説明

形状測定装置

【課題】貫通孔を有するワークを、貫通孔が所定軸方向に平行となるように、短時間で載置可能に構成された形状測定装置を提供する。
【解決手段】形状測定装置は、貫通孔12aを有するワーク12を載置可能に構成され且つX軸及びY軸に回転可能に構成された回転テーブル13a、貫通孔12aの一方側からZ軸に平行に光を照射する光源13b、貫通孔12aの他方側に配置され且つ貫通孔12aを通過した光源13bからの光を受光してその受光した光に基づく輝度を測定するCCDカメラ18a、回転テーブル13aによるワーク12の回転角度をCCDカメラ18aにて測定された輝度に基づき制御する制御部35を備える。制御部35は、回転テーブル13aによりワーク12を所定角度ずつ回転させる毎に、CCDカメラ18aにより輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度に回転テーブル13aの回転角度を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの形状を測定する形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
接触式の形状測定装置において、形状測定に用いられる接触式プローブは、鉛直下方に延びる棒状のスタイラス、及びスタイラスの下端に設けられた接触子を有する。測定時、接触子がワーク(被測定物)の近傍に位置するように、スタイラスは、その姿勢を保持したまま、X−Y−Z軸方向に走査される。形状測定装置は、接触子がワークに接触した位置情報を収集し、それら位置情報に基づきワークの形状を求める。
【0003】
接触式プローブは、上記のような構成を有しているため、ワークの孔の内面形状を測定する場合、その孔がスタイラスの軸と平行となるように、ワークが載置されている必要がある。
【0004】
特許文献1には、ワークの水平出し(レベリング)を行う方法が、開示されている。特許文献1に記載の方法は、接触式プローブによりワークの真円度を測定し、その真円度に基づき、ワークの水平出しを行うものである。ここで、例えば、ワークは、その水平面に垂直な方向に延びる貫通孔を有しているものとする。このような場合、上記方法による水平出しと同時に、ワークの貫通孔は、スタイラスの軸と平行にすることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−201341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、真円度を正確に測定する必要があり、ワークの水平出しに多くの時間を要する。また、特許文献1に記載の方法では、測定対象のワークは、その貫通孔が水平面に対して垂直に設けられた円柱状に限られてしまう。
【0007】
真円度を測定することなく、貫通孔の口元を接触プローブにて測定し、貫通孔をスタイラスの軸と平行にする方法も考えられるが、その処理には多くの時間を要する。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、短時間で貫通孔を有するワークを、その貫通孔が所定軸方向に平行となるように、載置可能に構成された形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的の達成のため、本発明に係る形状測定装置は、第1軸に平行に延びるスタイラスと、当該スタイラスの先端に設けられた接触子とを備え、前記接触子とワークとの接触に基づき前記ワークの形状を測定する形状測定装置であって、貫通孔を有する前記ワークを載置可能に構成され且つ前記第1軸に直交する軸周りに回転可能に構成された回転台と、前記貫通孔の一方側から前記第1軸に平行に光を照射する光源と、前記貫通孔の他方側に配置され且つ前記貫通孔を通過した前記光源からの光を受光して当該受光した光に基づく輝度を測定する受光部と、前記回転台の回転角度を前記受光部にて測定された輝度に基づき制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記回転台により前記ワークを所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の回転角度を設定することを特徴とする。
【0010】
上記構成により、輝度が最大となる角度に回転台の回転角度を設定することによって、貫通孔を第1軸方向に平行となるようにワークを配置することができる。
【0011】
前記回転台は、前記第1軸に直交する第2軸周り、及び第3軸周りに回転可能に構成されており、前記制御部は、前記回転台により前記ワークを前記第2軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の前記第2軸周りの回転角度を設定した後、前記回転台により前記ワークを前記第3軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の前記第3軸周りの回転角度を設定する構成としてもよい。
【0012】
また、前記回転台は、前記第1軸に直交する第2軸周り、及び第3軸周りに回転可能に構成されており、前記制御部は、前記第2軸周りの回転角を表す第2角度軸及び当該第2角度軸に直交するように表され且つ前記第3軸周りの回転角を表す第3角度軸にて構成される回転角度面にてスパイラル状の軌跡を描くように、前記回転台により前記ワークを前記第2軸周り及び前記第3軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の前記第1軸周り及び前記第2軸周りの回転角度を設定する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、短時間で貫通孔を有するワークを、その貫通孔が所定軸方向に平行となるように、載置可能に構成された形状測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明に係る形状測定装置の好ましい実施形態について説明する。
【0015】
[第1実施形態]
(第1実施形態に係る形状測定装置の構成)
図1は、本実施形態に係る形状測定装置(三次元測定装置)の全体構成を示す斜視図である。この形状測定装置は、非接触型の測定機本体1と、この測定機本体1を駆動制御すると共に、必要なデータ処理を実行するコンピュータシステム2と、計測結果をプリントアウトするプリンタ3とにより構成されている。
【0016】
測定機本体1は、次のように構成されている。即ち、架台11上には、測定テーブル13が装着されており、この測定テーブル13は、図示しないY軸駆動機構によってY軸方向に駆動される。架台11の両側縁中央部には上方に延びる支持アーム14、15が固定されており、この支持アーム14、15の両上端部を連結するようにX軸ガイド16が固定されている。このX軸ガイド16には、撮像ユニット17が支持されている。撮像ユニット17は、図示しないX軸駆動機構によってX軸ガイド16に沿って駆動される。撮像ユニット17の下端部には、CCDカメラ18aが測定テーブル13と対向するように装着されている。また、撮像ユニット17の内部には、図示しない照明装置及びフォーカシング機構の他、CCDカメラ18aのZ軸(第1軸)方向の位置を移動させるZ軸駆動機構と、撮影位置でのCCDカメラ18aのZ方向の位置を検知する位置センサ19が内蔵されている。
【0017】
さらに、撮像ユニット17の下方には、接触式プローブユニット18bが設けられている。図2は、後述する回転テーブル13aの近傍の概略拡大図である。接触式プローブユニット18bは、図2に示すように、Z軸方向に平行に延びる棒状のスタイラス18ba、及びスタイラス18baの下方先端に設けられた接触子18bbを有する。接触式プローブユニット18bは、スタイラス18ba及び接触子18bbをX軸−Y軸−Z軸に移動可能に構成されている。接触式プローブユニット18bは、接触子18bbがワーク12に接触することによりその位置情報を取得する。
【0018】
測定テーブル13は、図2に示すように、Z軸方向に平行にその上方に光を照射する光源13bを有する。例えば、測定テーブル13は、光を透過する透明あるいは半透明の筐体であって、光源13bは、そのテーブル13の内部に設けられている。
【0019】
ワーク12は、図2に示すように、ステージ13上に載置された回転テーブル13aに取り付けられている。ワーク12は、円柱状であり、その中心に貫通孔12aを有する。
【0020】
回転テーブル13aは、その上面にワーク12を取り付け可能に構成されている。回転テーブル13aは、Z軸に直交するX軸周り及びY軸周りに回転可能に構成されている。つまり、回転テーブル13aは、その上面に取り付けたワーク12を回転させ、XY平面に対して傾斜可能に構成されている。このような回転テーブル13aの動作は、後述するCPU(制御部)35の制御に従って行われる。なお、回転テーブル13aは、例えば透明あるいは半透明で構成され、光源13bからの光を透過するように構成されている。
【0021】
回転テーブル13aを透過した光は、図2に示すように、ワーク12の貫通孔12aを介してCCDカメラ18aに照射される。CCDカメラ18aは、光学系18aa、及び光学系18aaを介した光を受光する受光素子18abにて構成されている。
【0022】
コンピュータシステム2は、図1に示すように、コンピュータ本体21、キーボード22、ジョイスティックボックス(以下、J/Sと呼ぶ)23、マウス24及びCRT25を備えて構成されている。コンピュータ本体21は、例えば図3に示すように構成されている。即ち、CCDカメラ18aから入力されるワーク12の画像情報は、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)31を介して画像メモリ32に格納される。
【0023】
また、図示しないCADシステムにより作成されるワーク12のCADデータは、例えば、CADデータによるオフラインティーチングが実行される場合、I/F33を介してCPU(制御部)35に入力され、CPU35でビットマップの画像情報に展開された後、画像メモリ32に格納される。画像メモリ32に格納された画像情報は、表示制御部36を介してCRT25に表示される。
【0024】
一方、キーボード22、J/S23、及びマウス24から入力されるコード情報及び位置情報は、I/F34を介してCPU35に入力される。CPU35は、ROM37に格納されたマクロプログラム及びHDD38からI/F39を介してRAM40に格納された測定実行プログラム、貫通孔の垂直出し実行プログラム等の各種制御プログラムに従って、測定実行処理、貫通孔の垂直出し処理等を実行する。
【0025】
ここで、貫通孔の垂直出し処理とは、ワーク12の貫通孔12aがZ軸(垂直方向)に平行となるようにワーク12を配置する処理を意味する。
【0026】
CPU35は、測定実行処理に従って、I/F41を介して測定機本体1(撮像ユニット17、接触式プローブユニット18b)を制御する。CPU35は、貫通孔の垂直出し処理に従って、I/F42を介して回転テーブル13aを制御する。CPU35は、回転テーブル13aの回転角度を撮像ユニット17(CCDカメラ18a)にて測定された輝度に基づき制御する。CPU35は、回転テーブル13aによりワーク12を所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度に回転テーブル13aの回転角度を設定する。
【0027】
HDD38は、CADデータ、測定実行プログラム、貫通孔の垂直出し実行プログラム等の各種制御プログラムを格納する記録媒体である。RAM40は、各種プログラムを格納する他、各種処理のワーク領域を提供する。CPU35は、HDD38に格納された各種制御プログラムに従って、各種の処理を実行する。
【0028】
(第1実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理)
次に、図4〜図7を参照して形状測定装置(三次元測定装置)による貫通孔の垂直出し処理について説明する。図4は、貫通孔の垂直出しの処理を示すフローチャートである。図5は、貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周りの回転角、及びY軸周りの回転角を示す図である。図6及び図7は、貫通孔の垂直出し処理に係るX軸周り、Y軸周りの走査時間及びそれらに対応する輝度を示す図である。なお、貫通孔の垂直出し処理が実行される前、回転テーブル13aのX軸及びY軸周りの回転角は、原点(0°,0°)に設定されているものとする。
【0029】
先ず、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのX軸周りの回転角を初期角度−θ1だけ回転させる(ステップS101)。続いて、制御部35は、回転テーブル13aのX軸周りの回転角を+φ1回転させる(ステップS102)。次に、制御部35は、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)によりワーク12の貫通孔12aを透過した光を受光させ、その受光された光に基づく輝度情報Dxk(k=1〜n)をHDD38に格納する(ステップS103)。続いて、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周りの回転が完了したか否かを判断する(ステップS104)。例えば、制御部35は、図5に示すように、X軸周りの回転角が最終角度+θ1になっていれば、所定範囲に亘るX軸周りの回転が完了したと判断する。
【0030】
ステップS104において、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周りの回転が完了していないと判断すると(ステップS104,N)、再びステップS102からの処理を繰り返し実行する。一方、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周りの回転が完了したと判断すると(ステップS104,Y)、最大の輝度を受光した回転テーブル13aのX軸周りの回転角を示すX軸輝度最大角度Xrot1を特定する(ステップS105)。例えば、回転テーブル13aのX軸周りの走査時間に対する輝度情報Dxk(k=1〜n)は、図6に示すように、X軸周りの回転角−θ1〜+θ1に亘って一つのピークをもつ形状となる。そのピークにおけるX軸周りの回転角が、X軸輝度最大角度Xrot1となる。
【0031】
続いて、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのX軸周りの回転角をX軸輝度最大角度Xrot1に設定する(ステップS106)。
【0032】
ステップS106に続き、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのY軸周りの回転角を初期角度−θ2だけ回転させる(ステップS107)。続いて、制御部35は、回転テーブル13aのY軸周りの回転角を+φ2回転させる(ステップS108)。次に、制御部35は、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)によりワーク12の貫通孔12aを透過した光を受光させ、その受光された光に基づく輝度情報Dyk(k=1〜n)をHDD38に格納する(ステップS109)。続いて、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのY軸周りの回転が完了したか否かを判断する(ステップS110)。例えば、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのY軸周りの回転角が最終角度+θ2になっていれば、所定範囲に亘るY軸周りの回転が完了したと判断する。
【0033】
ステップS109において、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのY軸周りの回転が完了していないと判断すると(ステップS110,N)、再びステップS108からの処理を繰り返し実行する。一方、制御部35は、回転テーブル13aのY軸周りの回転が完了したと判断すると(ステップS110,Y)、最大の輝度を受光した回転テーブル13aのY軸周りの回転角を示すY軸輝度最大角度Yrotを特定する(ステップS111)。例えば、Y軸周りの走査時間に対する輝度情報Dyk(k=1〜n)は、図7に示すように、Y軸周りの回転角−θ2〜+θ2に亘って一つのピークをもつ形状となる。そのピークにおけるY軸周りの回転角が、Y軸輝度最大角度Yrot1となる。
【0034】
続いて、制御部35は、図5に示すように、回転テーブル13aのY軸周りの回転角をY軸輝度最大角度Yrot1に設定する(ステップS112)。上記ステップS106、及びステップS112において設定したX軸輝度最大角度Xrot1、及びY軸輝度最大角度Yrot1にて、ワーク12の貫通孔12aは、Z軸に平行となる。以上で、制御部35は、第1実施形態の形状測定装置による貫通孔の垂直出し処理を終了する。
【0035】
上記ステップS101〜S112を要約すると、制御部35は、回転テーブル13aによりワーク12をX軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度Xrot1に回転テーブル13aのX軸周りの回転角度を設定する。その後、制御部35は、回転テーブル13aによりワーク12をY軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度Yrot1に回転テーブル13aのY軸周りの回転角度を設定する。
【0036】
上記の貫通孔の垂直出し処理終了の後、制御部35は、接触式プローブユニット18bにてワーク12の貫通孔12aの内径の形状を測定する。
【0037】
(第1実施形態に係る形状測定装置の効果)
次に、第1実施形態に係る形状測定装置の効果について説明する。上記第1実施形態に係る形状測定装置は、ワーク12の貫通孔12aを透過した光の輝度情報に基づき、ワーク12の貫通孔12aをZ軸に平行にすることができる。したがって、第1実施形態に係る形状測定装置は、貫通孔の垂直出し処理に、接触式プローブユニット18bを用いる必要がないので、短時間でその処理を実行することができる。また、ワーク12は、貫通孔を有していればよく、第1実施形態に係る形状測定装置は、様々な形状のワークに対応して貫通孔の垂直出し処理を実行可能である。さらに、第1実施形態に係る形状測定装置は、貫通孔の垂直出し処理において、接触式プローブユニット18bを用いる必要がないため、その接触式プローブユニット18b及びワーク12を破損する虞がない。
【0038】
上述した第1実施形態では、ワーク12をX軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に測定した輝度が最大となる角度Xrot1に回転テーブル13aのX軸周りの回転角度を設定し、その後、ワーク12をY軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に測定した輝度が最大となる角度Yrot1に回転テーブル13aのY軸周りの回転角度を設定するようにしていたが、ワーク12をX軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に測定した輝度が最大となる角度を特定し、特定した角度を含むその周辺角度について再度X軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に輝度を測定し、測定した輝度が最大となる角度にX軸周りの回転角度を設定し、その後、ワーク12をY軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に測定した輝度が最大となる角度を特定し、特定した角度を含むその周辺角度について再度Y軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に輝度を測定し、測定した輝度が最大となる角度にY軸周りの回転角度を設定するようにしてもよい。すなわち、X軸周りの測定(ステップS102〜S105)を角度範囲を狭めながら複数回実行し、最後に測定した際に最大輝度となった角度にX軸周りの回転角度を設定し、Y軸周りの測定(ステップS108〜S111)を角度範囲を狭めながら複数回実行し、最後に測定した際に最大輝度となった角度にY軸周りの回転角度を設定するようにしてもよい。このように構成すれば、さらに高精度でワーク12の貫通孔12aをZ軸に平行にすることができる。なお、X軸周りの測定またはY軸周りの測定のいずれか一方のみを複数回実行するようにしてもよい。
【0039】
また、上述した第1実施形態では、X軸周りとY軸周りの両方を測定する構成としていたが、いずれか一方のみを測定するようにしてもよい。このように構成した場合であっても、ワーク12の種類によっては十分な精度で垂直出しをすることができる。
【0040】
[第2実施形態]
(第2実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理)
次に、図8〜図10を参照して、第2実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理について説明する。図8は、第2実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理を示すフローチャートである。図9は、貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周りの回転角、及びY軸周りの回転角を示す図である。図10は、貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周り、Y軸周りの走査時間及びそれらに対応する輝度を示す図である。なお、貫通孔の垂直出し処理が実行される前、回転テーブル13aのX軸及びY軸周りの回転角は、原点(0°,0°)に設定されているものとする。
【0041】
第2実施形態に係る形状測定装置において、その構成は、第1実施形態と同様であり、その貫通孔の垂直出し処理が、第1実施形態の処理と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成及び処理については、その説明を省略する。
【0042】
先ず、制御部35は、図9に示すように、回転テーブル13aのX軸周りの回転角を初期角度+θ31だけ回転させる(ステップS201)。
【0043】
次に、制御部35は、図9に示すように回転角度面にてスパイラル状の軌跡を描くように回転テーブル13aのX軸周りの回転角、及びY軸周りの回転角を所定角度だけ回転させる(ステップS202)。ここで、回転角度面とは、回転テーブル13aのX軸周りの回転角を表すX角度軸及びそのX角度軸に直交するように表され且つY軸周りの回転角を表すY角度軸にて構成される面を示す。
【0044】
続いて、制御部35は、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)によりワーク12の貫通孔12aを透過した光を受光させ、その受光された光に基づく輝度情報Dxyk(k=1〜n)をHDD38に格納する。次に、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周り、及びY軸周りの回転が完了したか否かを判断する(ステップS204)。例えば、ステップS204にて、図9に示すように、制御部35は、回転テーブル13aのX軸周りの回転角が+θ32となり、Y軸周りの回転角が0°となれば、X軸周り、及びY軸周りの回転が完了したと判断する。
【0045】
ここで、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周り、及びY軸周りの回転が完了していないと判断すると(ステップS204、N)、再びステップS202からの処理を繰り返し行う。一方、制御部35は、所定範囲に亘る回転テーブル13aのX軸周り、及びY軸周りの回転が完了したと判断すると(ステップS204、Y)、最大の輝度を受光した回転テーブル13aのX軸周り、及びY軸周りの回転角を示す、2軸輝度最大角度(Xrot2、Yrot2)を特定する(ステップS205)。例えば、X軸周り、Y軸周りの走査時間に対する輝度情報Dxyk(k=1〜n)は、図10に示すように、X軸及びY軸周りの回転角(+θ31、0)〜(+θ32、0)に亘って複数のピークをもつ波形状となる。そのピークの一つである最大輝度を有するX軸周り及びY軸周りの回転角が、2軸輝度最大角度(Xrot2、Yrot2)となる。
【0046】
続いて、制御部35は、図9に示すように、X軸周り、及びY軸周りの回転角を2軸輝度最大角度(Xrot2、Yrot2)に設定する(ステップS206)。上記ステップS206において設定した2軸輝度最大角度(Xrot2、Yrot2)にて、ワーク12の貫通孔12aは、Z軸に平行となる。以上で、制御部35は、第2実施形態の形状測定装置による貫通孔の垂直出し処理を終了する。
【0047】
上記ステップS201〜S206を要約すると、制御部35は、回転角度面にてスパイラル状の軌跡を描くように、回転テーブル13aによりワーク12をX軸周り及びY軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、撮像ユニット17(CCDカメラ18a)により輝度を測定させ、その輝度が最大となる角度(Xrot2、Yrot2)に回転テーブル13aのX軸周り及びY軸周りの回転角度を設定する。
【0048】
上記の貫通孔の垂直出し処理終了の後、制御部35は、接触式プローブユニット18bにてワーク12の貫通孔12aの内径の形状を測定する。
【0049】
(第2実施形態に係る形状測定装置の効果)
次に、第2実施形態に係る形状測定装置の効果について説明する。第2実施形態に係る形状測定装置は、第1実施形態と同様に、ワーク12の貫通孔12aを透過した光の輝度に基づき、ワーク12の貫通孔12aをZ軸に平行にすることができる。さらに、第2実施形態に係る形状測定装置は、回転角度面にてスパイラル状の軌跡を描くようにX軸周りの回転角、及びY軸周りの回転角を所定角度に回転して、2軸輝度最大角度(Xrot2、Yrot2)を求める。したがって、第2実施形態に係る形状測定装置は、第1実施形態よりも高い精度で貫通孔の垂直出し処理を実行することができる。
【0050】
[第3実施形態]
次に、図11を参照して、第3実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理について説明する。第3実施形態に係る形状測定装置において、その構成は、第1及び第2実施形態と同様であり、その貫通孔の垂直出し処理が、第1及び第2実施形態の処理と異なる。なお、第3実施形態において、第1及び第2実施形態と同一の構成及び処理については、その説明を省略する。
【0051】
第3実施形態において、制御部35は、図11に示すように、第2実施形態に係る処理(ステップS201〜ステップS206)を実行した後、第1実施形態に係る処理(ステップS101〜ステップS112)を実行する。
【0052】
(第3実施形態に係る形状測定装置の効果)
第3実施形態に係る形状測定装置において、制御部35は、第1実施形態及び第2実施形態の処理を実行する。したがって、第3実施形態に係る形状測定装置は、第1及び第2実施形態よりも高い精度で貫通孔の垂直出し処理を行うことができる。
【0053】
[その他実施形態]
以上、形状測定装置を一例として実施形態を説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。例えば、本実施形態におけるワーク12は、円筒状に限られるものではない。例えば、図12に示すように、キャップ状であって、貫通孔12cを有するワーク12bにも適応させることができる。この場合、光源13bの代わりに光ファイバ13cを用いる。つまり、光ファイバ13c先端からの光が撮像ユニット17(CCDカメラ18a)へと照射されるように、キャップ状のワーク12bの内側に光ファイバ13cの先端を配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す回転テーブル13aの近傍の概略拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像測定装置におけるコンピュータ本体21の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理における回転テーブル13aのX軸周りの回転角及びY軸周りの回転角を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周り走査時間、及びその走査時間における輝度を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのY軸周り走査時間、及びその走査時間における輝度を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理における回転テーブル13aのX軸周りの回転角及びY軸周りの回転角を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周り、Y軸周りの走査時間、及びそれらの走査時間における輝度を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る形状測定装置の貫通孔の垂直出し処理に係る回転テーブル13aのX軸周りの回転角及びY軸周りの回転角を示す図である。
【図12】他の実施形態に係る回転テーブル13aの近傍の概略拡大図である。
【符号の説明】
【0055】
1…測定機本体、2…コンピュータシステム、3…プリンタ、11…架台、12…ワーク、13…測定テーブル、13a…回転テーブル、14、15…支持アーム、16…X軸ガイド、17…撮像ユニット、18a…CCDカメラ、18b…接触式プローブユニット、19…位置センサ、21…コンピュータ本体、22…キーボード、23…ジョイスティックボックス、24…マウス、25…CRT、31、33、34、39、41、42…I/F、32…画像メモリ、35…CPU(制御部)、36…表示制御部、37…ROM、38…HDD、40…RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸に平行に延びるスタイラスと、当該スタイラスの先端に設けられた接触子とを備え、前記接触子とワークとの接触に基づき前記ワークの形状を測定する形状測定装置であって、
貫通孔を有する前記ワークを載置可能に構成され且つ前記第1軸に直交する軸周りに回転可能に構成された回転台と、
前記貫通孔の一方側から前記第1軸に平行に光を照射する光源と、
前記貫通孔の他方側に配置され且つ前記貫通孔を通過した前記光源からの光を受光して当該受光した光に基づく輝度を測定する受光部と、
前記回転台の回転角度を前記受光部にて測定された輝度に基づき制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記回転台により前記ワークを所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の回転角度を設定する
ことを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記回転台は、
前記第1軸に直交する第2軸周り、及び第3軸周りに回転可能に構成されており、
前記制御部は、
前記回転台により前記ワークを前記第2軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の前記第2軸周りの回転角度を設定した後、前記回転台により前記ワークを前記第3軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の前記第3軸周りの回転角度を設定する
ことを特徴とする請求項1記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記回転台は、
前記第1軸に直交する第2軸周り、及び第3軸周りに回転可能に構成されており、
前記制御部は、
前記第2軸周りの回転角を表す第2角度軸及び当該第2角度軸に直交するように表され且つ前記第3軸周りの回転角を表す第3角度軸にて構成される回転角度面にてスパイラル状の軌跡を描くように、前記回転台により前記ワークを前記第2軸周り及び前記第3軸周りに所定角度ずつ回転させる毎に、前記受光部により前記輝度を測定させ、当該輝度が最大となる角度に前記回転台の前記第1軸周り及び前記第2軸周りの回転角度を設定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−107413(P2010−107413A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280858(P2008−280858)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】