説明

板書連携プレゼンロボット、板書連携プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラム

【課題】プレゼンターの板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、その板書の内容に対応する身振りを実現することができるようにする。
【解決手段】プレゼンターの板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析部4と、板書解析部4の解析結果にしたがって上肢等の動作命令を生成する動作命令生成部6とを設け、板書再生部8が板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、動作命令生成部6により生成された動作命令にしたがって板書連携プレゼンロボット10の右手等を動かすアクチュエータを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報提供者であるプレゼンターの板書を電子黒板上に再生する際、板書の内容に対応する身振りを実現する板書連携プレゼンロボット、板書連携プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1には、例えば、顔や腕などを回転させることにより、訪問者に対して正面を向けるモードと、訪問者に対して背面を向けるモードとを有するサービスロボットが開示されている。
しかし、このサービスロボットは、プレゼンターの板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する機能や、板書の解析結果にしたがって上肢の動作命令を生成する機能などを備えていないため、電子黒板が当該板書を再生する際、その板書の内容に対応する身振り(板書の文字又は記号をなぞるような身振り)を実現することはできない。
したがって、サービスロボットがあたかも板書を行っているように見せることはできない。
【0003】
【特許文献1】特開2006−297531号公報(段落番号[0015]から[0016]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサービスロボットは以上のように構成されているので、顔や腕などを回転して、訪問者に対して正面を向けたり、訪問者に対して背面を向けたりすることができる。しかし、電子黒板がプレゼンターの板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、その板書の内容に対応する身振り(板書の文字又は記号をなぞるような身振り)を実現することができないなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、プレゼンターの板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、その板書の内容に対応する身振りを実現することができる板書連携プレゼンロボット、板書連携プレゼンロボットの制御方法及び制御プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットは、情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析手段と、板書解析手段の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成手段と、板書の再生に合わせて、動作命令生成手段により生成された動作命令にしたがって肢を動かす肢制御手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、情報提供者の板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、板書の内容に対応する身振りを実現することができる効果が得られる。
【0008】
請求項2記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットは、情報提供者の板書を録画し、板書が記録されている録画データを板書解析手段に出力する板書録画手段を設けるようにしたものである。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、情報提供者の板書が終了してから、情報提供者の板書を再現することができる効果が得られる。
【0010】
請求項3記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットは、情報提供者がポインティングデバイスを用いて板書している場合、板書解析手段が、板書が記録されている録画データとして、ポインティングデバイスの動き情報を取得し、その動き情報から板書を解析するようにしたものである。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、ポインティングデバイスの動きに見合う身振りを実現することができる効果が得られる。
【0012】
請求項4記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットは、板書解析手段が録画データに記録されている板書を解析し、板書の解析結果として、板書の文字又は記号を示すデータを動作命令生成手段に出力するようにしたものである。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、板書の再生に合わせて、板書の文字又は記号をなぞるような身振りを実現することができる効果が得られる。
【0014】
請求項5記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットは、動作命令生成手段が、情報提供者により板書された表示装置のサイズと、板書が再生される表示装置のサイズとを考慮して、肢の動作命令を生成するようにしたものである。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、情報提供者により板書された表示装置のサイズと、板書が再生される表示装置のサイズとが異なる場合でも、表示装置に再生される板書の文字又は記号の大きさに見合う身振りを実現することができる効果が得られる。
【0016】
請求項6記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットは、動作命令生成手段が、板書が再生される表示装置までの距離に応じて肢の動作命令を生成するようにしたものである。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、板書が再生される表示装置までの距離に見合う大きさの身振りを実現することができる効果が得られる。
【0018】
請求項7記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットの制御方法は、板書解析手段が情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析ステップと、動作命令生成手段が板書解析手段の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成ステップと、肢制御手段が上記板書の再生に合わせて、動作命令生成手段により生成された動作命令にしたがって肢を動かす肢制御ステップとを備えるようにしたものである。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、情報提供者の板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、板書の内容に対応する身振りを実現することができる効果が得られる。
【0020】
請求項8記載の発明に係る板書連携プレゼンロボットの制御プログラムは、情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析処理手順と、板書解析処理手順の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成処理手順と、板書の再生に合わせて、動作命令生成処理手順により生成された動作命令にしたがって肢を動かす肢制御処理手順とをコンピュータに実行させるようにしたものである。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、情報提供者の板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、板書の内容に対応する身振りを実現することができる効果が得られる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析手段と、板書解析手段の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成手段とを設け、板書の再生に合わせて、動作命令生成手段により生成された動作命令にしたがって肢を動かすように構成したので、情報提供者の板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、板書の内容に対応する身振りを実現することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による板書連携プレゼンロボットを有する板書再生システムを示す構成図であり、図1において、情報提供者であるプレゼンターは例えば講義や講習を行う際、表示装置である電子黒板1に板書を行う。
図1では、電子黒板1に板書を行うものについて示しているが、これに限るものではなく、例えば、パーソナルコンピュータ、ホワイトボードなどに板書を行うようにしてもよい。なお、ホワイトボードに板書を行う場合には、例えば、ホワイトボードの画像をビデオに録画する方式を採用する。
【0024】
板書録画部2は例えばタッチパネルなどから構成されており、プレゼンターの板書を録画し(例えば、プレゼンターがポインティングデバイス(例えば、マウスやタッチペン)を用いて、文字や記号などを電子黒板1に板書している場合には、そのポインティングデバイスの動き情報を録画データとして取得する)、その録画データを録画データ格納部3に格納する処理を実施する。なお、板書録画部2は板書録画手段を構成している。
録画データ格納部3はプレゼンターの板書が記録されている録画データを格納するハードディスクなどのメモリである。
【0025】
板書解析部4は例えばCPU等を実装している半導体集積回路基板などから構成されており、録画データ格納部3に格納されている録画データであるポインティングデバイスの動き情報を取得し、そのポインティングデバイスの動き情報から板書を解析する処理を実施する。なお、板書解析部4は板書解析手段を構成している。
動作命令格納部5は文字又は記号と動作命令の対応関係を示すテーブルを格納しているハードディスクなどのメモリである。
動作命令生成部6は例えばCPU等を実装している半導体集積回路基板などから構成されており、板書解析部4の解析結果にしたがって板書連携プレゼンロボット10の動作命令を生成する処理を実施する。即ち、動作命令格納部5から板書解析部4により解析された文字又は記号に対応する動作命令を検索する処理を実施する。なお、動作命令格納部5及び動作命令生成部6から動作命令生成手段が構成されている。
【0026】
タイミング発生部7は例えばクロックなどから構成されており、動作命令生成部6による動作命令の生成が完了したのち、外部から板書の再生要求を受けると、板書再生部8と肢制御部9の同期を確立するために、タイミング信号(例えば、所定周波数のパルス信号、または、開始トリガ信号)を板書再生部8及び肢制御部9に出力する。
板書再生部8は例えばグラフィック処理装置などから構成されており、タイミング発生部7から出力されるタイミング信号に同期して、録画データ格納部3に格納されている録画データにしたがって板書を電子黒板1上に再生する処理を実施する。なお、板書再生部8は板書再生手段を構成している。
【0027】
肢制御部9は例えばCPU等を実装している半導体集積回路基板などから構成されており、タイミング発生部7から出力されるタイミング信号に同期して、動作命令生成部6により生成された動作命令にしたがって、例えば板書連携プレゼンロボット10の上肢等を動かすアクチュエータを制御する処理を実施する。なお、肢制御部9は肢制御手段を構成している。
板書連携プレゼンロボット10は肢制御部9の指示の下、上肢等のアクチュエータを動かして、板書の文字や記号を表す身振りを実現する。
なお、図1の例では、板書録画部2、録画データ格納部3、板書解析部4、動作命令格納部5、動作命令生成部6、タイミング発生部7及び肢制御部9が板書連携プレゼンロボット10の外部に設けられているものを示しているが、図8に示すように、板書録画部2、録画データ格納部3、板書解析部4、動作命令格納部5、動作命令生成部6、タイミング発生部7及び肢制御部9が板書連携プレゼンロボット10に内蔵されていてもよい。
【0028】
図2はこの発明の実施の形態1による板書連携プレゼンロボット10を示す正面図である。また、図3はこの発明の実施の形態1による板書連携プレゼンロボット10を示す側面図である。
図2及び図3では、上肢(左上腕部1L、右上腕部1R、左下腕部2L、右下腕部2R)のアクチュエータを動かして、板書の文字や記号を表す身振りを実現する板書連携プレゼンロボットの例を示している。
図2及び図3において、板書連携プレゼンロボット10の左上腕部1Lは一端が可動自在に左肩関節部3Lに取り付けられており、左下腕部2Lは一端が可動自在に左肘関節部4Lに取り付けられている。
左肩関節部3Lは肢制御部9の指示の下、例えば、左上腕部1Lを矢印A方向に回転させるアクチュエータや、左上腕部1Lを矢印B方向にスイングさせるアクチュエータなどからなる機械要素である。
左肘関節部4Lは肢制御部9の指示の下、例えば、左下腕部2Lを矢印C方向に回転させるアクチュエータなどからなる機械要素である。
【0029】
板書連携プレゼンロボット10の右上腕部1Rは一端が可動自在に右肩関節部3Rに取り付けられており、右下腕部2Rは一端が可動自在に右肘関節部4Rに取り付けられている。
右肩関節部3Rは肢制御部9の指示の下、例えば、右上腕部1Rを矢印A方向に回転させるアクチュエータや、右上腕部1Rを矢印B方向にスイングさせるアクチュエータなどからなる機械要素である。
右肘関節部4Rは肢制御部9の指示の下、例えば、右下腕部2Rを矢印C方向に回転させるアクチュエータなどからなる機械要素である。
移動ローラ5L,5Rは肢制御部9の指示の下、板書連携プレゼンロボット10を移動させる移動機構である。
【0030】
図1の例では、板書再生システムの構成要素である板書録画部2、板書解析部4、動作命令生成部6、タイミング発生部7、板書再生部8及び肢制御部9がそれぞれ専用のハードウェアで構成されていることを想定しているが、板書再生システムがコンピュータで構成されている場合、板書録画部2、板書解析部4、動作命令生成部6、タイミング発生部7、板書再生部8及び肢制御部9の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
図4はこの発明の実施の形態1による板書再生システムの処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
次に動作について説明する。
プレゼンターが、例えば講義や講習を行う際、図5に示すように、その講義等の説明内容などを電子黒板1に板書する。
板書録画部2は、プレゼンターが板書を行うと、プレゼンターの板書を録画し(例えば、プレゼンターがポインティングデバイスを用いて、文字や記号などを電子黒板1に板書している場合には、そのポインティングデバイスの動き情報を録画データとして取得する)、その録画データを録画データ格納部3に格納する(ステップST1)。
【0032】
板書解析部4は、板書録画部2が録画データを録画データ格納部3に格納すると、録画データ格納部3から録画データであるポインティングデバイスの動き情報を取得し、そのポインティングデバイスの動き情報から板書を解析する(ステップST2)。
板書解析部4における具体的な処理内容は以下の通りである。
板書解析部4は、例えば、録画データであるポインティングデバイスの動き情報を解析して、電子黒板1に書き込まれた文字や記号を識別し、その文字や記号を示すテキストデータを動作命令生成部6に出力する。
この際、板書解析部4は、電子黒板1に書き込まれた文字等の書込位置を特定し、文字等の属性情報として、文字等の書込位置を示す情報を動作命令生成部6に出力する。
また、板書解析部4は、録画データであるポインティングデバイスの動き情報を動作命令生成部6に出力する。
【0033】
動作命令生成部6は、板書解析部4の解析結果にしたがって板書連携プレゼンロボット10の動作命令を生成し、その動作命令を肢制御部9に出力する(ステップST3)。
動作命令生成部6における具体的な処理内容は以下の通りである。
【0034】
動作命令生成部6は、板書解析部4から出力されたテキストデータが示す文字又は記号に対応する動作命令を検索する。
ここで、図6は動作命令格納部5に格納されているテーブル(文字又は記号と動作命令の対応関係を示すテーブル)を示す説明図である。
電子黒板1に書き込まれている文字や記号が、例えば「チェック」(板書解析部4から出力されたテキストデータが「チェック」)であれば、「チ」の動作命令17、「ェ」の動作命令4、「ッ」の動作命令18、「ク」の動作命令8をそれぞれ検索する。
【0035】
例えば、「チ」の動作命令17は、板書連携プレゼンロボット10の右手の先端で「チ」を表現するものであり、また、「チ」の画数が3画であるため、まず、板書連携プレゼンロボット10の右手の先端を右上から斜め下に移動し、次に、板書連携プレゼンロボット10の右手の先端を左から右に水平に移動し、最後に、板書連携プレゼンロボット10の右手の先端を上から下に移動するように、板書連携プレゼンロボット10の右肩関節部3R及び右肘関節部4Rを制御するものである。
【0036】
動作命令生成部6は、板書解析部4により解析された文字又は記号に対応する動作命令を検索すると、電子黒板1の画面サイズと、ポインティングデバイスの動き情報が示すポインタの移動距離とを参照して、その動作命令を補正する。
例えば、プレゼンターが板書を行う電子黒板1と、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1が異なる場合がある。
このような場合、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1の画面サイズが、プレゼンターが板書を行う電子黒板1の画面サイズのM倍であれば、板書連携プレゼンロボット10の右手の移動距離がM倍になるように動作命令を補正する。
【0037】
また、ポインティングデバイスの動き情報が示すポインタの移動距離が、動作命令格納部5に格納されている動作命令が実現する文字等のフォントサイズに対応する移動距離と異なる場合がある。
このような場合、ポインティングデバイスの動き情報が示すポインタの移動距離が、動作命令格納部5に格納されている動作命令が実現する文字等のフォントサイズに対応する移動距離のS倍であれば、板書連携プレゼンロボット10の右手の移動距離がS倍になるように動作命令を補正する。
【0038】
ここでは、電子黒板1の画面サイズと、ポインティングデバイスの動き情報が示すポインタの移動距離とを参照して、動作命令を補正する補正方法等を示したが、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1と板書連携プレゼンロボット10の距離に応じて板書連携プレゼンロボット10の動作命令を補正するようにしてもよい。
例えば、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1と板書連携プレゼンロボット10の距離が近いほど、板書連携プレゼンロボット10の身振りが大きくなるように、板書連携プレゼンロボット10の動作命令を補正する。
【0039】
タイミング発生部7は、動作命令生成部6から動作命令の生成完了通知を受けたのち、外部から板書の再生要求を受けると(ステップST4)、板書再生部8と肢制御部9の同期を確立するために、タイミング信号(例えば、所定周波数のパルス信号、または、開始トリガ信号)を板書再生部8及び肢制御部9に出力する(ステップST5)。
ここでは、動作命令生成部6が全ての動作命令の生成が完了すると、動作命令の生成完了通知をタイミング発生部7に出力するものを想定しているが、動作命令生成部6が1つの動作命令を生成して、その動作命令を肢制御部9に出力する毎に、動作命令の生成完了通知をタイミング発生部7に出力するようにしてもよい。ただし、この場合、タイミング発生部7は、外部から板書の再生要求を1度受ければ、動作命令生成部6から動作命令の生成完了通知を受ける毎に、タイミング信号を板書再生部8及び肢制御部9に出力するものとする。
なお、板書の再生要求は、例えば、板書連携プレゼンロボット10の管理者がタイミング発生部7に入力する。
【0040】
板書再生部8は、タイミング発生部7からタイミング信号を受けると、そのタイミング信号に同期して、板書の再生処理を実施する(ステップST6)。
即ち、板書再生部8は、録画データ格納部3から録画データを取得し、タイミング信号の周波数に相当する速度で、その録画データにしたがって電子黒板1に書き込まれた時刻が早い文字等から順番に電子黒板1上に再生する。
【0041】
肢制御部9は、タイミング発生部7からタイミング信号を受けると、そのタイミング信号に同期して、板書連携プレゼンロボット10の右肩関節部3R及び右肘関節部4Rと移動ローラ5L,5Rを制御する(ステップST7)。
即ち、肢制御部9は、動作命令生成部6により生成された動作命令を取得し、タイミング信号の周波数に相当する速度(板書再生部8による板書の再生速度と一致する速度)で、その動作命令にしたがって板書連携プレゼンロボット10の右肩関節部3R及び右肘関節部4Rと移動ローラ5L,5Rを制御する。
これにより、板書連携プレゼンロボット10の右手等により、電子黒板1に書き込まれた文字や記号をなぞるような身振りが実現される。
ここでは、板書を電子黒板1上に再生するものについて示したが、例えば、板書をプロジェクタ上に再生する場合には、ロボットが例えばレーザポインタを手に持って、文字や記号をなぞるような身振りを実現するようにする。
【0042】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、プレゼンターの板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析部4と、板書解析部4の解析結果にしたがって上肢等の動作命令を生成する動作命令生成部6とを設け、板書再生部8が板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、動作命令生成部6により生成された動作命令にしたがって板書連携プレゼンロボット10の右手等を動かすアクチュエータを制御するように構成したので、プレゼンターの板書を再生する際、その板書の再生に合わせて、板書連携プレゼンロボット10が板書の内容に対応する身振り(板書の文字又は記号をなぞるような身振り)を実現することができる効果を奏する。
【0043】
また、この実施の形態1によれば、板書解析部4が録画データ格納部3から録画データとして、ポインティングデバイスの動き情報を取得し、その動き情報から板書を解析するように構成したので、ポインティングデバイスの動きに見合う身振りを実現することができる効果を奏する。
【0044】
また、この実施の形態1によれば、動作命令生成部6が動作命令を生成する際、プレゼンターが板書を行う電子黒板1のサイズと、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1のサイズとを考慮して、ロボットの動作命令を生成するように構成したので、プレゼンターが板書を行う電子黒板1のサイズと、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1のサイズとが異なる場合でも、電子黒板1に再生される板書の文字や記号の大きさに見合う身振りを実現することができる効果を奏する。
【0045】
さらに、この実施の形態1によれば、動作命令生成部6が動作命令を生成する際、板書再生部8により板書が再生される電子黒板1と板書連携プレゼンロボット10の距離に応じてロボットの動作命令を補正するように構成したので、板書が再生される電子黒板1とロボットの距離に見合う大きさの身振りを実現することができる効果を奏する。
【0046】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、動作命令生成部6が板書連携プレゼンロボット10の右肩関節部3R及び右肘関節部4Rを制御する動作命令を生成し、肢制御部9が当該動作命令にしたがって板書連携プレゼンロボット10の右手を動かすものについて示したが、これは一例に過ぎず、例えば、動作命令生成部6が板書連携プレゼンロボット10の左肩関節部3L及び左肘関節部4Lを制御する動作命令を生成し、肢制御部9が当該動作命令にしたがって板書連携プレゼンロボット10の左手を動かすようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態1では、動作命令生成部6が「チェック」の文字を表現する身振りを実現する動作命令を生成するものについて示したが、例えば、「チ」の文字は、図7(a)に示すように、字画の一部が湾曲している。
板書連携プレゼンロボット10が湾曲している部分を表現する場合、直線部分と比べて動作命令が複雑になる。
そこで、動作命令生成部6が動作命令を生成する際、図7(b)に示すように、湾曲している部分を直線でデフォルメして動作命令を生成するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施の形態1では、動作命令生成部6が動作命令格納部5から板書解析部4により解析された文字又は記号に対応する動作命令を検索するものについて示したが、板書解析部4により解析された文字又は記号に対応する動作命令を計算によって求めるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態1では、動作命令生成部6が動作命令格納部5から板書解析部4により解析された文字又は記号に対応する動作命令を検索するものについて示したが、情報提供者がポインティングデバイスを用いて板書している場合、そのポインティングデバイスの動き情報にしたがってロボットの動作命令を生成するようにしてもよい。
即ち、ポインティングデバイスの動きに見合うロボットの身振り(例えば、ロボットの指先がポインティングデバイスの動きと一致するような身振り)を実現するロボットの動作命令を生成するようにしてもよい。
例えば、ポインティングデバイスの動きが、左から右への移動であれば、ロボットの手が左から右へ移動し、例えば、ポインティングデバイスの動きが、上から下への移動であれば、ロボットの手が上から下へ移動するようなロボットの動作命令を生成する。
【0050】
また、上記実施の形態1では、板書再生部8と肢制御部9の同期を確立するために、タイミング発生部7がタイミング信号を板書再生部8及び肢制御部9に出力するものについて示したが、録画データ格納部3に格納されている録画データと、動作命令生成部6により生成された動作命令とをカップリングし(録画データによる板書の再生時刻と、動作命令によるロボットの制御時刻とが一致するように、録画データと動作命令をカップリングする)、その録画データと動作命令のカップリングデータを板書再生部8及び肢制御部9に出力することにより、板書再生部8と肢制御部9の同期を確立するようにしてもよい。
例えば、「イ」の文字を電子黒板1に再生する場合には、「イ」の文字を再生する再生時刻と、「イ」の文字をなぞる身振りを実現する動作指令の制御時刻とが対応するように、録画データと動作命令をカップリングすれば、板書再生部8による「イ」の文字の再生時刻と、肢制御部9による「イ」の文字をなぞるロボットの制御時刻を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施の形態1による板書連携プレゼンロボットを有する板書再生システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による板書再生システムの板書連携プレゼンロボット9を示す正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による板書再生システムの板書連携プレゼンロボット9を示す側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による板書再生システムの処理内容を示すフローチャートである。
【図5】講義等の説明内容などが板書されている電子黒板1を示す説明図である。
【図6】動作命令格納部5に格納されているテーブル(文字又は記号と動作命令の対応関係を示すテーブル)を示す説明図である。
【図7】動作命令を生成する際の文字等のデフォルメを示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による板書連携プレゼンロボットを有する板書再生システムを示す構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電子黒板(表示装置)
2 板書録画部(板書録画手段)
3 録画データ格納部
4 板書解析部(板書解析手段)
5 動作命令格納部(動作命令生成手段)
6 動作命令生成部(動作命令生成手段)
7 タイミング発生部
8 板書再生部(板書再生手段)
9 肢制御部(肢制御手段)
10 板書連携プレゼンロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析手段と、
上記板書解析手段の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成手段と、上記板書の再生に合わせて、上記動作命令生成手段により生成された動作命令にしたがって肢を動かす肢制御手段と
を備えた板書連携プレゼンロボット。
【請求項2】
情報提供者の板書を録画し、上記板書が記録されている録画データを板書解析手段に出力する板書録画手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の板書連携プレゼンロボット。
【請求項3】
板書解析手段は、情報提供者がポインティングデバイスを用いて板書している場合、上記板書が記録されている録画データとして、上記ポインティングデバイスの動き情報を取得し、その動き情報から板書を解析することを特徴とする請求項1または請求項2記載の板書連携プレゼンロボット。
【請求項4】
板書解析手段は、録画データに記録されている板書を解析し、上記板書の解析結果として、上記板書の文字又は記号を示すデータを動作命令生成手段に出力することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の板書連携プレゼンロボット。
【請求項5】
動作命令生成手段は、情報提供者により板書された表示装置のサイズと、板書が再生される表示装置のサイズとを考慮して、肢の動作命令を生成することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の板書連携プレゼンロボット。
【請求項6】
動作命令生成手段は、板書が再生される表示装置までの距離に応じて肢の動作命令を生成することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の板書連携プレゼンロボット。
【請求項7】
板書解析手段が情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析ステップと、
動作命令生成手段が上記板書解析手段の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成ステップと、
肢制御手段が上記板書の再生に合わせて、上記動作命令生成手段により生成された動作命令にしたがって肢を動かす肢制御ステップと
を備えた板書連携プレゼンロボットの制御方法。
【請求項8】
情報提供者の板書が記録されている録画データを取得し、その録画データに記録されている板書を解析する板書解析処理手順と、
上記板書解析処理手順の解析結果にしたがって肢の動作命令を生成する動作命令生成処理手順と、
上記板書の再生に合わせて、上記動作命令生成処理手順により生成された動作命令にしたがって肢を動かす肢制御処理手順と
をコンピュータに実行させるための板書連携プレゼンロボットの制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−254102(P2008−254102A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97604(P2007−97604)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】