説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】AE制御に連動してセンサーの駆動モードを切り替えながら電子シャッター制御を行う場合の他の機能への影響を防止することができる撮像装置及びその制御方法等を提供する。
【解決手段】測光評価の結果に応じて少なくともCMOSイメージセンサー103の蓄積時間を変更することにより自動露光制御を行うAE制御部119と、CMOSイメージセンサー103の駆動モードを切り替えるセンサー駆動モード変更制御部126と、が設けられている。センサー駆動モード変更制御部126は、AE制御部119による自動露光制御及びCMOSイメージセンサー103の駆動モードの切り替えにより生じるCMOSイメージセンサー103の解像度の変化と、撮像装置の動作状態と、を比較し、この結果に応じてCMOSイメージセンサー103の駆動モードを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ等の撮像装置及びその制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラ等の撮像装置には、自動露光(AE:Auto-Exposure)機能が搭載されている。これは、光電変換に使用するイメージセンサーのダイナミックレンジが、被写体の物理的なダイナミックレンジに対してはるかに狭いという制約を解消するためである。
AEの方法として、次の3種類が挙げられる。一つは、結像光学系とイメージセンサーとの間に、光学的な絞りを設けて、絞りを開け閉めすることにより、イメージセンサーへ照射される光量そのものを制御する方法である。他の一つは、イメージセンサーにおける露光時間を、センサー駆動制御で行う、いわゆる電子シャッターによる方法である。残りの一つは、イメージセンサーから出力された映像信号に対するゲイン制御による方法である。従来、これら3種類の方法が組み合わされている。
そして、被写体が暗い場合のAEでは、先ず、暗くなるに従い、絞りを開くことで光量を確保し、絞りを全開としてもなお、光量が不足する場合には、ゲインをかけることにより対応する。このときのゲインは、回路仕様の許す限りかけることはできるが、高ゲインになるに従いS/N比が低下するので、画質の面でゲインの上限が決まる。さらに暗い被写体をも撮影する場合には、イメージセンサーの電子シャッター機能を用いて、センサーの電荷蓄積時間(蓄積時間)を延長することにより対応する。
但し、ビデオカメラのように動画撮影する撮像装置においては、基本的に蓄積時間が1フレーム又は1フィールド期間とほぼ一致するため、それ以上に蓄積時間を延長することは、撮影画像の動解像度を犠牲にすることに繋がる。従って、ビデオカメラのユーザーが、より暗い被写体まで撮影するために、特定のAEモードを設定したときに、蓄積時間を延長して動解像度を落として撮影する機能を提供することが多い。
このようにイメージセンサーの電子シャッターにより、蓄積時間を延長して暗い被写体の動画を撮影する場合、通常は動解像度が犠牲になる。これに対し、特許文献1に、このような課題を解決することを目的とした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−336448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、先に説明した、AE制御に連動してセンサー駆動方法を切り替えながら電子シャッター制御を行う際に、以下のように、ビデオカメラの他の機能に影響が及ぶことがある。
【0005】
例えば、個人認証機能に影響が及ぶことがある。個人認証機能では、イメージセンサーから得られた撮像画像に含まれる被写体の特徴と、予め登録した顔画像情報を比較して、特定の顔を認識する。この際に、予め登録した顔画像情報と被写体の特徴との比較に支障をきたし、個人認証ができなくなることがある。
また、いわゆる、動きベクトル演算に影響が及ぶこともある。動きベクトル演算では、イメージセンサーから得られた複数の撮像画像の時間的差分情報から、被写体の動きを算出するが、このような処理ができないことがある。従って、周知のような動きベクトルを利用したブレ補正を行う場合に、センサー駆動を変更した瞬間にブレが大きいと、ブレ補正残りが発生して目立つことがある。
また、AF(Auto-Focus)制御において致命的な外乱を与えることもある。AF制御では、イメージセンサーから得られた撮像画像に含まれる高周波成分を検波して、結像光学系に構成されるフォーカスレンズを制御して、常に被写体にピントを合わせる制御を行う。しかし、特に合焦したか否かを判定するタイミングにおいて、致命的な外乱を与えることがある。
また、AE制御の性能が向上しても画質が低下することもある。
【0006】
本発明は、AE制御に連動してセンサーの駆動モードを切り替えながら電子シャッター制御を行う場合の他の機能への影響を防止することができる撮像装置及びその制御方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者が上記のようなビデオカメラの他の機能への影響が及ぶ原因について鋭意検討を行ったところ、従来の技術では、空間解像度(垂直解像度)が犠牲にされていることを見出した。そして、本願発明者は以下の発明に想到した。
【0008】
本発明に係る撮像装置は、複数画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しを、フレーム又はフィールド内で順次行う第1の駆動モードと、前記複数画素を複数のグループに分け、前記複数のグループ各々の画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しをフレーム又はフィールド内で順次行い、かつ、前記複数のグループ間の電荷の蓄積の開始及び読み出しを互いに重複するようにする第2の駆動モードと、の切り替えが可能な撮像素子と、測光評価の結果に応じて少なくとも前記撮像素子の蓄積時間を変更することにより自動露光制御を行う自動露光制御手段と、前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えるモード変更制御手段と、を有する撮像装置であって、前記モード変更制御手段は、前記自動露光制御手段による自動露光制御及び前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとの切り替えにより生じる前記撮像素子の解像度の変化と、前記撮像装置の動作状態と、を比較し、この結果に応じて前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、AE制御に連動してセンサーの駆動モードを切り替えながら電子シャッター制御を行う場合であっても、他の機能への影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置を示すブロック図である。
【図2】AF制御部の動作を示すフローチャートである。
【図3】特定顔位置追尾制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】AE制御部119の動作を示す制御線図である。
【図5】CMOSイメージセンサーの構成を示す図である。
【図6】CMOSイメージセンサーの動作を示すタイミングチャートである。
【図7】センサー駆動モード変更制御部の動作を示すフローチャートである。
【図8】センサー駆動モード変更制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係る撮像装置を示すブロック図である。
【図10】センサー駆動モード変更制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置を示すブロック図である。図1において、101はフォーカスレンズ、102は絞り、103はCMOSイメージセンサー(撮像素子)、104はアナログフロントエンド(AFE)、105はゲイン回路、106はカメラ信号処理回路、107は第1のフレームメモリを示す。108は第1のメモリコントローラ、109は拡大処理回路、110は表示記録部、111は測光評価演算回路、112はTV−AF検波回路、113は第3のフレームメモリ、114は動きベクトル演算回路、115は第2のフレームメモリを示す。116は第2のメモリコントローラ、117は特定顔認識回路、118は不特定顔検出回路を示す。119はAE制御部、120は同期信号生成部、121はAF制御部、122はブレ補正制御部、123はブレ補正量判定部、124は特定顔位置追尾制御部、125はセンサー駆動モード変更履歴保持部、126はセンサー駆動モード変更制御部を示す。
AE制御部119、同期信号生成部120、AF制御部121、ブレ補正制御部122、ブレ補正量判定部123、特定顔位置追尾制御部124、センサー駆動モード変更履歴保持部125、及びセンサー駆動モード変更制御部126は、例えば、マイクロコンピュータ等のソフトウェアにより構成される。
また、S101は入力映像信号、S102はコンポーネント映像信号、S103はメモリ切り出し映像信号、S104は出力映像信号、S105は1フレーム遅延映像信号、S106は顔認識及び検出用映像信号、S107は測光評価値を示す。S108はTV−AF評価値、S109は動きベクトルデータ、S110は特定顔位置データ、S111は不特定顔位置データ、S112は同期信号、S113は絞り制御信号、S114は電子シャッター制御信号、S115はゲイン設定データを示す。S116はセンサー駆動モード設定データ、S117はTV−AF制御モードデータ、S118はフォーカスレンズ制御信号、S119はブレ補正制御信号、S120は画像切り出し範囲設定データ、S121はブレ補正量判定データを示す。S122はブレ補正状況判別データ、S123は特定顔認識と不特定顔検出の状態判別データ、S124はセンサー駆動モード切替制御信号、S125はセンサー駆動モード切替履歴データ、S126は顔位置表示枠信号を示す。
【0013】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
フォーカスレンズ101及び絞り102(光学的絞り)を通じて、CMOSイメージセンサー103に被写体の光学像が結像されると、CMOSイメージセンサー103から映像信号が出力される。次いで、映像信号がAFE104によりディジタル映像化され、ゲイン回路105(ゲイン調整回路)において所定のゲイン演算がなされて、入力映像信号S101が生成される。CMOSイメージセンサー103及びAFE104の駆動は、同期信号生成部120により生成される同期信号S112に同期して行われる。なお、CMOSイメージセンサー103の内部構成及び動作については、詳細に後述する。
カメラ信号処理回路106は、入力映像信号S101に対して、ガンマ補正、輪郭補正、各種色信号処理等の周知の信号処理を施し、コンポーネント映像信号S102を生成する。
コンポーネント映像信号S102は、例えば第1のフレームメモリ107に格納される。第1のフレームメモリ107は、第1のメモリコントローラ108からの画像切り出し範囲設定データS120による切り出し範囲の制御に基づき、メモリ切り出し映像信号S103を出力する。
拡大処理回路109は、メモリ切り出し映像信号S103を所定の倍率で拡大し、出力映像信号S104を生成する。出力映像信号S104は表示記録部110に送られて、表示及び図示しない記録メディアへの映像記録が行われる。
【0014】
測光評価演算回路111は、入力映像信号S101を用い、撮影中の被写体の明るさを表す測光評価値S107を生成する。
TV−AF検波回路112は、入力映像信号S101を用い、撮影中の被写体へのピントの度合いを表すTV−AF評価値S108を生成する。
第3のフレームメモリ113は、入力映像信号S101を格納する。そして、動きベクトル演算回路114は、ゲイン回路105からの入力映像信号S101及び第3のフレームメモリ113からの1フレーム遅延映像信号S105を用いて、撮影中の全景がどのように動いているかを表す動きベクトルデータS109を生成する。動きベクトルデータS109は、ブレ補正制御部122へと入力され、ブレ補正制御部122は、ブレ補正制御信号S119及びブレ補正量判定データS121を生成する。ブレ補正制御信号S119は、動きベクトルデータS109に対し、大きさが等しく方向成分が逆のベクトルデータである。第1のメモリコントローラ108は、ブレ補正制御信号S119に従い、画像切り出し範囲設定データS120を生成する。従って、第1のフレームメモリ107から出力されるメモリ切り出し映像信号S103の画像は、撮像装置本体のブレが除去された画像となる。また、ブレ補正量判定データS121は、動きベクトルデータS109の大きさが、所定の大きさ以上であるときは「1」となり、前記所定の大きさ未満であるときは「0」となる。なお、ブレ補正量に代えてブレ量を用いてもよい。
第2のフレームメモリ115は、入力映像信号S101を格納する。そして、特定顔認識回路117は、第2のフレームメモリ115からの顔認識及び検出用映像信号S106を用い、撮影中の被写体に予め登録された特定の人物顔が存在するかを識別し、前記特定の顔の位置情報である特定顔位置データS110を生成する。また、不特定顔検出回路118は、第2のフレームメモリ115からの顔認識及び検出用映像信号S106を用い、撮影中の被写体に不特定の人物顔が存在するかを検出し、前記不特定の顔の位置情報である不特定顔位置データS111を生成する。
【0015】
次に、AF制御部121の動作(自動焦点制御)について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。本実施形態では、コントラストAF制御の動作モードとして、次の3つのモードが設定されている。一つは、フォーカスレンズ101のレンズ位置が合焦となる位置を探索するサーチモードである。他の一つは、合焦位置に到達しているかを判定する合焦判定モードである。残りの一つは、到達した合焦位置に安定してピントを合わせつつ、微小なピント変化に対しては追従可能とするウォブリングモードの3モードである。
ステップST1においてAF制御動作が開始されると、先ず、ステップST2において、AF制御部121は、TV−AF制御モードデータS117を「0」として、サーチモードに設定する。サーチモード設定中は、TV−AF制御モードデータS117として「0」が出力される。次いで、ステップST3において、AF制御部121は、フォーカスレンズ101のレンズ位置を「20」移動させ、ステップST4において、TV−AF検波回路112からTV−AF評価値S108を取得する。その後、ステップST5において、AF制御部121は、ステップST4で取得したTV−AF評価値S108と、過去に取得したTV−AF評価値S108との差分絶対値が所定の値、例えば、100以上かどうかを判定し、100以上ならステップST2に戻り、100未満ならステップST6へ進む。差分絶対値が所定の値未満であることは、除々に合焦位置に近づいていることを示すので、ステップST6では、AF制御部121は、フォーカスレンズ101のレンズ位置の移動量を少なく、「5」移動させる。続いて、ステップST7において、AF制御部121は、再度、TV−AF検波回路112からTV−AF評価値S108を取得し、ステップST8において、ステップST5と同様、差分絶対値が100以上かどうかを判定し、100以上ならステップST2に戻る。これは、除々に合焦位置に近づいている状態で被写体の状況が急に変化して、フォーカスレンズ101のレンズ位置の調整をやり直す必要がある場合に備えるものである。ステップST8で差分絶対値が100未満ならステップST9へ進む。ステップST8で差分絶対値が100未満であることは、順調に合焦位置に近づいていることを示すので、ステップST9では、AF制御部121は、差分絶対値が上記の値よりも低い所定の値、例えば20以上かどうかを判定する。そして、20以上ならステップST6に戻り、20未満ならステップST10へと進む。
【0016】
差分絶対値が20未満であることは、ほぼ合焦位置に到達していることを示すので、ステップST10では、AF制御部121は、TV−AF制御モードデータS117を「1」として、合焦判定モードに設定する。合焦判定モード設定中は、TV−AF制御モードデータS117として「1」が出力される。次いで、ステップST11において、AF制御部121は、フォーカスレンズ101のレンズ位置を移動させる。ここでは、おおむね合焦位置に到達しているので、移動量は「1」とする。その後、ステップST12において、AF制御部121は、TV−AF評価値S108を取得し、ステップST13で、ステップST5と同様、差分絶対値が、100以上かどうかを判定する。そして、100以上であれば、被写体の状況が急に変化して、フォーカスレンズ101のレンズ位置の調整をやり直す必要があるため、ステップST2へ戻り、100未満であれば被写体の状況に変化はないものとして、ステップST14へと進む。ステップST14では、おおむね合焦位置に到達しており、かつ、被写体の状況に変化はなく、ほぼ合焦状態であるので、AF制御部121は、それを確認するために、差分絶対値が5以上であるかを判定する。そして、差分絶対値が5以上ならば、ステップST10へと戻る。まだ所定の合焦状態ではないからである。差分絶対値が5未満ならば、ステップST15へと進む。ステップST15では、所定の合焦状態とみなすことができるため、AF制御部121は、さらに、安定して合焦したかを判定するため、差分絶対値が5未満である状態が5回連続しているかを判定する。5回連続していなければ、ステップST10に戻り、5回連続したならば、ステップST16に進む。
【0017】
差分絶対値が5未満である状態が5回連続していることは、安定した所定の合焦状態であることを示すため、ステップST16では、AF制御部121は、TV−AF制御モードデータS117を「2」として、ウォブリングモードに設定する。ウォブリングモードに設定中は、TV−AF制御モードデータS117として「2」が出力される。次いで、ステップST17において、AF制御部121は、フォーカスレンズ101のレンズ位置を移動させる。ここでは、安定して合焦しているので、移動量は「1」とする。その後、ステップST18において、AF制御部121は、TV−AF評価値S108を取得する。続いて、ステップST19において、AF制御部121は、過去5回分の取得評価値のメディアン値を求める。メディアン処理を行うと、孤立点状の外乱を排除することが可能である。ステップST19の処理を行うのは、ウォブリングモード時は、撮影したい被写体に対して安定して合焦できている状態なので、例えば、被写体の前面を別の物体が一瞬横切るなどの撮影時の外乱に対しては、焦点制御が過剰に応答しないようにすることが好ましいからである。次いで、ステップST20において、AF制御部121は、ステップST19のメディアン処理された評価値に対する差分絶対値が100以上であるかどうかの判定を行い、100以上であれば、ステップST2へと戻る。これは、明らかに被写体の状況が変化して、フォーカスレンズ101のレンズ位置の調整をやり直すためである。一方、メディアン処理された評価値に対する差分絶対値が100未満であれば、ステップST16へ戻る。安定した合焦状態が維持されているからである。
このようにして、AF制御部121は動作する。
【0018】
次に、特定顔位置追尾制御部124の動作について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ステップST31において特定顔位置追尾制御が開始されると、先ず、ステップST32において、特定顔位置追尾制御部124は、特定顔認識と不特定顔検出の状態判別データS123を「0」とし、ステップST33において、特定顔認識の処理を開始する。ここで、状態判別データS123が「0」であることは、特定の顔の位置を認識中であるか、又は、認識できていない状態を表す。つまり、状態判別データS123は特定顔認識の結果の取得状態を反映する。ステップST33では、特定顔位置追尾制御部124は、第2のメモリコントローラ116を制御して、第2のフレームメモリ115に記憶された全画像領域の顔認識及び検出用映像信号S106を、特定顔認識回路117に供給させる。そして、予め登録された特定の顔が認識されて、特定顔認識回路117が特定顔位置データS110を出力する。
その後、ステップST34において、特定顔位置追尾制御部124は、ステップST33の特定顔認識の処理において、特定顔が認識できたかを判定し、できなければ再度特定顔認識を行うため、ステップST32へと戻り、できていればステップST35へと進む。ステップST35では、特定顔位置追尾制御部124は、ステップST33で得られた特定顔位置データS110に基づき、顔位置表示枠信号S126を生成し、表示記録部110に出力する。表示記録部110は、例えば前記特定の顔の位置に四角い枠を重畳して表示及び/又は記録する。
続いて、ステップST36において、特定顔位置追尾制御部124は、状態判別データS123を「1」とする。ここで、状態判別データS123が「1」であることは、特定の顔が認識でき、かつ、その位置が判明している状態を表す。
次いで、ステップST37において、特定顔位置追尾制御部124は、ステップST33で得られた特定顔位置データS110に基づき、第2のフレームメモリ115から読み出される顔認識及び検出用映像信号S106の切り出し範囲を調整する。この結果、切り出し範囲が調整された顔認識及び検出用映像信号S106においては、ステップST33で得られた特定の顔のみを含む部分画像が含まれることとなる。
その後、ステップST38において、不特定顔検出回路118が、不特定顔検出処理を実施する。即ち、不特定顔検出回路118は、ステップST37で得られた特定の顔のみを含む部分画像に対して、顔の位置の検出を実行し、不特定顔位置データS111を出力する。不特定顔位置データS111は、特定の顔に限らず、その位置を表すものであるが、上述したように、既に特定の顔のみを含む部分画像から得られた顔の位置情報であるので、特定の顔の位置情報となっている。特定の顔認識に係る計算負荷と、不特定の顔検出に係る計算負荷とでは、前者の方がはるかに大きいので、本実施形態では、特定の顔認識をした後、不特定の顔検出により特定の顔に対する追従を行う。
ステップST38の後、ステップST39において、特定顔位置追尾制御部124は、ステップST38の不特定顔検出の処理において、顔位置が検出できたかを判定し、ステップST32へと戻る。顔画像が消失したものと判定できるからである。一方、顔位置が検出できていれば、ステップST35へと戻る。特定の顔を追尾し続けているからである。
このようにして、特定顔位置追尾制御部124は動作する。
【0019】
次に、AE制御部119の動作(自動露光制御)について、図4に示す制御線図を参照しながら説明する。図4の制御線図の横軸は測光評価値S107であり、被写体輝度が暗い方から順に、EV0、EV1、EV2、EV3、EV4、EV5の計6箇所の制御切り換えポイントを設定した例を示してある。ここでは、被写体輝度が明るい方から順を追って説明する。
被写体輝度がEV5以上の範囲内にある場合、AE制御部119は、絞り102を、絞り制御信号S113によりF16で固定する。また、AE制御部119は、CMOSイメージセンサー103の蓄積時間を、電子シャッター制御信号S114により1/500secに固定する。更に、AE制御部119は、ゲイン回路105の利得を、ゲイン設定データS115により0dBに固定する。従って、EV5以上の被写体輝度においては、AE制御が行われず、被写体が最も白飛びしにくい限度の設定で固定される。
被写体輝度がEV5未満EV4以上の範囲内にある場合、AE制御部119は、絞り102を、絞り制御信号S113によりF16〜F5.6の範囲内で調整する。従って、絞り102を用いたAE制御が実施される。
被写体輝度がEV4未満EV3以上の範囲内にある場合、AE制御部119は、CMOSイメージセンサー103の蓄積時間を、電子シャッター制御信号S114により1/500sec〜1/60secの範囲内で調整する。従って、CMOSイメージセンサー103の蓄積時間を用いたAE制御が実施される。
被写体輝度がEV3未満EV2以上の範囲内にある場合、AE制御部119は、絞り102を、絞り制御信号S113によりF5.6〜開放の範囲内で調整する。従って、絞り102を用いたAE制御が実施される。
被写体輝度がEV2未満EV1以上の範囲内にある場合、AE制御部119は、ゲイン回路105の利得を、ゲイン設定データS115により0dB〜18dBの範囲内で調整する。従って、ゲイン回路105の利得を用いたAE制御が実施される。
被写体輝度がEV1未満EV0以上の範囲内にある場合、AE制御部119は、CMOSイメージセンサー103の蓄積時間を、電子シャッター制御信号S114により、1/60sec〜1/30secの範囲内で調整する。従って、CMOSイメージセンサー103の蓄積時間を用いたAE制御が実施される。また、このとき、センサー駆動モード設定データS116が「1」に切り換えられる。センサー駆動モード設定データS116の作用については、詳細に後述する。
被写体輝度がEV0未満の範囲内にある場合、AE制御部119は、絞り102を、絞り制御信号S113により開放に固定する。また、AE制御部119は、CMOSイメージセンサー103の蓄積時間を、電子シャッター制御信号S114により、1/30secに固定する。更に、AE制御部119は、ゲイン回路105の利得を、ゲイン設定データS115により、18dBに固定する。従って、EV0未満の被写体輝度においては、AE制御が行われず、被写体を最も明るく表示及び記録する限度の設定で固定される。
このようにして、AE制御部119は動作する。
【0020】
次に、CMOSイメージセンサー103の構成及び動作について、図5に示す構成図及び図6に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。
図5(a)において、501は画素部、502は垂直信号線、503は垂直駆動回路、504は電荷読み出し制御線、505はリセット制御線を示す。また、506は行選択線、507は列アンプ、508は水平駆動部、509は出力バッファ、510は映像出力端子、511は同期信号入力端子を示す。また、図5(b)は各画素部501の構成を示しており、5010はフォトダイオード、5011はフローティングディフュージョン部、5012は読み出しトランジスタを示す。また、5013はリセットトランジスタ、5014は画素アンプ、5015は行選択トランジスタ、5016は電源配線を示す。なお、本実施形態では説明の簡略化のため、複数画素として4行4列の16個の画素の例を示している。
【0021】
図6(a)は、図5の詳細構成のCMOSイメージセンサー103を、全画素プログレッシブ駆動する場合のタイミングチャートであり、図6(b)は、蓄積時間重複の間引き駆動する場合のタイミングチャートである。
【0022】
先ず、全画素プログレッシブ駆動(第1の駆動モード)について説明する。
図6(a)において、t01、t11、t21、及びt31は、4行各々の画素部501における、フォトダイオード5010及びフローティングディフュージョン部5011の電荷をリセットするタイミングであり、各々1水平期間ずつずれたものとなっている。即ち、図6(a)のTx0、Tx1、Tx2、及びTx3、並びに、Res0、Res1、Res2、及びRes3に示すように、1水平期間ずれながら、電荷読み出し制御線504(Tx)及びリセット制御線505(Res)が同時にアクティブとなる。この結果、フォトダイオード5010及びフローティングディフュージョン部5011が、読み出しトランジスタ5012及びリセットトランジスタ5013を介して、同時に電源配線5016とつながり、電位が電源電位にリセットされるのである。
図6(a)において、t02、t12、t22、及びt32は、4行各々の画素部501のフォトダイオード5010において蓄積された電荷を、読み出しトランジスタ5012を介してフローティングディフュージョン部5011に読み出すタイミングを示す。t02、t12、t22、及びt32も、各々1水平期間ずつずれたタイミングである。このときの蓄積時間は、1行目においてはt01〜t02、2行目においてはt11〜t12、3行目においてはt21〜t22、4行目においてはt31〜t32となっており、いずれも図6(a)に示した垂直同期信号周期(フレーム周期でもある)Tv=1/60secとほぼ同じ時間となる。t01、t11、t21、及びt31の発生タイミングは、電子シャッター制御信号S114に従い、垂直駆動回路503の動作により変更可能である。そして、t01、t11、t21、及びt31をt02、t12、t22、及びt32に近づけてゆけば、図4のEV3〜EV4で行う蓄積時間1/60〜1/500secの制御が実現される。なお、図4のEV0〜EV1で行う蓄積時間1/30〜1/60secの制御では、t01、t11、t21、及びt31をt02、t12、t22、及びt32から遠ざける制御が必要である。このため、図6(a)に示した垂直同期信号周期を伸ばす必要がある。しかし、本実施形態では、後述する蓄積時間重複の間引き駆動により、垂直同期信号周期を伸ばすことなく、図4のEV0〜EV1で行う蓄積時間1/30〜1/60secの制御を行う。これについては詳細に後述する。
図6(a)において、t03、t13、t23、及びt33は、4行の各行毎に、行選択線506(Sel)を1水平期間ずつずれたタイミングでアクティブにするタイミングを示す。行選択線506(Sel)がアクティブになると、フローティングディフュージョン部5011に読み出された電荷を、画素アンプ5014が電圧信号に変換し、行選択トランジスタ5015及び垂直信号線502を介して列アンプ507が増幅する。
図6(a)において、t04、t14、t24、及びt34は、t03、t13、t23、及びt33において、列アンプ507で増幅された各行毎の蓄積電荷信号を、水平駆動部508において水平駆動開始するタイミングである。また、t05、t15、t25、及びt35は、この駆動の終了のタイミングである。即ち、t04〜t05は1行目の蓄積電荷信号を水平駆動して出力バッファ509及び映像出力端子510から出力する時間に相当する。同様に、t14〜t15は2行目の蓄積電荷信号を水平駆動して出力バッファ509及び映像出力端子510から出力する時間に相当し、t24〜t25は3行目の蓄積電荷信号を水平駆動して出力バッファ509及び映像出力端子510から出力する時間に相当する。t34〜t35は4行目の蓄積電荷信号を水平駆動して出力バッファ509及び映像出力端子510から出力する時間に相当する。また、例えばt05〜t14は、いわゆる水平ブランキング期間である。
【0023】
なお、同期信号入力端子511より入力される同期信号S112は、垂直駆動回路503及び水平駆動部508に入力され、上記説明した、各タイミングの基準として用いられる。
以上説明したとおり、図6(a)のように、CMOSイメージセンサー103を全画素プログレッシブ駆動する場合には、最長蓄積時間として約1/60secとし、フレーム周期として毎秒60フレームで、垂直画素数4画素の動画像を得ることができる。なお、電荷の蓄積の開始及び読み出しをフィールド内で順次行ってもよい。
【0024】
次に、蓄積時間重複の間引き駆動(第2の駆動モード)について説明する。
図6(b)においても、t01、t11、t21、及びt31は、4行各々の画素部501における、フォトダイオード5010及びフローティングディフュージョン部5011の電荷をリセットするタイミングである。ここでは、t01及びt21が1水平期間ずれたタイミングとなり、1垂直期間をおいて、t11及びt31が1水平期間ずれたタイミングとなる。
図6(b)においても、t02、t12、t22、及びt32は、4行各々の画素部501のフォトダイオード5010において蓄積された電荷を、読み出しトランジスタ5012を介してフローティングディフュージョン部5011に読み出すタイミングを示す。ここでは、t02及びt22が1水平期間ずれたタイミングとなり、1垂直期間をおいて、t12及びt32が1水平期間ずれたタイミングとなる。このときの蓄積時間は、図6(a)と同様に、1行目においてはt01〜t02、2行目においてはt11〜t12、3行目においてはt21〜t22、4行目においてはt31〜t32である。従って、図6(b)に示した垂直同期信号周期Tv=1/60secのほぼ2倍の時間となる。また、図6(a)と同様に、t01、t11、t21、及びt31の発生タイミングは、電子シャッター制御信号S114に従い、垂直駆動回路503の動作により変更可能である。従って、図4のEV0〜EV1で行う蓄積時間1/30〜1/60secの制御は、上述したように、垂直同期信号周期を伸ばすことなく実現されるものとなる。
図6(b)においても、t03、t13、t23、及びt33は、4行の各行毎に、行選択線506(Sel)をアクティブにするタイミングを示す。ここでは、t03及びt23が1水平期間ずれてアクティブとなるタイミングとなり、1垂直期間をおいて、t13とt33が1水平期間ずれてアクティブとなるタイミングとなる。
図6(b)においても、t04、t14、t24、及びt34は、水平駆動部508において水平駆動開始するタイミングであり、t05、t15、t25、及びt35は、この駆動の終了のタイミングである。ここでは、t04及びt24、並びにt05及びt25が1水平期間ずれたタイミングとなっている。また、1垂直期間をおいて、t14及びt34、並びにt15及びt35が1水平期間ずれたタイミングとなっている。このため、1行目及び3行目の蓄積電荷信号が水平駆動されて、出力バッファ509及び映像出力端子510から出力され、1垂直期間をおいて、2行目及び4行目の蓄積電荷信号が水平駆動されて、出力バッファ509及び映像出力端子510から出力される。
【0025】
以上説明したとおり、図6(b)のように、CMOSイメージセンサー103を蓄積時間重複の間引き駆動する場合には、最長蓄積時間として約1/30secとし、フレーム周期として毎秒60フレームで、垂直画素数2画素の動画像を得ることができる。この場合、16個の画素を複数(4)のグループに分け、グループ各々の画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しを行うこととなる。また、複数のグループ間の電荷の蓄積の開始及び読み出しが互いに重複するようになる。ここで、電荷の蓄積の開始及び読み出しをフィールド内で順次行ってもよい。
このようにして、CMOSイメージセンサー103は動作する。
【0026】
次に、センサー駆動モード変更制御部126の動作について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ステップST71においてセンサー駆動モード変更の制御が開始されると、先ず、ステップST72において、センサー駆動モード変更制御部126は、センサー駆動モード設定データS116の値を取得する。次いで、ステップST73において、センサー駆動モード変更制御部126は、図4に示すAE制御の制御線図に基づき、センサー駆動モード設定データS116の値が「0」から1に、又は「1」から「0」に変更したか否かを判定する。そして、変更がなければ、ステップST72へと戻る。変更があれば、ステップST74に進む。ステップST74において、センサー駆動モード変更制御部126は、TV−AF制御モードデータS117を取得する。その後、ステップST75において、センサー駆動モード変更制御部126は、ブレ補正状況判別データS122を取得する。続いて、ステップST76において、センサー駆動モード変更制御部126は、特定顔認識及び不特定顔検出の状態判別データS123を取得する。更に、センサー駆動モード変更制御部126は、ステップST77において、センサー駆動モード切替履歴データS125を取得する。次いで、ステップST78において、センサー駆動モード変更制御部126は、TV−AF制御モードデータS117が「1」、ブレ補正状況判別データS122が「1」、状態判別データS123が「0」、センサー駆動モード切替履歴データS125が「1」の4つの条件のいずれかが満たされているか判定する。つまり、撮像装置の動作状態を確認する。
【0027】
TV−AF制御モードデータS117が「1」であることは、TV−AF制御が合焦判定モードであることを表す。上述したように、合焦判定モードでは、TV−AF評価値S108の微小な変動を検出して合焦しているか否かが判定される。従って、CMOSイメージセンサー103の駆動に、全画素プログレッシブ駆動と蓄積時間重複の間引き駆動との切り替わりによる解像度変化という外乱が生じると、その影響が甚大である。それに対し、サーチモードはTV−AF評価値S108の微小な変動は見ないので影響はほとんどなく、ウォブリングモードでは、図2のステップST19で示すような外乱防止機能があるので問題ない。
ブレ補正状況判別データS122が「1」であることは、動きベクトルデータS109の大きさが、所定の大きさ以上であることを表す。CMOSイメージセンサー103の駆動に、全画素プログレッシブ駆動と蓄積時間重複の間引き駆動との切り替わりが生じると、その瞬間は、動きベクトルデータS109が出力されない。このため、第1のフレームメモリ107のメモリ切り出し映像信号S103により実現している撮像装置本体のブレ除去が一瞬途切れ、さらにそれが目立つ結果となる。
状態判別データS123が「0」であることは、特定の顔の位置を認識中であるか、又は、認識できていない状態を表す。このとき、CMOSイメージセンサー103の駆動に、全画素プログレッシブ駆動と蓄積時間重複の間引き駆動との切り替わりが生じ、特に間引き駆動となる場合には、目など、特定顔認識(形状認識)に重要な情報が欠落する場合が生じ、認識ができない可能性がある。
センサー駆動モード切替履歴データS125が「1」であることは、CMOSイメージセンサー103の駆動の全画素プログレッシブ駆動と蓄積時間重複の間引き駆動との切り替えが、所定の時間内に生じたことを示す。このとき、更にCMOSイメージセンサー103の駆動の切り替わりが発生すると、全画素プログレッシブ駆動と間引き駆動とが頻繁に発生して動画像画質としても不適当である。
【0028】
そこで、ステップST78での判定が成立する場合、即ち、上記の4つの条件の少なくともいずれかが満たされる場合には、CMOSイメージセンサー103の駆動切り替えを控えた方がよい状況にある。従って、ステップST74に戻り、センサー駆動モード変更制御部126は、再度、ステップST74〜ステップST78を繰り返す。また、ステップST78での判定が成立しない場合、即ち、4つの条件の少なくともいずれもが満たされない場合には、CMOSイメージセンサー103の駆動切り替えても差し支えない状況にある。従って、センサー駆動モード変更制御部126は、ステップST79において、CMOSイメージセンサー103の駆動を切り替えるセンサー駆動モード切替制御信号S124を、全画素プログレッシブ駆動又は蓄積時間重複の間引き駆動のいずれかを表す値に切り替える。そして、ステップST710において処理を終了する。
このようにして、センサー駆動モード変更制御部126は動作する。
【0029】
また、センサー駆動モード変更履歴保持部125においては、センサー駆動モード切替制御信号S124の値が変化したタイミングを起点に、例えば変化後の値が10回連続するかを検出する。即ち、センサー駆動モード切替制御信号S124が「0」から「1」に変化した場合には、「1」が10回連続するかを検出する。また、センサー駆動モード切替制御信号S124が「1」から「0」に変化した場合には、「0」が10回連続するかを検出する。そして、センサー駆動モード変更履歴保持部125は、連続回数が10回未満の間はセンサー駆動モード切替履歴データS125を「0」とし、10回以上連続すると、センサー駆動モード切替履歴データS125を「1」とする。このような動作によれば、一旦、全画素プログレッシブ駆動又は間引き駆動の駆動モード変更が生じたら、以降の10フレーム期間は、同様の駆動モードの変更が抑制されることとなる。
【0030】
このような第1の実施形態によれば、予め登録した顔画像情報と被写体との特徴の比較中は、垂直解像度が変動するようなセンサー駆動の変更が一時的に控えられる。このため、個人認証ができなくなる虞を軽減することができる。
また、ブレが大きい瞬間のみ、垂直解像度が変動するようなセンサー駆動の変更が控えられる。このため、ブレ補正残りが発生して、目立ってしまう虞を軽減することができる。
また、合焦したか否かを判定するタイミングにおいて、垂直解像度が変動するようなセンサー駆動の変更が控えられる。このため、AF制御に対する致命的な外乱を与える虞を軽減することができる。
また、センサー駆動モードの変更が頻繁に発生することを抑制することができる。このため、AEとしての性能向上より、垂直解像度変動による画質低下が検知されやすくなる虞を軽減することができる。
従って、第1の実施形態によれば、AE制御に連動してセンサー駆動方法を切り替えながら電子シャッター制御を行う際に、ビデオカメラの他の機能に及ぶ虞のある影響を抑制することができる。
【0031】
なお、第1の実施形態では、間引き駆動の駆動モードにおける間引きが、垂直方向のみで行われているが、水平方向の間引きが行われてもよく、垂直方向及び水平両方向の2次元の間引きが行われてもよい。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、センサー駆動モード変更制御部126の動作が第1の実施形態と相違している。他の構成及び動作は第1の実施形態と同様である。
【0033】
ここで、第2の実施形態におけるセンサー駆動モード変更制御部126の動作について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップST81〜ST88において、第1の実施形態におけるステップST71〜T78と同様の処理を行う。そして、ステップST88において、4つの条件のいずれもが満たされない場合、即ち、CMOSイメージセンサー103の駆動切り替えてもよい状況では、ステップST89及びステップST810へ進む。ステップST89〜ST810では、第1の実施形態におけるステップST79〜ST710と同様の処理を行う。
【0034】
一方、ステップST88において、4つの条件のいずれかが満たされている場合、センサー駆動モード変更制御部126は、ステップST811で、TV−AF制御モードデータS117が「1」であったかを判定する。そして、「1」であったならば、ステップST812で、センサー駆動モード変更制御部126は、TV−AF制御モードデータS117が「1」の状態が発生したことをカウントする第1のカウントデータのカウント値を1つ増やしてステップST813へ進む。一方、「1」でなかったならば、第1のカウントデータのカウント値を増やすことなく、そのままステップST813へ進む。
ステップST813で、センサー駆動モード変更制御部126は、ブレ補正状況判別データS122が「1」であったかを判定する。そして、「1」であったならば、ステップST814で、センサー駆動モード変更制御部126は、ブレ補正状況判別データS122が「1」の状態が発生したことをカウントする第2のカウントデータのカウント値を1つ増やしてステップST815へ進む。一方、「1」でなかったならば、第2のカウントデータのカウント値を増やすことなく、そのままステップST815へ進む。
ステップST815で、センサー駆動モード変更制御部126は、特定顔認識と不特定顔検出の状態判別データS123が「0」であったかを判定する。そして、「0」であったならば、ステップST816で、センサー駆動モード変更制御部126は、状態判別データS123が「0の状態が発生したことをカウントする第3のカウントデータのカウント値を1つ増やしてステップST817へ進む。一方、「0」でなかったならば、第3のカウントデータのカウント値を増やすことなく、そのままステップST817へ進む。
ステップST817で、センサー駆動モード変更制御部126は、第1のカウントデータのカウント値が20回以上、第2のカウントデータのカウント値が5回以上、及び第3のカウントデータのカウント値が100回以上の3つの条件のいずれかが満たされるか判定する。
【0035】
第1のカウントデータのカウント値が20回以上であることは、合焦判定モードが20フレーム以上かかることがあれば、そもそもAF制御として合焦しづらい状況であって、これ以上合焦判定の結果を待つより、センサー駆動モードを切り替えて、AE制御を優先させた方がよい状況にあることを示す。なお、20回という回数は、一例の回数である。
第2のカウントデータのカウント値が5回以上であることは、大きなブレ(主に、ビデオカメラの撮影者が手持ち撮影するときに発生する手ブレ)が、5フレーム以上続いている状況にあることを示す。このような状況は、屋外で子供などの動く被写体を歩き撮りしながら、撮影者も動いている状況等である。従って、暗い被写体へのAEのために、センサー駆動モードを切り替えて、かつ、蓄積時間を延長する状況である可能性は低い。一方で、そうした暗い被写体を撮影する場合には、撮影者が動きながら撮影する状況は少なく、手持ちとはいえ、5フレーム程度の時間内においては、ブレが小さいタイミングも発生する可能性が高い。従って、ブレ情報を参照する上では、5フレーム程度は待った上で、センサー駆動モードを切り替えるのがよいという頃合のカウントである。
第3のカウントデータのカウント値が100回以上であることは、個人認証にかかる時間として、長くとも100フレーム程度というシステム上の時間を超えていることを意味する。従って、本実施形態では100としたが、個人認証のアルゴリズム如何で、変更すればよいカウントである。
このようなステップST817の処理を経て、各カウント値のデータに関する適切な上限値に基づいた待ち時間が経過した後、ステップST818へと進む。また、ステップST817において、上記の待ち時間を経過していなければ、ステップST84へ戻る。
ステップST818で、センサー駆動モード変更制御部126は、センサー駆動モード切替履歴データS125が「1」であるか、即ち、一旦、全画素プログレッシブ駆動又は間引き駆動の駆動モード変更が生じてから10フレーム以上の期間があるかを判定する。そして、「1」であれば、ステップST89及びステップST810へ進む。一方、「1」でなければ、ステップST84へ戻る。
このようなステップST811〜ST818の処理により、4つの条件の要因分析が実施される。
【0036】
このような第2の実施形態によれば、解像度が変動するようなセンサー駆動の変更を控える時間に上限(上限時間)を設けているので、AE性能に支障をきたす虞を更に軽減することができる。更に、解像度が変動するようなセンサー駆動の変更を控える時間への上限の設定基準を、ビデオカメラの他の機能の種類毎に変えることができるので、AE性能に支障をきたす虞を更に軽減することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、センサー駆動モード変更制御部126及びAE制御部119の動作が第1の実施形態と相違している。他の構成及び動作は第1の実施形態と同様である。図9は、本発明の第3の実施形態に係る撮像装置を示すブロック図である。
図9に示すように、センサー駆動モード変更制御部126は、蓄積時間調整抑制データS927を生成する動作も行う。蓄積時間調整抑制データS927はAE制御部119へと送られる。AE制御部119は、蓄積時間調整抑制データS927が「1」である場合、電子シャッター制御信号S114及びセンサー駆動モード設定データS116の変更を停止し、絞り制御信号S113及びゲイン設定データS115のみを調整してAE制御を行う。
【0038】
ここで、センサー駆動モード変更制御部126による蓄積時間調整抑制データS927を生成する動作について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、ステップST101〜ST1010において、第2の実施形態におけるステップST81〜ST810と同様の処理を行う。そして、ステップST88において、4つの条件のいずれかが満たされている場合、センサー駆動モード変更制御部126は、ステップST1019で、蓄積時間調整抑制データS927を「1」とする。その後、ステップS1011〜S1018において、第2の実施形態におけるステップST811〜ST818と同様の処理を行う。そして、ステップST1018において、センサー駆動モード切替履歴データS125が「1」であれば、ステップST1020へ進み、「1」でなければ、ステップST104へと戻る。
ステップST1020で、センサー駆動モード変更制御部126は、蓄積時間調整抑制データS927を「0」とする。
AE制御部119は、このようにしてセンサー駆動モード変更制御部126により設定された蓄積時間調整抑制データS927を用いてAE制御を行うのである。
【0039】
このような第3の実施形態によれば、解像度が変動するようなセンサー駆動の変更を控える時間に上限を設け、かつ、変更を控える時間においては、絞り制御信号S113及びゲイン設定データS115のみを調整してAE制御を行うことができる。従って、AE性能に支障をきたす虞を更に軽減することができる。
【0040】
なお、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウェア(プログラム)をパーソナルコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【符号の説明】
【0041】
101:フォーカスレンズ 102:絞り 103:CMOSイメージセンサー 105:ゲイン回路 119:AE制御部 121:AF制御部 126:センサー駆動モード変更制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しを、フレーム又はフィールド内で順次行う第1の駆動モードと、前記複数画素を複数のグループに分け、前記複数のグループ各々の画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しをフレーム又はフィールド内で順次行い、かつ、前記複数のグループ間の電荷の蓄積の開始及び読み出しを互いに重複するようにする第2の駆動モードと、の切り替えが可能な撮像素子と、
測光評価の結果に応じて少なくとも前記撮像素子の蓄積時間を変更することにより自動露光制御を行う自動露光制御手段と、
前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えるモード変更制御手段と、
を有する撮像装置であって、
前記モード変更制御手段は、前記自動露光制御手段による自動露光制御及び前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとの切り替えにより生じる前記撮像素子の解像度の変化と、前記撮像装置の動作状態と、を比較し、この結果に応じて前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記動作状態は、形状認識の結果の取得状態を含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記動作状態は、画像のブレ量又はブレ補正量を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記動作状態は、自動焦点制御の状態を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記動作状態は、前記駆動モードの切り替えの履歴を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
光学的絞り手段又はゲイン調整手段の少なくとも一方を更に有し、
前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとの切り替えが抑制される期間では、前記自動露光制御手段は、前記光学的絞り手段又は前記ゲイン調整手段の少なくとも一方を用いて前記自動露光制御を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記モード変更制御手段は、前記切り替えが抑制される期間に上限時間を設定することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記モード変更制御手段は、前記動作状態に応じて前記上限時間を異ならせることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
複数画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しを、フレーム又はフィールド内で順次行う第1の駆動モードと、前記複数画素を複数のグループに分け、前記複数のグループ各々の画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しをフレーム又はフィールド内で順次行い、かつ、前記複数のグループ間の電荷の蓄積の開始及び読み出しを互いに重複するようにする第2の駆動モードと、の切り替えが可能な撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、
測光評価の結果に応じて少なくとも前記撮像素子の蓄積時間を変更することにより自動露光制御を行う自動露光制御ステップと、
前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えるモード変更制御ステップと、
を備え、
前記モード変更制御ステップでは、前記自動露光制御ステップにおける自動露光制御及び前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとの切り替えにより生じる前記撮像素子の解像度の変化と、前記撮像装置の動作状態と、を比較し、この結果に応じて前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項10】
複数画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しを、フレーム又はフィールド内で順次行う第1の駆動モードと、前記複数画素を複数のグループに分け、前記複数のグループ各々の画素の電荷の蓄積の開始及び読み出しをフレーム又はフィールド内で順次行い、かつ、前記複数のグループ間の電荷の蓄積の開始及び読み出しを互いに重複するようにする第2の駆動モードと、の切り替えが可能な撮像素子を有する撮像装置の制御をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記コンピュータに、
測光評価の結果に応じて少なくとも前記撮像素子の蓄積時間を変更することにより自動露光制御を行う自動露光制御ステップと、
前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えるモード変更制御ステップと、
を実行させ、
前記モード変更制御ステップでは、前記自動露光制御ステップにおける自動露光制御及び前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとの切り替えにより生じる前記撮像素子の解像度の変化と、前記撮像装置の動作状態と、を比較し、この結果に応じて前記第1の駆動モードと前記第2の駆動モードとを切り替えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−104918(P2012−104918A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249586(P2010−249586)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】