振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラ
【課題】小型化が可能で、且つ均一な加圧力を付加可能な振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラを提供する。
【解決手段】本発明の振動波モータ1は、駆動信号により励振される電気機械変換素子12、電気機械変換素子12に接合され、励振により振動波を生じる弾性体13、及び、弾性体13に加圧接触され、振動波によって、弾性体13に対して相対的に回転駆動される相対運動部材11、を有するモータ本体25と、弾性体13と相対運動部材11との間に加圧力を発生させる加圧部材30と、を備え、加圧部材30は、弾性体13または相対運動部材11の一方を、回転駆動の回転軸C1に沿って他方側に加圧する加圧部31、加圧部31から回転軸C1を中心とした径方向の外側に延びる延在部32、及び、延在部32におけるモータ本体25よりも径方向の外側に配置される加圧部本体33、を有すること、を特徴とする。
【解決手段】本発明の振動波モータ1は、駆動信号により励振される電気機械変換素子12、電気機械変換素子12に接合され、励振により振動波を生じる弾性体13、及び、弾性体13に加圧接触され、振動波によって、弾性体13に対して相対的に回転駆動される相対運動部材11、を有するモータ本体25と、弾性体13と相対運動部材11との間に加圧力を発生させる加圧部材30と、を備え、加圧部材30は、弾性体13または相対運動部材11の一方を、回転駆動の回転軸C1に沿って他方側に加圧する加圧部31、加圧部31から回転軸C1を中心とした径方向の外側に延びる延在部32、及び、延在部32におけるモータ本体25よりも径方向の外側に配置される加圧部本体33、を有すること、を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動波モータにおいては、圧電体の伸縮を利用して弾性体の駆動面に進行性振動波(後は進行波と略する)を発生させる。そして、この進行波によって駆動面に楕円運動を生さじさせ、楕円運動の波頭に加圧接触した移動子が駆動される(例えば、特許文献1参照)。
この様な振動波モータは、低回転でも高トルクを有するといった特徴があるため、駆動装置に搭載した場合に、駆動装置のギア数を少なくすることができる。このため、ギアにより発生される騒音が小さくなり、静寂化が達成可能となり、また、位置決め精度も向上する。
【0003】
近年、振動波モータは、径が従来の1/3〜1/5倍程度と小型化、軽量化される傾向がある。この様な小型化された振動波モータは、機器の組み込みに対しての使い勝手が良く、アプリケーションへの適用化が進み、出荷台数を大幅に伸ばしている。
このような振動波モータにおいて、弾性体の駆動面と、その駆動面から駆動力が伝達される移動子の摺動面との間は、駆動力が伝達されるように加圧されている。この加圧力は、従来、出力軸にはめ込まれたばね部材によって発生されている(例えば、特許文献2参照)。このため、振動波モータの出力軸方向の長さの短縮には限界があった。
【0004】
一方、振動波モータにおいて、加圧力を発生させる部分を、出力軸を中心として配置せず、弾性体及び移動子が配置されている部分よりも外径の部分に配置する構成も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平1−17354号公報
【特許文献2】特開2006−333629号公報
【特許文献3】特開平11−196591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3において発生される加圧力は、出力軸と平行でなく傾いているため、振動子と移動子との加圧力が偏り、高回転時において不快な異音が発生したり、駆動効率が低下したり、また高負荷の発生が困難である等の課題が発生する。
【0007】
本発明は、小型化が可能で、且つ均一な加圧力を付加可能な振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、駆動信号により励振される電気機械変換素子(12,212,312,512)、前記電気機械変換素子(12,212,312,512)に接合され、前記励振により振動波を生じる弾性体(13,213,313,413,513)、及び、前記弾性体(13,213,313,413,513)に加圧接触され、前記振動波によって、前記弾性体(13,213,313,413,513)に対して相対的に回転駆動される相対運動部材(11,211,311,511)、を有するモータ本体(25,225,325,425,525)と、前記弾性体(13,213,313,413,513)と前記相対運動部材(11,211,311,511)との間に加圧力を発生させる加圧部材(30,230,330,430,530)と、を備え、前記加圧部材(30,230,330,430,530)は、前記弾性体(13,213,313,413,513)または前記相対運動部材(11,211,311,511)の一方を、前記回転駆動の回転軸(C1)に沿って他方側に加圧する加圧部(31,231,331,431,531)、前記加圧部(31,231,331,431,531)から前記回転軸(C1)を中心とした径方向の外側に延びる延在部(32,232,332,432A,432B,532A,532B)、及び、前記延在部(32,232,332,432A,432B,532A,532B)における前記モータ本体(25,225,325,425,525)よりも前記径方向の外側に配置される加圧部本体(33,233,333,433A,433B,533A,533B)、を有すること、を特徴とする振動波モータ(1,201,301,401,501)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1項に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)において、前記加圧部本体(33,233,333,433A,433B,533A,533B)及び前記モータ本体(25,225,325,425,525)は、前記回転軸(C1)に沿った方向における前記延在部(32,232,332,432A,432B,532A,532B)の一方の側に配置されていること、を特徴とする振動波モータ(1,201,301,401,501)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)において、前記加圧部(31,231,331,431,531)は、前記弾性体(13,213,313,413,513)または前記相対運動部材(11,211,311,511)の一方を、前記回転軸(C1)を中心として加圧することを特徴とする振動波モータ(1,201,301,401,501)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータ(1,301,401)において、前記加圧部本体(33,333,433A,433B)は、前記延在部(32,332,432A,432B)から連続し、前記回転軸(C1)と平行な第2軸に沿って加圧される被加圧部(34,334,434)を備えること、を特徴とする振動波モータ(1,301,401)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の振動波モータ(1,301,401)において、前記被加圧部(34,334,434)は、圧縮ばねにより加圧されることを特徴とする振動波モータ(1,301,401)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の振動波モータ(301)において、前記加圧部(331)は、前記回転軸(C1)を中心とした円周に沿って配置されていること、を特徴とする振動波モータ(301)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の振動波モータ(401,501)において、前記延在部(432A,432B,532A,532B)は前記加圧部(431,531)から複数の径方向に延び、前記加圧部本体(433A,433B,533A,533B)は、前記延在部(432A,432B,532A,532B)のそれぞれの端部に設けられていること、を特徴とする振動波モータ(401,501)である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の振動波モータ(501)において、複数の前記延在部(532A,532B)は異なる直径方向に延びることこと、を特徴とする振動波モータ(501)である。
請求項9に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータ(201,501)において、前記延在部(232,532A,532B)は、板ばねであることを特徴とする振動波モータ(201,501)である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の振動波モータ(201,501)において、前記延在部(232,332,532A,532B)の前記径方向の外側の端部は、前記回転軸(C1)と平行に延びる第2延在部(232,532A,532B)に連続し、
前記第2延在部(232,532A,532B)の剛性が前記延在部(232,532A,532B)より高いこと、を特徴とする振動波モータ(201,501)である。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)を備えるレンズ鏡筒(2)である。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)を備えるカメラ(3)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化が可能で、且つ均一な加圧力を付加可能な振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図2】振動波モータを図1における方向Aから見た図である。
【図3】第一実施形態の振動波モータを搭載したレンズ鏡筒を備えるカメラの概略断面図である。
【図4】レンズ駆動回路に設けられた振動波モータの駆動装置を説明するブロック図である。
【図5】第一実施形態に対する比較形態を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図7】図6をA方向から見た図である。
【図8】第二実施形態における加圧部が加圧受部材を押圧していない状態を示す図である。
【図9】第三実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図10】第四実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図11】本発明の第五実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図12】本発明の第五実施形態の振動波モータを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
以下、本発明にかかる振動波モータ1の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態の振動波モータ1を説明する図である。図2は、振動波モータ1を図1における方向Aから見た図である。
また、図面には、適宜、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、図1に示すように、振動波モータ1の出力軸14の軸芯C1の方向をZ軸とし(後述する振動子10から移動子11に向かう方向をZプラス)、軸芯C1から見たときに振動波モータ1の後述の加圧力発生部が設けられている方向をXマイナス方向とし、それらと直交する方向をYとする。また、以下、Zプラス方向を上側、Zマイナス方向を下側ともいう。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の振動波モータ1は、振動子10、移動子11、出力軸14等を有するモータユニット25と、加圧部材30とを備え、振動子10側を固定とし、移動子11を回転駆動する形態となっている。
【0014】
振動子10は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する圧電素子や電歪素子等を例とした電気−機械変換素子(以下、圧電体と称する)12と、圧電体12を接合した弾性体13とから構成され、振動子10には進行性振動波が発生される。本実施形態では一例として4波の進行波が発生される。
【0015】
弾性体13は、共振先鋭度が大きな金属材料から成り、円環形状である。弾性体13の一方の面には圧電体12が接合され、他方の面には溝10b(図2に示す)が切られ、当該面における溝10b以外の部分は駆動面10a(図2に示す)となり、駆動面10aは移動子11に加圧接触される。
【0016】
圧電体12は、PZTと呼ばれるチタン酸ジルコン酸鉛といった材料から構成してもよく、また、環境問題を考慮し、鉛フリーの材料であるニオブ酸カリウムナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、カリウムチタン酸バリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム等で構成してもよい。
【0017】
圧電体12には電極が配置され、該電極は、円周方向に沿って2つの相(A相、B相)に分かれている。各相においては、1/2波長毎に交互に分極されていて、A相とB相との間には1/4波長分間隔分空く様に電極が配置されている。
【0018】
移動子11は、アルミニウムといった軽金属からなり、摺動面11aの表面には耐摩耗性向上のための表面処理が成されている。
【0019】
出力軸14は、ゴム部材17と出力軸14のDカット14aにはまるように挿入されたストッパー部材15とを介して移動子11に結合されている。出力軸14とストッパー部材15はEクリップ16等により固定され、移動子11と一体に回転する。すなわち、移動子11の回転方向の軸芯は、出力軸14の軸芯C1とほぼ同軸となる。
また、出力軸14の上側の端面(Zプラス側の端面)には、出力軸14の軸芯C1wo中心とした逆円錐形状を有する窪み部14bが形成されている。
【0020】
ストッパー部材15と移動子11との間のゴム部材17は、ゴム部材17による粘着性で移動子11とストッパー部材15と結合する機能があり、かつ移動子11からの振動を出力軸14へ伝えないための振動吸収との機能があるブチルゴム部材等が好適である。
【0021】
また、ベアリング18は、出力軸14の外周に嵌合されて、Eクリップ16、ストッパー部材15により出力軸14に固定されている。
【0022】
上述した振動子10、移動子11、出力軸14等、出力軸14の軸芯C1を中心として配置された部材を合わせてモータユニット25という。
また、振動波モータ1は、後述するようにレンズ鏡筒2の固定部であるギアユニットモジュール50(図3に図示)に固定される基板部19を備える。基板部19には、振動子10における弾性体13の内径側に設けられたヒレ部20が固定されている。さらに基板部19は、出力軸14に嵌められたベアリング18を径方向に支持し、出力軸14を回転方向に可動支持している。
【0023】
加圧部材30は、移動子11の摺動面11aを弾性体13の駆動面10a側に加圧する部材である。
加圧部材30は、出力軸14に設けられた窪み部14bの内面と接するように配置された加圧部31と、加圧部31から、出力軸14の軸芯C1を中心とした径方向の外側に延びる延在部32と、延在部32の端部に設けられた加圧力発生部33とを備える。
【0024】
加圧部31は、半球面形状を有している。加圧部31と接触する出力軸14の窪み部14bの形状が逆円錐形状となっているため、加圧部31と出力軸14の窪み部14bとが確実に接触(線接触)される。
【0025】
延在部32は、加圧部31から出力軸14の軸芯C1を中心とした径方向の外側に向かって延びる板状部材である。
加圧力発生部33は、延在部32の径方向外側の端部において、延在部32よりも下側(Zマイナス側)に設けられている。
加圧力発生部33は、有底円筒型部のシリンダ部34と、シリンダ部34の内部に配置され、シリンダ部34の底部に設けられた穴部34aより先端が突き出したピン36を備える。
ピン36は、頭部36aとその頭部36aから延びる円柱部36bとを備える。また、円柱部36bの先端には、ねじ部36cが形成されている。
【0026】
基板部19には、ねじ穴19aが形成されており、ピン36のねじ部36cは、そのねじ穴19aに螺合されている。ここで、ねじ穴19aは、出力軸14の軸芯C1と平行に形成されている。したがって、ねじ穴19aにねじ部36cが螺合されたピン36の軸芯C2は、出力軸14の軸芯C1と平行になる。
【0027】
ピン36の円柱部36bの外周には圧縮ばね35が取り付けられている。圧縮ばね35の一端はシリンダ部34の底面(Zプラス側面)に接し、他端はピン36の頭部36aの下面(Zマイナス側面)に接している。
ピン36のねじ部36cを基板部19に設けられたねじ穴19aにねじ込み、ねじ込み深さを調整することにより、ピン36の頭部36aの基板部19に対する位置を調整することができる。このピン36の頭部36aの基板部19に対する位置を調整することにより、圧縮ばね35がその下端においてシリンダ部34を加圧する力を調整することができる。圧縮ばね35がシリンダ部34を加圧する力は、延在部32を介して加圧部31に伝達され、加圧部31が出力軸14を押圧する力が調整される。
【0028】
ここで、ピン36の頭部36aの外周は、シリンダ部34の内面と摺動可能に接している。また、ピン36の円柱部36bの外周はシリンダ部34の穴部34aの内面と摺動可能に接している。
したがって、シリンダ部34は、その内面が頭部36aの外周にガイドされ、また穴部34aの内面が円柱部36bによってガイドされる。このガイドによってシリンダ部34は、ピン36の軸芯C2に沿って移動することが可能となっている。
【0029】
ピン36の軸芯C2は、上述のように出力軸14の軸芯C1と平行である。したがって、シリンダ部34の移動方向も出力軸14の軸芯C1と平行になる。ゆえに、シリンダ部34から延びる延在部32の先端に設けられた加圧部31は、出力軸14の軸芯C1に沿って加圧力を加えることが可能となる。
【0030】
図3は、第一実施形態の振動波モータ1を搭載したレンズ鏡筒2を備えるカメラ3の概略断面図である。なお、図3の振動波モータ1は、図1に示す方向Bから見た図である。
振動波モータ1が設置された基板部19は、レンズ鏡筒2のギアユニットモジュール50に取り付けられる。振動波モータ1の出力ギア51は、ギアユニットモジュール50の減速ギア52と噛み合い、減速ギア52は、カム環53に形成されたギア部53aに噛み合っている。
【0031】
振動波モータ1の回転駆動力は、出力ギア51、減速ギア52、カム環53のギア部53aと伝達され、カム環53が回転駆動される。
カム環53には、周方向に対して斜めにキー溝53bが切られており、該キー溝53bに固定ピン61が挿入されたAF環60は、カム環53が回転駆動することにより、光軸方向に直進方向に駆動され、所望の位置に停止可能となっている。
【0032】
また、レンズ鏡筒2の外側固定筒6と内側固定筒7の間には、レンズ駆動回路5が設けられている。レンズ駆動回路5は、振動波モータ1の駆動、制御、回転数の検出、振動センサーの検出等を行う。
【0033】
図4は、レンズ駆動回路5に設けられた振動波モータ1の駆動装置100を説明するブロック図である。駆動装置100は、発振部101、制御部102、移相部103、増幅部104を備える。
発振部101は、制御部102の指令により所望の周波数の駆動信号を発生する。移相部103は、該発振部101で発生した駆動信号を位相の異なる2つの駆動信号に分ける。増幅部104は、移相部103によって分けられた2つの駆動信号をそれぞれ所望の電圧に昇圧する。
【0034】
増幅部104からの駆動信号は、振動波モータ1に伝達され、この駆動信号の印加により振動子10に進行波が発生し、移動子11が駆動される。回転検出部105は、光学式エンコーダや磁気エンコーダ等により構成され、移動子11の駆動によって駆動された駆動物の位置や速度を検出し、検出値を電気信号として制御部102に伝達する。制御部102は、レンズ鏡筒2内またはカメラ3のCPUからの駆動指令を基に振動波モータ1の駆動を制御する。制御部102は、回転検出部105からの検出信号を受け、その値を基に、位置情報と速度情報を得て、目標位置に位置決めされるように発振部101の周波数を制御する。
【0035】
次に、第一実施形態の振動波モータ1の動作について説明する。
制御部102から、駆動指令が発令され、発振部101からは駆動信号を発生させ、その信号は位相部により90度位相の異なる2つの駆動信号に分割され、増幅部104により所望の電圧に増幅される。駆動信号は、振動波モータ1の圧電体12に印加され、圧電体12は励振され、その励振によって弾性体13には4次の曲げ振動が発生する。圧電体12はA相とB相とに分けられており、駆動信号はそれぞれA相とB相に印加される。A相から発生する4次曲げ振動とB相から発生する4次曲げ振動とは位置的な位相が1/4波長ずれるようになっており、また、A相駆動信号とB相駆動信号とは90度位相がずれているため、2つの曲げ振動は合成され、4波の進行波となる。
なお、波数は4に限定されず、9、また、他の波数、5、6、7、8、10又はそれ以上でも、同様な構成で、同様な方法で制御すれば、同様な効果が得られる。
【0036】
進行波の波頭には楕円運動が生じている。従って、駆動面10aに加圧接触された移動子11は、この楕円運動によって摩擦的に駆動される。移動子11の駆動により駆動された駆動体には、光学式エンコーダが配置されていて、そこから、電気パルスが発生し、制御部102に伝達される。制御部102は、この信号を基に、現在の位置と現在の速度を得ることが可能となる。
【0037】
ここで、振動子10の駆動面10aに対して加圧する加圧部材30は、上述のように加圧部31と、延在部32と、加圧力発生部33を備える。加圧力発生部33のシリンダ部34は出力軸14の軸芯C1と平行な軸芯C2に沿って加圧されている。その加圧力は延在部32により加圧部31へ伝達され、加圧部31によって出力軸14の中心に加えられる。ピンの軸芯C2は、出力軸14の軸芯C1と平行方向であるので、延在部32の先端に設けられた加圧部31の加圧方向も、出力軸14の軸芯方向とほぼ同一となる。
【0038】
また、加圧部31は球面形状、加圧部31に接触する出力軸14の形状は逆円錐形状となっているため、振動子10と移動子11との加圧力の偏りの防止可能で均一な加圧力を発生させることができる。
【0039】
図5は、本実施形態に対する比較形態を示す図である。比較形態と第一実施形態との相違点は、加圧部材(圧縮ばね)35Aが、出力軸14Aのギア部51Aとベアリング18Aの間に設けられている点である。この比較形態によると、圧縮ばね35Aが出力軸14Aに挿入されているので、圧縮ばね35Aの長さ分、振動波モータ1Aの軸芯C1Aに沿った長さを確保する必要がある。
【0040】
しかし、本実施形態によると、図1に示すように、圧縮ばね35は、振動波モータ1の出力軸14に取り付けられていないので、比較形態と比べて、圧縮ばね35の分だけ振動波モータ1の軸芯C1方向の長さを小さくすることができる。したがって、振動波モータ1を扁平形状にすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、加圧力発生部33が、延在部32の下側(Zマイナス側)に設けられている。したがって、振動波アクチュエータ1の軸芯C1方向の長さを最小限にすることができる。このように本実施形態の振動波モータ1は、その軸芯C1方向の長さを短くすることができるので、図3に示すような、いわゆるパンケーキ型レンズ鏡筒への搭載も可能となる。
【0042】
さらに、本実施形態では、加圧力発生部33に、力量が安定して与えられる圧縮ばね35を用いたので、安定した加圧力を与えることが可能となる。
【0043】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態を説明する。図6は、発明の第二実施形態の振動波モータ201を説明する図である。図7は図6をA方向から見た図である。図8は加圧部231が加圧受部材222を押圧していない状態を示す図である。
【0044】
第二実施形態は、移動子211の回転中心が固定軸214となっており、固定軸214を中心として配置されたモータユニット225と、加圧部材230とを備える。モータユニット225における振動子210は、第一実施形態と同様な構成のため説明を省略する。
移動子211は、ゴム部材217によりギア部材221に固定されている。ゴム部材217は、ゴム部材217による粘着性で移動子211とギア部材221とを結合し、かつ移動子211からの振動を吸収し、ギア部材221への振動の伝達を防止する。材料としてはブチルゴム等が好適である。
【0045】
ギア部材221の内径側にはベアリング218が配置され、そのベアリング218の内径側には固定軸214が嵌合され、移動子211は固定軸214の軸芯C1を中心に回転駆動する。固定軸214は基板部219に固定されている。
一方、ベアリング218の内径側には加圧受部材222が配置され、その軸芯は固定軸214の軸芯C1と同軸に配置されている。
【0046】
基板部219には、振動子210に設けられたヒレ部220、固定軸214が固定され、加圧部材230が配置されている。
加圧部材230は、加圧部231、板ばね部232、フランジ部234、固定部235とから構成される。
板ばね部232は、固定軸214の軸芯C1と垂直方向に延伸され、先端に加圧部231を有している。加圧部材230は、図8に示す様に加圧力が与えられていない場合には、湾曲変形しており、加圧部231が加圧受部材222の円錐形の凹部と係合する図6の状態の場合に、適正加圧力が発生され、その揚合、固定軸214の軸芯方向に力が発生する。
【0047】
板ばね部232の加圧部231との反対側の端部には、フランジ部234が形成されている。フランジ部234は、図7に示すように、板ばね部232より幅が広く、図6に示すように、固定軸214の軸芯C1と平行方向に延伸されている。この構成では、板ばね部232の曲げ剛性よりフランジ部234の曲げ剛性が大きいので、板ばね部232に加圧力が与えられてもフランジ部234の変形が小さく、固定端として機能する。フランジ部234は、基板部219に立設された固定部235にねじ236によって取り付けられている。
【0048】
第二実施形態によると、第二実施形態によると、板ばね部232の固定部235に曲げ剛性の大きいフランジ部234を設け、固定軸214の軸芯方向に延伸させた。本実施形態によると、第一実施形態と同様に、加圧部材230の加圧力発生部233を固定軸214の軸芯C1方向へ確実に与えることができ、振動子210と移動子211との加圧力の偏りを防止することができる。
また、このように構成することにより、加圧部材230において、板ばね部232以外の部分を板ばね部232より低くすることができるので振動波モータ201の高さを低くする(固定軸214方向の幅を狭くする)ことができる。そして、このようにモータユニットを扁平にしても高回転駆動の可能、高効率の可能、高負荷駆動を達成することが出来る。
また、第一実施形態と比較して部品点数を減らすことができ、したがって作業工程数も減らすことができる。
【0049】
(第三実施形態)
次に第三実施形態を説明する。図9は、本発明の第三実施形態の振動波モータ301を説明する図である。第三実施形態が第一実施形態と同様に、モータユニット325と加圧部材330とを備える。第一実施形態と異なる点は、ベアリング318の位置である。
【0050】
振動子310は、第一実施形態と同様な構成のため、その説明を省略する。
移動子311は、ゴム部材317を介してベアリング受部材340に接続されている。ゴム部材317は、ゴム部材317による粘着性で移動子311とベアリング受部材340とを結合し、かつ移動子311からの振動を吸収し、出力軸314への振動の伝達を防止する。材料としてはブチルゴム等が好適である。
【0051】
ベアリング受部材340は出力軸314のDカット314aにはまるように形成され、移動子311と一体に回転する。つまり、移動子311の回転方向の軸芯は、出力軸314の軸芯C1とほぼ同軸となる。
【0052】
出力軸314はギア部314cが一体的に設けられている。そして、基板部319におけるギア部314cの近傍には、ブッシュ341が設けられ、ギア部314cの振れが低減される。ベアリング318の内周面には出力軸314がはめ込まれ、外周面には加圧部材330の延在部32が嵌め込まれる。
【0053】
基板部319は、振動子310に設けられたヒレ部320が固定され、出力軸314の振れを防止するブッシュ341が嵌め込まれ、また、加圧部材330が固定されている。
【0054】
加圧部材330は、延在部322及び加圧力発生部333を備える。
加圧力発生部333は、シリンダ部334と、圧縮ばね335と、ピン336と、固定ピン337とを備える。
第一実施形態と同様に、シリンダ部334内に、圧縮ばね335が外周にはめ込まれたピン336を配置し、シリンダ部334の底部に設けられた穴334aよりピン336のねじ部336cを基板部319のねじ穴319aにねじ込み、シリンダ部334を図8の下方(Zマイナス方向)に押圧する。その圧力を延在部322を介して、ベアリング318の外周側と接する加圧部331へ伝達し、ベアリング318を加圧することで、出力軸314に加圧力を与え、振動子310と移動子311との間に加圧力を発生させる。
【0055】
本実施形態においてピン336の軸芯C2は、出力軸314の軸芯C1と平行方向に延伸されている。シリンダ部334の内面はピン336の頭部336aの外周と接触し、またシリンダ部334の底部に設けられた穴334aの内面は、ピン336の円柱部336bの外周と摺動可能に接触しているので、シリンダ部334の移動方向も出力軸314の軸芯C1と平行方向となる。従って、延在部322の先端に設けられた加圧部331の加圧方向は、出力軸314の軸芯方向とほぼ同一にすることができる。
【0056】
また、本実施形態でシリンダ部334の上端には、延在部322が延びている方向と軸芯C2を挟んだ反対方向に向かって第2延在部329が延びている。その第2延在部329には、穴334aが設けられている。一方、基板部319には軸芯C1及びC2と平行に固定ピン337が立設されている。そして、固定ピン337は穴334aに挿入されてその穴334aの内周面と摺動可能に接している。
【0057】
本実施形態によると、ピン336によるシリンダ部334の案内に加え、さらに、シリンダ部334から延びる第2延在部329が基板部319に設けられた固定ピン337によって案内される。したがって、延在部322の軸芯C1に対する平行移動をより確実に行うことができる。また、加圧部材330の、軸芯C1と垂直な方向への移動も防止することができる。
【0058】
本実施形態においても、加圧部材330の加圧力発生部333により発生した加圧力を、出力軸314の軸芯C1方向へ確実に与えることができ、振動子310と移動子311との加圧力の偏りを防止することができる。そして、このようにモータユニットを扁平にしても高回転駆動の可能、高効率の可能、高負荷駆動を達成することが出来る。
さらに、第三実施形態は、第一実施形態に対してベアリング318の位置を変更することにより、ストッパー等の部品点数を低減することができる。
【0059】
(第四実施形態)
図10は、本発明の第四実施形態の振動波モータ401を説明する図である。第四実施形態は第一実施形態に対し、加圧部材が2個設けられている点が異なる。
2つの加圧部材430A,430Bの間にモータユニット425が配置され、より確実に加圧部材430の加圧力を出力軸414の軸芯C1方向により確実に与えることができる。
【0060】
(第五実施形態)
図11及び図12は、本発明の第五実施形態の振動波モータ501を説明する図である。図11は、図12のC−C断面図である。
第五実施形態では加圧部材が2つ設けられている点以外、第二実施形態と同様である。そしてこれらの2つの加圧部材530A,530Bの間にモータユニット525を配置する。これにより、より確実に加圧部材530A,530Bの加圧力を出力軸514の軸方向に与えることができる。
また、本実施形態では、図12に示す様に、第一の加圧部材530Aの延在部532Aと、第二の加圧部材530Bの延在部532Bとを、同一直径上(同一直線上)に設けないようにした。すなわち、出力軸514の軸芯C1から延びる延在部532Aと延在部532Bとの間に形成される角度は、180度より小さくなる。
このようにすることで、レンズ鏡筒2の筒部材の間の、空きスペース等の円弧状のスペースに配置することが可能となる。
【0061】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。また、上述の実施形態、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0062】
1,201,301,401,501:振動波モータ、11,211,311,511:移動子、13,213,313,413,513:弾性体、25,225,325,425,525:モーターユニット、31,231,331,431,531:加圧部、32,232,332,432A,432B,532A,532B:延在部、33,333,433A,433B:加圧力発生部、34,334,434:シリンダ部、C1:軸芯
【技術分野】
【0001】
振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動波モータにおいては、圧電体の伸縮を利用して弾性体の駆動面に進行性振動波(後は進行波と略する)を発生させる。そして、この進行波によって駆動面に楕円運動を生さじさせ、楕円運動の波頭に加圧接触した移動子が駆動される(例えば、特許文献1参照)。
この様な振動波モータは、低回転でも高トルクを有するといった特徴があるため、駆動装置に搭載した場合に、駆動装置のギア数を少なくすることができる。このため、ギアにより発生される騒音が小さくなり、静寂化が達成可能となり、また、位置決め精度も向上する。
【0003】
近年、振動波モータは、径が従来の1/3〜1/5倍程度と小型化、軽量化される傾向がある。この様な小型化された振動波モータは、機器の組み込みに対しての使い勝手が良く、アプリケーションへの適用化が進み、出荷台数を大幅に伸ばしている。
このような振動波モータにおいて、弾性体の駆動面と、その駆動面から駆動力が伝達される移動子の摺動面との間は、駆動力が伝達されるように加圧されている。この加圧力は、従来、出力軸にはめ込まれたばね部材によって発生されている(例えば、特許文献2参照)。このため、振動波モータの出力軸方向の長さの短縮には限界があった。
【0004】
一方、振動波モータにおいて、加圧力を発生させる部分を、出力軸を中心として配置せず、弾性体及び移動子が配置されている部分よりも外径の部分に配置する構成も開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平1−17354号公報
【特許文献2】特開2006−333629号公報
【特許文献3】特開平11−196591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3において発生される加圧力は、出力軸と平行でなく傾いているため、振動子と移動子との加圧力が偏り、高回転時において不快な異音が発生したり、駆動効率が低下したり、また高負荷の発生が困難である等の課題が発生する。
【0007】
本発明は、小型化が可能で、且つ均一な加圧力を付加可能な振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、駆動信号により励振される電気機械変換素子(12,212,312,512)、前記電気機械変換素子(12,212,312,512)に接合され、前記励振により振動波を生じる弾性体(13,213,313,413,513)、及び、前記弾性体(13,213,313,413,513)に加圧接触され、前記振動波によって、前記弾性体(13,213,313,413,513)に対して相対的に回転駆動される相対運動部材(11,211,311,511)、を有するモータ本体(25,225,325,425,525)と、前記弾性体(13,213,313,413,513)と前記相対運動部材(11,211,311,511)との間に加圧力を発生させる加圧部材(30,230,330,430,530)と、を備え、前記加圧部材(30,230,330,430,530)は、前記弾性体(13,213,313,413,513)または前記相対運動部材(11,211,311,511)の一方を、前記回転駆動の回転軸(C1)に沿って他方側に加圧する加圧部(31,231,331,431,531)、前記加圧部(31,231,331,431,531)から前記回転軸(C1)を中心とした径方向の外側に延びる延在部(32,232,332,432A,432B,532A,532B)、及び、前記延在部(32,232,332,432A,432B,532A,532B)における前記モータ本体(25,225,325,425,525)よりも前記径方向の外側に配置される加圧部本体(33,233,333,433A,433B,533A,533B)、を有すること、を特徴とする振動波モータ(1,201,301,401,501)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1項に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)において、前記加圧部本体(33,233,333,433A,433B,533A,533B)及び前記モータ本体(25,225,325,425,525)は、前記回転軸(C1)に沿った方向における前記延在部(32,232,332,432A,432B,532A,532B)の一方の側に配置されていること、を特徴とする振動波モータ(1,201,301,401,501)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)において、前記加圧部(31,231,331,431,531)は、前記弾性体(13,213,313,413,513)または前記相対運動部材(11,211,311,511)の一方を、前記回転軸(C1)を中心として加圧することを特徴とする振動波モータ(1,201,301,401,501)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータ(1,301,401)において、前記加圧部本体(33,333,433A,433B)は、前記延在部(32,332,432A,432B)から連続し、前記回転軸(C1)と平行な第2軸に沿って加圧される被加圧部(34,334,434)を備えること、を特徴とする振動波モータ(1,301,401)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の振動波モータ(1,301,401)において、前記被加圧部(34,334,434)は、圧縮ばねにより加圧されることを特徴とする振動波モータ(1,301,401)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の振動波モータ(301)において、前記加圧部(331)は、前記回転軸(C1)を中心とした円周に沿って配置されていること、を特徴とする振動波モータ(301)である。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の振動波モータ(401,501)において、前記延在部(432A,432B,532A,532B)は前記加圧部(431,531)から複数の径方向に延び、前記加圧部本体(433A,433B,533A,533B)は、前記延在部(432A,432B,532A,532B)のそれぞれの端部に設けられていること、を特徴とする振動波モータ(401,501)である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の振動波モータ(501)において、複数の前記延在部(532A,532B)は異なる直径方向に延びることこと、を特徴とする振動波モータ(501)である。
請求項9に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータ(201,501)において、前記延在部(232,532A,532B)は、板ばねであることを特徴とする振動波モータ(201,501)である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の振動波モータ(201,501)において、前記延在部(232,332,532A,532B)の前記径方向の外側の端部は、前記回転軸(C1)と平行に延びる第2延在部(232,532A,532B)に連続し、
前記第2延在部(232,532A,532B)の剛性が前記延在部(232,532A,532B)より高いこと、を特徴とする振動波モータ(201,501)である。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)を備えるレンズ鏡筒(2)である。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータ(1,201,301,401,501)を備えるカメラ(3)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化が可能で、且つ均一な加圧力を付加可能な振動波モータ、レンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図2】振動波モータを図1における方向Aから見た図である。
【図3】第一実施形態の振動波モータを搭載したレンズ鏡筒を備えるカメラの概略断面図である。
【図4】レンズ駆動回路に設けられた振動波モータの駆動装置を説明するブロック図である。
【図5】第一実施形態に対する比較形態を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図7】図6をA方向から見た図である。
【図8】第二実施形態における加圧部が加圧受部材を押圧していない状態を示す図である。
【図9】第三実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図10】第四実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図11】本発明の第五実施形態の振動波モータを説明する図である。
【図12】本発明の第五実施形態の振動波モータを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
以下、本発明にかかる振動波モータ1の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態の振動波モータ1を説明する図である。図2は、振動波モータ1を図1における方向Aから見た図である。
また、図面には、適宜、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、図1に示すように、振動波モータ1の出力軸14の軸芯C1の方向をZ軸とし(後述する振動子10から移動子11に向かう方向をZプラス)、軸芯C1から見たときに振動波モータ1の後述の加圧力発生部が設けられている方向をXマイナス方向とし、それらと直交する方向をYとする。また、以下、Zプラス方向を上側、Zマイナス方向を下側ともいう。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の振動波モータ1は、振動子10、移動子11、出力軸14等を有するモータユニット25と、加圧部材30とを備え、振動子10側を固定とし、移動子11を回転駆動する形態となっている。
【0014】
振動子10は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する圧電素子や電歪素子等を例とした電気−機械変換素子(以下、圧電体と称する)12と、圧電体12を接合した弾性体13とから構成され、振動子10には進行性振動波が発生される。本実施形態では一例として4波の進行波が発生される。
【0015】
弾性体13は、共振先鋭度が大きな金属材料から成り、円環形状である。弾性体13の一方の面には圧電体12が接合され、他方の面には溝10b(図2に示す)が切られ、当該面における溝10b以外の部分は駆動面10a(図2に示す)となり、駆動面10aは移動子11に加圧接触される。
【0016】
圧電体12は、PZTと呼ばれるチタン酸ジルコン酸鉛といった材料から構成してもよく、また、環境問題を考慮し、鉛フリーの材料であるニオブ酸カリウムナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、カリウムチタン酸バリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム等で構成してもよい。
【0017】
圧電体12には電極が配置され、該電極は、円周方向に沿って2つの相(A相、B相)に分かれている。各相においては、1/2波長毎に交互に分極されていて、A相とB相との間には1/4波長分間隔分空く様に電極が配置されている。
【0018】
移動子11は、アルミニウムといった軽金属からなり、摺動面11aの表面には耐摩耗性向上のための表面処理が成されている。
【0019】
出力軸14は、ゴム部材17と出力軸14のDカット14aにはまるように挿入されたストッパー部材15とを介して移動子11に結合されている。出力軸14とストッパー部材15はEクリップ16等により固定され、移動子11と一体に回転する。すなわち、移動子11の回転方向の軸芯は、出力軸14の軸芯C1とほぼ同軸となる。
また、出力軸14の上側の端面(Zプラス側の端面)には、出力軸14の軸芯C1wo中心とした逆円錐形状を有する窪み部14bが形成されている。
【0020】
ストッパー部材15と移動子11との間のゴム部材17は、ゴム部材17による粘着性で移動子11とストッパー部材15と結合する機能があり、かつ移動子11からの振動を出力軸14へ伝えないための振動吸収との機能があるブチルゴム部材等が好適である。
【0021】
また、ベアリング18は、出力軸14の外周に嵌合されて、Eクリップ16、ストッパー部材15により出力軸14に固定されている。
【0022】
上述した振動子10、移動子11、出力軸14等、出力軸14の軸芯C1を中心として配置された部材を合わせてモータユニット25という。
また、振動波モータ1は、後述するようにレンズ鏡筒2の固定部であるギアユニットモジュール50(図3に図示)に固定される基板部19を備える。基板部19には、振動子10における弾性体13の内径側に設けられたヒレ部20が固定されている。さらに基板部19は、出力軸14に嵌められたベアリング18を径方向に支持し、出力軸14を回転方向に可動支持している。
【0023】
加圧部材30は、移動子11の摺動面11aを弾性体13の駆動面10a側に加圧する部材である。
加圧部材30は、出力軸14に設けられた窪み部14bの内面と接するように配置された加圧部31と、加圧部31から、出力軸14の軸芯C1を中心とした径方向の外側に延びる延在部32と、延在部32の端部に設けられた加圧力発生部33とを備える。
【0024】
加圧部31は、半球面形状を有している。加圧部31と接触する出力軸14の窪み部14bの形状が逆円錐形状となっているため、加圧部31と出力軸14の窪み部14bとが確実に接触(線接触)される。
【0025】
延在部32は、加圧部31から出力軸14の軸芯C1を中心とした径方向の外側に向かって延びる板状部材である。
加圧力発生部33は、延在部32の径方向外側の端部において、延在部32よりも下側(Zマイナス側)に設けられている。
加圧力発生部33は、有底円筒型部のシリンダ部34と、シリンダ部34の内部に配置され、シリンダ部34の底部に設けられた穴部34aより先端が突き出したピン36を備える。
ピン36は、頭部36aとその頭部36aから延びる円柱部36bとを備える。また、円柱部36bの先端には、ねじ部36cが形成されている。
【0026】
基板部19には、ねじ穴19aが形成されており、ピン36のねじ部36cは、そのねじ穴19aに螺合されている。ここで、ねじ穴19aは、出力軸14の軸芯C1と平行に形成されている。したがって、ねじ穴19aにねじ部36cが螺合されたピン36の軸芯C2は、出力軸14の軸芯C1と平行になる。
【0027】
ピン36の円柱部36bの外周には圧縮ばね35が取り付けられている。圧縮ばね35の一端はシリンダ部34の底面(Zプラス側面)に接し、他端はピン36の頭部36aの下面(Zマイナス側面)に接している。
ピン36のねじ部36cを基板部19に設けられたねじ穴19aにねじ込み、ねじ込み深さを調整することにより、ピン36の頭部36aの基板部19に対する位置を調整することができる。このピン36の頭部36aの基板部19に対する位置を調整することにより、圧縮ばね35がその下端においてシリンダ部34を加圧する力を調整することができる。圧縮ばね35がシリンダ部34を加圧する力は、延在部32を介して加圧部31に伝達され、加圧部31が出力軸14を押圧する力が調整される。
【0028】
ここで、ピン36の頭部36aの外周は、シリンダ部34の内面と摺動可能に接している。また、ピン36の円柱部36bの外周はシリンダ部34の穴部34aの内面と摺動可能に接している。
したがって、シリンダ部34は、その内面が頭部36aの外周にガイドされ、また穴部34aの内面が円柱部36bによってガイドされる。このガイドによってシリンダ部34は、ピン36の軸芯C2に沿って移動することが可能となっている。
【0029】
ピン36の軸芯C2は、上述のように出力軸14の軸芯C1と平行である。したがって、シリンダ部34の移動方向も出力軸14の軸芯C1と平行になる。ゆえに、シリンダ部34から延びる延在部32の先端に設けられた加圧部31は、出力軸14の軸芯C1に沿って加圧力を加えることが可能となる。
【0030】
図3は、第一実施形態の振動波モータ1を搭載したレンズ鏡筒2を備えるカメラ3の概略断面図である。なお、図3の振動波モータ1は、図1に示す方向Bから見た図である。
振動波モータ1が設置された基板部19は、レンズ鏡筒2のギアユニットモジュール50に取り付けられる。振動波モータ1の出力ギア51は、ギアユニットモジュール50の減速ギア52と噛み合い、減速ギア52は、カム環53に形成されたギア部53aに噛み合っている。
【0031】
振動波モータ1の回転駆動力は、出力ギア51、減速ギア52、カム環53のギア部53aと伝達され、カム環53が回転駆動される。
カム環53には、周方向に対して斜めにキー溝53bが切られており、該キー溝53bに固定ピン61が挿入されたAF環60は、カム環53が回転駆動することにより、光軸方向に直進方向に駆動され、所望の位置に停止可能となっている。
【0032】
また、レンズ鏡筒2の外側固定筒6と内側固定筒7の間には、レンズ駆動回路5が設けられている。レンズ駆動回路5は、振動波モータ1の駆動、制御、回転数の検出、振動センサーの検出等を行う。
【0033】
図4は、レンズ駆動回路5に設けられた振動波モータ1の駆動装置100を説明するブロック図である。駆動装置100は、発振部101、制御部102、移相部103、増幅部104を備える。
発振部101は、制御部102の指令により所望の周波数の駆動信号を発生する。移相部103は、該発振部101で発生した駆動信号を位相の異なる2つの駆動信号に分ける。増幅部104は、移相部103によって分けられた2つの駆動信号をそれぞれ所望の電圧に昇圧する。
【0034】
増幅部104からの駆動信号は、振動波モータ1に伝達され、この駆動信号の印加により振動子10に進行波が発生し、移動子11が駆動される。回転検出部105は、光学式エンコーダや磁気エンコーダ等により構成され、移動子11の駆動によって駆動された駆動物の位置や速度を検出し、検出値を電気信号として制御部102に伝達する。制御部102は、レンズ鏡筒2内またはカメラ3のCPUからの駆動指令を基に振動波モータ1の駆動を制御する。制御部102は、回転検出部105からの検出信号を受け、その値を基に、位置情報と速度情報を得て、目標位置に位置決めされるように発振部101の周波数を制御する。
【0035】
次に、第一実施形態の振動波モータ1の動作について説明する。
制御部102から、駆動指令が発令され、発振部101からは駆動信号を発生させ、その信号は位相部により90度位相の異なる2つの駆動信号に分割され、増幅部104により所望の電圧に増幅される。駆動信号は、振動波モータ1の圧電体12に印加され、圧電体12は励振され、その励振によって弾性体13には4次の曲げ振動が発生する。圧電体12はA相とB相とに分けられており、駆動信号はそれぞれA相とB相に印加される。A相から発生する4次曲げ振動とB相から発生する4次曲げ振動とは位置的な位相が1/4波長ずれるようになっており、また、A相駆動信号とB相駆動信号とは90度位相がずれているため、2つの曲げ振動は合成され、4波の進行波となる。
なお、波数は4に限定されず、9、また、他の波数、5、6、7、8、10又はそれ以上でも、同様な構成で、同様な方法で制御すれば、同様な効果が得られる。
【0036】
進行波の波頭には楕円運動が生じている。従って、駆動面10aに加圧接触された移動子11は、この楕円運動によって摩擦的に駆動される。移動子11の駆動により駆動された駆動体には、光学式エンコーダが配置されていて、そこから、電気パルスが発生し、制御部102に伝達される。制御部102は、この信号を基に、現在の位置と現在の速度を得ることが可能となる。
【0037】
ここで、振動子10の駆動面10aに対して加圧する加圧部材30は、上述のように加圧部31と、延在部32と、加圧力発生部33を備える。加圧力発生部33のシリンダ部34は出力軸14の軸芯C1と平行な軸芯C2に沿って加圧されている。その加圧力は延在部32により加圧部31へ伝達され、加圧部31によって出力軸14の中心に加えられる。ピンの軸芯C2は、出力軸14の軸芯C1と平行方向であるので、延在部32の先端に設けられた加圧部31の加圧方向も、出力軸14の軸芯方向とほぼ同一となる。
【0038】
また、加圧部31は球面形状、加圧部31に接触する出力軸14の形状は逆円錐形状となっているため、振動子10と移動子11との加圧力の偏りの防止可能で均一な加圧力を発生させることができる。
【0039】
図5は、本実施形態に対する比較形態を示す図である。比較形態と第一実施形態との相違点は、加圧部材(圧縮ばね)35Aが、出力軸14Aのギア部51Aとベアリング18Aの間に設けられている点である。この比較形態によると、圧縮ばね35Aが出力軸14Aに挿入されているので、圧縮ばね35Aの長さ分、振動波モータ1Aの軸芯C1Aに沿った長さを確保する必要がある。
【0040】
しかし、本実施形態によると、図1に示すように、圧縮ばね35は、振動波モータ1の出力軸14に取り付けられていないので、比較形態と比べて、圧縮ばね35の分だけ振動波モータ1の軸芯C1方向の長さを小さくすることができる。したがって、振動波モータ1を扁平形状にすることができる。
【0041】
また、本実施形態では、加圧力発生部33が、延在部32の下側(Zマイナス側)に設けられている。したがって、振動波アクチュエータ1の軸芯C1方向の長さを最小限にすることができる。このように本実施形態の振動波モータ1は、その軸芯C1方向の長さを短くすることができるので、図3に示すような、いわゆるパンケーキ型レンズ鏡筒への搭載も可能となる。
【0042】
さらに、本実施形態では、加圧力発生部33に、力量が安定して与えられる圧縮ばね35を用いたので、安定した加圧力を与えることが可能となる。
【0043】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態を説明する。図6は、発明の第二実施形態の振動波モータ201を説明する図である。図7は図6をA方向から見た図である。図8は加圧部231が加圧受部材222を押圧していない状態を示す図である。
【0044】
第二実施形態は、移動子211の回転中心が固定軸214となっており、固定軸214を中心として配置されたモータユニット225と、加圧部材230とを備える。モータユニット225における振動子210は、第一実施形態と同様な構成のため説明を省略する。
移動子211は、ゴム部材217によりギア部材221に固定されている。ゴム部材217は、ゴム部材217による粘着性で移動子211とギア部材221とを結合し、かつ移動子211からの振動を吸収し、ギア部材221への振動の伝達を防止する。材料としてはブチルゴム等が好適である。
【0045】
ギア部材221の内径側にはベアリング218が配置され、そのベアリング218の内径側には固定軸214が嵌合され、移動子211は固定軸214の軸芯C1を中心に回転駆動する。固定軸214は基板部219に固定されている。
一方、ベアリング218の内径側には加圧受部材222が配置され、その軸芯は固定軸214の軸芯C1と同軸に配置されている。
【0046】
基板部219には、振動子210に設けられたヒレ部220、固定軸214が固定され、加圧部材230が配置されている。
加圧部材230は、加圧部231、板ばね部232、フランジ部234、固定部235とから構成される。
板ばね部232は、固定軸214の軸芯C1と垂直方向に延伸され、先端に加圧部231を有している。加圧部材230は、図8に示す様に加圧力が与えられていない場合には、湾曲変形しており、加圧部231が加圧受部材222の円錐形の凹部と係合する図6の状態の場合に、適正加圧力が発生され、その揚合、固定軸214の軸芯方向に力が発生する。
【0047】
板ばね部232の加圧部231との反対側の端部には、フランジ部234が形成されている。フランジ部234は、図7に示すように、板ばね部232より幅が広く、図6に示すように、固定軸214の軸芯C1と平行方向に延伸されている。この構成では、板ばね部232の曲げ剛性よりフランジ部234の曲げ剛性が大きいので、板ばね部232に加圧力が与えられてもフランジ部234の変形が小さく、固定端として機能する。フランジ部234は、基板部219に立設された固定部235にねじ236によって取り付けられている。
【0048】
第二実施形態によると、第二実施形態によると、板ばね部232の固定部235に曲げ剛性の大きいフランジ部234を設け、固定軸214の軸芯方向に延伸させた。本実施形態によると、第一実施形態と同様に、加圧部材230の加圧力発生部233を固定軸214の軸芯C1方向へ確実に与えることができ、振動子210と移動子211との加圧力の偏りを防止することができる。
また、このように構成することにより、加圧部材230において、板ばね部232以外の部分を板ばね部232より低くすることができるので振動波モータ201の高さを低くする(固定軸214方向の幅を狭くする)ことができる。そして、このようにモータユニットを扁平にしても高回転駆動の可能、高効率の可能、高負荷駆動を達成することが出来る。
また、第一実施形態と比較して部品点数を減らすことができ、したがって作業工程数も減らすことができる。
【0049】
(第三実施形態)
次に第三実施形態を説明する。図9は、本発明の第三実施形態の振動波モータ301を説明する図である。第三実施形態が第一実施形態と同様に、モータユニット325と加圧部材330とを備える。第一実施形態と異なる点は、ベアリング318の位置である。
【0050】
振動子310は、第一実施形態と同様な構成のため、その説明を省略する。
移動子311は、ゴム部材317を介してベアリング受部材340に接続されている。ゴム部材317は、ゴム部材317による粘着性で移動子311とベアリング受部材340とを結合し、かつ移動子311からの振動を吸収し、出力軸314への振動の伝達を防止する。材料としてはブチルゴム等が好適である。
【0051】
ベアリング受部材340は出力軸314のDカット314aにはまるように形成され、移動子311と一体に回転する。つまり、移動子311の回転方向の軸芯は、出力軸314の軸芯C1とほぼ同軸となる。
【0052】
出力軸314はギア部314cが一体的に設けられている。そして、基板部319におけるギア部314cの近傍には、ブッシュ341が設けられ、ギア部314cの振れが低減される。ベアリング318の内周面には出力軸314がはめ込まれ、外周面には加圧部材330の延在部32が嵌め込まれる。
【0053】
基板部319は、振動子310に設けられたヒレ部320が固定され、出力軸314の振れを防止するブッシュ341が嵌め込まれ、また、加圧部材330が固定されている。
【0054】
加圧部材330は、延在部322及び加圧力発生部333を備える。
加圧力発生部333は、シリンダ部334と、圧縮ばね335と、ピン336と、固定ピン337とを備える。
第一実施形態と同様に、シリンダ部334内に、圧縮ばね335が外周にはめ込まれたピン336を配置し、シリンダ部334の底部に設けられた穴334aよりピン336のねじ部336cを基板部319のねじ穴319aにねじ込み、シリンダ部334を図8の下方(Zマイナス方向)に押圧する。その圧力を延在部322を介して、ベアリング318の外周側と接する加圧部331へ伝達し、ベアリング318を加圧することで、出力軸314に加圧力を与え、振動子310と移動子311との間に加圧力を発生させる。
【0055】
本実施形態においてピン336の軸芯C2は、出力軸314の軸芯C1と平行方向に延伸されている。シリンダ部334の内面はピン336の頭部336aの外周と接触し、またシリンダ部334の底部に設けられた穴334aの内面は、ピン336の円柱部336bの外周と摺動可能に接触しているので、シリンダ部334の移動方向も出力軸314の軸芯C1と平行方向となる。従って、延在部322の先端に設けられた加圧部331の加圧方向は、出力軸314の軸芯方向とほぼ同一にすることができる。
【0056】
また、本実施形態でシリンダ部334の上端には、延在部322が延びている方向と軸芯C2を挟んだ反対方向に向かって第2延在部329が延びている。その第2延在部329には、穴334aが設けられている。一方、基板部319には軸芯C1及びC2と平行に固定ピン337が立設されている。そして、固定ピン337は穴334aに挿入されてその穴334aの内周面と摺動可能に接している。
【0057】
本実施形態によると、ピン336によるシリンダ部334の案内に加え、さらに、シリンダ部334から延びる第2延在部329が基板部319に設けられた固定ピン337によって案内される。したがって、延在部322の軸芯C1に対する平行移動をより確実に行うことができる。また、加圧部材330の、軸芯C1と垂直な方向への移動も防止することができる。
【0058】
本実施形態においても、加圧部材330の加圧力発生部333により発生した加圧力を、出力軸314の軸芯C1方向へ確実に与えることができ、振動子310と移動子311との加圧力の偏りを防止することができる。そして、このようにモータユニットを扁平にしても高回転駆動の可能、高効率の可能、高負荷駆動を達成することが出来る。
さらに、第三実施形態は、第一実施形態に対してベアリング318の位置を変更することにより、ストッパー等の部品点数を低減することができる。
【0059】
(第四実施形態)
図10は、本発明の第四実施形態の振動波モータ401を説明する図である。第四実施形態は第一実施形態に対し、加圧部材が2個設けられている点が異なる。
2つの加圧部材430A,430Bの間にモータユニット425が配置され、より確実に加圧部材430の加圧力を出力軸414の軸芯C1方向により確実に与えることができる。
【0060】
(第五実施形態)
図11及び図12は、本発明の第五実施形態の振動波モータ501を説明する図である。図11は、図12のC−C断面図である。
第五実施形態では加圧部材が2つ設けられている点以外、第二実施形態と同様である。そしてこれらの2つの加圧部材530A,530Bの間にモータユニット525を配置する。これにより、より確実に加圧部材530A,530Bの加圧力を出力軸514の軸方向に与えることができる。
また、本実施形態では、図12に示す様に、第一の加圧部材530Aの延在部532Aと、第二の加圧部材530Bの延在部532Bとを、同一直径上(同一直線上)に設けないようにした。すなわち、出力軸514の軸芯C1から延びる延在部532Aと延在部532Bとの間に形成される角度は、180度より小さくなる。
このようにすることで、レンズ鏡筒2の筒部材の間の、空きスペース等の円弧状のスペースに配置することが可能となる。
【0061】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。また、上述の実施形態、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0062】
1,201,301,401,501:振動波モータ、11,211,311,511:移動子、13,213,313,413,513:弾性体、25,225,325,425,525:モーターユニット、31,231,331,431,531:加圧部、32,232,332,432A,432B,532A,532B:延在部、33,333,433A,433B:加圧力発生部、34,334,434:シリンダ部、C1:軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号により励振される電気機械変換素子、前記電気機械変換素子に接合され、前記励振により振動波を生じる弾性体、及び、前記弾性体に加圧接触され、前記振動波によって、前記弾性体に対して相対的に回転駆動される相対運動部材、を有するモータ本体と、
前記弾性体と前記相対運動部材との間に加圧力を発生させる加圧部材と、を備え、
前記加圧部材は、
前記弾性体または前記相対運動部材の一方を、前記回転駆動の回転軸に沿って他方側に加圧する加圧部、前記加圧部から前記回転軸を中心とした径方向の外側に延びる延在部、及び、前記延在部における前記モータ本体よりも前記径方向の外側に配置される加圧部本体、を有すること、を特徴とする振動波モータ。
【請求項2】
請求項1項に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部本体及び前記モータ本体は、前記回転軸に沿った方向における前記延在部の一方の側に配置されていること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部は、前記弾性体または前記相対運動部材の一方を、前記回転軸を中心として加圧することを特徴とする振動波モータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部本体は、前記延在部から連続し、前記回転軸と平行な第2軸に沿って加圧される被加圧部を備えること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項5】
請求項4に記載の振動波モータにおいて、
前記被加圧部は、圧縮ばねにより加圧されることを特徴とする振動波モータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部は、前記回転軸を中心とした円周に沿って配置されていること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記延在部は前記加圧部から複数の径方向に延び、前記加圧部本体は、前記延在部のそれぞれの端部に設けられていること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項8】
請求項7に記載の振動波モータにおいて、
複数の前記延在部は異なる直径方向に延びること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記延在部は、板ばねであることを特徴とする振動波モータ。
【請求項10】
請求項9に記載の振動波モータにおいて、
前記延在部の前記径方向の外側の端部は、前記回転軸と平行に延びる第2延在部に連続し、
前記第2延在部の剛性が前記延在部より高いこと、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータを備えるレンズ鏡筒。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータを備えるカメラ。
【請求項1】
駆動信号により励振される電気機械変換素子、前記電気機械変換素子に接合され、前記励振により振動波を生じる弾性体、及び、前記弾性体に加圧接触され、前記振動波によって、前記弾性体に対して相対的に回転駆動される相対運動部材、を有するモータ本体と、
前記弾性体と前記相対運動部材との間に加圧力を発生させる加圧部材と、を備え、
前記加圧部材は、
前記弾性体または前記相対運動部材の一方を、前記回転駆動の回転軸に沿って他方側に加圧する加圧部、前記加圧部から前記回転軸を中心とした径方向の外側に延びる延在部、及び、前記延在部における前記モータ本体よりも前記径方向の外側に配置される加圧部本体、を有すること、を特徴とする振動波モータ。
【請求項2】
請求項1項に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部本体及び前記モータ本体は、前記回転軸に沿った方向における前記延在部の一方の側に配置されていること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部は、前記弾性体または前記相対運動部材の一方を、前記回転軸を中心として加圧することを特徴とする振動波モータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部本体は、前記延在部から連続し、前記回転軸と平行な第2軸に沿って加圧される被加圧部を備えること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項5】
請求項4に記載の振動波モータにおいて、
前記被加圧部は、圧縮ばねにより加圧されることを特徴とする振動波モータ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記加圧部は、前記回転軸を中心とした円周に沿って配置されていること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記延在部は前記加圧部から複数の径方向に延び、前記加圧部本体は、前記延在部のそれぞれの端部に設けられていること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項8】
請求項7に記載の振動波モータにおいて、
複数の前記延在部は異なる直径方向に延びること、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の振動波モータにおいて、
前記延在部は、板ばねであることを特徴とする振動波モータ。
【請求項10】
請求項9に記載の振動波モータにおいて、
前記延在部の前記径方向の外側の端部は、前記回転軸と平行に延びる第2延在部に連続し、
前記第2延在部の剛性が前記延在部より高いこと、
を特徴とする振動波モータ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータを備えるレンズ鏡筒。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の振動波モータを備えるカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−124983(P2012−124983A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271272(P2010−271272)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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