説明

木造建築物における接合連繋構造

【課題】従来よりも接合連繋の作業が容易な、しかもコストを低減した木造建築物の接合連繋構造の提供。
【解決手段】柱に取り付けた接合金具に梁の端部を支持させ、その接合金具の楔用窓孔と梁の楔挿通孔とに楔案内片を装着し、これに案内させて打込み楔を打ち込んで梁と柱とを接合連繋している接合連繋構造において、
<I>楔案内片(d1)が、内面に、基端部(12)側を深く先端部(13)側を浅くした楔案内横溝(14)を掘削形成するとともに、外面に、接合金具(b)の楔用窓孔(b')の孔縁に嵌合する縦凹溝(15)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(d2)が、内面に、基端部(16)側を高く先端部(17)側を低くして上記楔案内横溝(14)と同傾斜にし、その高さを上記楔案内横溝(14)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(14)に嵌合する案内突条(18)を形成してなる接合連繋構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物における接合連繋構造に関するものである。より詳しくは、木造建築物における(1)柱と梁(または桁)、(2)土台と柱、(3)梁部材(または桁部材)同士、および、(4)柱部材同士の、各接合連繋構造(特許文献1)の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、図17に示したように、内面に楔案内横溝を有し、外面に縦凹溝を有する楔案内片αと、内面に楔案内横溝を有するとともに外面に縦突条を有し上記楔案内片αと対になる楔案内片α’、および、それらの一対の楔案内片α,α’の間に上記楔案内横溝に案内されながら打ち込まれる打込み横長楔βを用いた木造建築物における接合連繋構造を既に提案している(特願2004-339237)。
この接合連繋構造は、たとえば柱γ等に取り付けた接合金具δに、梁(または桁)ε等の端部を嵌合支持させるとともに、その接合金具δの楔用窓孔δ’と梁εの端部の楔挿通孔ε’とに上記一対の楔案内片α,α’を装着し、それらの間に上記打込み横長楔βを打ち込むことにより、上記接合金具δを介して梁εを柱γの方向に強制的に移動させ、柱γと梁εとを緊密かつ強固に接合連繋するものである。
【特許文献1】実登第2565441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この接合連繋構造は、柱γと梁εとを接合連繋するために、接合金具δの他に、一対の楔案内片α,α’および打込み横長楔βの合計3つの部材が必要となるため、それらの製作コストが嵩むとか、接合連繋の作業が面倒であるという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、従来よりも必要となる部材数を減らした、接合連繋の作業が容易で、しかもコストを低減した木造建築物の接合連繋構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明木造建築物における接合連繋構造は、柱に取り付けた接合金具に梁または桁の端部を嵌合支持させ、その接合金具の楔用窓孔と梁または桁の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともに、これに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、梁または桁を上記接合金具に対して柱に向けて移動させ、梁または桁と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(d1,d1',d1")が、その内面に、基端部(12)側を深く先端部(13)側を浅くした楔案内横溝(14)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(b)の楔用窓孔(b')の孔縁に嵌合する縦凹溝(15)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(d2,d2',d2")が、その内面に、基端部(16)側を高く先端部(17)側を低くして上記楔案内横溝(14)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(14)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(14)に嵌合する案内突条(18)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造である。
【0006】
請求項2記載の本発明木造建築物における接合連繋構造は、柱に取り付けた接合金具に梁または桁の端部を嵌合支持させ、その接合金具の複数の楔用窓孔と梁または桁の複数の楔挿通孔とに複数の楔案内片を装着するとともに、これらに案内させて複数の打込み楔を打ち込むことにより、梁または桁を上記接合金具に対して柱に向けて移動させ、梁または桁と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(h1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(34)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(f)の楔用窓孔(f',f')の孔縁に嵌合する縦凹溝(32,32)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(h2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(34)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(34)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(34)に嵌合する案内突条(33)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造である。
【0007】
請求項3記載の本発明木造建築物における接合連繋構造は、土台に取り付けた接合金具に柱の下端部を嵌合支持させ、その接合金具の楔用窓孔と柱の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、柱を上記接合金具に対して土台に向けて移動させ、土台と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(m1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(34)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(j)の楔用窓孔(j',j')の孔縁に嵌合する縦凹溝(32,32)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(m2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(34)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(34)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(34)に嵌合する案内突条(33)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造である。
【0008】
請求項4記載の本発明木造建築物における接合連繋構造は、2本の梁部材または桁部材の互いの接合端部に接合金具を差込み装着し、その接合金具の楔用窓孔と各梁部材または桁部材の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、両梁部材または桁部材を互いに近接する方向に移動させ、両梁部材または桁部材を接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(r1……)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(34)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(q)の楔用窓孔(q'……,q"……)の孔縁に嵌合する縦凹溝(32,32)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(r2……)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(34)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(34)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(34)に嵌合する案内突条(33)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造である。
【0009】
請求項5記載の本発明木造建築物における接合連繋構造は、2本の柱部材の互いの接合端部に接合金具を差込み装着し、その接合金具の楔用窓孔と各柱部材の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、両柱部材を互いに近接する方向に移動させ、両柱部材を接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(v1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(55')を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(u)の楔用窓孔(u'……,u"……)の孔縁に嵌合する縦凹溝(54,54)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(v2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(55')と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(55')の深さよりも高くした、該楔案内横溝(55')に嵌合する案内突条(55)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造である。
【0010】
請求項6記載の本発明木造建築物における接合連繋構造は、2本の梁部材または桁部材の互いの接合端部を接合金具に嵌合上載し、その接合金具の楔用窓孔と各梁部材または桁部材の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、両梁部材または桁部材を互いに近接する方向に移動させ、両梁部材または桁部材を接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(z1,z1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(14)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(y)の楔用窓孔(y')の孔縁に嵌合する縦凹溝(15)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(z2,z2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(14)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(14)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(14)に嵌合する案内突条(18)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造である。
【0011】
請求項7記載の本発明は、上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)が、楔案内横溝(14,34,55')の内奥面に、その楔案内横溝(14,34,55')の幅方向に長い複数の緩み止め突条(14'……)を平行に並べた状態で形成してなり、上記打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)が、案内突条(18,33,55)の頂上面に、複数の緩み止め突起(18'……)を千鳥状に配置してなる請求項1,2,3,4,5または6記載の木造建築物における接合連繋構造である。
【0012】
請求項8記載の本発明は、上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)および打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)が、その外面形状を円弧状にしている請求項1,2,3,4,5,6または7記載の木造建築物における接合連繋構造である。
【0013】
請求項9記載の本発明は、上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)の楔案内横溝(14,34,55')が断面凸形であること、および、打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)の案内突条(18,33,55)の断面形状が凹形である請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の木造建築物における接合連繋構造である。
【0014】
請求項10記載の本発明は、上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)の楔案内横溝および打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)の案内突条の断面形状が円弧状である請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の木造建築物における接合連繋構造である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来よりも必要となる部材数を減らして、コストを低減するとともに接合連繋の作業を容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
柱に取り付けた接合金具に梁または桁の端部を嵌合支持させ、その接合金具の楔用窓孔と梁または桁の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともに、これに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、梁または桁を上記接合金具に対して柱に向けて移動させ、梁または桁と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(d1,d1',d1")が、その内面に、基端部(12)側を深く先端部(13)側を浅くした楔案内横溝(14)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(b)の楔用窓孔(b')の孔縁に嵌合する縦凹溝(15)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(d2,d2',d2")が、その内面に、基端部(16)側を高く先端部(17)側を低くして上記楔案内横溝(14)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(14)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(14)に嵌合する案内突条(18)を形成してなる木造建築物における接合連繋構造。
【実施例1】
【0017】
まず本発明の実施例1について図1〜7を参照しながら詳しく説明する。
【0018】
この実施例は柱と梁(または桁)との接合連繋構造に係るもので、概括的には、柱aに取り付けた接合金具bに、梁cの端部を嵌合支持させ、その接合金具bの楔用窓孔b’と梁cの楔挿通孔c’とに、楔案内片d1を装着するとともにこれに案内させて打込み楔d2を打ち込むことにより、上記接合金具bを介して柱aと梁cとを緊密にかつ強固に接合連繋するものである(図1)。
【0019】
上記接合金具bは、起立板1と底板2とでL形をなすとともに、その起立板1の内面と底板2の上面との間に芯板3を設立固定したもので、その芯板3の略中央に方形の上記楔用窓孔b’を開設している。
上記芯板3の起立板1側の縁部には切欠き部4を設けるとともに、上記起立板1の、該切欠き部4に対応する位置にボルト挿通孔5……を開設している。
また、6は上記起立板1の外面上端に突出形成された嵌合突起である。
【0020】
この接合金具bは、柱aの側面所要位置に、予め形成しておいた嵌合凹処7に上記嵌合突起6を嵌合させて、ボルト8……とナット8’……とにより取付け固定される。
【0021】
上記梁cは、その端部の下面c1に、接合金具bの底板2を受入する、これとほぼ同形同大の浅底凹処9を、また、端面c2に、接合金具bの起立板1を受入するこれとほぼ同形同大の端面凹処10を掘削形成している。さらに、この梁cの端部の中央には、接合金具bの芯板3を受入する、これとほぼ同形同大の嵌合縦溝11が、該梁cの長軸線に沿わせて、かつ上記浅底凹処9および端面凹処10に連通開口する状態にして掘削形成されている。
また、この梁cは、その端部の両側面c3,c4に開口する筒孔状の楔挿通孔c’を、上記嵌合縦溝11を横断する状態にして掘削形成している。その楔挿通孔c’の開口断面は、上記楔用窓孔b’とほぼ同形同大の方形のもので、その開口高さはH、開口幅はW1である(図4)。
【0022】
この梁cは、柱aに取付け固定されている上記接合金具bに対し、浅底凹処9を底板2に嵌合させるとともに嵌合縦溝11を芯板3に嵌合させ、かつ、楔挿通孔c’を楔用窓孔b’にほぼ一致させた状態で上載支持される。
【0023】
このとき、梁cの端面c2は柱aの対向側面との間に隙間F1を、端面凹処10の内奥面は接合金具bの起立板1の内面との間に隙間F2を空け、また、嵌合縦溝11と浅底凹処9の内奥面は、それぞれ芯板3と底板2の後端との間にF3,F4を空けた状態となる(図2)。
また、上記の通り楔挿通孔c’と楔用窓孔b’とはほぼ一致した状態となっており、接合金具bの楔用窓孔b’の柱aから遠い側の孔縁b’1は、梁cの楔挿通孔c’内に少し突出し、反対に柱aに近い側の孔縁b’2は、楔挿通孔c’外に位置する状態となる(図2)。
【0024】
次に、ほぼ一致した状態の上記楔用窓孔b’と楔挿通孔c’とに、楔案内片d1を装着するとともに打込み楔d2を打ち込むのであるが、これら楔案内片d1と打込み楔d2は以下のようなものである。
【0025】
上記楔案内片d1は、長さLを梁cの太さ、すなわち両側面c3,c4間の幅員とほぼ同じにし、高さを楔用窓孔b’および楔挿通孔c’の高さとほぼ同じHとし、幅W2を高さHのほぼ2分の1とした直方体をなす、鉄等の金属製のものである。
その内面には基端部12側を深く、先端部13側を浅くした断面凹形の楔案内横溝14が掘削形成され、外面の長手方向中央には縦凹溝15が掘削形成されている。
【0026】
上記打込み楔d2は、長さLおよび高さをHを楔案内片d1と同じくし、幅を楔案内片の幅W2とほぼ同じW3にした直方体をなす、鉄等の金属製のもので、その内面には基端部16側を高く、先端部17側を低くくして上記楔案内横溝14と同傾斜にした、該楔案内横溝14に嵌合する断面凸形の案内突条18が形成されている。
この案内突条18の高さは、上記楔案内横溝14の深さよりもΔxだけ高くなっている(図3,図4)。
【0027】
なお、梁cの楔挿通孔c’の幅W1と、楔案内片d1および打込み楔d2の幅W2,W3との関係は、W1>W2+W3となっている(図2,3,4)。
また、案内突条18の高さと楔案内横溝14の深さの差である上記Δxは、Δx≧W1−(W2+W3)という関係になるよう設定される(図3,4参照)が、柱aと梁cとの接合を強固にするためには、Δx>W1−(W2+W3)という関係になるよう設定するのがよい。
【0028】
上記楔案内片d1の装着は、該楔案内片d1を上記楔挿通孔c’および楔用窓孔b’内に挿入して、上記縦凹溝15を接合金具bの芯板3の楔用窓孔b’の孔縁b’1(前記のように梁cの楔挿通孔c’内に少し突出している)に嵌合させることにより行う(図2)。
この楔案内片d1の装着後、打込み楔d2を、楔挿通孔c’および楔用窓孔b’内に、上記楔案内片d1の基端側から、上記案内突条18を上記楔案内横溝14に案内させながら打ち込む。
その打込みに伴い、楔案内片d1の楔案内横溝14の内奥面と後者の案内突条18の頂上面とが摺設するので、打込みを完了することにより両者の外面間の幅は、W2+W3+Δxまで、すなわち梁cの楔挿通孔c’の幅W1と少なくとも同じかあるいはこれ以上まで広がる(図3)。
したがって、打込み楔d2の打込みにより、梁c全体が、接合金具bの芯板3に沿い柱aに向かって、上記隙間F1〜F4を縮小しながら徐々に前進移動し、ついには端面c2を柱aの側面に圧接するので、梁cと柱aとを緊密かつ強固に接合連繋できる。
【0029】
このように、本実施例の接合連繋構造は、一対の楔案内片とそれらの間に打ち込む打込み楔を用いていたような従来の接合連繋構造よりも、部材数を減らしているので、接合連繋の作業が容易で、しかもコストを低減するものである。
【0030】
なお、この打込みによって梁cの楔挿通孔c’の内面に食い込みや変形が生じてしまうおそれがあるような場合には、予めこれを防ぐための所要の処理をしておくのが好ましい。
【0031】
図6(a)は、楔案内片および打込み楔の第1変形例を示したものである。
上記楔案内片d1と、第1変形例に係る楔案内片d1’(上記楔案内片d1と同一の部分については同一の符号を付した。)とは、楔案内横溝14の内奥面の基端部12側に、その楔案内横溝14の幅方向に長い複数の緩み止め突条14’……を平行に並べた状態で形成している点だけを異にするものである。
この緩み止め突条14’は縦断面半円形をなしているものである(図6(b))
。また、その各緩み止め突条14’の間隔はたとえば2mm間隔とすることができる。
【0032】
また、上記打込み楔d2と、第1変形例に係る打込み楔d2’(上記打込み楔d2と同一の部分については同一の符号を付した。)とは、案内突条18の頂上面の基端部16側に、複数の緩み止め突起18’……を突設している点だけを異にするものである(図6(a))。
この緩み止め突起18’……の形状は、同図(b)に示したように、該打込み楔d2’の先端部17の側を斜面18’aとし、基端部16の側を垂直面18’bとした縦断面直角三角形をなしている。
また、この緩み止め突起18’……は千鳥状に配置されている。より具体的には、該打ち込み楔d2’の高さH方向にはそれぞれ位置をずらしてあるとともに、該打ち込み楔d2’の長さL方向には、上記緩み止め突条14’の間隔に対応させて2mmの間隔を空けてある。
【0033】
これら楔案内片d1’と打込み楔d2’とは、上記楔案内片d1および打ち込み楔d2と同じように、すなわち梁cを、柱aに取付け固定されている上記接合金具bに上載支持させて、ほぼ一致させた状態の上記楔用窓孔b’と楔挿通孔c’とに装着され、また、打ち込まれるが、その打込みが完了することにより、互いの、対向する緩み止め突条14’……と緩み止め突起18’……とが噛み合う(図6(b))。
したがって、一旦打ちこまれた打込み楔d2’が抜けづらく、柱aと梁cとの接合が容易に緩んでしまうようなことがない。
なお、打込みによって、緩み止め突起18’……が緩み止め突条14’……を乗り越える際、該緩み止め突条14’……が削られてしまうことがあるが、上記緩み止め突起18’は上記の通り千鳥状に配置してあるから、各緩み止め突起18’……が緩み止め突条14’の同一の部分を削ってしまうことがない。このため、緩み止め突条14’……の特定部分が削られてしまうことで打込み楔d2’が緩み易くなってしまうことが防止される。
【0034】
図7は、楔案内片および打込み楔の第2変形例を示したものである。
これら楔案内片d1”および打込み楔d2”は、その外面形状を円弧状にし、また、楔案内横溝14”と案内突条18”の断面形状を円弧状にした点を、上記楔案内片d1および打込み楔d2と異にするだけであるので、同一の部分に同一の符号を付すこととし、詳細な説明は省略する。
この楔案内片d1”および打込み楔d2”を用いる場合は、上記接合金具bの楔用窓孔b’および梁cの楔挿通孔c’の形状も対応する形状に変更すればよい。
【実施例2】
【0035】
次に、本発明の実施例2について図8〜10を参照しながら詳しく説明する。
【0036】
本実施例の接合連繋構造は、実施例1と同じく、柱と梁とを連繋接合するものであるが、接合金具等の形状および楔案内片および打込み楔の数が異なり、具体的には、柱eに取り付けた接合金具fに、梁gの端部を嵌合支持させ、その接合金具fの楔用窓孔f’……と梁gの楔挿通孔g’……とに、複数の楔案内片h1……を装着するとともにこれらに案内させて複数の打込み楔h2……を打ち込むことにより、上記接合金具fを介して柱eと梁gとを緊密にかつ強固に接合連繋するものである。
【0037】
上記接合金具fは、長方形状の底板21の一側の短辺縁を除く3辺縁、すなわち他側の短辺縁と両側の長辺縁に、起立板22と芯板23,23を設立して、上記一側の短辺縁側面と上面とを開口させた一体の函形をなしている。その芯板23,23には、互いの対向位置に3つずつの楔用窓孔f’……を開設している。
また、上記起立板22の外面上端には、嵌合突起24が突出形成されている。
【0038】
この接合金具fは、柱eの側面所要位置に、嵌合凹処25に上記嵌合突起24を嵌合させて、ボルト26……およびナット27……により取付固定される。
【0039】
上記梁gは、その端部に、上記接合金具fの形態とほぼ同形の嵌合空処28を形成している。この嵌合空処28は、上記のようにして柱eに取付け固定した接合金具fに嵌合するもので、梁gの接合端面と底面に開口させて設けられかつ上記底板21を受入する所要の大きさと形状にした扁平空処29と、上記接合端面と上面に開口していて起立板22とボルト26の頭端を受入する端面凹処30と、上記芯板23,23を受入し上面に開口する嵌合縦溝31,31とを互いに連続形成してなる。
【0040】
上記楔挿通孔g’……は、梁gの左右側面に開口させて、すなわち嵌合縦溝31,31を横断する状態にして貫通形成されたもので、それは、上記接合金具fの各楔用窓孔f’……と対応する位置に該楔用窓孔f’……と同じ大きさにして3つ設けられている。
【0041】
この梁gは、柱eに取付け固定されている上記接合金具fに対し、扁平空処29を底板21に嵌合させるとともに嵌合縦溝31,31を芯板23,23に嵌合させ、かつ、楔挿通孔g’……を楔用窓孔f’……にほぼ一致させた状態で上載支持される。
【0042】
このとき、梁gの端面は柱eの対向側面との間に隙間を空け、また、嵌合縦溝31,31の内奥面は芯板23,23の後端との間に隙間を空け、さらに、浅底凹処29の内奥面は、底板21の後端との間に隙間を空けた状態となる(図9)。
また、上記の通り楔挿通孔g’と楔用窓孔f’とはほぼ一致した状態となっているが、接合金具fの楔用窓孔f’の柱eから遠い側の孔縁は、梁gの楔挿通孔g’内に少し突出し、反対に柱eに近い側の孔縁は、楔挿通孔g’外に位置する状態となる(図9)。
【0043】
次に、ほぼ一致した状態の上記楔用窓孔f’と楔挿通孔g’とに、上記楔案内片h1を装着するとともに上記打込み楔h2を打ち込む。
【0044】
その楔案内片h1……は、実施例1の楔案内片d1とほぼ同じ構造をなすものであるが、その外面に2つの縦凹溝32,32を掘設形成している点のみにおいて、縦凹溝15を1つしか有しない上記楔案内片d1とは異なる(図11)。
その縦凹溝32,32の間隔は、上記接合金具fの芯板23,23の間隔と一致させてある。
また、上記打込み楔h2……は、実施例1の打込み楔d2と同構造のものである(図11)。
【0045】
上記縦凹溝32,32を接合金具fの芯板23,23の楔用窓孔f’,f’の柱eから遠い側の孔縁に嵌合させることによって楔案内片h1……を装着した後(図9)、打込み楔h2……を、楔用窓孔f’および楔挿通孔g’内に、上記楔案内片h1……の基端側から、該打込み楔h2……の案内突条33を該楔案内片h1……の楔案内横溝34に案内させながら打ち込む。
【0046】
これにより、梁g全体が、接合金具fの芯板23,23に沿い柱eに向かって、上記隙間を縮小しながら徐々に前進移動し、ついには端面を柱eの側面に圧接する。
したがって、梁gと柱eとを緊密かつ強固に接合連繋できる。
【実施例3】
【0047】
次に、本発明の実施例3について図12を参照しながら説明する。
【0048】
本実施例の接合連繋構造は、土台iに取り付けた接合金具jに、柱kの下端部を嵌合支持させ、その接合金具jの楔用窓孔j’,j’と柱kの楔挿通孔k’とに、楔案内片m1を装着するとともにこれに案内させて打込み楔m2を打ち込むことにより、上記接合金具jを介して土台iと柱kとを緊密かつ強固に接合連繋するものである。
【0049】
上記接合金具jは、柱kの下面と同じ大きさと形状であってかつ土台iと同じ幅員を有する方形の基板35の上面中央に断面正方形の筒体36を設立してなるものである。上記楔用窓孔j’,j’は、この筒体36の対向壁面に開設されている。
この接合金具jは、アンカーボルトによって土台i上に緊締固着されている。
【0050】
上記柱kは、下端部の中央に、接合金具jの筒体36を受入する嵌合空処37を該柱kの下面に開口させて掘削形成しており、上記楔挿通孔k’は、柱kの対向する側面に両端を開口させて、しかも、嵌合空処37を横断する状態となっている。
【0051】
上記楔案内片m1は、実施例2の楔案内片h1と同構造のもので(同一部分に同一符号を付した。)、その縦凹溝32,32は、接合金具jの筒体36の対向する壁に開設されている楔用窓孔j’,j’の縁部に嵌合するようになっている。
また、上記打込み楔m2は、実施例1の打込み楔d2(および実施例2の打込み楔h2)と同構造のものである(同一部分に同一符号を付した。)。
【0052】
柱kの土台iへの接合連繋は、次のようにして行われる。
柱kの下端部を、土台iに前記のようにして緊締固着してある接合金具jの上方に支持し、嵌合空処37を筒体36に嵌合させながら降ろし、楔挿通孔k’を楔用窓孔j’,j’に対応させる。
続いて、対応した上記楔挿通孔k’と楔用窓孔j’,j’とに楔案内片m1を挿通して、その縦凹溝32,32を筒体36の楔用窓孔j’,j’の孔縁に嵌合させる。
その後、打込み楔m2を、該打込み楔m2の案内突条33を楔案内片m1の楔案内横溝34に案内させながら打ち込む。
【0053】
これにより、柱k全体が、接合金具jの筒体36に沿い土台iに向かって下降移動し、ついには端面を土台iの上面(接合金具jの基板35)に圧接する。
したがって、柱kと土台iとを緊密かつ強固に接合連繋できる。
【実施例4】
【0054】
次に、本発明の実施例4について図13を参照しながら説明する。
【0055】
本実施例は2本の梁部材(または桁部材)を互いに接合してなる梁長尺材(または桁長尺材)の接合構造に関するもので、2本の梁部材n,pの、互いの接合端部に接合金具qを差込み装着するとともに、その梁部材n,pの楔挿通孔n’,n”,p’,p”と接合金具qの楔用窓孔q’……,q”……とに、楔案内片r1……を装着するとともに、これに案内させて打込み楔r2……を打ち込むことにより、上記接合金具qを介して両梁部材n,pを緊密かつ強固に接合連繋するものである。
【0056】
上記接合金具qは、鋼材製で断面正方形の筒体41の中央の、所要の間隔をおいた両側各位置の、互いに対向する面に楔用窓孔q’……を開設し、また、それらの外方で上記の楔用窓孔p’…… を開設していない残りの対向面に楔用窓孔q”…… を開設している。
【0057】
梁部材n,pは、その材軸に沿いかつ接合端面に開口する断面正方形状の嵌合空処42,43を掘削形成している。これら嵌合空処42,43の深さは接合金具qのほぼ半分の長さを有する。
【0058】
上記楔挿通孔n’,p’は、梁部材n,pの接合端面から所要の間隔をおいた位置に、材軸に直交させて、すなわち、嵌合空処42,43を横断する状態で貫通形成されており、その両端を梁部材n,pの対向する側面に開口させている。
また上記楔挿通孔n”,p”は、上記楔挿通孔n’,p’から所要の間隔をおいた位置に嵌合空処42,43を横断する状態で貫通形成され、材軸に直交させて、上記楔挿通孔n’,p’が開口していない残りの対向2側面に開口している。
【0059】
上記楔挿通孔n’,p’は、上記接合金具qの楔用窓孔q’と、また、上記楔挿通孔n”,p”は、上記接合金具qの楔用窓孔q”と対応する位置に、それらとほぼ同じ大きさにして設けられているものである。
【0060】
上記楔案内片r1……および打込み楔r2……は、実施例2の楔案内片h1および打込み楔h2とそれぞれ同構造のもので(同一部分に同一符号を付した。)、その楔案内片r1の縦凹溝32,32は、接合金具qの楔用窓孔q’,q’またはq”,q”の縁部に嵌合するようになっている。
【0061】
梁部材n,pの接合は、次のようにして行われる。
【0062】
まず、梁部材n,pの嵌合空処42,43を接合金具qの両側半部に嵌合し、楔挿通孔n’,n”,p’,p”を楔用窓孔q’,q”に対応させる。
そして、対応した上記各楔挿通孔n’,n”,p’,p”と各楔用窓孔q’,q”とに、楔案内片r1……を挿通して、その縦凹溝32,32を接合金具qの楔用窓孔q’,q”の孔縁に嵌合させる。
その後、打込み楔r2……を、該打込み楔r2の案内突条33を楔案内片r1の楔案内横溝34に案内させながら打ち込む。
【0063】
これにより、梁部材n,pは、接合金具qに沿い互いに近接する方向に移動し、ついには接合端面を圧接する。
したがって、梁部材nとqとを緊密かつ強固に接合連繋できる。
【0064】
なお、ここでは、梁部材n,pの嵌合凹処42,43および接合金具qの断面形状を方形としたが、後記の実施例5のように、断面円形等にしてもよい。
その場合には、楔案内片の縦凹溝の形状を適宜変形すればよい。
【実施例5】
【0065】
次に、本発明の実施例5について図14,15を参照しながら説明する。
【0066】
本実施例は、2本の柱部材を互いに接合してなる柱長尺材の接合構造に関するもので、上側の柱部材sの下端部と、その下側に接合される柱部材tの上端部に接合金具uを差し込んで取り付けるとともに、その柱部材s,tの楔挿通孔s’,s”,t’,t”と接合金具uの楔用窓孔u’……,u”……とに、楔案内片v1……を装着するとともにこれに案内させて打込み楔v2……を打ち込むことにより、上記接合金具uを介して上下の柱部材s,tを緊密かつ強固に接合連繋するものである。
【0067】
上記接合金具uは、鋼材製で断面円形の筒体51の中央の、所要の間隔をおいた両側各位置の、その周壁の対向位置に楔用窓孔u’……を開設し、また、それらの外方で上記楔用窓孔u’……から90°ずらした位置に楔用窓孔u”…… を開設している。
【0068】
上記柱部材sは、その接合端面すなわち下端面に開口する断面円形の嵌合空処52を、その材軸に沿って掘削形成しており、また、上記柱部材tは、上記柱部材sとの接合端面、すなわちその上端面に開口する断面円形の嵌合空処53を、その材軸に沿って掘削形成している。
これら嵌合空処52,53の深さは上記接合金具uのほぼ半分の長さを有する。
【0069】
上記楔挿通孔s’,t’は、柱部材s,tの接合端面から所要の間隔をおいた位置に、材軸に直交させて、すなわち、嵌合空処52,53を横断する状態で貫通形成されており、その両端を柱部材s,tの対向する側面に開口させている。
また上記楔挿通孔s”,t”は、上記楔挿通孔s’,t’から所要の間隔をおいた位置に嵌合空処52,53を横断する状態で上記楔挿通孔s’,t’に直交させて貫通形成され、上記楔挿通孔s’,t’が開口していない残りの対向2側面に開口している。
【0070】
上記楔挿通孔s’,t’は、上記接合金具uの楔用窓孔u’と、また、上記楔挿通孔s”,t”は、上記接合金具uの楔用窓孔u”と対応する位置に、それらとほぼ同じ大きさにして設けられているものである。
【0071】
上記楔案内片v1……および打込み楔v2……はそれぞれ、実施例2の楔案内片h1および打込み楔h2と、ほぼ同構造であるが、楔案内片v1……の縦凹溝54,54が、断面円形の上記接合金具uの楔用窓孔u’,u”の縁部に係合する、円弧状のものになっている点のみを異にしている(図15)。
【0072】
柱部材s,tの接合は、次のようにして行われる。
【0073】
まず、柱部材s,tの嵌合空処を接合金具uの両側半部に嵌合し、楔挿通孔s’,s”,t’,t”を楔用窓孔u’,u”に対応させる。
そして、対応した上記各楔挿通孔s’,s”,t’,t”と各楔用窓孔u’,u”とに、楔案内片v1……を挿通して、その縦凹溝54,54を接合金具uの楔用窓孔u’,u”の孔縁に嵌合させる。
その後、打込み楔v2……を、該打込み楔v2の案内突条55を楔案内片v1の楔案内横溝55’に案内させながら打ち込む。
【0074】
これにより、柱部材s,tは、接合金具uに沿い互いに近接する方向に移動し、ついには接合端面を圧接する。
したがって、梁部材sとtとを緊密かつ強固に接合連繋できる。
【0075】
なお、ここでは、柱部材s,tの嵌合凹処52,53および接合金具uの断面形状を円形としたが、上記の実施例4のように断面方形にしてもよいこと明らかである。
【実施例6】
【0076】
次に、本発明の実施例6について図16を参照しながら説明する。
【0077】
本実施例は、2本の梁部材(または桁部材)を互いに接合してなる梁長尺材(または桁長尺材)の接合構造に関するもので、2本の梁部材w,xの接合端部を、接合金具yに上載するとともに、その梁部材w,xの楔挿通孔w’,x’と接合金具yの楔用窓孔y’,y’とに、楔案内片z1,z1を装着するとともに、これに案内させて打込み楔z2,z2を打ち込むことにより、上記接合金具yを介して両梁部材w,xを緊密かつ強固に接合連繋するものである。
【0078】
上記接合金具yは、長方形状の底板61の中心線に沿って設立した芯板62の左右2箇所に楔用窓孔y’,y’を開設してなる左右対称形状ものである。
【0079】
また、上記梁部材w,xは、端部に、上記接合金具yの芯板62の半部を受入する大きさと形状で、該梁w,xの上面および接合面に開口する縦溝と、上記接合金具yの底板61の半部を受入する大きさと形状で、該梁部材w,xの下面および接合面に開口する扁平凹処と、上記縦溝を貫通して該梁部材w,xの両側面に開口する楔用窓孔w’,x’とを連続させてなる嵌合空処63を備えている。
【0080】
上記楔案内片z1,z1および打込み楔z2,z2は、実施例1の楔案内片d1およびd2と同構造のものであって(同一部分に同一符号を付した。)、その楔案内片z1,z1の外面の縦凹溝15,15は、上記接合金具yの楔用窓孔y’,y’の孔縁に嵌合するようになっている。
【0081】
梁部材w,xの接合は、次のようにして行われる。
【0082】
まず、梁部材w,xの嵌合空処63,63を接合金具yの両側半部に嵌合し、楔挿通孔w’,x’を楔用窓孔y’,y’に対応させる。
そして、対応した上記各楔挿通孔w’,x’と各楔用窓孔y’,y’とに、楔案内片z1,z1を挿通して、その縦凹溝15,15を芯板62の楔用窓孔y’,y’の孔縁に嵌合させる。
その後、打込み楔z2,z2を、該打込み楔z2の案内突条18を楔案内片z1の楔案内横溝14に案内させながら打ち込む。
【0083】
これにより、梁部材w,xは、接合金具yに沿い互いに近接する方向に移動し、ついには接合端面を圧接する。
したがって、梁部材wとxとを緊密かつ強固に接合連繋できる。
【0084】
なお、実施例2〜6においても、実施例1の場合と同様、打込み楔の打込みによって楔挿通孔の内面に食い込みや変形が生じてしまうおそれがあるような場合に、予めこれを防ぐための所要の処理をしておくのが好ましい。
また、楔案内片および打込み楔のそれぞれに、(1)緩み止め突条および緩み止め突起を設けるようにするとか、(2)それらの外面形状を円弧状にしたり、楔案内横溝と案内突条の断面形状を円弧状にするなどの適宜の変形ができることも、実施例1の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明接合連繋構造を、柱と梁(または桁)に適用した実施例1の分解斜視図である。
【図2】上記接合連繋構造において、楔挿通孔内に楔案内片を装着し、打込み楔を打ち込もうとしている状態の横断平面図である。
【図3】図2における打込み楔の打込みを終えた状態の横断平面図である。
【図4】同上の側面図である。
【図5】本実施例の楔案内片および打込み楔の斜視図である。
【図6】(a)は、楔案内片および打込み楔の、第1変形例の斜視図、(b)はそれらが楔挿通孔に打ち込まれた状態の要部拡大断面図である。
【図7】楔案内片と打込み楔の、第2変形例の斜視図である。
【図8】本発明接合連繋構造を、柱と梁(または桁)に適用した実施例2の分解斜視図である。
【図9】上記接合連繋構造において、楔挿通孔内に楔案内片を装着し、打込み楔を打ち込もうとしている状態の横断平面図である。
【図10】図9における打込み楔の打込みを終えた状態の横断平面図である。
【図11】本実施例の楔案内片および打込み楔の斜視図である。
【図12】本発明接合連繋構造を、土台と柱に適用した実施例3の分解斜視図である。
【図13】本発明接合構造を、梁部材(または桁部材)同士の接合に適用した実施例4の分解斜視図である。
【図14】本発明接合構造を、柱部材同士の接合に適用した実施例5の分解斜視図である。
【図15】本実施例の楔案内片および打込み楔の斜視図である。
【図16】本発明接合構造を、梁部材(または桁部材)同士の接合に適用した実施例6の分解斜視図である。
【図17】従来の木造建築物の接合連繋構造の、分解状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
a,e,k 柱
b,f,j,q,u,y 接合金具
b',f',j',q',q",u',u",y' 楔用窓孔
c,g 梁(桁)
c',g',k',n',n",p',p",s',s",t',t",w',x' 楔挿通孔
d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1 楔案内片
d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2 打込み楔
i 土台
n,p,w,x 梁部材(桁部材)
s,t 柱部材
14,14",34,55' 楔案内横溝
14' 緩み止め突条
15,32,54 縦凹溝
18,18",33,55 案内突条
18' 緩み止め突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱に取り付けた接合金具に梁または桁の端部を嵌合支持させ、その接合金具の楔用窓孔と梁または桁の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともに、これに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、梁または桁を上記接合金具に対して柱に向けて移動させ、梁または桁と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(d1,d1',d1")が、その内面に、基端部(12)側を深く先端部(13)側を浅くした楔案内横溝(14)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(b)の楔用窓孔(b')の孔縁に嵌合する縦凹溝(15)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(d2,d2',d2")が、その内面に、基端部(16)側を高く先端部(17)側を低くして上記楔案内横溝(14)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(14)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(14)に嵌合する案内突条(18)を形成してなることを特徴とする木造建築物における接合連繋構造。
【請求項2】
柱に取り付けた接合金具に梁または桁の端部を嵌合支持させ、その接合金具の複数の楔用窓孔と梁または桁の複数の楔挿通孔とに複数の楔案内片を装着するとともに、これらに案内させて複数の打込み楔を打ち込むことにより、梁または桁を上記接合金具に対して柱に向けて移動させ、梁または桁と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(h1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(34)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(f)の楔用窓孔(f',f')の孔縁に嵌合する縦凹溝(32,32)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(h2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(34)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(34)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(34)に嵌合する案内突条(33)を形成してなることを特徴とする木造建築物における接合連繋構造。
【請求項3】
土台に取り付けた接合金具に柱の下端部を嵌合支持させ、その接合金具の楔用窓孔と柱の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、柱を上記接合金具に対して土台に向けて移動させ、土台と柱とを接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(m1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(34)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(j)の楔用窓孔(j',j')の孔縁に嵌合する縦凹溝(32,32)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(m2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(34)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(34)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(34)に嵌合する案内突条(33)を形成してなることを特徴とする木造建築物における接合連繋構造。
【請求項4】
2本の梁部材または桁部材の互いの接合端部に接合金具を差込み装着し、その接合金具の楔用窓孔と各梁部材または桁部材の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、両梁部材または桁部材を互いに近接する方向に移動させ、両梁部材または桁部材を接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(r1……)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(34)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(q)の楔用窓孔(q'……,q"……)の孔縁に嵌合する縦凹溝(32,32)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(r2……)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(34)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(34)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(34)に嵌合する案内突条(33)を形成してなることを特徴とする木造建築物における接合連繋構造。
【請求項5】
2本の柱部材の互いの接合端部に接合金具を差込み装着し、その接合金具の楔用窓孔と各柱部材の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、両柱部材を互いに近接する方向に移動させ、両柱部材を接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(v1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(55')を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(u)の楔用窓孔(u'……,u"……)の孔縁に嵌合する縦凹溝(54,54)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(v2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(55')と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(55')の深さよりも高くした、該楔案内横溝(55')に嵌合する案内突条(55)を形成してなることを特徴とする木造建築物における接合連繋構造。
【請求項6】
2本の梁部材または桁部材の互いの接合端部を接合金具に嵌合上載し、その接合金具の楔用窓孔と各梁部材または桁部材の楔挿通孔とに楔案内片を装着するとともにこれに案内させて打込み楔を打ち込むことにより、両梁部材または桁部材を互いに近接する方向に移動させ、両梁部材または桁部材を接合連繋している木造建築物における接合連繋構造において、
<I>楔案内片(z1,z1)が、その内面に、基端部側を深く先端部側を浅くした楔案内横溝(14)を掘削形成するとともに、その外面に接合金具(y)の楔用窓孔(y')の孔縁に嵌合する縦凹溝(15)を掘削形成してなり、
<II> 打込み楔(z2,z2)が、その内面に、基端部側を高く先端部側を低くして上記楔案内横溝(14)と同傾斜にするとともに、その高さを上記楔案内横溝(14)の深さよりも高くした、該楔案内横溝(14)に嵌合する案内突条(18)を形成してなることを特徴とする木造建築物における接合連繋構造。
【請求項7】
上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)が、楔案内横溝(14,34,55')の内奥面に、その楔案内横溝(14,34,55')の幅方向に長い複数の緩み止め突条(14'……)を平行に並べた状態で形成してなり、上記打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)が、案内突条(18,33,55)の頂上面に、複数の緩み止め突起(18'……)を千鳥状に配置してなることを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の木造建築物における接合連繋構造。
【請求項8】
上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)および打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)が、その外面形状を円弧状にしていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載の木造建築物における接合連繋構造。
【請求項9】
上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)の楔案内横溝(14,34,55')が断面凸形であること、および、打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)の案内突条(18,33,55)の断面形状が凹形であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の木造建築物における接合連繋構造。
【請求項10】
上記楔案内片(d1,d1',d1",h1,m1,r1,v1,z1)の楔案内横溝および打込み楔(d2,d2',d2",h2,m2,r2,v2,z2)の案内突条の断面形状が円弧状であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の木造建築物における接合連繋構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−183376(P2006−183376A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379666(P2004−379666)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000173371)
【Fターム(参考)】