説明

建物用電力供給システム

【課題】発電部が発電した電力及び商用電源からの電力を蓄電することが可能な蓄電部を複数備えるシステムを小型化し、エネルギー変換効率の向上を図る。
【解決手段】発電部が発電した電力及び商用電源からの電力を蓄電することが可能な蓄電部を複数備えた建物用電力供給システムにおいて、商用電源からの電力を蓄電部に蓄電する際に通電状態となる蓄電回路と、蓄電部に蓄電された電力を放電して負荷へ供給する際に通電状態となる放電回路と、蓄電回路と放電回路のうちのいずれかを通電状態にするスイッチと、を蓄電部毎に備えられている。また、蓄電回路が通電状態となって商用電源からの電力を蓄電部に蓄電する際に商用電源から蓄電部に向かって流れる電流を交流電流から直流電流に変換し、かつ、放電回路が通電状態となって蓄電部から負荷に向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換する双方向インバータを、1個のみ備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内で発生する負荷へ電力を供給する建物用電力供給システムに係り、特に、建物に取り付けられ、自然エネルギーを利用して発電する発電部と、該発電部が発電した電力及び商用電源からの電力を蓄電することが可能な蓄電部と、を備える建物用電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内で発生する負荷へ電力を供給する建物用電力供給システムとして、太陽光エネルギー等の自然エネルギーを利用して発電する発電部を備え、電力を蓄電することが可能な蓄電部を更に有するシステムが既に開発されている。かかるシステムの中には、蓄電部を複数有するものがあり、例えば、発電部が発電した電力を一の蓄電部に蓄電している間、他の蓄電部に蓄電された電力を放電して負荷に供給することが可能なシステムも存在する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1及び2では、複数の蓄電池のうち、いずれかの蓄電池に太陽電池の出力を充電している間、残りの蓄電池が放電して電力を供給し、充電又は放電する蓄電池を切り替えるための制御部を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−45677号公報
【特許文献2】特開2008−148443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蓄電部を複数有する建物用電力供給システムにおいて、発電部が発電した電力の他に商用電源からの電力を蓄電しておくことが可能な蓄電部が採用される場合も考えられる。一方で、商用電源からの電力を蓄電部に蓄電するためには、商用電源から蓄電部に向かって流れる電流を交流電流から直流電流に変換する必要がある。
【0006】
上記の事情により、従来の建物用電力供給システムでは、例えば、商用電源から蓄電部に向かって流れる交流電流を直流電流に変換する機器としての充電器が蓄電部毎に設けられていた。しかしながら、充電器を蓄電部毎に設置するには、充電器の数に見合う機器設置スペースを確保しなければならない他、システム全体におけるエネルギー変換効率が低くなる虞がある。また、充電器では変換動作に伴って発熱が生じ、冷却ファン等の設置を要し、機器設置スペースを更に確保する必要が生じ、ファンの運転による騒音や排熱等の不具合も生じてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電部が発電した電力及び商用電源からの電力を蓄電することが可能な蓄電部を複数備えるシステムを小型化し、エネルギー変換効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の建物用電力供給システムによれば、建物に取り付けられ、自然エネルギーを利用して発電する発電部と、該発電部が発電した電力及び商用電源からの電力を蓄電することが可能な複数の蓄電部と、を備えた、建物内で発生する負荷へ電力を供給する建物用電力供給システムであって、前記商用電源からの電力を前記蓄電部に蓄電する際に通電状態となる蓄電回路と、前記蓄電部に蓄電された電力を放電して前記負荷へ供給する際に通電状態となる放電回路と、前記蓄電回路の端子及び前記放電回路の端子のうち、接続する側の端子を切り替えて、前記蓄電回路と前記放電回路のうちのいずれかを通電状態にするスイッチと、を前記蓄電部毎に備え、前記蓄電回路が通電状態となって前記商用電源からの電力を前記蓄電部に蓄電する際に前記商用電源から前記蓄電部に向かって流れる電流を交流電流から直流電流に変換し、かつ、前記放電回路が通電状態となって前記蓄電部から前記負荷に向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換する1個のみの双方向インバータを、備えることにより解決される。
上記の構成により、本発明の建物用電力供給システムでは、双方向インバータを設置することにより、蓄電部を複数備えながらも充電器を蓄電部毎に用意する必要がなくなる結果、システムの小型化を実現するとともに、充電器での発熱ロスを抑えることでエネルギー変換効率についても向上する。
【0009】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記発電部が発電した電力を前記商用電源へ逆潮流させることが可能であり、前記発電部が発電した電力を前記商用電源へ逆潮流させる際に前記発電部から前記商用電源に向かって電流が流れる逆潮流回路と、該逆潮流回路内に設置された、前記発電部から前記商用電源に向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換するインバータと、を備え、前記逆潮流回路は、前記放電回路とは別回路をなしており、前記インバータは、前記1個のみの双方向インバータとは別体をなしていると、好適である。かかる構成であれば、発電部が発電した電力を商用電源へ逆潮流する際に電流を変換するインバータが、双方向インバータとは別に設けられており、発電部が発電した電力を商用電源へ逆潮流するための回路(逆潮流回路)が、蓄電部に蓄電された電力を放電して負荷へ供給するための回路(放電回路)と分かれているので、発電部の発電電力が適切に逆潮流されるようになる。
【0010】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記蓄電部毎に設けられた前記放電回路及び前記蓄電回路には、いずれも、前記放電回路と前記蓄電回路との間で共通の共通回路が含まれており、該共通回路内に前記双方向インバータが設置されていると、より好適である。かかる構成であれば、蓄電部毎に設けられた蓄電回路及び放電回路がいずれも双方向インバータを経由するので、双方向インバータの機能が適切に発揮されることになる。
【0011】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記発電部が発電した電力を前記蓄電部に蓄電する際に通電状態となる第2の蓄電回路と、該第2の蓄電回路の状態を切り替える第2のスイッチと、を前記蓄電部毎に備え、前記スイッチ及び前記第2のスイッチを操作して前記蓄電部における電力の蓄電及び放電を前記蓄電部毎に切り替える切り替え操作を実行する切り替え部と、前記発電部が発電した電力、前記商用電源からの電力、及び、前記蓄電部に蓄電された電力のうち、どの電力を前記負荷へ供給するかを決定する決定部と、を有し、該決定部は、前記負荷への電力供給モードとして、前記蓄電部に蓄電された電力を放電して前記負荷に供給するとともに前記発電部が発電した電力を前記商用電源へ逆潮流させる第1モードと、前記発電部が発電した電力、前記商用電源からの電力、及び前記蓄電部に蓄電された電力のうち、前記商用電源からの電力以外の電力を優先的に前記負荷に供給する第2モードとのうち、いずれかのモードを選択し、前記切り替え部は、前記決定部が決定した前記電力供給モードに応じて、前記切り替え操作を実行すると、より一層好適である。
かかる構成により、例えば建物の居住者は、経済的メリットを重視した第1モードと、環境負荷の削減を重視した第2モードとのうちから、自己の価値観やライフスタイルに基づいて最適な電力供給モードを選択することが可能となる。さらに、例えば、フィードインタリフ制度(固定価格買い取り制度)の終了等により、発電部が発電した電力を逆潮流することができず建物内で消費するようになった場合にも、システムの見直しを図る必要がなくなる。
【0012】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記決定部が前記電力供給モードを前記第1モードに決定した場合には、前記蓄電部毎に設けられた前記蓄電回路及び前記第2の蓄電回路のいずれもが遮断された状態で、前記負荷における電力の消費量に応じた数の前記蓄電部に蓄電された電力が放電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行し、前記決定部が前記電力供給モードを前記第2モードに決定した場合には、複数の前記蓄電部のうち、少なくとも1つの蓄電部に蓄電された電力が放電され、かつ、電力を放電していない前記蓄電部には前記発電部が発電した電力が蓄電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行すると、さらに好適である。
かかる構成により、第1モードでは発電部が発電した電力を逆潮流させることを優先し、第2モードでは商用電源からの電力を用いないことを優先するように、切り替え部が適切に切り替え操作を実行することになる。また、第2モードでは、少なくとも1つの蓄電部に蓄電された電力を放電することにより、例えば、蓄電部の状態を蓄電状態から放電状態に切り替える際に時間を要するとしても、その切り替えの期間中に商用電源からの電力を受電せずに対応することが可能となる。
【0013】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記決定部が前記電力供給モードを前記第2モードに決定した場合には、複数の前記蓄電部のうち、電力の蓄電量が最も多い前記蓄電部に蓄電された電力が優先的に放電され、かつ、前記蓄電量が最も少ない前記蓄電部に前記発電部が発電した電力が蓄電され、蓄電が完了した時点で蓄電された電力が放電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行すると、さらに一層好適である。
かかる構成であれば、電力を蓄電する蓄電部と、電力を放電する蓄電部とを適宜切り替えることにより、負荷への電力供給を効率良く行うことが可能になる。
【0014】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記発電部は、自然エネルギーとしての太陽光エネルギーを利用して発電し、前記決定部が前記電力供給モードを前記第1モードに決定した場合の夜間時間帯には、複数の前記蓄電部のうち、少なくとも1つの蓄電部に蓄電された電力を放電して前記負荷に供給し、複数の前記蓄電部の全てに蓄電された電力を放電しても前記負荷への供給量が足りない場合には前記商用電源からの電力が前記負荷に供給され、かつ、前記夜間時間帯のうち、前記商用電源からの電力の使用量の単価が安くなる深夜時間帯中は前記商用電源からの電力が前記負荷に供給されるとともに前記蓄電部に蓄電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行すると、尚一層好適である。
かかる構成であれば、発電部による発電ができない時間帯において、システム全体における電力供給の合理化を図ることが可能になる。
【0015】
また、上記の建物用電力供給システムにおいて、前記負荷における電力の消費量を検出して、該消費量に応じた消費量信号を出力する消費量信号出力部を更に有し、前記切り替え部は、前記消費量信号に基づいて前記切り替え操作を実行すると、ますます好適である。
かかる構成であれば、切り替え部が切り替え操作を実行するにあたり、負荷に供給する電力量(消費電力量)に応じて適切な切り替え操作を実行するようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建物用電力供給システムでは、双方向インバータを設置することにより、蓄電部を複数備えながらも充電器を蓄電部毎に用意する必要がなくなる。この結果、充電器の分だけ(厳密には、複数の充電器を設置するために必要な設置スペースから双方向インバーを設置するために要するスペースを差し引いた分)、システムの小型化を実現するとともに、充電器での発熱ロスが抑えられるのでシステム全体の総合エネルギー変換効率についても向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る建物用電力供給システムの全体構成図である。
【図2】建物用電力供給システムにおける制御系統を示すブロック図である。
【図3】電力供給処理のフロー図である(その1)。
【図4】電力供給処理のフロー図である(その2)。
【図5】電力供給処理のフロー図である(その3)。
【図6A】電力供給処理のフロー図である(その4)。
【図6B】電力供給処理のフロー図である(その5)。
【図7】売電優先モードによる電力供給状態を示す第1図である。
【図8】売電優先モードによる電力供給状態を示す第2図である。
【図9】買電回避モードによる電力供給状態を示す第1図である。
【図10】買電回避モードによる電力供給状態を示す第2図である。
【図11】買電回避モードによる電力供給状態を示す第3図である。
【図12】夜間時間帯向けの電力供給状態を示す第1図である。
【図13】夜間時間帯向けの電力供給状態を示す第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<<本実施形態に係る建物用電力供給システムについて>>
本発明の一実施形態(以下、本実施形態とも言う)に係る建物用電力供給システムについて、図1乃至12を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る建物用電力供給システムの全体構成図である。図2は、建物用電力供給システムにおける制御系統を示すブロック図である。図3乃至6Bは、電力供給処理のフロー図である。図7及び8は、後述する売電優先モードによる電力供給状態を示す図(第1図及び第2図)である。図9乃至11は、後述する買電回避モードによる電力供給状態を示す図(第1図、第2図及び第3図)である。図12及び13は、夜間時間帯向けの電力供給状態を示す図(第1図及び第2図)である。
なお、図示の便宜上、図7から図13の各図に図示された回路中、電流が流れる部分(通電部分)を太線にて示している。
【0019】
先ず、本実施形態に係る建物用電力供給システム(以下、本システムSとも言う)の全体構成等について概説する。
本システムSは、建物内における電力需要、すなわち、建物内で発生する負荷Lに対して電力を供給するシステムであり、具体的には、建物内で使用される電力消費機器に対して電力を供給する。なお、以降の説明では、建物の一例して住宅Hを挙げ、住宅H内における負荷Lに対して電力を供給するための電力供給システムについて説明する。ただし、住宅Hは建物の一例に過ぎず、その内空間にて負荷Lが発生するものである限り、例えば、オフィスビル、工場内の建屋、店舗等であってもよい。
【0020】
本システムSは、自然エネルギーとしての太陽光エネルギーを利用して発電することが可能であり、発電した電力を、蓄電部としての蓄電池21に蓄電することが可能である。また、本システムSは、商用電源CPからの電力(いわゆる系統電力)を受電しており、上記の蓄電池21には商用電源CPからの電力を蓄電することも可能である。そして、本システムSは、発電された電力(発電電力)、系統電力、及び、蓄電池21に蓄電された電力(蓄電電力)を負荷Lに対して供給する。
【0021】
さらに、本システムSは、発電電力の一部又は全部を商用電源CPに逆潮流させることが可能である。すなわち、本システムSは、系統連系しており、自己発電により発生した発電電力を電気事業者(商用電源CPの保有者)の電力系統へ供給(いわゆる売電)することが可能である。
【0022】
本システムSは、図1及び2に示すように、発電部としての発電ユニット1と、複数の蓄電池21からなる蓄電池ユニット2と、電流が流れる回路を構成する回路ユニット3と、本システムS各部を制御する制御ユニット4と、を主たる構成要素として有する。
【0023】
発電ユニット1は、自然エネルギーとしての太陽光エネルギーを利用して発電するものであり、具体的には、住宅Hに取り付けられた太陽電池モジュール(不図示)により構成されている。発電ユニット1が発電した電力は、直流電力であり、負荷Lに供給される際や商用電源CPに逆潮流される際には、後述のDC−ACインバータ31によって交流電力に変換される。また、発電ユニット1が発電した電力を蓄電池21に蓄電する際には、コンバータ32により所定の電圧値まで降圧してから蓄電する。
【0024】
蓄電池ユニット2は、蓄電部としての蓄電池21から構成される。本実施形態に係る蓄電池21は、リチウムイオン電池であり、蓄電池21には、発電ユニット1が発電した発電電力を蓄電することが可能である。さらに、蓄電池21は、発電ユニット1が発電した発電電力のほか、系統電力を蓄電することも可能である。具体的に説明すると、交流電力である系統電力は、後述の双方向インバータ33により直流電力に変換され、所定の電圧値まで降圧されてから蓄電池21に蓄電される。
【0025】
一方、蓄電池21に蓄電された電力は、放電されて負荷Lに供給されるが、負荷Lに供給されるにあたり、双方向インバータ33により直流電力から交流電力に変換され、更に、所定の電圧値まで昇圧される。
【0026】
そして、本実施形態に係る蓄電池ユニット2は、蓄電池21を複数備えている。これにより、複数の蓄電池21のうち、一部の蓄電池21に蓄電された電力を放電している間に、残りの蓄電池21に電力を蓄電することが可能になる。すなわち、本システムSでは、蓄電池21への電力の蓄電と蓄電池21からの電力の放電とを同時に実施することが可能である。
【0027】
なお、以下の説明では、3個の蓄電池21を備える構成を例に挙げて説明するが、本システムS内に設置される蓄電池21の個数については、少なくとも2個以上であればよく、特に制限されるものではない。また、以下の説明では、各蓄電池21の容量(蓄電可能な電力の容量)が蓄電池21間で同一である構成を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、蓄電池21間で異なることとしてもよい。
【0028】
さらに、各蓄電池21の陰極側には、蓄電池21に蓄電された電力が意図せずに放電してしまうのを防止するために逆流防止ダイオード22が接続されている。この逆流防止ダイオード21により、蓄電池21から電流が流れる場合(換言すると、蓄電池21に蓄電された電力が放電される場合)は必ず陽極側から流れるようになっている。なお、逆流防止ダイオード22の、蓄電池21が位置する側とは反対側の端子Taには、後述の切り替えスイッチSSWが接触可能である。
【0029】
回路ユニット3は、図1に示す通り、主に、発電ユニット1と負荷Lとの間に敷設された第1ラインA1と、発電ユニット1と商用電源CP(厳密には、住宅H内に設けられた系統電力の受電設備)との間に敷設された第2ラインA2と、商用電源CP(厳密には、上記の受電設備)と負荷Lとの間に敷設された第3ラインA3と、商用電源CP(厳密には、上記の受電設備)と蓄電池21との間に敷設された第4ラインA4と、蓄電池21と負荷Lとの間に敷設された第5ラインA5と、発電ユニット1と蓄電池21との間に敷設された第6ラインA6とによって構成される。各ラインA1〜A6の構成については、後に詳述する。
【0030】
制御ユニット4は、図2に示すように、ホームサーバ41と、宅内ネットワーク5を介してホームサーバ41と通信可能に接続された各種電力計測器(例えば、発電量センサM1)とを有する。ホームサーバ41は、CPU、ROM及びRAM、通信用インターフェースを主たる構成要素として有し、ROMには、本システムSを制御するためにインストールされたプログラム(以下、制御プログラム)が記憶されている。
【0031】
また、ホームサーバ41は、通信用インターフェースを通じて操作パッド42と通信可能であり、操作パッド42から送信される信号を受信する。ここで、操作パッド42とは、負荷Lへの電力供給モードを選択する選択画面を表示して、ユーザ(具体的には、住宅Hの居住者)の選択結果を受け付けて、当該選択結果に応じたデータをホームサーバ41に向けて送信する通信機器である。ユーザの選択結果は、ユーザが操作パッド42のタッチパネル(不図示)に表示された電力供給モードの選択肢の中からいずれかをタッチすることにより受け付けられる。
【0032】
以上のように構成された本システムSでは、ホームサーバ41が、負荷Lへの電力供給モードに関するユーザの選択結果を示すデータを操作パッド42から受信すると、当該データに応じたモードに則って、本システムSが負荷Lに対して電力を供給するようになる。
【0033】
なお、本実施形態では、負荷Lへの電力供給モードとして、売電優先モードと、買電回避モードとを選択すること可能である。ここで、売電優先モードとは、第1モードに相当し、蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給するとともに、発電ユニット1が発電した電力(発電電力)を商用電源CPへ逆潮流させるモードである。他方、買電回避モードとは、第2モードに相当し、発電電力、系統電力、及び蓄電池21に蓄電された電力のうち、系統電力以外の電力を優先的に負荷Lに供給するモードである。
【0034】
かかる構成により、例えばユーザは、経済的メリットを重視した売電優先モードと、環境負荷の削減を重視した買電回避モードとのうちから、自己の価値観やライフスタイルに基づいて最適な電力供給モードを選択することが可能となる。さらに、例えば、フィードインタリフ制度の終了等により、発電ユニット1が発電した電力を逆潮流することができず住宅H内で消費するようになった場合にも、システムの見直しを図る必要がなくなる。
【0035】
<回路ユニット3について>
回路ユニット3は、前述したとおり、主に、第1ラインA1〜第6ラインA6によって構成される。以下、図1を参照しながら、各ラインA1〜A6別に構成を説明する。
【0036】
第1ラインA1は、発電ユニット1から負荷Lに向かって電流が流れる回路であり、その中途位置には、発電ユニット1から流れる直流電流を交流電流に変換するDC−ACインバータ31が設置されている。
【0037】
第2ラインA2は、発電ユニット1から商用電源CPに向かって電流が流れる回路である。すなわち、第2ラインA2は、逆潮流回路に相当し、発電ユニット1が発電した電力を商用電源CPへ逆潮流させる際に発電ユニット1から商用電源CPに向かって電流が流れるものである。また、第2ラインA2の中途位置には上記のDC−ACインバータ31が設置されている。つまり、DC−ACインバータ31は、インバータの一例として逆潮流回路たる第2ラインA2内に設置されており、発電ユニット1から商用電源CPに向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換するものとして機能する。また、本実施形態では、発電ユニット1からDC−ACインバータ31の下流に位置する分岐点に至るまでの区間において、第1ラインA1と第2ラインA2とは、共通回路となっており、当該分岐点にて分岐し、それぞれ単独の回路へと分かれる(図1参照)。
【0038】
第3ラインA3は、商用電源CPから負荷Lに向かって電流(交流電流)が流れる回路である。なお、本実施形態では、第3ラインA3のうち、住宅H内に設けられた系統電力の受電設備から若干下流側の位置(商用電源CPから負荷Lに向かって流れる電流の向きから見て下流側の位置であり、具体的には、第1ラインA1と第2ラインA2との分岐点)に至るまでの区間については、前述の第2ラインA2と共通の回路になっており、上記区間以降の区間については、前述の第1ラインA1と共通の回路になっている(図1参照)。
【0039】
第4ラインA4は、商用電源CPから蓄電池21に向かって電流が流れる回路であり、換言すると、系統電力を蓄電池21に蓄電するための回路である。本実施形態では、第4ラインA4のうち、住宅H内に設けられた系統電力の受電設備から幾分下流側に位置する分岐点(以下、第1の分岐点とも言う)に至るまでの区間については、前述の第3ラインA3と共通の回路になっており、第1の分岐点にて分岐し、それぞれ単独の回路へと分かれる(図1参照)。さらに、第4ラインA4は、第1の分岐点から見て更に下流側の位置に第2の分岐点を有し、当該第2の分岐点にて更に分岐して、蓄電池21と同数の分岐回路に分かれる。
【0040】
そして、第4ラインA4は、第2分岐点にて蓄電池21と同数に分岐した後、各蓄電池21に対して接続可能に構成されている。具体的に説明すると、図1に示すように、蓄電池21毎の分岐回路には、その中途位置に切り替えスイッチSSWが設置されている。この切り替えスイッチSSWは、前述したように、逆流防止ダイオード22の端子Taに接触可能であり、切り替えスイッチSSWが逆流防止ダイオード22の端子Taに接触した際には、当該逆流防止ダイオード22に接続された蓄電池21、に対応する分岐回路の状態が通電状態(電流が流れる状態)となる。反対に、切り替えスイッチSSWが逆流防止ダイオード22の端子Taから離間した際には、当該逆流防止ダイオード22に接続された蓄電池21、に対応する分岐回路の状態が遮断状態(電流が流れなくなる状態)となる。
【0041】
また、図1に示すように、第4ラインA4の中途区間(具体的には、第1の分岐点と第2の分岐点との間の区間)には、1個のみの双方向インバータ33が設置されている。双方向インバータ33は、第4ラインA4において昇降圧コンバータ33よりも上流側(商用電源CPから蓄電池21に向かって電流が流れる向きから見て上流側)に位置し、系統電力を蓄電池21に蓄電する際には、商用電源CPから蓄電池21に向かって流れる電流を交流電流から直流電流に変換するとともに、入力電圧を所定の電圧値まで降圧して出力する。
【0042】
第5ラインA5は、蓄電池21から負荷Lに向かって電流が流れる回路であり、換言すると、蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給するための回路である。第5ラインA5は、各蓄電池21の陽極から延出し、最終的には、第1ラインA1や第3ラインA3と回路を共有するようになる。
【0043】
具体的に説明すると、図1に示すように、各蓄電池21の陽極から延出した回路(以下、延出回路)は、前述の切り替えスイッチSSWに接続されており、より具体的には、各蓄電池21の陽極からやや下流側の位置に切り替えスイッチSSWと接触可能な端子Tbが設置されている。そして、切り替えスイッチSSWが当該端子Tbに接触した際には、当該端子Tb直近の蓄電池21、に対応する延出回路の状態が通電状態となる。反対に、切り替えスイッチSSWが上記端子Tbから離間した際には、当該端子Tb直近の蓄電池21に対応する延出回路の状態が遮断状態となる。
【0044】
また、第5ラインA5は、各切り替えスイッチSSWの下流側(蓄電池21から負荷Lに向かって流れる電流の向きから見て下流側)の一定区間において、第4ラインA4と回路を共有する。具体的に説明すると、第5ラインA5は、前述の双方向インバータ33を経由している。これにより、蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給する際には、双方向インバータ33において、蓄電池21から負荷Lに向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換するとともに、所定の電圧値まで昇圧する。そして、第5ラインA5は、双方向インバータ33の下流側(蓄電池21から負荷Lに向かって流れる電流の向きから見て下流側)の所定位置(具体的には、第4ラインA4の第1分岐点に相当する位置)以降、第1ラインA1や第3ラインA3と回路を共有するようになる。
【0045】
第6ラインA6は、発電ユニット1から蓄電池21に向かって電流(直流電流)が流れる回路であり、換言すると、発電ユニット1が発電した電力を蓄電池21に蓄電するための回路である。第6ラインA6は、図1に示すように、蓄電池21に向かう中途位置で分岐し、蓄電池21と同数の分岐回路に分かれる。各分岐回路の末端側の端子は、対応する蓄電池21に接続されており、より具体的には、各蓄電池21の陰極に接続された逆流防止ダイオード22に接続されている。
【0046】
また、図1に示すように、第6ラインA6の各分岐回路には、コンバータ32と、オンオフスイッチSWと、が設けられている。コンバータ32は、本実施形態ではDC−DCコンバータであり、発電ユニット1が発電した発電電力を蓄電池21に蓄電する際に入力電圧を所定の電圧値まで降圧して出力する機器である。オンオフスイッチSWは、開閉自在に構成されており、オンオフスイッチSWの開閉状態を切り替えることで各分岐回路の状態が通電状態から遮断状態に、若しくは遮断状態から通電状態に切り替わる。
【0047】
以上までに説明してきた通り、本実施形態では、商用電源CPからの電力を蓄電池21に蓄電する際に通電状態となる蓄電回路が、蓄電池21毎に備えられ、具体的には第4ラインA4として構成されている。同様に、本実施形態では、蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lへ供給する際に通電状態となる放電回路が、蓄電池21毎に備えられ、具体的には第5ラインA5として構成されている。
【0048】
また、本実施形態では、スイッチとしての切り替えスイッチSSWが、蓄電池21毎に備えられている。各切り替えスイッチSSWは、蓄電回路の端子(具体的には、逆流防止ダイオード22の端子Ta)、及び、放電回路(具体的には、蓄電池21の陽極から延出した延出回路に設けられた端子Tb)の端子のうち、接続する側の端子を切り替えて、対応する蓄電回路と放電回路のうちのいずれかを通電状態にする。
【0049】
さらに、本実施形態では、発電ユニット1が発電した電力を蓄電池21に蓄電する際に通電状態となる第2の蓄電回路が、蓄電池21毎に備えられ、具体的には第6ラインA6として構成されている。また、第2スイッチとしてのオンオフスイッチSWが、蓄電池21毎に備えられており、各オンオフスイッチSWの開閉を切り替えることにより、対応する第2の蓄電回路の状態を切り替える。
【0050】
以上のような構成により、蓄電池21毎に設けられた切り替えスイッチSSW及びオンオフスイッチSWを操作することによって、負荷Lへ供給する電力の供給源(電力源)を切り替えることが可能になる。また、蓄電池21に電力を蓄電する際には、発電ユニット1が発電した電力又は商用電源CPからの電力のいずれかを選択することが可能になる。さらに、蓄電池21毎に蓄電及び放電を切り替えることも可能になるので、前述したように、複数の蓄電池21の一部について電力を放電している間に、残りの蓄電池21については電力を蓄電しておくことも可能である(すなわち、蓄電と同時に放電を行うことが可能である)。
【0051】
また、本実施形態では、双方向インバータ33が設けられている。そして、かかる双方向インバータ33により、蓄電回路が通電状態となって商用電源CPからの電力を蓄電池21に蓄電する際に商用電源CPから蓄電池21に向かって流れる電流が交流電流から直流電流に変換される。双方向インバータ33は、また、放電回路が通電状態となって蓄電池から負荷Lに向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換する。本実施形態では、上記の機能を発揮する双方向インバータ33が、本システムS中、1個のみ備えられている。
【0052】
具体的に説明すると、蓄電池21毎に設けられた放電回路及び蓄電回路(つまり、第4ラインA4及び第5ラインA5)には、いずれも、放電回路と蓄電回路との間で共通の共通回路が含まれており、当該共通回路内に双方向インバータ33が設置されている。換言すると、本実施形態に係る回路ユニット3は、蓄電池21毎に設けられた蓄電回路及び放電回路が、いずれも双方向インバータ33を経由するように構成されている。以上のように、本実施形態では、蓄電池21における蓄電及び放電に際して必要となる電流の変換を1個の双方向インバータ33のみで実行する。この結果、本実施形態では、システムの小型化を実現するとともに、システム全体の総合エネルギー変換効率を向上させることが可能になる。
【0053】
すなわち、蓄電池21を複数備える従来のシステムでは、商用電源から蓄電池21に向けて流れる電流を交流電流から直流電流に変換するための充電器が、蓄電池21毎に備えられていた。このため、充電器の数に見合う機器設置スペースを確保しなければならなくなる。また、充電器が電流変換に伴って発熱するために変換ロスが発生し、システム全体におけるエネルギー変換効率が低くなる虞がある。また、冷却ファン等を設置して充電器を冷却する必要があることから、機器設置スペースを更に確保する必要が生じ、ファンの運転による騒音や排熱等の不具合も生じてしまう。
【0054】
これに対し、本実施形態では、蓄電池21における蓄電及び放電に際して必要となる電流の変換を、単一の双方向インバータ33のみで実行するので、蓄電池21毎に充電器を設ける場合に比して設置スペースを要さず、更に変換ロスを低減することが可能になる。さらに、冷却ファン等の設置も要さず、ファンの運転による騒音や排熱等の不具合の発生を未然に防止することも可能である。以上の結果、本実施形態であれば、システムの小型化を実現するとともに、システム全体の総合エネルギー変換効率を向上させることが可能になる。
【0055】
なお、本実施形態のように、蓄電池21毎に設けられた放電回路及び蓄電回路が、いずれも双方向インバータ33を経由するように回路ユニット3が構成されているので、上述した双方向インバータ33の機能が適切に発揮されることになる。
【0056】
さらに、本実施形態では、逆潮流回路としての第2ラインA2は、放電回路としての第5ラインA5とは別回路をなしている。また、発電ユニット1の発電電力を逆潮流させる際に電流を変換するDC−ACインバータ31は、1個のみの双方向インバータ33とは別体をなしている。これにより、発電ユニット1の発電電力が適切に逆潮流されるようになる。
【0057】
分かりやすく説明すると、例えば、発電ユニット1の発電電力を逆潮流させる際に上記の双方向インバータ33を経由させる構成とした場合、発電ユニット1の発電電力、及び、蓄電池21が放電した電力の双方が、双方向インバータ33からの出力電力となってしまい、かかる状況では、商用電源CPに逆潮流させることが不可能である。これに対し、本実施形態では、逆潮流回路(第2ラインA2)と放電回路(第5ラインA5)とが別回路をなしおり、発電ユニット1の発電電力を逆潮流させる際に電流を変換するDC−ACインバータ31が、双方向インバータ33とは別に設けられているので、上記の状況となり得ず、適切に発電ユニット1の発電電力を逆潮流させることが可能になる。
【0058】
<制御ユニット4について>
次に、制御ユニット4の構成や動作例等について説明する。
前述したように、本システムSでは、負荷Lへの電力供給モードとして、売電優先モードと買電回避モードとが選択可能である。本システムSは、上記2つのモードのうち、ユーザが操作パッド42上で選択したモードにて負荷Lに電力を供給する。
【0059】
また、売電優先モードが選択された場合の夜間時間帯には、発電ユニット1による発電が中断するので、夜間電力を商用電源CPから受電する。さらに、夜間時間帯のうち、前記商用電源からの電力の使用量あたりの単価(いわゆる電気料金)が安くなる深夜時間帯中は、商用電源CPからの電力が負荷Lに供給するとともに、蓄電池21に当該電力を蓄電することも可能である。
【0060】
また、商用電源CPが異常状態となり系統電力を受電できなくなった場合(すなわち、停電の場合)には、住宅H内の負荷Lのうち、電力を優先的に供給すべき重要な負荷L(以下、重要負荷L1)に優先的に電力を供給し、重要でない負荷L(以下、非重要負荷L2)には電力供給を中止する。
【0061】
以上の機能を実現するために、ホームサーバ41には、通信部41aと、モード決定部41bと、スイッチ切り替え部41cと、蓄電量算出部41dと、負荷選択部41eと、時刻管理部41fとを有し、これらの各部は、ホームサーバ制御部41gを介して互いに接続されている。
【0062】
通信部41aは、ホームサーバ41の構成要素のうち、CPU、ROM、RAM、通信用インターフェース、及び、予めインストールされた制御プログラムにより構成されており、操作パッド42からの送信データである、電力供給モードに対するユーザの選択結果を示すデータを受信する。
【0063】
また、通信部41aは、操作パッド42から送信されるデータのほか、住宅H内に各種電力計測器からの出力信号についても受信可能である。ここで、電力計測器とは、発電量センサM1、売電量センサM2、買電量センサM3及び消費電力量センサM4のことであり、各々は、CTセンサにより構成され、ホームサーバ41と通信可能に接続されており、所定時間毎に電力量を検出して該電力量に応じた信号を通信部41aに向けて出力する。
【0064】
発電量センサM1は、発電量信号出力部に相当し、所定位置(例えば、発電ユニット1の下流側の直近位置)にセットされた状態で、発電ユニット1による電力の発電量を検出し、該発電量に応じた発電量信号を通信部41aに向けて出力する。売電量センサM2は、所定位置(例えば、系統電力を受電する設備の直近位置)にセットされた状態で、発電ユニット1が発電した電力のうち、商用電源CPへ逆潮流させた分の電力量(売電量)を検出し、該電力量に応じた売電量信号を通信部41aに向けて出力する。
【0065】
買電量センサM3は、所定位置(例えば、系統電力を受電する設備の直近位置)にセットされた状態で、系統電力の受電量(買電量)を検出し、該受電量に応じた買電量信号を通信部41aに向けて出力する。消費電力量センサM4は、消費量信号出力部に相当し、所定位置(例えば、分電盤6内)にセットされた状態で、負荷Lにおける電力の消費量を検出して、該消費量に応じた消費量信号を出力する。
【0066】
モード決定部41bは、決定部に相当し、ホームサーバ41のCPU、ROM、RAM及び制御プログラムにより構成されている。モード決定部41bは、通信部41aが受信した操作パッド42からのデータを解析し、電力供給モードに対するユーザの選択結果を特定する。そして、特定したユーザの選択結果に応じて、発電ユニット1が発電した電力、商用電源CPからの電力(系統電力)、及び、蓄電池21に蓄電された電力のうち、どの電力を負荷Lへ供給するかを決定する。なお、本実施形態では、前述したように、電力供給モードとして売電優先モードと買電回避モードが用意されており、モード決定部41bは、上記2つのモードのうち、いずれかのモードを選択し、各モードに対応する電力を負荷Lへ供給する。
【0067】
スイッチ切り替え部41cは、切り替え部に相当し、ホームサーバ41のCPU、ROM、RAM及び制御プログラムにより構成されている。スイッチ切り替え部41cは、切り替えスイッチSSW及びオンオフスイッチSWを操作して蓄電池21における電力の蓄電及び放電を、蓄電池21毎に切り替える切り替え操作を実行する。
そして、スイッチ切り替え部41cは、モード決定部41bが選択した電力供給モードに応じ、上述した電力計測器からの出力信号(特に、発電量センサM1からの発電量信号、及び、消費電力量センサM4からの消費量信号)に基づいて切り替え操作を実行する。
【0068】
スイッチ切り替え部41cの具体的な動作について説明すると、蓄電池21に系統電力を蓄電する際には、その蓄電池21に対応する切り替えスイッチSSWを、蓄電回路の端子である逆流防止ダイオード22の端子Taに接触させるとともに、上記の蓄電池21に対応するオンオフスイッチSWを開状態(オフ状態)にする。蓄電池21に蓄電された電力を放電する際には、その蓄電池21に対応する切り替えスイッチSSWを、放電回路の端子である、蓄電池21からの延出回路に設けられた端子Tbに接触させるとともに、上記の蓄電池21に対応するオンオフスイッチSWを開状態(オフ状態)にする。蓄電池21に発電ユニット1が発電した電力を蓄電する際には、その蓄電池21に対応する切り替えスイッチSSWを、いずれの端子Ta、Tbからも離間させ、かつ、上記の蓄電池21に対応するオンオフスイッチSWを閉状態(オン状態)にする。
【0069】
蓄電量算出部41dは、ホームサーバ41のCPU、ROM、RAM及び制御プログラムにより構成されており、各蓄電池21の蓄電量を算出するものである。本実施形態の場合、蓄電量算出部41dは、切り替えスイッチSSWの、各端子Ta、Tbとの接触時間、及び、オンオフスイッチSWのオン時間に基づいて、蓄電量の推定値を蓄電池21毎に算出する。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、上記以外の実測値(蓄電池21の陽極の電圧値等)に基づいて蓄電量の推定値を算出することとしてもよい。
【0070】
負荷選択部41eは、ホームサーバ41のCPU、ROM、RAM及び制御プログラムにより構成されており、商用電源CPが異常状態となり系統電力を受電できなくなった際に、負荷Lのうち、重要負荷L1にのみ電力を供給するものである。ここで、重要負荷L1の選定は、予めユーザが住宅H内で使用される電力消費機器について、予め順位付けをすることにより行われる。
【0071】
そして、重要負荷L1のみへの電力供給を実現するために、住宅H内に備えられた分電盤6には、停電時に非重要負荷L2への電力供給を遮断する遮断スイッチSHが取り付けられている。負荷選択部41eが遮断スイッチSHを開くことにより、負荷Lのうち、重要負荷L1のみに電力が供給され、非重要負荷L2への電力供給が遮断されるようになる。
なお、本実施形態において、負荷選択部41eは、発電ユニット1が電力を発電した発電量、各蓄電池21の蓄電量、及び、負荷Lにおける消費電力量を監視しながら、遮断スイッチSHの開閉を切り替える。
【0072】
時刻管理部41fは、ホームサーバ41のCPU、ROM、RAM及び制御プログラムにより構成されており、現在時刻を認識するとともに、現在時刻が夜間時間帯になると、夜間時間帯向けの電力供給がなされるように信号をスイッチ切り替え部41cに向かって出力し、当該信号を受け取ったスイッチ切り替え部41cは、上記の夜間時間帯向けの電力供給がなされるように切り替え操作を行う。ここで、夜間時間帯とは、発電ユニット1が発電することができない時間帯のことである。
また、時刻管理部41fは、現在時刻が夜間時間帯のうち、いわゆる電気料金が安くなる深夜時間帯になると、深夜時間帯向けの電力供給がなされるように信号をスイッチ切り替え部41cに向かって出力し、当該信号を受け取ったスイッチ切り替え部41cは、上記の夜間時間帯向けの電力供給がなされるように切り替え操作を行う。
【0073】
次に、上述したホームサーバ41各部の動作例として、当該各部により実行される電力供給処理について、図3乃至13を参照しながら説明する。
電力供給処理では、図3に示すように、先ず、各センサM1〜M4による電力計測が実施され、当該計測結果を示す信号がホームサーバ41の通信部41aに向けて出力される(S001)。
【0074】
ホームサーバ41側において電力計測結果を示す信号が受信されると、モード決定部41bが、操作パッド42から受信したデータを解析して、ユーザが操作パッド42上で選択した電力供給モードを特定する。かかるステップが、モード決定部41bによる電力供給モードの決定ステップ(S002)に相当する。
【0075】
ここで、モード決定部41bが売電優先モードに決定すると(S003で「売電優先モード」)、以降、当該モードに従って、負荷Lへの電力供給がなされる。すなわち、売電優先モードに決定した場合、蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給するとともに、発電ユニット1が発電した電力を商用電源CPへ逆潮流させるようになる。
【0076】
一方、モード決定部41bが買電回避モードに決定すると(S003で「買電回避モード」)、以降、当該モードに従って、負荷Lへの電力供給がなされ、具体的には、発電ユニット1が発電した発電電力、系統電力、及び蓄電池21に蓄電された電力のうち、系統電力以外の電力を優先的に負荷Lに供給するようになる。また、モード決定部41bが売電優先モードに決定した場合の夜間時間帯には(S004でYes)、夜間時間帯に適した電力供給が実行され、さらに、深夜時間帯中には(S005でYes)、深夜時間帯に適した電力供給が実行される。夜間時間帯及び深夜時間帯の各期間中の電力供給については、後に詳述する。
【0077】
以下、電力供給処理における各ケースについて詳しく説明する。
モード決定部41bが売電優先モードに決定した場合であって、発電ユニット1が発電可能な時間帯(すなわち、夜間以外の時間帯)にあるケース(S004で記号Aにて示されるケース)では、ホームサーバ制御部41gが、ステップS001にて受信された各センサM1〜M4からの出力信号を解析する。当該解析工程において、ホームサーバ制御部41gは、消費電力量センサM4からの出力信号に基づいて、負荷Lにおける電力の消費量を算出する。
一方、蓄電部算出部41dが各蓄電池21の蓄電量を算出し、さらに、当該算出結果から総蓄電量(全ての蓄電池21の蓄電量の総和)を求める。
【0078】
その後、算出された電力消費量及び総蓄電量を比較して、総蓄電量が消費電力量以上である場合には(S011でYes)、図7に示すように、蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給するとともに、発電ユニット1が発電した電力が全て商用電源CPに逆潮流するようになる(S012)。さらに、本実施形態では、負荷Lにおける電力の消費量(消費電力量)に応じた数の蓄電池21に蓄電された電力が放電される。
一方、総蓄電量が消費電力量を下廻る場合には(S011でNo)、図8に示すように、全ての蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給し、不足分を、発電ユニット1による発電電力によって補い、当該発電電力の余剰分が商用電源CPに逆潮流するようになる(S013)。
【0079】
以上のように、売電優先モードが選択された場合であって、発電ユニット1が発電可能な時間帯には、発電ユニット1が発電した電力を極力商用電源CPへ逆潮流させるべく、負荷Lへの電源供給については、主として、各蓄電池21に蓄電された電力の放電によって賄われる。さらに、本実施形態では、負荷Lにおける電力の消費量に応じた数だけ蓄電池21に蓄電された電力が放電される。
【0080】
ところで、上述した売電優先モードにおける一連の処理は、売電優先モードによる電力供給がなされるようにスイッチ切り替え部41cが消費電力量センサM4からの消費量信号に基づいて、前述の切り替え操作を実行することによって実現される。すなわち、本ケースでは発電ユニット1が発電した電力を逆潮流させることを優先するように、スイッチ切り替え部41cが適切に切り替え操作を実行することになる。
【0081】
具体的に説明すると、モード決定部41bが売電優先モードを選択した場合、発電ユニット1が発電可能な時間帯においては、スイッチ切り替え部41cは、蓄電池21毎に設けられた蓄電回路及び第2の蓄電回路のいずれもが遮断された状態で、負荷Lにおける電力の消費量に応じた数の蓄電池21に蓄電された電力が放電されるように切り替え操作を実行する。特に、本実施形態では、複数の蓄電池21のうち、蓄電量が最も大きい蓄電池21から順に電力を放電するように、スイッチ切り替え部41cが切り替え操作を実行する。
【0082】
なお、負荷Lにおける電力の消費量に応じた数は、算出した電力消費量に幾分の負荷変動量を加味した量を賄うことが可能な蓄電池21の数であり、少なくとも1個以上であることが望ましく、2個以上であれば更に望ましい。これは、蓄電池21の蓄電及び放電の切り替えには幾分の時間を要するために、当該切り替え時間に蓄電池21から電力を供給することができない場合、売電量が減ったり買電量が増加したりする場合が考えられる。これに対し、少なくとも1個以上の蓄電池21について放電させ続けておけば、そのうちの一の蓄電池21を放電状態から蓄電状態へと切り替える際にも、上記の問題を誘発せずに、スムーズな切り替えが実現可能となる。また、2個以上の蓄電池21について放電する場合には、万一、負荷における消費電力量が急激に増加したとしても、適切に対応することが可能となる。
【0083】
なお、2個以上の蓄電池21について放電する場合においては、例えばPMW制御を利用することにより、蓄電量(厳密には、蓄電残量)の大きい蓄電池21であるほど、多くの電力が放電されるようにすれば、更に好適である。これにより、急激な負荷変動があった場合であっても買電を回避することが可能になる。
【0084】
また、売電優先モードによる電力供給の実行中に、蓄電された電力を全て放電した蓄電池21が生じた場合、売電優先モードを中断して、当該蓄電池21に電力を蓄電し、蓄電完了後に売電優先モードを再開することとしてもよい。
【0085】
モード決定部41bが買電回避モードに決定したケース(S003で記号Bにて示されるケース)では、上述したケースと同様、ホームサーバ制御部41gが、各センサM1〜M4からの出力信号を解析して、負荷Lにおける電力の消費量を算出する一方で、蓄電部算出部41dが、各蓄電池21の蓄電量を算出する。
【0086】
その後、算出された電力消費量と、算出した各蓄電池21の蓄電量の中の最大値(最大蓄電量)とを比較して、最大蓄電量が消費電力量以上である場合には(S021でYes)、図9に示すように、最大蓄電量の蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給するとともに、残りの蓄電池21に発電ユニット1が発電した電力を蓄電する(S022)。この際、蓄電量が最も小さい蓄電池21から電力を蓄電し、蓄電完了後、2番目に蓄電量が小さい蓄電池21に電力を蓄電する。一方、蓄電が完了した蓄電池21については電力を放電するようになる。つまり、本実施形態では、蓄電量が小さい蓄電池21から順次電力が蓄電され、蓄電が完了した時点で蓄電された電力が放電されるようになる。
【0087】
一方、最大蓄電量が消費電力量を下廻る場合であって(S021でNo)、最大蓄電量と2番目に大きい蓄電量(図5中、「2番目の蓄電量」と表記)との和が消費電力量以上である場合(S023でYes)には、図10に示すように、最大蓄電量の蓄電池21、及び、2番目の蓄電量の蓄電池21の双方について電力を放電して負荷Lに供給し、残りの蓄電池21に発電ユニット1が発電した電力を蓄電する(S024)。また、最大蓄電量と2番目の蓄電量との和が消費電力量を下廻る場合(S023でNo)には、図11に示すように、全ての蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給する(S025)。なお、全ての蓄電池21に蓄電された電力を放電しても消費電力量を賄えない場合には、当然ながら、系統電力を受電して、蓄電池21に蓄電された電力及び系統電力の双方を負荷Lに供給することとなる。
【0088】
以上のように、買電回避モードが選択された場合であって、系統電力の受電(すなわち、買電)を極力回避すべく、負荷Lへの電源供給については、各蓄電池21に蓄電された電力の放電のみによって賄われる。
【0089】
そして、本実施形態では、複数の蓄電池21のうち、少なくとも1つの蓄電池21に蓄電された電力が放電され、電力を放電していない蓄電池21には発電ユニット1が発電した電力が蓄電される。つまり、本実施形態では、発電ユニット1が発電した電力が負荷Lに直接供給されることはなく、必ず、蓄電池21に蓄電された上で蓄電池21から電力が負荷Lに供給される。このように発電ユニット1による発電電力を蓄電池21に蓄電してから負荷Lに供給することは、若干のロスを伴うものの、電力を安定的に供給できるという点において好適である。
【0090】
具体的に説明すると、自然エネルギーを利用した発電、特に、太陽光エネルギーを利用した発電については、天候等により発電量が安定しないことがある。したがって、太陽光エネルギーを利用して得られる発電電力によって負荷Lを賄う場合には、発電量の変動によって、負荷Lを賄い切れなくなり、系統電力を受電せざるを得なくなる。これに対して、本実施形態のように発電電力を蓄電池21に一旦を蓄電しておけば、上記の問題が生じることなく、負荷Lに対して電力を安定的に供給することが可能になる。
【0091】
なお、上述したように、本実施形態では、複数の蓄電池21のうち、少なくとも1つの蓄電池21に蓄電された電力が放電されることとし、これにより、例えば、蓄電池21の状態を蓄電状態から放電状態に切り替える際に時間を要するとしても、その切り替えの期間中に系統電力を受電せず、スムーズに切り替えることが可能となる。
【0092】
また、買電回避モードでは、複数の蓄電池21のうち、電力の蓄電量が最も多い蓄電池21に蓄電された電力が優先的に放電され、かつ、蓄電量が最も少ない蓄電池21に発電ユニット1が発電した電力が蓄電される。そして、蓄電状態にある蓄電池21については、蓄電が完了した時点で、蓄電された電力が放電されるようになる(換言すると、放電状態に切り替わる)。これにより、買電回避モードでは、電力を蓄電する蓄電池21と、電力を放電する蓄電池21とを適宜切り替えて、負荷Lへの電力供給を効率良く行うことが可能となる。
【0093】
ところで、上述した買電回避モードにおける一連の処理は、買電優先モードによる電力供給がなされるように、スイッチ切り替え部41cが消費電力量センサM4からの消費量信号に基づいて前述の切り替え操作を実行することにより実現される。すなわち、本ケースでは系統電力を用いないことを優先するように、スイッチ切り替え部41cが適切に切り替え操作を実行することになる。
【0094】
具体的に説明すると、モード決定部41bが買電回避モードを選択した場合、スイッチ切り替え部41cは、複数の蓄電池21のうち、少なくとも1つの蓄電池21に蓄電された電力が放電され、かつ、電力を放電していない蓄電池21には発電ユニット1が発電した電力が蓄電されるように、切り替え操作を実行する。特に、本実施形態では、複数の蓄電池21のうち、電力の蓄電量が最も多い蓄電池21に蓄電された電力が優先的に放電されるように切り替え操作を実行する。その際、さらに、蓄電量が最も少ない蓄電池21に発電ユニット1による発電電力が蓄電され、蓄電池21の蓄電が完了した時点で当該蓄電池21に蓄電された電力が放電されるように、上記切り替え操作を実行する。
【0095】
なお、2個以上の蓄電池21について放電する場合においては、例えばPMW制御を利用することにより、蓄電量(厳密には、蓄電残量)の大きい蓄電池21であるほど、多くの電力が放電されるようにすれば、更に好適である。これにより、急激な負荷変動があった場合であっても買電を回避することが可能になる。
【0096】
モード決定部41bが売電優先モードに決定した場合であって、夜間時間帯にあるケースでは、売電優先モードを中止し、夜間時間帯向けの電力供給を実行する。さらに、夜間時間帯のうち、深夜時間帯にあるケースでは、深夜時間帯向けの電力供給を実行する。
【0097】
夜間時間帯のうち、深夜時間帯以外のケース(S005で記号Cにて示されるケース)について説明すると、他のケースと同様、先ず、ホームサーバ制御部41gが消費電力量センサM4からの出力信号に基づいて負荷Lにおける電力の消費量を算出する一方で、蓄電部算出部41dが各蓄電池21の蓄電量を算出した上で、総蓄電量を求める。
【0098】
その後、算出された電力消費量及び総蓄電量を比較して、総蓄電量が消費電力量以上である場合には(S031でYes)、図12に示すように、複数の蓄電池21のうち、全ての蓄電池21に蓄電された電力を放電して電力を供給する(S032)。ただし、これに限定されるものではなく、少なくとも1つの蓄電池21に蓄電された電力を放電して負荷Lに供給すればよく、例えば、負荷Lにおける電力の消費量(消費電力量)に応じた数の蓄電池21のみについて、蓄電された電力が放電されることとしてもよい。
【0099】
一方、総蓄電量が消費電力量を下廻る場合には(S031でNo)、系統電力を受電し、系統電力及び蓄電池21に蓄電された電力の双方を負荷Lに供給する(S033)。
【0100】
以上のように、売電優先モードが選択された場合であって、夜間時間帯には、複数の蓄電池21の全てに蓄電された電力を放電して負荷Lに供給することとし、複数の蓄電池21の全てに蓄電された電力を放電しても負荷Lへの供給量が足りない場合には、その不足分だけ系統電力を受電して負荷Lに供給する。このように、本実施形態では、発電ユニット1による発電ができない時間帯において、システム全体における電力供給の合理化を図ることが可能になる。
【0101】
つまり、夜間時間帯における負荷Lへの電源供給については、主として、各蓄電池21に蓄電された電力の放電によって賄われ、電力供給不足が発生した際には系統電力にて補うこととしている。この結果、夜間時間帯における系統電力の使用料(買電量)を極力抑えつつ、突発的な負荷変動に対しても柔軟に対応することが可能となる。
【0102】
夜間時間帯のうち、深夜時間帯にあたるケース(S005で記号Dにて示されるケース)では、図13に示すように、系統電力を受電して負荷Lに供給するとともに、各蓄電池21に系統電力を蓄電するようになる(S041)。このように、深夜時間帯には、使用料が安価に設定されている系統電力を有効利用する目的から、複数の蓄電池21の総蓄電量が負荷Lへの供給量を充足する場合であっても、深夜時間帯の系統電力を受電して負荷Lに供給し、各蓄電池21にも蓄電するようにしている。そして、夜間時間帯が終了し、発電ユニット1が発電を再開できる時間帯になった際に、各蓄電池21に蓄電された電力(深夜時間帯の系統電力に由来する電力)を放電して負荷Lに供給し、発電ユニット1が発電した電力を商用電源CPに逆潮流すれば、より大きな経済的メリットを獲得することが可能になる。この結果、いわゆる電気料金が安くなる深夜時間帯中には、システム全体における電力供給の合理化を更に進めることが可能になる。
【0103】
ところで、上述した夜間時間帯(深夜時間帯を含む)における一連の処理は、夜間時間帯向けの電力供給がなされるようにスイッチ切り替え部41cが消費電力量センサM4からの消費量信号に基づいて、前述の切り替え操作を実行することによって実現される。すなわち、本ケースでは夜間時間帯に適した形式で負荷Lに電力が供給されるように、スイッチ切り替え部41cが適切に切り替え操作を実行することになる。
【0104】
具体的に説明すると、モード決定部41bが売電優先モードを選択した場合、夜間時間帯においては、スイッチ切り替え部41cは、複数の蓄電池21の全てに蓄電された電力が放電されるように、切り替え操作を実行する。一方で、複数の蓄電池21の全てに蓄電された電力を放電しても負荷Lへの供給量が足りない場合には、商用電源CPからの電力が負荷Lに供給されるように、切り替え操作を実行する。さらに、夜間時間帯のうち、前深夜時間帯中は商用電源CPからの電力が、負荷Lに供給されるとともに各蓄電池21に蓄電されるように、上記切り替え操作を実行する。
【0105】
なお、2個以上の蓄電池21について放電する場合においては、例えばPMW制御を利用することにより、蓄電量(厳密には、蓄電残量)の大きい蓄電池21であるほど、多くの電力が放電されるようにすれば、更に好適である。これにより、急激な負荷変動があった場合であっても買電量を抑えることが可能になる。
【0106】
以上までに説明してきた通り、本システムSは、太陽光を利用した発電ユニット1と蓄電池ユニット2とを組み合わせたハイブリッドシステム、及び、その制御システムであり、双方向インバータ33の導入により、コンパクト化され、かつ、高効率なシステムを実現するものである。また、本システムSによれば、ユーザが自己の価値観や人生観を含むライフスタイルに基づいて、エネルギーの利用方法を制御することが可能となる。また、環境負荷の削減と、家庭の経済的メリットとを両立されることができる最適な電力供給システム及びその制御を行うシステムを提供することができる。
【0107】
また、本システムSは、ハードウェア部分(住設機器)とソフトウェア部分(電力供給モードを制御することによる省エネ生活への誘導)とをリンクさせ、総合的に省エネ及びCO2排出量削減を達成することができるシステムである。
【0108】
さらに、上記実施形態で説明した構成に加えて、住宅H内の環境データを収集して適切な運転方法を提案するシステムを連携することも可能である。例えば、上述した電力計測器(具体的は、各種センサM1〜M4)により検出した電力量に関する信号(データ)に加えて、他のセンサを設けて、温度、湿度、ガス使用料、水道料等の住宅H内の環境データを収集し、住宅H内の設備(例えば、ホームサーバ41)で分析するか、若しくは、住宅H外の設備(例えば、住宅Hの管理会社が保有するセンターサーバ)へ送信して当該設備で分析して、当該分析結果を操作パッド42の表示画面を通じてユーザに報知する。このような提案を行い、ユーザのエネルギー(特に電力)の消費状況や創造(発電等)状況を「見える化」させることにより、ユーザのライフスタイルを省エネ型なものへ誘導することが可能になる。
【0109】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の建物用電力供給システムについて説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0110】
また、上記の実施形態では、発電ユニット1が自然エネルギーとして太陽光エネルギーを利用して発電することとしたが、これに限定されるものではなく、太陽光エネルギー以外の自然エネルギー、例えば、風力や水力等を利用して発電するものであってもよい。
【0111】
また、上記の実施形態では、停電時等、商用電源CPが異常状態で系統電力が供給されなくなった場合には、負荷Lのうち、重要負荷L1のみに電力が供給されることとし、当該重要負荷L1については、ユーザが住宅H内の電力消費機器に対して順位付けをすることによって選定されることとした。つまり、上記の実施形態では、重要負荷L1が予め決められているケースについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スマートタップやCTセンサ等の計測器によって各電力消費機器の消費電力量を計測し、当該消費電力量の計測結果と電力供給可能量(すなわち、発電ユニット1の発電量及び蓄電池21の蓄電量)とのバランスに基づいて、リアルタイムで、重要負荷L1の選定(換言すると、異常時に電力供給を遮断する非重要負荷L2の選定)を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 発電ユニット、2 蓄電池ユニット、3 回路ユニット、
4 制御ユニット、5 宅内ネットワーク、6 分電盤、
21 蓄電池、22 逆流防止ダイオード、
31 DC−ACインバータ、32 コンバータ、
33 双方向インバータ、
41 ホームサーバ、41a 通信部、41b モード決定部、
41c スイッチ切り替え部、41d 蓄電量算出部、41e 負荷選択部、
41f 時刻管理部、41g ホームサーバ制御部、
42 操作パッド、
A1 第1ライン、A2 第2ライン、A3 第3ライン、
A4 第4ライン、A5 第5ライン、A6 第6ライン、
CP 商用電源、H 住宅、L 負荷、
L1 重要負荷、L2 非重要負荷、
M1 発電量センサ、M2 売電量センサ、
M3 買電量センサ、M4 消費電力量センサ、
S 本システム(建物用電力供給システム)、SH 遮断スイッチ、
SW オンオフスイッチ、SSW 切り替えスイッチ、
Ta,Tb 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に取り付けられ、自然エネルギーを利用して発電する発電部と、該発電部が発電した電力及び商用電源からの電力を蓄電することが可能な複数の蓄電部と、を備えた、建物内で発生する負荷へ電力を供給する建物用電力供給システムであって、
前記商用電源からの電力を前記蓄電部に蓄電する際に通電状態となる蓄電回路と、
前記蓄電部に蓄電された電力を放電して前記負荷へ供給する際に通電状態となる放電回路と、
前記蓄電回路の端子及び前記放電回路の端子のうち、接続する側の端子を切り替えて、前記蓄電回路と前記放電回路のうちのいずれかを通電状態にするスイッチと、を前記蓄電部毎に備え、
前記蓄電回路が通電状態となって前記商用電源からの電力を前記蓄電部に蓄電する際に前記商用電源から前記蓄電部に向かって流れる電流を交流電流から直流電流に変換し、かつ、前記放電回路が通電状態となって前記蓄電部から前記負荷に向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換する1個のみの双方向インバータを、備えることを特徴とする建物用電力供給システム。
【請求項2】
前記発電部が発電した電力を前記商用電源へ逆潮流させることが可能であり、
前記発電部が発電した電力を前記商用電源へ逆潮流させる際に前記発電部から前記商用電源に向かって電流が流れる逆潮流回路と、
該逆潮流回路内に設置された、前記発電部から前記商用電源に向かって流れる電流を直流電流から交流電流に変換するインバータと、を備え、
前記逆潮流回路は、前記放電回路とは別回路をなしており、前記インバータは、前記1個のみの双方向インバータとは別体をなしていることを特徴とする請求項1に記載の建物用電力供給システム。
【請求項3】
前記蓄電部毎に設けられた前記放電回路及び前記蓄電回路には、いずれも、前記放電回路と前記蓄電回路との間で共通の共通回路が含まれており、
該共通回路内に前記双方向インバータが設置されていることを特徴とする請求項2に記載の建物用電力供給システム。
【請求項4】
前記発電部が発電した電力を前記蓄電部に蓄電する際に通電状態となる第2の蓄電回路と、該第2の蓄電回路の状態を切り替える第2のスイッチと、を前記蓄電部毎に備え、
前記スイッチ及び前記第2のスイッチを操作して前記蓄電部における電力の蓄電及び放電を前記蓄電部毎に切り替える切り替え操作を実行する切り替え部と、
前記発電部が発電した電力、前記商用電源からの電力、及び、前記蓄電部に蓄電された電力のうち、どの電力を前記負荷へ供給するかを決定する決定部と、を有し、
該決定部は、前記負荷への電力供給モードとして、前記蓄電部に蓄電された電力を放電して前記負荷に供給するとともに前記発電部が発電した電力を前記商用電源へ逆潮流させる第1モードと、前記発電部が発電した電力、前記商用電源からの電力、及び前記蓄電部に蓄電された電力のうち、前記商用電源からの電力以外の電力を優先的に前記負荷に供給する第2モードとのうち、いずれかのモードを選択し、
前記切り替え部は、前記決定部が決定した前記電力供給モードに応じて、前記切り替え操作を実行することを特徴とする請求項3に記載の建物用電力供給システム。
【請求項5】
前記決定部が前記電力供給モードを前記第1モードに決定した場合には、前記蓄電部毎に設けられた前記蓄電回路及び前記第2の蓄電回路のいずれもが遮断された状態で、前記負荷における電力の消費量に応じた数の前記蓄電部に蓄電された電力が放電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行し、
前記決定部が前記電力供給モードを前記第2モードに決定した場合には、複数の前記蓄電部のうち、少なくとも1つの蓄電部に蓄電された電力が放電され、かつ、電力を放電していない前記蓄電部には前記発電部が発電した電力が蓄電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行することを特徴とする請求項4に記載の建物用電力供給システム。
【請求項6】
前記決定部が前記電力供給モードを前記第2モードに決定した場合には、複数の前記蓄電部のうち、電力の蓄電量が最も多い前記蓄電部に蓄電された電力が優先的に放電され、かつ、前記蓄電量が最も少ない前記蓄電部に前記発電部が発電した電力が蓄電され、蓄電が完了した時点で蓄電された電力が放電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行することを特徴とする請求項5に記載の建物用電力供給システム。
【請求項7】
前記発電部は、自然エネルギーとしての太陽光エネルギーを利用して発電し、
前記決定部が前記電力供給モードを前記第1モードに決定した場合の夜間時間帯には、複数の前記蓄電部のうち、少なくとも1つの蓄電部に蓄電された電力を放電して前記負荷に供給し、複数の前記蓄電部の全てに蓄電された電力を放電しても前記負荷への供給量が足りない場合には前記商用電源からの電力が前記負荷に供給され、かつ、前記夜間時間帯のうち、前記商用電源からの電力の使用量あたりの単価が安くなる深夜時間帯中は前記商用電源からの電力が前記負荷に供給されるとともに前記蓄電部に蓄電されるように、前記切り替え部が前記切り替え操作を実行することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の建物用電力供給システム。
【請求項8】
前記負荷における電力の消費量を検出して、該消費量に応じた消費量信号を出力する消費量信号出力部を更に有し、
前記切り替え部は、前記消費量信号に基づいて前記切り替え操作を実行することを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の建物用電力供給システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−235606(P2012−235606A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102154(P2011−102154)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】