接着剤がパネル形成体用均熱体に接着しないようにして、床仕上げ材を剥がすときにパネル形成体用均熱体やパネル形成体用均熱体が損傷するのを抑制するようにしているのである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−276968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来構成の床暖房パネルでは、床仕上げ材を剥がすときに床暖房パネルが損傷するのを抑制するために、パネル形成体用均熱体の表面の全面にわたって非接着層を設けることから、非接着層を設ける範囲が広くなり、高価になるという問題があった。
【0008】
又、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設する際に使用される床仕上げ材用接着剤は、床仕上げ材を敷設する施工業者等が用意することになるが、最近では接着剤の種類が多く多種多様な接着剤が使用されることがあり、接着剤によっては、上記したような非接着層や離形紙における分離用の機能が充分発揮できずに、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体等を損傷することが考えられる。つまり、床仕上げ材用接着剤の接着力によって接着されている床仕上げ材と非接着層とが分離されずに、その非接着層とそれに止着されているパネル形成体用均熱体とを共に引き剥がしてしまうおそれがあり、パネル形成体用均熱体等を損傷するおそれがあり、この点でも改善の余地があった。
【0009】
本発明の目的は、低廉化を図ることが可能な構成にて、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる床暖房パネルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る床暖房パネルは、加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されているものであって、その第1特徴構成は、前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、前記小根太とそれに隣接する前記分離用非接着層とからなる小根太対応箇所に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて前記分離用非接着層に貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている点にある。
【0011】
第1特徴構成によれば、前記帯状の分離用非接着層が、パネル形成体用均熱体における小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で備えられ、しかも、帯状の接着性シートが、小根太とそれに隣接する分離用非接着層とからなる小根太対応箇所に、小根太及び分離用非接着層を覆う状態で設けられるので、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設するときに、床仕上げ材用接着剤が小根太の上方箇所を覆う接着性シートの上部に塗付され、その床仕上げ材用接着剤が床仕上げ材を敷設するときに床仕上げ材にて押されて広がることがあっても、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に影響を与えるおそれがない。
【0012】
そして、床仕上げ材と接着性シートとは床仕上げ材用接着剤にて強い接着力で接着させることになるが、接着性シートと分離用非接着層とは、パネル形成体用均熱体がパネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着されており、しかも、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に対して影響を与えるおそれがないので、接着性シートと分離用非接着層との間での接着力を弱い状態を維持できることになるのであり、床仕上げ材を床暖房パネルから剥すときには、床仕上げ材に強い接着力で接着されている接着性シートが分離用非接着層から剥がれることになり、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が剥がれるのを防止することが可能となる。
【0013】
前記分離用非接着層を設ける範囲は前記小根太隣接部分に限られ、且つ、前記接着性シートを設ける範囲も前記小根太対応箇所に限られる、つまり、前記分離用非接着層や前記接着性シートを設ける範囲を狭くすることができるので、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が損傷するのを抑制するための構成を低廉化を図ることが可能な構成にすることができる。
【0014】
従って、第1特徴構成によれば、低廉化を図ることが可能な構成にて、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる床暖房パネルを提供できるに至った。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルであって、前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、前記分離用非接着層に、その分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、前記帯状の分離用非接着層が、パネル形成体用均熱体における小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で備えられ、しかも、帯状の接着性シートが、分離用非接着層に、前記分離用非接着層を覆う状態で備えられるので、つまり、小根太の上方箇所には接着性シートは存在しないが、パネル形成体用均熱体における小根太に隣接する小根太隣接部分には帯状の接着性シートが存在することになるので、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設するときに、床仕上げ材用の接着剤は小根太の表面部に塗付され、その床仕上げ材用接着剤が床仕上げ材を敷設するときに床仕上げ材にて押されて広がることがあっても、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に影響を与えるおそれがない。
【0017】
そして、床仕上げ材と接着性シートとは床仕上げ材用接着剤にて強い接着力で接着させることになるが、接着性シートと分離用非接着層とは、パネル形成体用均熱体がパネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着されており、しかも、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に対して影響を与えるおそれがないので、接着性シートと分離用非接着層との間での接着力を弱い状態を維持できることになるのであり、床仕上げ材を床暖房パネルから剥すときには、床仕上げ材に強い接着力で接着されている接着性シートが分離用非接着層から剥がれることになり、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が剥がれるのを防止することが可能となる。
【0018】
前記分離用非接着層を設ける範囲は前記小根太隣接部分に限られ、且つ、前記接着性シートを設ける範囲も前記小根太対応箇所に限られる、つまり、前記分離用非接着層や前記接着性シートを設ける範囲を狭くすることができるので、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が損傷するのを抑制するための構成を低廉化を図ることが可能な構成にすることができる。
【0019】
従って、第2特徴構成によれば、低廉化を図ることが可能な構成にて、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる床暖房パネルを提供できるに至った。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体、又は、前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が、前記小根太の表面に止着される状態で備えられている点にある。
【0021】
第3特徴構成によれば、床仕上げ材を床暖房パネルから剥がすときに、その床仕上げ材に接着されている接着性シートと一緒に小根太用均熱体が小根太から剥がれたとしても、
小根太の表面に前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体が止着されるものでは、その小根太用均熱体はパネル形成体用均熱体から分離されているので、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が引き剥がされることがない。又、小根太の表面に前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が止着されるものでは、床仕上げ材を剥すときに、脆弱接続部にて引き裂かれてパネル形成体用均熱体から容易に分離することになり、小根太用均熱体と連なってパネル形成体用均熱体が引き剥がされるのを防止することができる。
【0022】
ちなみに、前記パネル形成体用均熱体や前記小根太用均熱体を止着する際には、前記パネル形成体及び前記小根太を含む床暖房パネルの表面の全面にわたり一連に形成された均熱用シート状体を止着させたのちに、前記パネル形成体用均熱体と前記小根太用均熱体との間に切れ目を形成するか、又は、例えばミシン目や薄肉部等からなる脆弱接続部を形成することにより対応できるが、このように床暖房パネルの表面の全面にわたり一連に形成された均熱用シート状体を止着させたのちに切れ目や脆弱接続部を作成するので、予め切断した複数のシート状体を各別に止着するものに較べて作業が容易に行えるものとなり、作製面からの低廉化も図れるものとなる。
【0023】
従って、第3特徴構成によれば、床仕上げ材を剥がすときに小根太用均熱体が剥されることがあっても損傷を抑制することが可能であり、又、作製面からの低廉化も図れるものとなる。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されている点にある。
【0025】
第4特徴構成によれば、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されているから、小根太の上側には、パネル形成体用均熱体に相当するようなシート状の均熱体が存在しないので、床仕上げ材を床暖房パネルから剥がすときに、パネル形成体用均熱体が損傷するおそれがない。
【0026】
ちなみに、前記パネル形成体用均熱体を止着する際には、前記パネル形成体及び前記小根太を含む床暖房パネルの表面の全面にわたり一連に形成された均熱用シート状体を止着させたのちに、前記パネル形成体と前記小根太との境界に対応する箇所に沿ってシート状均熱体を切断して小根太の表面に対応する領域を除去することで対応できるが、前記パネル形成体だけの表面に対応するように予め形成されている複数のパネル形成体用均熱体を止着させるようにしてもよい。
【0027】
従って、第4特徴構成によれば、床仕上げ材を剥がすときの床暖房パネルの損傷をより一層抑制することができる。
【0028】
第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成されている点にある。
【0029】
第5特徴構成によれば、前記分離用非接着層が上記したような帯状の分離用シートにて構成されるから、樹脂剤を塗布するようなものに較べて作製が容易に行えるのであり、作成面からの低廉化を図ることが可能となる。
【0030】
第6特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体が前記小根太の表面に止着される状態で備えられ、前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成され、前記接着性シート又は前記分離用シートが、前記パネル形成体用均熱体よりも剪断強さが大となるように構成されている点にある。
【0031】
第6特徴構成によれば、前記小根太の表面部が、前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体を前記小根太の表面に止着する状態に構成されているから、加熱用長尺体から発生してパネル形成体用均熱体に伝導する熱を、効率よく小根太用均熱体に伝導させることができ、床暖房パネルの表面の温度のバラツキを抑制することができる。しかも、一連に連なるパネル形成体用均熱体と小根太用均熱体とにより、パネル形成体と小根太とが接続されることになるから、搬送途中で小根太がパネル形体とが分離して小根太が脱落する等の不利がなく、床暖房パネルの搬送作業や敷設作業が行い易いものになる。
【0032】
又、床仕上げ材と小根太用均熱体とは、床仕上げ材用接着剤にて強い力で接着されていから、床仕上げ材を床暖房パネルから剥がすときに、小根太用均熱体も一緒に剥がれようとするが、前記分離用非接着層を構成する分離用シート、又は、前記小根太の表面部の上方を開放させて前記分離用非接着層の表面部のみを覆う状態で分離用シートに重ねて貼着される接着性シートが、前記均熱用シート状体よりも剪断強さが大となるように構成されているから、小根太用均熱体が前記分離用シート又は接着性シートの端縁にて剪断される状態で剥がれることになり、床仕上げ材に連なってパネル形成体用均熱体が剥がれるのを防止することができる。
【0033】
従って、第6特徴構成によれば、床暖房時の床面の温度のバラツキを抑制することが可能でありながら、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、床暖房パネルPHは、暖房対象の床の略中央に敷き、床暖房パネル用周辺パネル(以下、単に周辺パネルと記載する場合がある)PAは、床暖房パネルPHと暖房対象の床を区画する壁等の床区画材(図示省略)との間に敷き込み、それら床暖房パネルPHの表面及び周辺パネルPAの表面の全面にわたって、木質材等から形成された床仕上げ材1を敷設して、床暖房パネルPHの加熱作用により床仕上げ材1を昇温させて、床暖房するように構成してある。
【0035】
図2に示すように、前記床暖房パネルPHは、加熱用長尺体としての熱媒流通管2が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体3Pが貼着されたパネル形成体4に、複数(この実施形態では8本)の小根太5をその小根太5の幅方向に間隔を隔てて並設して構成してある。
【0036】
前記床暖房パネルPHについて説明を加える。
図1及び図2に示すように、前記パネル形成体4は、外形形状が矩形状になるように並べた複数の矩形状のパネル単位体6にて構成してあり、この矩形状のパネル形成体4に、前記複数の小根太5を、その長手方向の一部分に小根太5が存在しない小根太不存在部分7を形成する状態で、前記パネル形成体4の一辺方向に所定のピッチで並設してある。
【0037】
具体的には、図3及び図4に示すように、パネル形成体4に、小根太5を嵌入するための小根太嵌入部4kを、上述の如き複数の小根太5の配置パターンに対応させて、パネル形成体4の厚さ方向に貫通する開口状にて形成してある。そして、前記パネル形成体4の厚さと同じ厚さの小根太5を各小根太嵌入部4kに嵌入することにより、パネル形成体4に前記複数の小根太5を並設する構成としてある。
【0038】
図2に示すように、前記熱媒流通管2は、パネル形成体4の表面側に、前記小根太不存在部分7を通過させる状態で、パネル形成体4の略全面にわたって蛇行状に装備し、その熱媒流通管2の両端部を、パネル形成体4の角部に配設した熱媒給排用のヘッダ8に接続してある。すなわち、図3及び図4に示すように、パネル形成体4の表面側に、図2に示す如き熱媒流通管2の配設パターンに対応させて、熱媒流通管2を収納するための溝部4mを形成し、この溝部4mに前記熱媒流通管2を収納してある。
【0039】
そして、前記ヘッダ8を熱媒往き路及び熱媒戻し路(図示省略)にて熱源機(図示省略)に接続して、その熱源機により、熱媒流通管2を通して熱媒を循環させるように構成してある。
【0040】
図2及び図3に示すように、上述のように熱媒流通管2を装備し且つ複数の小根太5を並設したパネル形成体4の表面の全面にわたって、熱伝導率の高いアルミ箔等のシート状体からなる均熱用シート状体3を貼着する状態で設けてある。この均熱用シート状体3は、アルミ箔等のシート状体の裏面に粘着剤層を備えさせて接着自在な構成となっている。前記均熱用シート状体3における各小根太不存在部分7の上部に対応する部分には、釘打ちを禁止する領域であることを示す釘打ち禁止シール9を貼付してある。
【0041】
そして、図2、図3及び図4に示すように、前記均熱用シート状体3に、小根太5とパネル形成体4との境界に沿って、その境界の全長にわたるように切れ目3sを形成してある。つまり、前記均熱用シート状体3を、前記切れ目3sにより、パネル形成体4の表面に貼着された部分と小根太5の表面に貼着された部分とに分離して、前記均熱用シート状体3におけるパネル形成体4の表面に貼着された部分を前記パネル形成体用均熱体3Pとし、前記均熱用シート状体3における小根太5の表面に貼着された部分を小根太用均熱体3Kとするようにして、小根太5の表面部を、パネル形成体用均熱体3Pとは分離された小根太用均熱体3Kを小根太5の表面に止着する状態に構成してある。
【0042】
詳細な説明及び図示を省略するが、前記パネル形成体4は、隣接するパネル単位体6同士を山折り又は谷折り状に折り曲げ自在に接続して、前記パネル形成体4を、複数のパネル単位体6を重ねる状態で、所定の形態に折り畳み可能なように構成してある。
【0043】
ちなみに、前記パネル形成体4は、熱伝導率が低い発泡ポリスチレン等の発泡樹脂製であり、断熱性を有すると共に軽量化が可能となり、前記熱媒流通管2は、架橋ポリエチレン、ポリブテン等の樹脂製で可撓性を有している。又、前記小根太5は、ビスの螺入が可能な木質材にて構成されている。
【0044】
そして、前記パネル形成体用均熱体3Pにおける前記複数の小根太5の夫々に隣接する複数の小根太隣接部分3Prに止着される状態で複数の帯状の分離用非接着層10を備えており、複数の前記小根太5の夫々とそれら夫々に隣接する前記分離用非接着層10とからなる複数の小根太対応箇所11の夫々に、前記小根太5及び前記分離用非接着層10を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体3Pが前記パネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて前記分離用非接着層10に貼着される状態で帯状の接着性シート12を備えて構成してある。
【0045】
具体的な構成について説明すると、図3及び図4に示すように、前記複数の小根太5の夫々に対して、2本の帯状の分離用シート13を、小根太5の幅方向に振り分けた状態で、且つ、夫々が小根太5の長手方向の略全長にわたって、パネル形成体用均熱体3Pの小根太隣接部分3Prに貼着して設けてある。この分離用シート13のパネル形成体用均熱体3Pに対する接着力は、パネル形成体4とパネル形成体用均熱体3Pとの間での接着力と同じ程度に強い接着力にしてある。つまり、前記2本の分離用シート13により、前記帯状の分離用非接着層10を構成してある。
【0046】
ちなみに、この分離用シート13の粘着層形成面は、粘着剤が存在する粘着剤層と粘着剤が存在しない非粘着層とが交互に設けられるストライプ状に構成され、パネル形成体用均熱体3Pの小根太隣接部分3Prに貼着する際に、分離用シート13とパネル形成体用均熱体3Pとの間に空気溜りが形成されるのを未然に防止するようにしている。この空気溜りは床に設置されたのちに音鳴りの要因となるものである。
【0047】
前記分離用シート13は、シリコン樹脂―PET(ポリエチレンテレフタレート)多層体(以下、シリコンPETという)にて構成してある。このシリコンPETは、図8に示すように、PETにて構成されるシート状本体部13aの表面側にシリコン樹脂層13bを備え、裏面側には貼着用の粘着剤層13cを備えて構成される。そして、PETやシリコン樹脂等は本来は透明又は半透明であるが、前記分離用シート13は、例えば、表面のシリコン樹脂層13bに着色剤を含有させて着色する構成となっている。このように着色することで、作業者が張り付け作業を行うときに見易くなって、作業を行い易いものにできる。なお、分離用シート13の強度を十分に保つことができる場合は、シート状本体部13aは設けなくてもよい。
着色剤を含ませるのは、シリコン樹脂層13bに限らず、図8(ロ)に示すように粘着剤層13cに含ませるようにしたり、図8(ハ)に示すようにシート状本体部13aに含ませるようにしたり、あるいは、図8(ニ)に示すようにシート状本体部13aの裏面に着色印刷層13dを形成する構成としてもよい。
【0048】
このように、前記分離用非接着層10を、パネル形成体用均熱体3Pにおける小根太隣接部分3Prの表面に、接着性シート12との間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シート13にて構成してある。
【0049】
そして、この床暖房パネルPHには、複数の前記小根太5の夫々とそれら夫々に隣接する前記分離用非接着層10とからなる複数の小根太対応箇所11の夫々に、前記小根太5及び前記分離用非接着層10を覆う状態での接着性シート12を設けてある。
この帯状の接着性シート12は、熱伝導率が高く且つ床仕上げ材用接着剤を浸透させないアルミ箔等のシート状体にて構成され、その裏面に粘着剤層を備える構成となっており、粘着剤層を介して2本の分離用シート13及び小根太用均熱体3Kの夫々に貼着させる構成としてある。この接着性シート12は、その幅方向端縁が2本の分離用シート13の並び方向外方側の端縁よりも少し幅方向内側に位置するように幅狭に形成され、接着性シート12を貼着させるときに、パネル形成体用均熱体3Pに貼着されることがないように構成している。
【0050】
前記分離用シート13の表面はシリコン樹脂層13bにて構成されるから、接着性シート12と分離用シート13との間での接着力は、アルミ箔等のシート状体にて構成される前記小根太用均熱体3Kとの間での接着力に較べて弱い状態となり、剥し易い状態となるものである。言い換えると、接着性シート12が分離用シート13に貼着される接着力は、パネル形成体4に対するパネル形成体用均熱体3Pの接着力、及び、後述する床仕上げ材用接着剤16(図5参照)により床仕上げ材1を接着性シート12に接着させる接着力よりも弱くしてある。このような特性を有する限り、前記分離用シート13の表面の材質はシリコン樹脂に限定されない。
【0051】
つまり、この実施形態では、帯状の接着性シート12は、パネル形成体用均熱体3Pがパネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて分離用非接着層10に貼着されることになる。
【0052】
又、床暖房パネルPHの裏面側には、図4及び図5に示すように、前記複数の小根太5の夫々に対応させて、前記パネル形成体4の裏面側に、前記小根太5の裏面部及び前記パネル形成体4の前記小根太5に隣接する裏側小根太隣接部分4rの夫々にわたる状態で、且つ、前記小根太5の長手方向に延びる状態で保持用テープ14を止着してある。
【0053】
この保持用テープ14は、帯状の市販の不織布テープあるいは養生テープと称されるような合成樹脂を基材にして所定の強度を備える粘着テープ等にて構成され、このような保持用テープ14を備えることにより、床暖房パネルPHを工場から出荷したり搬送するときに、パネル形成体4と分離して小根太5が落下することを防止することができる。
【0054】
図2、図3及び図5に示すように、前記釘打ち禁止シール9を相似的に拡大した形状の禁止シール覆い用弱接着性テープ15を、釘打ち禁止シール9上に、その全周からはみ出させる状態で貼着してある。
釘打ち禁止シール9及びパネル形成体用均熱体3Pに対する禁止シール覆い用弱接着性テープ15の接着力は、パネル形成体4に対するパネル形成体用均熱体3Pの接着力、及び、後述する床仕上げ材用接着剤16により床仕上げ材1を禁止シール覆い用弱接着性テープ15に接着させる接着力よりも弱くしてある。
【0055】
次に、前記周辺パネルPAの構成について簡単に説明する。
周辺パネルPAは、前記小根太5の長手方向の側方に配置する長手方向側の周辺パネル本体部31を備えた小根太長手方向側の周辺パネルPAmと、複数の小根太5の並び方向の側方に配置する並び方向側の周辺パネル本体部32を備えた小根太並び方向側の周辺パネルPAnとがあり、これらの周辺パネルには、複数の周辺パネル用小根太33、36を備えている。
【0056】
前記各周辺パネル本体部31,32の表面に、前記接着性シート12の幅と同一の幅に形成した接着性帯状体35,38を前記床暖房パネルPHにおける小根太5の長手方向に沿わせて貼着してある。これらの接着性帯状体35,38は、床仕上げ材用接着剤16を浸透させないアルミ箔等のシート状体の裏面に粘着剤層を備えて構成してあり、周辺パネル用小根太33,36及びパネル単位体34,37に接着させる接着力を、パネル形成体4に対するパネル形成体用均熱体3Pの接着力、及び、床仕上げ材用接着剤16により床仕上げ材1を接着性帯状体38に接着させる接着力よりも弱くしてある。
【0057】
この床暖房パネルPHは、図4に示すように、前記分離用シート13及び前記接着性シート12を貼着する状態になるまで工場にて加工した状態で施工現場に向けて出荷するようにしてある。そして、床暖房パネルPHを暖房対象の床に敷設する場合には、図5に示すように、床下地材17の表面に接着剤(図示省略)を塗布して、床暖房パネルPHを暖房対象の床における所定の位置に敷き、図示はしないがビスを各小根太5における長手方向の適宜箇所において、幅方向の中間部分から床下地材17に達するように捩じ込んで、床暖房パネルPHを接着剤とビスとにより床下地材17に固定する。又、周辺パネルPAも同様に接着剤により、床下地材17に固定する。
【0058】
そして、上述のように敷設した床暖房パネルPH及び周辺パネルPAの表面に床仕上げ材1を敷設することになるが、そのとき、図5に示すように、前記接着性シート12の上面における幅方向の中央に対応する箇所に、小根太の長手方向に沿って床仕上げ材用接着剤16を塗布する。そして、上方に床仕上げ材1を載置して小根太5上の適宜箇所に釘を打ち込み、床暖房パネルPHの表面に、床仕上げ材1を釘と床仕上げ材用接着剤16にて固定する状態で敷設する。図示はしないが、周辺パネルPAも同様に、その表面に床仕上げ材1を床仕上げ材用接着剤16にて固定する状態で敷設する。
【0059】
そのように、床暖房パネルPHの表面に床仕上げ材1を敷設すると、図6に示すように、床仕上げ材用接着剤16が床仕上げ材1に押し付けられて広がることになるが、前記接着性シート12の表面に留まり、パネル形成体用均熱体3Pとパネル形成体4との間に入り込むことはない。
【0060】
そして、多数の床仕上げ材1のうちのいずれかのものが傷つく等により張り替える必要があるときは、その床仕上げ材1だけを剥して張り替えることになる。床仕上げ材1を張り替えるときは、先ず、張り替え対象となる床仕上げ材について、その釘打ち箇所を除いて床仕上げ材1の周囲を鋸等によって切断して剥すことになるが、図7に示すように、床仕上げ材1を床暖房パネルPHから剥がすと、それと一緒に、その床仕上げ材1に床仕上げ材用接着剤16にて接着されている接着性シート12が分離用シート13から離間して一緒に剥がれる。
【0061】
このとき、接着性シート12と小根太用均熱体3Kとは強い接着力で貼着されているから、小根太用均熱体3Kも一緒に剥がれることがあるが、この小根太用均熱体3Kは前記パネル形成体用均熱体3Pとは切れ目によって分離されているから、前記パネル形成体用均熱体3Pや前記パネル形成体4の損傷を防止することができる。床仕上げ材1を剥すときに、釘打ち禁止シール9を覆っている禁止シール覆い用弱接着性テープ15も剥がれることになるが、釘打ち禁止シール9が損傷するのを防止することができる。
【0062】
そして、床仕上げ材1が剥された跡に別の新たな床仕上げ材1を敷設するときには、前記分離用シート13の上方側に位置させて接着性シート12を貼着させたのちに床仕上げ材1を貼着させるようにしておくと、再度、その床仕上げ材1を剥すときにも、前記パネル形成体用均熱体3Pや前記パネル形成体4の損傷を防止することが可能となる。
【0063】
〔第2実施形態〕
この実施形態では、前記接着性シート12の構成及び小根太用均熱体3Kの構成が異なる他は、第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0064】
この実施形態では、前記パネル形成体用均熱体3Pにおける前記複数の小根太5の夫々に隣接する複数の小根太隣接部分3Prに止着される状態で複数の帯状の分離用非接着層10が備えられるが、この第2実施形態では、前記複数の分離用非接着層10の夫々に、前記分離用非接着層10を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の接着性シート12が備えられている。
【0065】
すなわち、図9に示すように、第1実施形態と同様に、2本の帯状の分離用シート13を、小根太5の幅方向に振り分けた状態で、且つ、夫々が小根太5の長手方向の略全長にわたって、パネル形成体用均熱体3Pの小根太隣接部分3Prに貼着して設けてあり、これらの2本の分離用シート13により、帯状の分離用非接着層10を構成してある。そして、これら2本の分離用シート13の夫々に、それらの分離用シート13を覆う状態で、且つ、パネル形成体用均熱体3Pがパネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の一対の接着性シート12が備えられている。従って、この実施形態では、1本の小根太5に対して2本の接着性シート12が備えられる構成となっている。
【0066】
又、この第2実施形態では、図9に示すように、前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体3Kが前記小根太5の表面に止着される状態で備えられ、前記接着性シート12又は前記分離用シート13が、前記パネル形成体用均熱体3Pよりも剪断強さが大となるように構成されている。
【0067】
説明を加えると、第1実施形態における均熱用シート状体3と同じ均熱用シート状体3が床暖房パネルPHの全面にわたって貼着される構成となっており、この第2実施形態では、第1実施形態にて記載したような切れ目を入れることなく、前記パネル形成体用均熱体3Pと小根太用均熱体3Kとがシート状に一連に連なる構成となっている。このように構成することで、加熱用長尺体としての熱媒流通管2から発生してパネル形成体用均熱体3Pに伝導する熱を、効率よく小根太用均熱体3Kに伝導させることができる。
【0068】
そして、例えば、厚みを厚くしたり、補強材を含有させるようにしたり、剪断強さが大きい材質を用いること等によって、前記接着性シート12又は前記分離用シート13が、前記パネル形成体用均熱体3Kよりも剪断強さが大となるように構成している。
【0069】
このように構成すると、床仕上げ材1は床仕上げ材用接着剤16にて小根太用均熱体3Kに貼着されるので、床仕上げ材1を剥すときに、図10に示すように、小根太用均熱体3Kが一緒に剥がれることになるが、剥がれる部分と剥がれない部分との間での上記したような剪断強さの差異により、均熱用シート状体3に切れ目を入れていなくても、均熱用シート状体3が前記接着性シート12又は前記分離用シート13の端縁にて剪断され、前記パネル形成体用均熱体3Pと小根太用均熱体3Kとを分離させることができる。
【0070】
〔第3実施形態〕
この実施形態では、小根太の表面の構成が異なる他は、第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0071】
この第3実施形態では、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されている。つまり、図11に示すように、小根太5の表面に、第1実施形態における小根太用均熱体3Kのような部材が存在せず、小根太5の表面がそのまま露出する構成となっており、小根太5の表面に前記接着性シート12が貼着される構成となっている。
【0072】
このように構成すると、床仕上げ材1は床仕上げ材用接着剤16にて小根太5の表面に直接貼着されるので、床仕上げ材1を剥すときには、小根太5の表面からそのまま剥がれることになる。又、前記パネル形成体用均熱体3Pの表面には、分離用シート13が貼着されており、その分離用シート13は床仕上げ材1が剥された後も残っているので、床仕上げ材1と一緒に、パネル形成体用均熱体3Pが剥されることはない。
【0073】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0074】
(1)上記第1実施形態では、前記複数の小根太対応箇所の夫々に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で帯状の接着性シートが備えられる構成の床暖房パネルにおいて、前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体が小根太の表面に止着される状態で備える構成としたが、このような構成に代えて、前記パネル形成体用均熱体と分離用の脆弱接続部にて接続された状態で小根太用均熱体を設ける構成としてもよい。
【0075】
つまり、図13に示すように、小根太5の表面部を、小根太用均熱体3Kを小根太5の表面に止着する状態に構成し、小根太用均熱体3Kとパネル形成体用均熱体3Pとを、ミシン目に形成された分離用の脆弱接続部3Cにて接続しても良い。このようなミシン目を作成する方法としては、図14に示すような放射状の多数の突起20を形成した円盤状回転体21を備えたミシン目作成装置22を用いて行うようにするとよい。このようなミシン目作成装置22を用いると、図15に示すように、円盤状回転体21にて前記均熱用シート状体3に対してその厚み方向に押し込むことで孔をあけるので、均熱用シート状体3の裏面側に備えられる粘着層nの粘着材が突起20に付着堆積するおそれがなく、良好な加工状態を維持できることになる。
【0076】
前記分離用の脆弱接続部としては、図示は省略するが、他の部分よりも厚さの薄い薄肉部にて構成することができる。
【0077】
又、前記複数の小根太対応箇所の夫々に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で帯状の接着性シートが備えられる構成の床暖房パネルにおいて、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されるものであってもよい。
【0078】
(2)上記第2実施形態では、前記複数の分離用非接着層の夫々に帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネルにおいて、前記パネル形成体用均熱体と小根太用均熱体とがシート状に一連に連なる構成としたが、このような構成に代えて、前記複数の分離用非接着層の夫々に帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネルにおいて、前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体、又は、前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が、前記小根太の表面に止着される状態で備えられる構成としてもよく、又、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されるものであってもよい。
【0079】
(3)上記各実施形態では、前記接着性シートを、アルミ箔等のシート状体の裏面に接着剤層を備えさせて形成するようにしたが、樹脂製のシート状体の裏面に接着剤層を備えさせることにより形成しても良い。
【0080】
(4)上記各実施形態では、前記分離用非接着層を構成する帯状の分離用シートが、シリコンPETにて構成されるものを例示したが、これ以外に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等からなるシート状体を用いることができる。又、このような分離用シートにて形成するものに限らず、前記分離用非接着層としては、前記パネル形成体用均熱体の表面に非接着性の樹脂剤を塗布することにより分離用非接着層を形成するものでもよい。
【0081】
(5)上記各実施形態では、複数の小根太を、その長手方向の一部分に小根太が存在しない小根太不存在部分を形成する状態で、その小根太の幅方向の間隔を隔てて並設する場合について例示したが、複数の小根太をその長手方向の一部分に前述のような小根太不存在部分を形成することなく、その小根太の幅方向の間隔を隔てて並設してもよい。
【0082】
(4)上記実施形態では、前記加熱用長尺体として熱媒を通流させる熱媒流通管を用いる構成としたが、電気ヒータ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態に係る床暖房パネル及び床暖房パネル用周辺パネルの敷設状態を示す一部切り欠き平面図
【図2】第1実施形態に係る床暖房パネルの一部切り欠き全体平面図
【図3】第1実施形態に係る床暖房パネルの要部の一部切り欠き斜視図
【図4】図3におけるイ−イ矢視図
【図5】第1実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図6】第1実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図7】第1実施形態に係る床仕上げ材の更新作業を説明する要部の縦断面図
【図8】第1実施形態に係る分離用シートの着色状態を示す縦断面図
【図9】第2実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図10】第2実施形態に係る床仕上げ材の更新作業を説明する要部の縦断面図
【図11】第3実施形態に係る床仕上げ材の更新作業を説明する要部の縦断面図
【図12】第3実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図13】別実施形態に係る床暖房パネルの要部の一部切り欠き斜視図
【図14】別実施形態に係るミシン目作成装置を示す図
【図15】別実施形態に係るミシン目の作成作業の説明する要部の縦断面図
【符号の説明】
【0084】
2 加熱用長尺体
3K 小根太用均熱体
3P パネル形成体用均熱体
3Pr 小根太隣接部分
4 パネル形成体
5 小根太
10 分離用非接着層
11 小根太対応箇所
12 接着性シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
上記床暖房パネルにおいて、従来では、前記パネル形成体に止着されている前記パネル形成体用均熱体の表面側に、その全面にわたって床仕上げ材用接着剤が接着しにくい非接着層を設ける構成としたものがあった。具体的には、パネル形成体用均熱体の表面に酸化防止用の塗料を塗付して酸化防止膜を形成して、その酸化防止膜の表面に非接着性の樹脂を塗付することによって前記非接着層を形成する、又は、離形紙を用いて前記非接着層を形成する構成となっており、床仕上げ材を剥すときに、床仕上げ材が前記非接着層の表面で剥がれるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
説明を加えると、このような床暖房パネルは、床下地材上に配置して小根太にビスを捩じ込んだり、釘を打ちつけることにより、床下地材上に敷設するものであり、更に、そのように敷設した床暖房パネルの小根太の表面部に接着剤を塗布して、木質材等で形成された床仕上げ材を床暖房パネルの表面に配置することにより、床仕上げ材を接着剤にて小根太に固定した状態で床暖房パネルの表面に敷設する構成となっている。
【0004】
そして、床仕上げ材に傷がつく等により、床暖房パネルの表面に敷設した床仕上げ材を張り替える場合があるが、パネル形成体用均熱体の表面に床仕上げ材を敷設する構成であれば、床仕上げ材を敷設する際に、小根太の表面部に塗布された接着剤が床仕上げ材により押し広げられて、パネル形成体用均熱体の表面に広がって、床仕上げ材がパネル形成体用均熱体の表面にも接着されることがあると、傷が付く等により張り替える必要がある床仕上げ材等を床暖房パネルから剥がすときに、パネル形成体用均熱体も一緒に剥がれてしまい、そのパネル形成体用均熱体に損傷を与えたり、パネル形成体にも損傷を与える虞がある。
【0005】
そこで、従来の床暖房パネルでは、床仕上げ材を剥がすときに、パネル形成体用均熱体やパネル形成体に損傷を与えるのを抑制するために、パネル形成体に止着されているパネル形成体用均熱体の表面に全面にわたって接着剤が接着しない非接着層を設けて、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設する際に接着剤がパネル形成体用均熱体の表面に広がったとしても、非接着層により接着剤がパネル形成体用均熱体に接着しないようにして、床仕上げ材を剥がすときにパネル形成体用均熱体やパネル形成体用均熱体が損傷するのを抑制するようにしているのである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−276968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来構成の床暖房パネルでは、床仕上げ材を剥がすときに床暖房パネルが損傷するのを抑制するために、パネル形成体用均熱体の表面の全面にわたって非接着層を設けることから、非接着層を設ける範囲が広くなり、高価になるという問題があった。
【0008】
又、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設する際に使用される床仕上げ材用接着剤は、床仕上げ材を敷設する施工業者等が用意することになるが、最近では接着剤の種類が多く多種多様な接着剤が使用されることがあり、接着剤によっては、上記したような非接着層や離形紙における分離用の機能が充分発揮できずに、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体等を損傷することが考えられる。つまり、床仕上げ材用接着剤の接着力によって接着されている床仕上げ材と非接着層とが分離されずに、その非接着層とそれに止着されているパネル形成体用均熱体とを共に引き剥がしてしまうおそれがあり、パネル形成体用均熱体等を損傷するおそれがあり、この点でも改善の余地があった。
【0009】
本発明の目的は、低廉化を図ることが可能な構成にて、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる床暖房パネルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る床暖房パネルは、加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されているものであって、その第1特徴構成は、前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、前記小根太とそれに隣接する前記分離用非接着層とからなる小根太対応箇所に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて前記分離用非接着層に貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている点にある。
【0011】
第1特徴構成によれば、前記帯状の分離用非接着層が、パネル形成体用均熱体における小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で備えられ、しかも、帯状の接着性シートが、小根太とそれに隣接する分離用非接着層とからなる小根太対応箇所に、小根太及び分離用非接着層を覆う状態で設けられるので、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設するときに、床仕上げ材用接着剤が小根太の上方箇所を覆う接着性シートの上部に塗付され、その床仕上げ材用接着剤が床仕上げ材を敷設するときに床仕上げ材にて押されて広がることがあっても、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に影響を与えるおそれがない。
【0012】
そして、床仕上げ材と接着性シートとは床仕上げ材用接着剤にて強い接着力で接着させることになるが、接着性シートと分離用非接着層とは、パネル形成体用均熱体がパネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着されており、しかも、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に対して影響を与えるおそれがないので、接着性シートと分離用非接着層との間での接着力を弱い状態を維持できることになるのであり、床仕上げ材を床暖房パネルから剥すときには、床仕上げ材に強い接着力で接着されている接着性シートが分離用非接着層から剥がれることになり、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が剥がれるのを防止することが可能となる。
【0013】
前記分離用非接着層を設ける範囲は前記小根太隣接部分に限られ、且つ、前記接着性シートを設ける範囲も前記小根太対応箇所に限られる、つまり、前記分離用非接着層や前記接着性シートを設ける範囲を狭くすることができるので、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が損傷するのを抑制するための構成を低廉化を図ることが可能な構成にすることができる。
【0014】
従って、第1特徴構成によれば、低廉化を図ることが可能な構成にて、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる床暖房パネルを提供できるに至った。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルであって、前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、前記分離用非接着層に、その分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている点にある。
【0016】
第2特徴構成によれば、前記帯状の分離用非接着層が、パネル形成体用均熱体における小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で備えられ、しかも、帯状の接着性シートが、分離用非接着層に、前記分離用非接着層を覆う状態で備えられるので、つまり、小根太の上方箇所には接着性シートは存在しないが、パネル形成体用均熱体における小根太に隣接する小根太隣接部分には帯状の接着性シートが存在することになるので、床暖房パネルの表面に床仕上げ材を敷設するときに、床仕上げ材用の接着剤は小根太の表面部に塗付され、その床仕上げ材用接着剤が床仕上げ材を敷設するときに床仕上げ材にて押されて広がることがあっても、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に影響を与えるおそれがない。
【0017】
そして、床仕上げ材と接着性シートとは床仕上げ材用接着剤にて強い接着力で接着させることになるが、接着性シートと分離用非接着層とは、パネル形成体用均熱体がパネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着されており、しかも、床仕上げ材用接着剤は接着性シートの表面に留まり接着性シートの裏面側に対して影響を与えるおそれがないので、接着性シートと分離用非接着層との間での接着力を弱い状態を維持できることになるのであり、床仕上げ材を床暖房パネルから剥すときには、床仕上げ材に強い接着力で接着されている接着性シートが分離用非接着層から剥がれることになり、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が剥がれるのを防止することが可能となる。
【0018】
前記分離用非接着層を設ける範囲は前記小根太隣接部分に限られ、且つ、前記接着性シートを設ける範囲も前記小根太対応箇所に限られる、つまり、前記分離用非接着層や前記接着性シートを設ける範囲を狭くすることができるので、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が損傷するのを抑制するための構成を低廉化を図ることが可能な構成にすることができる。
【0019】
従って、第2特徴構成によれば、低廉化を図ることが可能な構成にて、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる床暖房パネルを提供できるに至った。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体、又は、前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が、前記小根太の表面に止着される状態で備えられている点にある。
【0021】
第3特徴構成によれば、床仕上げ材を床暖房パネルから剥がすときに、その床仕上げ材に接着されている接着性シートと一緒に小根太用均熱体が小根太から剥がれたとしても、
小根太の表面に前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体が止着されるものでは、その小根太用均熱体はパネル形成体用均熱体から分離されているので、床仕上げ材を剥すときにパネル形成体用均熱体が引き剥がされることがない。又、小根太の表面に前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が止着されるものでは、床仕上げ材を剥すときに、脆弱接続部にて引き裂かれてパネル形成体用均熱体から容易に分離することになり、小根太用均熱体と連なってパネル形成体用均熱体が引き剥がされるのを防止することができる。
【0022】
ちなみに、前記パネル形成体用均熱体や前記小根太用均熱体を止着する際には、前記パネル形成体及び前記小根太を含む床暖房パネルの表面の全面にわたり一連に形成された均熱用シート状体を止着させたのちに、前記パネル形成体用均熱体と前記小根太用均熱体との間に切れ目を形成するか、又は、例えばミシン目や薄肉部等からなる脆弱接続部を形成することにより対応できるが、このように床暖房パネルの表面の全面にわたり一連に形成された均熱用シート状体を止着させたのちに切れ目や脆弱接続部を作成するので、予め切断した複数のシート状体を各別に止着するものに較べて作業が容易に行えるものとなり、作製面からの低廉化も図れるものとなる。
【0023】
従って、第3特徴構成によれば、床仕上げ材を剥がすときに小根太用均熱体が剥されることがあっても損傷を抑制することが可能であり、又、作製面からの低廉化も図れるものとなる。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されている点にある。
【0025】
第4特徴構成によれば、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されているから、小根太の上側には、パネル形成体用均熱体に相当するようなシート状の均熱体が存在しないので、床仕上げ材を床暖房パネルから剥がすときに、パネル形成体用均熱体が損傷するおそれがない。
【0026】
ちなみに、前記パネル形成体用均熱体を止着する際には、前記パネル形成体及び前記小根太を含む床暖房パネルの表面の全面にわたり一連に形成された均熱用シート状体を止着させたのちに、前記パネル形成体と前記小根太との境界に対応する箇所に沿ってシート状均熱体を切断して小根太の表面に対応する領域を除去することで対応できるが、前記パネル形成体だけの表面に対応するように予め形成されている複数のパネル形成体用均熱体を止着させるようにしてもよい。
【0027】
従って、第4特徴構成によれば、床仕上げ材を剥がすときの床暖房パネルの損傷をより一層抑制することができる。
【0028】
第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成されている点にある。
【0029】
第5特徴構成によれば、前記分離用非接着層が上記したような帯状の分離用シートにて構成されるから、樹脂剤を塗布するようなものに較べて作製が容易に行えるのであり、作成面からの低廉化を図ることが可能となる。
【0030】
第6特徴構成は、第2特徴構成に加えて、前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体が前記小根太の表面に止着される状態で備えられ、前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成され、前記接着性シート又は前記分離用シートが、前記パネル形成体用均熱体よりも剪断強さが大となるように構成されている点にある。
【0031】
第6特徴構成によれば、前記小根太の表面部が、前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体を前記小根太の表面に止着する状態に構成されているから、加熱用長尺体から発生してパネル形成体用均熱体に伝導する熱を、効率よく小根太用均熱体に伝導させることができ、床暖房パネルの表面の温度のバラツキを抑制することができる。しかも、一連に連なるパネル形成体用均熱体と小根太用均熱体とにより、パネル形成体と小根太とが接続されることになるから、搬送途中で小根太がパネル形体とが分離して小根太が脱落する等の不利がなく、床暖房パネルの搬送作業や敷設作業が行い易いものになる。
【0032】
又、床仕上げ材と小根太用均熱体とは、床仕上げ材用接着剤にて強い力で接着されていから、床仕上げ材を床暖房パネルから剥がすときに、小根太用均熱体も一緒に剥がれようとするが、前記分離用非接着層を構成する分離用シート、又は、前記小根太の表面部の上方を開放させて前記分離用非接着層の表面部のみを覆う状態で分離用シートに重ねて貼着される接着性シートが、前記均熱用シート状体よりも剪断強さが大となるように構成されているから、小根太用均熱体が前記分離用シート又は接着性シートの端縁にて剪断される状態で剥がれることになり、床仕上げ材に連なってパネル形成体用均熱体が剥がれるのを防止することができる。
【0033】
従って、第6特徴構成によれば、床暖房時の床面の温度のバラツキを抑制することが可能でありながら、床仕上げ材を剥がすときの損傷を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、床暖房パネルPHは、暖房対象の床の略中央に敷き、床暖房パネル用周辺パネル(以下、単に周辺パネルと記載する場合がある)PAは、床暖房パネルPHと暖房対象の床を区画する壁等の床区画材(図示省略)との間に敷き込み、それら床暖房パネルPHの表面及び周辺パネルPAの表面の全面にわたって、木質材等から形成された床仕上げ材1を敷設して、床暖房パネルPHの加熱作用により床仕上げ材1を昇温させて、床暖房するように構成してある。
【0035】
図2に示すように、前記床暖房パネルPHは、加熱用長尺体としての熱媒流通管2が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体3Pが貼着されたパネル形成体4に、複数(この実施形態では8本)の小根太5をその小根太5の幅方向に間隔を隔てて並設して構成してある。
【0036】
前記床暖房パネルPHについて説明を加える。
図1及び図2に示すように、前記パネル形成体4は、外形形状が矩形状になるように並べた複数の矩形状のパネル単位体6にて構成してあり、この矩形状のパネル形成体4に、前記複数の小根太5を、その長手方向の一部分に小根太5が存在しない小根太不存在部分7を形成する状態で、前記パネル形成体4の一辺方向に所定のピッチで並設してある。
【0037】
具体的には、図3及び図4に示すように、パネル形成体4に、小根太5を嵌入するための小根太嵌入部4kを、上述の如き複数の小根太5の配置パターンに対応させて、パネル形成体4の厚さ方向に貫通する開口状にて形成してある。そして、前記パネル形成体4の厚さと同じ厚さの小根太5を各小根太嵌入部4kに嵌入することにより、パネル形成体4に前記複数の小根太5を並設する構成としてある。
【0038】
図2に示すように、前記熱媒流通管2は、パネル形成体4の表面側に、前記小根太不存在部分7を通過させる状態で、パネル形成体4の略全面にわたって蛇行状に装備し、その熱媒流通管2の両端部を、パネル形成体4の角部に配設した熱媒給排用のヘッダ8に接続してある。すなわち、図3及び図4に示すように、パネル形成体4の表面側に、図2に示す如き熱媒流通管2の配設パターンに対応させて、熱媒流通管2を収納するための溝部4mを形成し、この溝部4mに前記熱媒流通管2を収納してある。
【0039】
そして、前記ヘッダ8を熱媒往き路及び熱媒戻し路(図示省略)にて熱源機(図示省略)に接続して、その熱源機により、熱媒流通管2を通して熱媒を循環させるように構成してある。
【0040】
図2及び図3に示すように、上述のように熱媒流通管2を装備し且つ複数の小根太5を並設したパネル形成体4の表面の全面にわたって、熱伝導率の高いアルミ箔等のシート状体からなる均熱用シート状体3を貼着する状態で設けてある。この均熱用シート状体3は、アルミ箔等のシート状体の裏面に粘着剤層を備えさせて接着自在な構成となっている。前記均熱用シート状体3における各小根太不存在部分7の上部に対応する部分には、釘打ちを禁止する領域であることを示す釘打ち禁止シール9を貼付してある。
【0041】
そして、図2、図3及び図4に示すように、前記均熱用シート状体3に、小根太5とパネル形成体4との境界に沿って、その境界の全長にわたるように切れ目3sを形成してある。つまり、前記均熱用シート状体3を、前記切れ目3sにより、パネル形成体4の表面に貼着された部分と小根太5の表面に貼着された部分とに分離して、前記均熱用シート状体3におけるパネル形成体4の表面に貼着された部分を前記パネル形成体用均熱体3Pとし、前記均熱用シート状体3における小根太5の表面に貼着された部分を小根太用均熱体3Kとするようにして、小根太5の表面部を、パネル形成体用均熱体3Pとは分離された小根太用均熱体3Kを小根太5の表面に止着する状態に構成してある。
【0042】
詳細な説明及び図示を省略するが、前記パネル形成体4は、隣接するパネル単位体6同士を山折り又は谷折り状に折り曲げ自在に接続して、前記パネル形成体4を、複数のパネル単位体6を重ねる状態で、所定の形態に折り畳み可能なように構成してある。
【0043】
ちなみに、前記パネル形成体4は、熱伝導率が低い発泡ポリスチレン等の発泡樹脂製であり、断熱性を有すると共に軽量化が可能となり、前記熱媒流通管2は、架橋ポリエチレン、ポリブテン等の樹脂製で可撓性を有している。又、前記小根太5は、ビスの螺入が可能な木質材にて構成されている。
【0044】
そして、前記パネル形成体用均熱体3Pにおける前記複数の小根太5の夫々に隣接する複数の小根太隣接部分3Prに止着される状態で複数の帯状の分離用非接着層10を備えており、複数の前記小根太5の夫々とそれら夫々に隣接する前記分離用非接着層10とからなる複数の小根太対応箇所11の夫々に、前記小根太5及び前記分離用非接着層10を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体3Pが前記パネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて前記分離用非接着層10に貼着される状態で帯状の接着性シート12を備えて構成してある。
【0045】
具体的な構成について説明すると、図3及び図4に示すように、前記複数の小根太5の夫々に対して、2本の帯状の分離用シート13を、小根太5の幅方向に振り分けた状態で、且つ、夫々が小根太5の長手方向の略全長にわたって、パネル形成体用均熱体3Pの小根太隣接部分3Prに貼着して設けてある。この分離用シート13のパネル形成体用均熱体3Pに対する接着力は、パネル形成体4とパネル形成体用均熱体3Pとの間での接着力と同じ程度に強い接着力にしてある。つまり、前記2本の分離用シート13により、前記帯状の分離用非接着層10を構成してある。
【0046】
ちなみに、この分離用シート13の粘着層形成面は、粘着剤が存在する粘着剤層と粘着剤が存在しない非粘着層とが交互に設けられるストライプ状に構成され、パネル形成体用均熱体3Pの小根太隣接部分3Prに貼着する際に、分離用シート13とパネル形成体用均熱体3Pとの間に空気溜りが形成されるのを未然に防止するようにしている。この空気溜りは床に設置されたのちに音鳴りの要因となるものである。
【0047】
前記分離用シート13は、シリコン樹脂―PET(ポリエチレンテレフタレート)多層体(以下、シリコンPETという)にて構成してある。このシリコンPETは、図8に示すように、PETにて構成されるシート状本体部13aの表面側にシリコン樹脂層13bを備え、裏面側には貼着用の粘着剤層13cを備えて構成される。そして、PETやシリコン樹脂等は本来は透明又は半透明であるが、前記分離用シート13は、例えば、表面のシリコン樹脂層13bに着色剤を含有させて着色する構成となっている。このように着色することで、作業者が張り付け作業を行うときに見易くなって、作業を行い易いものにできる。なお、分離用シート13の強度を十分に保つことができる場合は、シート状本体部13aは設けなくてもよい。
着色剤を含ませるのは、シリコン樹脂層13bに限らず、図8(ロ)に示すように粘着剤層13cに含ませるようにしたり、図8(ハ)に示すようにシート状本体部13aに含ませるようにしたり、あるいは、図8(ニ)に示すようにシート状本体部13aの裏面に着色印刷層13dを形成する構成としてもよい。
【0048】
このように、前記分離用非接着層10を、パネル形成体用均熱体3Pにおける小根太隣接部分3Prの表面に、接着性シート12との間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シート13にて構成してある。
【0049】
そして、この床暖房パネルPHには、複数の前記小根太5の夫々とそれら夫々に隣接する前記分離用非接着層10とからなる複数の小根太対応箇所11の夫々に、前記小根太5及び前記分離用非接着層10を覆う状態での接着性シート12を設けてある。
この帯状の接着性シート12は、熱伝導率が高く且つ床仕上げ材用接着剤を浸透させないアルミ箔等のシート状体にて構成され、その裏面に粘着剤層を備える構成となっており、粘着剤層を介して2本の分離用シート13及び小根太用均熱体3Kの夫々に貼着させる構成としてある。この接着性シート12は、その幅方向端縁が2本の分離用シート13の並び方向外方側の端縁よりも少し幅方向内側に位置するように幅狭に形成され、接着性シート12を貼着させるときに、パネル形成体用均熱体3Pに貼着されることがないように構成している。
【0050】
前記分離用シート13の表面はシリコン樹脂層13bにて構成されるから、接着性シート12と分離用シート13との間での接着力は、アルミ箔等のシート状体にて構成される前記小根太用均熱体3Kとの間での接着力に較べて弱い状態となり、剥し易い状態となるものである。言い換えると、接着性シート12が分離用シート13に貼着される接着力は、パネル形成体4に対するパネル形成体用均熱体3Pの接着力、及び、後述する床仕上げ材用接着剤16(図5参照)により床仕上げ材1を接着性シート12に接着させる接着力よりも弱くしてある。このような特性を有する限り、前記分離用シート13の表面の材質はシリコン樹脂に限定されない。
【0051】
つまり、この実施形態では、帯状の接着性シート12は、パネル形成体用均熱体3Pがパネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて分離用非接着層10に貼着されることになる。
【0052】
又、床暖房パネルPHの裏面側には、図4及び図5に示すように、前記複数の小根太5の夫々に対応させて、前記パネル形成体4の裏面側に、前記小根太5の裏面部及び前記パネル形成体4の前記小根太5に隣接する裏側小根太隣接部分4rの夫々にわたる状態で、且つ、前記小根太5の長手方向に延びる状態で保持用テープ14を止着してある。
【0053】
この保持用テープ14は、帯状の市販の不織布テープあるいは養生テープと称されるような合成樹脂を基材にして所定の強度を備える粘着テープ等にて構成され、このような保持用テープ14を備えることにより、床暖房パネルPHを工場から出荷したり搬送するときに、パネル形成体4と分離して小根太5が落下することを防止することができる。
【0054】
図2、図3及び図5に示すように、前記釘打ち禁止シール9を相似的に拡大した形状の禁止シール覆い用弱接着性テープ15を、釘打ち禁止シール9上に、その全周からはみ出させる状態で貼着してある。
釘打ち禁止シール9及びパネル形成体用均熱体3Pに対する禁止シール覆い用弱接着性テープ15の接着力は、パネル形成体4に対するパネル形成体用均熱体3Pの接着力、及び、後述する床仕上げ材用接着剤16により床仕上げ材1を禁止シール覆い用弱接着性テープ15に接着させる接着力よりも弱くしてある。
【0055】
次に、前記周辺パネルPAの構成について簡単に説明する。
周辺パネルPAは、前記小根太5の長手方向の側方に配置する長手方向側の周辺パネル本体部31を備えた小根太長手方向側の周辺パネルPAmと、複数の小根太5の並び方向の側方に配置する並び方向側の周辺パネル本体部32を備えた小根太並び方向側の周辺パネルPAnとがあり、これらの周辺パネルには、複数の周辺パネル用小根太33、36を備えている。
【0056】
前記各周辺パネル本体部31,32の表面に、前記接着性シート12の幅と同一の幅に形成した接着性帯状体35,38を前記床暖房パネルPHにおける小根太5の長手方向に沿わせて貼着してある。これらの接着性帯状体35,38は、床仕上げ材用接着剤16を浸透させないアルミ箔等のシート状体の裏面に粘着剤層を備えて構成してあり、周辺パネル用小根太33,36及びパネル単位体34,37に接着させる接着力を、パネル形成体4に対するパネル形成体用均熱体3Pの接着力、及び、床仕上げ材用接着剤16により床仕上げ材1を接着性帯状体38に接着させる接着力よりも弱くしてある。
【0057】
この床暖房パネルPHは、図4に示すように、前記分離用シート13及び前記接着性シート12を貼着する状態になるまで工場にて加工した状態で施工現場に向けて出荷するようにしてある。そして、床暖房パネルPHを暖房対象の床に敷設する場合には、図5に示すように、床下地材17の表面に接着剤(図示省略)を塗布して、床暖房パネルPHを暖房対象の床における所定の位置に敷き、図示はしないがビスを各小根太5における長手方向の適宜箇所において、幅方向の中間部分から床下地材17に達するように捩じ込んで、床暖房パネルPHを接着剤とビスとにより床下地材17に固定する。又、周辺パネルPAも同様に接着剤により、床下地材17に固定する。
【0058】
そして、上述のように敷設した床暖房パネルPH及び周辺パネルPAの表面に床仕上げ材1を敷設することになるが、そのとき、図5に示すように、前記接着性シート12の上面における幅方向の中央に対応する箇所に、小根太の長手方向に沿って床仕上げ材用接着剤16を塗布する。そして、上方に床仕上げ材1を載置して小根太5上の適宜箇所に釘を打ち込み、床暖房パネルPHの表面に、床仕上げ材1を釘と床仕上げ材用接着剤16にて固定する状態で敷設する。図示はしないが、周辺パネルPAも同様に、その表面に床仕上げ材1を床仕上げ材用接着剤16にて固定する状態で敷設する。
【0059】
そのように、床暖房パネルPHの表面に床仕上げ材1を敷設すると、図6に示すように、床仕上げ材用接着剤16が床仕上げ材1に押し付けられて広がることになるが、前記接着性シート12の表面に留まり、パネル形成体用均熱体3Pとパネル形成体4との間に入り込むことはない。
【0060】
そして、多数の床仕上げ材1のうちのいずれかのものが傷つく等により張り替える必要があるときは、その床仕上げ材1だけを剥して張り替えることになる。床仕上げ材1を張り替えるときは、先ず、張り替え対象となる床仕上げ材について、その釘打ち箇所を除いて床仕上げ材1の周囲を鋸等によって切断して剥すことになるが、図7に示すように、床仕上げ材1を床暖房パネルPHから剥がすと、それと一緒に、その床仕上げ材1に床仕上げ材用接着剤16にて接着されている接着性シート12が分離用シート13から離間して一緒に剥がれる。
【0061】
このとき、接着性シート12と小根太用均熱体3Kとは強い接着力で貼着されているから、小根太用均熱体3Kも一緒に剥がれることがあるが、この小根太用均熱体3Kは前記パネル形成体用均熱体3Pとは切れ目によって分離されているから、前記パネル形成体用均熱体3Pや前記パネル形成体4の損傷を防止することができる。床仕上げ材1を剥すときに、釘打ち禁止シール9を覆っている禁止シール覆い用弱接着性テープ15も剥がれることになるが、釘打ち禁止シール9が損傷するのを防止することができる。
【0062】
そして、床仕上げ材1が剥された跡に別の新たな床仕上げ材1を敷設するときには、前記分離用シート13の上方側に位置させて接着性シート12を貼着させたのちに床仕上げ材1を貼着させるようにしておくと、再度、その床仕上げ材1を剥すときにも、前記パネル形成体用均熱体3Pや前記パネル形成体4の損傷を防止することが可能となる。
【0063】
〔第2実施形態〕
この実施形態では、前記接着性シート12の構成及び小根太用均熱体3Kの構成が異なる他は、第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0064】
この実施形態では、前記パネル形成体用均熱体3Pにおける前記複数の小根太5の夫々に隣接する複数の小根太隣接部分3Prに止着される状態で複数の帯状の分離用非接着層10が備えられるが、この第2実施形態では、前記複数の分離用非接着層10の夫々に、前記分離用非接着層10を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の接着性シート12が備えられている。
【0065】
すなわち、図9に示すように、第1実施形態と同様に、2本の帯状の分離用シート13を、小根太5の幅方向に振り分けた状態で、且つ、夫々が小根太5の長手方向の略全長にわたって、パネル形成体用均熱体3Pの小根太隣接部分3Prに貼着して設けてあり、これらの2本の分離用シート13により、帯状の分離用非接着層10を構成してある。そして、これら2本の分離用シート13の夫々に、それらの分離用シート13を覆う状態で、且つ、パネル形成体用均熱体3Pがパネル形成体4に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の一対の接着性シート12が備えられている。従って、この実施形態では、1本の小根太5に対して2本の接着性シート12が備えられる構成となっている。
【0066】
又、この第2実施形態では、図9に示すように、前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体3Kが前記小根太5の表面に止着される状態で備えられ、前記接着性シート12又は前記分離用シート13が、前記パネル形成体用均熱体3Pよりも剪断強さが大となるように構成されている。
【0067】
説明を加えると、第1実施形態における均熱用シート状体3と同じ均熱用シート状体3が床暖房パネルPHの全面にわたって貼着される構成となっており、この第2実施形態では、第1実施形態にて記載したような切れ目を入れることなく、前記パネル形成体用均熱体3Pと小根太用均熱体3Kとがシート状に一連に連なる構成となっている。このように構成することで、加熱用長尺体としての熱媒流通管2から発生してパネル形成体用均熱体3Pに伝導する熱を、効率よく小根太用均熱体3Kに伝導させることができる。
【0068】
そして、例えば、厚みを厚くしたり、補強材を含有させるようにしたり、剪断強さが大きい材質を用いること等によって、前記接着性シート12又は前記分離用シート13が、前記パネル形成体用均熱体3Kよりも剪断強さが大となるように構成している。
【0069】
このように構成すると、床仕上げ材1は床仕上げ材用接着剤16にて小根太用均熱体3Kに貼着されるので、床仕上げ材1を剥すときに、図10に示すように、小根太用均熱体3Kが一緒に剥がれることになるが、剥がれる部分と剥がれない部分との間での上記したような剪断強さの差異により、均熱用シート状体3に切れ目を入れていなくても、均熱用シート状体3が前記接着性シート12又は前記分離用シート13の端縁にて剪断され、前記パネル形成体用均熱体3Pと小根太用均熱体3Kとを分離させることができる。
【0070】
〔第3実施形態〕
この実施形態では、小根太の表面の構成が異なる他は、第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0071】
この第3実施形態では、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されている。つまり、図11に示すように、小根太5の表面に、第1実施形態における小根太用均熱体3Kのような部材が存在せず、小根太5の表面がそのまま露出する構成となっており、小根太5の表面に前記接着性シート12が貼着される構成となっている。
【0072】
このように構成すると、床仕上げ材1は床仕上げ材用接着剤16にて小根太5の表面に直接貼着されるので、床仕上げ材1を剥すときには、小根太5の表面からそのまま剥がれることになる。又、前記パネル形成体用均熱体3Pの表面には、分離用シート13が貼着されており、その分離用シート13は床仕上げ材1が剥された後も残っているので、床仕上げ材1と一緒に、パネル形成体用均熱体3Pが剥されることはない。
【0073】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0074】
(1)上記第1実施形態では、前記複数の小根太対応箇所の夫々に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で帯状の接着性シートが備えられる構成の床暖房パネルにおいて、前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体が小根太の表面に止着される状態で備える構成としたが、このような構成に代えて、前記パネル形成体用均熱体と分離用の脆弱接続部にて接続された状態で小根太用均熱体を設ける構成としてもよい。
【0075】
つまり、図13に示すように、小根太5の表面部を、小根太用均熱体3Kを小根太5の表面に止着する状態に構成し、小根太用均熱体3Kとパネル形成体用均熱体3Pとを、ミシン目に形成された分離用の脆弱接続部3Cにて接続しても良い。このようなミシン目を作成する方法としては、図14に示すような放射状の多数の突起20を形成した円盤状回転体21を備えたミシン目作成装置22を用いて行うようにするとよい。このようなミシン目作成装置22を用いると、図15に示すように、円盤状回転体21にて前記均熱用シート状体3に対してその厚み方向に押し込むことで孔をあけるので、均熱用シート状体3の裏面側に備えられる粘着層nの粘着材が突起20に付着堆積するおそれがなく、良好な加工状態を維持できることになる。
【0076】
前記分離用の脆弱接続部としては、図示は省略するが、他の部分よりも厚さの薄い薄肉部にて構成することができる。
【0077】
又、前記複数の小根太対応箇所の夫々に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で帯状の接着性シートが備えられる構成の床暖房パネルにおいて、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されるものであってもよい。
【0078】
(2)上記第2実施形態では、前記複数の分離用非接着層の夫々に帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネルにおいて、前記パネル形成体用均熱体と小根太用均熱体とがシート状に一連に連なる構成としたが、このような構成に代えて、前記複数の分離用非接着層の夫々に帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネルにおいて、前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体、又は、前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が、前記小根太の表面に止着される状態で備えられる構成としてもよく、又、前記小根太の表面が露出する状態にて構成されるものであってもよい。
【0079】
(3)上記各実施形態では、前記接着性シートを、アルミ箔等のシート状体の裏面に接着剤層を備えさせて形成するようにしたが、樹脂製のシート状体の裏面に接着剤層を備えさせることにより形成しても良い。
【0080】
(4)上記各実施形態では、前記分離用非接着層を構成する帯状の分離用シートが、シリコンPETにて構成されるものを例示したが、これ以外に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂等からなるシート状体を用いることができる。又、このような分離用シートにて形成するものに限らず、前記分離用非接着層としては、前記パネル形成体用均熱体の表面に非接着性の樹脂剤を塗布することにより分離用非接着層を形成するものでもよい。
【0081】
(5)上記各実施形態では、複数の小根太を、その長手方向の一部分に小根太が存在しない小根太不存在部分を形成する状態で、その小根太の幅方向の間隔を隔てて並設する場合について例示したが、複数の小根太をその長手方向の一部分に前述のような小根太不存在部分を形成することなく、その小根太の幅方向の間隔を隔てて並設してもよい。
【0082】
(4)上記実施形態では、前記加熱用長尺体として熱媒を通流させる熱媒流通管を用いる構成としたが、電気ヒータ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1実施形態に係る床暖房パネル及び床暖房パネル用周辺パネルの敷設状態を示す一部切り欠き平面図
【図2】第1実施形態に係る床暖房パネルの一部切り欠き全体平面図
【図3】第1実施形態に係る床暖房パネルの要部の一部切り欠き斜視図
【図4】図3におけるイ−イ矢視図
【図5】第1実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図6】第1実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図7】第1実施形態に係る床仕上げ材の更新作業を説明する要部の縦断面図
【図8】第1実施形態に係る分離用シートの着色状態を示す縦断面図
【図9】第2実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図10】第2実施形態に係る床仕上げ材の更新作業を説明する要部の縦断面図
【図11】第3実施形態に係る床仕上げ材の更新作業を説明する要部の縦断面図
【図12】第3実施形態に係る床暖房パネルの敷設作業を説明する要部の縦断面図
【図13】別実施形態に係る床暖房パネルの要部の一部切り欠き斜視図
【図14】別実施形態に係るミシン目作成装置を示す図
【図15】別実施形態に係るミシン目の作成作業の説明する要部の縦断面図
【符号の説明】
【0084】
2 加熱用長尺体
3K 小根太用均熱体
3P パネル形成体用均熱体
3Pr 小根太隣接部分
4 パネル形成体
5 小根太
10 分離用非接着層
11 小根太対応箇所
12 接着性シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルであって、
前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、
前記小根太とそれに隣接する前記分離用非接着層とからなる小根太対応箇所に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて前記分離用非接着層に貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネル。
【請求項2】
加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルであって、
前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、
前記分離用非接着層に、その分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネル。
【請求項3】
前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体、又は、前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が、前記小根太の表面に止着される状態で備えられている請求項1又は2記載の床暖房パネル。
【請求項4】
前記小根太の表面が露出する状態にて構成されている請求項1又は2記載の床暖房パネル。
【請求項5】
前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の床暖房パネル。
【請求項6】
前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体が前記小根太の表面に止着される状態で備えられ、
前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成され、
前記接着性シート又は前記分離用シートが、前記パネル形成体用均熱体よりも剪断強さが大となるように構成されている請求項2記載の床暖房パネル。
【請求項1】
加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルであって、
前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、
前記小根太とそれに隣接する前記分離用非接着層とからなる小根太対応箇所に、前記小根太及び前記分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて前記分離用非接着層に貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネル。
【請求項2】
加熱用長尺体が装備され且つ表面にシート状のパネル形成体用均熱体が止着されたパネル形成体と小根太とが並設されている床暖房パネルであって、
前記パネル形成体用均熱体における前記小根太に隣接する小根太隣接部分に止着される状態で帯状の分離用非接着層が備えられ、
前記分離用非接着層に、その分離用非接着層を覆う状態で、且つ、前記パネル形成体用均熱体が前記パネル形成体に止着される止着力よりも弱い接着力にて貼着される状態で帯状の接着性シートが備えられている床暖房パネル。
【請求項3】
前記パネル形成体用均熱体とは分離された小根太用均熱体、又は、前記パネル形成体用均熱体と脆弱接続部にて接続された小根太用均熱体が、前記小根太の表面に止着される状態で備えられている請求項1又は2記載の床暖房パネル。
【請求項4】
前記小根太の表面が露出する状態にて構成されている請求項1又は2記載の床暖房パネル。
【請求項5】
前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の床暖房パネル。
【請求項6】
前記パネル形成体用均熱体とシート状に一連に連なる小根太用均熱体が前記小根太の表面に止着される状態で備えられ、
前記分離用非接着層が、前記パネル形成体用均熱体における小根太隣接部分の表面に前記接着性シートとの間での接着力よりも強い接着力にて貼着される帯状の分離用シートにて構成され、
前記接着性シート又は前記分離用シートが、前記パネル形成体用均熱体よりも剪断強さが大となるように構成されている請求項2記載の床暖房パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−175491(P2008−175491A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10601(P2007−10601)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】
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