説明

放射線検出器および放射線検査装置

【課題】 空間分解能および検出効率を向上可能な放射線検出器および放射線検査装置を提供する。
【解決手段】 検出器11は、半導体検出素子21−1を有する第1検出基板14aと、半導体検出素子21−2を有する第2検出基板14bとがX軸方向に交互に密に積層された構成とし、略Y方向に入射するガンマ線を検出する。第1配線基板33には、その先端部33a上に半導体検出素子21−1がガンマ線の入射面21aを−Y方向に向けて設けられ、その基部側に、下側にある半導体検出素子21−2の電極23に接触しないように屈曲部33bが設けられる。また、検出器は一つの配線基板に2つの半導体検出素子をX軸方向に高さを異ならせて設ける構成としてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器および放射線検査装置に関し、特に、被検体内にある放射性同位元素からのガンマ線を検出する放射線検出器および放射線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の精密情報が得られる装置としてポジトロン断層撮影(PET)装置がある。PET装置を用いた診断方法は、まず、ポジトロン(陽電子)核種で標識された検査用薬剤を、注射や吸入等により被検体の体内に導入する。体内に導入された検査用薬剤は、検査用薬剤に応じた機能を有する特定の部位に蓄積される。例えば、糖類の検査用薬剤を用いた場合、ガン細胞等の新陳代謝の盛んな部位に選択的に蓄積される。このとき、検査用薬剤のポジトロン核種から陽電子が放出され、放出された陽電子と周囲の電子とが結合して消滅する際に2つのガンマ線が互いに約180度の方向に放出される。そこで、この2つのガンマ線を被検体の周りに配置したガンマ線検出器により同時検出し、コンピュータ等で処理することにより被検体における放射性同位元素の分布画像データを取得する。精密診断装置として用いられるCTスキャン(コンピュータ断層撮影)装置が体内の病変等の構造情報が得られるのに対し、PET装置は、被検体の体内の機能情報が得られるため、様々な難病の病理解明が可能である。
【0003】
PET装置では、ポジトロン核種から互いに約180度の方向に放出される2つのガンマ線を、被検体を挟む一対のガンマ線検出器が同時に検出した場合に有効なデータと判定される。同時刻に入射したガンマ線が一つしか検出されない場合は無効なデータとして廃棄される。
【0004】
ところで、従来はガンマ線検出器としてシンチレータとフォトマルチプライアを用いていた(例えば特許文献1参照。)。シンチレータとフォトマルチプライアを組み合わせたセルは、ガンマ線の入射方向に対して直交する入射面が4mm角程度の大きさがある。PET装置のガンマ線検出器の空間分解能は、入射面が小さいほど向上する。空間分解能は、ガンマ線を発生した2つのポジトロン核種が近接して被検体に存在する場合、2つのポジトロン核種を別々なものとして検出できる最小距離をいう。空間分解能が向上するほど、ポジトロン核種の存在する位置をより精確かつ精密に同定でき、その結果被検体の機能情報がより正確に得られる。
【0005】
しかし、フォトマルチプライアをこれよりも小型化することは困難であるためセルの小型化には限界があった。したがって、このようなガンマ線検出器の場合、空間分解能の向上には限界があった。
【0006】
そこで、シンチレータとフォトマルチプライアの組み合わせよりも小型化が可能な半導体検出素子が用いられるようになってきた(例えば特許文献2参照。)。半導体検出素子は、CdTe等の半導体結晶体の対向する2つの面に一対のバイアス印加電極と信号取出し電極を設けたものである。半導体結晶体に入射したガンマ線により電子正孔対が発生し、バイアス電界により誘導されて信号取出し電極から電荷あるいは電圧として信号が取出される。
【0007】
半導体検出素子は、半導体結晶体を針状の細い直方体に切出してその側面に電極を設け、その端面をガンマ線の入射面とすることで、小型化を図れる。このような半導体検出素子を用いることでガンマ線検出器の空間分解能が大幅に向上することが期待される。
【特許文献1】特開平8−5746号公報
【特許文献2】特開平11−344568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半導体検出素子を回路基板に搭載し、多数の回路基板をその厚さ方向に積層して配置する場合、厚さ方向に隣接する半導体検出素子間の間隙はガンマ線を検出できない領域、いわゆるデッドスペースとなる。この間隙が大きい場合、入射するガンマ線のうち検出できないガンマ線の割合が増加する。すなわち、検出効率(入射するガンマ線に対する検出可能なガンマ線の割合)が低下する。特に半導体検出素子を小型化した場合、半導体検出素子の数が多くなるほど、ガンマ線の入射面の面積に対して、隣接する半導体検出素子間の間隙の面積の総計の割合は増大し易い。そうすると検出効率が大幅に低下するという問題が生じる。また、ガンマ線検出器の空間分解能が低下するという問題を生じる。
【0009】
この間隔を低減するため、回路基板の厚さを低減したり、上下の回路基板との距離を狭める手法が考えられる。しかし、回路基板の強度や、上下の回路基板との電気的な接触を回避するため、これらの手法では限界がある。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、空間分解能を向上すると共に検出効率を向上可能な放射線検出器および放射線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一観点によれば、略第1の方向から入射するガンマ線を検出する放射線検出器であって、前記第1の方向と直交する第2の方向に互いに離隔して配置された複数の第1の半導体検出素子と、前記第2の方向に隣接する2つの第1の半導体検出素子間を通過するガンマ線が入射可能な位置に配置された第2の半導体検出素子と、を備えることを特徴とする放射線検出器が提供される。
【0012】
本発明によれば、複数の第1の半導体検出素子は、ガンマ線が入射する第1の方向と直交する第2の方向に互いに離隔して配置されている。第2の半導体検出素子は、隣接する2つの第1の半導体検出素子の間を通過したガンマ線が入射する位置に配置されている。したがって、第1および第2の半導体検出素子が、第2の方向に沿って密に配置される。その結果、ガンマ線が入射する仮想的な面の総面積に対して、第1および第2の半導体検出素子のガンマ線の入射面の総計の面積の割合(入射面の有効率)が増加する。したがって、放射線検出器に入射するガンマ線に対して検出可能なガンマ線の割合、すなわち放射線検出器の検出効率が増加する。また、第2の方向において、第1および第2の半導体検出素子が密に配列されるので、放射線検出器の空間分解能が向上する。
【0013】
前記第1の半導体検出素子は、該第1の半導体検出素子を支持すると共に電気的に接続される第1の配線基板上に設けられ、前記第2の半導体検出素子は、該第2の半導体検出素子を支持すると共に電気的に接続される第2の配線基板上に設けられ、前記第1の配線基板および第1の半導体検出素子と、第2の配線基板および第2の半導体検出素子とは第2の方向に離隔して交互に配置され、前記第1の半導体検出素子は、第1の方向において、第2の半導体検出素子よりもガンマ線が入射する側に配置され、前記第2の半導体検出素子は、第2の方向において、隣接する2つの第1の半導体検出素子間の間隙に相当する位置に配置されてなる構成にしてもよい。このようにすることで、第2の方向に隣接する2つの第1の半導体検出素子の間を通過したガンマ線が第2の半導体検出素子に入射するので、放射線検出器の検出効率が増加する。
【0014】
また、前記第1の配線基板は、その第2の方向に隣接する第2の半導体検出素子と接触を回避する形状で設けられてもよい。このようにすることで、第2の半導体素子の上面に設けられる電極と配線基板の電気的な短絡を防止できると共に、第1および第2の半導体検出素子を第2の方向に沿って密に配置できる。
【0015】
前記第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子は、該第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子を支持すると共に電気的に接続される第3の配線基板上に設けられ、前記第1の半導体検出素子が、第2の半導体検出素子よりも第1の方向においてガンマ線が入射する側に配置され、前記第2の半導体検出素子が、前記第1の半導体検出素子の高さと略同等の高さを有する凸部上に設けられる構成にしてもよい。このようにすることで、ガンマ線が入射する第1の方向から視て、第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子の各々の入射面が露出するようになる。これは、配線基板に一個の半導体検出素子を設け、この検出基板を第2の方向に単に複数配置した場合よりも、入射面の有効率が増加する。したがって、放射線検出器は検出効率が増加すると共に空間分解能が向上する。
【0016】
前記第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子は、一の端面をガンマ線が入射する入射面とする板状の半導体結晶体と、その厚さ方向に直交する第1の主面および第2の主面の各々に設けられた第1の電極部および第2の電極部と、を有し、前記第1の電極部は、第1の主面を略覆うように形成された金属膜からなり、前記第2の電極部は、第2の主面に入射面に沿って略等間隔で配列された複数の電極からなり、該電極から検出信号が取出される構成としてもよい。
【0017】
このような構成とすることで、小型化した個々の半導体結晶体にそれぞれ電極を設けそれらを配列する場合よりも、板状の半導体結晶体の面に複数の電極を形成した方が密に電極を形成できる。電極の間隔が一個の半導体検出素子の間隔に相当するので、半導体検出素子の一単位を小型化できる。その結果、放射線検出器の空間分解能をいっそう向上できる。また、本発明の放射線検出器は、個々の半導体結晶体に電極を設けそれらを配列する場合よりも、半導体結晶体に与える損傷を抑制でき、半導体検出素子のS/N比や高周波特性の劣化を防止できる。
【0018】
前記半導体検出素子は、第2の電極部側を配線基板、第1の配線基板、あるいは第2の配線基板上に接合部を介して接合され、前記接合部は、低温はんだバンプ、導電ペースト、および異方性導電フィルムからなる群のうちいずれかからなる構成としてもよい。接合部に低温はんだバンプや、導電ペースト、異方性導電フィルムを用いることで、半導体検出素子に与える応力や熱による悪影響、例えばいわゆる分極現象が生じ易くなるのを抑制できる。したがって、半導体検出素子のS/N比や高周波特性の劣化を防止できる。
【0019】
本発明のその他の観点によれば、放射性同位元素を含む被検体の周囲に該被検体を囲むように配置され、該放射性同位元素から発生するガンマ線を検出する、上記のいずれかの放射線検出器を有する検出手段と、前記検出手段から取得した検出データに基づいて前記放射性同位元素の被検体内における分布情報を取得する情報処理手段と、を備える放射線検査装置が提供される。
【0020】
本発明によれば、優れた空間分解能および検出効率を有する放射線検査装置を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空間分解能を向上すると共に検出効率を向上可能な放射線検出器および放射線検査装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照しつつ実施の形態を説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るPET装置の構成を示すブロック図である。図1を参照するに、PET装置10は、被検体Sの周囲に配置され、ガンマ線を検出する検出器11と、検出器11からの検出データを処理し、得られた被検体Sの体内のポジトロン核種RIの位置の画像データを再生成する情報処理部15と、画像データを表示等する表示部16と、被検体Sや検出器11の移動等の制御を行う制御部17と、情報処理部15や制御部17に指示を送る端末や画像データを出力するプリンタ等からなる入力部18等から構成される。
【0024】
検出器11は、予め被検体Sにポジトロン核種RIで標識化された検査用薬剤を導入し、被検体Sから放出されるガンマ線γa、γbを検出する。検出器11は半導体検出素子21と検出回路13とが設けられた複数の検出基板14からなる。半導体検出素子21は被検体Sに面するように配置され、ポジトロン核種RIからの陽電子の消滅の際に同時に発生する2つのガンマ線γa、γbを検出する。2つのガンマ線γa、γbは、互いに略180度をなして放出されるので、被検体Sを挟んで対向する検出器11の半導体検出素子21に入射する。ガンマ線γa、γbが入射した2つの半導体検出素子21の各々は、ガンマ線γa、γbの入射により生じる電気信号(検出信号)を検出回路13に送出する。
【0025】
検出回路13は、検出信号から、ガンマ線γa、γbが検出素子に入射した時刻(入射時刻)を決定し、入射時刻と、ガンマ線γa、γbを検出した半導体検出素子21の番号等(検出データ)を情報処理部15に送出する。
【0026】
情報処理部15では、検出データに基づいてコインシデンス検出および画像再生成アルゴリズムによる画像データの再生成を行う。コインシデンス検出は、入射時刻が略一致する2つ以上の検出データがある場合、それらの検出データを有効と判定し、コインシデンス情報とする。また、コインシデンス検出は、ガンマ線入射時刻が一致しない検出データを無効と判定し破棄する。そして、コインシデンス情報と、コインシデンス情報に含まれる検出素子番号等と、これに対応する検出素子の位置情報等から所定の画像再生成アルゴリズム(例えば、期待値最大化(Expectation Maximization)法)に基づいて画像データを再生成する。表示部16は、入出力部18の要求に応じて再生成された画像データを表示する。
【0027】
以上の構成および動作により、PET装置10は、被検体Sの体内に選択的に位置するポジトロン核種RIからのガンマ線を検出し、ポジトロン核種RIの分布状態の画像データを再生成する。本実施の形態に係るPET装置10は、検出器11に主な特徴がある。以下、検出器11を詳しく説明する。
【0028】
図2は、第1の実施の形態に係るPET装置の検出器の配置を模式的に示す図である。
【0029】
図2を参照するに、PET装置の検出器111〜118は、被検体Sの周囲に360度にわたって配置される。各々の検出器111〜118には、被検体S側に半導体検出素子21が設けられている。検出器111〜118をこのように配置して、被検体Sから同時に放射される2つのガンマ線を検出する。ここで、被検体Sの体軸方向をZ軸方向(Zおよび−Z方向)とする。検出器111〜118は、X−Y平面に沿って配置される。検出器11は、被検体Sと相対的にZ軸方向に移動可能としてもよい。なお、図2において8個の検出器111〜118、および一つの検出器111〜118に6個の検出基板14が格納されているがこれらの数は一例過ぎず、検出器および検出基板の数は適宜選択される。
【0030】
図3は、検出器を構成する第1例の半導体検出素子の斜視図である。図3は、図2に示す検出器111に設けられた半導体検出素子を例として示している。図3のX軸、Y軸、およびZ軸は、図2に示すものと同様の方向とする。
【0031】
図3を参照するに、第1例の半導体検出素子21は、薄板状の半導体結晶体22と、厚さ方向(X軸方向)に直交する面の各々に形成された電極23、241〜246からなる。半導体結晶体22は、その材料としては、例えば、エネルギーが511keVのガンマ線に有感なテルル化カドミウム(CdTe)、Cd1-xZnxTe(CZT)、臭化タリウム(TlBr)などが挙げられる。CdTeは漏れ電流を低減する点でCl(塩素)をドープしたものでもよい。半導体結晶体22は、例えば、厚さ(X軸方向)が約0.5mm、奥行き(Y軸方向)が約10mm、幅(Z軸方向)が約10mm程度の寸法を有する。半導体結晶体22は幅が長いほど、ガンマ線の入射面の面積が広がるので好ましいが、製造容易性等の製造上の都合により5mm〜30mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0032】
電極23は、半導体結晶体22の厚さ方向(X軸方向)に直交する一つの面を略覆う金属膜からなる。半導体結晶体22がCdTeからなる場合で、正極のバイアス電圧Vbを印加する設定のときは、電極23をInとする。これにより電極23とCdTeとの間にショットキー接合を形成する。バイアス電圧Vbは、直流電圧で例えば60V〜1000Vに設定する。
【0033】
電極241〜246は、電極23が設けられた面と対向する面に設けられる。電極241〜246は、ストライプ状であり、厚さ(X軸方向)が約1mm、奥行き(Y軸方向)が半導体結晶体22のY軸方向の長さと略同等の長さ、幅(Z軸方向)が約0.3mmの幅を有する。また、電極241〜246のZ軸方向の間隔L1は、約0.5mm程度に設定される。間隔L1は、小さいほど、ガンマ線の検出位置精度が向上し、その結果検出器の空間分解能が向上するが、0.25mm〜1.5mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0034】
また、電極241〜246はガンマ線の入射により生じた検出信号を取出すための電極である。各々の電極241〜246は、各電極24毎に設けられた検出回路(図2に示す検出回路13)に接続される。このように電極241〜246をZ軸方向に配置することで、半導体結晶体22の入射面21a(半導体結晶体22のX−Z面に平行な面)に入射したガンマ線のZ軸方向の位置が特定される。すなわち、半導体結晶体22中に入射したガンマ線γbは光電変換によりそのエネルギーに応じた数の電子正孔対(電荷)を形成する。そして、半導体結晶体22には、電極24に対して電極23が正電圧となるようにバイアス電圧Vbが印加されている。このバイアス電圧Vbよる電界によって、電子は電極23に移動し、正孔は入射位置にもっとも近接した電極241〜246のいずれかに移動し検出信号として取出される。例えば、図3に示すように、ガンマ線γbが電極242付近に入射した場合は、電極242から検出信号が取出される。検出信号は検出回路に送出され、ガンマ線γbの入射時刻と共に、電極242が位置情報として検出データになる。なお、ガンマ線γbが、例えば電極242と電極243との間付近の入射面21aに入射した場合は、電極242および電極243の両方に検出信号が現れる。この場合は、図1に示す情報処理部15により、電極242と電極243との間に入射したもの、あるいは、電極242および電極243のうち、検出信号の出力値が高い方の電極に入射したものとして処理される。
【0035】
次に、図3を参照しつつ第1例の半導体検出素子21の形成方法を説明する。最初に、半導体の結晶成長法であるブリッジマン法や、移動加熱法を用いて、半導体結晶を形成し、所定の結晶方位に切出して半導体結晶体22を得る。
【0036】
次いで、電極23、241〜246は、真空蒸着法またはスパッタ法により、PtあるいはIn材の蒸着源またはスパッタターゲットを用いて、半導体結晶体22の各々の面に蒸着する。次いで、電極24は、フォトリソグラフィ法およびエッチングによりストライプ状にパターニングする。以上により第1例の半導体検出素子21が形成される。
【0037】
第1例の半導体検出素子21は、板状の半導体結晶体22の表面に複数の電極241〜246を設け、入射面21aから入射したガンマ線が発生した電子正孔対に起因する検出信号は、入射位置に近接した電極から取出される。半導体検出素子21は、電極間隔と電極幅を狭めるほど、Z方向の検出位置精度が向上する。
【0038】
一方、本発明によらず、半導体結晶体を細かく切出して針状の直方体として、その直方体に一対の電極を設け、これらを配列した半導体検出素子も考えられる。しかし、このような直方体の半導体結晶体を配列する際に、半導体結晶体間の接着層等が必要となるため、ガンマ線に不感なデッドスペースが増加しまう。
【0039】
したがって、第1例の半導体検出素子21は、半導体結晶体を小型化しその
各々の半導体結晶体に一対の電極を設ける場合よりも、半導体検出素子21の一単位を小型化できる。その結果、このような半導体素子を備える検出器の空間分解能を向上できる。
【0040】
また、第1例の半導体検出素子21の電極23、241〜246の形成方法は、半導体結晶体22の表面に与える損傷等の悪影響を低減できるため、CdTeのような衝撃により歪みが入り易い半導体結晶体22に特に好ましい。
【0041】
なお、第1例の半導体検出素子22の代わりに、次に説明する第2例の半導体検出素子のように構成してもよい。
【0042】
図4は、第2例の半導体検出素子の斜視図である。第2例の半導体検出素子は、正電圧のバイアスを印加する電極側から検出信号を取出す場合である。図4のX軸、Y軸、およびZ軸は、図3に示すものと同様の方向とする。
【0043】
図4を参照するに、第2例の半導体検出素子26は、薄板状の半導体結晶体22と、厚さ方向(X軸方向)に直交する面の各々に形成された電極231〜236、24からなる。半導体結晶体27は、図3に示す半導体結晶体22と同様の材料からなる。
【0044】
半導体結晶体27は、電極231〜236側の面には、Y軸方向に沿って凹部27aが形成されている。隣接する凹部27aと凹部27aとの間の半導体結晶体27の表面(凸部の表面)には電極231〜236が形成されている。Z軸方向の電極231〜236の間隔L2は約0.5mm程度に設定される。間隔L2は小さいほどガンマ線の検出位置精度が向上し、その結果検出器の空間分解能が向上するが、0.25mm〜1.5mmの範囲に設定されることが好ましい。
【0045】
また、半導体結晶体27は、図3に示す半導体結晶22とほぼ同じ大きさを有する。凹部27aが設けられている部分の厚さ(凹部27aの底面から対向する面までの距離)は、0.2mm〜0.9mmの範囲に設定することが好ましい。
【0046】
電極231〜236はInからなり、正電圧のバイアス電圧Vbが抵抗を介して接続されると共に、各電極毎に設けられた検出回路に接続される。
【0047】
電極24は、半導体結晶体22の一面を略覆うように設けられた、例えばPtからなる金属膜である。電極24は接地されるかあるいは負電圧電源と電気的に接続される。
【0048】
第2例の半導体検出素子26は、第1例の半導体検出素子と同様の機能を有する。さらに、第2例の半導体検出素子26は、電極231〜236間に凹部27aを設けることで、ガンマ線の入射により発生した電子を第1例の半導体検出素子の正孔の場合よりも一つの電極に集中させることができる。したがって、第2例の半導体検出素子26は、第1例の半導体検出素子の場合よりも検出信号がより大きな電荷量あるいは出力電圧を有するようになる。したがって、検出信号のS/N比が向上し、例えば入射時刻がより精確に決定できるようになる。
【0049】
図4を参照しつつ第2例の半導体検出素子の形成方法を説明する。最初に、上述した方法と同様にして半導体結晶体27を得る。次いで、半導体結晶体27の一方の面にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ法によりY軸方向に沿ってレジスト膜にストライプ状に開口部を設ける。次いで、レジスト膜およびその開口部を覆うように、真空蒸着法またはスパッタ法により、In材の蒸着源またはスパッタターゲットを用いてIn膜を形成する。次いで、レジスト膜をその上に形成されたIn膜と共に除去する。このようにして、ストライプ状のInからなる電極231〜236が形成される。
【0050】
次いで、隣接する電極231〜236間の半導体結晶体27をRIE法等により選択的にエッチングして凹部27aを形成する。なお、半導体結晶体27の他方の面には真空蒸着法またはスパッタ法によりPt膜をベタに形成し、電極23とする。以上により第2例の半導体検出素子27が形成される。
【0051】
第2例の半導体検出素子は、第1例の半導体素子と同様の効果、すなわち、半導体検出素子26の一単位の小型化を図れる。さらに、第2例の半導体検出素子は、第1例の半導体素子よりも検出信号のS/N比を向上できる。
【0052】
なお、図3に示す電極241〜246および図4に示す電極231〜236では、電極が6本の場合を示しているが、6本に限定されず、2本〜5本でもよく、7本以上、例えば10本あるいは20本でもよい。
【0053】
図5は検出器の要部断面図、図6は、検出器の要部をガンマ線の入射側から視た図である。図5および図6は、図2における検出器111を一例として示している。X軸、Y軸、およびZ軸は、図2と同様の方向に設定している。すなわち、被検体からのガンマ線はY方向に向かって入射する。
【0054】
図5および図6を参照するに、検出器11は、半導体検出素子21−1が設けられた第1検出基板14aと、半導体検出素子21−2が設けられた第2検出基板14bとがX軸方向に交互に積層されて構成される。
【0055】
第1検出基板14aは、半導体検出素子21−1と第1配線基板33等からなる。半導体検出素子21−1は、上述した第1例の半導体検出素子である。第1配線基板33は、例えば、可撓性の配線基板、例えば、ポリイミド等の樹脂基板と、電極パッド36、37や配線層(不図示)からなる。
【0056】
半導体検出素子21−1は、第1配線基板33の先端部33a上に入射面21aを−Y方向に向けて設けられている。半導体検出素子21−1の基部側には屈曲部33bが設けられる。屈曲部33bは、その下側にある第2検出基板14bの半導体検出素子21−2の電極23に接触しないように設けられたものである。屈曲部33bは、半導体検出素子21−2の電極23を避ける形状であれば、その形状は制限されない。第1配線基板33は、可撓性を有するので容易に屈曲部33bを設けることができる。なお、第1配線基板33は、屈曲部33bを予め成型等で形成する場合は、可撓性の配線基板を用いなくてもよい。
【0057】
第2検出基板14bは、半導体検出素子21−2と第2配線基板34等からなる。半導体検出素子21−2は上述した第1例の半導体検出素子である。第2配線基板34は、特に限定されないが、例えば、単板のセラミック基板や、多層セラミック基板、多層プリント配線板(例えば、ガラス布エポキシ樹脂積層板やガラス布ポリイミド樹脂積層板)からなる。第2配線基板34は、半導体検出素子の半導体結晶体がCdTeの場合で、半導体検出素子を加熱して接合するときは、AlNからなる単板あるいは多層基板が好ましい。これにより、CdTeとAlNとの熱膨張係数が同程度のため、接合後にCdTeに第2配線基板34から印加される応力を低減できる。
【0058】
また、半導体検出素子21−2は、第2配線基板34の先端部34a上に入射面21aを−Y方向に向けて設けられている。
【0059】
なお、第1検出基板33および第2検出基板34の基部には、図示が省略されているが、検出回路が搭載された半導体チップが設けられる。半導体チップには、半導体検出素子21−1、21−2の信号取出しの電極241〜246の数と少なくとも同数の検出回路が搭載される。半導体チップは、半導体検出素子21−1、21−2と第1配線基板33あるいは第2配線基板34に設けられた配線層(不図示)を介して電気的に接続される。
【0060】
第1検出基板14aの半導体検出素子21−1は、第2検出基板14bの半導体検出素子21−2よりもガンマ線が入射する側(−Y方向)に設けられる。半導体検出素子21−1および半導体検出素子21−2の入射面21a間の距離は適宜選択されるが、半導体検出素子21−1の奥行き(Y軸方向の長さ)よりも長く設定することが好ましい。これにより、後ほど詳述する屈曲部33bを設け、半導体検出素子21−2および第2配線基板34を配置するスペースを確保して、X軸方向に半導体検出素子21−1および半導体検出素子21−2を密に配置できる。
【0061】
なお、半導体検出素子21−1と半導体検出素子21−2とを離隔することにより、ガンマ線を半導体検出素子21−1で検出する場合と半導体検出素子21−2で検出する場合とで、ガンマ線の入射時刻に時間差が生じる。この時間差は図1に示す情報処理部等15で補正すればよい。
【0062】
また、図6に示すように、検出器11は、半導体検出素子21−1、21−2の各々の入射面21aが、γ線が入射する側に露出するように配置される。さらに、第1検出基板14aの半導体検出素子21−1の上面とその上方の第1検出基板14aの下面との距離が、半導体結晶体22の厚さ程度に開口することが好ましい。これにより、第1配線基板33が入射するガンマ線を遮断することなく、半導体検出素子21−2の入射面21aの全体を有効に用いることができる。
【0063】
例えば、第1配線基板33の厚さを0.5mm、半導体検出素子21−1、21−2の半導体結晶体22の厚さを0.5mm、半導体検出素子の電極23、241〜246の厚さを0.1mm、接合部35の厚さを0.1mmとすると、ガンマ線が入射する入射面の有効率{(半導体検出素子21−1、21−2の入射面21aの面積の総計)/(ガンマ線の入射面の面積)}は、0.5×2/(0.5×2+0.5+0.1×2+0.1)×100=56(%)となる。これは、例えば第1検出基板14aのみあるいは第2検出基板14bのみを用いて積層した場合よりも入射面の有効率を増加できることは明らかである。したがって、検出器11は、X軸方向に半導体検出素子21−1、21−2が密に配置されているので、空間分解能が向上する。なお、Z軸方向は100%として計算した。
【0064】
なお、図5に示すように、電極23にバイアス電圧を印加するため、第2検出基板34の半導体検出素子21−2の上面と第1配線基板33との下面とは数百μm程度の距離を離隔することが好ましい。なお、このように離隔しても、第1配線板33の屈曲部33bの段差量により調整できるので、半導体検出素子21−1、21−2のX軸方向の配置には影響がなく、入射面の有効率は低下しない。
【0065】
図7は、半導体検出素子の接合の様子を示す平面図である。図5および図6と共に図7を参照するに、半導体検出素子21−1、21−2は、電極241〜246側が第1配線基板33あるいは第2配線基板34に接合される。第1配線基板33および第2配線基板34の表面には電極パッド36が設けられている。電極241〜246と電極パッド36とは接合部35を介して接合される。接合部35は、特に制限されないが、低温はんだバンプ、導電ペースト、および異方性導電フィルムのいずれかを用いることが好ましい。これらの材料を用いることにより、接合の際に半導体結晶体22に与える応力や熱による悪影響を抑制できる。
【0066】
低温はんだバンプは、バンプに用いられる低融点はんだとして、Pb−Sn共晶はんだ、Sn−Ag−In−Bi、Sn−Zn−Bi等が挙げられる。導電ペーストは、金属微粉末と樹脂とを混練したものであり、乾燥・硬化により、接着作用と導電性を発現する。導電ペーストとしては、Agエポキシペーストが挙げられる。
【0067】
また、異方性導電フィルムは、電極241〜246と電極パッド36との間に挟み込んで使用する。異方性導電フィルムは、異方性導電フィルムは樹脂製のフィルム内に導電性フィラーが均一あるいは配向性をもって分散されており、加圧、あるいは加圧および加熱により接着作用と導電性を同時に発現する。導電性は挟んだ方向に発現する。
【0068】
接合部35の材料は半導体結晶体22に与える応力や熱の悪影響をより抑制でき、半導体検出素子21−1、21−2のS/N比や高周波特性の劣化を防止できる点で導電ペーストおよび異方性導電フィルムが特に好ましい。
【0069】
また、電極23は、図5に示すように、第1配線基板33あるいは第2配線基板34に設けられた電極パッド37に導電線38を用いてワイヤボンディングや導電性ペースト等により電気的に接続される。
【0070】
なお、電極241〜246側を上にして、電極23を第1配線基板33あるいは第2配線基板34に接続してもよい。この場合は、電極241〜246の各々と電極パッド37とがワイヤボンディングにより電気的に接続される。この場合も、電極23と第1配線基板33あるいは第2配線基板34との接合部は、上述した理由と同様の理由により低温はんだバンプ、導電ペースト、および異方性導電フィルムのいずれかを用いることが好ましい。
【0071】
なお、図5〜図7では第1例の半導体検出素子を用いた例を挙げたが、第1例の半導体検出素子の代わりに第2例の半導体検出素子を用いてもよい。この場合、半導体検出素子は、図4に示す電極231〜236側と第1配線基板33あるいは第2配線基板34とを接合することが好ましい。
【0072】
本実施の形態によれば、検出器11は、第1検出基板14aと第2検出基板14bとを交互に積層し、第1検出基板14aにはその下側の第2検出基板14bの半導体検出素子21−2の上面との接触を回避するための屈曲部33bが設けられている。そして、半導体検出素子21−2は、第1検出基板14aの半導体検出素子21−1よりもガンマ線が入射するY方向の奥に配置されている。このように配置することで、半導体検出素子21−1、21−2の入射面21aを、ガンマ線を遮断することなく密に配置できる。したがって、入射面の有効率が向上する。その結果、検出器11は、空間分解能が向上すると共に、ガンマ線の検出効率が向上する。
【0073】
また、検出器11は、第1例の半導体検出素子21、あるいは第2例の半導体検出素子を備えている。これらの半導体検出素子21、26は、半導体結晶体22の一方の面に形成した複数の電極により、半導体検出素子21の一単位を小型化できる。その結果、検出器11の空間分解能を向上できる。
【0074】
また、検出器11は、半導体検出素子21、26と配線基板33、34との接合部35に、低温はんだバンプ、導電ペースト、および異方性導電フィルムのいずれかを用いることで、半導体結晶体22に与える応力や熱の悪影響をより抑制でき、半導体検出素子21−1、21−2のS/N比や高周波特性の劣化を防止できる。
【0075】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態に係るPET装置について説明する。第2の実施の形態に係るPET装置は、検出器以外は第1の実施の形態に係るPET装置と同様の構成を有する。
【0076】
第2の実施の形態に係るPET装置は、図1〜図4および図7に示した第1の実施の形態に係るPET装置、検出器、および半導体検出素子の構成を有する。したがって、これらの点についてはその説明を省略する。
【0077】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るPET装置の検出器の要部断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。なお、図8中の配線基板は、図6〜図8における第2配線基板34と同様の材料からなるので、符号34を付している。
【0078】
図8を参照するに、検出器40は、2つの半導体検出素子が設けられた検出基板14cが交互にX軸方向に積層されて構成される。検出基板14cは、半導体検出素子21−1、21−2と配線基板34等からなる。半導体検出素子21−1、21−2は、上述した第1例の半導体検出素子である。
【0079】
検出基板14cは、第2配線基板の先端部34a上に半導体検出素子21−1が設けられている。さらに、検出基板14cは、半導体検出素子21−1の基部側に凸部42が設けられ、その上に半導体検出素子21−2が設けられる。凸部42は、半導体検出素子21−1の高さと略同等の高さに設定される。
【0080】
このように半導体検出素子21−2を先端部34a側の半導体検出素子21−1に対してX軸方向にずらして配置することで、図6に示した第1の実施の形態の検出器11と同様に、ガンマ線が入射する入射面の有効率を向上できる。凸部42は、第2配線基板34と同様の材料を用いればよい。
【0081】
なお、半導体検出素子21−1、21−2と配線基板34あるいは凸部42との接合および電気的な接続方法は第1の実施の形態と同様である。
【0082】
本実施の形態によれば、配線基板34に2つの半導体検出素子21−1、21−2を設け、半導体検出素子21−2は半導体検出素子21−1よりもガンマ線が入射するY方向の奥に配置され、半導体検出素子21−1の高さと略同等の高さの凸部42上に設けられる。このように配置することで、半導体検出素子21−1、21−2の入射面21aを、ガンマ線を遮断することなく密に配置できる。したがって、検出器40は、第1の実施の形態と同様の効果を有し、入射面の有効率が向上し、検出器の空間分解能および検出効率が向上する。
【0083】
なお、図8では第1例の半導体検出素子を用いた例を挙げたが、第1例の半導体検出素子の代わりに第2例の半導体検出素子を用いてもよい。この場合、半導体検出素子は、図4に示す電極231〜236側と配線基板とを接合することが好ましい。
【0084】
また、図8に示す凸部42の代わりに、半導体検出素子21−1と半導体検出素子21−2との間の配線基板34に図5に示す屈曲部33bと同様の屈曲部を設け、配線基板34を凸部42と同等の高さとなる形状としてもよい。このようにすることで、検出器40と同様の効果を有すると共に、凸部42を省略できる。
【0085】
以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0086】
例えば、上述した第1および第2の実施の形態では、PET装置を例に説明したが、本発明の検出回路は、SPECT(単一光子放射形コンピュータ断層撮影)装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るPET装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係るPET装置の検出器の配置を模式的に示す図である。
【図3】検出器を構成する第1例の半導体検出素子の斜視図である。
【図4】第2例の半導体検出素子の斜視図である。
【図5】検出器の要部断面図である。
【図6】検出器の要部をガンマ線の入射側から視た図である。
【図7】半導体検出素子の接合の様子を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るPET装置の検出器の要部断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10 PET装置
11 検出器
13 検出回路
14、14c 検出基板
14a 第1検出基板
14b 第2検出基板
15 情報処理部
16 表示部
17 制御部
18 入出力部
21、21−1、21−2、26 半導体検出素子
22、27 半導体結晶体
27a 凹部
23、231〜236、24、241〜246 電極
33 第1配線基板
34 第2配線基板
35 接合部
36、37 電極パッド
42 凸部
Vb バイアス電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略第1の方向から入射するガンマ線を検出する放射線検出器であって、
前記第1の方向と直交する第2の方向に互いに離隔して配置された複数の第1の半導体検出素子と、
前記第2の方向に隣接する2つの第1の半導体検出素子間を通過するガンマ線が入射可能な位置に配置された第2の半導体検出素子と、を備えることを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
前記第1の半導体検出素子は、該第1の半導体検出素子を支持すると共に電気的に接続される第1の配線基板上に設けられ、
前記第2の半導体検出素子は、該第2の半導体検出素子を支持すると共に電気的に接続される第2の配線基板上に設けられ、
前記第1の配線基板および第1の半導体検出素子と、第2の配線基板および第2の半導体検出素子とは第2の方向に離隔して交互に配置され、
前記第1の半導体検出素子は、第1の方向において、第2の半導体検出素子よりもガンマ線が入射する側に配置され、
前記第2の半導体検出素子は、第2の方向において、隣接する2つの第1の半導体検出素子間の間隙に相当する位置に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記第1の配線基板は、その第2の方向に隣接する第2の半導体検出素子と接触を回避する形状で設けられてなることを特徴とする請求項2記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子は、第1の半導体検出素子の第1の方向に沿った長さよりも大きな距離を第1の方向に互いに離隔して配置されてなることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第1の配線基板は、第2の配線基板よりも可撓性を有することを特徴とする請求項1または2記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子は、該第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子を支持すると共に電気的に接続される第3の配線基板上に設けられ、
前記第1の半導体検出素子が、第2の半導体検出素子よりも第1の方向においてガンマ線が入射する側に配置され、
前記第2の半導体検出素子が、前記第1の半導体検出素子の高さと略同等の高さを有する凸部上に設けられてなることを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子は、一の端面をガンマ線が入射する入射面とする板状の半導体結晶体と、その厚さ方向に直交する第1の主面および第2の主面の各々に設けられた第1の電極部および第2の電極部と、を有し、
前記第1の電極部は、第1の主面を略覆うように形成された金属膜からなり、
前記第2の電極部は、第2の主面に入射面に沿って略等間隔で配列された複数の電極からなり、該電極から検出信号が取出されることを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか一項記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記第2の主面は略平坦であることを特徴とする請求項7記載の放射線検出器。
【請求項9】
前記第2の主面に、入射面に沿って略等間隔に複数の凹部が形成され、隣接する凹部間に前記電極が設けられてなることを特徴とする請求項7記載の放射線検出器。
【請求項10】
前記第1の半導体検出素子および第2の半導体検出素子は、第2の電極部側を第1の配線基板、第2の配線基板、あるいは第3の配線基板上に接合部を介して接合され、
前記接合部は、低温はんだバンプ、導電ペースト、および異方性導電フィルムからなる群のうちいずれかからなることを特徴とする請求項2〜8のうち、いずれか一項記載の放射線検出器。
【請求項11】
放射性同位元素を含む被検体の周囲に該被検体を囲むように配置され、該放射性同位元素から発生するガンマ線を検出する、請求項1〜9のうちいずれか一項記載の放射線検出器を有する検出手段と、
前記検出手段から取得した検出データに基づいて前記放射性同位元素の被検体内における分布情報を取得する情報処理手段と、を備える放射線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−300662(P2006−300662A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121361(P2005−121361)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】