説明

撮像装置

【課題】ミラーバウンドが収束しているにも関わらず、設定した時間の経過を待つ必要がなく、連続撮影(連写)の際には、連続撮影スピード(コマ速)を向上させる。
【解決手段】撮像装置は、モータ35が主ミラー130およびサブミラー140のミラーダウン動作を開始してから予め設定される第1の期間を計時する第1のタイマと、モータ35によって主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン状態まで駆動されたことを検出してから予め設定される第2の期間を計時する第2のタイマと、前記第1のタイマによる計時および前記第2のタイマによる計時がともに完了する際に焦点検出動作および測光動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラのミラーダウン後には測光と焦点検出が開始されるが、精度良い測光と焦点検出を行うためにはミラーのバウンドが十分に収まってからこれらを開始する必要がある。しかし、ミラーのバウンド状態を直接検出することは困難であり、従来は、ミラーダウンを開始してからミラーのバウンドが収まるまでの時間が経過するのを待って測光および焦点検出を行っている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−137287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミラーダウンを開始してからミラーのバウンドが収まるまでの時間は、カメラがどのような状況であっても確実にミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定しなければならない。しかしながら、ミラーバウンドが収束するまでの時間は、カメラの電源電圧やカメラが使用される環境温度によって変化する。
【0005】
例えば、カメラの電源電圧はカメラが動作可能な最低の電圧であっても、確実にミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定しなければならない。したがって、カメラの電源電圧が十分高いときには、ミラーバウンドが収束しているにも関わらず、設定した時間の経過を待たなければならず、連続撮影(連写)の際には、連続撮影スピード(コマ速)を低下させる要因となっていた。
【0006】
本発明は、ミラーバウンドが収束しているにも関わらず、設定した時間の経過を待つ必要がなく、連続撮影(連写)の際には、連続撮影スピード(コマ速)を向上させることのできる撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は、ミラーダウン状態とミラーアップ状態になるミラーと、前記ミラーを駆動する駆動手段と、前記ミラーが前記ミラーダウン状態となるときに、入射する光束を利用して処理を行う処理手段と、前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する動作を開始してから予め設定される第1の期間を計時する第1のタイマと、前記駆動手段によって前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されたことを検出する検出手段と、前記検出手段によって前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されたことを検出してから予め設定される第2の期間を計時する第2のタイマと、前記第1のタイマによる計時および前記第2のタイマによる計時がともに完了する際に前記処理手段による処理動作を実行する制御手段とを有し、前記第1の期間は、好条件で前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーアップ状態から前記ミラーダウン状態とする動作を開始してから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定し、前記第2の期間は、悪条件で前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されてから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ミラーバウンドが収束しているにも関わらず、設定した時間の経過を待つ必要がなく、連続撮影(連写)の際には、連続撮影スピード(コマ速)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】撮像装置のミラーダウン状態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す撮像装置のミラーアップ状態を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に示すミラー制御部のミラー駆動機構のミラーアップ状態とミラーダウン状態を示す部分斜視図である。
【図4】図4(a)は図3に示す位相検知基板の平面図であり、図4(b)はタイミングチャートである。
【図5】図1及び図2に示す撮像装置が撮影要求を受け付けた際の撮影動作完了までの動作を示すフローチャートである。
【図6】ミラーダウン時におけるシステム制御回路の一対のタイマの計測のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1と図2は、レンズ交換型の撮像装置(デジタル一眼レフカメラ)の構成を示すブロック図である。
【0011】
撮像装置は、カメラ本体100とカメラ本体100に交換可能に装着されるレンズユニット300を有する。
【0012】
レンズユニット300において、311は撮影レンズであり、被写体の焦点調節を行う一又は複数のフォーカスレンズを含む。フォーカスレンズは光軸方向に移動可能に構成されている。312は絞りである。
【0013】
322はレンズユニット300をカメラ本体100と電気的に接続するコネクタである。338はレンズユニット300をカメラ本体100のコネクタ122と接続するためのインターフェースである。340は撮影レンズ311のズーム制御部、342は撮影レンズ311の焦点制御部である。346はレンズユニット300全体を制御するレンズシステム制御回路である。
【0014】
図1では、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン状態となっている。なお、主ミラー130およびサブミラー140はミラーダウン状態とミラーアップ状態になるミラーに相当する。図1は、被写体からの光が撮影レンズ311、絞り312、レンズマウント306および106を通過して、主ミラー130に入射する状態を示している。
【0015】
被写体からの光は主ミラー130で一部が反射してペンタプリズム132に導かれる。ペンタプリズム132にて被写体像が像反転して接眼レンズ133に導かれる。また、主ミラー130で反射した被写体からの光は測光部46に入射する。そして、主ミラー130は一部がハーフミラーとなっており、被写体からの光の一部は主ミラー130を透過してサブミラー140に入射する。
【0016】
サブミラー140は全反射ミラーとなっており、サブミラー140で反射した光は焦点検出部41のAFセンサー141に入射する。測光部46および焦点検出部41は入射する光束を利用して処理を行う処理手段に相当する。また、測光部46は測光手段に相当し、焦点検出部41は焦点検出手段に相当する。
【0017】
図2は、主ミラー130およびサブミラー140がミラーアップ状態となっている。図2では、被写体からの光が撮影レンズ311、絞り312、レンズマウント306および106を通過して、シャッター12に導かれる。シャッター12が走行することで撮像素子14に被写体からの光が入射する。
【0018】
図2に示す状態では、主ミラー130およびサブミラー140が光路外に退避するので、被写体からの光はペンタプリズム132および接眼レンズ133に導かれない。主ミラー130およびサブミラー140がミラーアップ状態となるときには、被写体からの光は測光部46およびAFセンサー141に入射しない。
【0019】
撮像素子14は被写体からの光を光電変換して画像データを生成する。16は撮像素子14のアナログ信号出力をデジタル信号(画像データ)に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0020】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からの画像データあるいはメモリ制御回路22からの画像データに対して画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20は、画像データを用いて演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50はシャッター制御部40、コントラスト検出方式の焦点検出処理、自動露出処理及びフラッシュプリ発光処理の制御を行う。
【0021】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26を制御する。画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介してカメラの背面に配置された不図示の画像表示部に表示される。
【0022】
30は主ミラー130とサブミラー140を図1に示すミラーダウン位置と図2に示すミラーアップ位置との間で移動させるためのミラー制御部である。ミラー制御部30はシステム制御回路50によって制御される。
【0023】
絞り制御部344は測光部46からの測光情報に基づいて、絞り312の開閉を制御する。シャッター制御部40は、システム制御回路50からの指示に基づいてシャッター12の開閉を制御する。
【0024】
48はレンズマウント106内において、カメラ本体100をレンズユニット300と接続するためのインターフェースであり、122はカメラ本体100をレンズユニット300と電気的に接続するコネクタである。
【0025】
焦点検出部41は、位相差方式の焦点検出を行うものであって、処理回路42、光電変換を行うAFセンサー141及びメモリ142を有する。
【0026】
位相差方式の焦点検出では、一対の再結像光学系によって得られる一対の光学像のずれ量(位相差)から撮影レンズの焦点状態を検出する。処理回路42は、AFセンサー141の被写体像(光学像)の合焦状態を演算して複数の焦点検出視野に対する焦点検出を行って焦点調節信号を出力する。システム制御回路50は演算結果を評価して焦点制御部342に指示し、焦点制御部342は撮影レンズ311を駆動制御する。
【0027】
メモリ142は検出された検出結果を記憶する焦点記憶部を構成する。
【0028】
なお、カメラ本体100は、画像処理回路20にて得られた画像データのコントラスト成分によりコントラスト方式の焦点検出を行う不図示のコントラスト焦点検出部を備えている。コントラスト方式の焦点検出は、撮影レンズ311を移動してコントラストがピークとなる撮影レンズ311の位置を検出する方式(山登り方式)を利用する。
【0029】
測光部46は被写体の明るさを測定し、自動露出処理を行うと共にフラッシュ48と連携してフラッシュプリ発光処理を行う。
【0030】
システム制御回路50はカメラ本体100の全体を制御し、2つのタイマ51、52を内蔵している。タイマ51はミラーダウンのためのモータ35への通電を開始したときに計時を開始し、タイマ52はミラーダウン完了時(モータ35への通電停止時)に計時を開始する。
【0031】
タイマ51は第1のタイマに相当し、ミラーアップ状態となる主ミラー130およびサブミラー140をミラーダウン状態に駆動する動作を開始してから予め設定される第1の期間を計時する。タイマ52は第2のタイマに相当し、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン状態まで駆動されたことを検出してから予め設定される第2の期間を計時する。
【0032】
54はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。システム制御回路50は、焦点検出部41の検出結果に基づいて撮影レンズ311を移動して焦点調節を行う。
【0033】
60はモードダイアルスイッチ(モード設定部)であり、電源オフ、オート撮影モード、マニュアル撮影モード、パノラマ撮影モード、マクロ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを設定することができる。モードダイアルスイッチ60は、例えば、ライブビューモード、静止画撮影モード、連写(連続撮影)モードなどを設定することができる。
【0034】
62はレリーズボタンであって、2段スイッチで構成され、レリーズボタン62を半押しすることで、1つ目のスイッチSW1がオンして、AF処理、測光処理を含む動作開始を指示する。レリーズボタン62を全押しすることで、2つ目のスイッチSW2がオンして、撮影に関する一連の処理の動作開始を指示する。撮影に関する処理は、露光処理、現像処理、記録処理、連続撮影を含む。
【0035】
コネクタ122は、カメラ本体100とレンズユニット300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を伝え合うと共に、各種電圧の電流を供給する機能も備えている。
【0036】
図3はミラー制御部30の構成を示している。図3(a)は図2に示すミラーアップ完了時点でのミラー制御部30の状態を示す斜視図である。図3(b)は図1に示すミラーダウン完了時点でのミラー制御部30の状態を示す斜視図である。
【0037】
ミラー制御部30は、図3に示すように、ギア31、位相検出切片32、駆動レバー33、位相検出基板34、モータ35を有する。モータ35は、ミラーを駆動する駆動手段に相当する。
【0038】
図3(a)に示すミラーアップ状態からシステム制御回路50によってモータ35が駆動制御されると、モータ35によってギア31が回転駆動される。モータ35が回転すると、その駆動力はギア31に伝達され、ギア31を一方向に回転させ、ギア31に固定された位相検出切片32は位相検出基板34のパターン上を移動する。
【0039】
ギア31の回転が駆動レバー33に伝達され、駆動レバー33は図3(a)にて時計回りに回動する。駆動レバー33には、主ミラー130の駆動ピン131に当接する当接部33aが形成される。駆動レバー33を回動させることで、駆動ピン131が当接部33aをトレースし、図3(b)に示すミラーダウン状態となる。
【0040】
図4(a)は位相検出基板34の平面図であり、図4(b)はモータ35への通電タイミングと、位相信号のタイミングチャートである。図4(a)に示すパターン1はその上を位相検出切片32が位置するときに、図4(b)に示す位相信号1の極性がLowになる領域である。図4(a)に示すパターン2はその上を位相検出切片32が位置するときに、図4(b)に示す位相信号2の極性がLowになる領域である。
【0041】
図4(b)中の(A)は図3(a)に示すミラーアップ状態となる位相であり、図4(b)中の(B)は図3(b)に示すミラーダウン状態となる位相である。レリーズボタン62が押圧されることで、レリーズ操作が行われると、システム制御回路50がレリーズ操作を検知すると、モータ35への通電を開始して、ミラーアップ動作を行う。このとき、位相検出切片32と位相検出基板34の位置関係が、図4(a)の(い)の位置となる。
【0042】
上述したように、モータ35が回転すると、その駆動力はギア31に伝達され、ギア31を一方向に回転させる。ギア31の回転は駆動レバー33に伝達され、駆動レバー33が図3(b)の状態から反時計回りに回動することで駆動レバー33の当接部33aは主ミラー130の駆動ピン131を押し上げる。
【0043】
このとき、ギア31に固定された位相検出切片32は、位相検出基板34のパターン上を移動する。位相検出切片32と位相検出基板34の位置関係が、図4(a)の(う)の位置となるときに、位相検出基板34からの位相信号2の極性が変化する。システム制御回路50は位相信号2の極性が変化することで、ミラーアップ動作のためのモータ35への通電を停止する。モータ35を停止した後もギア31は慣性でわずかに回転するので、主ミラー130およびサブミラー140がミラーアップ状態となるときに、位相検出切片32と位相検出基板34の位置関係が、図4(a)の(A)の位置となる。
【0044】
シャッター12の走行後、システム制御回路50は、再度、モータ35の通電を開始し、ミラーダウン動作を開始する。このとき、位相検出切片32は、図4(a)の(え)の位置となる。
【0045】
ミラーダウン動作を開始すると、位相検出切片32は、図4(a)の(え)の位置から反時計回りに移動して、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン位置となるときに、位相検出切片32は、図4(a)の(B)の位置となる。
【0046】
位相検出切片32は、図4(a)の(B)の位置となることで、位相検出基板34からの位相信号2の極性が変化する。システム制御回路50は、位相信号2の極性が変化することで、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン位置となることを検出する。したがって、位相検出切片32と位相検出基板34がミラーがミラーダウン状態まで駆動されたことを検出する検出手段に相当する。
【0047】
本実施例では、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン位置まで駆動された後もモータ35への通電が継続される。
【0048】
位相検出切片32は、図4(a)の(B)の位置からさらに反時計回りに移動して、位相検出切片32が図4(a)の(お)の位置となるときに、位相信号1の極性が変化して、モータ35への通電が停止する。モータ35を停止した後もギア31は慣性でわずかに回転するので、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン状態となるときに、位相検出切片32と位相検出基板34の位置関係が、図4(a)の(あ)の位置となる。このとき、主ミラー130およびサブミラー140は図3(b)に示す状態となる。
【0049】
図5は、図1及び図2に示す撮像装置が撮影要求を受け付けた際の撮影動作完了までの動作を示すフローチャートであり、「S」はステップの略である。また、「Y」ははい(Yes)、「N」はいいえ(No)を意味する。図5に示すフローはシステム制御回路50によってメモリ54に格納されたコンピュータプログラムに従って行われる。
【0050】
まず、システム制御回路50はレリーズボタン62が半押しされて、SW1がオンになったことを受けて(S101のY)、焦点検出部41による焦点検出動作と測光部46による測光動作を行う(S102)。
【0051】
そして、システム制御回路50は、AFセンサー141に結像した被写体像に対して処理回路42が位相差方式の焦点検出を行うよう制御する。焦点検出部41の検出結果はメモリ142に記憶される。
【0052】
次に、システム制御回路50は、焦点検出動作と測光動作が終了すると、レリーズボタン62が全押しされて、SW2がオンになったことを受けて(S103のY)、モータ35への通電を開始する。これによって、主ミラー130とサブミラー140のミラーアップ動作とシャッター12の走行準備(シャッター解除)駆動を開始する(S104、S106)。このミラー駆動開始位置は、図4の位置(い)に相当する。
【0053】
次に、システム制御回路50は、位相検出基板34から伝達される位相信号によって図4の位置(う)に到達したかどうかを判断するミラーアップ動作が完了したかどうかを判断する(S105)。システム制御回路50は、ミラーアップ動作が完了したと判断すると(S105のY)、モータ35への通電を停止する。また、システム制御回路50は、焦点検出結果に基づいて焦点制御部342を制御して撮影レンズ311のフォーカスレンズを移動して自動焦点調節を行う。
【0054】
S106ではシステム制御回路50はシャッター制御部40に含まれる不図示のシャッター用モータの通電を開始する。シャッター用モータへの通電によって、シャッターチャージ機構によるシャッター幕の保持を解除し、走行準備状態へ移行させる。また、システム制御回路50は、シャッターチャージ機構がシャッター走行準備位置に駆動され、シャッター用モータを停止させる状態まで駆動されたか否かを判断する(S107)。システム制御回路50は、そう判断した場合には(S107のY)、シャッター用モータを停止する。
【0055】
システム制御回路50は、ミラーアップ動作が完了し(S105のY)、シャッター解除が完了すると(S107のY)、絞り制御部344はS102の測光結果に応じた露出制御値に基づいて、絞り312を制御し、シャッター幕の走行を開始させる(S108)。これにより、静止画撮影が行われる。
【0056】
シャッター12の走行後(S108の後)に、システム制御回路50はモータ35に通電してミラーダウン動作を開始する(S109)。このとき、位相検出切片32は、図4(a)の(え)の位置となる。
【0057】
S109のミラーダウン動作開始タイミングにて、システム制御回路50のタイマ51は計時を開始する(S110)。システム制御回路50は、タイマ51が設定された時間を計時し終えたかどうかを判断する(S111)。
【0058】
システム制御回路50は、位相信号2の極性変化を検出するかどうかを判定することで、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン位置(図4の位置(B))まで駆動されたかどうかを判断する(S112)。S112にて、位相信号2の極性変化を検出して、主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン位置(図4の位置(B))まで駆動されたと判断されると、システム制御回路50のタイマ52は計時を開始する(S113)。システム制御回路50は、タイマ52が設定された時間を計時し終えたかどうかを判断する(S114)。
【0059】
システム制御回路50は、位相信号1の極性変化を検出するかどうかを判定する(S115)。位相信号1の極性変化を検出すると、モータ35への通電を停止する(S116)。
【0060】
S111のYとS114のYとS119の条件が全て満足する場合に、システム制御回路50は、焦点検出部41による焦点検出動作と測光部46による測光動作を行う(S119)。すなわち、モータ35の駆動が停止され、タイマ51の計時が終了し、タイマ52の計時が終了するときに、システム制御回路50は、焦点検出動作と測光動作を実行する。すなわち、システム制御回路50は、第1のタイマによる計時および第2のタイマによる計時がともに完了する際に処理手段による処理動作を実行する制御手段に相当する。
【0061】
シャッター12の走行後(S108の後)に、システム制御回路50は、シャッター用モータの通電を開始してシャッターチャージを開始する(S117)。システム制御回路50は、シャッターチャージが完了したと判断すると(S118のY)、シャッター用モータの通電を停止する。
【0062】
S118のYとS119の条件とをともに満足する場合に、システム制御回路50は、モードダイアルスイッチ60によって連写モードが設定されているかどうかを判断する(S120)。システム制御回路50は、連写モードが設定されていなければ(S120のN)、動作を終了し、設定されていれば(S120のY)、S113に戻る。S113にて、レリーズボタン62が全押しされない場合には、システム制御回路50は撮影終了指示を受け付けたと判断し、連続撮影を終了する。
【0063】
タイマ51には、ミラーダウン動作の通電開始からミラーバウンドが収束するまでの想定しうる最速の時間(第1期間)が設定される。すなわち、第1期間は、撮像装置が好条件でミラーダウン動作を行うときに、モータ35が主ミラー130およびサブミラー140のミラーダウン動作を開始してからミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定する。ここで、撮像装置が好条件でミラーダウン動作を行うときとは、撮像装置の電源電圧が比較的高い第1の電圧となるとき、または撮像装置の温度が比較的高い第1の温度となるときである。
【0064】
タイマ52には、ミラーダウン状態となってからミラーバウンドが収束するまでの最遅の時間(第2期間)が設定される。すなわち、第2期間は、撮像装置が悪条件でミラーダウン動作を行うときに、モータ35が主ミラー130およびサブミラー140がミラーダウン状態まで駆動されてからミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定する。ここで、撮像装置が悪条件でミラーダウン動作を行うときとは、撮像装置の電源電圧が第1の電圧より低い第2の電圧となるとき、または撮像装置の温度が第1の温度より低い第2の温度となるときである。なお、第2期間は第1期間よりも短くなるように、設定される。
【0065】
図6は、ミラーダウン時におけるタイマ51による計時とタイマ52による計時のタイミングチャートである。図4(b)のミラーダウン通電開始位置以降のミラーダウン部分のみを模式化している。図6(I)は、撮像装置が悪条件でミラーダウン動作を行うとき、すなわち、ミラーダウン駆動速度が遅い場合を示している。これは例えばカメラの電源電圧が低い場合や低温環境下でカメラが使用される場合などである。このような場合には、ミラーダウン駆動速度が遅いので、ミラーダウン時の衝撃は小さくなり、バウンド収束時間は比較的短くなる。図6(II)は、撮像装置が好条件でミラーダウン動作を行うとき、すなわち、ミラーダウン駆動速度が速い場合を示している。これは例えばカメラの電源電圧が高い場合や高温環境でカメラが使用される場合などである。このような場合には、ミラーダウン駆動速度が速いので、ミラーダウン衝撃が大きくなり、バウンド収束時間は比較的長くなる。
【0066】
図6(I)に示すように、ミラーダウン駆動速度が遅い場合には、タイマ51による計時が完了した後、タイマ52による計時が完了する。図6(II)に示すように、ミラーダウン駆動速度が速い場合には、タイマ52による計時が完了した後、タイマ51による計時が完了する。このように、ミラーダウン駆動速度の変化によって、バウンド収束時間が変化したとしても、タイマ51による計時およびタイマ52による計時がともに完了する時点では、主ミラー130とサブミラー140のバウンドが十分に収束している。したがって、焦点検出動作および測光動作は必ずミラーバウンドが収束した状態で実行することができる。そして、ミラーバウンドが収束してから焦点検出動作および測光動作を実行するまでの間にタイムラグが発生することもないので、連続撮影(連写)の際には、連続撮影スピード(コマ速)を向上させることができる。
【0067】
なお、本実施例では、タイマ51はミラーダウン動作を実行するためにモータ35への通電を開始するタイミングで第1期間の計時を開始し、タイマ52はミラーダウン状態となる位相信号を検出したタイミングで第2期間の計時を開始している。しかし、タイマ52の計時の開始時間はこれに限定されない。例えば、ミラーダウン動作を開始した後、モータ35が設定角度回転したときに計時を開始してもよい。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
撮像装置は被写体を撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
41 焦点検出部(焦点検出手段)
46 測光部(測光手段)
50 システム制御回路(制御手段)
51 タイマ(第1タイマ)
52 タイマ(第2タイマ)
130 主ミラー
140 サブミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーダウン状態とミラーアップ状態になるミラーと、
前記ミラーを駆動する駆動手段と、
前記ミラーが前記ミラーダウン状態となるときに、入射する光束を利用して処理を行う処理手段と、
前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する動作を開始してから予め設定される第1の期間を計時する第1のタイマと、
前記駆動手段によって前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されたことを検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されたことを検出してから予め設定される第2の期間を計時する第2のタイマと、
前記第1のタイマによる計時および前記第2のタイマによる計時がともに完了する際に前記処理手段による処理動作を実行する制御手段と、
を有し、
前記第1の期間は、好条件で前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーアップ状態から前記ミラーダウン状態とする動作を開始してから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定し、
前記第2の期間は、悪条件で前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されてから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の期間は、前記撮像装置の電源電圧が第1の電圧となるときに、前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーアップ状態から前記ミラーダウン状態とする動作を開始してから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定し、
前記第2の期間は、前記撮像装置の電源電圧が前記第1の電圧よりも低い第2の電圧となるときに、前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されてから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の期間は、前記撮像装置の温度が第1の温度となるときに、前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーアップ状態から前記ミラーダウン状態とする動作を開始してから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定し、
前記第2の期間は、前記撮像装置の温度が前記第1の温度よりも低い第2の温度となるときに、前記駆動手段が前記ミラーアップ状態となる前記ミラーを前記ミラーダウン状態に駆動する際に、前記ミラーが前記ミラーダウン状態まで駆動されてから前記ミラーのバウンドが収束するまでの時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記処理手段は焦点検出手段であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記処理手段は測光手段であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42825(P2012−42825A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185423(P2010−185423)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】