説明

放射線画像記録読取装置

【課題】画像記録手段と画像読取手段とが接着層によって一体化されてなる画像記録読取装置において、接着層を設けたことによる画像のボケを抑制し、MTFを改善する。
【解決手段】画像情報を潜像として記録する放射線画像検出パネル10と、この放射線画像検出パネル10に記録された画像情報を読み取るために、光源30から発せられた読取光を放射線画像検出パネル10に照射する構成を有する画像読取手段20と、この画像読取手段20と画像記録手段10とを一体化する接着層37とからなる画像記録読取装置1において、接着層37にスペーサーを含有させ、この接着層37の厚みのギャップを±10%以内、放射線画像検出パネル10の読取用光導電層14と発光層33との距離Lを25〜200μmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像情報を記録する画像記録手段と、この画像記録手段に読取光を照射することにより記録画像情報を読み取る画像読取手段とが一体化されてなる放射線画像記録読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ、複写機あるいは放射線撮像装置などにおいて、画像情報を一旦画像記録手段に潜像として記録させ、その後この画像記録手段から画像情報を読み取ることが広範になされている。
【0003】
例えば、医療用放射線画像の記録再生においては、特許文献1等に示されるように、X線等の放射線に感応する例えばa−Seから成るセレン板等の光導電体を感光体(放射線画像記録媒体)として用い、この感光体等に放射線画像情報を担持する放射線を照射して放射線画像情報に対応する潜像電荷を蓄積させ、その後レーザビームで該感光体を走査し、そのとき感光体内に生じる電流を感光体両側の平板電極あるいはクシ電極を介して検出することにより、潜像電荷が担持する静電潜像すなわち放射線画像情報を読み取るシステムが知られている。
【0004】
上述のように、画像情報を潜像として記録する画像記録手段と、この画像記録手段を光源から発せられた読取光により走査し、それにより該画像記録手段から発せられた光を光電変換して画像情報を読み取る画像読取手段とから構成される画像記録読取装置においては、例えば特許文献2に示されるように、画像読取手段を構成する光源として有機EL発光素子を用い、画像記録手段と画像読取手段とを一体化して小型化することも提案されている。
【特許文献1】米国特許第4176275号明細書
【特許文献2】特開2001−264496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述のように画像記録手段と画像読取手段とを一体化する上で具体的には、それら両手段を接着層によって接合することが考えられる。ところが、画像記録手段と画像読取手段とを接着剤により一体化した場合、読取光を照射して記録された静電潜像を読み出す際に画像のボケが生じやすいという問題がある。本発明者が鋭意検討した結果、この画像のボケの一因は、接着層の厚みのばらつきや、画像記録手段と画像読取手段との距離に関係があることが判明した。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、画像記録手段と画像読取手段とが接着層によって一体化されてなる画像記録読取装置において、接着層を設けたことによる画像のボケを抑制し、MTF(ノイズ)を改善することが可能な放射線画像記録読取装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の放射線画像記録読取装置は、放射線画像を担持した記録用放射線の照射量に応じて電荷を発生する記録用光導電層と、読取光の照射を受けて電荷を発生する読取用光導電層とを備えて前記放射線画像を静電潜像として記録する放射線画像検出パネルと、該放射線画像検出パネルに読取光を照射して記録された前記静電潜像を読み出す画像読取手段とを備えた放射線画像記録読取装置において、
前記画像読取手段が、前記読取光を発光する発光層を有する面状光源を備え、
前記放射線画像検出パネルと前記面状光源とが、該面状光源の上面に設けられた樹脂層と、該樹脂層と前記放射線画像検出パネルとの間に設けられた接着層とを介して積層して接合されており、
前記接着層がスペーサーを含有し、該接着層の厚みのギャップが±10%以内であって、前記発光層と前記読取用光導電層との距離が25〜200μmであることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、接着層の厚みのギャップが±10%以内とは、接着層の厚みの平均値と最大値の差が平均値に対して10%以内、接着層の厚みの平均値と最小値の差が平均値に対して10%以内であることを意味する。
【0009】
前記スペーサーは熱融解されているものであってもよい。この場合の放射線画像記録読取装置は、前記面状光源の表面に樹脂層を形成し、該樹脂層の表面に前記スペーサーを含有する接着層を形成し、該接着層の表面に前記放射線画像検出パネルを接着した後、該接着層に含まれるスペーサーを熱融解させることにより製造することが好ましい。
【0010】
本発明の放射線画像記録読取装置は、画像読取手段を構成する光源が有機EL発光素子であることを前提として構成されるものであってもよい。また、本発明の放射線画像記録読取装置は、読取用光導電層がSeを含むものであることを前提として構成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の放射線画像記録読取装置は、樹脂層と放射線画像検出パネルとの間に設けられた接着層にスペーサーを含有させ、この接着層の厚みのギャップを±10%以内、発光層と読取用光導電層との距離を25〜200μmとしたので、読取光を拡散させずに放射線画像検出パネルの読取用光導電層に照射させることができるため、発光層から発光された光を効率よく読取光として利用できるとともに、読取光を照射して記録された静電潜像を読み出す際の、画像のボケを抑制することが可能となり、MTFを改善することができる。
【0012】
なお、接着層に含有させたスペーサーは、樹脂層と放射線画像検出パネルの接着後に熱融解されているものであっても、接着剤が反応固化して、接着剤自身でギャップを維持できるようになるまで溶けない状態であれば、スペーサーとして効力を発揮するので、同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の放射線画像記録読取装置の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による放射線画像記録読取装置1の概略斜視形状を示すものであり、また図2は図1中のX−Z断面形状を、図3は同じく図1中のX−Y断面形状を示している。
【0014】
図示のように、この放射線画像記録読取装置1は、放射線画像を静電潜像として記録する放射線画像検出パネル10と、放射線画像検出パネル10に読取光を照射して記録された静電潜像を読み出す画像読取手段20とを備え、放射線画像検出器10と放射線画像読取装置20の面状光源30とが、樹脂層36と接着層37とを介して積層して接合されてなるものである。
【0015】
なお、図1においては、放射線画像検出パネル10に静電潜像を記録する記録装置の電源等と、読取装置の面状光源30を制御する光源制御手段40および電流検出手段50も併せて示している。
【0016】
画像記録手段としての放射線画像検出パネル10は、放射線画像情報を静電潜像として記録し、読取光で走査されることにより、記録している静電潜像に応じた電流を発生するものであり、具体的には、記録用の放射線を透過させる第1の導電体層11、記録用電磁波の照射を受けることにより導電性を呈する画像記録手段としての記録用光導電層12、導電体層11に帯電される電荷(潜像極性電荷;例えば負電荷)に対しては略絶縁体として作用し、かつ該電荷と逆極性の電荷(輸送極性電荷;上記例においては正電荷)に対しては略導電体として作用する電荷輸送層13、読取光の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層14、読取光に対して透過性を有する第2の導電体層15がこの順に積層されてなるものである。図中斜線部として示す上記導電体層15はクシ歯状に形成されており、以下このクシ歯部分を「クシ電極15a」と称する。このようなクシ電極については、例えば特開2000−105297号公報に詳しい記載がなされている。なお、上記各層は、支持体(例えばガラス基板)上に第2の導電体層15から順に形成されるものであるが、〜においては、支持体を省略している。
【0017】
放射線画像読取装置20は、面状光源30と、この面状光源30を制御する光源制御手段40と、電流検出手段50とから構成されている。
【0018】
面状光源30は有機EL発光素子であって、基本的に、絶縁基板31と、この絶縁基板31の上に形成された平板状全面電極32と、この全面電極32と向かい合うように配置されたクシ電極34と、このクシ電極34と全面電極32との間に挟持された有機EL発光層33と、クシ電極34の上に形成された絶縁層35とから構成されている。そしてこの絶縁層35の上には樹脂層36が形成され、さらにこの樹脂層36の上には、面状光源30を放射線画像検出パネル10の導電体層15と接着する接着層37が形成されている。
【0019】
上記クシ電極34は、有機EL発光層33が発する光に対して半透過性の材料から形成され、放射線画像検出パネル10のクシ電極15aと略直交する向きに形成されている。一方上記全面電極32は、有機EL発光層33が発する光を略100%反射する材料から形成されている。なお有機EL発光素子においては通常、上記の各構成要素に加えて正孔輸送層や電子輸送層等が設けられるが、図1ではそれらを省略してある。
【0020】
有機EL発光層33から発せられるEL光の波長は、放射線画像検出パネル10から静電潜像を読み取るのに適した波長領域に含まれることは勿論であるが、後述する前露光用の光として適した波長領域にも含まれることが望ましい。有機EL発光層33から発せられる光の波長は、該発光層34の材料によって定まる。例えば、読取用光導電層14が、a−Se,PbI2 ,Bi12(Ge,Si)O20,ペリレンビスイミド(R=n−プロピル),ペリレンビスイミド(R=n−ネオペンチル)等のうち少なくとも1つを主成分とする、近紫外から青の領域の波長(300〜550nm)の光に対して高い感度を有し、赤の領域の波長の光に対して低い感度を有するものである場合には、近紫外から青の領域の波長の光を発するように有機EL発光層33の材料を選択する。
【0021】
光源制御手段40は、クシ電極34とそれに対向する全面電極32との間において、クシ電極34の一個毎に、あるいは複数または全てのクシ電極34を対象として、所定の電圧を印加するものである。この電圧の印加により有機EL発光層33からEL光が発せられ、このEL光が読取光および前露光用の光として利用される。
【0022】
電流検出手段50は、導電体層15の各クシ電極15a毎に接続された多数の電流検出アンプ51を有しており、読取光の照射により各クシ電極15aに流れる電流をクシ電極15a毎に並列的に検出する。放射線画像検出パネル10の導電体層11は接続手段52の一方の入力および電源53の負極に接続されており、電源53の正極は接続手段52の他方の入力に接続されている。なお図示は省いてあるが、接続手段52の出力端は各電流検出アンプ51に接続されている。電流検出アンプ51の構成の詳細については説明を省略するが、周知の構成を種々適用することが可能である。
【0023】
面状光源30と放射線画像検出パネル10とは、面状光源30の絶縁層35の上に樹脂層36が形成され、接着層37を介して放射線画像検出パネル10の第2の導電体層15と接着されて一体的に積層されている。
【0024】
本実施形態において、接着層37の厚みのギャップは±10%以内であって、面状光源30の発光層33から放射線画像検出パネル10の読取用光導電層14との距離Lは25μm〜200μmとなるように、発光層33と読取用光導電層14との間に存在する層の層厚みが設定される。
【0025】
本発明に用いられるスペーサー(有機及び/または無機の微粒子)は、写真技術分野に於いてよく知られており、親水性有機コロイドバインダー中に分散可能な有機及び/または無機材料の不連続固体粒子であると定義できる。
【0026】
無機のスペーサーの例としては酸化物(例えば二酸化珪素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、アルカリ土類金属塩(例えば硫酸塩や炭酸塩であり、具体的には硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、画像を形成しないハロゲン化銀粒子(塩化銀や臭化銀等で更にハロゲン成分としてヨウ素原子がわずかながら加わっていてもよい)やガラス等である。なかでも二酸化珪素が好ましい。
【0027】
有機のスペーサーとしては例えば澱粉、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等)、セルロースエーテル(例えばエチルセルロース等)、合成樹脂等が挙げられる。合成樹脂の例としては水不溶または難溶性合成ポリマーであり、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ベンゾグアナミン樹脂やメラミン−ホルムアルデヒドの縮合体、ビニルエステル(例えば酢酸ビニル)、アクリロニトリル、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン)、スチレン等の単独もしくは組み合わせ、またはこれらとアクリル酸、メタクリル酸、α,β─不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸等の組み合わせを単量体成分とするポリマーを用いることができる。なかでもポリメチルメタアクリレートや、ポリエチレン、下記化学式1に示すベンゾグアナミン樹脂や化学式2に示すメラミン−ホルムアルデヒドの縮合体が特に好ましく用いられる。
【化1】

【化2】

【0028】
ベンゾグアナミン樹脂やメラミン−ホルムアルデヒドの縮合体の商品としては、日本触媒(株)社製エポスターGP−50、GP−70、GP−90、S、S12、M30、MS、L15、ポリメチルメタアクリレートの商品としては、綜研化学工業製MR−2G、MR−7G、MR−13G、MR−20G、MR−40G、MR−90、ポリエチレンの商品としては製鉄化学製フロービーズCL−2080、LE−1080、EA−209、CL−2507、CL−5007、CL−8007、CL−12007、フローセンUF−1.5、UF−4、UF−20、UF−80等を挙げることができる。さらに、1994年シーエムシー社発行の「‘94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルスの市場」記載のスペーサーも好ましい例として挙げることができる。
【0029】
これらのスペーサーの粒子サイズは層の厚みに合せて選択するのが好ましい。また、スペーサーの塗布量は、スペーサーの材質や比重によって好ましい塗布量があり、粒径が小さいと塗布重量中の個数が多くなるので、塗布量が少なくても効果を発現でき、反対に、粒径が大きいスペーサーは塗布重量中の個数が少ないので塗布量が多くなるため、一概には言えないが、1個/mm〜1億個/mmが好ましく、更に10個/mm〜100万個/mmが好ましく、10個/mm〜1万個/mmが好ましい。不足すると接着層の充分な厚みが維持できず、逆に多いと光学的な欠陥として現れるため好ましくない。スペーサーの屈折率は接着層の主成分に近い方が好ましい。
【0030】
有機スペーサーは熱融解するものであってもよい。この場合、有機スペーサーのガラス転移温度は、樹脂層36と放射線画像検出パネル10を重ね合わせる時の熱の温度以下であることが必要である。ここで、樹脂層36と放射線画像検出パネル10を重ね合わせる時の熱の温度は50℃以上が好ましい。更に好ましくは、樹脂層36と放射線画像検出パネル10を重ね合わせる時の熱の温度は80℃以上が好ましく、特に好ましくは、100℃以上である。
【0031】
このような有機スペーサーとしては上記と同様のものを使用することができるが、なかでも、ポリエチレン、ベンゾグアナミン樹脂やメラミン−ホルムアルデヒドの縮合体、ポリメチルメタアクリレート等が特に好ましく用いられる。ポリエチレンの商品としては住友精化製フロービーズLE−1080、CL−2080、EA−209、CL−2507、CL−5007、CL−8007、CL−12007、フローセンUF−1.5、フローセンUF−4、フローセンUF−20、フローセンUF−80等、ベンゾグアナミン樹脂やメラミン−ホルムアルデヒドの縮合体の商品としては、日本触媒(株)社製エポスターGP50、GP−70、GP−90、S12、M30、MS、L15等、ポリメチルメタアクリレートの商品としては、綜研化学工業製MR−2G、MR−7G、MR−13G、MR−20G、MR−40G、MR−90等を挙げることができる。
【0032】
これらのスペーサーの塗布量も上記の場合の同様に、粒径が小さいと塗布重量中の個数が多くなるので、塗布量が少なくても効果を発現でき、反対に、粒径が大きいスペーサーは塗布重量中の個数が少ないので塗布量が多くなるため、一概には言えないが、1個/mm〜1億個/mmが好ましく、更に10個/mm〜100万個/mmが好ましく、10個/mm〜1万個/mmが好ましい。不足すると接着層の充分な厚みが維持できず、逆に多いと光学的な欠陥として現れるため好ましくない。スペーサーの屈折率は接着層の主成分に近い方が好ましい。
【0033】
スペーサーを含有させる接着層37としては、硬化性化合物、樹脂のいずれかより構成され、硬化性化合物の場合、硬膜剤や開始剤によって硬化されてもよい。
【0034】
本発明に使用することができる硬化性化合物とは、炭素−炭素不飽和結合を一個以上有するエチレン性不飽和基を有する化合物、具体的には、アクリル酸およびその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類およびそれらの誘導体等がある。具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、エタクリロイル基、アクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基等を含む化合物のことである。上記硬化性化合物は、単独で使用しても二種以上を併用してもよい。また、エポキシ環を一個もしくは二個以上有する化合物、例えばグリシジルアクリレートなどであってもよい。更には、これらの化合物は単量体もしくはオリゴマー、高分子量体であってもよい。以下、硬化性化合物のうち、代表的なものを例示するが、これによって限定されるものではない。
【0035】
(a)ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート例えば、東亜合成化学工業(株)の商品名でいえは、アロニックスM−5300、M−5400、M−5500、M−5600、M−5700、M−6100、M−6200、M−6300、M−6500、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、大阪有機化学工業(株)の商品名でいえばビスコート700、3700、日本化薬(株)の商品名でいえばカヤラッドHX−220、HX−620等が挙げられる。
【0036】
(b)エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート例えば、新中村化学(株)の商品名でいえばNKエステルEA−800、EPM−800、大阪有機化学工業(株)の商品名でいえばビスコート600、540、サンノプコ(株)の商品名でいえばフォトマー3016、3082等が挙げられる。
【0037】
(c)ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート例えば、東亜合成化学工業(株)の商品名でいえばアロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1250、M−1260、M−1300、M−1310、大阪有機化学工業(株)の商品名でいえばビスコート812、823、832、新中村化学(株)の商品名でいえばNKエステルU−4HA、U−108A、U−122A、U−200AX、U−340AX、U−1084A、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−A−100、U−401A、U−1301A、U−601BA、U−1001BA、U−423A、U−412TXA、U−423TXA、U−0108B等が挙げられる。
【0038】
(d)単官能アクリレート、単官能メタクリレート例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、トリシクロデカニルオキシアクリレート、ノニルフェニルオキシエチルアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等が挙げられる。エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸アクリレート、この他に東亜合成化学工業(株)の商品名でいえばアロニックスM−101、M−102、M−111、M−113、M−114、M−117、M−120、M−152、M−154等、新中村化学(株)商品名でいえばMKエステルM−20G、M−40G、M−90G、M−230GCB−1、SA、S、トポレンM、MKエステルAMP−18G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、A−SA、LA等が挙げられる。
【0039】
(e)多官能アクリレート、多官能メタクリレート、多官能オリゴマー例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、イソシアヌル酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性ジペンタエリスリトールポリアクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAのジメタクリレート、ポリオキシエチレン化ビスフェノールAのジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5,5−ジヒドロキシメチル−1,3−ジオキサントリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のトリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサアクリレート、ヒドロキシポリエーテルのポリアクリレート等があげられる。
【0040】
東亜合成化学工業(株)の商品名でアロニックスM−210、M−215、M−220、M−230、M−233、M−240、M−245、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−325、M−330、M−400、TO−458、TO−747、TO−755、THIC.TA2、日本化薬(株)の商品名でいえばカヤラッドTC−110S、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−604、R−167、TPA−320、TPA−330、PET−30、カヤラッドD−310、D−330、カヤラッドDPHA、カヤラッドDPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、新中村化学(株)の商品名でいえばNKエステル1G、2G、3G、4G、5G、14G、23G、BG、HD、NPG、APG−400、APG−700、A−BPE−4、701A、TMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT、9PG、701、BPE−100、BPE−200、BPE−500、BPE−1300、A−200、A−400、A−600、A−HD、A−NPG、APG−200、A−BPE−10、701−A、A−BPP−3等が挙げられる。
【0041】
(f)その他、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン等が挙げられる。特に、ポリオールの不飽和エステル類、例えば、エチレンジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アクリロイルモルフォリン等のモノマーを挙げることができる。これらは、分子内に不飽和結合が二個以上あってもよい。
【0042】
さらに、硬化性化合物として、1993年初版発行、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)編集・発行、シリコーン材料ハンドブック記載のシラン、シリコ−ンゴム、室温硬化型シリコーンゴム、シリコーンレジン等を用いることができる。具体的には、GE東芝シリコーン製TSE322、322S、322SX、325、325−B、326、326M、350、352、370、382、384−B、385、387、388、389、392、397、398、399、3032、3033、3051、3051−W、3051−G、3051L、3051FR、3051FR−G、3053、3062、3065、3070、3080、3081、3212、3250、3251、3251−C、3251−H、3251−H−C、3252、3253、3254、3260、3261−G、3280−G、3281−G、3320、3330、3331、3337、3360、3380、3431、3431−H、3503、3663、3826、3840−G、3854D−G、3876、3877−B、3925、3940、3941、3941M、3944、3945、3946、3971、3972、3975、3976−B、3991、3995、3996、YE3085、5505、5818、5822、XE11−A1584、XE11−B1002、XE16−508、XE16−610、TSR1512、1516、YR3340、3286、TSL8310、8311、8320、8331、8340、8345、8350、8355、8370、8375、8380、8802等が挙げられる。
【0043】
硬化性化合物の開環重合性を有する化合物として、エポキシ基を有する化合物の具体例を挙げる。
【0044】
(a)エポキシ基含有のグリシジルエーテル例えば、共栄社化学(株)の商品名でいえばエポライトM−1230、40E、200E、400E、70P、200P、400P、1500NP、1600、80MF、100MF、4000、3002、FR−1500等を挙げることができる。
【0045】
(b)エポキシ系接着剤_例えば、Epo−tek製301、301−2、302、302−3M、305、307、310、314、320、330、353ND、353ND−T、353ND−4、354、377、390、OG112、113、114、115、116、119、124、125、127、134、142、146、160、161、162等を挙げることができる。
【0046】
特に、常温で反応するのもが好ましく、GE東芝シリコーン製TSE3070、Epo−tek製301、301−2、305、310が好ましい。発熱反応がある場合、寸法変化などが発生するため好ましくない。
【0047】
硬化性組成物中には光反応開始剤を用いることができる。光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類(ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン等)、ベンゾイン類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾ化合物等を挙げることができる。これらの詳細については「紫外線硬化システム」(1989年、総合技術センター)第63頁〜第147頁等に記載されている。好ましい光反応開始剤としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類が用いられる。具体的化合物例としては、日本チバガイギー(株)社製イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア1174等が挙げられる。開環重合用の重合開始剤として、カチオン重合開始剤を挙げることができる。カチオン重合開始剤の例としては、芳香族オニウム塩、周期表第VIa族元素のスルホニウム塩を挙げることができる。芳香族オニウム塩としては、具体的には、周期表第Va族元素の塩、例えばスルホニウム塩(例えばヘキサフルオロリン酸トリフェニルフェナシルホスホニウム等)、周期表第VIa族元素の塩、例えばスルホニウム塩(例えばテトラフルオロホウ酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルホスホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウムおよびヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム等)、及び周期表第VIIa族元素の塩、例えばヨードニウム塩(例えば塩化ジフェニルヨードニウム等)を挙げることができる。このような芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤に用いる場合、硬化性化合物としてはエポキシ系の化合物が好ましい。これは、米国特許第4,058,401号、同第4,069,055号、同第4,101,513号及び同第4,161,478号明細書に詳細に記述されている。
【0048】
周期表第VIa族元素のスルホニウム塩としては、ヘキサフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウムを挙げられる。このような重合開始剤の含有量は、硬化性化合物100重量部あたり0.5〜30重量部が好ましく、特に2〜20重量部が好ましい。硬化性化合物100重量部あたり0.5重量部未満の場合は紫外線を照射したときに硬化速度が極端に遅くなる等の理由で好ましくない。
【0049】
樹脂は、単独で用いることもできるが、上記硬化性化合物と共にバインダーとして用いてもよい。バインダーとしては硬化性化合物と相溶しても非相溶でもよく、一般に膜を形成しうる種々の樹脂を用いることができる。バインダーとして樹脂を用いる場合には、例えば硬化性化合物組成物100重量部当たり約20〜600重量部の割合で使用するのが好ましい。本発明において、上記の硬化性化合物組成物およびバインダー樹脂を溶解または分散するための溶剤としては、従来公知の溶剤が自由に使用できる。
【0050】
又、上記バインダー樹脂としては、このような目的に従来公知であるバインダー樹脂のいずれも使用することができ、通常耐熱性が高いものが選択される。例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン−2−アクリロニトリル)、ポリビニルピロリドンを初めとするビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂(例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、セルロース系樹脂(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート水素フタレート、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリアセテート)、ポリビニルアルコール系樹脂(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどの部分ケン化ポリビニルアルコール)、石油系樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)などが用いられる。
【0051】
具体的には、バインダー樹脂のポリマーとしては次のような樹脂が挙げられる。
(イ)エステル結合を有するもの
テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等のジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プルピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等の縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂またはポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等。具体的には特開昭59─101395号、同63─7971号、同63─7972号、同63─7973号、同60─294862号各公報に記載のものを挙げることができる。また、市販品としては東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130、花王製のATR−2009、ATR−2010、ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188等が使用できる。
【0052】
(ロ)ウレタン結合を有するもの
ポリウレタン樹脂等
(ハ)アミド結合を有するもの
ポリアミド樹脂等
(ニ)尿素結合を有するもの
尿素樹脂等
(ホ)スルホン結合を有するもの
ポリスルホン樹脂等
(ヘ)その他極性の高い結合を有するもの
ポリカプロラクトン樹脂、スチレン─無水マレイン酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル樹脂等
(ト)その他ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルをケン化し、ポリビニルアルコールとし、これにブチルアルデヒドを反応させて合成される。市販品として、電気化学工業(株)製、積水化学(株)製等のものが知られている。本発明に用いるポリビニルブチラールとしては、ポリビニルブチラール含有量が70重量%以上、平均重合度500以上のものが好ましく、更に好ましくは平均重合度1000以上である。市販の商品としては電気化学工業(株)製デンカブチラール3000−1、4000−2、5000A、6000C、積水化学(株)製エスレックBL−1、BL−2、BL−3、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BX−1、BX−7等が優れている。
【0053】
上記のような合成樹脂に加えて、これらの混合物あるいは共重合体等も使用できる。具体的な共重合体としては、ポリ酢酸ビニル−ポリ塩化ビニル共重合樹脂を挙げることができる。また、アクリル樹脂やメタクリル樹脂も挙げられる。アクリル樹脂としては、市販の商品名では、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールSE−5437、SE−5102、SE−5377、SE−5649、SE−5466、SE−5482、HR−169、124、HR−1127、HR−116、HR−113、HR−148、HR−131、HR−470、HR−634、HR−606、HR−607、LR−1065、574、143、396、637、162、469、216、BR−50、BR−52、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等を挙げることができる。
【0054】
本発明に用いられる水溶性バインダーとしては公知の種々の水溶性及び/または水分散性ポリマーを使用しうるが、硬膜剤により架橋反応しうる基を有する水溶性のポリマーが好ましく、中でもポリビニルアルコール類やゼラチン類が特に好ましい。水溶性バインダーの分子量は1×103 〜1×106 が適当であり、特に1×104 〜2×105 が好ましい。塗布量は本発明の無機の固体微粒子1重量部に対し、0〜50重量部が適当であり、0〜30重量部が好ましい。
【0055】
硬膜剤としては、有機溶剤系のポリマーを硬化する場合には、特開昭61−199997号、同58−215398号各公報等に記載されている硬膜剤が使用できる。ポリエステル樹脂に対しては特にイソシアネート系の硬膜剤の使用が好ましい。水溶性ポリマーの硬化には、米国特許第4,678,739号明細書第41欄、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号各公報等に記載の硬膜剤が使用に適している。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号各公報等に記載の化合物)が挙げられる。
【0056】
樹脂層36は、有機EL発光層の劣化を抑制する封止層として機能するものであることが望ましい。この封止層としての樹脂層36は一例として窒化シリコンや窒化シリコンと該酸化物の交互積層から形成し、一方接着層37は、一例としてエポキシ系2液混合型接着剤から形成する。一般にこの種の接着層37からは有機ガスや水分が放出されることがあり、もしそれらが有機EL発光層33に侵入すると、有機EL発光層33が変性する等により、面状光源30が劣化することになる。しかし有機ガスや水分は封止層として機能する樹脂層36によって遮断されるので、有機EL発光層33まで侵入することがなく、よって面状光源30の劣化が確実に防止される。
【0057】
このような封止層として機能する樹脂層36を構成する好ましい材料として具体的には、例えば特開2003−282243号公報に示されている材料、すなわち、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含む共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びジクロロジフルオロエチレンから選択される2種以上の共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Tl、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等の液状フッ素化炭素、液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの、などが挙げられる。
【0058】
ただし、樹脂層は以上の材料からなる層に限定される訳ではなく、公知の無機材料からなる層や、公知の無機材料層と有機材料層とが重ね合わされてなるもの等を広範に適用することができる。また機能の点から考察すると樹脂層36は、水分透過度が0.01g/m2・day以下でかつ酸素透過度が0.01cc/m2・day・atm以下のものであることが望ましい。
【0059】
本発明の放射線画像記録読取装置の製造は、放射線画像検出パネルおよび面状光源の製造方法については既知の種々の方法を適応することができるが、接着層の厚みのギャップを±10%以内とするためには、接着層を設ける樹脂層が平滑な面として形成されていることが好ましい。樹脂層を平滑面として形成する方法としては、例えば、樹脂層を形成した後、樹脂層の表面に所定の面状の表面粗さを有する型材を重ね、加圧および加熱して樹脂層を硬化させ、その後、型材を剥離し、平滑な面となった樹脂層の表面に接着層を設ける方法をあげることができる。
【0060】
スペーサーを含有した接着層は、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法等の公知の方法を用いて塗布することができる。本発明の樹脂層と接着層を重ね合わせる方法としては、熱及び/又は圧力を用いる。熱及び/又は圧力は、一般の熱ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド、レーザー等を用いることができる。
【0061】
本発明の接着層の硬化方法としては、以下に一般的な例を挙げるが、これらに限定されるものではない。電子線照射を用いる場合は、透過力、硬化力の面から加速電圧が100〜1000KVであり、より好ましくは100〜300KVの電子線加速器を用い、ワンパスの吸収線量が0.5〜20Mradになるようにすることが好ましい。なお、電子線照射に際しては酸素濃度が高いと電子線硬化樹脂の硬化が妨げられるため、窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、酸素濃度を600ppm以下、好ましくは400ppm以下に抑制した雰囲気中で照射することが好ましい。
【0062】
紫外線照射の場合は、80W/cm以上のランプを用いることが好ましい。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。熱によって硬化する場合は、一般の熱ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド、レーザー等を用いることができる。
【0063】
スペーサを熱溶融する場合には、面状光源の表面に樹脂層を形成し、この樹脂層の表面にスペーサーを含有する接着層を形成し、接着層の表面に放射線画像検出パネルを接着した後、接着層に含まれるスペーサーを熱融解させて形成することができる。
【0064】
以下、上記構成の放射線画像記録読取装置1の作用について説明する。放射線画像検出パネル10に放射線画像情報を記録する際には、先ず接続手段52を電源53側に切り替え、導電体層11と導電体層15のクシ電極15aとの間に直流電圧を印加して、両導電体層を帯電させる。これにより放射線画像検出パネル10内の導電体層11とクシ電極15aとの間に、クシ電極15aをU字の凹部とするU字状の電界が形成される。
【0065】
次にX線等の放射線を図示外の被写体に爆射し、この被写体を透過した放射線、すなわち被写体の放射線画像情報を担持する放射線を放射線画像検出パネル10に照射する。すると、放射線画像検出パネル10の記録用光導電層12内で正負の電荷対が発生し、その内の負電荷が上述の電界分布に沿ってクシ電極15aに集中し、記録用光導電層12と電荷輸送層13との界面に負電荷が蓄積される。この蓄積される負電荷(潜像電荷)の量は照射放射線量に略比例するので、この潜像電荷が静電潜像を担持することとなる。このようにして静電潜像が放射線画像検出パネル10に記録される。一方、記録用光導電層12内で発生する正電荷は導電体層11に引き寄せられ、電源53から注入された負電荷と再結合して消滅する。
【0066】
その後、放射線画像検出パネル10から静電潜像を読み取る際には、先ず接続手段52を放射線画像検出パネル10の導電体層11側に接続する。次いで光源制御手段40が、クシ電極34を順次切り替えながら、各クシ電極34と全面電極32との間に所定の直流電圧を印加する。この直流電圧の印加により、クシ電極34と全面電極32とに挟まれた部分の有機EL発光層33からEL光が発せられる。クシ電極34はライン状になっているので、該クシ電極34を透過したEL光がライン状の読取光として利用される。すなわち面状光源30は、ライン状の微小光源を面状に配列したものと等価となり、電圧印加するクシ電極34を順次切り替えてEL発光させることにより、読取光が放射線画像検出パネル10を走査することとなる。
【0067】
上記ライン状の読取光は、放射線画像検出パネル10の導電体層15の各クシ電極15aを透過する。すると、光導電層14内に正負の電荷対が発生し、その内の正電荷が記録用光導電層12と電荷輸送層13との界面に蓄積された負電荷(潜像電荷)に引きつけられるように電荷輸送層13内を急速に移動し、光導電層12と電荷輸送層13との界面で潜像電荷と電荷再結合し消滅する。一方、光導電層14に生じた負電荷は、電源53から導電体層15に注入される正電荷と電荷再結合して消滅する。
【0068】
このようにして、放射線画像検出パネル10に蓄積されていた負電荷が電荷再結合により消滅し、この電荷再結合の際の電荷の移動による電流が放射線画像検出パネル10内に生じる。この電流は、各クシ電極15a毎に接続された電流検出アンプ5により、各クシ電極15a毎に並列的に検出される。放射線画像読取りの際に放射線画像検出パネル10内を流れる電流は、潜像電荷すなわち静電潜像に応じたものであるから、この電流を検出することにより静電潜像を読み取ることができる。
【0069】
以上述べたように、放射線画像検出パネル10と放射線画像読取装置20とを一体化してなるこの放射線画像記録読取装置1においては、面状光源30の電圧印加するクシ電極34を順次切り替える電気的な走査により、ライン状の読取光で放射線画像検出パネル10を走査するようにしたので、読取光の走査を機械的に行う必要がなくなり、よって機械走査を部品点数を少なくすることができる。また、走査系に可動部を必要としないから装置の信頼性も向上する。さらに放射線画像検出パネル10と放射線画像読取装置20とを一体的に構成したことにより、可搬型の装置にすることも容易となる。
【0070】
上記放射線画像検出読取装置1は、放射線画像検出パネル10から静電潜像を読み取った後には、潜像電荷が基本的には蓄積されておらず、基本的にはそのまま再記録できるものである。しかしながら、場合によっては潜像電荷を完全に読み取ることができず、放射線画像検出パネル10に残留電荷が残されることもある。また、放射線画像検出パネル10に静電潜像を記録するとき、放射線照射の前に放射線画像検出パネル10に高電圧を印加するが、この電圧印加の際に暗電流が発生し、それによる電荷(暗電流電荷)も放射線画像検出パネル10に蓄積される。さらに、それら以外の原因によっても、放射線照射前に種々の電荷が放射線画像検出パネル10に蓄積することが知られている。この残留電荷、暗電流電荷等の不要電荷は、放射線照射により蓄積される画像情報を担持する電荷に加算されることになるから、結局放射線画像検出パネル10から静電潜像を読み取ったとき、出力される信号には画像情報を担持する電荷に基づく信号以外に、不要電荷による信号成分が含まれることになり、残像現象やS/N劣化等の問題を生じる。
【0071】
そこで、放射線画像検出パネル10に蓄積されている不要電荷を消去し、残像現象やS/N劣化等の問題を解消するために、放射線を放射線画像検出パネル10に照射する前に、所定の光を放射線画像検出パネル10に照射する、いわゆる前露光を行うことが望ましい。本例の放射線画像記録読取装置1においても、この前露光用の光を面状光源30から発することができる。
【0072】
具体的には、複数のクシ電極34と全面電極32との間に所定の電圧を同時に印加する。この際、電圧の印加により有機EL発光層33から発せられた前露光用の光が放射線画像検出器10に略一様に照射されればよく、クシ電極34の数の大小は問わない。例えば、所定間隔で間引いてもよいし、全てのクシ歯34としてもよい。なお、この前露光に関しては前述の特開2000−105297号公報に詳しい記載がなされている。このように読取光と前露光用の光を同一の光源から発生させれば、装置の部品点数を削減することができ、安価な装置にすることができる。
以下、本発明の放射線画像記録読取装置を実施例によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
図1に示す平面光源を、光源の発光層33の厚みが5μmとなるように作製した。この平面光源上に樹脂層として、膜厚25μmのアクリル樹脂を設け、その樹脂層上に、接着剤として、GE東芝シリコーン社製TSE−3070とTSE−3070を重量比100:100で混合したものに、ベンゾグアナミン樹脂(日本触媒製エポスターGP−90:真球9μm径、耐熱温度300℃以上)を、接着層平面内に300個/mmになるように添加して、噴散した。70μm厚の支持体上に、第2の導電体層、a−Seからなる読取用光導電層、AsSeからなる電化輸送層、a−Seからなる記録読取層、第1の導電体層を順に設け、支持体側を接着層に接合して、放射線画像記録読取装置を作製した。
【0074】
(実施例2)
実施例1において、ベンゾグアナミン樹脂として、日本触媒製エポスターS12(真球1.2μm径、耐熱温度300℃以上)を用いた以外は実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0075】
(実施例3)
実施例1において、ベンゾグアナミン樹脂の代わりにシリカ(触媒化成製SW:真球9μm径、耐熱温度300℃以上)を用いた以外は実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0076】
(実施例4)
実施例3において、シリカとして積水化学製ミクロパールSP−210(真球10μm径、耐熱温度300℃以上)を用いた以外は実施例3と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0077】
(実施例5)
実施例1において、ベンゾグアナミン樹脂の代わりにポリエチレン樹脂(住友精化製フロービズCL−1080:真球10μm径、融点100℃)を用いて実施例1と同様の手順で放射線画像記録読取装置を作製し、その後ポリエチレン樹脂を100℃で熱融解させて放射線画像記録読取装置を作製した。
【0078】
(実施例6)
実施例1において、樹脂層の厚みを100μmとした以外は実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0079】
(実施例7)
実施例1において、樹脂層の厚みを10μm、支持体厚を30μmとした以外は実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0080】
(実施例8)
実施例1において、樹脂層の厚みを3μm、支持体厚を30μmとした以外は実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0081】
(比較例1)
実施例1において、ベンゾグアナミン樹脂を添加しないで接着層を設けた以外は実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0082】
(比較例2)
樹脂層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0083】
(比較例3)
樹脂層の厚みを130μmとした以外は、実施例1と同様にして放射線画像記録読取装置を作製した。
【0084】
(評価方法)
接着層のギャップ均一性は、接着層の厚みを膜厚計(Filmetrics社製F−20)で10cm内を1cm間隔毎に100点測定してその平均値を求め、測定した接着層の厚みの最大値と平均値の差、測定した接着層の厚みの最小値と平均値の差を平均値で割って求めた。
【0085】
剥れ性は、「JIS C0025(1988)環境試験方法(電気・電子)温度変化試験方法 試験Na:温度急変」に基づき、常温から5分以内で−50℃に降温、−50℃1時間維持、次いで5分以内で100℃に昇温、+100℃1時間維持、次いで5分以内で−50℃に降温、−50℃と+100℃のサイクルを5回繰返し、常温に戻して取出し、目視にて剥れていないかを確認し、剥がれがないものを○、剥がれが認められたものを×で評価した。
【0086】
光遮断、有機ELの圧損は、光遮断は接着層上を、有機ELの圧損は有機EL上を、それぞれ50μ面積×100箇所を光学顕微鏡で観察し、問題がないものを○、黒点が観察されたものを×で評価した。
【0087】
MTFは、鉛製のCTFチャートを10mmレントゲンで照射して画像を撮影し、画像データを作成した。画像データから各周波数の振幅を測定し、MTF90以上を○、80以上を△、80未満を×とした。なお、MTF80未満の場合、CTFチャート画像を目視にて観察したところ、10人中8人以上が画像のボケや滲みを感じた。結果を表1に示す。
【表1】

【0088】
表1から明らかなように、実施例1〜8の本発明の放射線画像記録読取装置は、樹脂層と放射線画像検出パネルとの間に設けられた接着層にスペーサーを含有させ、この接着層の厚みのギャップを±10%以内、発光層と読取用光導電層との距離を25〜200μmとしたので、読取光を拡散させずに放射線画像検出パネルの読取用光導電層に照射させることができるため、発光層から発光された光を効率よく読取光として利用できるとともに、MTFの評価結果から明らかなように、読取光を照射して記録された静電潜像を読み出す際の画像のボケを抑制することが可能となり、また、MTFを改善することができた。
【0089】
一方、樹脂層と放射線画像検出パネルとの間に、スペーサーを含有していない接着層を設けた比較例1では接着層の厚みのギャップを±10%以内とすることができず、MTFも改善されなかった。また、樹脂層を設けなかった比較例2では有機EL構成体に多数の黒点が観察され、MTFは圧損により光源が光らなくなったため測定できなかった。発光層と読取用光導電層との距離が200μmよりも大きい比較例3もまた、MTFを改善することができなかった。
【0090】
以上、有機EL発光素子からなる光源を用いる画像記録読取装置に本発明が適用された実施形態について説明したが、本発明はこのような光源に限らず、その他の光源を備えた画像記録読取装置にも適用可能であり、そしてその場合も、前述した本発明による効果を同様に奏するものである。
【0091】
さらに本発明は、画像記録手段から放射線画像情報を読み取る画像記録読取装置に限らず、画像情報を潜像として記録した画像記録手段に光源からの読取光を照射する構成を有するその他の画像記録読取装置にも適用可能であり、そのようにした場合も、前述した本発明による効果を同様に奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態による放射線画像記録読取装置を示す概略斜視図
【図2】図1の放射線画像記録読取装置のX−Z断面形状を示す断面図
【図3】図1の放射線画像記録読取装置のX−Y断面形状を示す断面図
【符号の説明】
【0093】
10 放射線画像検出パネル
11 第1の導電体層
12 記録用光導電層
13 電荷輸送層
14 読取用光導電層
15 第2の導電体層
20 放射線画像読取装置
30 面状光源
31 絶縁基板
32 全面電極
33 有機EL発光層
34 クシ電極
35 絶縁層
36 樹脂層
37 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像を担持した記録用放射線の照射量に応じて電荷を発生する記録用光導電層と、読取光の照射を受けて電荷を発生する読取用光導電層とを備えて前記放射線画像を静電潜像として記録する放射線画像検出パネルと、該放射線画像検出パネルに読取光を照射して記録された前記静電潜像を読み出す画像読取手段とを備えた放射線画像記録読取装置において、
前記画像読取手段が、前記読取光を発光する発光層を有する面状光源を備え、
前記放射線画像検出パネルと前記面状光源とが、該面状光源の上面に設けられた樹脂層と、該樹脂層と前記放射線画像検出パネルとの間に設けられた接着層とを介して積層して接合されており、
前記接着層がスペーサーを含有し、該接着層の厚みのギャップが±10%以内であって、前記発光層と前記読取用光導電層との距離が25〜200μmであることを特徴とする放射線画像記録読取装置。
【請求項2】
前記スペーサーが熱融解されているものであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項3】
前記光源が有機EL発光素子であることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項4】
前記読取用光導電層がSeを含むものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項5】
請求項2記載の放射線画像記録読取装置の製造方法であって、
前記面状光源の表面に樹脂層を形成し、該樹脂層の表面に前記スペーサーを含有する接着層を形成し、該接着層の表面に前記放射線画像検出パネルを接着した後、該接着層に含まれるスペーサーを熱融解させることを特徴とする放射線画像記録読取装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−316429(P2007−316429A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146963(P2006−146963)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】