説明

植付機

【課題】種球を適正な姿勢で圃場に植付ける植付機の提供。
【解決手段】走行部14と、前記走行部14の上方に配置されて種球Gの植付けを行う植付部17とを備え、走行しながら走行方向に植付間隔P(所定間隔)ごとに種球Gの植付けを行う植付機1であって、前記植付部17は、種球Gを保持する保持開孔手段2(保持手段)と、前記保持開孔手段2に保持中の種球Gを保持しながら圃場へと移動させる筒状のガイドパイプ71(ガイド部材の一部)と、前記ガイドパイプ71に内装されるとともにガイド部材が保持する種球Gを圃場へと押出しながら植付ける植付ロッド72とを有する押出手段4と、を備え、種球Gを保持する保持体73を前記ガイド部材の種球Gと接触する部分に設け、当該保持体73を筒状でかつ、その内周断面形状を多角形に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付機に関し、特に種球を圃場に植付ける植付機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニンニク等の種球は、種球の芽が上に、種球の根が下になるように植付けられている。不適切な植付けは、発芽不良等を起因とする収量の減少および等級の低下等に繋がっていた。よって、高品質の作物を収穫するには、種球の手植えをせざるを得なかった。
しかし、種球を商品作物として栽培する場合、作付面積の拡大等により、手作業では作業者に大きな負担が掛かっていた。そのため、種球を圃場に植付ける数々の植付機が提示されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示す植付機は、植付前に作物(種球)を一旦収容するホルダーと、ホルダーを収容位置と植付位置との間で循環させる上下機構と、ホルダーに収容された作物を押出し植付ける押出し杆部と、押出し杆部を上下に移動させる上下動機構とを備える。この植付機は、押出し杆部を植付位置まで移動したホルダーの上端部から挿入し、この押出し杆部によりホルダーに収容された作物を下方へと押出すことによって、作物を圃場に植付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−213359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示す植付機におけるホルダー及び押出し杆部が種球の形状や植付姿勢を考慮して構成されていなかったため、押出し杆部に対する種球の据わりが悪く、押出し杆部に押出された種球が適切な姿勢で圃場に植付けられない場合があった。
【0006】
そこで本発明は、種球を適正な姿勢で圃場に植付けることができる植付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、走行部と、前記走行部の上方に配置されて種球の植付けを行う植付部とを備え、走行しながら走行方向に所定間隔ごとに種球の植付けを行う植付機であって、前記植付部は、種球を保持する保持手段と、前記保持手段に保持中の種球を保持しながら圃場へと移動させる筒状のガイド部材と、前記ガイド部材に内装されるとともに当該ガイド部材が保持する種球を圃場へと押出しながら植付ける植付ロッドとを有する押出手段と、を備え、種球を保持する保持体を前記ガイド部材の種球と接触する部分に設け、当該保持体を筒状でかつ、その内周断面形状を多角形に形成したものである。
【0009】
請求項2においては、前記保持体を軟質材料で構成したものである。
【0010】
請求項3においては、前記保持手段は、中央に挿入孔が形成され当該挿入孔から前記保持体と一致する多角形の頂点方向に切れ目が形成される保持板と、中央に前記種球よりも大きい開孔部が形成される開孔板とが、中心を一致させて交互に複数重ね合わせて形成され、上下方向中央に配置される前記保持板の挿入孔は、上下両側に配置される保持板の挿入孔よりも大きく構成されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記上下両側に配置される保持板の間に配置される中間層の保持板の挿入孔は、下側ほど開孔面積が大きく形成されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、種球を圃場に植付けるときに、保持体が、種球の外周面に対して複数箇所で接触して、当該種球を適正な姿勢で保持することになる。したがって、保持体に保持された種球を、植付ロッドにより押出すことよって、そのままの適正な姿勢で圃場に植付けることができる。
【0014】
請求項2においては、保持体が種球を保持するときに、保持体は種球の外形に合わせて変形し、保持体の種球との接触面積を大きくすることが可能となり、種球を保持体に適正な姿勢で保持しやすくなる。したがって、種球を適正な姿勢で圃場に植付けることができる。しかも、保持体が種球の外周面に柔軟に接触してこれを傷めることがない。
【0015】
請求項3においては、保持体の頂点と保持板の切れ目が一致するため、適正な姿勢のまま種球を保持して確実に植え付けることができる。つまり、種球は平面視略三角形であり、種球の頂点は保持板の切れ目に合わせて保持され、押出手段のガイド部材に受け継いで押し出す時に、この保持した状態が変化することなく保持体に保持されるため、押出時に種球の芽の方向がずれたり落下したりすることがなく、確実に保持して植え付けることができる。
また、上下方向中間層の保持板の挿入孔が上下両側の挿入孔よりも大きく形成されることによって、同じ大きさの挿入孔を形成するよりも種球と保持板とによる過大な摩擦力が軽減されるとともに、種球が保持板の挿入孔の内面によって適度に保持される。よって作業者が保持手段に種球を挿入するときに大きな摩擦が生じることなく、挿入し易く、傷つけることもなく、種球を保持手段に適正な姿勢で保持でき、押出手段で種球を適正な姿勢で圃場に植付けることができる。
【0016】
請求項4においては、中間層の保持板の挿入孔が、下側(排出側)の方が上側(挿入側)よりも開孔面積が大きく形成されているため、内部空間が下側にいくにしたがって大きくなるように形成される。そのため、作業者は種球を挿入するときに、最も下側の保持板の手前で保持板による新たな抵抗がなくなるまたは軽減されることによって、最も下の保持板で再び新たな抵抗を感じる。したがって、作業者は保持手段における種球の挿入位置を把握しやすくなる。
そして、種球は主として上下両側に配置される保持板によって適度な力で保持されながら保持手段に適切な姿勢で容易に挿入することが可能となるため、押出手段によって適正な姿勢で圃場に植付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る植付機の構成を示す後方斜視図。
【図2】同じく植付機の全体的な構成を示す側面図。
【図3】本発明の別実施形態に係る第二補助供給ボックスの構成を示す図。(a)第二補助供給ボックスの全体的な構成を示す側面図。(b)仕切部周辺の構成を示す側面図。
【図4】本発明の別実施形態に係る第二補助供給ボックスの構成を示す背面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る植付部における動力伝達機構を示す側面図。
【図6】同じく部分正面図。
【図7】同じく回転支持部および植付装置の一部の構成を示す側面図。
【図8】保持開孔手段の構成を示す斜視図。
【図9】種球ホルダの構成を示す斜視図。
【図10】種球ホルダに種球を挿入する状態を示す図。(a)挿入する直前の種球と種球ホルダの状態を示す部分端面図。(b)第一保持板まで種球を挿入した種球ホルダの状態を示す部分端面図。
【図11】種球ホルダに種球を挿入する状態を示す図。(a)第二保持板まで種球を挿入した状態を示す部分端面図。(b)種球ホルダに種球を挿入し保持した状態を示す部分端面図。
【図12】植付部における植付押出部を示す側面図。
【図13】同じく植付装置の構成を示す正面図。
【図14】駆動部の様態を示す側面図。(a)待機位置での状態の図。(b)待機位置から植付位置への移行途中の状態の図。(c)植付位置での状態の図。(d)植付位置から待機位置に戻る途中の状態の図。
【図15】クランク駆動部の長さ調節機構を示す正面図。(a)クランク駆動部の長さが最長の状態の図。(b)クランク駆動部の長さが中間の状態の図。(c)クランク駆動部の長さが最短の状態の図。
【図16】植付押出体の構成を示す側面図中央横部分断面図。
【図17】植付押出部の下部を示す側面図中央横断面図。(a)種球保持状態を示す図。(b)植付ロッドが種球を押える状態を示す図。
【図18】種球の保持状態を示す図。(a)図16の矢示X方向での植付押出体を示す底面図。(b)種球が種球ホルダに保持された状態を示す部分平面図。
【図19】左側の係合部の構成を示す側面図。
【図20】左側の係合部の構成を示す平面図。(a)左側の上部係合体の構成を示す部分平面図。(b)左側の下部係合体の構成を示す部分平面図。
【図21】左側の係合部の構成を示す正面図。
【図22】保持開孔手段とガイド部との当接の状態を示す部分側面図。(a)支持軸がガイド板開口部の前端に位置している場合の図。(b)支持軸がガイド板開口部の中途部に位置している場合の図。(c)支持軸がガイド板開口部の後端に位置している場合の図。
【図23】左側の上部係合部材が下降して係止部材と当接した状態の部分側断面図。
【図24】左側の上部係合部材が最下に位置した状態の部分側断面図。
【図25】種球ホルダが種球を保持した状態を示す模式側断面図。
【図26】植付押出体が種球ホルダから種球を受け取る状態を示す模式側断面図。
【図27】左側の上部係合部材が下方から下部係合部材と当接した状態を示すの部分側断面図図。
【図28】左側の下係合部材が上部係合部材の後端部を係止した状態を示す部分側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、畝上にマルチシートを被覆した状態での植付と想定して説明するが、これに特に限定するものではなく、マルチシートを被覆していない略平坦な圃場に植付する場合としてもよい。
【0019】
以下では、図1から図5を参照して、本発明の一実施形態に係る植付機1の全体的な構成について説明する。
説明において、図中に示した矢印Aの方向を植付機1の前方向として、前後左右方向を規定するものとする。
【0020】
植付機1は、マルチシート10を被覆した畝に、種球Gを植付するために使用される植付機である。植付機1は、主として機体フレーム12、駆動部13、走行部14、運転操作部15、動力伝達機構、植付部17、種球補給部19等を備える。
【0021】
機体フレーム12は、植付機1の骨格を成す構造体であって、上下方向に延設される左右複数の支柱フレームと、当該支柱フレームに横設され前後方向に延設される左右の複数の前後フレームと、当該前後フレームの間に左右方向に横設される左右フレームとを連結固定して構成される。機体フレーム12の前後略中央には、作業者が植付機1に乗り降りするためのステップ12aが形成される。ステップ12aの左右中央には動力伝達機構や、植付部17を昇降させ植付面(圃場)と植付部17との距離を適正な高さに保つための昇降リンク機構11等が配置される。昇降リンク機構11は、その上方を前後方向に配置される保護ケース155によって覆われる。
【0022】
前記植付フレーム18は、植付部17の一部であり植付部17の骨格を成す構造体である。植付フレーム18は、機体フレーム12の後部から昇降リンク機構11を介して、機体フレーム12の前方に配設される。植付フレーム18は、主として、主植付フレーム181、側部植付フレーム182および横植付フレーム183によって構成される。
主植付フレーム181は、図1から図5に示すように、パイプ等の棒材を側面視において後下部が開放される多角形に屈曲することで形成され、左右の機体幅より若干短い間隔をおいて、左右一対となるように配置される。詳細に説明すると、主植付フレーム181は、その一端が植付部17の後部の上下中途部に位置するように形成される。主植付フレーム181の後端から前上方に向けて、前高後低となるように後傾斜部18aが形成される。さらに植付部17の上部では、水平部18bが形成される。水平部18bの前部からは、前上部が前低後高となるように前上傾斜部18cが形成される。前上傾斜部18cの下部から植付部17の中央に向けて前高後低となるように前下傾斜部18dが形成される。そして、主植付フレーム181の他端は、植付部17の前下部に位置するように形成される。
【0023】
左右の主植付フレーム181・181には、上下方向および前後方向に側部植付フレーム182が配置される。左右の主植付フレーム181・181間には、横植付フレーム183・183が横設される。
このように構成することで、植付フレーム18は内部に空間が形成され、その空間内に後述する各種植付装置が配置可能となる。さらに主植付フレーム181・181は、その左右外側をカバー171によって覆われる。主植付フレーム181・181の両内側には、無端体カバー172が内方に突出するように配置される。
【0024】
前記駆動部13は、動力源であるエンジン131および図示しない発電機等で構成され、走行部14と植付部17とに動力を伝達して各部を駆動させるためのものである。駆動部13は、機体フレーム12の後部上に搭載され、機体フレーム12前部に連結される植付部17と前後方向の重量バランスが取れるように配置される。駆動部13の上方には、種球Gが収納されたカゴ153等を載せる載置部154が配設される。
【0025】
走行部14は、左右一対のクローラ140・140等で構成され、駆動部13からの動力がミッションケース141を介して伝達されることによって、植付機1を走行可能とするものである。
【0026】
運転操作部15は、機体フレーム12の前後中央部に配設され、走行部14および植付部17の操縦が行われる。運転操作部15は、作業者が着座する座席151・151、走行部14および植付部17の操縦を行うための複数の操作レバー等を配置した操作コラム152等で構成される。
【0027】
座席151は、エンジン131前方で機体フレーム12上に左右に並置される。座席151・151は、作業者が後述する種球ホルダ21(図8参照)に種球を挿入しやすいように、着座する面が前低後高となるように配設される。具体的には、図2示すように、座席151の座部(着座する面)における前下面は左右方向を軸心とする枢支軸により支持され、後下面は支持棒151aの上端に当接される。当該支持棒151aはその側面にネジ山が形成されており、機体フレーム12に対して上下方向に螺装される。こうして、支持棒151aを回転することにより、支持棒151aの上端の高さを調整でき、座席151の着座する面の傾斜を調整できる。つまり、着座する作業者の前傾姿勢を調節して、作業者の体格や作業のし易さに合わせて座席151の座部面の傾斜角度を調整することができる。但し、支持棒151aの代わりに係合高さが変更可能な係合部材や高さの異なるストッパを配置したりする構成とすることも可能であり、後下面の高さを変更できる構成であれば限定するものではない。
【0028】
操作コラム152は、座席151の周囲近傍に配置されるが、本実施形態では機体右外側の座席151の右斜め前方に配置される。操作コラム152の操作レバー等の操作によって走行部14への動力の断接や変速操作、および、植付部17への動力の断接操作ができるように構成される。
【0029】
操作コラム152は、箱状に形成される。操作コラム152の上面に、作業クラッチレバー、走行クラッチレバー、サイドクラッチレバー、植付高さ自動調整スイッチ、走行方向自動調整スイッチが配置される。操作コラム152の後面には、エンジン停止スイッチ、植付昇降スイッチ、植付部駆動スイッチ等が配置される。植付機1の走行速度を変速させる走行変速レバーは、本実施形態において、右座席151の下右側面に配置される。
【0030】
図1および図2に示す種球補給部19は、後述する保持開孔手段2に補給する種球を一時的に貯留するためのものである。種球補給部19は、主として補給ボックス191および補助供給ボックス192によって構成される。
【0031】
補給ボックス191は、植付部17の保持開孔手段2に挿入される種球Gが挿入前に一時的に収容される容器である。
補給ボックス191は、略樋状に形成され、植付部17の左右幅よりも若干短く、上部が開放され且つ左右両端が閉塞された容器である。この補給ボックス191の左右両側部が主植付フレーム181の後傾斜部18aの後内側、および無端体カバー172の後端に固設される。
【0032】
補助供給ボックス192は、補給ボックス191内に新たな種球Gを供給するためのものである。補助供給ボックス192・192は、左右のカバー171および無端体カバー172の上面に左右一対となるように配置される。補助供給ボックス192は、主として収容部193、誘導部194および仕切板195によって構成される。
収容部193は、上部が開放された略箱状の容器で、種球Gを貯留するためのものある。収容部193は、カバ−171および無端体カバー172の上面に取付部材(図示省略)等を介して固設される。収容部193の保持開孔手段2側は、左右方向に略同じ位置となるように配置される。収容部193の機体外方側は、カバー171の外側面よりも突出するように配置される。収容部193の後部は、カバ−171、主植付フレーム181の後傾斜部18aおよび無端体カバー172の上面に沿うように後傾斜部18aの前後中途部まで後下方へと突出するように配置される。当該突出部分の後部の保持開孔手段2側には、開口部が形成される。
【0033】
誘導部194は、略トンネル状の部材であって、収容部193内の種球Gを補給ボックス191へと供給するための通路である。誘導部194は、収容部193の後方の無端体カバー172および後傾斜部18aの上面に固設される。誘導部194の一端(上端)は、前記収容部193の開口部に接続される。誘導部194の他端(下端)は、補給ボックス191の左右両端部の上方に配置される。誘導部194の他端は、補給ボックス191側に開口部が形成される。
【0034】
仕切板195は、誘導部194の通路内における種球Gの詰りを防止するためのものである。仕切板195は、誘導部194の左右幅と略同じ板状の部材によって構成される。仕切板195は、誘導部194の上面に、誘導部194内の通路断面が種球Gの供給方向の上流側から下流側に向うにつれて大きくなるように配置される。さらに、仕切板195は、その上端部を誘導部194の上面方向に屈曲させてさらに上面に取付けられるように形成される。
【0035】
このように構成することで、誘導部194の上流側よりも下流側の通路断面が大きくなり、種球Gが補給ボックス191へと供給されやすくなる。
【0036】
前記構成において、作業者は補給ボックス191内の種球Gを手で取り出して、保持開孔手段2に挿入する。なお、補給ボックス191は左右連通した構成としているため、左右一側の作業者の前方で種球Gがなくなった場合には、左右他側の補給ボックス191内の種球Gを一側へ容易に移動させて、種球Gの補充を行うことができる。
さらに、補給ボックス191の端部の種球Gが減ると、補助供給ボックス192の収容部193から誘導部194を介して、種球Gの自重によって補給ボックス191内へと種球Gが供給される。従って、作業者は、補給ボックス191内の種球Gの不足による植付作業の停止を減少させることができ、植付作業を効率よく行うことができる。
【0037】
また、補給ボックス191および補助供給ボックス192内の種球Gがなくなれば、種球Gは座席151の後方のカゴ153から補給ボックス191および補助供給ボックス192に補給することが可能である。
【0038】
また、本実施形態の補助供給ボックス192に換えて、別実施形態として第二補助供給ボックス392を設置してもよい。第二補助供給ボックス392は、図3および図4に示すように、主として収容部393、誘導部394、および仕切部395によって構成される。収容部393および誘導部394は、基本構造が補助供給ボックス192の収容部193と同様である。収容部393は、後述する395の仕切部395を支持するためのボルト393a・393aが上下方向に所定間隔をおいて下後斜面に後下方へと突出するように固設される。誘導部394は、収容部393との取付部分近傍の機体外側面に挿入孔394aが形成される。
【0039】
仕切部395は、シャッター構造とされ、具体的には、板状の部材を仕切板395aと当該仕切板395aに対して直角となる手掛板395bを有するように屈曲することで形成される。仕切板395aには、左右方向を長手とする長孔395c・395cが前記ボルト393aと同等の上下間隔をあけて形成される。仕切板395aは、その一端(機体内方端)を誘導部394の挿入孔394aに挿入される。長孔395c・395cには、収容部393に形成された393a・393aに嵌合されナット393b・393bによって締結されることで収容部393の下後斜面に、仕切板395aが沿うように固定することが可能とされる。
【0040】
したがって、作業者は、ナット393b・393bを緩めた状態で、手掛板395bを挟持しながらボルト393a・393aを長孔395c・395cに摺動させながら、左右方向に仕切板395aを移動させることで、誘導部394の上部の内部通路断面を調整する。作業者がナット393b・393bを締結することで、所望の位置で、仕切板395aは収容部393の後側面に固定することができる。
【0041】
このように構成することで、誘導部394の上流側よりも下流側の通路断面が大きくなり、種球Gが補給ボックス191へと供給されやすくなる。
【0042】
図1、図2および図5に示すように、動力伝達機構は、エンジン131の駆動力を走行部14および植付部17へ伝達するものである。動力伝達機構は、本実施形態ではベルトとプーリ、チェーンとスプロケット、伝動軸、ギヤ、およびミッションケース141等で構成しているが、その他の構成部品を用いても良い。
【0043】
エンジン131からの駆動力は、動力伝達機構であるプーリ、ベルト、伝動軸によって、ミッションケース141に伝達される。ミッションケース141に伝達された動力は、ミッションケース141内で変速された後、チェーン、およびスプロケットを介して走行輪268・268へ伝達されることで、走行部14のクローラ140・140は走行駆動される。
【0044】
次に、植付部17への駆動力の伝達を図1、および図5から図7を用いて説明する。
エンジン131からの駆動力は、エンジン131の前方の図示しない伝動軸、ギヤ、プーリ、およびベルト等の動力伝達機構を介することで変速および動力伝達方向を変えながら、植付入力軸365(図5参照)へと伝達される。
【0045】
植付入力軸365は、運転操作部15の前部で、植付部17の左の植付フレーム18後部に回動自在に支持される。
【0046】
植付入力軸365の左右中途部には、押出手段4(図12参照)へと動力を伝達する第一植付伝達機構16aの駆動スプロケット40が固設される。
一方、植付入力軸365の左端には、無端体3へと動力を伝達する第二植付伝達機構16bの駆動スプロケット30が固設される。
【0047】
つまり、植付入力軸365の動力は、その前方に配置された第一植付伝達機構16aおよび第二植付伝達機構16bに同時に伝達される。
【0048】
図5および図6に示すように、第一植付伝達機構16aは、主として駆動スプロケット40、従動スプロケット41、テンションスプロケット42、押出駆動スプロケット43、伝動チェーン44、押出駆動軸45によって構成される。
植付入力軸365の左右中途部には、駆動スプロケット40が固設される。植付入力軸365の前上方(植付部17の上部)には、植付部17の左右幅よりも若干短い押出駆動軸45が配置される。押出駆動軸45は、植付フレーム18の左右に回転自在に支持される。押出駆動軸45の左端には、押出駆動スプロケット43が固設される。駆動スプロケット40の前上方には、従動スプロケット41が配置され、押出駆動スプロケット43の後下方には、テンションスプロケット42が配置される。
【0049】
駆動スプロケット40、従動スプロケット41、テンションスプロケット42および押出駆動スプロケット43には、無端の伝動チェーン44が巻回される。ただし、従動スプロケット41は伝動チェーン44の外周に係合され、テンションスプロケット42は伝動チェーン44の内周に係合される。よって、伝動チェーン44は、適度な張力が保たれ、押出駆動スプロケット43と駆動スプロケット40間で垂れることを防止できる。
【0050】
従って、植付入力軸365から駆動スプロケット40、伝動チェーン44および押出駆動スプロケット43を介して、押出駆動軸45に動力が伝えられる。押出駆動スプロケット43と押出駆動軸45との間には、後述するクラッチが配置され、クラッチの作用により動力の伝達が規制される。そして、押出駆動軸45に伝えられた動力は、クランク駆動部5を介して押出手段4(図13参照)を作動させる。
【0051】
第二植付伝達機構16bは、主として駆動スプロケット30、回転軸31、従動スプロケット31a、従動スプロケット31b、テンションスプロケット34、無端体駆動スプロケット32、無端体駆動軸33、伝動チェーン30a・32aによって構成される。
前記植付入力軸365の左端には、駆動スプロケット30が固設される。植付入力軸365の前下方(植付部17の後下部)には、回転軸31が配置される。回転軸31は、その両端を左の植付フレーム18に回転自在に支持される。回転軸31の右端上には、従動スプロケット31aが固設され、回転軸31の左端上には、従動スプロケット31bが固設される。
【0052】
駆動スプロケット30および従動スプロケット31aには、無端の伝動チェーン30aが巻回される。従動スプロケット31aの下方(植付位置17b上方)には、無端体駆動軸33が配置される。無端体駆動軸33は、左右の植付フレーム18に回動自在に支持される。
無端体駆動軸33の左端には、無端体駆動スプロケット32が固設される。無端体駆動スプロケット32の右側の無端体駆動軸33上には、テンションアーム34aの下端が回動自在に支持される。テンションアーム34aの上端には、左方に突出するように回動軸34bが固設される。回動軸34bの右端には、回動自在にテンションスプロケット34が支持される。従動スプロケット31b、無端体駆動スプロケット32およびテンションスプロケット34には、無端の伝動チェーン32aが巻回される。テンションアーム34aは図示しないバネにより付勢されて、伝動チェーン32aに張力を付与することが可能な構成となっている。
【0053】
従って、植付入力軸365の動力は、駆動スプロケット30、伝動チェーン30aおよび従動スプロケット31aを介して、回転軸31に伝達される。そして、回転軸31の動力は、従動スプロケット31b、伝動チェーン32a、テンションスプロケット34、無端体駆動スプロケット32を介して、無端体駆動軸33に伝達される。
【0054】
さらに、図5から図7に示すように、無端体駆動軸33上には、主植付フレーム181の両内側に、内無端体駆動スプロケット35・35が固設される。側面視において所定空間が形成されるように、左右の無端体従動スプロケット36・37・38・39が配置される。左右の無端体従動スプロケット36・37・38・39には、無端のチェーン等で構成された無端体3が巻回される。無端体3は左右対称に配置されるので、以下、左側を主として説明する。
【0055】
また、植付位置17bは、種球Gを圃場へと植付ける位置であって、植付部17の最下部に配置される。
下無端体従動スプロケット39およびその後方の内無端体駆動スプロケット35の下端が、側面視で前後水平方向に並べて配置される。更に、前記各無端体従動スプロケット36・37・38・39に巻回された無端体3の回転に伴い、植付部17の下部において、保持開孔手段2が後方へ略水平に移動するように、ガイド部材174が配置されている。当該ガイド部材174は後述する保持開孔手段2のローラ29がガイドされる構成としている。
【0056】
こうして、補給位置17aと植付位置17bの間に無端体3が巻回され、保持開孔手段2は、補給位置17a以外では、挿入方向が鉛直方向を向いた状態で回転駆動される構成とされる。よって、内無端体駆動スプロケット35が植付位置17bの後部側で引っ張って駆動するように配置されて、無端体3を回転駆動する構成としているので、植付位置17bの無端体3は植付作業時において常に引っ張られる状態となって弛まず、走行およびクランク駆動部5に同期して正確に植付けることが可能となる。そして、保持開孔手段2の種球Gは大きく揺動されることがなく、振り落とされることもなく、確実に補給位置17aから植付位置17bへと搬送される。
【0057】
無端体3は、前述したように無端のチェーン等で構成され、植付フレーム18の内部に側面視で多角形(五角形)となるよう張設されている。詳述すると、無端体3は、左右一対で植付フレーム18の左右両内側に側面視多角形状の頂部位置となるようにそれぞれ設けられる回転支持部である内無端体駆動スプロケット35、各無端体従動スプロケット36・37・38・39に巻回される。左右の無端体3の間には、保持開孔手段2が無端体3の回転方向に所定間隔毎に左右方向に横架される。
【0058】
そして、図2および図5から図7に示すように、運転操作部15の前方で種球Gを保持開孔手段2へ容易に補給(挿入)できるように、補給位置17aは前高後低の所定角度に傾斜して配置される。すなわち、植付部17の前後中央部の最上部に上無端体従動スプロケット37が配置され、当該上無端体従動スプロケット37の高さが、植付作業時において、前方視界を確保できるように作業者の目の高さよりも低く、膝よりも高く、肩の高さ程度とされる。
上無端体従動スプロケット37の後下方に配設される後無端体従動スプロケット36の高さは、ステップ12aよりも高く作業者の胸よりも低い、座席151の座面の高さ程度とされる。こうして、上無端体従動スプロケット37と内無端体駆動スプロケット35との間に張設された無端体3が前高後低に傾斜して配設され、補給位置17aが配置される。
【0059】
前記補給位置17aは、座席151前方で、座席151に着座した作業者の手が届く範囲に配置される。補給位置17aは、詳しくは、上無端体従動スプロケット37と後無端体従動スプロケット36との間で、無端体3が前高後低に所定角度傾斜するように配置される。この角度を保ちながら保持開孔手段2が斜め前上方へ移動するように、内無端体駆動スプロケット35が植付フレーム18に配設されている。すなわち、上無端体従動スプロケット37と後無端体従動スプロケット36との間の無端体3の下方には、前後方向を長手方向とする板状のガイド部材173が配置される。ガイド部材173は、無端体3と平行となるように植付フレーム18に固設される。ガイド部材173は、保持開孔手段2の両側に設けた後述するローラ29がその上面を転動してガイドされ、種球ホルダ21の種球挿入面が作業者側を向きながら前上方へ移動するように構成される。この補給位置17aでは、保持開孔手段2が複数列(本実施形態では三列)平行に配置されるようにし、種球Gの補給時間に多少の余裕があり、補給のタイミングを逃しても容易に修正できるようにしている。
こうして、作業者は座席151に着座したまま、種球Gを後述する保持開孔手段2に供給し易い姿勢で作業できるようになり、疲労を軽減し、作業効率が向上できる。
【0060】
前記無端体駆動スプロケット32は、その径(歯数)を変更することで、種球Gの植付間隔(株間)Pを変更することができる。つまり、無端体駆動スプロケット32の径が大きく(歯数が多く)なれば、植付間隔Pは長くなり、その径が小さく(歯数が少なく)なれば植付間隔Pは短くなる。
作業者は、無端体駆動スプロケット32を変更することで、所望の植付間隔Pを選択することが可能となる。ただし、無端体駆動スプロケット32に、有段または無段の変速機構を配置する構成とすることもでき、その場合には有段または無段の変速機構はレバー等の操作具で容易に変速操作できることが好ましい。
【0061】
次に、前記動力伝達機構によって駆動される植付部17について説明する。
植付部17は、圃場に種球Gを植付けるため、植付機1の前部に配置される。本実施形態における植付部17は、主として、植付フレーム18および植付フレーム18の内部に配置される保持開孔手段2および押出手段4等の各種植付装置等によって構成される。
【0062】
次に、植付フレーム18内に配置される植付部17の各植付装置の構成について、図を用いて説明する。
植付部17の各植付装置は、主として、前記無端体3上に配置される保持開孔手段2、押出手段4等により構成される。
【0063】
図1、および図7から図12に示すように、保持開孔手段2は、種球Gを保持しながら、植付位置17bに達した時に、マルチシート10に孔を開ける手段である。本実施形態において保持手段は、マルチシート10に開孔部を形成できる開孔手段を有する保持開孔手段2としている。しかし、別途に開孔手段を有するまたは予めマルチシートに開口部を設けていれば、種球Gを保持しながら植付位置17bに搬送できる機能を有する保持手段であればよい。保持開孔手段2は、主としてケース体23、複数の種球ホルダ21、および開孔体26により構成される。
【0064】
ケース体23は、左右方向を長手とする上下分割可能な箱状の構造体である。ケース体23の上面および下面には、種球Gの挿入および排出ができるように複数(本実施形態では四条であるため上下四箇所の計八箇所)の上下開口部23aが左右方向に所定間隔をあけて上下一対となるように形成される。
ケース体23の上開口部23aの周囲下側には、種球Gの挿入孔を有し種球Gを保持するための種球ホルダ21がそれぞれ固設される。また、開孔体26が前記種球ホルダ21の下方のケース体23上に配置される。
【0065】
前記種球ホルダ21は、複数の矩形状の保持板(第一保持板211、第二保持板212、第三保持板213)と複数の矩形状の開孔板214とを有する。種球ホルダ21は、保持板と開孔板214とを中心及び方向を一致させて一つずつ上下交互に貼り合わせて形成される。詳しくは、種球ホルダ21は、上から第一保持板211、開孔板214、第二保持板212、開孔板214、第三保持板213、開孔板214および第一保持板211の順に重ね合わされる。
【0066】
開孔板214は、ウレタン等の弾性体板で構成され、その略中央には種球Gよりも大径で種球Gを通過させることができる大きさの開孔部214aが形成される。開孔板214の四隅には、ボルト孔214bが開孔されて、このボルト孔214bにボルトが挿通可能とされる。
【0067】
保持体(第一保持板211、第二保持板212、および第三保持板213)は、ゴム等の弾性板で構成される。第一保持板211には、その略中央に種球Gよりも小径の第一挿入孔211aが形成される。第二保持板212には、その略中央に種球Gよりも小径でかつ前記第一保持板211の第一挿入孔211aよりも大きな第二挿入孔212aが形成される。第三保持板213には、開孔板214の開孔部214aと略同じ若しくは開孔部214aよりも小径で第二保持板212の第二挿入孔212aよりも大径である第三挿入孔213aが形成される。つまり、それぞれの挿入孔211a・212a・213aの直径は、第一挿入孔211a、第二挿入孔212a、第三挿入孔213aの順に大きくなる。従って、保持体は、上下両側に配設される第一保持板211・211によって形成される上下最外層よりも中間層である保持板の開孔が大きく形成され、かつ第二保持板212の第二挿入孔212aよりも、その下側の第三保持板213の第三挿入孔213aの方が開孔面積が大きくなるように形成される。
【0068】
各保持体211・212・213には、各挿入孔211a・212a・213aから半径方向外方に複数の切れ目211b・212b・213bが放射状に形成される。詳細には、後述する多角形に形成された保持体73の頂点方向に切れ目211b・212b・213bが形成される。その切れ目211b・212b・213bと切れ目211b・212b・213bとの間には、それそれに保持部(第一保持部211d、第二保持部212d、第三保持部213d)が形成される。
【0069】
これらの切れ目211b・212b・213b・・・は、各挿入孔211a・212a・213aに対して周方向に等角度であって半径方向にそれぞれ六本形成される。各保持板211・212・213の全ては、それぞれの切れ目211b・212b・213bの数及び方向が一致するように配置される。また、保持板211・212・213・211は、開孔板214と貼り合わされた状態でボルト孔214bと平面視で一致することが可能な位置に、ボルト孔211c・212c・213c・・・が形成される。
【0070】
このように構成することにより、図10の(a)に示すように、種球Gは、先ず第一挿入孔211aに挿入され、第一挿入孔211a近傍の第一保持部211dを押し下げながら、図10の(b)に示すように、第一保持部211dによって第二保持部212dへと案内される。さらに図11の(a)に示すように、種球Gは、第二保持部212dおよび第二挿入孔212aを第一保持部211dが第一挿入孔211aおよび第二挿入孔212aの近傍の第一保持部211dおよび第二保持部212dを押し下げながら、さらに図11の(b)に示すように、保持板213へと案内され、種球Gの最外部分が第三保持部213dと接触して姿勢が安定し、最下に配置された第一保持部211dの上面に種球Gの下部が当接する。
ここで、第三保持部213dは、種球Gと略接触する程度であるため、種球Gを種球ホルダ21に挿入する作業者は、小さな抵抗を感じる程度で種球Gを容易に挿入することで最下部の第一保持部211dに保持または載置することができる。この種球Gと各保持部211d・212d・213dとの接触による保持によって、作業者は種球Gが安定した状態で保持される保持空間に到達したことを挿入感覚で確認することができる。
【0071】
種球ホルダ21の上下中間の挿入孔の大きさを大きくすることで、挿入をし易くするとともに(抵抗が小さくなる)適度な保持力が確保できる。
種球Gの位置が把握し易くなり、種球Gを種球ホルダ内に均一に挿入することが可能となる。さらに、種球Gが種球ホルダ21の下方へと挿入されることで、種球Gの下端部に当接する保持部が無くなり、作業者は、更に種球ホルダ21を下方へと挿入することで、最も下に配置された第一保持部211dに載置する。つまり、作業者は、所定の位置に種球が挿入できたかどうかを感覚で確認することが可能となる。したがって、種球Gを適正な姿勢で圃場に植付けることができる。
【0072】
前記保持開孔手段2は、
中央に挿入孔211a・212a・213aが形成され当該挿入孔211a・212a・213aから前記保持体73と一致する多角形の頂点方向に切れ目211b・212b・213bが形成される保持板211・212・213と、中央に前記種球Gよりも大きい開孔部214aが形成される開孔板214とが、中心を一致させて交互に複数重ね合わせて形成され、上下方向中央に配置される前記保持板212・213の挿入孔212a・213aは、上下両側に配置される保持板211の挿入孔211aよりも大きく構成される。
【0073】
保持体73の頂点と保持板211・212・213の切れ目211b・212b・213bが一致するため、適正な姿勢のまま種球Gを保持して確実に植え付けることができる。つまり、種球Gは平面視略三角形であり、種球Gの頂点は保持板211の切れ目211b・212b・213bに合わせて保持され、押出手段4のガイド部材(保持体73)に受け継いで押し出す時に、この保持した状態が変化することなく保持体73に保持されるため、押出時に種球Gの芽(出芽箇所G1)の方向がずれたり落下したりすることがなく、確実に保持して植え付けることができる。
また、上下方向中間層の保持板212・213の挿入孔212a・213aが上下両側の挿入孔211a・211aよりも大きく形成されることによって、同じ大きさの挿入孔を形成するよりも種球Gと保持板211・212・213とによる過大な摩擦力が軽減されるとともに、種球Gが保持板211・212・213の挿入孔211a・212a・213aの内面によって適度に保持される。よって作業者が保持開孔手段2に種球Gを挿入するときに大きな摩擦が生じることなく、挿入し易く、傷つけることもなく、種球Gを保持開孔手段2に適正な姿勢で保持でき、押出手段4で種球Gを適正な姿勢で圃場に植付けることができる。
【0074】
前記上下両側に配置される保持板211・211の間に配置される中間層の保持板212・213の挿入孔212a・213aは、下側ほど大きく形成されるものである。
【0075】
中間層の保持板212・213の挿入孔212a・213aが、下側(排出側)の方が上側(挿入側)よりも開孔面積が大きく形成されているため、内部空間が下側にいくにしたがって大きくなるように形成される。そのため、作業者は種球Gを挿入するときに、最も下側の保持板の手前で保持板212・213による新たな抵抗がなくなるまたは軽減されることによって、最も下の保持板211で再び新たな抵抗を感じる。したがって、作業者は保持開孔手段2における種球Gの挿入位置を把握しやすくなる。そして、種球Gは主として上下両側に配置される保持板211・211によって適度な力で保持されながら保持開孔手段2に適切な姿勢で容易に挿入することが可能となるため、押出手段4によって適正な姿勢で圃場に植付けることができる。
【0076】
図2、および図7から図12に示すように、開孔体26は、四つの板材をそれぞれ側面視逆L字状に屈曲して、一側を開閉駆動部24に回動自在に配置される。その他側は、下方へ突出させ、この他側の先端をマルチシート10に容易に突き刺して開孔部を形成できるように、尖状に形成される。
【0077】
開孔体26を開閉駆動するための開閉駆動部24は、リンク機構により構成され、前記種球ホルダ21と開孔体26との間に配置される。開閉駆動部24の両側には、駆動アーム25が回動自在に連結される。駆動アーム25の外端は内方に押されることで、開孔体26を開くように構成される。
また、植付フレーム18の下部内側の前記駆動アーム25側には、カム体(図示省略)が前後方向に設けられる。カム体は、前記駆動アーム25の外端が当接するように内側に突出して形成され、該駆動アーム25の外端が当接して回動されることで開孔体26がマルチシート10に開孔部を形成する。
【0078】
つまり、駆動アーム25の外端が、カム体と当接された状態では、開孔体26の先端部が開口部23aの周囲に位置し、開孔体26は開かれた状態となる。駆動アーム25とカム体が当接せずに、駆動アーム25がケース体23の外方に突出された状態では、開孔体26の先端は、開口部23aの中心部に位置し、開孔体26は閉じられた状態となっている。
【0079】
よって、マルチシート10に刺った四本の開孔体26の先端が、開口部23aの中心より外方へ回動することにより、マルチシート10の所定位置に所定の大きさの開孔部が形成される。
【0080】
前記ケース体23の左右両側の上部には、支持軸27・27が外方に突出するように配置される。当該支持軸27・27の外周には、側面視L字状の取付板28が回転自在に取付けられる。取付板28・28の一面は前記無端体3・3の外周上に取付けられる。
こうして、保持開孔手段2は、補給位置17aと植付位置17b以外の位置では、支持軸27を中心に揺動自在に支持され、その自重により種球ホルダ21の挿入軸心は鉛直方向を向いたまま搬送(移動)される。
【0081】
前記ケース体23の左右両側の下部には、前後方向に所定間隔をおいてローラ29・29が回転自在に突出するように配置される。前記補給位置17aと植付位置17bにおいて、無端体3と平行に配置された各ガイド部材173・174(図7参照)によりその搬送姿勢が規制される。つまり、種球ホルダ21と開孔体26が、補給位置17aでは所定角度傾斜した状態で搬送され、植付位置17bでは圃場面と平行に搬送される。
【0082】
次に、図5から図7、および図13から図15を用いて、押出手段4について説明する。
押出手段4は、保持開孔手段2の開孔体26によって、マルチシート10が被覆された圃場に開孔部が形成された直後に、保持開孔手段2に保持された種球Gを下方に押付けてマルチシート10の開孔部下方の圃場に種球Gを植付ける手段である。押出手段4は、主として、クランク駆動部5、揺動部6、植付押出部7、ガイド部8、係合部9によって構成される。
【0083】
クランク駆動部5は、植付部17の左側に配置された第一植付伝達機構16aの駆動力を植付押出部7へと伝達するためのものである。クランク駆動部5は、主として、クラッチ、回動アーム53、従動アーム54、連結アーム55、および上ロッド支持体56により構成される。クランク駆動部5は、植付部17の側部植付フレーム182(図2参照)の左右外側にそれぞれ配置され、左右一対となるように配置される。前記クラッチは、電磁ソレノイド50、係合レバー51、係合体52より構成される。
【0084】
前記第一植付伝達機構16aの押出駆動スプロケット43は、クラッチ(詳細には係合体52)を介して押出駆動軸45に連結される。つまり、係合体52は、押出駆動軸45に外嵌したバネクラッチと当該バネクラッチの一端に係合した係合ディスクより構成され、係合ディスクの外周に突起を設けて、当該突起がその後方に配置された係合レバー51と係合可能に構成される。こうして、係合体52が係合レバー51と係合することによって、押出駆動スプロケット43から押出駆動軸45への動力の伝達が断たれ、係合を解除することによって、押出駆動スプロケット43から押出駆動軸45へ動力が伝達されるように構成される。また、係合レバー51は、その近傍に配置されたアクチュエータである電磁ソレノイド50の作動体となるピストンと連結される。当該電磁ソレノイド50が作動されると、ピストンが縮小されて係合レバー51が回動され、係合レバー51と係合体52との係合が解除され、動力が伝達される。電磁ソレノイド50は、図示しない植付位置17b付近のリミットスイッチの入切(リミットスイッチは保持開孔手段2が所定の位置に達したかを検知する)によって作動するように制御される。
【0085】
押出駆動軸45の左右両端には、それぞれ回動アーム53の一端が固定される。回動アーム53の他端部には、回動軸54aの一端(内側)が貫装される。当該回動軸54aの他端(外側)には、従動アーム54の一端が回動自在に配置される。従動アーム54の他端には、貫装孔が開口される。当該貫装孔には、連結軸54bの一端(外側)が貫装される。連結軸54bの他端(内側)は、連結アーム55の上部に回動自在に支持される。
詳述すると、連結アーム55の上部には、調節孔55a・55a・55aが開孔され、当該調節孔55a・55a・55aの内一つに、連結軸54bの他端(内側)が貫装される。左右の連結アーム55の下部は、上ロッド支持体56が横設される。
【0086】
上ロッド支持体56は、植付押出体70を上部より支持し、クランク駆動部5の上下運動を植付押出体70に伝達するためのものである。上ロッド支持体56は、植付部17の左右幅よりも若干短い板体である。上ロッド支持体56には、後述する植付押出部7の植付押出体70が左右方向に所定間隔(種球ホルダ21と同数で同位置)をおいて取付けられる。さらに上ロッド支持体56の左右両側には、後述する揺動部6の揺動連結体62・62に対して上下方向に摺動自在に嵌合されるように、上下方向に開口部を有した円筒状の摺動体57・57が配置される。
【0087】
また、前述のクランク駆動部5の長さ調節機構は、連結アーム55の調節孔55a・55a・55aのいずれか一つに連結軸54bが貫装されることで、連結軸54bよりも下方の長さを変更可能とする。つまり、連結アーム55の上下長さを変更することで、連結アーム55とリンク(回動アーム53、回動軸54a、従動アーム54、連結軸54bより構成されるリンク)の連結長さの上下移動量を調節できて、クランク駆動部5の昇降距離が調整される。従って、クランク駆動部5の上ロッド支持体56に連結された植付押出体70の昇降高さが変更され、種球Gの植付深さを所望の深さに容易に変更することができる。従って、図15の(a)に示すように、最上の調節孔55aに連結軸54bが貫装されることで、クランク駆動部5の全体の長さが最長となり、植付押出体70の下端位置が最下に配置され、植付深さが最も深くなる。また、図15の(c)に示すように、最下の調節孔55aに連結軸54bが貫装されることで、クランク駆動部5の全体の長さが最短となり、植付押出体70の下端位置が最上に配置され、植付深さが最も浅くなる。
【0088】
次に、揺動部6について図7および図12を用いて説明する。
揺動部6は、植付押出部7を保持開孔手段2の前後の移動と同期するとともに支持するためのものである。揺動部6は、主として回動支点軸60、横設体61、揺動連結体62、下ロッド支持体63により構成される。揺動部6は、押出駆動軸45の直下に配置され、前後方向に揺動自在に構成される。
【0089】
回動支点軸60・60は、押出駆動軸45の直下で、左右の側部植付フレーム182の上部から内方に突出するように配置され、側部植付フレーム182(図2参照)に回動自在に支持される。回動支点軸60・60には、それぞれの内端下部に横設体61が固設される。
【0090】
横設体61は、左右方向を長手とする板体を側面視略逆凹字状に屈曲させた部材である。横設体61の左右両端部には、上下方向を長手とする棒状の揺動連結体62・62の上端が固設される。揺動連結体62・62の下端には、前記横設体61と略平行で前記横設体61よりも若干左右長さの短い下ロッド支持体63の両端が固設される。下ロッド支持体63には、後述する植付押出部7の植付押出体70を摺動可能に支持する開口支持部63aが形成される。
【0091】
図13、および図16から図19に示すように、植付押出部7は、保持開孔手段2によって保持された種球Gを圃場へと植付けるためのものである。植付押出部7は、複数(本実施例においては四本)の植付押出体70により構成される。植付押出体70は、主植付フレーム181内の空間に左右方向に所定間隔(保持開孔手段2の開口部23aの間隔)をあけて配置される。植付押出体70は、主として、ガイドパイプ71および保持体73からなるガイド部材と、植付ロッド72、第一スクレーパ74aおよび第二スクレーパ74bからなるスクレーパ74、第一付勢部材75、取付部材76および摺動部材77によって構成される。
【0092】
ガイドパイプ71は、上下方向を長手とする円筒状の部材であって、その上端が上ロッド支持体56に取付部材76を介して固設される。ガイドパイプ71の上下中途部は、揺動部6の下ロッド支持体63の開口支持部63aに挿入されることで摺動可能に保持される。さらにガイドパイプ71の下部は、後述するガイド部8の横ガイド板81に上下方向摺動可能に保持される。
【0093】
取付部材76は、略円筒状の部材であって、上ロッド支持体56に上下方向に形成された開孔に挿入することで、ガイドパイプ71を上ロッド支持体56に取付けるものである。取付部材76の内径は、下部よりも上部が大きく形成され、上部内空に後述する第一付勢部材75を挿入可能となるように形成される。
【0094】
ガイドパイプ71内には、上下方向を長手とする棒材である植付ロッド72が、上下方向摺動自在に内装される。当該植付ロッド72は、ガイドパイプ71よりも若干長い棒材によって構成される。植付ロッド72の上部には、摺動部材77が取付けられる。当該摺動部材77の上端は、左右方向に延設された連結軸91に固設した接触部材91aの下面と当接可能に構成される。接触部材91aは板状の部材であって、摺動部材77と当接しやすいように、左右方向に植付押出体70と同じ間隔をあけて連結軸91に固設される。
【0095】
受部材77aは環状の部材であって、植付ロッド72に外嵌される。受部材77aは、その上面を摺動部材77の下面に固設される。受部材77aの下部には、後述する第一付勢部材75が挿入可能となるように環状の溝が形成される。
【0096】
第一付勢部材75は、圧縮バネによって構成され、その下端部が取付部材76の上内部空間に挿入され、その上端が受部材77aの下面に当接するように配置される。つまり、取付部材76と受部材77aとは、第一付勢部材75の長さだけ上下方向の間隔をおいて配置される。
【0097】
保持体73は、種球Gを保持するための部材である。保持体73は、植付押出体70が種球Gと接触する部分、即ちガイドパイプ71の下端部(圃場側の端部)に設けられる。保持体73は、主として取付部73a、および接触部73bによって構成される。
【0098】
取付部73aは、接触部73bをガイドパイプ71の下端部に取付けるための部分である。取付部73aは、金属等の硬質材料で構成され、上下方向に開口する略筒状に形成される。取付部73aの上部内径は、ガイドパイプ71の外径と略同じに設定される。取付部73aの下部内径は、上部の内径よりも大きく、かつ接触部73bの外径と略同じに設定される。また、取付部73aの上部内周面には、溝73cが周方向に延在するように環状に形成される。
取付部73aは、その上端部でガイドパイプ71の下端部に外嵌されて、これに取付けられる。
【0099】
接触部73bは、種球Gを保持するための部分である。接触部73bは、ゴム等の軟質材料で構成され、上下方向に開口する略筒状であって、側面視において略凸状に形成される。接触部73bの上部内径は、取付部73aの下部内径よりも小さく設定される。接触部73bの上部外径は、取付部73aの下部内径と略同じに設定される。接触部73bの下部外径及び内径は、最下位置で最も大きくなり、最上位置で最も小さくなるように設定される。その上で、接触部73bの下部内径は、上部内径以上であって軸方向下側に向かうに従って大きくなるように設定される。接触部73bの下部外径は、上部外径以上であって軸方向下側に向かうに従って大きくなるように設定される。こうして、接触部73bの上部は、外径及び内径が一定となる円筒状に形成されて、縮径部となっている。接触部73bの下部は、その外径及び内径がそれぞれ上部外径及び内径以上であって軸方向上側に向かうに従って小さくなるように形成されて、上部に比べて拡径する拡径部となっている。
また、接触部73bの下部の内周断面形状が、下部内径が軸心方向と直交する同一平面上で一定にならないように、底面視において多角形状、本実施形態においては六角形(正六角形)に形成される。こうして、接触部73bの下部の内部空間は、内径が軸方向上側に向かうに従って小さくなりながら、底面視において六箇所の側面部73dと六箇所の角部(頂点)73eとを有する正六角形の開孔部となっている(図18の(a)参照)。
接触部73bは、取付部73aの下部に下方から同軸上に嵌挿され、取付部73aを介してガイドパイプ71の下端部に固定される。ここで、接触部73bの下端部は、取付部73aの下端面よりも下方へ突出するように配置される。
【0100】
これにより、保持体73は、保持開孔手段2内に上方から侵入して、種球ホルダ21によって保持された種球Gの上部を保持し易くなっている。
なお、接触部73bの内周断面形状は、本実施形態においては六角形に形成されているが、五角形、七角形、八角形、その他の多角形、円形、および楕円形に形成してもよい。また、接触部73bの内周断面形状は、正多角形に限定するものでもない。
【0101】
また、さらに接触部73bと取付部73との接合を強くするため、接触部73bの上部外周面から外方へ突出するように環板状の突起部を形成し、当該突起部が嵌合可能な溝を取付部73aの内周に形成してもよい。
【0102】
スクレーパ74は、植付ロッド72が上下方向の移動を行うときのガイドを行うためのものである。スクレーパ74のうち、第一スクレーパ74aは、植付ロッド72の先端(下端)に付着した土等の付着物を除去するための部材である。第一スクレーパ74aは、上下方向に開口する環板状に形成される。第一スクレーパ74aの内径は、植付ロッド72の下部の外径よりも若干大きく設定される。第一スクレーパ74aの外径は、取付部73aの上部内径よりも大きく設定される。第一スクレーパ74aの上下幅は、取付部73aの溝73cの上下幅よりも小さく設定される。
第一スクレーパ74aは、取付部73a内において、その開口に植付ロッド72を挿通させた状態で、その外周縁部を溝73cに嵌入させて、この溝73c内で上下方向に摺動可能に配置される。
【0103】
第二スクレーパ74bは、第一スクレーパ74aによって除去されなかった植付ロッド72の付着物を除去するための部材である。第二スクレーパ74bは、上下方向に開口する環状であって、側面視において凸状に形成される。第二スクレーパ74bの内径は、植付ロッド72の下部の外径と略同じに設定される。第二スクレーパ74bの上部(縮径部)外径は、ガイドパイプ71の内径と略同じに設定される。第二スクレーパ74bの下部(拡径部)外径は、上部外径よりも大きく設定されるとともに、ガイドパイプ71の内径よりも大きく、かつガイドパイプ71の外径よりも小さく設定される。
第二スクレーパ74bは、取付部73a内において、その開口に植付ロッド72を挿通させた状態で、その上部をガイドパイプ71の下端内に嵌挿させて、上下方向に摺動可能に配置される。
【0104】
図13および図19から図21に示す係合部9は、種球Gの植付終了後に植付押出部7が上昇するとき、植付ロッド72の上昇を一時的に規制して、ガイドパイプ71を先に上昇させ、植付ロッド72により保持体73内の種球Gを強制的に押し出すようにするためのものである。係合部9は、主として連結軸91の両側に配置される上部係合体90と、下ロッド支持体63の両側に配置される下部係合体290によって構成される。
【0105】
係合部9の部材は、左右対称であるため左側のみの構成を説明する。
上部係合体90は、左右の植付押出部7の上方で摺動体57近傍の上ロッド支持体56に左右一対となるようにそれぞれ配置される。上部係合体90は、主として連結軸91、第一支持部材92、第二支持部材93、上部係合部材94、第二付勢部材95、規制部材96等によって構成される。
【0106】
第一支持部材92は、板状の部材によって構成され、その下部側面が連結軸91に固設した接触部材91aと固設される。第一支持部材92には連結軸91の一側が貫通され、連結軸91の両側は後述する規制部材96の長孔96aに挿入される。また、第一支持部材92の内側の側面より規制突起92aが突設され、上部係合部材94の一側下面と当接可能に配置される。
【0107】
第二支持部材93は、板状の部材によって構成され、その上下中途部に連結軸91が貫通固定され、第一支持部材92と平行に配置される。第二支持部材93の下端部から機体外方へと係止突起93aが突設される。
【0108】
上部係合部材94は、前板およびその左右に側板を有し、平面視略コ字状に折り曲げられた板状部材で形成される。上部係合部材94の左右側板の前後中途部には、回動支点軸94aが貫通支持される。当該回動支点軸94aの両側は、第一支持部材92および第二支持部材93の上部に回動自在に支持される。つまり、上部係合部材94は、第一支持部材92と第二支持部材93との間に配置され、回動支点軸94aを中心に回動自在に第一支持部材92および第二支持部材93に支持される。上部係合部材94の左右側板の後部には、円筒状のカラー94cが貫装された当接軸94bが横設される。上部係合部材94の前板には、係止孔94dが形成される。
【0109】
第二付勢部材95は、引張バネによって構成され、その上端が上部係合部材94の係止孔94dに掛止され、その下端が係止突起93aに掛止される。一方、第一支持部材92および第二支持部材93には、上部係合部材94の前部が下方へと回動することを規制するための規制突起92a・93bが上部係合部材94の内側方へ突出するように配置される。
【0110】
したがって、上部係合部材94の前部は、第二付勢部材95によって回動支点軸94aを中心として下方向(図19の矢印B参照)に付勢されるとともに、規制突起92a・93bによって、図19に示す状態よりも下方に回動することを規制される。
【0111】
規制部材96は、上下方向を長手とする板材により構成され、その上部には上下方向を長手とする長孔96aが形成される。規制部材96の下端は、摺動体57よりも機体内側の上ロッド支持体56に固設される。長孔96aには、前記連結軸91および回動支点軸94aの左端部(外端部)がそれぞれ摺動自在に貫装される。
【0112】
下部係合体290は、植付押出体70が最上に位置する植付待機状態(図13参照)において、左右両側に配置された上部係合部材94の後下方の下ロッド支持体63に配置される。下部係合体290は、主として、下支持部材291、上支持部材292、第一下係合部材293および第二下係合部材294よりなる下係合部材、回動支点軸295、および第三付勢部材296によって構成される。
【0113】
下支持部材291は、上下方向を長手とする二枚の板材により構成され、その下前端が左右所定間隔をおいて下ロッド支持体63の両側後部に固設される。下支持部材291には、上下に所定間隔をあけて複数の開孔部が形成される。
【0114】
上支持部材292は板材によって構成され、後板と左右に側板とを有するように平面視において前方が開放された略U字状に形成される。上支持部材292の後板の上部は、切り欠かれ、左右側板よりも上端が低くなるように形成される。上支持部材292の後板には、係止支持部材292a・292aが左右に所定間隔をおいて後方へと突出するように配置される。係止支持部材292a・292a間には、係止軸292bが左右に横設される。上支持部材292の左右側板の下部には、前記下支持部材291と同等の間隔をおいた複数の開孔部が形成される。上支持部材292と下支持部材291とは、それらの開孔部を側面視で一致させた状態で、ボルト等で貫装し締結させることで一体化される。また、複数の開孔部が形成されているため、一致させる開孔部を変更することで、下部係合体290の高さ調節が可能となっている。
【0115】
上支持部材292の上部に配置される下係止部材は、第一下係合部材293および第二下係合部材294によって構成される。
第一下係合部材293および第二下係合部材294は、それぞれ板状の部材によって構成される。第一下係合部材293の上部と第二下係合部材294の下部は、それぞれ重ねられ一体となるように固設される。第一下係合部材293の前下部は、上支持部材292の上部に横架された回動支点軸295に回転自在に支持される。さらに、第一下係合部材293の後下部には、係止軸293aが横架される。
【0116】
第二下係合部材294の上前端は、側面視において前低後高に傾斜する傾斜辺294aが形成される。第二下係合部材294の上部は、第一下係合部材293の前端よりも前方へ突出するように形成され、係止部を形成している。第一下係合部材293と第二下係合部材294は、全体として側面視において鈎針状に形成される。
【0117】
第三付勢部材296は、圧縮バネ等で構成され、第一下係合部材293の下端と係止支持部材292a・292a間を付勢するためのものでる。第三付勢部材296には、板状の挿入板297が挿入される。挿入板297の一端(上端)は係止軸293aに係止され、他端(下端)が係止軸292bに係止される。挿入板297の他端は、長孔297aが形成され、当該長孔297aに係止軸292bが摺動可能に貫装される。
【0118】
図7、図12および図22に示すように、ガイド部8は、植付位置17bにおける植付押出部7と保持開孔手段2の後方移動を同期させるための構造体であって、植付部17の下部に配置される。
ガイド部8は、主として側部ガイド板80、横ガイド板81、ガイド軸84、同期ガイド棒85、および引張部材86によって構成される。
【0119】
側部ガイド板80は、前後方向を長手とする板材で構成され、側部植付フレーム182の下部に左右一対となるように配置される。側部ガイド板80の前後部には、同一形状の開口部80a・80aが形成される。開口部80aは、その前端から中途部にかけて略水平に開口され、中途部から後端にかけて前低後高となるように開口される。つまり、開口部80aは略逆「へ」字状の長孔に開孔されている。
【0120】
横ガイド板81は、断面視略逆U字状に形成され、当該横ガイド板81の左右両側端部の前後両側からそれぞれガイド軸84・84・84・84が側方に突設され、当該ガイド軸84・84・84・84の先端部が前記左右の開口部80a・80a・80a・80aに挿入されて前後摺動自在に支持される。
横ガイド板81は、左右方向に所定間隔をあけて開孔が形成される。当該開孔は、ガイドパイプ71の下端部が摺動可能となるように配置される。
【0121】
同期ガイド棒85は、上下方向を長手とする棒材であって、保持開孔手段2の左右両側から下方に突出するように配置され、無端体3が周回するときに、無端体3の外周に固設された取付板28と当接し、ガイド部8が保持開孔手段2の後方移動と同期して移動するようにするための部材である。同期ガイド棒85の上端は、横ガイド板81の左右両端部の前後中途部に固設される。詳細には、横ガイド板81の両端部に貫装孔を開孔して、当該貫装孔に前記同期ガイド棒85の上端を貫装してナット等で同期ガイド棒85と横ガイド板81とを締結させる。
【0122】
引張部材86は、両端部にフックを有する引きバネによって構成される。引張部材86・86の一端は、左右の側部植付フレーム182に固定された取付部材87・87に係止され、他端は前側のガイド軸84・84に係止される。こうして、横ガイド板81が引張部材86により前方向に引張られるように付勢される。
【0123】
次に、植付フレーム18内に配置される植付部17の各植付装置の動作について説明する。
【0124】
先ず、保持開孔手段2と押出手段4との同期運動について図を用いて説明する。
【0125】
保持開孔手段2は、植付作業時においては、図22の(a)に示すように、無端体3が回動されることによって、保持開孔手段2は植付位置17bにおいて前方から後方に移動する。このとき、ガイド部8の同期ガイド棒85・85の下端が保持開孔手段2の取付板28に当接することで、横ガイド板81を固定した横ガイド板81は後方へと移動する。そして、図22の(b)に示すように、横ガイド板81から側方に突設されたガイド軸84・84・84・84は、側部ガイド板80の開口部80a・80a・80a・80aの水平部に沿って、つまり、ガイドされて摺動しながら後方に移動する。
【0126】
さらに保持開孔手段2が後方へ移動すると、図22の(c)に示すように、ガイド軸84は開口部80aの傾斜部に沿って後上方へ移動する。この保持開孔手段2(横ガイド板81)の後上方への移動によって、同期ガイド棒85・85が持ち上げられ、同期ガイド棒85・85の下端は保持開孔手段2の取付板28よりも上方に移動し、同期ガイド棒85・85と保持開孔手段2との当接が解消すると、引張部材86の前方向への付勢力によって、横ガイド板81が前方へと戻される。つまり、各開口部80aの前端に各ガイド軸84が移動されることとなり、前方に位置する次の保持開孔手段2の取付板28に同期ガイド棒85・85の下端が当接可能となる。
【0127】
横ガイド板81には、ガイドパイプ71の下端部が摺動自在に支持されている。そのため、横ガイド板81の動作に連動してガイドパイプ71も移動する。ガイドパイプ71は、横ガイド板81よりも上方に配置された揺動部6の下ロッド支持体63に摺動自在に支持されている。揺動部6は、回動支点軸60を中心として回動自在に支持されているため、ガイドパイプ71は、回動支点軸60を中心として前後方向に移動する。
【0128】
従って、横ガイド板81によって保持された植付押出部7は、図12に示すように植付位置17bにおいて保持開孔手段2の後方への移動に対して同期して移動(揺動)させることが可能となり、植付時に、植付押出体70の下部を保持開孔手段2の開口部23aに確実に挿入できるようにしている。
【0129】
次に、種球Gを圃場に植付けるための押出手段4の動作について図を用いて説明する。
【0130】
図6、図7、図13および図14に示すように、保持開孔手段2が植付位置17bの所定位置に達したときリミットスイッチの接点に当接してONとなる。そして、リミットスイッチと接続された電磁ソレノイド50が作動して、係合レバー51が回動して係合体52から外れる。すると、係合体52は押出駆動軸45と係合されて一体的に回動することとなり、動力が押出駆動軸45へと伝達される。よって、左の押出駆動スプロケット43の回転力が、押出駆動軸45に伝達され、図14に示すように、押出駆動軸45に固設された左右の回動アーム53を回転させる。なお、前記リミットスイッチは当接部が通過することによりその後OFFとされ、電磁ソレノイド50は元の位置に戻る。そして、係合体52が一回転すると、再び係合レバー51と係合し、係合体52から押出駆動軸45への動力伝達は断たれる。この押出駆動軸45が一回転すると、これに連結された回動アーム53も一回転し、従動アーム54を前後揺動しながら上下に移動させ、当該従動アーム54から連結アーム55を介して上ロッド支持体56が連動して上下に移動される。
【0131】
上ロッド支持体56には、植付押出部7の植付押出体70・70・70・70の上部が取付けられている。そのため、上ロッド支持体56の上下の移動に連動して、植付押出体70は、上下に移動する。さらに、上ロッド支持体56には、左右一対の摺動体57を介して、揺動連結体62に摺動可能に配置されている。そのため、揺動部6の前後方向の移動に連動して、植付押出体70は、回動支点軸60を中心として前後方向に移動するとともに、無理なく上下に移動する。
【0132】
つまり、クランク駆動部5の作動により、植付押出部7が上下に移動する。
また、クランク駆動部5の作動により、植付押出部7が下方に移動されたとき(図14の(c)参照)に、圃場に種球Gが植付けられる。
【0133】
次に、植付押出体70の植付の動作について説明する。
【0134】
クランク駆動部5の上ロッド支持体56の下方移動によって、植付押出部7が下方に移動する。そのため、図19に示すように、上ロッド支持体56に固設された規制部材96とともに上部係合体90が、図23に示すように、下部係合体290の第二下係合部材294に接近し、上部係合体90のカラー94cが、第二下係合部材294の傾斜辺294aに接触する。
さらに、上部係合体90が下方に移動することで、カラー94cは傾斜辺294aに沿って第二下係合部材294を押圧する。したがって、下係合部材(293・294)は、第三付勢部材296(図23参照)の付勢力に抗して回動支点軸295を中心に矢印C方向に回動される。このとき、上部係合部材94の下前部は、規制突起92a・93bに接触しているため、回動支点軸94aを中心に前方へと回動すること無くカラー94cが第二下係合部材294を押圧する。また、第二下係合部材294が押圧されているため、第三付勢部材296は略上下方向に圧縮され、挿入板297の長孔297aの上端は係止軸292bとを接触させるように移動する。
【0135】
さらに、カラー94cが傾斜辺294aの下部に達すると、下係合部材(293・294)は、第三付勢部材296の上下方向の付勢力によって、回動支点軸295を中心としてD方向に回動される。このとき植付押出体70および上部係合体90は、最下位となる。
【0136】
一方このとき、図22に示すように保持開孔手段2は、植付位置17bに配置されたカム体によって駆動アーム25の外端が当接され、開孔体26が外方に回動することで、圃場に被覆されたマルチシート10に開孔部を形成する。
【0137】
その後、図25および図26に示すように、下方移動中のガイドパイプ71の下端部に配置された保持体73が、保持開孔手段2内に上方から侵入し、種球ホルダ21に保持中の種球Gを保持する。保持体73は、種球Gを保持しながら、種球Gとともに下方移動する。ガイドパイプ71の保持体73はその位置を最下部に達すると同時に、マルチシート10の開孔部の下方の圃場に種球Gを押付ける(図2参照)。
【0138】
その後、クランク駆動部5の上ロッド支持体56の上方への移動(図14の(d)参照)によって、植付押出部7が上方に移動される。
【0139】
一方、係合部9は、図24および図27に示すように、カラー94cが下係合部材(293・294)に係止されるため、上ロッド支持体56の上昇に伴い、係合部9のうち、上ロッド支持体56に固設された規制部材96のみが上昇する。しかし、規制部材96を除く上部係合体90は、連結軸91が長孔96aの下端に接するまでその上昇を停止する。上ロッド支持体56の上昇によって、上ロッド支持体56に取付部材76を介して固設されたガイドパイプ71は上昇する。
【0140】
このとき、上ロッド支持体56は、第一付勢部材75の付勢力に抗して、取付部材76および受部材77aを介して第一付勢部材75を圧縮させ、取付部材76と摺動部材77との間を短くしながら摺動部材77に固設された植付ロッド72はそのままの位置でガイドパイプ71のみを上昇させる。
【0141】
一方このとき、図17に示す植付押出部7の下端に着目すると、植付ロッド72は連結軸91に抑えられてその高さが保持され、ガイドパイプ71に連結された保持体73が、所定高さ上昇した後に、植付ロッド72が上昇する。従って、植付ロッド72が種球Gの上部を押えて、ガイドパイプ71および保持体73のみが上方に移動し、圃場の種球Gが、保持体73の保持状態から解除されて、圃場に植付けられる。さらに、植付け直後に、保持体73内に土等の異物が付着していた場合であっても、ガイドパイプ71および保持体73よりもあとに植付ロッド72が上昇することによって、植付ロッド72が保持体73内の土を下方へ押し出すことができる。そして、ガイドパイプ71の上昇に伴い第一スクレーパ74aがその下面で停止している植付ロッド72の付着物を除去し、さらに第二スクレーパ74bによって第一スクレーパ74aによって除去しきれなかった付着物を除去する。また、第二スクレーパ74bにより除去された付着物は第一スクレーパ74aの開口部から落ちる。
【0142】
さらに、図14の(c)および(d)に示すクランク駆動部5の上ロッド支持体56の上方移動によって、図28に示すように、摺動部材77が接触部材91aを上方へと押圧するとともに、規制部材96の長孔96aの下端が連結軸91を上方へと押圧する。
この二つの押圧力によって、上部係合体90は上昇する。また、カラー94cが第二下係合部材294に係止されるため、第二付勢部材95の付勢力に抗して、回動支点軸94aが上昇し、上部係合部材94は回動支点軸94aを中心に下方に回動したような姿勢となる。
【0143】
さらなる上部係合部材94の上昇によって、カラー94cは当接軸94bの外周を回動しながら上昇し、第二下係合部材294との係合が解消される。上部係合部材94は、図19に示すように、第二付勢部材95の付勢力によって元の位置に戻る。同じく、第一付勢部材75は、その付勢力によって、摺動部材77を介して接触部材91aを上方向へと押圧し、規制部材96を除く上部係合体90を上昇させる。したがって、回動支点軸94aが規制部材96の長孔96aの上端と当接する。
【0144】
このとき、図12および図13に示すように植付ロッド72はガイドパイプ71とともに上方へ移動する。そして、前述のガイド部8によって、ガイドパイプ71は回動支点軸60を中心として前方へと戻され、種球Gを保持した新たな保持開孔手段2の上方にガイドパイプ71が位置する。
【0145】
従って、植付押出部7は、クランク駆動部5が上下移動することによって植付押出部7を昇降させるとともに、揺動部6およびガイド部8によって保持開孔手段2との前後方向の同期移動をする。植付押出部7は、保持開孔手段2に保持された種球Gを圃場へと植付けることができる。
前記一連の動きを保持開孔手段2毎に行うことで圃場への種球Gの圃場への植付は行われる。
【0146】
この一連の動きは、係合部9が設置されていない機体左右中央の二本の植付押出体70・70に対しては、係合部9の連結軸91および左右中央の接触部材91a・91aを介して行われる。つまり、左右両側に配置された植付押出体70・70の植付ロッド72・72と略同様に、機体左右中央の二本の植付ロッド72・72は、連結軸91の上下の移動に伴って挙動する。
【0147】
このように構成することで、植付ロッドが72・72・72・72が連結軸91に一体的に連結されているよりも、植付損じが減り、効率的に植付作業をおこなうことができる。
【0148】
以下に、保持開孔手段2に保持された種球Gから保持体73への保持の移行および保持体73の種球Gの保持状態について説明する。
【0149】
図18および図25に示すように、例えば、種球Gがニンニクの種球である場合、種球Gは、根側を下としたときに平面視で略二等辺三角状となっている。この二等辺三角形の底辺に相当する部分が植付進行方向(矢印A)に対して直交する方向に延びるように、種球Gを植え付けることによって、葉の出る方向を揃えることができ、葉が効率よく広がり、ひいてはニンニクの収穫量を向上させることができる。そのため、作業者は、種球Gを保持開孔手段2の種球ホルダ21に挿入する時に、頂点となる出芽箇所G1が前上方を向き、収穫時に他の種球Gの鱗片と接していた接触部G2・G2が斜め前方を向くように種球ホルダ21に挿入する。なお、このとき、種球Gの頂点の方向を揃えて種球ホルダ21に挿入すれば、前後逆方向、右向きまたは左向きに種球ホルダ21に挿入して保持させてもよい。
【0150】
前記状態で保持開孔手段2により保持された種球Gは、植付位置17b(図7参照)において、保持開孔手段2に代わって植付押出体70の保持体73により保持され、下方に移動される。
詳細には、図25および図26に示すように、保持体73の下端が、保持開孔手段2内に侵入した後、種球ホルダ21の上部の保持部21hに当接し、下方に移動するとともに、種球Gに当接する種球ホルダ21の保持部21hを下方へと押し広げる。つまり、種球Gは、保持体73の下方への移動にともなって種球ホルダ21による保持状態をその上部から徐々に解除され、接触部73bと接触することより、姿勢を変えずに種球ホルダ21に代わって保持体73で保持されることになる。
【0151】
このとき、図18に示すように、保持体73は、底面視において、種球Gの出芽箇所G1近傍の側面および後部の二つの頂点を側面部73dに当接させて、種球Gを接触部73bにより保持する。
【0152】
保持体73が種球Gを接触部73bにより保持する際、種球Gの形状によっては、二つの頂点に挟まれた側面が側面部73dに当接したり、二つの頂点が角部73eに当接したりする場合があるが、そのときにも種球Gの姿勢が保持開孔手段2で保持された姿勢と略同じ姿勢で保持することができる。
【0153】
種球Gは、側面視において、出芽箇所G1側が、根側よりも縮径する形状である。そのため、平面視における種球Gの三箇所の頂点は、柔軟に形状を変形する保持体73における接触部73bの側面部73dに線および面で接することとなる。つまり、保持体73は、少なくとも三箇所の線または面で種球Gと接触する。従って、植付押出体70が下方に移動するときに、種球Gを安定して保持しながら移動させることができる。
【0154】
以上の如く、本実施形態の植付機1は、走行部14と、前記走行部14の上方に配置されて種球Gの植付けを行う植付部17とを備え、走行しながら走行方向に植付間隔P(所定間隔)ごとに種球Gの植付けを行う植付機1であって、前記植付部17は、種球Gを保持する保持開孔手段2(保持手段)と、前記保持開孔手段2に保持中の種球Gを保持しながら圃場へと移動させる筒状のガイドパイプ71(ガイド部材の一部)と、前記ガイドパイプ71に内装されるとともにガイド部材が保持する種球Gを圃場へと押出しながら植付ける植付ロッド72とを有する押出手段4と、を備え、種球Gを保持する保持体73を前記ガイド部材の種球Gと接触する部分に設け、当該保持体73を筒状でかつ、その内周断面形状を多角形に形成したものである。
【0155】
このように構成することにより、種球Gを圃場に植付けるときに、保持体73が、種球Gの外周面に対して複数箇所で接触して、当該種球Gを適正な姿勢で保持することになる。したがって、保持体73に保持された種球Gを、植付ロッド72により押出すことよって、そのままの適正な姿勢で圃場に植付けることができる。その結果、圃場に植え付けられた各種球Gの姿勢がよくなり、作物は均一に成長するようになる。
【0156】
本実施形態の植付機1は、前記保持体73を軟質材料で構成したものである。
【0157】
このように構成することにより、保持体73の種球Gとの接触面積を大きくすることが可能となり、種球Gを保持体73に適正な姿勢で保持しやすくなる。したがって、種球Gを適正な姿勢で圃場に植付けることができる。しかも、保持体73が種球Gの外周面に柔軟に接触してこれを傷めることがない。
【符号の説明】
【0158】
1 植付機
2 保持開孔手段(保持手段)
4 押出手段
14 走行部
17 植付部
70 植付押出体
71 ガイドパイプ(ガイド部材の一部)
72 植付ロッド
73 保持体(ガイド部材の一部)
211 第一保持板(保持板の一種)
211a 第一挿入孔
211b 切れ目
212 第二保持板(保持板の一種)
212a 第二挿入孔
212b 切れ目
213 第三保持板(保持板の一種)
213a 第三挿入孔
213b 切れ目
214 開孔板
214a 開孔部
G 種球
P 植付間隔(所定間隔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部と、前記走行部の上方に配置されて種球の植付けを行う植付部とを備え、走行しながら走行方向に所定間隔ごとに種球の植付けを行う植付機であって、
前記植付部は、
種球を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持中の種球を保持しながら圃場へと移動させる筒状のガイド部材と、前記ガイド部材に内装されるとともに当該ガイド部材が保持する種球を圃場へと押出しながら植付ける植付ロッドとを有する押出手段と、を備え、
種球を保持する保持体を前記ガイド部材の種球と接触する部分に設け、当該保持体を筒状でかつ、その内周断面形状を多角形に形成したことを特徴とする植付機。
【請求項2】
前記保持体を軟質材料で構成したことを特徴とする請求項1に記載の植付機。
【請求項3】
前記保持手段は、
中央に挿入孔が形成され当該挿入孔から前記保持体と一致する多角形の頂点方向に切れ目が形成される保持板と、中央に前記種球よりも大きい開孔部が形成される開孔板とが、中心を一致させて交互に複数重ね合わせて形成され、上下方向中央に配置される前記保持板の挿入孔は、上下両側に配置される保持板の挿入孔よりも大きく構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の植付機。
【請求項4】
前記上下両側に配置される保持板の間に配置される中間層の保持板の挿入孔は、下側ほど開孔面積が大きく形成されることを特徴とする請求項3に記載の植付機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−5375(P2012−5375A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141925(P2010−141925)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(391025914)八鹿鉄工株式会社 (131)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】