撮像装置
【課題】 速写性を重視したうえで、連写等の駆動モードでの挙動が駒毎に変化する場合でも、各々の駒での画質劣化を抑え、好適な画像を得る。
【解決手段】 同一モード内で連続的に撮像動作を行う場合で、所定駒前後で、使用するシェーディング補正等の補正データを変更する。
【解決手段】 同一モード内で連続的に撮像動作を行う場合で、所定駒前後で、使用するシェーディング補正等の補正データを変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOSイメージセンサー等の撮像素子を用いた撮像装置に関するものであり、特に、連写等の撮影モードを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラは、使用している撮像素子の高画素化が進んでおり、それに伴い、撮像素子内の配線等の狭ピッチ化が必要となり、配線抵抗等が高くなる傾向がある。
【0003】
その影響により、起動時の電源変動が大きく発生するため、電源投入から撮影開始まで、電源安定までの時間を充分確保することが好ましい。
【0004】
しかし、一方では、シャッターチャンスを逃さないよう、速写性が求められており、撮影開始時のタイムラグを短くすることも求められている。
【0005】
そこで、電源変動が起こる前提で各種駆動を行い、電源変動により発生する画質への影響を補正により対処する方法が取られる場合がある。
【0006】
上記の撮像装置の概略の駆動および補正対応について、図7乃至図8を用いて説明する。
【0007】
図7は、一般的な撮像素子であるところのCMOSセンサーの等価回路例である。
【0008】
同図において、S11は画素であり、該画素S11と同一構造の画素(S21・・・Sm1)は垂直出力線13に対して複数個接続されている。該画素内にはフォトダイオード(PD)1、転送スイッチ(TX)2、リセットスイッチ(TRES)3、画素アンプを構成するソースフォロア(SF)であるところの増幅トランジスタ10および負荷電流源7ならびに第1のスイッチ8である。
【0009】
また、行選択スイッチ(TSEL)6が設けてあり、転送スイッチ(TX)2のゲートはΦTXに接続されている。
【0010】
リセットスイッチ3のゲートはΦRESに接続され、行選択スイッチ6のゲートはΦSELに接続されている。
【0011】
なお、上記回路構成が複数列(画素S1乃至Smn、垂直出力線13乃至13n等)配設されている。
【0012】
光電変換は該PD1でおこなわれ、光量電荷の蓄積期間中はTX2はOFF状態であり、画素アンプを構成するSF10のゲートにはこのPD1で光電変換された電荷は転送されない。該画素アンプを構成するSF10のゲートにある電荷蓄積部であるところのフローティングディフュージョン領域(FD)11は、蓄積開始前に該TRES3がONし、適当な電圧に初期化される。
【0013】
すなわち、これがダークレベルとなる。
【0014】
次に同時に該TSEL6がONになると、負荷電流源7とスイッチ8と該画素アンプを構成するSF10が動作状態になり、ここで該TX2をONさせることで該PD1に蓄積されていた電荷は、該画素アンプを構成するSF10のゲートであるFD11に転送される。
【0015】
ここで、選択行の出力が垂直出力線13上に発生する。この出力は転送ゲート15a,15bを介して、信号蓄積部16に蓄積される。信号蓄積部16に一時記憶された出力は不図示の水平走査回路によって順次出力アンプ部へ読み出される。
【0016】
図8が図7の該CMOSセンサーの撮像動作の詳細タイミングチャートである。
【0017】
まず、CMOSセンサーの撮像開始となるスイッチ(ここでは/SW2と称する)がONされることで、撮像系の電源VDDが供給される。
【0018】
電源VDDは立上りの突入電流等の影響により、安定するまでには期間T0’を有する。
【0019】
しかしながら、電源投入から期間T0’を待ったのちの動作開始を行なうと、レリーズタイムラグが長くなる為、期間T0’より早い期間T0でセンサーの撮像動作を開始する。
【0020】
電源投入から期間T0を経過したのち、全画素リセットを行なう。全画素リセットは期間T1のタイミングで、ΦTX1乃至ΦTXmをアクティブとし、全画素の該PD1の電荷は、該TX2を介して該SF10のゲートに転送され、該PD1はリセットされる。同様のタイミング(T1期間)に、ΦRES1乃至ΦRESmをアクティブにすることで、SF10のゲート(FD)11の電位VFDは、リセット電源であるVDDとほぼ同等のレベルになり、リセットされた状況となる(但し、このリセットされた状況はVDDが変動過程にある。)。
【0021】
また、この状態はPD1のカソード電荷がSF10のゲートFD11に移って平均化された状態であるが、SF10のゲートのキャパシタの容量成分を大きくすることで、PD1のカソードをリセットしたレベルと同様になる。
【0022】
T1の終了と同時に、T2の期間、PD1への蓄積を行う。
【0023】
T2の期間内には不図示のシャッターが開口し、CMOSセンサーへの露光が行なわれる(該シャッターが開口していない期間はシャッターによる遮光状態で駆動されている。)。
【0024】
蓄積時間T2が終了すると、該PD1の光電荷の蓄積を終了する。この状態では該PD1に電荷が蓄積されている。
【0025】
次に各ライン毎に読み出しがスタートする(電源変動は、該読み出しが開始される前には安定している。)。
【0026】
時間T3の期間、ΦSEL(m)がアクティブになり該TSEL6がオンし、m行目につながっている全ての画素の該画素アンプで構成されるSF10が動作状態になる。
【0027】
ここで、該画素アンプで構成されるSF10のゲートであるFD11はT4期間でΦRES(m)がアクティブになり、TRES3がオンとなり、該SF10のゲートFD11はリセットされる。すなわち、該垂直出力線13にはこのダークレベルの信号が出力される。
【0028】
次にΦTN(m)がアクティブになり、T4’期間に転送ゲート15bがオンし、該信号蓄積部15に保持される。この動作は、m行につながっている全ての画素に対して同時並列に実行される。
【0029】
該ダークレベルの信号出力を該信号蓄積部15に保持するT4からT4’までの期間を『N読み』(ノイズ成分読み込み)という。
【0030】
次にΦTN(m)をオフした後、T5期間、ΦTX(m)をアクティブにし、該PD1に蓄積されている電荷を、FD11およびSF10を介して垂直出力線13に蓄積した光信号レベルの信号が出力する。
【0031】
続いて、T5’期間に転送ゲート15bがオンし、該信号蓄積部15に保持される。この動作は、m行につながっている全ての画素に対して同時並列に実行される。
【0032】
ここで、ΦTSがT5’期間だけアクティブになり、転送ゲート15aがオンし、信号レベルが該信号蓄積部15に保持される。この動作は、n行につながっている全ての画素に対して同時並列に実行される。
【0033】
該信号レベルの信号出力を該信号蓄積部15に保持するT5からT5’までの期間を『S読み』という。
【0034】
該動作を終了した時点で、該信号蓄積部15には、m行につながっている全ての画素のダークレベルと信号レベルを保持しており、各画素間での信号レベルとダークレベルの差をとることでSF10のスレッシュホールド電圧(しきい値電圧)Vthバラツキによる固定パターンノイズ(FPN)や該TRES3がリセット時に発生するKTCノイズをキャンセルし、S/Nの高いノイズ成分を除去された信号が得られる。
【0035】
すなわち、該信号蓄積部16は信号成分に対してノイズ成分を差分する差分手段を備えている。
【0036】
この信号を不図示の水平走査回路によって、該信号蓄積部16に蓄積されたダークレベルと信号レベルの差信号を水平走査し、時系列的に出力される。これでm行の出力は終了である。同様に、ΦSEL(m+1),ΦRES(m+1),ΦTX(m+1),ΦTN,ΦTSを図7に示す様にm行目と同様に駆動することで、m+1行目の信号を読み出すことができる。
【0037】
該信号蓄積部16から読み出された信号は後段の回路へ出力し、シェーディング補正等の補正処理や現像等の画像処理を行う。
【0038】
前記図8で説明したとおり、電源VDDが投入された直後にリセットを実行した際のVFDの電位は、VDDの変動過程にあるため、この状態ではPD1にリセット電位が残り、蓄積後にダークレベルとして読み込みを行なう『N読み』での電位差“X”程度の影響を受けてしまう。
【0039】
該電源変動の影響は、電源入力端子からの距離によりインピーダンスが異なることにより、画面内での影響度が位置により異なる、いわゆる、シェーディングとして発生する。
【0040】
しかしながら、本現象の電位変動に関しては、電源投入毎に発生する電位変動は略安定しているため、上記シェーディングのズレを加味した補正値を備え、該補正値によるシェーディング補正を行うことで、画質劣化を回避することが可能となる(シェーディング補正に関しては、特許文献1で、基本動作およびモード毎の使用データ変更を記載されている。)。
【0041】
上記に示した駆動例での水平シェーディングの一例を図9に示す。
【0042】
図9(a)は、補正前の水平シェーディングを示しており、仮に電源安定状態(電源安定T0’期間)まで駆動を待った場合は(a−1)のようなシェーディングになるが、電源が安定する前のT0期間で駆動を始めた場合、(a−2)のようなシェーディングとなる。
【0043】
図9(b)は、補正用データを示しており、上記図9(a−2)に対応した電源変動を加味した補正データとなっている。
【0044】
図9(c)は、図9(a−2)を図9(b)で補正した結果の補正後のシェーディングを示しており、水平方向にほぼ一定の出力となるため、電源変動でのシェーディングのズレはほぼ解消されることとなる。
【0045】
垂直シェーディングに関しては、システムとして、センサーの遮光部であるところの周知のオプティカルブラック(OB)領域の出力を使用したクランプ処理を行い、リアルタイムに補正するのが一般的である。
【0046】
該OBクランプに関しては諸々の方法があるが、該処理の一例としてはアナログ・フロント・エンド(AFE)を用いる場合について説明する。
【0047】
図10はアナログ・フロント・エンド(AFE)の基本構成を示した図である。
【0048】
801は該信号蓄積部から出力された撮像信号の入力端子であり、撮像素子114からのアナログ信号が入力される。このアナログ信号は、増幅回路802の非反転入力端子(+)に供給され所定のゲインをかけられた後、A/D変換回路803にてデジタル信号に変換され、出力端子804から後段の信号処理系へと出力される。ここで、OB画素信号が入力されるのに合わせてOBクランプパルスがAFEに入力された場合、その時点から所定画素数分の画素信号の平均値を平均化回路805で算出する。次に減算器806でこの平均値からクランプ目標値を減算し、その結果から演算部807で補正値を演算し、D/A変換器808にセットする。D/A変換器808の出力が増幅回路802の反転入力端子(−)にフィードバックされることでオフセット調整が行われ、ダークレベルがクランプ目標値に調整される。
【0049】
すなわち、AFEは、OB画素の信号を基に撮像素子114の画素信号をオフセット調整するオプティカルブラッククランプ処理と撮像素子114の画素信号をアナログからデジタルに変換する処理とを行う。
【0050】
なお、このようなクランプ回路を備えた撮像装置は、画素信号のノイズの影響によるクランプノイズによって画質が劣化するのを避けるため、OBクランプの時定数を大きくし、1回のOBクランプ動作前後でのダークレベルの変化が大きくならないようにしている。
【0051】
また、CMOSセンサーのOBクランプとしては水平OBを使用して、各行の水平OBレベルを一定の値に合わせていく。具体的には、水平走査期間において、不図示の制御手段からAFEに対しOBクランプパルスを発生し、OBクランプ処理を促す。AFEはOBクランプパルスが入力されると、その時点から所定画素数分の画素信号をサンプリングを行い、その平均値と所望のダーク出力値との差をオフセット調整回路にフィードバックする。該フィードバックは、キズやランダムノイズの影響を低減する為に、係数k(kは1未満)を掛け、低周波のみの補正がかかるように設定されている。
【0052】
図11は、垂直シェーディングの補正前後のシェーディングの変化の一例を示している。
【0053】
図11(a)は補正前の垂直方向のシェーディングを示している。
【0054】
図11(b)は前記のゆるやかなシェーディングを示しており、OBクランプによって補正されるものである。
【0055】
図11(c)は、図11(a)に図11(b)のシェーディング相当の補正を行った(水平クランプにてゆるやかなダークシェーディングに追従して一律の黒レベル近辺にオフセットした)シェーディングを示している。
【0056】
該動作により、画像の垂直方向のシェーディングは解消され、黒レベルは所望のダーク出力値に補正することが出来る。
【0057】
以上のように、電源変動を加味した補正を行うことで、画質劣化させることなく速写性を向上させることができている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特許第4307320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0059】
しかしながら、上記対応を行なった場合に、電源変動状況が異なる撮影状態が発生した場合、その影響を補正しきれない場合が発生する。
【0060】
上記問題の例として、連写モードでの駆動を図8を用いて説明する。
【0061】
図12は、連写モードでの簡易シーケンスを示したものであり、図8で説明した中のΦRES(全画素分のN読み動作含む)と電源VDD、FD電位であるVFDを示している。
【0062】
連写で動かそうとした場合、繰り返し撮影の駒間で電源を落とすと連写性能を低下させる要因となるため、1駒目の動作終了後、電源VDDをオフすることなく、2駒目の撮影動作に入っている。
【0063】
したがって、1駒目は、電源投入でのリセット時の電源変動の影響で、VFDはリセット時と読み出し(『N読み』『S読み』)時で、電位差X1が発生する(図8説明と同様)。
【0064】
しかしながら、2駒目撮影時には、リセット時に電源が安定した状態にあり、読み出し(『N読み』『S読み』)時との差はほとんどない(電位差X2)状態となってしまう。
【0065】
この場合、1駒目は電源変動を加味した補正を行なうことで画質劣化を防ぐことができるが、2駒目以降は電源変動がないため、1駒目と同様の補正値を使用すると、VFDの影響にズレが生じるため、補正することで画質を劣化させてしまう可能性が発生してしまう。
【0066】
上記に示した問題を水平シェーディングの一例として図13に示す。
【0067】
図13(a)は、補正前の水平シェーディングを示しており、(a−1)は2駒目の電源安定状態でのシェーディングを示しており、(a−2)は1駒目の電源が安定する前のシェーディングを示している。
【0068】
図13(b)は、補正用データを示しており、1駒目(上記図13(a−2))に対応した電源変動を加味した補正データとなっている。
【0069】
図13(c)は、補正後の水平シェーディングを示しており、1駒目(図13(a−2))のシェーディングは図13(a−2)に示すとおり目論見どおりほぼ一定の出力に補正できているが、2駒目(図13(a−1))のシェーディングは、補正値にズレがあるため、補正残りが発生し、(図13(a−1))のように、シェーディングが発生してしまう。
【0070】
本問題を回避する方法として、リアルタイムでシェーディングデータを作成する方法があるが、データ作成等の処理時間により、連写の繰返し性能を低下させてしまう恐れもある。
【0071】
また、垂直シェーディングに関しても、OBクランプでリアルタイムに補正する為、所望のダーク出力値に補正できるが、クランプに使用するフィードバック係数kの設定により、補正する周波数が変わる。
【0072】
1駒目の電源変動がある状況においては、垂直方向での変動が大きいことが考えられる(特に画面上部での変動が大きいことが考えられる)ので、高周波に対応できる係数を設定することが必要であるが、2駒目以降は電源変動が安定しており、高周波に対応できる係数を設定することで、他のノイズ(高ISOでのランダムノイズ等)による影響を受けやすくなる為、1駒目の設定が必ずしも最適とは限らない。
【0073】
該垂直シェーディングの一例として図14に示す。
【0074】
図14(a)は、補正前の1駒目の垂直シェーディングを示しており、画面上部に急激な変化が生じている。
【0075】
図14(b)は、補正用データを示しており、高周波に対応する係数k1を使用した場合の補正値と、低周波に対応する係数k2を使用した補正値を示している。
【0076】
係数k1を使用した場合は上部の急激な変動に追従しているが、係数k2を使用した場合には上部の変動に対応できていない。
【0077】
図14(c)は、補正後の垂直シェーディングを示しており、係数k1を使用した場合の補正後の垂直シェーディングは上部の沈みが目論見どおり補正できているが、係数k2を使用した場合には上部の沈みが残ってしまう。
【0078】
しかし、高周波対応の係数k1を使用した場合のデメリットとしてはOB部にランダムノイズが多い場合に、ノイズ分での変動を含んでクランプしてしまう為、高周波の横縞を作ってしまう可能性が高い。特に、連写等で連続撮影後半は駆動し続けることによる発熱もあるためランダムノイズの発生が多くなる可能性が高い。
【0079】
本発明は、上記、速写性を重視した補正を考慮したうえで、連写時等の駆動モード変更がなされた場合でも、各々の駒での画質劣化を抑え、好適な画像を得ることができるようにするものである。
【0080】
なお、本発明の実施例上は、水平シェーディング補正および垂直シェーディング補正に関するデータを同時に変更しているが、本発明は、それに限定されるものではなく、例えば、レイアウト的に抵抗値が高くなる水平方向のみの補正値変更でも何ら問題ない。
【課題を解決するための手段】
【0081】
本発明は、第1に、撮像素子を使用し、撮影した画像を記録媒体に記録する撮像装置において、該撮像装置は選択的に切り替え可能な複数の撮影モードを備え、該撮影モードには少なくとも連続的に撮影動作を繰り返すことのできる連写モードを有し、該連写モード内での駆動において、所定駒前後で使用するシェーディング補正値を変更させる。
【0082】
また、第2に、所定駒は、1駒目とし、1駒目を超えた場合にシェーディング補正値を変更する。
【0083】
さらに、第3として、該撮像装置は、画像データを記録する記録媒体を備え、該所定駒は、記録媒体への書き込み動作を開始した後に撮影動作を行なう駒である。
【発明の効果】
【0084】
本発明により、速写性を重視したうえで、連写等の駆動モードでの挙動が駒毎に変化する場合でも、各々の駒での画質劣化を抑え、好適な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例における撮像装置の全体ブロック図
【図2】本発明の実施例における撮像装置の動作シーケンスフローチャート1
【図3】本発明の実施例における撮像装置の動作シーケンスフローチャート2
【図4】本発明の実施例におけるシェーディング補正例(水平)
【図5】本発明の実施例におけるシェーディング補正例(垂直)
【図6】本発明の実施例(変形例)における撮像装置の動作シーケンスフローチャート
【図7】一般的な撮像素子(CMOSセンサー)の等価回路例
【図8】撮像素子(CMOSセンサー)の撮像動作の詳細タイミングチャート
【図9】従来のシェーディング補正例(水平1)
【図10】一般的な撮像装置に用いられるアナログ・フロント・エンド(AFE)のブロック図
【図11】従来のシェーディング補正例(垂直1)
【図12】撮像素子(CMOSセンサー)の撮像動作の連写モードの駆動概要
【図13】従来のシェーディング補正例(水平2)
【図14】従来のシェーディング補正例(垂直2)
【発明を実施するための形態】
【0086】
[実施例1]
図1は実施の形態における撮像装置であるところの電子カメラの構成を示すブロック図である。
【0087】
該図において、110は撮像素子114上に光学像を結像させるレンズ、111は該レンズ110の制御を行なうレンズ制御部である。
【0088】
112はCMOSセンサー等であるところの撮像素子114の露光量を制御するシャッターである。
【0089】
114は光学像を電気信号に変換する撮像素子であり、本実施例上は撮像素子114としてCMOSセンサーを使用している(該CMOSセンサー114の詳細は既に図5にて説明済みであるため、ここでの詳細説明は割愛する。)。
【0090】
116は撮像素子114から出力されるアナログ信号をOBクランプ等の処理を行い、ディジタル信号に変換するアナログ・フロント・エンド(AFE)である(該AFE116の詳細は既に図10にて説明済みであるため、ここでの詳細説明は割愛する。)。
【0091】
117はデジタルフロントエンド(DFE)であり、各画素のデジタル出力を受けて補正や並び替え等をデジタル処理している。
【0092】
118は制御信号を供給するタイミング発生回路である。
【0093】
120は画像処理回路であり、AFE116からのデータあるいはメモリ制御回路122からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0094】
該120内には画像の補正等に使用するデータを展開するメモリ領域を含んだデータ演算領域120−1を備えており、画像処理の際に使用する補正データは後述するメモリ152より展開した状態で使用する。
【0095】
122はメモリ制御回路であり、AFE116、DFE117、タイミング発生回路118、画像処理回路120、画像表示メモリ124、メモリ130を制御する。
【0096】
124は画像表示メモリである。
【0097】
128はTFT方式のLCDからなる画像表示部である。
【0098】
130は撮影された静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を有している。
【0099】
140は周知のシャッター112を制御するシャッター制御部である。
【0100】
142はAF(オートフォーカス)処理を行うための測距手段であるところの測距制御部、146はAE(自動露出)処理を行うための測光手段であるところの測光制御部である。
【0101】
150は画像処理装置全体を制御するシステム制御回路であり、周知のCPUなどを内蔵する。また、該システム制御回路には、各動作毎の撮影駒数を計測する撮影カウンタcを備えている。
【0102】
152はシステム制御回路150の動作用の定数、変数、プログラムなどを記憶する記憶手段であるところのメモリであり、該メモリ152には予め設定されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2等が格納されている。
【0103】
ちなみに、HSHD1は、通常の駆動状態にて測定した結果を使用し、HSHD2は電源が安定した状態での特殊使用状態にて測定した結果を使用して求められたデータである。
【0104】
また、k1は通常の駆動状態にて測定した場合の追従性に対応した係数であり、k2は電源が安定した状態でのノイズの影響を低減できる係数である。
【0105】
154はシステム制御回路150でのプログラムの実行に応じて、動作状態やメッセージなどを表示する表示部である。
【0106】
156は後述するプログラムなどが格納された電気的に消去・記録可能なEEPROM等の記憶手段であるところの不揮発性メモリである。
【0107】
160はシステム制御回路150の各種動作指示を入力するための操作部であり、基本的なところで、押し込むことで段階的にオンし、撮影準備動作(AF、AE等)を行なうSW1と、撮影動作(シャッター制御・蓄積動作・読み出し動作)乃至画像処理・記録動作を行なうSW2からなるシャッタースイッチや、単写/連写を切り替える単写/連写スイッチ、各種システムに電源供給するためのメインスイッチ等が含まれている。
【0108】
180は電池検出回路やDC−DCコンバータ等から構成されている電源制御部、186はアルカリ電池やリチウム電池などからなる電源部である。
【0109】
1200はメモリカードやハードディスクなどの着脱可能な記録媒体である。
【0110】
図2および図3は画像処理装置の撮影動作処理手順を示すフローチャートである。
【0111】
S101は、電池交換などの電源投入により、システム制御回路150はフラグや制御変数等を初期化し、各部に対して必要な所定の初期設定を行う。
【0112】
S102は、システム制御部150は、メインスイッチの設定位置を判別し、電源がOFFに設定されているか否かを判別する。
【0113】
ステップS103は、電源がOFFに設定されている場合、各表示部の表示を終了状態に変更し、フラグや制御変数などを含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録し、電源制御部182により画像表示部128を含む各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0114】
ステップS104は、既に設定されているISO感度等の設定情報の読み出しを行なう。
【0115】
ステップS105は、ステップS102で電源ONに設定されていた場合、システム制御回路150は電源制御部182により電池などの電源186の残容量や動作状況が問題があるか否かを判別し、問題があると判別された場合はステップS106へ、問題がないと判別された場合はステップS107へ移行する。
【0116】
ステップS106は、表示部128に画像の表示や音声の出力により所定の警告を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0117】
ステップS107は、モードダイアルスイッチ160の設定位置を判断し、モードダイアルスイッチ160が撮影モードに設定されているか否かを判別し、モードダイアルスイッチ160がその他のモードに設定されている場合は、ステップS108へ、モードダイアルスイッチ60が撮影モードに設定されている場合はステップS109へ移行する。
【0118】
ステップS108は、選択されたモードに応じた処理を実行し、実行後にステップS102の処理に戻る。
【0119】
ステップS109は、記録媒体1200が装着されているか否かの判断、記録媒体1200に記録された画像データの管理情報の取得、および記録媒体1200の動作状態が、記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題があるか否かを判別し、問題があると判別された場合は既に説明済みであるステップS106へ、問題がないと判別された場合はステップS110へ移行する。
【0120】
ステップS110は、単写撮影/連写撮影を選択する操作部168内の単写/連写スイッチの選択状態を調べる。
【0121】
本ステップS110では、単写撮影が選択されている場合はステップS111へ、低速連写撮影が選択されている場合はステップS112へ、高速連写撮影が選択されている場合はステップS113へ移行する。
【0122】
ステップS111は、単写/連写フラグを『単写』(本実施例では第一の撮影モード)に設定する。
【0123】
ステップS112は、単写/連写フラグを『連写』(本実施例では第二の撮影モードに含む)に設定する。
【0124】
上記ステップS111乃至S112における単写/連写フラグの設定状態は、システム制御回路50の内部メモリあるいはメモリ152に記憶される。
【0125】
ステップS113は、表示部54を用いて画像や音声により各種設定状態の表示を行う。ここで、画像表示部128の画像表示スイッチがONである場合、画像表示部128を用いて画像や音声により各種設定状態を表示するようにしてもよい。
【0126】
ステップS114は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が押されていない場合、ステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押されている場合は、ステップS115へ移行する。
【0127】
ステップS115は、測距処理を行って撮影レンズ110の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値およびシャッター速度を決定する周知の測距・測光処理を行う。
【0128】
ステップS117は、連写などで連続して撮影される場合の撮影駒数をカウントする撮影カウンタcを初期化(“1”に設定)する。
【0129】
ステップS118は、シャッタースイッチSW2が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW2が押されていない場合はステップS114へ、シャッタースイッチSW2が押されている場合はステップS119へ移行する。
【0130】
ステップS119は、撮影カウンタcをチェックし、撮影された駒が何駒目かを判定して、cが所定駒数以下(例えば1駒目以下)だったらステップS120へ、cが所定駒数より大きければ(例えば2駒目以上)だったらステップS121へ移行する。
【0131】
ステップS120は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2の中から、HSHD1およびk1を選択し、データ演算領域120−1の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0132】
ここで選択される第1の補正データは、単写撮影時にも適応した補正データである。
【0133】
ステップS121は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2の中から、HSHD2およびk2を選択し、データ演算領域120−1メモリ130の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0134】
ステップS122は、撮影した画像データの記憶可能な画像記憶バッファ領域がメモリ130にあるか否かを判別し、メモリ130の画像記憶バッファ領域内に新たな画像データの記憶可能な領域がないと判別された場合はステップS123へ、新たな画像データの記憶可能な領域があると判別された場合はステップS124へ移行する。
【0135】
ステップS123は、表示部54に画像の表示や音声の出力により所定の警告を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0136】
ステップS124は、CMOSセンサー114に電源供給を開始し、所定の制御信号を送ると共に、シャッター112を所定時間開口し、CMOSセンサー114への露光動作を行なう撮影動作を行なう。
【0137】
該ステップS124では、読み出し動作も行い、後段のAFE116へ蓄積した電気信号の転送を行なう。その際にAFE116でのOBクランプ処理を行なうが、OBクランプで使用するフィードバック係数は、ステップS120もしくはステップS121で選択し、データ演算領域120−1のk領域に展開した係数を使用する。
【0138】
また、本ステップでCMOSセンサー114への電源供給を行なっているが、連写フラグに従って、連続撮影動作を繰り返している間は、CMOSセンサーへの電源はオフされない。
【0139】
ステップS125は、システム制御回路150は、データ演算領域120−1の所定領域に書き込まれた画像データの一部をメモリ制御回路122を介して読み出して現像処理を行うために必要なWB(ホワイトバランス)積分演算処理、OB(オプティカルブラック)積分演算処理を行い、演算結果をシステム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶し、システム制御回路50は、メモリ制御回路122、必要に応じて画像処理回路120を用いて、メモリ130の所定領域に書き込まれた撮影画像データを読み出し、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶した演算結果を用いて、AWB(オートホワイトバランス)処理、ガンマ変換処理、色変換処理を含む各種現像処理を行う。
【0140】
現像処理では、ステップS120もしくはステップS121で選択し、データ演算領域120−1のHSHD領域に展開した水平ダークシェーディング補正データを用いて減算処理を行うことにより、撮像素子114の固定パターンノイズ等を打ち消すダーク補正演算処理を併せて行う。
【0141】
このように、水平ダークシェーディング補正データを用いて補正演算処理を行う場合には、撮像素子114で発生する水平方向の固定パターンノイズによる画質劣化に対して補正ができる。
【0142】
ステップS126は、システム制御回路150は、現像された画像データを圧縮処理を行う。
【0143】
ステップS127は、システム制御回路150は、メモリ130の画像記憶バッファ領域に記憶された画像データを読み出し、メモリカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等の記録媒体1200に読み出した画像データを書き込む記録処理を開始する。
【0144】
この記録開始処理は、メモリ130の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影して一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
【0145】
なお、ステップS126乃至S127は、実際には、ステップS126のメモリ30の画像記憶バッファ領域へのデータ書き込みを行い、完了後にステップS127で記録媒体1200へのデータ読み出しを開始を順次行うが、今後の動作と並行しながら行なわれる。
【0146】
ステップS128では、システム制御回路150は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が離された状態である場合はステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押された状態である場合はステップS129へ移行する。
【0147】
ステップS129は、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶された単写/連写フラグの状態を判別し、単写が設定されていた場合はステップS129の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が離されるまで現在の処理を繰り返す。一方、連写が設定されていた場合は、ステップS130へ移行する。
【0148】
ステップS130は、撮影カウンタcをカウントアップ(1を加算)し、ステップS118の処理に戻って、次の撮影に備える。
【0149】
これが本発明における撮影に関する一連の処理が終了する。
【0150】
図4に上記に示した水平シェーディング補正の設定一例を示す。
【0151】
図4(a)は、補正前の水平シェーディングを示しており、(a−1)は1駒目のシェーディング、(a−2)は2駒目以降のシェーディングを示している。
【0152】
挙動の差は、すでに説明しているとおり、電源投入による変動の影響を受けているか否かの差である。
【0153】
図4(b)は、補正用データを示しており、(b−1)は1駒目のシェーディング補正値を示したHSHD1であり、(b−2)は2駒目以降のシェーディング補正値を示したHSHD2である。
【0154】
図4(c)は、補正後の水平シェーディングを示しており、1駒目のシェーディングと同様に、2駒目以降も目論見どおりほぼ一定の出力に補正できている。
【0155】
図5に上記に示した垂直シェーディング補正の設定一例を示す。
【0156】
図5(a)は、補正前の垂直シェーディングを示しており、(a−1)は1駒目のシェーディング、(a−2)は2駒目以降のシェーディングを示している。
【0157】
挙動の差は、すでに説明しているとおり、電源投入による変動の影響を受けているか否かの差である(画面上部の変動量に差がある。)。
【0158】
図5(b)は、補正用データを示しており、(b−1)は1駒目のOBクランプのフィードバック係数k1を使用した場合の補正値であり、(b−2)は2駒目以降のOBクランプのフィードバック係数k2を使用した場合の補正値である。
【0159】
図5(c)は、補正後の垂直シェーディングを示しており、1駒目のシェーディングと同様に、2駒目以降も目論見どおりほぼ一定の出力に補正できている。
【0160】
[変形例]
前記本発明の第1の実施例では、連写の起動時の変動の影響を抑制するために、所定駒数を1駒目として、シェーディング補正値を切り替えを行なったが、実際には電源変動は起動時のみではない。
【0161】
例えば、前記図3のステップS127の撮像装置内のメモリ130から記録媒体1200への画像データの移行が開始される前後では、電源に対する負荷が変わるため、電位変動が発生する場合が考えられる。
【0162】
そこで、記録媒体1200へのデータ転送が開始される前後で、補正値の変更を行なう例を図6を用いて説明する。
【0163】
図6は本発明の実施例(変形例)の画像処理装置の撮影動作処理手順を示すフローチャートであり、既に説明済みの図2の継続動作として設定している
ちなみに前記実施例においては、図1の152には該メモリ152には予め設定されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2と記載しているが、本変形例においては、第3の補正値としてHSHD3、k3が格納されているものとする。
【0164】
該HSHD3、k3はHSHD3は電源安定状態で且つ負荷(記録媒体への転送相当)駆動状態にて測定した結果を使用して求められたデータとする。)
ステップS214は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が押されていない場合、ステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押されている場合は、ステップS215へ移行する。
【0165】
ステップS215は、測距処理を行って撮影レンズ110の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値およびシャッター速度を決定する周知の測距・測光処理を行う。
【0166】
ステップS217は、連写などで連続して撮影される場合の撮影駒数をカウントする撮影カウンタcを初期化(“1”に設定)する。
【0167】
ステップS218は、シャッタースイッチSW2が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW2が押されていない場合はステップS214へ、シャッタースイッチSW2が押されている場合はステップS219へ移行する。
【0168】
ステップS219は、撮影カウンタcをチェックし、撮影された駒が何駒目かを判定して、cが第1の所定駒数n以下(例えば1駒目以下)だったらステップS220へ、cが第1の所定駒数nより大きく第2の所定駒数z以下であれば(例えば2駒目以上4駒目以下)だったらステップS221へ、cが第2の所定駒数zより大きければ(例えば5駒目以上)ステップS222へ移行する。
【0169】
ステップS220は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2の中から、HSHD1およびk1を選択し、データ演算領域120−1の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0170】
ステップS221は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1・HSHD2・HSHD3、OBクランプ時の係数k1・k2・k3の中から、HSHD2およびk2を選択し、データ演算領域120−1メモリ130の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0171】
ステップS222は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1・HSHD2・HSHD3、OBクランプ時の係数k1・k2・k3の中から、HSHD3およびk3を選択し、データ演算領域120−1メモリ130の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0172】
ステップS223は、撮影した画像データの記憶可能な画像記憶バッファ領域がメモリ130にあるか否かを判別し、メモリ130の画像記憶バッファ領域内に新たな画像データの記憶可能な領域がないと判別された場合はステップS224へ、新たな画像データの記憶可能な領域があると判別された場合はステップS225へ移行する。
【0173】
ステップS224は、表示部54に画像の表示や音声の出力により所定の警告を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0174】
ステップS225は、CMOSセンサー114に電源供給を開始し、所定の制御信号を送ると共に、シャッター112を所定時間開口し、CMOSセンサー114への露光動作を行なう撮影動作を行なう。
【0175】
該ステップS225では、読み出し動作も行い、後段のAFE116へ蓄積した電気信号の転送を行なう。その際にAFE116でのOBクランプ処理を行なうが、OBクランプで使用するフィードバック係数は、ステップS220乃至ステップS222で選択し、データ演算領域120−1のk領域に展開した係数を使用する。
【0176】
また、本ステップでCMOSセンサー114への電源供給を行なっているが、連写フラグに従って、連続撮影動作を繰り返している間は、CMOSセンサーへの電源はオフされない。
【0177】
ステップS226は、システム制御回路150は、メモリ130の所定領域に書き込まれた画像データの一部をメモリ制御回路122を介して読み出して現像処理を行うために必要なWB(ホワイトバランス)積分演算処理、OB(オプティカルブラック)積分演算処理を行い、演算結果をシステム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ52に記憶し、システム制御回路50は、メモリ制御回路122、必要に応じて画像処理回路120を用いて、メモリ130の所定領域に書き込まれた撮影画像データを読み出し、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶した演算結果を用いて、AWB(オートホワイトバランス)処理、ガンマ変換処理、色変換処理を含む各種現像処理を行う。
【0178】
現像処理では、ステップS220乃至ステップS222で選択し、データ演算領域120−1のHSHD領域に展開した水平ダークシェーディング補正データを用いて減算処理を行うことにより、撮像素子114の固定パターンノイズ等を打ち消すダーク補正演算処理を併せて行う。
【0179】
このように、水平ダークシェーディング補正データを用いて補正演算処理を行う場合には、撮像素子114で発生する水平方向の固定パターンノイズによる画質劣化に対して補正ができる。
【0180】
ステップS227は、システム制御回路150は、現像された画像データを圧縮処理を行う。
【0181】
ステップS228は、システム制御回路150は、メモリ130の画像記憶バッファ領域に記憶された画像データへの記録を行なう。
【0182】
ステップS229は、撮影カウンタcをカウントアップ(1を加算)する。
【0183】
ステップS230は、撮影カウンタcをチェックし、撮影された駒が何駒目かを判定して、cが第2の所定駒数zより大きければ(例えば5駒目以上)だったらステップS232へ、cが第2の所定駒数z以下であれば(例えば4駒目以下)だったらステップS231へ移行する。
【0184】
ステップS231は、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶された単写/連写フラグの状態を判別し、単写が設定されていた場合はステップS232へ移行し、連写が設定されていた場合は、ステップS233へ移行する。
【0185】
ステップS232は、メモリ130の画像記憶バッファ領域に記録された画像データを、メモリカードやコンパクトフラッシュカード等の記録媒体1200に書き込む記録処理を開始する。
【0186】
この記録開始処理は、メモリ130の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影して一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
【0187】
なお、該ステップS232は、今後の動作と並行しながら行なわれる。
【0188】
ステップS233では、システム制御回路150は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が離された状態である場合はステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押された状態である場合はステップS234へ移行する。
【0189】
ステップS234は、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶された単写/連写フラグの状態を判別し、単写が設定されていた場合はステップS233の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が離されるまで現在の処理を繰り返す。一方、連写が設定されていた場合は、ステップS218へ移行する。
【0190】
これが本発明における撮影に関する一連の処理が終了する。
【0191】
以上のような処理を加えることで、記録媒体1200への書き込み動作の有無により発生する電源変動での影響も併せて回避でき、好適な画像を得ることができる。
【0192】
なお、前記本発明の実施例(変形例)は、記録媒体1200への書き込み動作を所定駒から開始するよう設定しているが、本発明は、それに限ったものではなく、例えば、シャッター速度や画像サイズから想定される撮影動作の所要時間と、画像データのサイズと、メモリ130の画像記憶バッファ領域のサイズから想定される、記録媒体1200への読み出し開始のタイミングでシェーディング補正に関するデータの変更を行なってもよい(例えば、バッファ領域への転送中に2駒目の撮影が完了し、3駒目に記録媒体1200への読み出しが開始される場合、シェーディング補正値の変更を3駒目に行なう等。)。
【符号の説明】
【0193】
1:フォトダイオード(PD)
2:転送スイッチ(TX)
3:リセットスイッチ(TRES)
4、5:基準電源
6:行選択スイッチ
7:負荷電流源
8:第1のスイッチ
9:第2のスイッチ
10:ソースフォロア(SF)
11:フローティングディフュージョン
13:垂直出力線
14:垂直走査回路
15a、15b:転送ゲート(TS、TN)
16:信号蓄積部
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOSイメージセンサー等の撮像素子を用いた撮像装置に関するものであり、特に、連写等の撮影モードを備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラは、使用している撮像素子の高画素化が進んでおり、それに伴い、撮像素子内の配線等の狭ピッチ化が必要となり、配線抵抗等が高くなる傾向がある。
【0003】
その影響により、起動時の電源変動が大きく発生するため、電源投入から撮影開始まで、電源安定までの時間を充分確保することが好ましい。
【0004】
しかし、一方では、シャッターチャンスを逃さないよう、速写性が求められており、撮影開始時のタイムラグを短くすることも求められている。
【0005】
そこで、電源変動が起こる前提で各種駆動を行い、電源変動により発生する画質への影響を補正により対処する方法が取られる場合がある。
【0006】
上記の撮像装置の概略の駆動および補正対応について、図7乃至図8を用いて説明する。
【0007】
図7は、一般的な撮像素子であるところのCMOSセンサーの等価回路例である。
【0008】
同図において、S11は画素であり、該画素S11と同一構造の画素(S21・・・Sm1)は垂直出力線13に対して複数個接続されている。該画素内にはフォトダイオード(PD)1、転送スイッチ(TX)2、リセットスイッチ(TRES)3、画素アンプを構成するソースフォロア(SF)であるところの増幅トランジスタ10および負荷電流源7ならびに第1のスイッチ8である。
【0009】
また、行選択スイッチ(TSEL)6が設けてあり、転送スイッチ(TX)2のゲートはΦTXに接続されている。
【0010】
リセットスイッチ3のゲートはΦRESに接続され、行選択スイッチ6のゲートはΦSELに接続されている。
【0011】
なお、上記回路構成が複数列(画素S1乃至Smn、垂直出力線13乃至13n等)配設されている。
【0012】
光電変換は該PD1でおこなわれ、光量電荷の蓄積期間中はTX2はOFF状態であり、画素アンプを構成するSF10のゲートにはこのPD1で光電変換された電荷は転送されない。該画素アンプを構成するSF10のゲートにある電荷蓄積部であるところのフローティングディフュージョン領域(FD)11は、蓄積開始前に該TRES3がONし、適当な電圧に初期化される。
【0013】
すなわち、これがダークレベルとなる。
【0014】
次に同時に該TSEL6がONになると、負荷電流源7とスイッチ8と該画素アンプを構成するSF10が動作状態になり、ここで該TX2をONさせることで該PD1に蓄積されていた電荷は、該画素アンプを構成するSF10のゲートであるFD11に転送される。
【0015】
ここで、選択行の出力が垂直出力線13上に発生する。この出力は転送ゲート15a,15bを介して、信号蓄積部16に蓄積される。信号蓄積部16に一時記憶された出力は不図示の水平走査回路によって順次出力アンプ部へ読み出される。
【0016】
図8が図7の該CMOSセンサーの撮像動作の詳細タイミングチャートである。
【0017】
まず、CMOSセンサーの撮像開始となるスイッチ(ここでは/SW2と称する)がONされることで、撮像系の電源VDDが供給される。
【0018】
電源VDDは立上りの突入電流等の影響により、安定するまでには期間T0’を有する。
【0019】
しかしながら、電源投入から期間T0’を待ったのちの動作開始を行なうと、レリーズタイムラグが長くなる為、期間T0’より早い期間T0でセンサーの撮像動作を開始する。
【0020】
電源投入から期間T0を経過したのち、全画素リセットを行なう。全画素リセットは期間T1のタイミングで、ΦTX1乃至ΦTXmをアクティブとし、全画素の該PD1の電荷は、該TX2を介して該SF10のゲートに転送され、該PD1はリセットされる。同様のタイミング(T1期間)に、ΦRES1乃至ΦRESmをアクティブにすることで、SF10のゲート(FD)11の電位VFDは、リセット電源であるVDDとほぼ同等のレベルになり、リセットされた状況となる(但し、このリセットされた状況はVDDが変動過程にある。)。
【0021】
また、この状態はPD1のカソード電荷がSF10のゲートFD11に移って平均化された状態であるが、SF10のゲートのキャパシタの容量成分を大きくすることで、PD1のカソードをリセットしたレベルと同様になる。
【0022】
T1の終了と同時に、T2の期間、PD1への蓄積を行う。
【0023】
T2の期間内には不図示のシャッターが開口し、CMOSセンサーへの露光が行なわれる(該シャッターが開口していない期間はシャッターによる遮光状態で駆動されている。)。
【0024】
蓄積時間T2が終了すると、該PD1の光電荷の蓄積を終了する。この状態では該PD1に電荷が蓄積されている。
【0025】
次に各ライン毎に読み出しがスタートする(電源変動は、該読み出しが開始される前には安定している。)。
【0026】
時間T3の期間、ΦSEL(m)がアクティブになり該TSEL6がオンし、m行目につながっている全ての画素の該画素アンプで構成されるSF10が動作状態になる。
【0027】
ここで、該画素アンプで構成されるSF10のゲートであるFD11はT4期間でΦRES(m)がアクティブになり、TRES3がオンとなり、該SF10のゲートFD11はリセットされる。すなわち、該垂直出力線13にはこのダークレベルの信号が出力される。
【0028】
次にΦTN(m)がアクティブになり、T4’期間に転送ゲート15bがオンし、該信号蓄積部15に保持される。この動作は、m行につながっている全ての画素に対して同時並列に実行される。
【0029】
該ダークレベルの信号出力を該信号蓄積部15に保持するT4からT4’までの期間を『N読み』(ノイズ成分読み込み)という。
【0030】
次にΦTN(m)をオフした後、T5期間、ΦTX(m)をアクティブにし、該PD1に蓄積されている電荷を、FD11およびSF10を介して垂直出力線13に蓄積した光信号レベルの信号が出力する。
【0031】
続いて、T5’期間に転送ゲート15bがオンし、該信号蓄積部15に保持される。この動作は、m行につながっている全ての画素に対して同時並列に実行される。
【0032】
ここで、ΦTSがT5’期間だけアクティブになり、転送ゲート15aがオンし、信号レベルが該信号蓄積部15に保持される。この動作は、n行につながっている全ての画素に対して同時並列に実行される。
【0033】
該信号レベルの信号出力を該信号蓄積部15に保持するT5からT5’までの期間を『S読み』という。
【0034】
該動作を終了した時点で、該信号蓄積部15には、m行につながっている全ての画素のダークレベルと信号レベルを保持しており、各画素間での信号レベルとダークレベルの差をとることでSF10のスレッシュホールド電圧(しきい値電圧)Vthバラツキによる固定パターンノイズ(FPN)や該TRES3がリセット時に発生するKTCノイズをキャンセルし、S/Nの高いノイズ成分を除去された信号が得られる。
【0035】
すなわち、該信号蓄積部16は信号成分に対してノイズ成分を差分する差分手段を備えている。
【0036】
この信号を不図示の水平走査回路によって、該信号蓄積部16に蓄積されたダークレベルと信号レベルの差信号を水平走査し、時系列的に出力される。これでm行の出力は終了である。同様に、ΦSEL(m+1),ΦRES(m+1),ΦTX(m+1),ΦTN,ΦTSを図7に示す様にm行目と同様に駆動することで、m+1行目の信号を読み出すことができる。
【0037】
該信号蓄積部16から読み出された信号は後段の回路へ出力し、シェーディング補正等の補正処理や現像等の画像処理を行う。
【0038】
前記図8で説明したとおり、電源VDDが投入された直後にリセットを実行した際のVFDの電位は、VDDの変動過程にあるため、この状態ではPD1にリセット電位が残り、蓄積後にダークレベルとして読み込みを行なう『N読み』での電位差“X”程度の影響を受けてしまう。
【0039】
該電源変動の影響は、電源入力端子からの距離によりインピーダンスが異なることにより、画面内での影響度が位置により異なる、いわゆる、シェーディングとして発生する。
【0040】
しかしながら、本現象の電位変動に関しては、電源投入毎に発生する電位変動は略安定しているため、上記シェーディングのズレを加味した補正値を備え、該補正値によるシェーディング補正を行うことで、画質劣化を回避することが可能となる(シェーディング補正に関しては、特許文献1で、基本動作およびモード毎の使用データ変更を記載されている。)。
【0041】
上記に示した駆動例での水平シェーディングの一例を図9に示す。
【0042】
図9(a)は、補正前の水平シェーディングを示しており、仮に電源安定状態(電源安定T0’期間)まで駆動を待った場合は(a−1)のようなシェーディングになるが、電源が安定する前のT0期間で駆動を始めた場合、(a−2)のようなシェーディングとなる。
【0043】
図9(b)は、補正用データを示しており、上記図9(a−2)に対応した電源変動を加味した補正データとなっている。
【0044】
図9(c)は、図9(a−2)を図9(b)で補正した結果の補正後のシェーディングを示しており、水平方向にほぼ一定の出力となるため、電源変動でのシェーディングのズレはほぼ解消されることとなる。
【0045】
垂直シェーディングに関しては、システムとして、センサーの遮光部であるところの周知のオプティカルブラック(OB)領域の出力を使用したクランプ処理を行い、リアルタイムに補正するのが一般的である。
【0046】
該OBクランプに関しては諸々の方法があるが、該処理の一例としてはアナログ・フロント・エンド(AFE)を用いる場合について説明する。
【0047】
図10はアナログ・フロント・エンド(AFE)の基本構成を示した図である。
【0048】
801は該信号蓄積部から出力された撮像信号の入力端子であり、撮像素子114からのアナログ信号が入力される。このアナログ信号は、増幅回路802の非反転入力端子(+)に供給され所定のゲインをかけられた後、A/D変換回路803にてデジタル信号に変換され、出力端子804から後段の信号処理系へと出力される。ここで、OB画素信号が入力されるのに合わせてOBクランプパルスがAFEに入力された場合、その時点から所定画素数分の画素信号の平均値を平均化回路805で算出する。次に減算器806でこの平均値からクランプ目標値を減算し、その結果から演算部807で補正値を演算し、D/A変換器808にセットする。D/A変換器808の出力が増幅回路802の反転入力端子(−)にフィードバックされることでオフセット調整が行われ、ダークレベルがクランプ目標値に調整される。
【0049】
すなわち、AFEは、OB画素の信号を基に撮像素子114の画素信号をオフセット調整するオプティカルブラッククランプ処理と撮像素子114の画素信号をアナログからデジタルに変換する処理とを行う。
【0050】
なお、このようなクランプ回路を備えた撮像装置は、画素信号のノイズの影響によるクランプノイズによって画質が劣化するのを避けるため、OBクランプの時定数を大きくし、1回のOBクランプ動作前後でのダークレベルの変化が大きくならないようにしている。
【0051】
また、CMOSセンサーのOBクランプとしては水平OBを使用して、各行の水平OBレベルを一定の値に合わせていく。具体的には、水平走査期間において、不図示の制御手段からAFEに対しOBクランプパルスを発生し、OBクランプ処理を促す。AFEはOBクランプパルスが入力されると、その時点から所定画素数分の画素信号をサンプリングを行い、その平均値と所望のダーク出力値との差をオフセット調整回路にフィードバックする。該フィードバックは、キズやランダムノイズの影響を低減する為に、係数k(kは1未満)を掛け、低周波のみの補正がかかるように設定されている。
【0052】
図11は、垂直シェーディングの補正前後のシェーディングの変化の一例を示している。
【0053】
図11(a)は補正前の垂直方向のシェーディングを示している。
【0054】
図11(b)は前記のゆるやかなシェーディングを示しており、OBクランプによって補正されるものである。
【0055】
図11(c)は、図11(a)に図11(b)のシェーディング相当の補正を行った(水平クランプにてゆるやかなダークシェーディングに追従して一律の黒レベル近辺にオフセットした)シェーディングを示している。
【0056】
該動作により、画像の垂直方向のシェーディングは解消され、黒レベルは所望のダーク出力値に補正することが出来る。
【0057】
以上のように、電源変動を加味した補正を行うことで、画質劣化させることなく速写性を向上させることができている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特許第4307320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0059】
しかしながら、上記対応を行なった場合に、電源変動状況が異なる撮影状態が発生した場合、その影響を補正しきれない場合が発生する。
【0060】
上記問題の例として、連写モードでの駆動を図8を用いて説明する。
【0061】
図12は、連写モードでの簡易シーケンスを示したものであり、図8で説明した中のΦRES(全画素分のN読み動作含む)と電源VDD、FD電位であるVFDを示している。
【0062】
連写で動かそうとした場合、繰り返し撮影の駒間で電源を落とすと連写性能を低下させる要因となるため、1駒目の動作終了後、電源VDDをオフすることなく、2駒目の撮影動作に入っている。
【0063】
したがって、1駒目は、電源投入でのリセット時の電源変動の影響で、VFDはリセット時と読み出し(『N読み』『S読み』)時で、電位差X1が発生する(図8説明と同様)。
【0064】
しかしながら、2駒目撮影時には、リセット時に電源が安定した状態にあり、読み出し(『N読み』『S読み』)時との差はほとんどない(電位差X2)状態となってしまう。
【0065】
この場合、1駒目は電源変動を加味した補正を行なうことで画質劣化を防ぐことができるが、2駒目以降は電源変動がないため、1駒目と同様の補正値を使用すると、VFDの影響にズレが生じるため、補正することで画質を劣化させてしまう可能性が発生してしまう。
【0066】
上記に示した問題を水平シェーディングの一例として図13に示す。
【0067】
図13(a)は、補正前の水平シェーディングを示しており、(a−1)は2駒目の電源安定状態でのシェーディングを示しており、(a−2)は1駒目の電源が安定する前のシェーディングを示している。
【0068】
図13(b)は、補正用データを示しており、1駒目(上記図13(a−2))に対応した電源変動を加味した補正データとなっている。
【0069】
図13(c)は、補正後の水平シェーディングを示しており、1駒目(図13(a−2))のシェーディングは図13(a−2)に示すとおり目論見どおりほぼ一定の出力に補正できているが、2駒目(図13(a−1))のシェーディングは、補正値にズレがあるため、補正残りが発生し、(図13(a−1))のように、シェーディングが発生してしまう。
【0070】
本問題を回避する方法として、リアルタイムでシェーディングデータを作成する方法があるが、データ作成等の処理時間により、連写の繰返し性能を低下させてしまう恐れもある。
【0071】
また、垂直シェーディングに関しても、OBクランプでリアルタイムに補正する為、所望のダーク出力値に補正できるが、クランプに使用するフィードバック係数kの設定により、補正する周波数が変わる。
【0072】
1駒目の電源変動がある状況においては、垂直方向での変動が大きいことが考えられる(特に画面上部での変動が大きいことが考えられる)ので、高周波に対応できる係数を設定することが必要であるが、2駒目以降は電源変動が安定しており、高周波に対応できる係数を設定することで、他のノイズ(高ISOでのランダムノイズ等)による影響を受けやすくなる為、1駒目の設定が必ずしも最適とは限らない。
【0073】
該垂直シェーディングの一例として図14に示す。
【0074】
図14(a)は、補正前の1駒目の垂直シェーディングを示しており、画面上部に急激な変化が生じている。
【0075】
図14(b)は、補正用データを示しており、高周波に対応する係数k1を使用した場合の補正値と、低周波に対応する係数k2を使用した補正値を示している。
【0076】
係数k1を使用した場合は上部の急激な変動に追従しているが、係数k2を使用した場合には上部の変動に対応できていない。
【0077】
図14(c)は、補正後の垂直シェーディングを示しており、係数k1を使用した場合の補正後の垂直シェーディングは上部の沈みが目論見どおり補正できているが、係数k2を使用した場合には上部の沈みが残ってしまう。
【0078】
しかし、高周波対応の係数k1を使用した場合のデメリットとしてはOB部にランダムノイズが多い場合に、ノイズ分での変動を含んでクランプしてしまう為、高周波の横縞を作ってしまう可能性が高い。特に、連写等で連続撮影後半は駆動し続けることによる発熱もあるためランダムノイズの発生が多くなる可能性が高い。
【0079】
本発明は、上記、速写性を重視した補正を考慮したうえで、連写時等の駆動モード変更がなされた場合でも、各々の駒での画質劣化を抑え、好適な画像を得ることができるようにするものである。
【0080】
なお、本発明の実施例上は、水平シェーディング補正および垂直シェーディング補正に関するデータを同時に変更しているが、本発明は、それに限定されるものではなく、例えば、レイアウト的に抵抗値が高くなる水平方向のみの補正値変更でも何ら問題ない。
【課題を解決するための手段】
【0081】
本発明は、第1に、撮像素子を使用し、撮影した画像を記録媒体に記録する撮像装置において、該撮像装置は選択的に切り替え可能な複数の撮影モードを備え、該撮影モードには少なくとも連続的に撮影動作を繰り返すことのできる連写モードを有し、該連写モード内での駆動において、所定駒前後で使用するシェーディング補正値を変更させる。
【0082】
また、第2に、所定駒は、1駒目とし、1駒目を超えた場合にシェーディング補正値を変更する。
【0083】
さらに、第3として、該撮像装置は、画像データを記録する記録媒体を備え、該所定駒は、記録媒体への書き込み動作を開始した後に撮影動作を行なう駒である。
【発明の効果】
【0084】
本発明により、速写性を重視したうえで、連写等の駆動モードでの挙動が駒毎に変化する場合でも、各々の駒での画質劣化を抑え、好適な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例における撮像装置の全体ブロック図
【図2】本発明の実施例における撮像装置の動作シーケンスフローチャート1
【図3】本発明の実施例における撮像装置の動作シーケンスフローチャート2
【図4】本発明の実施例におけるシェーディング補正例(水平)
【図5】本発明の実施例におけるシェーディング補正例(垂直)
【図6】本発明の実施例(変形例)における撮像装置の動作シーケンスフローチャート
【図7】一般的な撮像素子(CMOSセンサー)の等価回路例
【図8】撮像素子(CMOSセンサー)の撮像動作の詳細タイミングチャート
【図9】従来のシェーディング補正例(水平1)
【図10】一般的な撮像装置に用いられるアナログ・フロント・エンド(AFE)のブロック図
【図11】従来のシェーディング補正例(垂直1)
【図12】撮像素子(CMOSセンサー)の撮像動作の連写モードの駆動概要
【図13】従来のシェーディング補正例(水平2)
【図14】従来のシェーディング補正例(垂直2)
【発明を実施するための形態】
【0086】
[実施例1]
図1は実施の形態における撮像装置であるところの電子カメラの構成を示すブロック図である。
【0087】
該図において、110は撮像素子114上に光学像を結像させるレンズ、111は該レンズ110の制御を行なうレンズ制御部である。
【0088】
112はCMOSセンサー等であるところの撮像素子114の露光量を制御するシャッターである。
【0089】
114は光学像を電気信号に変換する撮像素子であり、本実施例上は撮像素子114としてCMOSセンサーを使用している(該CMOSセンサー114の詳細は既に図5にて説明済みであるため、ここでの詳細説明は割愛する。)。
【0090】
116は撮像素子114から出力されるアナログ信号をOBクランプ等の処理を行い、ディジタル信号に変換するアナログ・フロント・エンド(AFE)である(該AFE116の詳細は既に図10にて説明済みであるため、ここでの詳細説明は割愛する。)。
【0091】
117はデジタルフロントエンド(DFE)であり、各画素のデジタル出力を受けて補正や並び替え等をデジタル処理している。
【0092】
118は制御信号を供給するタイミング発生回路である。
【0093】
120は画像処理回路であり、AFE116からのデータあるいはメモリ制御回路122からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0094】
該120内には画像の補正等に使用するデータを展開するメモリ領域を含んだデータ演算領域120−1を備えており、画像処理の際に使用する補正データは後述するメモリ152より展開した状態で使用する。
【0095】
122はメモリ制御回路であり、AFE116、DFE117、タイミング発生回路118、画像処理回路120、画像表示メモリ124、メモリ130を制御する。
【0096】
124は画像表示メモリである。
【0097】
128はTFT方式のLCDからなる画像表示部である。
【0098】
130は撮影された静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を有している。
【0099】
140は周知のシャッター112を制御するシャッター制御部である。
【0100】
142はAF(オートフォーカス)処理を行うための測距手段であるところの測距制御部、146はAE(自動露出)処理を行うための測光手段であるところの測光制御部である。
【0101】
150は画像処理装置全体を制御するシステム制御回路であり、周知のCPUなどを内蔵する。また、該システム制御回路には、各動作毎の撮影駒数を計測する撮影カウンタcを備えている。
【0102】
152はシステム制御回路150の動作用の定数、変数、プログラムなどを記憶する記憶手段であるところのメモリであり、該メモリ152には予め設定されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2等が格納されている。
【0103】
ちなみに、HSHD1は、通常の駆動状態にて測定した結果を使用し、HSHD2は電源が安定した状態での特殊使用状態にて測定した結果を使用して求められたデータである。
【0104】
また、k1は通常の駆動状態にて測定した場合の追従性に対応した係数であり、k2は電源が安定した状態でのノイズの影響を低減できる係数である。
【0105】
154はシステム制御回路150でのプログラムの実行に応じて、動作状態やメッセージなどを表示する表示部である。
【0106】
156は後述するプログラムなどが格納された電気的に消去・記録可能なEEPROM等の記憶手段であるところの不揮発性メモリである。
【0107】
160はシステム制御回路150の各種動作指示を入力するための操作部であり、基本的なところで、押し込むことで段階的にオンし、撮影準備動作(AF、AE等)を行なうSW1と、撮影動作(シャッター制御・蓄積動作・読み出し動作)乃至画像処理・記録動作を行なうSW2からなるシャッタースイッチや、単写/連写を切り替える単写/連写スイッチ、各種システムに電源供給するためのメインスイッチ等が含まれている。
【0108】
180は電池検出回路やDC−DCコンバータ等から構成されている電源制御部、186はアルカリ電池やリチウム電池などからなる電源部である。
【0109】
1200はメモリカードやハードディスクなどの着脱可能な記録媒体である。
【0110】
図2および図3は画像処理装置の撮影動作処理手順を示すフローチャートである。
【0111】
S101は、電池交換などの電源投入により、システム制御回路150はフラグや制御変数等を初期化し、各部に対して必要な所定の初期設定を行う。
【0112】
S102は、システム制御部150は、メインスイッチの設定位置を判別し、電源がOFFに設定されているか否かを判別する。
【0113】
ステップS103は、電源がOFFに設定されている場合、各表示部の表示を終了状態に変更し、フラグや制御変数などを含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録し、電源制御部182により画像表示部128を含む各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0114】
ステップS104は、既に設定されているISO感度等の設定情報の読み出しを行なう。
【0115】
ステップS105は、ステップS102で電源ONに設定されていた場合、システム制御回路150は電源制御部182により電池などの電源186の残容量や動作状況が問題があるか否かを判別し、問題があると判別された場合はステップS106へ、問題がないと判別された場合はステップS107へ移行する。
【0116】
ステップS106は、表示部128に画像の表示や音声の出力により所定の警告を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0117】
ステップS107は、モードダイアルスイッチ160の設定位置を判断し、モードダイアルスイッチ160が撮影モードに設定されているか否かを判別し、モードダイアルスイッチ160がその他のモードに設定されている場合は、ステップS108へ、モードダイアルスイッチ60が撮影モードに設定されている場合はステップS109へ移行する。
【0118】
ステップS108は、選択されたモードに応じた処理を実行し、実行後にステップS102の処理に戻る。
【0119】
ステップS109は、記録媒体1200が装着されているか否かの判断、記録媒体1200に記録された画像データの管理情報の取得、および記録媒体1200の動作状態が、記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題があるか否かを判別し、問題があると判別された場合は既に説明済みであるステップS106へ、問題がないと判別された場合はステップS110へ移行する。
【0120】
ステップS110は、単写撮影/連写撮影を選択する操作部168内の単写/連写スイッチの選択状態を調べる。
【0121】
本ステップS110では、単写撮影が選択されている場合はステップS111へ、低速連写撮影が選択されている場合はステップS112へ、高速連写撮影が選択されている場合はステップS113へ移行する。
【0122】
ステップS111は、単写/連写フラグを『単写』(本実施例では第一の撮影モード)に設定する。
【0123】
ステップS112は、単写/連写フラグを『連写』(本実施例では第二の撮影モードに含む)に設定する。
【0124】
上記ステップS111乃至S112における単写/連写フラグの設定状態は、システム制御回路50の内部メモリあるいはメモリ152に記憶される。
【0125】
ステップS113は、表示部54を用いて画像や音声により各種設定状態の表示を行う。ここで、画像表示部128の画像表示スイッチがONである場合、画像表示部128を用いて画像や音声により各種設定状態を表示するようにしてもよい。
【0126】
ステップS114は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が押されていない場合、ステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押されている場合は、ステップS115へ移行する。
【0127】
ステップS115は、測距処理を行って撮影レンズ110の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値およびシャッター速度を決定する周知の測距・測光処理を行う。
【0128】
ステップS117は、連写などで連続して撮影される場合の撮影駒数をカウントする撮影カウンタcを初期化(“1”に設定)する。
【0129】
ステップS118は、シャッタースイッチSW2が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW2が押されていない場合はステップS114へ、シャッタースイッチSW2が押されている場合はステップS119へ移行する。
【0130】
ステップS119は、撮影カウンタcをチェックし、撮影された駒が何駒目かを判定して、cが所定駒数以下(例えば1駒目以下)だったらステップS120へ、cが所定駒数より大きければ(例えば2駒目以上)だったらステップS121へ移行する。
【0131】
ステップS120は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2の中から、HSHD1およびk1を選択し、データ演算領域120−1の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0132】
ここで選択される第1の補正データは、単写撮影時にも適応した補正データである。
【0133】
ステップS121は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2の中から、HSHD2およびk2を選択し、データ演算領域120−1メモリ130の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0134】
ステップS122は、撮影した画像データの記憶可能な画像記憶バッファ領域がメモリ130にあるか否かを判別し、メモリ130の画像記憶バッファ領域内に新たな画像データの記憶可能な領域がないと判別された場合はステップS123へ、新たな画像データの記憶可能な領域があると判別された場合はステップS124へ移行する。
【0135】
ステップS123は、表示部54に画像の表示や音声の出力により所定の警告を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0136】
ステップS124は、CMOSセンサー114に電源供給を開始し、所定の制御信号を送ると共に、シャッター112を所定時間開口し、CMOSセンサー114への露光動作を行なう撮影動作を行なう。
【0137】
該ステップS124では、読み出し動作も行い、後段のAFE116へ蓄積した電気信号の転送を行なう。その際にAFE116でのOBクランプ処理を行なうが、OBクランプで使用するフィードバック係数は、ステップS120もしくはステップS121で選択し、データ演算領域120−1のk領域に展開した係数を使用する。
【0138】
また、本ステップでCMOSセンサー114への電源供給を行なっているが、連写フラグに従って、連続撮影動作を繰り返している間は、CMOSセンサーへの電源はオフされない。
【0139】
ステップS125は、システム制御回路150は、データ演算領域120−1の所定領域に書き込まれた画像データの一部をメモリ制御回路122を介して読み出して現像処理を行うために必要なWB(ホワイトバランス)積分演算処理、OB(オプティカルブラック)積分演算処理を行い、演算結果をシステム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶し、システム制御回路50は、メモリ制御回路122、必要に応じて画像処理回路120を用いて、メモリ130の所定領域に書き込まれた撮影画像データを読み出し、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶した演算結果を用いて、AWB(オートホワイトバランス)処理、ガンマ変換処理、色変換処理を含む各種現像処理を行う。
【0140】
現像処理では、ステップS120もしくはステップS121で選択し、データ演算領域120−1のHSHD領域に展開した水平ダークシェーディング補正データを用いて減算処理を行うことにより、撮像素子114の固定パターンノイズ等を打ち消すダーク補正演算処理を併せて行う。
【0141】
このように、水平ダークシェーディング補正データを用いて補正演算処理を行う場合には、撮像素子114で発生する水平方向の固定パターンノイズによる画質劣化に対して補正ができる。
【0142】
ステップS126は、システム制御回路150は、現像された画像データを圧縮処理を行う。
【0143】
ステップS127は、システム制御回路150は、メモリ130の画像記憶バッファ領域に記憶された画像データを読み出し、メモリカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等の記録媒体1200に読み出した画像データを書き込む記録処理を開始する。
【0144】
この記録開始処理は、メモリ130の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影して一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
【0145】
なお、ステップS126乃至S127は、実際には、ステップS126のメモリ30の画像記憶バッファ領域へのデータ書き込みを行い、完了後にステップS127で記録媒体1200へのデータ読み出しを開始を順次行うが、今後の動作と並行しながら行なわれる。
【0146】
ステップS128では、システム制御回路150は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が離された状態である場合はステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押された状態である場合はステップS129へ移行する。
【0147】
ステップS129は、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶された単写/連写フラグの状態を判別し、単写が設定されていた場合はステップS129の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が離されるまで現在の処理を繰り返す。一方、連写が設定されていた場合は、ステップS130へ移行する。
【0148】
ステップS130は、撮影カウンタcをカウントアップ(1を加算)し、ステップS118の処理に戻って、次の撮影に備える。
【0149】
これが本発明における撮影に関する一連の処理が終了する。
【0150】
図4に上記に示した水平シェーディング補正の設定一例を示す。
【0151】
図4(a)は、補正前の水平シェーディングを示しており、(a−1)は1駒目のシェーディング、(a−2)は2駒目以降のシェーディングを示している。
【0152】
挙動の差は、すでに説明しているとおり、電源投入による変動の影響を受けているか否かの差である。
【0153】
図4(b)は、補正用データを示しており、(b−1)は1駒目のシェーディング補正値を示したHSHD1であり、(b−2)は2駒目以降のシェーディング補正値を示したHSHD2である。
【0154】
図4(c)は、補正後の水平シェーディングを示しており、1駒目のシェーディングと同様に、2駒目以降も目論見どおりほぼ一定の出力に補正できている。
【0155】
図5に上記に示した垂直シェーディング補正の設定一例を示す。
【0156】
図5(a)は、補正前の垂直シェーディングを示しており、(a−1)は1駒目のシェーディング、(a−2)は2駒目以降のシェーディングを示している。
【0157】
挙動の差は、すでに説明しているとおり、電源投入による変動の影響を受けているか否かの差である(画面上部の変動量に差がある。)。
【0158】
図5(b)は、補正用データを示しており、(b−1)は1駒目のOBクランプのフィードバック係数k1を使用した場合の補正値であり、(b−2)は2駒目以降のOBクランプのフィードバック係数k2を使用した場合の補正値である。
【0159】
図5(c)は、補正後の垂直シェーディングを示しており、1駒目のシェーディングと同様に、2駒目以降も目論見どおりほぼ一定の出力に補正できている。
【0160】
[変形例]
前記本発明の第1の実施例では、連写の起動時の変動の影響を抑制するために、所定駒数を1駒目として、シェーディング補正値を切り替えを行なったが、実際には電源変動は起動時のみではない。
【0161】
例えば、前記図3のステップS127の撮像装置内のメモリ130から記録媒体1200への画像データの移行が開始される前後では、電源に対する負荷が変わるため、電位変動が発生する場合が考えられる。
【0162】
そこで、記録媒体1200へのデータ転送が開始される前後で、補正値の変更を行なう例を図6を用いて説明する。
【0163】
図6は本発明の実施例(変形例)の画像処理装置の撮影動作処理手順を示すフローチャートであり、既に説明済みの図2の継続動作として設定している
ちなみに前記実施例においては、図1の152には該メモリ152には予め設定されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2と記載しているが、本変形例においては、第3の補正値としてHSHD3、k3が格納されているものとする。
【0164】
該HSHD3、k3はHSHD3は電源安定状態で且つ負荷(記録媒体への転送相当)駆動状態にて測定した結果を使用して求められたデータとする。)
ステップS214は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が押されていない場合、ステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押されている場合は、ステップS215へ移行する。
【0165】
ステップS215は、測距処理を行って撮影レンズ110の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値およびシャッター速度を決定する周知の測距・測光処理を行う。
【0166】
ステップS217は、連写などで連続して撮影される場合の撮影駒数をカウントする撮影カウンタcを初期化(“1”に設定)する。
【0167】
ステップS218は、シャッタースイッチSW2が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW2が押されていない場合はステップS214へ、シャッタースイッチSW2が押されている場合はステップS219へ移行する。
【0168】
ステップS219は、撮影カウンタcをチェックし、撮影された駒が何駒目かを判定して、cが第1の所定駒数n以下(例えば1駒目以下)だったらステップS220へ、cが第1の所定駒数nより大きく第2の所定駒数z以下であれば(例えば2駒目以上4駒目以下)だったらステップS221へ、cが第2の所定駒数zより大きければ(例えば5駒目以上)ステップS222へ移行する。
【0169】
ステップS220は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1およびHSHD2、OBクランプ時の係数k1およびk2の中から、HSHD1およびk1を選択し、データ演算領域120−1の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0170】
ステップS221は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1・HSHD2・HSHD3、OBクランプ時の係数k1・k2・k3の中から、HSHD2およびk2を選択し、データ演算領域120−1メモリ130の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0171】
ステップS222は、予めメモリ152に保存されている水平シェーディング補正データHSHD1・HSHD2・HSHD3、OBクランプ時の係数k1・k2・k3の中から、HSHD3およびk3を選択し、データ演算領域120−1メモリ130の所定領域(HSHD、k)に展開する。
【0172】
ステップS223は、撮影した画像データの記憶可能な画像記憶バッファ領域がメモリ130にあるか否かを判別し、メモリ130の画像記憶バッファ領域内に新たな画像データの記憶可能な領域がないと判別された場合はステップS224へ、新たな画像データの記憶可能な領域があると判別された場合はステップS225へ移行する。
【0173】
ステップS224は、表示部54に画像の表示や音声の出力により所定の警告を行った後、ステップS102の処理に戻る。
【0174】
ステップS225は、CMOSセンサー114に電源供給を開始し、所定の制御信号を送ると共に、シャッター112を所定時間開口し、CMOSセンサー114への露光動作を行なう撮影動作を行なう。
【0175】
該ステップS225では、読み出し動作も行い、後段のAFE116へ蓄積した電気信号の転送を行なう。その際にAFE116でのOBクランプ処理を行なうが、OBクランプで使用するフィードバック係数は、ステップS220乃至ステップS222で選択し、データ演算領域120−1のk領域に展開した係数を使用する。
【0176】
また、本ステップでCMOSセンサー114への電源供給を行なっているが、連写フラグに従って、連続撮影動作を繰り返している間は、CMOSセンサーへの電源はオフされない。
【0177】
ステップS226は、システム制御回路150は、メモリ130の所定領域に書き込まれた画像データの一部をメモリ制御回路122を介して読み出して現像処理を行うために必要なWB(ホワイトバランス)積分演算処理、OB(オプティカルブラック)積分演算処理を行い、演算結果をシステム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ52に記憶し、システム制御回路50は、メモリ制御回路122、必要に応じて画像処理回路120を用いて、メモリ130の所定領域に書き込まれた撮影画像データを読み出し、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶した演算結果を用いて、AWB(オートホワイトバランス)処理、ガンマ変換処理、色変換処理を含む各種現像処理を行う。
【0178】
現像処理では、ステップS220乃至ステップS222で選択し、データ演算領域120−1のHSHD領域に展開した水平ダークシェーディング補正データを用いて減算処理を行うことにより、撮像素子114の固定パターンノイズ等を打ち消すダーク補正演算処理を併せて行う。
【0179】
このように、水平ダークシェーディング補正データを用いて補正演算処理を行う場合には、撮像素子114で発生する水平方向の固定パターンノイズによる画質劣化に対して補正ができる。
【0180】
ステップS227は、システム制御回路150は、現像された画像データを圧縮処理を行う。
【0181】
ステップS228は、システム制御回路150は、メモリ130の画像記憶バッファ領域に記憶された画像データへの記録を行なう。
【0182】
ステップS229は、撮影カウンタcをカウントアップ(1を加算)する。
【0183】
ステップS230は、撮影カウンタcをチェックし、撮影された駒が何駒目かを判定して、cが第2の所定駒数zより大きければ(例えば5駒目以上)だったらステップS232へ、cが第2の所定駒数z以下であれば(例えば4駒目以下)だったらステップS231へ移行する。
【0184】
ステップS231は、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶された単写/連写フラグの状態を判別し、単写が設定されていた場合はステップS232へ移行し、連写が設定されていた場合は、ステップS233へ移行する。
【0185】
ステップS232は、メモリ130の画像記憶バッファ領域に記録された画像データを、メモリカードやコンパクトフラッシュカード等の記録媒体1200に書き込む記録処理を開始する。
【0186】
この記録開始処理は、メモリ130の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、撮影して一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
【0187】
なお、該ステップS232は、今後の動作と並行しながら行なわれる。
【0188】
ステップS233では、システム制御回路150は、シャッタースイッチSW1が押されているか否かを判別し、シャッタースイッチSW1が離された状態である場合はステップS102の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が押された状態である場合はステップS234へ移行する。
【0189】
ステップS234は、システム制御回路150の内部メモリあるいはメモリ152に記憶された単写/連写フラグの状態を判別し、単写が設定されていた場合はステップS233の処理に戻り、シャッタースイッチSW1が離されるまで現在の処理を繰り返す。一方、連写が設定されていた場合は、ステップS218へ移行する。
【0190】
これが本発明における撮影に関する一連の処理が終了する。
【0191】
以上のような処理を加えることで、記録媒体1200への書き込み動作の有無により発生する電源変動での影響も併せて回避でき、好適な画像を得ることができる。
【0192】
なお、前記本発明の実施例(変形例)は、記録媒体1200への書き込み動作を所定駒から開始するよう設定しているが、本発明は、それに限ったものではなく、例えば、シャッター速度や画像サイズから想定される撮影動作の所要時間と、画像データのサイズと、メモリ130の画像記憶バッファ領域のサイズから想定される、記録媒体1200への読み出し開始のタイミングでシェーディング補正に関するデータの変更を行なってもよい(例えば、バッファ領域への転送中に2駒目の撮影が完了し、3駒目に記録媒体1200への読み出しが開始される場合、シェーディング補正値の変更を3駒目に行なう等。)。
【符号の説明】
【0193】
1:フォトダイオード(PD)
2:転送スイッチ(TX)
3:リセットスイッチ(TRES)
4、5:基準電源
6:行選択スイッチ
7:負荷電流源
8:第1のスイッチ
9:第2のスイッチ
10:ソースフォロア(SF)
11:フローティングディフュージョン
13:垂直出力線
14:垂直走査回路
15a、15b:転送ゲート(TS、TN)
16:信号蓄積部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を使用し、撮影した画像を記録媒体に記録する撮像装置において、該撮像装置は選択的に切り替え可能な複数の撮影モードを備え、該撮影モードには少なくとも連続的に撮影動作を繰り返すことのできる連写モードを有し、該連写モード内での駆動において、所定駒前後で使用するシェーディング補正に関するデータを変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
所定駒は、1駒目であり、1駒目を超えた場合に使用するシェーディング補正に関するデータを変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
画像データを記録する記録媒体を備え、該所定駒は、記録媒体への書き込み動作を開始した後に撮影動作を行なう駒であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像素子を使用し、撮影した画像を記録媒体に記録する撮像装置において、該撮像装置は選択的に切り替え可能な複数の撮影モードを備え、該撮影モードには少なくとも連続的に撮影動作を繰り返すことのできる連写モードを有し、該連写モード内での駆動において、所定駒前後で使用するシェーディング補正に関するデータを変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
所定駒は、1駒目であり、1駒目を超えた場合に使用するシェーディング補正に関するデータを変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
画像データを記録する記録媒体を備え、該所定駒は、記録媒体への書き込み動作を開始した後に撮影動作を行なう駒であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−106222(P2013−106222A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249324(P2011−249324)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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