説明

撮像装置

【課題】撮影者がファインダを覗いた場合、顔の一部がタッチパネルに接触した場合の誤動作を自動的に回避する。
【解決手段】画像を表示する第1の表示手段と、第1の表示手段の前面に設けられ、撮影者により操作されるタッチパネルと、画像を表示する第2の表示手段と、第2の表示手段の左右の各々に設けられ、対象物の接近を検知する第1の近接検知手段及び第2の近接検知手段と、第1の近接検知手段および第2の近接検知手段のいずれもが対象物の接近を検知しない場合は第1の表示手段に画像を表示させ、第1の近接検知手段および第2の近接検知手段の少なくともいずれか一方が対象物の接近を検知した場合は第2の表示手段に画像を表示させる制御手段とを備え、制御手段が第2の表示手段を画像に表示させる場合に、第1の近接検知手段および第2の近接検知手段の検知結果に応じて、タッチパネルの入力可能領域を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の画像データを記録する撮像装置に関し、特に、二つの表示手段を備えかつ、そのうちの一つにタッチパネルを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、装置の背面に設けられたタッチパネルと、ファインダを覗く眼の情報を登録する登録手段と、登録された眼の情報に応じて、タッチパネルの接触による入力が可能な入力可能領域を設定する手段とを有する撮像装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−260681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、本撮像装置を使用する撮影者が変わった場合、いままで撮影してきた撮影者(前撮影者)と後から撮影する撮影者(後撮影者)で利き目が変わる場合がある。後撮影者が前撮影者のタッチパネル入力可能領域のまま使用すると、顔の一部(鼻)で誤動作を起す可能性がある。一方、この誤動作を起さないためには、撮影者が変わる度に利き目の設定をやり直す煩わしさがある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑み、撮影者が変わっても利き目の設定をやり直す必要のない撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為に本発明の撮像装置は、画像を表示する第1の表示手段と、第1の表示手段の前面に設けられ、撮影者により操作されるタッチパネルと、画像を表示する第2の表示手段と、第2の表示手段の左右の各々に設けられ、対象物の接近を検知する第1の近接検知手段及び第2の近接検知手段と、第1の近接検知手段および第2の近接検知手段のいずれもが対象物の接近を検知しない場合は第1の表示手段に画像を表示させ、第1の近接検知手段および第2の近接検知手段の少なくともいずれか一方が対象物の接近を検知した場合は第2の表示手段に画像を表示させる制御手段とを備え、制御手段が第2の表示手段を画像に表示させる場合に、第1の近接検知手段および第2の近接検知手段の検知結果に応じて、タッチパネルの入力可能領域を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の接眼検出手段と第2の接眼検出手段とを有することにより、自動的に入力可能領域を設定することができるため、タッチパネルの誤動作を防止したり、撮影者が煩わしい設定を行わずに、使い勝手を向上した撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】撮像装置を撮影者側から見た背面図
【図2】撮像装置でファインダ使用時のタッチパネルの入力可能領域の設定図
【図3】撮像装置でファインダ使用時のタッチパネルの入力可能領域の設定図
【図4】撮像装置の動作を示すフローチャート
【図5】撮像装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
(デジタルカメラの構成)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、撮像装置としてのデジタルカメラ1の背面図である。デジタルカメラ1には、撮像により取得された画像や各種設定画面などを表示する背面ディスプレイとしてのLCDモニタ2を搭載している。LCDモニタ2の前面にはLCDモニタ用タッチパネルが設けられ、ユーザーのタッチ操作によって、デジタルカメラ1の各種設定を行う事ができる。例えば、LCDモニタ2に表示されるメニュー項目の選択や該項目に関する設定の実行をデジタルカメラ1に指示することが可能である。例として、デジタルカメラのシャッタスピード値、絞り値、露出補正値、感度設定値、ホワイトバランスなどの設定が可能である。
【0011】
また、デジタルカメラ1には、撮像により取得された画像を表示するデバイスとして、LCDモニタ2とは別に電子式ビューファインダ3を備えている。電子式ビューファインダ3の近傍には第1の接眼検出手段4および第2の接眼検出手段5を備え、撮影者が電子式ビューファインダ3を覗こうとすると、各接眼検出手段の出力により、撮像状態表示をLCDモニタ2から電子式ビューファインダ3へ自動的に切り替える。
【0012】
接眼検出手段4および接眼検出手段5は静電感知を行い、撮影者の顔と電子式ビューファインダ3との距離が近いほど接眼検出手段の電圧値が高くなる。接眼検出手段4は電子式ビューファインダ3の右に配置され、接眼検出手段5は電子式ビューファインダ3の左に配置される。デジタルカメラ1に内蔵されたマイコンは、それぞれの接眼検出手段の出力値の違いにより、撮影者が右眼で電子式ビューファインダ3を覗いているか、左眼で覗いているかを検出可能となる。具体的にはマイコンは、例えば接眼検出手段4の出力が第1の閾値以上となりかつ、接眼検出手段5の出力が、第1の閾値よりも低い第2の閾値未満であるときに、撮影者が左目で電子式ビューファインダ3を覗いていると判断し、逆に接眼検出手段5の出力が第1の閾値以上となりかつ、接眼検出手段4の出力が第2の閾値未満であるときに、撮影者が右目で電子式ビューファインダ3を覗いていると判断することができる。また、接眼検出手段の少なくともいずれか一方の出力が第1の閾値以上である場合には、マイコンは、撮影者が電子式ビューファインダ3にいずれかの眼で接眼していると判断し、いずれも第1の閾値未満である場合には、撮影者は電子式ビューファインダ3に接眼していないと判断することができる。また、一方が第1の閾値以上であり、他方が第2の閾値以上(第1の閾値以上である場合も含む)である場合には、接眼はしているが左右いずれの眼で接眼しているか判断不能と判断することができる。なお、ここでは第2の閾値が第1の閾値よりも低い値であるものとしたが、第1の閾値と同じ値としてもよい。
【0013】
一方、LCDモニタ2の前面に備え付けられたタッチパネルは、撮影者が電子式ビューファインダ3を使用中でも有効にできるが、撮影者が右眼にて覗いた場合は、撮影者の顔がLCDモニタ2の左半分を顔で覆ってしまい、タッチパネルの左半分は使用できない状態となる。そこで、撮影者が右目で電子式ビューファインダ3を覗いていると判断する場合、図2(a)の領域6のように、タッチパネルの右半分をタッチパネルの入力可能領域に設定する。逆に撮影者が左目で電子式ビューファインダ3を覗いていると判断する場合は図2(b)の領域7のように、タッチパネルの左半分をタッチパネルの入力可能領域に設定する。
【0014】
LCDモニタ2は可動式液晶モニタでも構わない。可動式液晶モニタはデジタルカメラ1に対して、二つの異なる軸を中心に回転することができる(バリアングルモニタ)。可動式液晶モニタは図1のようにデジタルカメラ1に収納した格納状態で使用する場合と図3のように開いた可動状態で使用する事が可能である。このように可動式液晶モニタで開いている状態では、撮影者が右眼で覗いても、左眼で覗いても撮影者の顔がタッチパネルの邪魔にはならない。したがって、可動式液晶モニタを開いた状態では、接眼検出手段4及び接眼検出手段5の出力結果によらず、タッチパネルの全域を入力可能領域8として設定する。
【0015】
(デジタルカメラの動作)
図4及び図5はデジタルカメラ1において画面表示の切り替え処理の流れを示すフローチャートである。電源投入等により、デジタルカメラ1が動作を開始した状態では、撮像画像等をLCDモニタ2に表示するものとする。
【0016】
まず、第1の接眼検出手段4および第2の接眼検出手段5により、撮影者がファインダへ接眼しているかチェックする(S101)。具体的には、いずれかの接眼検出手段の出力が第1の閾値以上であるときに、接眼していると判断し、そうでない場合に接眼していないと判断する。撮影者のファインダへの接眼が検出されていないと判断した場合(S101において“n”)は、撮像画像等をLCDモニタ2に表示し、また、タッチパネルの操作モードを、LCDモニタ2のタッチパネルの全面を入力可能領域として設定した通常タッチパネルモードに設定し(S103)、動作を終了する。一方、撮影者が電子式ビューファインダ3へ接眼していると判断した場合(S101において“y”)は、電子式ビューファインダ3への切り替えルーチン(S104)へ移行する。
【0017】
図5は、デジタルカメラ1においてタッチパネルの入力可能領域を設定する際の処理の流れを示すフローチャートである。電子式ビューファインダ3への切り替えルーチンでは、LCDモニタ2をオフし、撮像画像等を電子式ビューファインダ3へ表示するように切り替える(S201)。
【0018】
次に、タッチパネルの操作モードを通常モードからEVFタッチモードに切り替える(S202)。ここではモードの切り替えのみを行い、具体的な処理をこの後に行う。EVFタッチモードは電子式ビューファインダ3を覗きながらでもタッチパネルを利用できるモードである。EVFタッチモードでは、例えば電子式ビューファインダ3に矢印などのアイコンを表示し、タッチパネル上を指でなぞることにより、電子式ビューファインダ3に表示されたアイコンを操作することを可能とする。また2回続けてタッチする事で、表示されたアイコンの選択を行う事が可能である。
【0019】
例えば、アイコンをタッチセンサの指でなぞりながら、電子式ビューファインダ内のアイコンをシャッタスピード設定部へ移動し、そこで、タッチセンサを指で2回たたくと、シャッタ設定画面へ遷移する。撮影者がこのような操作を行う事で、電子式ビューファインダ3を使用中でも、LCDモニタ2を使用した通常モードと同じ操作を行う事が可能となる。
【0020】
次に、LCDモニタ2が可動式である場合は、図3のようにLCDモニタ2がデジタルカメラ1から開いた状態かどうかチェックを行う(S203)。LCDモニタ2が開いた可動状態であるときは、タッチパネルの入力可能領域を全域に設定する(S204)。
【0021】
一方、LCDモニタ2が格納状態であるときは、第1の接眼検出手段4の出力値と第2の接眼検出手段5の出力値に基づいて、撮影者がファインダを右眼で覗いているか、左眼で覗いているかの判断を行う(S205)。
【0022】
マイコンが、撮影者が左眼でファインダを覗いていると判断する場合(S205において“左目で接眼”)は、タッチパネルの入力可能領域を左半分が有効な入力可能領域6に設定する(S209)。一方、撮影者が右目でファインダを覗いていると判断する場合(S205において“右目で接眼”)は、タッチパネルの入力可能領域を右半分が有効な入力可能領域7に設定する(S210)。
【0023】
一方、接眼検出手段4および接眼検出手段5の出力の一方が第1の閾値以上であり、他方が第2の閾値以上である場合には、接眼はしているが左右いずれの眼で接眼しているか判断不能である。この場合、例えば撮影者が眼鏡などをかけている場合等が考えられる。その場合(S205において“判断不能”)は、電子式ビューファインダ3にタッチパネルの入力可能領域の選択を促すメッセージを表示する(S206)。具体的には、入力可能領域6および入力可能領域7のいずれかを選択するように促すメッセージを表示する。そして撮影者がタッチパネルを次にタッチするまで入力待ちとなる(S207)入力者がタッチパネルをタッチしたら(S207において“y”)、そのタッチしたほうの領域を、入力可能領域に設定する。すなわち、撮影者が入力可能領域6にタッチしたことをタッチパネルが検出すると(S208において“入力可能領域6にタッチ”)、タッチパネルの入力可能領域を入力可能領域6に設定する(S209)。一方、撮影者が入力可能領域7にタッチしたことをタッチパネルが検出すると(S208において“入力可能領域7にタッチ”)、タッチパネルの入力可能領域を入力可能領域7に設定する(S210)。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、LCDモニタであっても、電子式ビューファインダであっても、撮影者の使用形態を意識することなくタッチパネルを使用できるので、デジタルスチルカメラなどの撮像装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 デジタルカメラ
2 LCDモニタ
3 電子式ビューファインダ
4 第1の接眼検出手段
5 第2の接眼検出手段
6 入力可能領域
7 入力可能領域
8 入力可能領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する第1の表示手段と、
前記第1の表示手段の前面に設けられ、撮影者により操作されるタッチパネルと、
画像を表示する第2の表示手段と、
前記第2の表示手段の左右の各々に設けられ、対象物の接近を検知する第1の近接検知手段および第2の近接検知手段と、
前記第1の近接検知手段および前記第2の近接検知手段のいずれもが対象物の接近を検知しない場合は前記第1の表示手段に画像を表示させ、前記第1の近接検知手段および前記第2の近接検知手段の少なくともいずれか一方が対象物の接近を検知した場合は前記第2の表示手段に画像を表示させる制御手段とを備え、
前記制御手段が前記第2の表示手段を画像に表示させる場合に、前記第1の近接検知手段および前記第2の近接検知手段の検知結果に応じて、前記タッチパネルの入力可能領域を変更する撮像装置。
【請求項2】
前記第1の表示手段は、格納状態と可動状態との間を遷移可能であり、前記第1の表示手段が可動状態にあるときは、前記第1の近接検知手段および前記第2の近接検知手段の検知結果によらず、前記タッチパネルの全域を入力可能領域とする請求項1記載の撮像装置。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−146959(P2011−146959A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6600(P2010−6600)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】