説明

撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラム

【課題】ユーザが特に難しい設定操作を行うことなく、通常の撮像装置において全周囲撮像を実現させる。
【解決手段】全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部と、前記撮像部に対して前記アダプタが装着されているか否かを検出する装着検出部と、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、撮像装置の設定を制御する制御部とを備える、撮像装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転対称な形状の反射面を有する全周囲撮像光学系を用いて、全周囲(360°)の被写体を撮像可能な全周囲撮像装置が知られている(特許文献1、2参照。)。該全周囲撮像装置は、全周囲撮像光学系の反射面に入射する全周囲の被写体像を集光して、撮像素子により該被写体像を撮像する。このように全周囲撮像光学系を用いて撮像された画像は、撮像装置の全周囲の被写体像を写した環状画像となる(特許文献3参照。)。かかる全周囲撮像装置は、1台で全周囲の画像を撮像できるという利点があるため、従来では、例えば監視カメラ、内視鏡カメラ等の業務用カメラとして主に用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−192220号公報
【特許文献2】特開2000−131738号公報
【特許文献3】特開2003−304532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の全周囲撮像装置は、監視カメラなどの業務用途において、さらに全周囲の被写体のみを撮像するという固定的な目的のみで使用されており、その用途が特定用途に限られていた。つまり、1台の撮像装置で、一方向の被写体を撮像する通常撮像と全周囲撮像とを使い分けることはできなかった。
【0005】
ところが近年では、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどといった一般消費者向けの通常の撮像装置においても、撮像方式を多様化するために、全方位撮像のニーズが高まっている。このため、一方向の被写体を撮像する通常の撮像装置において、簡易な手法で、全周囲撮像を実現できるようにすることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが特に難しい設定操作を行うことなく、通常の撮像装置において全周囲撮像を実現させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部と、前記撮像部に対して前記アダプタが装着されているか否かを検出する装着検出部と、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、撮像装置の設定を制御する制御部と、を備える、撮像装置が提供される。
【0008】
前記撮像装置は、前記撮像素子から出力される撮像画像を表示する表示部をさらに備え、前記表示部又は前記撮像部の少なくとも一方は、前記撮像装置の本体部に対して回動可能に設けられており、前記撮像装置は、前記本体部に対する前記表示部又は前記撮像部の回動状態を検出する回動検出部をさらに備え、前記制御部は、前記回動検出部により検出された前記回動状態に基づいて、前記表示部に前記撮像画像を反転して表示する反転表示機能を有し、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記反転表示機能を無効化するようにしてもよい。
【0009】
前記アダプタが前記撮像部に装着されていない場合、前記制御部は、前記一方向の被写体を撮像する通常撮像動作の設定を、前記撮像光学系の特性に応じて制御し、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記全周囲の被写体を撮像する全周囲撮像動作の設定を、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて制御するようにしてもよい。
【0010】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、前記全周囲撮像動作により得られる撮像画像の画角を制御するようにしてもよい。
【0011】
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されたときに、前記撮像光学系が備えるズームレンズを、前記全周囲撮像光学系の特性に応じた所定位置に移動させることによって、前記撮像画像の画角を制御するようにしてもよい。
【0012】
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されたときに、前記撮像素子から出力される前記撮像画像の画像サイズを、前記全周囲撮像光学系の特性に応じた画像サイズに制御することによって、前記撮像画像の画角を制御するようにしてもよい。
【0013】
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されているか否かに基づいて、前記撮像光学系の焦点位置の制御方式を変更するようにしてもよい。
【0014】
前記全周囲撮像光学系が、該全周囲撮像光学系から任意の距離にある被写体の焦点が前記全周囲撮像光学系の内部又は近傍に位置するような光学特性を有する場合、前記アダプタが前記撮像部に装着されたときに、前記制御部は、前記全周囲撮像光学系の内部又は近傍に焦点が合うように前記撮像光学系の焦点位置を制御するようにしてもよい。
【0015】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、オートフォーカス機能による前記撮像光学系の焦点位置の調整範囲を、前記撮像光学系の近傍に制限するようにしてもよい。
【0016】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記撮像素子から出力される撮像画像における露出制御の評価対象領域を、前記全周囲撮像動作により得られる環状画像内に制限するようにしてもよい。
【0017】
前記撮像装置は、前記撮像部による撮像動作を補助するための撮像補助機能を有し、前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されているか否かに基づいて、前記撮像補助機能の設定を変更するようにしてもよい。
【0018】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記全周囲撮像光学系の光学特性に応じて制御された前記撮像装置の設定を変更するユーザ操作を無効化するようにしてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部に、前記アダプタが装着されているか否かを検出するステップと、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、撮像装置の設定を制御するステップと、を含む、撮像装置の制御方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像装置に、全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部に、前記アダプタが装着されているか否かを検出するステップと、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、前記撮像装置の設定を制御するステップと、を実行させるためのプログラムが提供される。
【0021】
上記構成によれば、全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能な撮像部に、アダプタが装着されているか否かが検出され、アダプタが撮像部に装着されている場合、全周囲撮像光学系の特性に応じて、撮像装置の設定が制御される。これにより、アダプタを撮像部に装着したときに、撮像装置の設定が、全周囲撮像光学系の特性に適した設定に自動制御される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、ユーザが特に難しい設定操作を行うことなく、通常の撮像装置において全周囲撮像を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す斜視図である。
【図3】同実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す斜視図である。
【図4】同実施形態に係るアダプタと撮像装置の外観構成を示す斜視図である。
【図5】同実施形態に係るアダプタが装着された撮像装置を示す背面図である。
【図6】同実施形態に係る二回反射タイプの全周囲撮像光学系を示す断面図である。
【図7】同実施形態に係る撮像装置のハードウェア構成を示す模式図である。
【図8】同実施形態に係る撮像装置の撮像部を示す拡大斜視図である。
【図9】同実施形態に係る撮像装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係る通常撮像時における反転表示機能の有効状態を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る全周囲撮像時における反転表示機能の無効状態を示す説明図である。
【図12】同実施形態に係る撮像装置の撮像部の回動状態を示す斜視図である。
【図13】同実施形態に係る通常撮像時のフォーカス制御を示す説明図である。
【図14】同実施形態に係る通常撮像時のフォーカス制御を示す説明図である。
【図15】同実施形態に係る全周囲撮像時のフォーカス制御を示す説明図である。
【図16】本発明の第2の同実施形態に係る撮像装置の表示部の回動状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.撮像装置の外観構成
2.全周囲撮像光学系の構成
3.撮像装置の構成
4.回動検出部、装着検出部の構成
5.撮像装置の制御方法
6.表示動作の設定の最適化
7.撮像動作の設定の最適化
7.1.画角の最適化
7.2.フォーカス制御の最適化
7.3.露出制御の最適化
7.4.撮像補助機能の無効化
8.操作制御の設定の最適化
9.撮像装置の他の実施形態
10.まとめ
【0026】
[1.撮像装置の外観構成]
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置10の外観構成について詳細に説明する。図1〜図5は、本実施形態に係る撮像装置10の外観構成を示す斜視図、正面図である。本発明の撮像装置は、例えば、図1に示す撮像装置10のようなデジタルカメラで具現されるが、かかる例に限定されず、撮像機能を備えた任意の電子機器に適用可能である。
【0027】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る撮像装置10は、例えば、静止画及び/又は動画を撮像可能なデジタルカメラ(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ)で構成される。この撮像装置10は、被写体を撮像して、当該撮像により得られた静止画又は動画をデジタル方式の画像データとして記録媒体に記録する。撮像装置10は、ユーザが携帯及び撮像するのに便利な小型で縦長の装置構成となっている。
【0028】
本実施形態に係る撮像装置10は、装置の大半を占める本体部100と、該本体部100の上端に回動自在に設けられた撮像部110とから構成される。本体部100は、撮像装置10の制御部、記録部、電源部などが内蔵されており、本体部100の背面102側に、撮像画像を表示するための表示部130や、ユーザが撮像装置10を操作するための操作部160が設けられている。操作部160は、例えば、上下左右の指定や決定操作を行うための操作キー161、プレビューボタン162、メニューボタン163、静止画(写真)を撮像及び記録するためのレリーズボタン164、動画の撮像及び記録を開始/終了するためのレコードボタン165、Tele端とWide端の間でズームポジションを調整するためのズームスイッチ166などを含む。
【0029】
撮像部110は、被写体を撮像する機能を有しており、撮像部110のハウジングの内部には、レンズ、絞り等の光学部品からなる撮像光学系111と、撮像素子112(図7参照。)などが内蔵されている。この撮像部110は、不図示の回動機構により本体部100に対して回動自在に設けられる。撮像部110の回動軸116は、表示部130の表示画面に対して平行であり、かつ、本体部100の上下方向に対して垂直な軸である。かかる回動軸116を中心に撮像部110を回動させることによって、撮像部110を撮像装置10の正面101の方向及び背面102の方向に向けることが可能である。この撮像部110の回動状態を、回動角θで表す。回動角θは、撮像部110の撮像光学系111の光軸103と、表示部130の表示画面に対して垂直な方向(本体部100の厚み方向)との成す角度である。なお、本実施形態に係る撮像装置10の正面101は、表示部130の設置面とは反対側の面であり、撮像装置10の背面102は、表示部130の設置面である。また、撮像部110の回動方向は、図示の例に限定されず、任意に設計変更可能であり、回動軸の数も、図示の1軸の例に限られず、2軸、3軸など任意の複数個の回動軸を設けてもよい。
【0030】
図1は、撮像部110の回動角θ=0°の状態を示す。図1に示すように、撮像部110を回動させて、撮像部110の撮像光学系111の光軸103を撮像装置10の正面101の方向(以下、正面方向)に向けたときには、該正面方向を撮像方向として、撮像装置10の正面方向に存在する被写体を撮像できる。このとき、ユーザは、本体部100の背面102の表示部130に表示される撮像画像(スルー画像)を見ながら、画角等を調整して、撮像を行うことができる。
【0031】
また、図2は、0°<θ<180°の状態を示す。図2に示すように、撮像部110は、撮像部110を本体部100に対して回動させることで、本体部100の向きを変えることなく、撮像方向を任意の方向(正面方向、上方向、背面方向など)に変更することができる。
【0032】
図3は、θ=180°の状態を示す。図3に示すように、撮像部110の撮像光学系111の光軸103を撮像装置10の背面102の方向(ユーザと対向する方向。以下、背面方向)に向けることで、撮像方向を背面方向にして、ユーザは自身を撮像することができる(自分撮像機能)。この自分撮像時には、ユーザは、本体部100の背面102の表示部130に表示された自身の顔などを見ながら、画角等を調節して所望のタイミングで撮像することができる。
【0033】
このように本実施形態に係る撮像装置10は、撮像部110が本体部100に対して回動可能となっており、撮像方向を自由に変更可能である。なお、図示はしないが、撮像部110を本体部100の中心に向かうように回動させてθ=−90°としたときには、撮像装置10の電源が自動的にオフとなり、一方、θ>−90°としたときには、撮像装置10の電源が自動的にオンとなる。
【0034】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る撮像装置10に対して着脱可能なアダプタ20について説明する。
【0035】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る撮像装置10では、全周囲撮像用のアタッチメントとして、着脱式のアダプタ20を撮像部110に装着可能である。このアダプタ20は、全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系21(図6、図7参照。)と、全周囲撮像光学系21を覆う円筒形のカバー22と、アダプタ20を撮像装置10に装着するための嵌合部23とを備える。嵌合部23は、撮像部110のハウジング前面に設けられた取付部117に嵌合可能な形状を有している。嵌合部23の両端部から内側に向けて突設された2つの係止爪24(図7参照。)を、撮像部110の取付部117の両側面に形成された陥没部115に嵌合させることで、アダプタ20を撮像部110に装着・固定できる。
【0036】
図4及び図5に示すように、上記全周囲撮像光学系21を備えたアダプタ20を撮像部110に装着することで、全周囲撮像光学系を内蔵していない通常の撮像装置10を用いて、全周囲撮像動作を実現できる。この全周囲撮像動作は、撮像装置10の全周囲(0°〜360°)に存在する被写体を撮像する動作である。アダプタ20を撮像部110に装着したときには、アダプタ20の全周囲撮像光学系21により集めた全周囲の被写体像が、撮像部110の撮像光学系111に入射されて、撮像素子112上に結像される。
【0037】
このように、アダプタ20の装着時には、アダプタ20の全周囲撮像光学系21と撮像部110の撮像光学系111の双方を用いて、撮像装置10の全周囲(全方位)の被写体像が撮像される。かかる全周囲撮像光学系21を用いた全周囲撮像により、図5に示すように、撮像装置10の全周囲の被写体を撮像した環状画像30が得られ、該環状画像30が表示部130にスルー画像として表示される。
【0038】
なお、図4及び図5の例では、撮像部110を真上に向けた状態(θ=90°)でアダプタ20が装着されている。この場合、ユーザは、本体部100の表示部130が鉛直方向に対して略平行となる状態で撮像装置10を持って、該ユーザの周囲の水平面内360°にある被写体を全周囲撮像することができる。また、撮像部110は、アダプタ20が装着されたままの状態で、本体部100に対して任意の回動角θまで回動可能である(図1〜図3参照。)。例えば、アダプタ20を装着した撮像部110を、図3に示した回動状態(θ=180°)まで回動させ、表示部130を上向きにした状態で撮像装置10を机上に載置してもよい。これにより、例えば当該机の周囲に複数人が着席して会議を行っている風景を、撮像装置10により好適に全周囲撮像できる。
【0039】
一方、アダプタ20を撮像部110に装着しないときには(図1〜図3参照。)、撮像装置10は、光学系として、内蔵された通常の撮像光学系111のみを用いて、通常撮像動作を行う。この通常撮像動作は、通常の撮像光学系111のみを用いて、撮像装置10から見て特定の一方向(撮像光学系111の光軸103が向けられた撮像方向)に存在する被写体を撮像する動作である。この通常撮像では、上記一方向の被写体像が、撮像装置10が元々具備する通常の撮像光学系111を介して入射されて、撮像素子112上に結像される。
【0040】
以上のように本実施形態に係るアダプタ20は撮像装置10の撮像部110に対して着脱自在に構成されている。これにより、ユーザは、アダプタ20を撮像部110に装着するだけで、通常の撮像装置10を用いて全周囲撮像を簡単に実現できる。
【0041】
[2.全周囲撮像光学系の構成]
次に、図6を参照して、本実施形態に係るアダプタ20が具備する全周囲撮像光学系21の構成例について説明する。図6は、本実施形態に係る二回反射タイプの全周囲撮像光学系21を示す断面図である。
【0042】
図6に示すように、全周囲撮像光学系21(全周囲撮像レンズ)は、中心軸211に対して回転対称な形状を有する凸面鏡及び凹面鏡から構成される。該中心軸211は、上記撮像部110の撮像光学系111の光軸103と同一線上に配置される。全周囲撮像光学系21は、下方に位置する環状の第1反射面212と、第1反射面212に対向配置される円錐面状の第2反射面213と、第2反射面213の外周に配置される環状の入光部214と、第1反射面212の内周に配置される出光部215とからなる。第1反射面212は、鏡面仕上げされた環状の凹面鏡からなり、第2反射面213は、鏡面仕上げされた凸面鏡からなる。入光部214と出光部215は、透明なガラス板から構成されており、光を透過する。
【0043】
かかる構造の全周囲撮像光学系21では、入射光216は、入光部214から入射して、第1反射面212で反射し、次いで、第2反射面213で反射して、出光部215から出射する。出光部215からの出射光は、撮像部110の撮像光学系111に入射して撮像素子112上に投影される。かかる構成の全周囲撮像光学系21は、中心軸211を中心とした360°の範囲の被写体像を写し出すことができる。従って、全周囲撮像光学系21は、その周囲にある全周囲(360°)の被写体像を集光して、撮像光学系111に導くことができる。
【0044】
なお、図6に示した二回反射タイプの全周囲撮像光学系21においては、全周囲撮像光学系21から任意の距離にある全ての被写体の焦点218が、第1反射面212と第2反射面213の間に位置するように、該全周囲撮像光学系21の光学特性が設計されている。また、図6では二回反射タイプの全周囲撮像光学系21の例を挙げたが、一回反射タイプの全周囲撮像光学系を用いてもよい。
【0045】
以上、本実施形態に係る全周囲撮像光学系21と、該全周囲撮像光学系21を備えたアダプタ20について説明した。上記着脱式のアダプタ20を撮像部110に装着することにより、通常の撮像装置10を用いて全周囲撮像を実現できる。
【0046】
しかし、通常の撮像装置10は、該撮像装置10に予め搭載された撮像光学系111の特性に応じて、ズーム、フォーカス、露出等を制御するための撮像パラメータの設定が最適化されている。また、撮像装置10の表示動作の設定や操作制御の設定も、該撮像光学系111の特性に応じて設計されている。このため、上記アダプタ20をオプションとして撮像装置10に装着したときには、該アダプタ20に搭載された全方位撮像光学系21の特性に応じて、上記撮像パラメータの設定を変更したり、表示動作や操作制御の設定を切り替えたりする必要がある。
【0047】
このように、通常の撮像装置10に全方位撮像用のアダプタ20を装着した場合には、全方位撮像光学系21の特性に応じて、撮像パラメータ等を適切な値に設定変更する必要がある。さもなければ、全方位撮像により得られる環状画像30の再生時に、該環状画像30が歪んだり、ぼけたりするので、ユーザは意図通りの環状画像30を得ることができない。しかし、不慣れなユーザにとっては、全方位撮像光学系21の特性に応じて各種の撮像パラメータを手動で適切に設定する操作は、困難かつ煩雑なものである。また、ユーザの利便性の観点からは、全方位撮像時の表示動作や操作制御の設定も、全方位撮像アダプタ20の装着の有無に応じて自動的に切り替わることが好ましい。
【0048】
そこで、かかる事情に鑑み、本実施形態に係る撮像装置10は、撮像部110に対してアダプタ20が装着された場合に、全周囲撮像光学系21の特性に応じて、撮像装置10の各種の設定を自動制御するように構成されている。なお、かかる撮像装置10の設定の自動制御の詳細については後述する。
【0049】
[3.撮像装置の構成]
次に、図7を参照して、本実施形態に係る撮像装置10の構成について詳細に説明する。図7は、本実施形態に係る撮像装置10のハードウェア構成を示す模式図である。
【0050】
図7に示すように、本実施形態に係る撮像装置10は、概略的には、撮像部110と、DSP(Digital Signal Processor)120と、表示部130と、操作部160と、を備える。なお、DSP120は、信号処理部122、記録再生部140及び制御部150として機能する。
【0051】
撮像部110は、被写体を撮像して、撮像画像を出力する機能を有する。撮像部110は、撮像光学系111と、撮像素子112と、タイミングジェネレータ113と、光学部品駆動部114とを備える。
【0052】
撮像光学系111は、一方向の被写体を撮像するために光学設計された通常の光学系である。かかる撮像光学系111は、フォーカスレンズ、ズームレンズ等の各種レンズや、不要な波長を除去する光学フィルタ、絞り等の光学部品からなる。被写体から入射された光学像(被写体像)は、撮像光学系111における各光学部品を介して、撮像素子112の露光面に結像される。撮像素子112(イメージセンサ)は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子で構成される。この撮像素子112は、撮像光学系111から導かれた光学像を光電変換し、撮像画像を表す電気信号(アナログ画像信号)を出力する。
【0053】
撮像光学系111には、該撮像光学系111の光学部品を駆動するための光学部品駆動部114が機械的に接続されている。この光学部品駆動部114は、例えば、ズームモータ114a、フォーカスモータ114bなどであり、ズームレンズ、フォーカスレンズを移動させたり、絞りを調整したりする。光学部品駆動部114は、後述する制御部150の指示に従って、撮像光学系111の光学部品を駆動させる。また、TG(Timing Generator)113は、制御部150の指示に従って、撮像素子112に必要な動作パルスを生成する。例えば、TG113は、垂直転送のための4相パルス、フィールドシフトパルス、水平転送のための2相パルス、シャッタパルスなどの各種パルスを生成し、撮像素子112に供給する。このTG113により撮像素子112を駆動させることで、被写体像が撮像される。また、TG113が、撮像素子112のシャッタースピードを調整することで、撮像画像の露光量や露光期間が制御される(電子シャッタ機能)。
【0054】
DSP(Digital Signal Processor)120は、撮像画像の画像処理や、撮像装置10の動作制御を行うための演算処理装置である。該DSP120は、信号処理部122を備える。上記の撮像素子112が出力した画像信号は、DSP120の信号処理部122に入力される。信号処理部122は、撮像素子112から出力される撮像画像の画像信号に対して所定の信号処理を実行し、当該信号処理後の画像信号を表示部130や記録再生部140に出力する。信号処理部122は、例えば、不図示のアナログ信号処理部、アナログ/デジタル変換部、デジタル信号処理部を備える。
【0055】
アナログ信号処理部は、画像信号を前処理する所謂アナログフロントエンドである。アナログ信号処理部は、例えば、撮像素子112から出力される画像信号に対して、CDS(correlated double sampling:相関2重サンプリング)処理、プログラマブルゲインアンプ(PGA)によるゲイン処理などを行う。A/D変換部は、アナログ信号処理部から入力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して、デジタル信号処理部に出力する。デジタル信号処理部は、入力されたデジタル画像信号に対して、例えば、ノイズ除去、ホワイトバランス調整、色補正、エッジ強調、ガンマ補正等のデジタル信号処理を行って、表示部130及び記録再生部140等に出力する。なお、ここでは信号処理部122がアナログ及びデジタル信号処理を行う例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。例えば、撮像素子112がデジタル画像信号を出力し、信号処理部122がデジタル信号処理のみを行うようにしてもよい。
【0056】
表示部130は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイなどで構成される。表示部130は、制御部150による制御に従って、入力された各種の画像データを表示する。例えば、表示部130は、信号処理部122から撮像中にリアルタイムで入力される撮像中の撮像画像(スルー画像)を表示する。これにより、ユーザは、表示部130で撮像中の画像を見ながら、撮像装置10を操作することができる。また、メモリカード167に記録されている撮像画像を記録再生部140により再生したときに、表示部130は、記録再生部140から入力された再生画像を表示する。これにより、ユーザは、メモリカード167に記録された撮像画像の内容を確認することができる。
【0057】
記録再生部140は、上記撮像画像のデータやそのメタデータなどの各種のデータを、メモリカード167等の記録媒体に記録し、また、該記録媒体に記録されているデータを再生する。図7の例では、記録媒体として、撮像装置10に着脱可能なメモリカード167を例示している。しかし、記録媒体は、例えば、その他の半導体メモリ、光ディスク、ハードディスク等のディスク状記録媒体などを使用できる。なお、光ディスクは、例えば、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)等を含む。なお、記録媒体は撮像装置10に内蔵されてもよいし、撮像装置10に着脱可能なリムーバブルメディアであってもよい。
【0058】
制御部150は、DSP120に設けられたマイクロコントローラなどの演算処理装置で構成され、撮像装置10の全体の動作を制御する。制御部150は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)152やフラッシュROM(Read Only Memory)154を用いて、制御機能を実行する。
【0059】
フラッシュROM154には、制御部150の各種の制御処理を実行させるためのプログラムが格納されている。制御部150は、該プログラムに基づいて動作して、DRAM152を用いながら、上記各制御のための必要な演算・制御処理を実行する。該プログラムは、撮像装置10に内蔵された記憶装置(例えばフラッシュROM154等)に予め格納しておくことができる。また、当該プログラムは、ディスク状記録媒体、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に格納されて、撮像装置10に提供されてもよいし、LAN、インターネット等のネットワークを介して撮像装置10にダウンロードされてもよい。
【0060】
ここで、制御部150による制御の具体例について説明する。制御部150は、上記撮像部110のTG113や光学部品駆動部114を制御して、撮像部110による撮像動作を制御する。例えば、制御部150は、上記撮像光学系111の絞りの調整、撮像素子112の電子シャッタースピードの設定、信号処理部122のAGCのゲイン設定などにより、自動露光制御を行う(AE機能)。また、制御部150は、上記撮像光学系111のフォーカスレンズを移動させて、特定の被写体に対して撮像光学系111の焦点を自動的に合わせるオートフォーカス制御を行う(AF機能)。また、制御部150は、上記撮像光学系111のズームレンズを移動させて、撮像画像の画角を調整する。また、制御部150は、記録再生部140による撮像画像データの記録・再生処理を制御する。さらに、制御部150は、表示部130に各種の表示データを表示させるための表示制御を行う。
【0061】
操作部160は、撮像装置10を操作するためのユーザインターフェースとして機能する。該操作部160は、例えば、撮像装置10の外装に設けられた各種の操作ボタン、タッチパネル、リモートコントローラ等で構成され、ユーザ操作に応じた指示信号を制御部150に出力する。操作部160は、例えば、図1〜図5に示した操作キー161、プレビューボタン162、メニューボタン163、レリーズボタン164、レコードボタン165、ズームスイッチ166などを含む。
【0062】
次に、以上のような構成の撮像装置10の動作について説明する。制御部150は、フラッシュROM154に記録されているプログラムを実行することにより、撮像装置10の各部を制御する。これにより、以下に説明するような撮像装置10の各種の動作が実行される。
【0063】
(1)オートフォーカス(AF)制御
撮像光学系111を介して撮像素子112に被写体像が入射すると、撮像素子112は、撮像範囲内の被写体像を撮像する。即ち、撮像素子112は、撮像光学系111により撮像面に結像された光学像を光電変換して、撮像画像を表すアナログ画像信号を出力する。この撮像時には、制御部150は、撮像画像における所定のAF検波枠内の画像信号を処理することによって、撮像光学系111の焦点が該AF検波枠内の特定の被写体に合焦するような焦点位置(フォーカスポジション)を計算し、光学部品駆動部114に指示する。光学部品駆動部114は、制御部150の指示に基づき、フォーカスモータ114bを駆動して、フォーカスレンズを移動させることによって、撮像光学系111の焦点を上記特定の被写体に自動的に合焦させる。
【0064】
(2)自動露出(AE)制御
上記撮像時には、制御部150は、撮像画像における所定のAE検波枠内の画像信号の信号レベルに基づいて、撮像中の撮像画像に適した露光量を計算し、光学部品駆動部114又はTG113に指示する。光学部品駆動部114は、制御部150の指示に基づき、撮像光学系111の絞りの開度を調整して、撮像素子112に入射される被写体像の露光量を調整する。また、TG113は、制御部150の指示に基づいて、タイミング信号を撮像素子112に供給し、このタイミング信号により撮像素子112におけるシャッタースピードが制御される。この結果、撮像画像の明るさが適切となるように、撮像画像の露出が自動的に制御される。
【0065】
(3)画像信号処理
信号処理部122は、制御部150の制御に基づいて、撮像素子112から出力されたアナログ画像信号に対してアナログ信号処理(増幅等)を行い、その後、デジタル画像信号にA/D変換する。さらに、信号処理部122は、制御部150の制御に基づいて、デジタル画像信号に対して、ノイズ除去、ホワイトバランス調整、色補正、エッジ強調、ガンマ補正等のデジタル信号処理を施す。
【0066】
(4)撮像画像の表示処理
信号処理部122が上記信号処理後の画像信号を表示部130に出力すると、表示部130は、制御部150の制御に基づいて、該画像信号が表す撮像中の撮像画像(スルー画像)を表示する。このスルー画像(動画)を表示することによって、ユーザは、撮像方向や画角、被写体の撮像状態などを視認して、所望のシャッターチャンスで所望の被写体の撮像画像を記録できるようになる。また、表示部130は、制御部150の制御に基づいて、記録媒体に記録されている画像データを再生することによって得られた画像も表示する。
【0067】
(5)記録処理
記録再生部140は、制御部150の制御に基づいて、撮像画像の圧縮記録処理を行う。例えば、動画撮像モードにおいて、レコードボタン165が押下された場合、記録再生部140は、撮像画像(動画)を表す画像信号を例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定の圧縮符号化方式で圧縮する。さらに、記録再生部140は、該圧縮した画像信号を、動画データとして記録媒体に記録する。また、静止画撮像モードにおいて、レリーズボタン164が押下された場合、記録再生部140は、レリーズボタン164からのレリーズ信号に応じて、撮像画像(静止画)を表す画像信号を所定の圧縮符号化方式で圧縮して、静止画データとして記録媒体に記録する。
【0068】
(6)再生処理
記録再生部140は、制御部150の制御に基づいて、メモリカード167などの記録媒体に記録された画像の再生処理を行う。再生モードにおいて、操作部160から再生指示が入力された場合、記録再生部140は、記録媒体に記録されている圧縮画像データを伸張し、得られた再生画像信号を表示部130に出力して表示させる。
【0069】
(7)各種の設定処理
撮像装置10は、各種のセンサで検出された外部環境や、操作部160に対するユーザ操作に基づいて、撮像装置10が有する各種の機能や、撮像装置10の動作の設定処理を行う。撮像装置10の機能としては、例えば、ズーム機能、AF機能、AE機能、フラッシュ機能、セルフタイマ機能、連写撮像機能、撮像画像の画質や画像サイズ、シャッタースピード、ホワイトバランス等の調整機能、撮像補助機能、表示機能などがある。
【0070】
[4.回動検出部、装着検出部の構成]
次に、さらに図7を参照しながら、本実施形態に係る撮像部110の回動状態を検出する回動検出部170について説明する。
【0071】
図7に示すように、DSP120、表示部130、操作部160、電源部(図示せず。)など、撮像装置10の構成要素の大部分は、撮像装置10の本体部100のハウジング内に設けられる。一方、撮像部110は、回動軸116を中心として本体部100に対して回動自在に設けられる(図1〜図3参照。)。
【0072】
本実施形態に係る撮像装置10は、本体部100に対する撮像部110の回動状態、例えば上記回動角θを検出するための回動検出部170を備えている。この回動検出部170は、例えば、本体部100に設けられる回動状態検出用ホールセンサ172と、撮像部110に設けられる磁石174とで具現される。
【0073】
回動状態検出用ホールセンサ172は、本体部100の上端であって、撮像部110に隣接する箇所に配設されている。該ホールセンサ172は、撮像部110に設けられた磁石174により生じる磁場の磁束密度を検出する。一方、磁石174は、撮像部110の回動軸116からずれた箇所に設けられている。
【0074】
かかる構成により、回動軸116を中心として撮像部110が回動すると、ホールセンサ172と磁石174との相対位置が変化し、ホールセンサ172による検出される磁石174からの磁場の大きさや向きも変化する。従って、ホールセンサ172により、磁石174からの磁場の大きさや向きを検出することによって、本体部100に対する撮像部110の回動状態(例えば、撮像部110の回動角θ、相対位置など)を検出することが可能である。ホールセンサ172は、検出した磁場の大きさや向きを表す信号を、制御部150に出力し、制御部150は、該磁場の大きさや向きに基づいて、撮像部110の回動状態を判別する。なお、制御部150は、検出した撮像部110の回動状態に応じて、表示部130における撮像画像の上下及び左右を判定して表示する反転表示機能を制御するが、詳細は後述する。
【0075】
次に、図7及び図8を参照しながら、本実施形態に係る撮像部110に対してアダプタ20が装着されているか否か(以下「撮像部110に対するアダプタ20の装着の有無」とも称する。)を検出する装着検出部180について説明する。
【0076】
上述したように本実施形態では、全周囲撮像するためのアダプタ20を、撮像装置10の撮像部110に対して着脱可能である(図4参照)。図7に示したように、アダプタ20の嵌合部23を、撮像部110の撮像方向前面に設けられた取付部117に嵌合することで、アダプタ20が撮像部110に着脱可能に装着される。このとき、アダプタ20の嵌合部23の両端に内側に向けて突設された2つの係止爪24を、撮像部110のハウジング両側面に形成された陥没部115に嵌合させることで、アダプタ20を撮像部110の前面に簡単に固定できる。
【0077】
本実施形態に係る撮像装置10は、撮像部110に対してアダプタ20が装着されているか否かを検出するための装着検出部180を備えている。この装着検出部180は、例えば、図7及び図8に示すように、撮像装置10の撮像部110に設けられる装着検出用ホールセンサ182と、アダプタ20に設けられる磁石184とで具現される。磁石184は、アダプタ20の嵌合部23の一側に埋設されている。装着検出用ホールセンサ182は、撮像部110の前面側(撮像方向前方側)であって、アダプタ20の磁石184に隣接する箇所に配設されている。該ホールセンサ182は、アダプタ20に設けられた磁石184により生じる磁場の磁束密度を検出する。
【0078】
かかる構成により、アダプタ20を撮像部110に装着すると(図4B参照。)、ホールセンサ182の近傍に磁石184が配置されるので、ホールセンサ182は、当該磁石184から所定の磁束密度以上の磁場を検出する。一方、アダプタ20の非装着時には(図4A参照。)、ホールセンサ182が、アダプタ20の磁石184から所定の磁束密度以上の磁場を検出することはない。従って、ホールセンサ182により検出される磁場強度によって、撮像部110に対してアダプタ20が装着されているか否かを検出することが可能である。ホールセンサ172は、検出した磁場強度を表す信号を、制御部150に出力し、制御部150は、該磁場強度に基づいて、撮像部110に対するアダプタ20の装着状態(アダプタ20の装着の有無)を判別する。そして、制御部150は、アダプタ20の装着の有無に応じて、撮像装置10の各種の動作設定を切り替える。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置10は、回動検出部170により、撮像装置10の本体部100に対する撮像部110の回動状態を検出し、装着検出部180により、撮像部110に対するアダプタ20の装着の有無を検出する。これにより、制御部150は、撮像部110の回動状態、又は、アダプタ20の装着の有無に基づいて、撮像装置10の動作設定を制御することが可能となる。ここで、撮像装置10の動作設定は、例えば、撮像部110による撮像動作の設定(例えば、撮像動作に関わる撮像パラメータの設定)、表示部130による表示動作の設定、操作部160を用いたユーザ操作の制御の設定などを含む。
【0080】
このように制御部150は、アダプタ20の装着の有無に基づいて、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、撮像装置10の各種の動作設定を切り替える。これにより、撮像装置10に撮像部110にアダプタ20を装着して全周囲撮像する場合には、撮像装置10の動作設定を、全周囲撮像光学系21の光学特性に適した設定に自動的に切り替えることができる。よって、ユーザが、撮像装置10に対して特別な設定操作をすることなく、アダプタ20を撮像装置10に装着するだけで、撮像装置10は、全周囲撮像に合わせて最適化された動作設定に自動制御される。なお、上記のように、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、撮像装置10の動作設定を制御する具体例については、後述する。
【0081】
[5.撮像装置の制御方法]
次に、図9を参照して、本実施形態に係る撮像装置10の制御方法について説明する。図9は、本実施形態に係る撮像装置10の制御方法を示すフローチャートである。
【0082】
図9に示すように、まず、撮像部110にアダプタ20が装着されていないときには、撮像装置10は、通常撮像に応じた動作設定に設定されており、通常の撮像光学系111を用いた通常撮像動作を行う(S100)。この通常撮像動作時には、撮像装置10の装着検出部180は、撮像部110にアダプタ20が装着されたか否かを常に検出している(S102)。この結果、撮像部110に対するアダプタ20の装着が検出されたときには、以下のS104〜S108において、撮像装置10の制御部150は、撮像装置10の動作設定を、通常撮像に適した設定から、全周囲撮像に適した設定に切り替える。
【0083】
まず、制御部150は、表示部130による表示動作の設定を、通常撮像動作に適した設定から、全周囲撮像動作に適した設定に切り替える(S104)。撮像装置10は、上記回動検出部170により検出された撮像部110の回動状態に基づいて、表示部130に表示される撮像画像を上下左右反転して表示する反転表示機能を有している。この反転表示機能により、撮像部110の撮像方向と表示部130の表示画面とが同一方向を向いたとき(例えば自分撮像時)には、撮像画像の上下及び左右が反転して表示される。撮像部110にアダプタ20が装着されていない通常撮像時には、制御部150は、当該反転表示機能を有効化している。このため、制御部150は、撮像部110の回動状態に応じて、表示部130に表示される撮像画像を反転表示する。
【0084】
これに対し、S102でアダプタ20の装着が検出されたときには、制御部150は、当該反転表示機能を無効化して、表示部130に撮像画像が反転表示されないように設定する。全周囲撮像により得られる環状画像30は、通常撮像により得られる矩形の画像とは異なり、基準となる表示方向が存在しないので、環状画像30を反転表示する必要はない。そこで、アダプタ20の装着時に、全周囲撮像に不適切な反転表示機能を自動的に無効化することにより、全周囲撮像光学系21を用いた全周囲撮像時に、ユーザにとって不要な反転表示が生じないようになる。
【0085】
次いで、制御部150は、撮像部110による撮像動作の設定を、通常撮像動作に適した設定から、全周囲撮像動作に適した設定に切り替える(S106)。ここで、撮像動作の設定切替は、例えば、撮像動作で使用される撮像パラメータの設定変更、又は、撮像補助機能の設定変更(例えば有効化/無効化)により実現される。撮像パラメータは、例えば、画角の設定値(例えばズーム位置)、AF制御の設定値(例えばフォーカスポジション)、AE制御の設定値(例えば目標輝度レベル)などである。また、撮像補助機能は、撮像中の手振れを補正する手振れ補正機能や、撮像画像中の人物の顔を検出する顔検出機能などである。上記通常撮像動作(S100)を行うときには、撮像パラメータは、通常の撮像光学系111の光学特性に適した設定値に設定されており、撮像補助機能も有効化されている。しかし、アダプタ20を装着して全周囲撮像動作を行うときには、撮像パラメータを全周囲撮像光学系21の特性に適した設定値に変更し、撮像補助機能の設定を全周囲撮像光学系21の特性に適した設定に変更することが好ましい。
【0086】
そこで、S102でアダプタ20の装着が検出されたときには、制御部150は、撮像パラメータを全周囲撮像光学系21の光学特性に適した設定値に変更する。これにより、ユーザが手動で設定変更しなくても、撮像パラメータを全周囲撮像に適した設定値に自動的に設定変更することができる。また、制御部150は、撮像補助機能の設定を全周囲撮像光学系21の光学特性に適した設定に変更する。例えば、制御部150は、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、手振れ補正のアルゴリズムを変更したり、不適切な撮像補助機能を無効化したりする。これにより、アダプタ20の装着時に、撮像補助機能の設定を全周囲撮像に適した設定に自動的に変更できる。このように撮像装置10は、アダプタ20の装着に応じて、撮像部110による全周囲撮像動作の設定を、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて自動的に最適化できる。
【0087】
さらに、制御部150は、ユーザ操作を制御するための操作制御の設定を、通常撮像動作に適した設定から、全周囲撮像動作に適した設定に切り替える(S108)。通常撮像時に、ユーザは、操作部160を用いて、撮像装置10の各種機能や動作設定を手動で設定変更可能である。しかし、全周囲撮像時に、ユーザが、上記S106で全周囲撮像に合わせて設定された撮像パラメータを勝手に変更したり、全周囲撮像に不適な機能(例えば、上記反転表示機能、撮像補助機能など)を有効化したりすると、撮像画像の品質劣化等を引き起こす。
【0088】
そこで、S102でアダプタ20の装着が検出されたときには、制御部150は、ユーザ操作制御の設定を、全周囲撮像に適した操作制御の設定に切り替える。これにより、ユーザが、上記S106で設定された撮像パラメータを変更したり、全周囲撮像に不適な機能を有効化、若しくは、全周囲撮像に適した機能を無効化したりできないようになる。従って、全周囲撮像時に、意図的な或いは不用意なユーザ操作によって、全周囲撮像により得られる撮像画像が劣化することを防止できる。
【0089】
以上のように、S104〜S108にて、制御部150は、撮像装置10の動作設定を、全周囲撮像に適した設定に切り替える。従って、ユーザが、難しい設定操作を行わなくても、撮像部110にアダプタ20を装着するだけで、撮像装置10の動作設定を、通常撮像に適した設定から、全周囲撮像に適した設定に自動的に切り替えることができる。なお、上記S104、S106、S108の実行順は図示の例に限定されず、任意の順序で実行してよい。
【0090】
その後は、撮像装置10は、当該切替後の動作設定に従って、全周囲撮像動作を遂行する(S110)。この全周囲撮像動作は、撮像部110からアダプタ20が取り外されるか(S112)、或いは、撮像装置10の電源がオフとなる(S114)まで継続される。
【0091】
S110での全周囲撮像動作時には、撮像装置10の装着検出部180は、撮像部110からアダプタ20が取り外されたか否かを常に検出している(S112)。この結果、アダプタ20の取り外しが検出されたときには、制御部150は、上記S104〜S108で切り替えた撮像装置10の動作設定を、全周囲撮像に適した設定から通常撮像に適した設定に戻す(S116)。その後、S100に戻り、撮像装置10は、通常撮像に適した動作設定に従って、通常撮像動作を遂行する。従って、ユーザが、難しい設定操作を行わなくても、撮像部110からアダプタ20を取り外すだけで、撮像装置10の動作設定を、全周囲撮像に適した設定から、通常撮像に適した設定に自動的に切り替えることができる。
【0092】
[6.表示動作の設定の最適化]
次に、図10及び図11を参照して、アダプタ20の装着の有無に応じて、表示部130による表示動作の設定を制御する方法の具体例について詳述する。図10は、本実施形態に係る通常撮像時における反転表示機能の有効状態を示す説明図であり、図11は、本実施形態に係る全周囲撮像時における反転表示機能の無効状態を示す説明図である。
【0093】
上述したように本実施形態に係る撮像装置10は、撮像部110を本体部100に対して回動可能であり、撮像部110の向き(撮像方向)と、表示部130の表示画面の向きとを変えることができる。このような回動機構を有する撮像装置10では、図3に示したように撮像部110と表示部130を同一方向に向けることで、ユーザ(撮像者)は、表示部130に表示されたユーザ自身のスルー画像を見ながら、該ユーザ自身を撮像することができる(自分撮像)。かかる自分撮像機能を有する撮像装置10では、ユーザ自身を撮像するときに、表示部130に撮像画像の上下及び左右を反転させて表示することで、撮像画像をユーザにとって自然な方向で表示させる手法がとられる。
【0094】
この通常撮像時の反転表示機能について図10を参照して説明する。図10Aに示すように、撮像部110を撮像装置10の正面方向に向けた状態では(回動角θ=0°)、撮像装置10の正面方向に位置する被写体である富士山が撮像され、表示部130には、富士山の撮像画像132が表示される。この場合、撮像部110の回動角θが基準角度θ未満(例えばθ=120°)であるため、制御部150は反転表示機能を無効化する。従って、撮像画像132は、上下及び左右とも反転表示されない。
【0095】
一方、図10Bに示すように、撮像部110を回動させて撮像装置10の背面方向に向けたときには(回動角θ=180°)、撮像装置10の背面方向に位置するユーザ自身の顔が撮像され、表示部130には、ユーザ自身の撮像画像134が表示される。この場合、撮像部110の回動角θが基準角度θ(例えば、θ=120°)以上となるので、制御部150は反転表示機能を有効化する。従って、該反転表示機能により、撮像画像134は、上下及び左右とも反転表示される。なお、図10Bには、参考のために、反転表示しなかった場合の撮像画像136も示してある。このように、回動角θが180°前後となる自分撮像時には、上下及び左右を反転させた撮像画像134を表示部130に表示することで、表示部130にはユーザ自身の顔が鏡に映ったように表示されるので、ユーザは画角を調整しやすい。
【0096】
しかし、上記のような撮像部110の回動機構と反転表示機能を有する撮像装置10において、撮像部110にアダプタ20を装着して全周囲撮像する場合には、次の問題が生じる。即ち、全周囲撮像では、図11に示すように、撮像画像として、撮像装置10の全周囲(360°)の被写体が撮像された環状画像30が得られる。この全周囲撮像による環状画像30は、基準となる表示方向を有しておらず、撮像者にとって自然な方向性が存在していない。つまり、図10に示した通常撮像による撮像画像132、134は、基準となる表示方向を有している(即ち、被写体の鉛直方向下方が、表示画像の下方向と一致することが好ましい。)。しかし、図11に示した環状画像30は、水平面内の全周囲を撮像した画像であるので、基準となる表示方向が存在しない。
【0097】
このような環状画像30が得られる全周囲撮像では、上述した反転表示機能は不要となる。つまり、全周囲撮像時に、図10の通常撮像と同様に、撮像部110の回動状態に応じて反転表示機能がオン/オフされるような設定であると、撮像部110の回動角θの変更に応じて、環状画像30がそれまでの表示方向とは異なる方向に反転表示されてしまう。この結果、ユーザは、環状画像30の反転により、撮像方向が変化したと感じることになり、撮像装置10の表示動作がユーザにとって不自然な挙動となる。
【0098】
例えば、図11A及び図12Aに示すように、ユーザが撮像装置10を縦持ちして、アダプタ20が装着された撮像部110の回動角θを90°として、全周囲撮像している場合を考える。この場合、ユーザが、同じ風景を全周囲撮像するために、図11B及び図12Bに示すように、撮像装置10を水平に寝かせるように持ち替え、かつ、撮像部110を手前に回動させて回動角θを180°としたとする。このとき、表示反転機能が有効化されると、表示部130上で環状画像30の上下左右が反転表示されてしまう。すると、ユーザは、同一方向を向いて同一風景を撮像しているにもかかわらず、当該環状画像30が反転表示されることに対して、違和感を覚えてしまう。
【0099】
そこで、上記反転表示の問題を解決するために、本実施形態に係る撮像装置10によれば、上記装着検出部180によりアダプタ20の装着を検出しているときには、制御部150は、反転表示機能を無効化する。これにより、全周囲撮像中に撮像部110を回動させて撮像部110の向き(撮像方向)を変化させた場合でも、表示部130上の環状画像30の表示方向が突然変動するような、不自然な挙動を防止できる。よって、ユーザは、アダプタ20付きの撮像装置10を用いて、違和感なく、全周囲撮像を行うことができる。
【0100】
なお、上記の反転表示機能は、撮像画像の上下及び左右を反転させるものであったが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、反転表示機能は、撮像画像の上下のみを反転させるものであってもよい。或いは、撮像部110の回動方向が本体部100に対して水平方向である場合には、反転表示機能は、撮像画像の左右のみを反転させるものであってもよい。
【0101】
[7.撮像動作の設定の最適化]
次に、撮像部110にアダプタ20を装着して全周囲撮像するときに、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、撮像部110による撮像動作の設定を制御する方法の具体例について詳述する。
【0102】
[7.1.画角の最適化]
まず、全周囲撮像時の撮像画像の画角の最適化について説明する。撮像装置10の制御部150は、アダプタ20が撮像部110に装着されたことを検出すると、アダプタ20の全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、全周囲撮像により得られる撮像画像(即ち、環状画像30)の画角を制御する。全周囲撮像に適した画角の制御方法としては、以下に詳述するように、例えば、(1)ズーム位置による画角制御と、(2)画像サイズによる画角制御がある。
【0103】
(1)ズーム位置による画角制御
撮像部110に装着されたアダプタ20の全周囲撮像光学系21の光学特性設計によって、撮像素子112の撮像面に投影される被写体像のサイズは一意に決定する。しかし、撮像装置10がズーム機構を有している場合、撮像光学系111のズームレンズの位置(以下、ズーム位置又はズームポジションという。)によって撮像素子112に投影される被写体像のサイズが変化してしまう。
【0104】
全周囲撮像光学系21から撮像光学系111を介して撮像素子112に投影される被写体像は、通常撮像のような矩形状ではなく、環状となり、かかる環状の被写体像を撮像することで、図5に示したような環状画像30が得られる。かかる全周囲撮像時には、例えば、ズームポジションが、撮像画像の画角を狭めるような望遠側の位置(例えば、Tele端)にあると、撮像素子112に投影される被写体像が大きくなるため、全周囲撮像により得られる環状画像30の外周部が欠けてしまう。このため、全周囲撮像により得られる環状画像30が欠けてしまわないようにするためには、全周囲撮像光学系21の光学特性に合わせて、ズームポジションを制御して、撮像画像の画角を最適化する必要がある。
【0105】
そこで、本実施形態に係る撮像装置10の制御部150は、撮像部110に対するアダプタ20の装着が検出されたときに、撮像光学系111が備えるズームレンズを、全周囲撮像光学系21の光学特性に適した所定位置に自動的に移動させる。つまり、制御部150は、撮像光学系111のズームポジションを、全周囲撮像光学系21の光学特性に合わせて最適化する。これによって、全周囲撮像により得られる撮像画像(即ち、環状画像30)の画角を適正な画角に制御できる。この適正な画角とは、環状画像30のサイズが最大となり、かつ、該環状画像30が欠けることないような画角である。かかるズーム位置の制御手法の具体例について次に説明する。
【0106】
(1.1)ズーム位置の制御手法の具体例1
アダプタ20装着時に、最大画角となるようにズームポジションを移動させる画角制御方法について説明する。まず、撮像光学系111のズーム機構により撮像画像が最大画角となるときのズームポジション(例えばWide端)において、全周囲撮像光学系21及び撮像光学系111を介して撮像素子112に投影される被写体像が欠けることなく、かつ、該被写体像のサイズが最大になるように、アダプタ20の全周囲撮像光学系21の光学特性を予め設計しておく。そして、撮像部110に対するアダプタ20の装着が検出されたとき、制御部150は、ズームモータ114aを制御して、ズームレンズの位置(ズームポジション)をWide端に移動させる。これによって、その全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、環状画像30の画角を最適化(最大画角)できる。
【0107】
(1.2)ズーム位置の制御手法の具体例2
次に、アダプタ20装着時に、予め設定した最適な画角となるようにズームポジションを移動させる画角制御方法について説明する。まず、全周囲撮像光学系21及び撮像光学系111を介して撮像素子112に投影される被写体像が欠けることなく、かつ、該被写体像のサイズが最大になるようなズームポジションを、予め撮像装置10の記憶部に記憶しておく。当該ズームポジションは、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じた最適なズームポジションである。そして、撮像部110に対するアダプタ20の装着が検出されたとき、制御部150は、ズームモータ114aを制御して、ズームレンズの位置(ズームポジション)を、上記の予め記憶されたズームポジションに移動させる。これによって、その全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、環状画像30の画角を最適化できる。
【0108】
(1.3)ズーム位置の制御手法の具体例3
次に、アダプタ20装着時に、撮像画像の画像処理により最適画角を求める画角制御方法について説明する。まず、撮像部110に対するアダプタ20の装着が検出されたとき、制御部150は、ズームポジションをTele端からWide端へ徐々に移動させながら、撮像画像に対する画像処理技術を用いて、全周囲撮像光学系21及び撮像光学系111を介して撮像素子112に投影される被写体像のサイズを評価する。そして、制御部150は、当該被写体像のサイズが最大となり、かつ、当該被写体像が欠けないようなズームポジションを求め、当該ズームポジションに固定する。例えば、制御部150は、全周囲撮像により得られる環状画像30のサイズが画枠いっぱいの状態(欠けている状態)から、当該画枠内に収まったところで、ズームポジションを固定する。このように実際に撮像された環状画像30を画像処理することによって、装着される全周囲撮像光学系21の種類にかかわらず、環状画像30が最大となり、かつ、欠けることがないように、撮像画像の画角を最適化できる。
【0109】
(2)画像サイズによる画角制御
デジタルスチルカメラ等の撮像装置10は、記録部により記録される撮像画像の画像サイズを変更可能であり、複数の画像サイズの記録に対応している。ここで、画像サイズは、撮像画像のピクセル数(例えば、画像全体のピクセル数、画像の縦横のピクセル数)で表される。例えば、撮像画像(動画)の縦横のピクセル数は、1920×1080ピクセル、1280×720等がある。撮像装置10の制御部150は、記録する撮像画像の画像サイズを、複数の画像サイズの中から、ユーザにより指定された1の画像サイズ、若しくは、自動的に選択した1の画像サイズに設定する。
【0110】
かかる撮像装置10は、当該画像サイズの変更に応じて、撮像素子112から読み出される画像サイズを変更する場合がある。例えば、画素数が5Mピクセルで4:3画角である撮像素子112を用いて、1920×1080ピクセルの撮像画像を生成する場合、撮像素子112の中央部分を切り出す。また、同一の撮像素子112を用いて、1280×720ピクセルの撮像画像を生成する場合、縦横それぞれ2ピクセル、合計4ピクセルの出力を合成して1ピクセルとする手法が用いられる。それぞれの場合における撮像素子112上のイメージサイズは、1920×1080ピクセルと、2560x1440ピクセルになり、両者は異なる。従って、画像サイズを変更した場合、撮像素子112から出力される撮像画像の画角が異なることとなる。
【0111】
そこで、本実施形態に係る撮像装置10の制御部150は、アダプタ20が撮像部110に装着されたときに、画像サイズの設定を、全周囲撮像光学系21の光学特性に適した特定の画像サイズに自動的に切り替える。かかる画像サイズの設定の切り替えによって、撮像画像の画角を、全周囲撮像に適した画角に制御することができる。
【0112】
具体的には、まず、アダプタ20の全周囲撮像光学系21の光学特性を、特定の画像サイズに合わせて設計しておく。そして、撮像部110に対するアダプタ20の装着が検出されたとき、制御部150は、設定変更可能な複数の画像サイズの中から、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じた特定の画像サイズを選択し、画像サイズの設定を、全周囲撮像光学系21の光学特性に適した特定の画像サイズに自動的に切り替える。これにより、撮像画像の画角が、装着されたアダプタ20の全周囲撮像光学系21に応じて自動的に最適化される。この結果、当該特定の画像サイズで記録される撮像画像内で、上記環状画像30が欠けることなく、かつ、該環状画像30のサイズが最大になる。
【0113】
[7.2.フォーカス制御の最適化]
次に、全周囲撮像時のフォーカスポジションの最適化と、オートフォーカス制御について説明する。撮像装置10の制御部150は、アダプタ20が撮像部110に装着されたことを検出すると、アダプタ20の全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、撮像光学系111の焦点位置(フォーカスポジション)を制御して、全周囲撮像により得られる撮像画像(即ち、環状画像30)のピントを合わせる。本実施形態に係る撮像装置10のフォーカス制御方法は、以下に詳述するように、例えば、(1)通常撮像時、(2)全周囲撮像時とで異なる。
【0114】
(1)通常撮像時(アダプタ非装着時)のフォーカス制御
まず、撮像装置10の撮像部110にアダプタ20を装着せずに、通常の撮像光学系111のみを用いて通常撮像するときのオートフォーカス制御について説明する。
【0115】
図13に示すように、通常のオートフォーカス制御では、制御部150は、遠距離、近距離又は極近傍などの広範囲の被写体に撮像光学系111の焦点が合うように、フォーカスレンズの位置を制御している。そのため、制御部150は、現在撮像中の被写体に対して焦点が合っていないと判断した場合、広範囲にわたって焦点が合う位置を探るようにオートフォーカス制御を行う。従って、制御対象範囲が広範囲であるが故に、焦点を誤判定する可能性が存在する。
【0116】
また、図14に示すように、遠距離、近距離、極近傍などの被写体が混在する一般的な風景を撮像するときには、撮像画像138の下段に近い被写体が集まり、撮像画像138の上段に遠くの被写体が多く集まる。また、ユーザが所望する被写体は、撮像画像138の中段付近139にあることが多い。かかる事情を考慮して、通常撮像時のオートフォーカス制御では、中段付近139にある被写体に対してより重点的に焦点が合うように、フォーカス制御している。これにより、ユーザの意図する被写体に焦点が合う確率が高まる。
【0117】
(2)全周囲撮像時(アダプタ装着時)のフォーカス制御
撮像装置10の撮像部110にアダプタ20を装着して、アダプタ20の全周囲撮像光学系21及び通常の撮像光学系111の双方を用いて全周囲撮像するときのフォーカス制御について説明する。
【0118】
(2.1)一回反射タイプの全周囲撮像光学系を用いた全周囲撮像時
全周囲撮像光学系の種類としては、例えば、図6で示したような二回反射タイプの全周囲撮像光学系21と、図15に示すような一回反射タイプの全周囲撮像光学系25がある。後者の一回反射タイプの全周囲撮像光学系25は、被写体からの光を反射する反射面26を1つだけ具備しており、当該反射面26は、中心軸に対して回転対称な形状を有する凸面鏡で構成される。
【0119】
図15に示すように、一回反射タイプの全周囲撮像光学系25を用いて全周囲撮像した場合、鏡に映された被写体を撮影するがごとく、撮像光学系111の焦点距離はアダプタ20の非装着時とほぼ同じ距離である。
【0120】
しかし、全周囲の被写体を撮像した環状(円形のドーナツ状)の撮像画像(即ち、環状画像30)が得られるため、環状画像30の被写体の内側にはアダプタ20自身の一部分が写ってしまう。同様に、環状画像30における被写体の外側にも、アダプタ20自身の一部分が撮像される。従って、これらの部分に対して焦点が合わないように、フォーカス制御のための画像評価の対象エリアから、当該部分を除外する必要がある。
【0121】
また、環状画像30の内側に近距離の被写体、外側に遠距離の被写体が多く集まることになる。このため、図15の環状画像30において、図14の通常撮像時の撮像画像138の中段付近139に相当する部分は、環状画像30の中央付近にある環状部分32となる。従って、一回反射タイプの全周囲撮像光学系25を備えたアダプタ20を用いて全周囲撮像するときには、撮像画像内のオートフォーカス制御の評価対象領域を、通常撮像時とは異なる範囲に変更する必要がある。
【0122】
そこで、本実施形態に係る撮像装置10の制御部150は、全周囲撮像時には、オートフォーカス制御の評価対象領域を、環状画像30の中央付近の環状部分32に制限し、当該環状部分32に写っている被写体に焦点が合うように、オートフォーカス制御する。具体的には、制御部150は、環状画像30内の環状部分32に写っている被写体に合焦するような焦点位置(フォーカスポジション)を計算し、光学部品駆動部114に指示する。光学部品駆動部114は、制御部150の指示に基づき、フォーカスモータ114bを駆動して、フォーカスレンズを移動させることによって、全周囲撮像光学系及び撮像光学系111の焦点を、上記環状部分32に写っている被写体に自動的に合焦させる。
【0123】
かかるオートフォーカス制御により、アダプタ20自身が写っておらず、かつ、ユーザが所望する被写体が存在する環状部分32に対して焦点を合わせた環状画像30を自動的得ることができる。
【0124】
(2.2)二回反射タイプの全周囲撮像光学系を用いた全周囲撮像時
次に、図6で示したような二回反射タイプの全周囲撮像光学系21を具備するアダプタ20を用いた場合のフォーカス制御について説明する。
【0125】
二回反射タイプの全周囲撮像光学系21は、該全周囲撮像光学系21から任意の距離にある全ての被写体の焦点が、該全周囲撮像光学系21の内部又は近傍に集まるような光学特性を有する。例えば、図6に示した二回反射タイプの全周囲撮像光学系21は、全周囲撮像光学系21内の2つの反射面212、213の間に、当該全ての被写体の焦点218が位置するように光学設計されている。かかる二回反射タイプの全周囲撮像光学系21を撮像部110に装着した場合、全周囲撮像光学系21と、撮像装置10の撮像光学系111との距離は極近傍となる。従って、アダプタ20の装着時には、撮像光学系111の焦点位置を撮像光学系111の極近傍(マクロ位置)に合わせる必要がある。
【0126】
そこで、アダプタ20が撮像部110に装着されたときに、制御部150は、撮像光学系111の焦点位置(フォーカスポジション)を、近距離側の特定の位置又はその近傍(例えば、全周囲撮像光学系21の内部の焦点218の位置又はその近傍)に制御する。通常撮像時の焦点位置の調整範囲は広い(マクロ位置から無限遠まで)が、全周囲撮像時の焦点位置の調整範囲は上記特定の位置又はその近傍(例えば、全周囲撮像光学系21内の焦点218の位置又はその近傍。例えば、撮像光学系111からの距離が約数センチ)のみの限られた範囲となる。例えば、全周囲撮像時には、制御部150は、撮像光学系111の焦点位置を、撮像装置10のフォーカス制御機構が調整可能な範囲のうち、最も近距離側の位置(マクロ位置)に固定してもよい。或いは、制御部150は、撮像光学系111の焦点位置を、上記特定の位置又はその近傍の範囲内で調整してもよい。
【0127】
かかるフォーカス制御により、撮像光学系111のフォーカスポジションを、上述した全周囲撮像光学系21内における全ての被写体の焦点218に合わせることができる。よって、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じてフォーカスポジションを最適化して、全周囲撮像される被写体に合焦した環状画像30を自動的に得ることができる。
【0128】
また、アダプタ20を装着しない通常撮像時のオートフォーカス制御では、図13に示したように、オートフォーカス機能による撮像光学系111の焦点位置の調整範囲(AF機能によって被写体に合焦する焦点距離を探索する範囲)は、マクロ位置から無限遠まで広範囲にわたる。しかし、アダプタ20を装着した全周囲撮像時は、上記のように適切な焦点位置が全周囲撮像光学系21の内部又は近傍に限定されるので、フォーカスポジションを遠距離に合わせる必要はない。従って、アダプタ20を用いた全周囲撮像時に、通常撮像時と同様に広範囲のオートフォーカス制御を行うと、誤制御の可能性が増大する。
【0129】
そこで、アダプタ20が撮像部110に装着されている場合、制御部150は、AF機能による焦点位置の調整範囲を、撮像光学系111の近傍の所定範囲のみに制限する。該撮像光学系111の近傍の所定範囲は、例えば、全周囲撮像光学系21内の焦点218の位置又はその近傍の範囲、又は、マクロ位置周辺の範囲である。このように、全周囲撮像時に、撮像光学系111の焦点位置の調整範囲を撮像光学系111の近傍だけに制限してオートフォーカス制御を行うことで、誤判別の可能性を排除して、オートフォーカス機能の誤制御を防止することができる。
【0130】
以上、二回反射タイプの全周囲撮像光学系21を用いた全周囲撮像時のフォーカス制御について説明した。なお、全周囲撮像光学系は、該全周囲撮像光学系から任意の距離にある全ての被写体の焦点が、該全周囲撮像光学系の内部又は近傍に位置するような光学特性を有するものであれば、被写体光を三回以上反射させるタイプであってもよい。
【0131】
[7.3.露出制御の最適化]
次に、全周囲撮像時の露出制御の最適化について説明する。撮像装置10の露出制御としては、自動露出(AE)制御が一般的である。このAE制御では、撮像される被写体や、撮像装置10の周辺環境に応じて、AE制御のパラメータを変更する変えることによって、被写体に合った露出制御を実行される。
【0132】
アダプタ20を用いた全周囲撮像時には、図5に示したように、全周囲の被写体を撮像した環状画像30が得られる。この環状画像30は、撮像素子112から出力される矩形状の撮像画像の中央部分にのみ存在する。このように、全周囲撮像時には、矩形状の撮像画像上で被写体が写っている領域は、中央部の環状領域(環状画像30)に限られており、通常撮像時に被写体が写っている領域とは異なる。従って、全周囲撮像時には、自動露出制御の評価対象領域を、通常撮像時の評価対象範囲(例えば、矩形状の撮像画像の全領域)から変更し、撮像画像内の環状画像30以外の領域を、露出制御の評価対象範囲外とすることが好ましい。
【0133】
そこで、アダプタ20が撮像部110に装着されているときには、撮像装置10の制御部150は、撮像画像における自動露出制御の評価対象領域を、環状画像30内の領域に制限し、撮像画像内の環状画像30以外の領域(図5の黒べたの領域)を該評価対象領域から除外する。これにより、自動露出制御の評価対象領域が、全周囲の被写体が写っている環状画像30の領域のみとなり、制御部150は、該環状画像30内の画素の輝度値を用いて環状画像30の露出を自動制御する。これにより、環状画像30以外の領域の影響を受けずに、環状画像30の明るさを適切に制御できるようになる。
【0134】
[7.4.撮像補助機能の無効化]
次に、全周囲撮像時の撮像補助機能の無効化について説明する。撮像補助機能は、撮像部110による撮像動作を補助するための機能である。この撮像補助機能は、例えば、撮像中のユーザの手振れによる撮像画像の乱れを補正する補正手振れ補正機能や、撮像画像中の人物の顔を検出する顔検出機能などを含む。
【0135】
手振れ補正機能を有する通常の撮像装置10において、手振れの検出及び補正処理は、通常の撮像光学系111のみを用いた通常撮像に合わせて制御されており、全周囲撮像光学系21を用いた全周囲撮像に適した制御が行われている訳ではない。従って、アダプタ20を装着した全周囲撮像時に、通常撮像に合わせて制御される手振れ補正機能をそのまま維持すると、適切な環状画像30が得られない可能性がある。
【0136】
そこで、アダプタ20が撮像部110に装着されているときには、撮像装置10の制御部150は、手振れ補正機能を無効化する。これにより、全周囲撮像時には、環状画像30に対して不適切な手振れ補正処理を行わないので、適切な環状画像30を得ることができる。
【0137】
また、通常撮像時には、顔検出機能を利用したフォーカス制御や露出制御が行われている。これにより、撮像画像中の人物の顔に焦点を合わせたり、撮像画像中の人物の顔が適切な輝度となるように露出を制御したりすることができる。しかし、アダプタ20を用いた全周囲撮像時には、被写体が歪んだ状態や、上下又は横に回転した状態で撮像されるため、正確な顔検出がなされない場合が多くなる。むしろ、被写体が歪んでいることによって、誤検出の可能性も発生する。
【0138】
そこで、アダプタ20が撮像部110に装着されているときには、撮像装置10の制御部150は、顔検出機能を無効化する。これにより、全周囲撮像時には、被写体が歪んでいる環状画像30に対して不適切な顔検出処理を行わないので、誤検出を防止でき、誤検出に伴うフォーカス制御や露出制御の不具合も解消できる。
【0139】
以上のように、アダプタ20が撮像部110に装着されている場合、制御部150は、通常撮像時に使用される撮像補助機能のうち、全周囲撮像に不適切な撮像補助機能を無効化する。これにより、全周囲撮像時に、当該不適切な撮像補助機能による不具合を防止して、適切な画質の環状画像30を得ることができる。
【0140】
[8.操作制御の設定の最適化]
次に、全周囲撮像時に、操作部160に対するユーザ操作を制御する操作制御の設定の最適化について説明する。上述したように、本実施形態に係る撮像装置10は、アダプタ20が装着されたときに、撮像動作の設定(画角、フォーカス、露出等の撮像パラメータ)や表示動作の設定を、全周囲撮像光学系21の光学特性に合わせて最適化する。しかし、このように各種の設定を最適化したにもかかわらず、ユーザの誤操作により、当該最適な設定を維持できなくなる場合も考えられる。
【0141】
そこで、アダプタ20が撮像部110に装着されているときには、撮像装置10の制御部150は、上記全周囲撮像動作の設定や表示動作の設定を自動的に最適化した後、当該最適化された設定を変更するようなユーザ操作を無効化する。例えば、ユーザが、撮像装置10の操作部160を操作しても、制御部150は、最適化された画角、フォーカス、露出等の撮像パラメータや、表示反転機能のオン/オフを設定変更できないように、ユーザ操作を制御する。これにより、アダプタ20の装着に応じて自動的に最適化した動作設定をユーザが手動で変更できないようになり、ユーザの誤操作を防止できるので、全周囲撮像時の撮像装置10の最適な動作設定を維持できる。
【0142】
[9.撮像装置の他の実施形態]
次に、図16を参照して、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置11について説明する。図16は、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置11を示す斜視図である。
【0143】
第2の実施形態に係る撮像装置11は、上記第1の実施形態に係る撮像装置10と比べて、撮像部110の代わりに表示部130を回動させる回動機構を具備する点で相違し、その他の機能構成は、第1の実施形態と実質的に同一であるので、その詳細説明は省略する。
【0144】
図16に示すように、第2の実施形態に係る撮像装置11は、本体部100に対して表示部130を回動させる回動機構を具備している。この回動機構により表示部130を回動させることで、表示部130の表示画面を、撮像装置11の正面101側(撮像方向側)、背面102側(撮像者側)、上側など所望の方向に向けることができる。通常の撮像では、表示部130の表示画面を撮像装置11の背面102側に向けることで、ユーザ(撮像者)は、表示部130に表示される撮像画像を見ながら、被写体を撮像できる。また、自分撮像時には、表示部130の表示画面を撮像装置11の正面101側に向けることで、ユーザは、表示部130に表示される自分の撮像画像を見ながら、ユーザ自身を撮像できる。
【0145】
撮像装置11は、図10で説明したような反転表示機能を有しており、上記自分撮像時には、該反転表示機能により、表示部130により表示される撮像画像の上下左右が反転して表示される。上記の第1の実施形態に係る回動検出部170(図7参照)は、本体部100に対する撮像部110の回動状態を検出したが、第2の実施形態に係る回動検出部170は、本体部100に対する表示部130の回動状態(回動角θ)を検出する。制御部150は、表示部130の回動状態に基づいて、撮像画像を反転表示させる。例えば、表示部130の表示画面が撮像方向と反対方向を向いているときには(θ=0°)、制御部150は、表示部130に撮像画像を反転表示させない。一方、表示部130の表示画面が撮像方向を向いているときには(θ=180°)、自分撮像であるので、制御部150は、表示部130に撮像画像を反転表示させる。
【0146】
次に、上記の撮像装置11を用いた全周囲撮像について説明する。図16に示す撮像装置11の撮像部110は、回動しない固定式であるが(図16A参照。)、当該撮像部110に対しても、第1の実施形態と同様に着脱式のアダプタ20を装着することができる(図16B、C参照。)。このようにアダプタ20を撮像部110に装着することで、撮像装置11は、アダプタ20の全周囲撮像光学系21を用いて全周囲撮像光学系21することが可能となる。この全周囲撮像時には、図16に示すように、撮像光学系111の光軸103の方向(撮像方向)が上向きとなるように撮像装置10を配置することで、アダプタ20を含む水平面内の全周囲(360°)の被写体を撮像できる。
【0147】
ここで、アダプタ20の装着の有無に基づく、反転表示機能の制御について説明する。図16Bに示したように、撮像部110にアダプタ20が装着されている全周囲撮像時には、制御部150は、反転表示機能を無効化する。これにより、図16B及び図16Cに示すように、本体部100に対して表示部130が回動したとしても、表示部130に表示される環状画像30は反転されず、表示方向が不変である。
【0148】
以上のように、第2の実施形態に係る撮像装置11は、アダプタ20が装着されていないときには、表示部130の回動状態に応じて、表示部130上の撮像画像を反転表示するが、アダプタ20が装着されたときには、表示部130の回動状態に関わらず、表示部130上の撮像画像を反転表示しない。これにより、アダプタ20を用いた全周囲撮像時に、表示部130の回動に伴って環状画像30の表示方向が変化するような不自然な挙動を防止できる。
【0149】
なお、図16の例の反転表示機能は、撮像画像の上下及び左右を反転させたが、本発明の反転表示機能は、かかる例に限定されない。例えば、表示部130を反転させて本体部100に対して起立させた場合(図16Cの自分撮像モード)は、撮像画像の上下及び左右を反転させるが、表示部130を反転させて本体部100に対して寝かした場合(表示パネル反転閉じモード)は、撮像画像の上下のみを反転させるようにしてもよい。また、撮像装置11の本体部に対する表示部の取付構造によって、反転表示機能の態様(撮像画像の左右のみの反転、又は、上下のみの反転など)を適宜変更してもよい。
【0150】
[10.まとめ]
以上、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置10、11と、その制御方法について説明した。本実施形態によれば、撮像装置10、11の撮像部110に対して、全周囲撮像光学系21を備えた着脱式のアダプタ20を着脱自在である。従って、アダプタ20を装着しないときには、撮像装置10、11は、撮像光学系111を用いて、一方向の被写体を撮像する通常撮像動作を行うことができる。一方、アダプタ20を装着したときには、撮像装置10、11は、全周囲撮像光学系21及び撮像光学系111を用いて、全方向(撮像装置10、11の周囲の全方向)の被写体を撮像する全周囲撮像動作を行うことができる。
【0151】
さらに、撮像装置10、11の装着検出部180は、撮像部110に対するアダプタ20の装着の有無を検出する。そして、部制御部150は、アダプタ20の装着の有無に基づいて、撮像装置10の動作設定(撮像動作、表示動作、操作制御などの設定)を切り替えることで、全周囲撮像光学系21又は撮像光学系111の光学特性に合わせて最適な動作設定に自動的に制御する。つまり、アダプタ20が装着されていない通常撮像時には、制御部150は、撮像装置10、11の動作設定を、通常撮像に適した設定(通常の撮像光学系111の光学特性に応じた設定)に制御する。一方、アダプタ20が装着されている全周囲撮像光学系21時には、制御部150は、撮像装置10の動作設定を、全周囲撮像に適した設定(全周囲撮像光学系21の光学特性に応じた設定)に制御する。
【0152】
例えば、アダプタ20が装着されていないときには、制御部150は、撮像部110の回動状態に応じて撮像画像を反転表示する反転表示機能を有効化し、アダプタ20が装着されているときには、制御部150は、該反転表示機能を無効化する。これにより、アダプタ20を用いた全周囲撮像時には、撮像部110を回動させて撮像方向を変えた場合においても、全周囲撮像により得られる環状画像30が反転表示されない。従って、表示画面上で環状画像30の表示方向が変化するといった不自然な挙動をすることなく、全周囲撮像できる。このように、自分撮像機能を有する撮像装置10、11において、自分撮像時の表示制御(反転表示機能)が、全周囲撮像時の使い易さを阻害することがない。
【0153】
また、アダプタ20が装着されていないときには、制御部150は、通常の撮像光学系111の光学特性に応じて、撮像部110による通常撮像動作の設定を最適化する。一方、アダプタ20が装着されているときには、制御部150は、全周囲撮像光学系21の光学特性に応じて、全周囲撮像動作の設定を最適化する。ここで、撮像動作の設定は、上述した画角の設定、フォーカス制御の設定、露出制御の設定、撮像補助機能のオン/オフ設定などを含み、ズーム位置、焦点位置、露出制御などの撮像パラメータの設定で実現できる。上記のように、アダプタ20の装着時に、制御部150は、全周囲撮像動作の設定を、全周囲撮像光学系21の光学特性に適した設定に自動的に変更する。これにより、ユーザは、着脱式のアダプタ20を撮像装置10、11に装着するだけで、特に難しい設定操作を行うことなく、通常の撮像装置10、11を用いて簡単に全周囲撮像を行うことが可能となる。また、全周囲撮像時にズーム位置、焦点位置、露出などが自動的に最適化されるので、全周囲撮像により得られた環状画像30の再生時に、ユーザは、意図通りに環状画像30を楽しむことができる。
【0154】
さらに、アダプタ20が装着されているときには、制御部150は、上記全周囲撮像に合わせて自動的に最適化された動作設定(撮像パラメータの設定など)を手動で変更するようなユーザ操作を無効化する。これにより、撮像装置10の取り扱いに不慣れなユーザが、誤操作により、全周囲撮像光学系21に不適切な動作設定に変更してしまうことを防止できる。
【0155】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0156】
例えば、上記実施形態では、二回反射タイプの全周囲撮像光学系21と、一回反射タイプの全周囲撮像光学系25の例について説明したが、本願発明の全周囲撮像光学系は、かかる例に限定されない。例えば、被写体からの光を三回以上反射させるタイプの全周囲撮像光学系21であってもよい。また、全周囲撮像光学系の反射面、透過面等の形状は図示の例に限定されず、任意に設計変更可能である。
【0157】
また、上記実施形態に係る装着検出部180は、例えば、ホールセンサ182等の磁気センサを用いて、アダプタ20の装着の有無を検出した。しかし、本発明の装着検出部の構成は、かかる例に限定されず、例えば、物理的なスイッチ、光学センサなどの任意の検出装置を用いてもよい。例えば、物理的なスイッチを用いた装着検出部の例について説明する。アダプタ20の嵌合部23の撮像装置10側に突起を設け、撮像装置10の撮像部110には、アダプタ20を装着したときに、上記嵌合部23の突起によって押下される電気的スイッチを設けておく。該電気的スイッチの出力は制御部150に電気的に接続される。かかる構成の装着検出部によっても、撮像部110に対するアダプタ20の装着の有無を物理的に検出できる。また、上述した回動検出部170についても、同様に、磁気センサ以外に、例えば、物理的なスイッチ、光学センサなどの任意の検出装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0158】
10、11 撮像装置
20 アダプタ
21、25 全周囲撮像光学系
22 カバー
23 嵌合部
24 係止爪
30 環状画像
32 環状部分
100 本体部
110 撮像部
111 撮像光学系
112 撮像素子
113 TG
114 光学部品駆動部
115 陥没部
116 回動軸
117 取付部
120 DSP
122 信号処理部
130 表示部
140 記録再生部
150 制御部
160 操作部
170 回動検出部
172 ホールセンサ
174 磁石
180 装着検出部
182 ホールセンサ
184 磁石
211 中心軸
212 第1反射面
213 第2反射面
214 入光部
215 出光部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部と、
前記撮像部に対して前記アダプタが装着されているか否かを検出する装着検出部と、
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、撮像装置の設定を制御する制御部と、
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記撮像素子から出力される撮像画像を表示する表示部をさらに備え、
前記表示部又は前記撮像部の少なくとも一方は、前記撮像装置の本体部に対して回動可能に設けられており、
前記撮像装置は、前記本体部に対する前記表示部又は前記撮像部の回動状態を検出する回動検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記回動検出部により検出された前記回動状態に基づいて、前記表示部に前記撮像画像を反転して表示する反転表示機能を有し、
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記反転表示機能を無効化する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記アダプタが前記撮像部に装着されていない場合、前記制御部は、前記一方向の被写体を撮像する通常撮像動作の設定を、前記撮像光学系の特性に応じて制御し、前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記全周囲の被写体を撮像する全周囲撮像動作の設定を、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて制御する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、前記全周囲撮像動作により得られる撮像画像の画角を制御する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されたときに、前記撮像光学系が備えるズームレンズを、前記全周囲撮像光学系の特性に応じた所定位置に移動させることによって、前記撮像画像の画角を制御する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されたときに、前記撮像素子から出力される前記撮像画像の画像サイズを、前記全周囲撮像光学系の特性に応じた画像サイズに制御することによって、前記撮像画像の画角を制御する、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されているか否かに基づいて、前記撮像光学系の焦点位置の制御方式を変更する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記全周囲撮像光学系が、該全周囲撮像光学系から任意の距離にある被写体の焦点が前記全周囲撮像光学系の内部又は近傍に位置するような光学特性を有する場合、前記アダプタが前記撮像部に装着されたときに、前記制御部は、前記全周囲撮像光学系の内部又は近傍に焦点が合うように前記撮像光学系の焦点位置を制御する、請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、オートフォーカス機能による前記撮像光学系の焦点位置の調整範囲を、前記撮像光学系の近傍に制限する、請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記撮像素子から出力される撮像画像における露出制御の評価対象領域を、前記全周囲撮像動作により得られる環状画像内に制限する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像装置は、前記撮像部による撮像動作を補助するための撮像補助機能を有し、
前記制御部は、前記アダプタが前記撮像部に装着されているか否かに基づいて、前記撮像補助機能の設定を変更する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記制御部は、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて制御された前記撮像装置の設定を変更するユーザ操作を無効化する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部に、前記アダプタが装着されているか否かを検出するステップと、
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、撮像装置の設定を制御するステップと、
を含む、撮像装置の制御方法。
【請求項14】
撮像装置に、
全周囲の被写体を撮像するための全周囲撮像光学系を備えたアダプタを着脱可能であり、一方向の被写体を撮像するための撮像光学系と、前記撮像光学系から入射された被写体像を撮像する撮像素子とを有する撮像部に、前記アダプタが装着されているか否かを検出するステップと、
前記アダプタが前記撮像部に装着されている場合、前記全周囲撮像光学系の特性に応じて、前記撮像装置の設定を制御するステップと、
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−139133(P2011−139133A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296064(P2009−296064)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】