説明

撮像装置、通信装置及びカメラシステム

【課題】 発光装置と無線通信を行うために生じる遅延時間を低減する。
【解決手段】 発光装置との電波を用いた通信動作の少なくとも一部が、発光装置の本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置と電波を用いた無線通信を行う撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラとカメラから離れた位置に配置されたストロボ装置を用いてストロボ撮影を行うカメラシステムが知られており、特許文献1には、カメラが光パルス信号をストロボ装置へ送信することでストロボ装置を制御することが記載されている。
【0003】
また、良好なストロボ撮影を行うために、ストロボ装置がプリ発光しているときの測光値とストロボ装置が発光していないときの測光値とに基づいてストロボ装置の本発光量を演算することが、例えば、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−89306号公報
【特許文献2】特開平05−127215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたカメラシステムにおいて、特許文献2に記載された方法により、カメラから離れた位置に配置されたストロボ装置の本発光量を演算する場合、以下のような問題が生じる。
【0006】
図6は、カメラとカメラから離れた位置に配置されたストロボ装置を用いてストロボ撮影を行うカメラシステムにおいて、ユーザにより撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでの各動作のタイミングを示した図である。なお、図6では、カメラに装着されたストロボ装置(以下、マスターストロボとする)が、カメラから離れた位置に配置されたストロボ装置(以下、スレーブストロボとする)へ光信号を送信する場合について説明する。
【0007】
特許文献2に記載された方法によりスレーブストロボの本発光量を演算する場合、次のような順序で各動作が実行される。
【0008】
まず、スレーブストロボが発光していないときにカメラは測光を行い、非発光時測光値を取得する。次に、スレーブストロボがプリ発光するようにマスターストロボからスレーブストロボへプリ発光に関する光信号を送信する。そして、スレーブストロボはプリ発光に関する光信号を受信するとプリ発光を行い、カメラはスレーブストロボのプリ発光に合わせて測光を行い、プリ発光時測光値を取得する。
【0009】
このようにして取得した非発光時測光値とプリ発光時測光値に基づいて、カメラはスレーブストロボの本発光量を演算する。
【0010】
スレーブストロボの本発光量の演算後、カメラはスレーブストロボの本発光に関する情報(発光量や発光タイミング、発光時間)を示す光信号をマスターストロボを介して送信する。さらに、本発光を指示する光信号を送信し、スレーブストロボの本発光に合わせて撮影を行う。
【0011】
以上のように、特許文献2に記載された方法によりスレーブストロボの本発光量を演算しスレーブストロボを発光させて撮影を行う場合、プリ発光指示や本発光に関する情報などをスレーブストロボへ送信する必要がある。また、複数のスレーブストロボを有するカメラシステムにおいては、それぞれのスレーブストロボに対して上述した本発光量演算に関する処理を行う必要がある。
【0012】
しかしながら、スレーブストロボへのプリ発光指示や本発光に関する情報などは光信号で送信されるため、カメラの測光時に送信することができない。
【0013】
そのため、特許文献2に記載された方法によりスレーブストロボの本発光量を演算しスレーブストロボを発光させて撮影を行う場合、マスターストロボのみを発光させて撮影する場合に比べて、撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでの遅延時間が長くなる。すなわち、良好なストロボ撮影を行うためには、ユーザが撮影開始指示を行ってから撮影が開始されるまでのレリーズタイムラグが長くなり、ユーザの意図したタイミングで撮影できない、連写速度が遅くなるなどといった問題が生じてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、発光装置と無線通信を行うために生じる遅延時間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる撮像装置は、無線通信部を介して発光装置と電波を用いた無線通信を行う撮像装置であって、被写体を測光する測光手段と、前記測光手段により測光を行って取得した測光値に基づいて前記発光装置の本発光量を演算する演算手段と、前記無線通信部による前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、前記演算手段で前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる通信装置は、被写体を測光する測光手段と、前記測光手段により測光を行って取得した測光値に基づいて前記発光装置の本発光量を演算する演算手段と、を有する撮像装置に接続可能であり、発光装置と電波を用いた無線通信を行う通信装置であって、前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、接続された前記撮像装置による前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかるカメラシステムは、無線通信部を介して発光装置と撮像装置とが電波を用いた無線通信を行うカメラシステムであって、被写体を測光する測光手段と、前記測光手段により測光を行って取得した測光値に基づいて前記発光装置の本発光量を演算する演算手段と、前記無線通信部による前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、前記演算手段で前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発光装置と無線通信を行うために生じる遅延時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態におけるカメラの概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるストロボ装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるカメラの撮影準備動作を示す図。
【図4】本実施形態におけるカメラのストロボ撮影動作を示す図。
【図5】本実施形態における、ユーザによる撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでの各動作のタイミングを示す図。
【図6】従来のカメラシステムにおける、ユーザによる撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでの各動作のタイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態にかかる撮像装置であるカメラの概略構成を示すブロック図であり、本発明に関係するブロックが主に記載されている。なお、本実施形態におけるカメラは、カメラ本体にレンズユニットが着脱自在に装着された構成であるが、説明を簡単にするため、レンズユニットがカメラ本体と一体であるものとして説明する。
【0022】
図1において、1は撮影レンズ、2は撮影レンズ1を駆動させて自動焦点制御を行うためのAF(オートフォーカス)駆動部である。AF駆動部2は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、後述するCPU13の制御によって撮影レンズ1のフォーカスレンズ位置を変化させることにより撮影画面内の所望する領域のピントを合わせる。
【0023】
3は撮影レンズ1を駆動させて焦点距離制御を行うためのズーム駆動部である。ズーム駆動部3は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、後述するCPU13の制御によって撮影レンズ1の変倍レンズ位置を変化させることにより撮影レンズ1の焦点距離を変化させる。
【0024】
4は後述する撮像素子11に入射する光量を調節する絞りであり、5は絞り4を駆動させる絞り駆動部である。絞り制御部5は後述するCPU13によって算出された絞り駆動量に基づいて絞り4を駆動させて絞り値を変化させる。
【0025】
6は撮影レンズ1を介して入射した光束を導く方向をファインダ側と撮像素子側とに切替えるための主ミラーである。主ミラー6は通常時はファインダ側へと光束を導くよう反射させるように配されているが、撮影が行われる場合には、後述する撮像素子側へと光束を導くように上方に跳ね上がり撮像素子11への光路中から待避する。
【0026】
7は後述する撮像素子11に入射する光束の露光時間を調節するシャッターであり、撮像素子11の前面を走行することで、撮像素子11を露光状態から遮光状態に切り替えたり、遮光状態から露光状態に切り替えたりする。
【0027】
主ミラー6によりファインダ側に反射された光束はペンタプリズム8に入射する。このペンタプリズム8に入射した光は内部で反射を繰り返し、測光センサー9に入射すると共に、ファインダ10に入射する。
【0028】
測光センサー9では、撮影レンズ1を介して入射する光束に基づいて被写体を測光して測光値を取得し、取得した測光値はCPU13へと送られる。
【0029】
11は撮影レンズ1を介して入射した光束を光電変換する撮像素子、12は撮像素子11より得られた電気信号を画像データとして後述するCPU13に適したデータに変換して出力する撮像回路である。
【0030】
13はCPUであり、測光センサー9から受け取った測光値に基づいて絞りやシャッター速度等の露出制御値を演算する。また、ストロボ撮影を行う際には、測光センサー9から受け取った測光値に基づいてストロボ装置の本発光量を演算する。
【0031】
また、後述する操作部15からの出力に基づいて各部の制御を行う。
【0032】
15は操作部であり、ユーザによる撮影開始を指示する操作を受け付けるレリーズボタンなどを有している。15aはスイッチ1(以後SW1)、15bはスイッチ2(以後SW2)であり、SW1とSW2は、レリーズボタンの操作でオンオフするスイッチである。レリーズボタンが半押し状態のときにはSW1のみオン状態となり、この状態でオートフォーカス動作や測光動作などの撮影準備動作を行う。
【0033】
レリーズボタンが全押し状態になるとSW1、SW2がともにオン状態となり、撮影動作を行う。そして、撮影を行って得られた画像データを記録部14に記録する。
【0034】
また、操作部15を操作することで、スレーブストロボの各種設定を行うことも可能である。例えば、スレーブストロボを強制発光させる強制発光モードや被写体の輝度に応じて発光を行う自動発光制御モードなど発光モードの設定が可能である。
【0035】
16は通信端子であり、アクセサリーシューに着脱自在に装着されたストロボ装置や通信装置等のアクセサリーとの通信を行う。
【0036】
図2は、本実施形態にかかるカメラシステムにおける発光装置としてのストロボ装置の概略構成を示すブロック図であり、本発明に関係するブロックが主に記載されている。なお、本実施形態では、カメラに装着されたストロボ装置(以下、マスターストロボとする)及びカメラに装着されずカメラから離れた位置に配置されたストロボ装置(以下、スレーブストロボとする)は、ともに図2に示した構成であるとして説明を行う。
【0037】
18は操作部であり、ユーザによる各種操作に応じた出力を行う。19は発光回路であり、充電動作や発光動作など発光に関わる動作をストロボ制御部20からの信号に従って行う。20はストロボ装置の各部を制御するストロボ制御部であり、通信端子21を介して装着されているカメラとの通信を行う。
【0038】
22は電波を用いて外部機器と無線通信を行うための無線通信部であり、いくつかのパートから成り立っている。22aはアンテナであり、アンテナ22aは無線通信の送受信を行い、通信相手から受信したデータを無線制御部22bへ送信する。また、無線制御部22bからデータを受け取り、通信相手へ送信する。22cは発振回路であり、発振回路22cに接続された水晶発振子22dから生成されるクロック信号の波形を整形し、整形したクロック信号を無線通信部22での各回路に出力し、同期をとる。
【0039】
次に、本実施形態におけるカメラの撮影時の動作を図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態におけるカメラの撮影準備動作を示す図であり、操作部15のレリーズボタンが半押しされSW1のみがオン状態になると各処理がスタートする。
【0040】
SW1のみがオン状態になると、撮影準備動作としてまずステップS101でオートフォーカス動作を行う。オートフォーカス動作はAF駆動部2を用いて撮影レンズ1のフォーカスレンズ位置を変化させることにより撮影画面内の所望する領域のピントを合わせる動作であり、CPU13によって制御する。
【0041】
次のステップS102では、測光センサー9で測光動作を行い、測光値を取得する。なお、本実施形態では、測光における露光期間及び露光して得られた信号の読み出し期間を含めて測光期間とし、測光期間に行われる動作を測光動作とする。
【0042】
次のステップS103では、CPU13がステップS102で得られた測光値に基づいて、撮影時に用いる絞りやシャッター速度等の露出制御値を演算する。
【0043】
次のステップS104では、アクセサリーシューにストロボ装置や通信装置等のアクセサリーを装着している場合は、この撮影準備動作中に通信端子16を介して装着しているアクセサリーの情報を受信する。例えば、装着しているアクセサリーがストロボ装置であった場合は、発光モードの設定、スレーブストロボを用いるか否か、電波を用いて外部機器と無線通信が可能であるか否かなどに関する情報を受信する。
【0044】
以上のステップS101〜104までの処理は、SW1がオン状態の間はSW2がオン状態となるまで定期的に行う。
【0045】
図4は、本実施形態におけるカメラのストロボ撮影動作を示す図であり、操作部15のレリーズボタンが全押しされSW1、SW2がともにオン状態になると各処理がスタートする。
【0046】
まず、ステップS201では、CPU13はストロボ撮影を行うか否かを判断する。ここで、ストロボ撮影を行うか否かの判断は、ステップS102で得られた測光値、操作部15を介してユーザに設定された発光モード、ステップS104で得られた情報などに基づいて行われる。例えば、強制発光モードが設定されていればストロボ撮影を行うと判断し、自動発光制御モードが設定されていればステップS102で得られた測光値に基づく被写体の輝度が所定値よりも低い場合にストロボ撮影を行うと判断する。
【0047】
ストロボ撮影を行わない場合には、図4のステップS202以降の各処理は行わず撮影動作を開始する。
【0048】
ストロボ撮影を行う場合には、ステップS202に進み、CPU13はスレーブストロボを用いたストロボ撮影か否かを判断する。ここで、スレーブストロボを用いたストロボ撮影を行うか否かの判断は、操作部15を介して行われたユーザ設定、ステップS104で得られた情報などに基づいて行われる。
【0049】
スレーブストロボを用いたストロボ撮影である場合には、CPU13はステップS203にて通信端子16を介してマスターストロボにスレーブストロボのプリ発光に関する情報を送信する。このプリ発光に関する情報は、スレーブストロボでプリ発光を行う際の、スレーブストロボの発光量や発光時間を示す情報である。また、プリ発光に関する情報とともに後述するプリ発光を行う前に決定される本発光に関する情報も送信する。
【0050】
次に、ステップS204にて、CPU13はマスターストロボに対して、スレーブストロボとの無線通信の許可を行う。マスターストロボは、カメラからスレーブストロボとの無線通信が許可されると、スレーブストロボへステップS203で得たプリ発光に関する情報に基づくデータの送信を開始する。
【0051】
ステップS204にて無線通信の許可を行った後、ステップS205にて、カメラは非発光時測光値(第1の測光値)を取得するために測光動作を行う。なお、CPU13は、マスターストロボのスレーブストロボへのデータ送信動作の少なくとも一部がこの非発光時測光値を取得するための測光動作中に行われるように、データ送信動作及び測光動作の少なくとも一方の開始タイミングを制御する。
【0052】
このように、測光動作中とスレーブストロボへのデータ送信動作を行うことで、測光動作とスレーブストロボへのデータ送信動作を互いに重複しないように行う場合に比べて、短い期間で両方の動作を行うことができる。なお、本実施形態では、スレーブストロボへのデータの送信は電波を用いて行うため、測光中にデータ送信を行っても正確な測光値を取得することが可能である。
【0053】
次に、ステップS206にて、CPU13はマスターストロボに対して、スレーブストロボとの無線通信の許可を行う。マスターストロボは、カメラからスレーブストロボとの無線通信が許可されると、スレーブストロボへ本発光に関するデータの送信を開始する。ここで送信する本発光に関するデータは、ステップS203で得たプリ発光を行う前に決定される情報に関するデータであって、例えば、本発光を閃光発光させるかフラット発光させるかといった発光形態に関するデータである。その他、カメラの撮影時の露光開始に合わせて本発光させる先幕シンクロモードか露光終了に合わせて本発光させる後幕シンクロモードかといった、本発光の発光タイミングに関するデータなどであってもよい。
【0054】
テップS206にて無線通信の許可を行った後、ステップS207にて、カメラはプリ発光時測光値(第2の測光値)を取得するために測光動作を行う。なお、CPU13は、マスターストロボのスレーブストロボへのデータ送信動作の少なくとも一部がこのプリ発光時測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する。このタイミングで本発光に関するデータのうちプリ発光を行う前に決定される情報に関するデータを送信することで、プリ発光を行った後に送信する本発光に関するデータのデータ量を削減することができる。そのため、プリ発光を行った後のスレーブストロボとの通信に要する時間を低減することができる。なお、この場合もステップS207と同様に、スレーブストロボへのデータの送信は電波を用いて行うため、測光中にデータ送信を行っても正確な測光値を取得することが可能である。
【0055】
次に、ステップS208にて、CPU13はステップS205で得られた非発光時測光値とステップS207で得られたプリ発光時測光値とに基づいて、公知の方法によりスレーブストロボの本発光量を演算する。
【0056】
そして、ステップS209にて、CPU13は通信端子16を介してマスターストロボに、ステップS208で演算したスレーブストロボの本発光量に関する情報を送信する。
【0057】
次に、ステップS210にて、CPU13はマスターストロボに対して、スレーブストロボとの無線通信の許可を行う。マスターストロボは、カメラからスレーブストロボとの無線通信が許可されると、スレーブストロボへステップS209で得た本発光量に関する情報に基づくデータの送信を開始する。前述したように、プリ発光時測光値を取得するための測光動作中に本発光に関するデータのうちプリ発光を行う前に決定される情報に関するデータを送信しているため、ここでのデータ送信に要する時間を低減することができる。
【0058】
その後、カメラは撮影動作を開始し、スレーブストロボを発光させたストロボ撮影を行う。
【0059】
一方、ステップS202での判断において、スレーブストロボを用いたストロボ撮影でないと判断した場合には、スレーブストロボと無線通信を行う必要がないため、図4のフローチャートにおける無線通信に関する処理は省略する。すなわち、ステップS204、S206、S209で実行される、マスターストロボに対するスレーブストロボとの無線通信の許可やマスターストロボのスレーブストロボへのデータ送信動作などの処理は省略する。
【0060】
スレーブストロボを用いたストロボ撮影でない場合、マスターストロボのみを発光させてストロボ撮影を行うので、ステップS211では、CPU13はマスターストロボのプリ発光に関する情報を通信端子16を介してマスターストロボに送信することになる。そして、ステップS212では非発光時測光値を取得し、ステップS213では、マスターストロボがプリ発光したときの測光値を取得する。ステップS214では、ステップS211及びステップS212で取得した測光値に基づいて、CPU13はマスターストロボの本発光量を演算する。ステップS215では、CPU13はマスターストロボの本発光に関するデータを通信端子16を介してマスターストロボに送信し、マスターストロボを発光させたストロボ撮影を行うことになる。
【0061】
次に、スレーブストロボを発光させてストロボ撮影を行う場合の各動作のタイミングを図5を用いて説明する。
【0062】
レリーズボタンが全押しされSW1、SW2がともにオン状態になると、CPU13は通信端子16を介してマスターストロボにプリ発光に関する情報を送信する(ステップS203)。次に、CPU13はマスターストロボに対して、スレーブストロボとの無線通信の許可を行う(ステップS204)。マスターストロボは、カメラからスレーブストロボとの無線通信が許可されると、カメラから得たプリ発光に関する情報に基づくデータをスレーブストロボへ送信し始める。
【0063】
無線通信の許可を行った後、カメラは非発光時測光値を取得するために測光動作を行う(S205)。このとき、CPU13は、マスターストロボのスレーブストロボへのデータ送信動作の少なくとも一部が非発光時測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する。そうすることで、測光動作とスレーブストロボへのデータ送信動作を互いに重複しないように行う場合に比べて、短い期間で両方の動作を行うことができる。ここで、非発光時測光値を取得するための測光動作は無線通信の許可を行った後に開始しなくてもよく、測光動作中に無線通信の許可を行っても構わない。
【0064】
その後、CPU13はマスターストロボに対して、再びスレーブストロボとの無線通信の許可を行う(ステップS206)。そして、マスターストロボは、カメラからスレーブストロボとの無線通信が許可されると、カメラから得たプリ発光を行う前に決定される本発光に関する情報に基づくデータをスレーブストロボへ送信し始める。
【0065】
また、スレーブストロボは、マスターストロボからプリ発光に関する情報に基づくデータが送信されると、送信されたデータに基づいてプリ発光を行う。そして、カメラはプリ発光時測光値を取得するために測光動作を行う(S207)。このとき、撮影を行うまでに要する時間を低減するために、CPU13は、マスターストロボのスレーブストロボへのデータ送信動作の少なくとも一部が、プリ発光時測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する。ここで、無線通信の許可とプリ発光時測光値を取得するための測光動作の順序はプリ発光の発光タイミングに合わせて決定すればよく、測光動作中に無線通信の許可を行ってもよい。
【0066】
プリ発光時測光値を取得すると、CPU13は非発光時測光値とプリ発光時測光値とに基づいてスレーブストロボの本発光量を演算し(ステップS208)、演算結果を通信端子16を介してマスターストロボに送信する(ステップS209)。
【0067】
その後、CPU13はマスターストロボに対して、再びスレーブストロボとの無線通信の許可を行う(ステップS210)。そして、マスターストロボは、カメラからスレーブストロボとの無線通信が許可されると、カメラから送られた本発光量に関する情報に基づくデータをスレーブストロボへ送信し始める。
【0068】
そして、スレーブストロボは、マスターストロボから本発光量に関する情報に基づくデータが送信されると、送信されたデータに基づいて本発光を行い、カメラは本発光に合わせて撮影を行う。
【0069】
以上のように、本実施形態では、スレーブストロボの本発光量を演算するための測光動作中にスレーブストロボへのデータ送信動作の少なくとも一部を行うことで、撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでの遅延時間を低減することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、カメラに装着されたマスターストロボを介してスレーブストロボと無線通信を行う場合について説明したが、カメラが無線通信部を有していて、その無線通信部を用いてスレーブストロボと無線通信を行ってもよい。また、カメラに接続可能な通信装置を無線通信部を有していないカメラに接続し、通信装置を介してスレーブストロボと無線通信を行ってもよい。また、スレーブストロボが無線通信部を内蔵していない場合などに、スレーブストロボに通信装置を取り付けて、その通信装置を介してカメラ側とスレーブストロボ側とで無線通信を行ってもよい。すなわち、撮像装置の測光動作中に撮像装置側と発光装置側との無線通信動作の少なくとも一部を行う構成であればよい。また、本実施形態においてCPU13で実行した処理の一部をマスターストロボや通信装置のCPUによって実行してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、スレーブストロボが1つのカメラシステムの場合について説明したが、複数のスレーブストロボを有するカメラシステムにも適用可能である。
【0072】
また、本実施形態では、非発光時の測光動作中とプリ発光時の測光動作中の両方でスレーブストロボへのデータ送信動作を行っているが、いずれか一方の測光動作中だけで行っても本発明の効果を得ることは可能である。
【0073】
また、本実施形態では、測光動作中にプリ発光に関するデータや本発光に関するデータを送信する場合を説明したが、撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでに送信されるものであればその他のデータを送信しても構わない。例えば、スレーブストロボが発光可能な状態であるかを確認するためのデータやスレーブストロボが無線通信可能な状態であるかを確認するためのデータなどであってもよい。
【0074】
また、本実施形態では、測光動作中にスレーブストロボへのデータ送信動作を行う場合を説明したが、測光動作中にスレーブストロボからのデータ受信動作を行う場合にも適用可能である。
【0075】
また、本実施形態では、撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでに非発光時の測光動作とプリ発光時の測光動作を行う場合を説明したが、撮影開始指示がなされてから撮影を開始するまでにプリ発光時の測光動作のみを行う場合であっても適用できる。
【0076】
また、本実施形態では、スレーブストロボが電波を用いた無線通信が可能な場合を説明したが、電波を用いた無線通信が可能なスレーブストロボと光信号を用いた無線通信のみ可能なスレーブストロボが混在するカメラシステムも想定される。その場合、電波を用いた無線通信が可能なスレーブストロボと通信する際には測光動作中に通信動作を行うことを許可し、光信号を用いた無線通信のみ可能なスレーブストロボと通信する際には測光動作中に通信動作を行うことを許可しないように制御を行えばよい。
【符号の説明】
【0077】
9 測光センサー
11 撮像素子
12 撮像回路
13 CPU
15 操作部
16 通信端子(カメラ側)
18 操作部
20 ストロボ制御部
21 通信端子(ストロボ側)
22 無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信部を介して発光装置と電波を用いた無線通信を行う撮像装置であって、
被写体を測光する測光手段と、
前記測光手段により測光を行って取得した測光値に基づいて前記発光装置の本発光量を演算する演算手段と、
前記無線通信部による前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、前記演算手段で前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記発光装置が発光していないときに測光を行って取得した第1の測光値と前記発光装置がプリ発光しているときに測光を行って取得した第2の測光値とに基づいて前記発光装置の本発光量を演算し、
前記制御手段は、前記無線通信部による前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、前記第1の測光値を取得するための測光動作中及び前記第2の測光値を取得するための測光動作中の少なくとも一方で行われるように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮影開始を指示する操作を受け付ける操作手段を有し、
前記測光手段は、前記操作手段により撮影開始を指示する操作を受け付けてから、前記第1の測光値を取得するための測光動作及び前記第2の測光値を取得するための測光動作を行うことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記測光手段は、前記発光装置がプリ発光する前に前記第1の測光値を取得するための測光動作を行い、
前記制御手段は、前記無線通信部による前記発光装置をプリ発光させるための通信動作の少なくとも一部が、前記第1の測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御することを特徴とする請求項2または3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記無線通信部による前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、前記演算手段で前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように、当該通信動作及び当該測光動作の少なくとも一方の開始タイミングを制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体を測光する測光手段と、前記測光手段により測光を行って取得した測光値に基づいて前記発光装置の本発光量を演算する演算手段と、を有する撮像装置に接続可能であり、発光装置と電波を用いた無線通信を行う通信装置であって、
前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、接続された前記撮像装置による前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする通信装置。
【請求項7】
無線通信部を介して発光装置と撮像装置とが電波を用いた無線通信を行うカメラシステムであって、
被写体を測光する測光手段と、
前記測光手段により測光を行って取得した測光値に基づいて前記発光装置の本発光量を演算する演算手段と、
前記無線通信部による前記発光装置との通信動作の少なくとも一部が、前記演算手段で前記本発光量を演算する際に用いる測光値を取得するための測光動作中に行われるように制御する制御手段と、を有することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−163846(P2012−163846A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25257(P2011−25257)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】