説明

機械加工ツールを測定し、そこから生成されたデータを使用するシステムおよび方法

【課題】機械加工ツールの関係する特性(たとえばゲージ長)を測定し、機械加工作業に適切または適正かどうか、稼動使用がどのように制御されるべきか、等を行うことが可能なシステムの提供。
【解決手段】機械加工ツール26を有するNC機械18と、機械加工ツール26の特性を測定して44測定された機械加工ツール26から取得データ46を生成するスマート画像取得装置34と、オプションで、取得データ46を用いて測定された機械加工ツール26のNC機械18による稼動使用50を制御すること、または、測定された機械加工ツール26若しくはNC機械18の稼動状態50を確認することを行う機械加工ツールプログラム36とを備えるシステム10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おおまかには、数値制御(NC)機械または機械加工作業における機械加工ツールの少なくとも1つの特性を、スマート画像取得装置を用いて測定するシステムおよび方法に関する。本発明は、さらにおおまかには、スマート画像取得装置によって生成された取得データを用いて、測定された機械加工ツールの、NC機械による稼動使用を制御すること、または、測定された機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することを行うシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フライス削り、中ぐり、穴あけ、リーマ仕上げ、ホーニング仕上げ、ねじ切りなど、様々な機械加工作業を実施するために、自動数値制御工作機械が使用される。そのような作業のそれぞれにおいては、正確な位置、除去されるべき材料の量、仕上がり寸法、機械加工されるべき穴の直径および深さなどが、あらかじめ決定され、数値プログラムまたはコードに翻訳されて、磁気テープ、せん孔テープ、カード、他のデータ記憶装置(たとえば、コンピュータのハードディスク)などに格納される。したがって、この機械は、作業者が常時そばに付くことを必要とせずに、様々な機械加工作業を自動的に実施するよう、「数値制御(NC)」される。NC機械およびシステムのいくつかの実例については、たとえば、米国特許第4151642号(Hollandら、1979年、5月1日発行)、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4382215号(Barlowら、1983年5月3日発行)、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4816729号(Carlson、1989年3月28日発行)、および本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5189624号(Barlowら、1993年2月23日発行)を参照されたい。
【0003】
NC機械加工システムでは、切削またはその他の材料除去は自動的に行われるが、主として、加工寸法を測定する場合や、通常の数値制御カッタオフセットを用いてカッタを調整する場合など、依然として多くの手動作業を必要とする場合がある。たとえば、多数の変量(切削ツールの摩耗、切削ツールの再位置決めおよび/または交換、ならびに(加熱、荷重によるゆがみ、その他の要因による)切削ツール、加工物、または機械自体の寸法変化など)を考慮するには、切削ツールの測定および調整を手動で行うことが必要な場合がある。
【0004】
切削ツールのようなNC機械加工ツールにより実施される典型的な作業では、特定の加工物または部品の製造のために機械がセットアップされた後に、作業者が、特定の調整(たとえば、ツールオフセット)を手動で実施することが必要な場合がある。作業者は、機械加工作業の開始前に、切削ツールをツール設置面まで進め、ツールと基準面との間隔を手動で測定してツール位置を決定することが、必要になる場合がある。これは、シム材料片などを用いて行われることが可能であり、そのような測定によって、ツールオフセットを手動で行うためのベースが形成されることが可能である。この作業は、複合ツールタレットのようなツール機構が機械加工ツールに含まれる場合には、各ツール、ならびに機械の各(運動)軸に対して個別に実施されることが必要な場合がある。加工物の特定の面の最終(または仕上げ)切削を行う前に、その加工物の半仕上がり面の様々な寸法を、手持ち式ゲージで測定することが必要な場合がある。これにより、作業者は、仕上げ切削に用いる切削ツールの必要なオフセットを決定することが可能になる。仕上がり面の実寸法が所望の寸法と一致するかどうかを判定するために、仕上げ切削を行った後に、手持ち式ゲージを用いて、その加工物を再度チェックすることが必要な場合がある。
【0005】
多くのNC機械加工作業は、さらに、機械加工ツールに関する寸法情報(たとえば、切削ツールの特定のゲージ長)がNC機械加工制御部に入力されることを必要とする場合がある。このゲージ長は、機械加工ツールのロード前に手動で測定され、NC機械加工制御部に手動で入力されることが可能である。手動の測定操作は、一つ一つに非常に時間がかかり、特定の加工物を所望の寸法に機械加工するために必要な総時間が膨大な量になるため、その機械加工ツールの製造能力を制限する。機械加工ツールの能力が少しでも低下することは、NC機械加工システムに関連するコストの関係から、重大な経済的問題になる。
【0006】
さらに、そのような手動作業はすべて、製造工程に誤りをもたらしがちである。機械加工ツールの、関係する特性(たとえば、切削ツールのゲージ長)を、手動で測定する代わりに、NC機械上でツールプローブを用いて測定することが可能である。機械加工ツールの寸法を測定するツールプローブアセンブリを開示した米国特許第4151642号(Hollandら、1979年5月1日発行)を参照されたい。適正なツールがNC機械によってロードされていることを確認するために、ゲージ長に加えて、切削ツールの他の寸法特性(たとえば、直径、コーナ半径など)も、ツールプローブで測定することが可能である。ツールプロービングは、NC機械制御部の制御下で実施可能であり、したがって、NC機械システムの一部を含むことが可能である。NC機械のプロービングツールは、適正なゲージ長を識別することに関して、手動による方法に比べ、より正確であり、より誤りが発生しにくい傾向がある。そうではあっても、ツールプロービングも、機械加工ツール(切削ツールなど)の長さおよび他の特性を測定することに関して、なお比較的低速なプロセスである。切削ツール用の事前測定装置については、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4571841号(Campbell、1986年2月25日発行)、および米国特許第4592146号(Campbell、1986年6月3日発行)も参照されたい。
【特許文献1】米国特許第3,518,769号公報
【特許文献2】米国特許第4,031,628号公報
【特許文献3】米国特許第4,151,642号公報
【特許文献4】米国特許第4,382,215号公報
【特許文献5】米国特許第4,428,055号公報
【特許文献6】米国特許第4,562,392号公報
【特許文献7】米国特許第4,571,841号公報
【特許文献8】米国特許第4,592,146号公報
【特許文献9】米国特許第4,620,281号公報
【特許文献10】米国特許第4,750,272号公報
【特許文献11】米国特許第5,189,624号公報
【特許文献12】米国特許第6,784,903 B2 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、(1)機械加工ツールの、関係する特性(たとえば、ゲージ長など)を、手動による方法や従来のツールプローブより素早く測定することと、(2)従来のツールプローブの精度と少なくとも同等の精度で測定することと、(3)そのような測定から、(a)その機械加工ツールが、実施されるべき機械加工作業に適切または適正かどうか、(b)その機械加工ツールの他の稼動使用の適切性、(c)その機械加工ツールの稼動使用がどのように制御されるべきか、または(d)その機械加工ツールおよび/またはNC機械の稼動状態はどのようなものか、を決定(たとえば、検証)することと、を行うことが可能な、NC機械の機械加工ツール(切削ツールなど)のためのシステムおよび方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、おおまかには、
少なくとも1つの機械加工ツールを有するNC機械と、
機械加工ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定して、測定された機械加工ツールについての取得データを提供する、スマート画像取得装置と、を備えるシステムを対象とする。
【0009】
本発明の別の実施形態は、おおまかには、
少なくとも1つの機械加工ツールを有するNC機械と、
機械加工ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定して、測定された機械加工ツールについての取得データを提供する、スマート画像取得装置と、
その取得データを用いて、測定された機械加工ツールの、NC機械による稼動使用を制御すること、または、測定された機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することを行う機械加工ツールプログラムと、を備えるシステムを対象とする。
【0010】
本発明の別の実施形態は、おおまかには、
(a)NC機械加工作業に機械加工ツールを提供するステップと、
(b)スマート画像取得装置を用いて、機械加工ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定して、測定された機械加工ツールからの取得データを提供するステップと、を含む方法を対象とする。
【0011】
本発明の別の実施形態は、おおまかには、
(a)NC機械加工作業に機械加工ツールを提供するステップと、
(b)スマート画像取得装置を用いて、機械加工ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定して、測定された機械加工ツールについての取得データを提供するステップと、
(c)その取得データを用いて、測定された機械加工ツールの、NC機械加工作業による稼動使用を制御すること、または、測定された機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することを行うステップと、を含む方法を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
用語「数値制御機械」または「NC機械」は、本明細書においては、1つまたは複数の機械加工ツールを用いて機械加工作業を実施する機械を意味し、この場合、実施されるべき機械加工作業は、あらかじめ決定され、数値コード、コンピュータ命令などに翻訳されて、磁気テープ、せん孔テープ、コンピュータカード、コンピュータソフトウェア、コンピュータハードウェアなどに格納されることが可能である。NC機械の実例は、たとえば、米国特許第4151642号(Hollandら、1979年、5月1日発行)、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4382215号(Barlowら、1983年5月3日発行)、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4816729号(Carlson、1989年3月28日発行)、および本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5189624号(Barlowら、1993年2月23日発行)に開示されており、これらのうちの関係する開示は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【0013】
用語「NC機械制御部」は、本明細書においては、NC機械の動作を制御する、NC機械の構成要素または部分を意味する。
【0014】
用語「機械加工ツール」は、本明細書においては、機械加工作業を実施するために、NC機械によって使用されるすべてのツールを意味する。機械加工ツールの例として、ミル(たとえば、切削ミル、エンドミルなど)、リーマ、ドリル、ボア、ホーニング装置、ねじ切り装置、旋盤などがあり、これらに限定されない。
【0015】
用語「測定された機械加工ツール」は、本明細書においては、スマート画像取得装置によって測定された機械加工ツールを意味する。
【0016】
用語「トランザクション」は、本明細書においては、機械加工ツールのどの特性および測定値が取得されるべきかについて、スマート画像取得装置に伝送された要求を意味する。トランザクションはさらに、識別番号(ID)、ツールの既知の特性、特性の測定に関してツールがどのように位置決めおよび/または方向づけされるべきか、その他を含むことが可能である。
【0017】
用語「特性」は、本明細書においては、スマート画像取得装置によって測定されることが可能な、機械加工ツールの、任意のパラメータ、品質、形状、構成、デザイン、サイズ、長さ、幅、厚さ、高さ、組成、性質、構造、形体、属性、配置、順序、方向など、またはこれらの任意の組み合わせを意味する。
【0018】
用語「関係する特性」は、本明細書においては、機械加工ツールの稼動使用を制御するために用いられることが可能であるか、機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認するために用いられることが可能である、スマート画像取得装置によって測定される、任意の特性を意味する。
【0019】
用語「スマート画像取得装置」は、本明細書においては、測定される機械加工ツールの画像を、取得、捕捉、生成することが可能な装置を意味し、さらにオプションで、取得、捕捉、生成した測定データが、たとえば、機械加工ツールプログラムによって評価されることが可能であるように、画像を何らかのフォーマット(たとえば、デジタルフォーマット)に変換することも可能な装置を意味する。好適なスマート画像取得装置として、スマートカメラなどがあり、これに限定されない。
【0020】
用語「データ」は、本明細書においては、スマート画像取得装置を用いて機械加工ツールの1つまたは複数の特性を測定することによって取得、捕捉、生成された、任意の情報、画像、その他を意味する。
【0021】
用語「取得データ」は、本明細書においては、測定された機械加工ツールの、スマート画像取得装置(たとえば、スマートカメラ)の視野内にある部分から、スマート画像取得装置によって取得、捕捉、生成され、機械加工ツールプログラムに伝送されることが可能な、任意の関係する特性を意味する。
【0022】
用語「取得データを使用する」は、本明細書においては、機械加工ツールプログラムに伝送された、取得されたデータを、評価、査定、操作、変形、変換、使用することなどを意味する。
【0023】
用語「機械加工ツールプログラム」は、本明細書においては、機械加工ツールの、NC機械による稼動使用を制御すること、または、機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することに用いられるコンピュータソフトウェアを意味する。
【0024】
用語「稼動使用」は、本明細書においては、機械加工ツールによって実施されることが可能であって、機械加工ツールプログラムによって制御されることが可能である、任意の機械加工作業を意味する。
【0025】
用語「稼動使用を制御する」ことは、本明細書においては、機械加工ツールによって実施される機械加工作業の程度、様式、タイプなどを調整、監視、制限、限定、増減、変更することなどを含み、これらに限定されず、さらに機械加工ツールを使用しないこと、または機械加工ツールの使用を停止することを含む。
【0026】
用語「稼動状態」は、本明細書においては、機械加工作業を実施することについての、機械加工ツール、NC機械、またはその両方の状態、状況、準備態勢などを意味する。
【0027】
用語「検証する」は、本明細書においては、測定された機械加工ツールが、稼動使用の準備ができているかどうか、または稼動使用にふさわしいかどうか(たとえば、適正なツールかどうか)、あるいは、測定された機械加工ツールまたはNC機械が稼動状態にあるかどうかを、取得データから判定、確認、実証、立証、確証することなどを意味する。
【0028】
用語「適正な機械加工ツール」は、本明細書においては、NC機械または機械加工システムによる稼動使用にふさわしい(かなっている、好適な)機械加工ツールであることを、取得データから検証された、測定された機械加工ツールを意味する。
【0029】
用語「ゲージ長」は、本明細書においては、機械加工ツールの長さ寸法の測定値(たとえば、ツールアセンブリのメカニカルインタフェースからツールの制御点まで測定された長さなど)を意味する。
【0030】
用語「振れ」は、本明細書においては、機械加工ツール(たとえば、ドリル、リーマ、エンドミルなど)が回転する際に起こるぶれやそりなどの量を意味する。
【0031】
用語「機械加工作業」は、本明細書においては、機械加工ツールによって実施される動作、働きなどを意味する。機械加工ツールによって実施可能な機械加工作業として、穴あけ、中ぐり、フライス削り、研削、リーマ仕上げ、切削、旋盤加工、仕上げ、製作、組み立て、整形などがあり、これらのうちの1つまたは複数に限定されない。
【0032】
用語「機械加工ステップ」は、本明細書においては、機械加工ツールによって実施されるすべての手順、工程、手法などを意味する。機械加工ステップとして、穴あけ、中ぐり、フライス削り、研削、リーマ仕上げ、切削、旋盤加工、仕上げ、製作、組み立て、整形などがあり、これらのうちの1つまたは複数に限定されない。
【0033】
用語「機械加工システム」は、本明細書においては、1つまたは複数の機械加工作業を含むシステムを意味する。
【0034】
用語「機械加工方法」は、本明細書においては、1つまたは複数の機械加工ステップを含む方法を意味する。
【0035】
用語「機械加工ステーション」は、本明細書においては、機械加工システムにおいて、1つまたは複数の機械加工作業が実施されることが可能な、所与の点、場所、位置などを意味する。
【0036】
用語「伝送(する)」は、本明細書においては、任意のタイプ、様式などで、データを、提供、供給、入力するなどして伝達することを意味する。本明細書におけるデータ伝送は、有線による電子的方法、無線による電子的方法、またはその組み合わせを用いることを含め、電子的に実施されることが可能である。電子的伝送は、様々な、ローカルまたはリモートの電子的伝送方法で実施可能であり、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)ベース、インターネットベース、またはWebベースの伝送方法、ケーブルテレビまたは無線通信のネットワーク、または他の任意の好適なローカルまたはリモートの伝送方法を用いて実施可能である。
【0037】
用語「コンピュータ」は、本明細書においては、パーソナルコンピュータ(ポータブルまたはデスクトップ)、サーバ、メインフレームコンピュータなどを意味する場合がある。
【0038】
用語「ソフトウェア」は、本明細書においては、任意の形式のプログラムされた機械可読言語または命令(たとえば、オブジェクトコード)を意味し、これらは、ロードまたは他の方法でインストールされた場合に、作業命令を読み取ることが可能な機械(たとえば、コンピュータまたは他のコンピュータプログラム読み取り装置)に作業命令を供給する。
【0039】
用語「含む(備える)」は、本明細書においては、様々な作業、ステップ、データ、ステーション、ツール、装置などが、本発明において、結合されて採用されることを意味する。したがって、用語「含む(備える)」は、より制限的な用語である「(本質的に)からなる」を包含する。
【0040】
本発明のシステムの実施形態は、おおまかには、(a)少なくとも1つの機械加工ツールを有するNC機械と、(b)機械加工ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定して、測定された機械加工ツールについての取得データを提供する、スマート画像取得装置と、(c)オプションで、その取得データを用いて、測定された機械加工ツールの、NC機械による稼動使用を制御すること、または、測定された機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することを行う機械加工ツールプログラムと、を備える。
【0041】
本発明の方法の実施形態は、おおまかには、(a)NC機械加工作業に機械加工ツールを提供することと、(b)スマート画像取得装置を用いて、機械加工ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定して、測定された機械加工ツールについての取得データを提供することと、(c)オプションで、その取得データを用いて、測定された機械加工ツールの、NC機械加工作業による稼動使用を制御すること、または、測定された機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することを行うことと、を含む。
【0042】
本発明のシステムおよび方法の実施形態は、スマート画像取得装置(たとえば、スマートカメラ)が、(1)機械加工ツールの、少なくとも1つの関係するツール特性(たとえば、切削ツールのゲージ長)を、手動による方法やツールプローブより素早く測定することと、(2)それらの関係するツール特性を、少なくとも、従来のツールプローブと同等の精度で測定することと、(3)(a)測定された機械加工ツールの、NC機械による稼動使用を制御すること(たとえば、測定された機械加工ツールが、NC機械または機械加工作業での使用のために選択されるのに適正な機械加工ツールかどうか)、または、(b)機械加工ツールまたはNC機械の稼動状態を確認することに用いられることが可能な、測定された機械加工ツールについての取得データを提供することと、に用いられることが可能であるという発見に基づく。
【0043】
機械加工ツール(たとえば、切削ツール)を有するNC機械を含み、スマート画像取得装置(たとえば、スマートカメラ)を用いて(たとえば、適正なツールの選択を検証するために)機械加工ツールの、関係する特性を測定して、切削ツールの稼動使用を制御するシステムの、特定の実施形態の概略図を図1に示し、これについて、以下、詳細に説明する。図1は、四角形18で全体が表されたNC機械を備える、全体が10で示されたシステムを示す。機械18は、機械加工ツール(たとえば、矩形26で全体が示された切削ツール)を有するとして示されている。さらに図1に示すように、システム10はさらに、スマート画像取得装置(たとえば、矩形34で全体が示されたスマートカメラ)を備える。
【0044】
図1に示すように、矩形36で示された機械加工ツールプログラムが与えられることが可能である。ツールプログラム36は、機械18の一部として示されているが、機械18から独立していてもよい。ツールプログラム36は、矢印38で示されるように、矩形40で示されたトランザクションを開始する。トランザクション40は、ツール26から取得されるべき特性および測定値、ツール26の既知の特性、その他を含むことが可能である。たとえば、トランザクション40は、ツール26の識別情報を、含んでも含まなくてもよい。ツールプログラム36のプログラミングの量および複雑度を最小限にすることと、ツールプログラム36を、様々なツール26に対して、より汎用的に適用可能にすることとのためには、トランザクション40は、ツール26の識別情報を含まないことが望ましいであろう。
【0045】
トランザクション40は、矢印42で示されるように、システム10によって、スマートカメラ34に伝送される。スマートカメラ34は、トランザクション40に応答して、両方向矢印44で示されるように、ツール26の1つまたは複数の関係する特性の1つまたは複数の画像を取得する。これらの伝送された画像44は、多くの場合、スマートカメラ34によって、デジタル測定値に変換される。スマートカメラ34によって取得された画像/測定値44は、伝送された取得データを、矢印46で示されるように、機械加工ツールプログラム36に提供する。その後、ツールプログラム36は、矢印50で示されるように、受け取った取得データ46を用いて、ツール26の、機械18による稼動使用を制御して(たとえば、NC機械制御部に命令を与えて)、たとえば、ツール26が機械18による使用に適正なツールかどうか、ツール26および/または機械18が稼動状態にあるかどうか、などを判定する。
【0046】
図2〜5は、取得データ46を提供するためにスマートカメラ34によって測定されることが可能な、様々なツール26の各種の関係する特性を示す。図2〜4は、52で示されたスマートカメラ34の視野内に、ツール26が完全に収まっている場合を示し、図5は、ツール26の一部分だけがスマートカメラの視野内に入っている場合を示す。以下では、これらの実施形態について詳細に説明する。図2〜3は、簡単に言うと、たとえば、(視野52内に示された)上面54および(視野52内に示された)底面56を有するミル切削ツールの形であって、ツール軸ターゲット平面62を与えられたツール26と、(破線で示された)ツール回転中心またはツール軸64と、長さターゲット平面66と、水平線68と、(両方向矢印で示された)制御点距離70と、(曲線矢印のペアで示された)表示角度72と、(矢印のペアで示された)直径距離74と、有効半径平面76と、(図3の矢印のペアで示された)ツール軸位置偏差78と、制御点80のペアと、(曲線両方向矢印で示された)コーナ半径84と、(両方向矢印で示された)長さオフセット86と、(図2または図3の両方向矢印で示された)ツール直径90と、(図3の両方向矢印で示された)有効直径92と、(図3の両方向矢印で示された)ツール振れ94と、(矢印のペアで示された)ツール偏差角度96とを示す。図4は、簡単に言うと、たとえば、エンドミル100の形であって、歯先角面102を与えられたツール26と、制御点103と、(破線で示された)ツール軸104と、(矢印のペアで示された)歯先角長さ106と、(曲線矢印のペアで示された)歯先角108と、ツール底面112と、ツール上面114と、歯先角面102の一端と上面114の一端とが交差する点116とを示す。図5は、簡単に言うと、図2〜3に示されたミル切削ツール26であるが、120で示された視野には一部だけが入っており、(以下、126として示される)ツールの(視野120内に示された)上面122および(視野120内に示された)底面124を有し、(破線で示された)ツール軸128を与えられたツール26と、制御点130のペアと、(曲線両方向矢印で示された)表示角度132と、水平線134と、(破線で示された)ツール半径ターゲット平面152と、長さターゲット平面154と、(矢印のペアで示された)半径偏差156と、(矢印のペアで示された)制御点距離160と、(矢印のペアで示された)半径距離162と、有効半径平面168と、(曲線両方向矢印で示された)コーナ半径174と、(矢印のペアで示された)長さオフセット176と、(両方向矢印で示された)実半径190と、コーナ半径チップ192とを示す。制御点(80や130など)の位置決めは、ツール26/100/126のタイプに依存し、ツール26/100/126のゲージ長に応じて変わることがある。図示された様々なターゲット平面(図2のツール軸ターゲット平面62および長さターゲット平面66や、図5のツール半径ターゲット平面152および長さターゲット平面154など)は、一般に、NC機械18のツール軸(図示せず)を基準とする。
【0047】
図2に示すように、ツール26は、スマートカメラ34の(四角形で示された)視野52に収まっている。図2にさらに示すように、ツール26の全体幅は、視野52内に収まっている。スマートカメラ34によって取得された、関係する特性の測定値は、ツール26および機械18の作業におけるその後の使用(たとえば、評価、操作、査定、その他)のために、スマートカメラ34によって機械加工ツールプログラム36に伝送されることが可能な取得データ46を提供する。たとえば、機械加工ツールプログラム36は、取得データ46を用いて、ツール26の位置決めおよび/または方向づけを変更すること、ツール26が機械18に適正に装着されているかどうかを判定すること、ツール26の位置決めおよび/または方向づけが適正かどうかを判定すること(そして、適正でない場合は、位置決めおよび/または方向づけを変更すること)、ツール26が、実施されるべき機械加工作業に適正なツールかどうかを検証すること、ツール26および機械18の稼動状態(たとえば、機械18によるツール26の位置決めまたは方向づけが適正でないこと、ツール26の過度の摩耗が見つかったこと、その他の理由により、メンテナンスまたは修理が必要かどうか)を確認すること、などを行うことが可能である。
【0048】
ツール26は、システム10からの要求(たとえば、トランザクション40)がある前に、視野52内で位置決めおよび/または方向づけされて、その位置および/または方向が決定されることが可能である。各ツール26は、取得データ46を使用する(たとえば、評価する)ことを支援する基準点として用いられることが可能な、1つまたは複数の制御点80(そのうちの2つを図2および3に示した)を有することが可能である。たとえば、図2に示すように、ツール制御点80は、視野52を二分する長さターゲット平面66に接して、または近接して、位置決めまたは配置されることが可能である。また、ツール軸64は、長さターゲット平面66に垂直であるように示された(したがって、やはり、視野52を二分する)ツール軸ターゲット平面62の上方に位置決めされることが可能である。ツール26が水平に表示される場合は、制御点80は、機械18からは制御点80を長さターゲット平面66上に配置するように見える(したがって、視野52を二分する)垂直平面に対して位置決めされることが可能であり、ツール軸64は、機械18からはツール軸64をツール軸ターゲット平面62上に配置するように見える水平平面の中央に位置決めされることが可能である。ツール26が視野52内で位置決めおよび方向づけされた後、システム10は、この後に詳細に説明するように、ツール26またはエンドミル100の、規準からの長さオフセット86、有効直径92、コーナ半径84、歯先角108、実ツール直径90、振れ94(すなわち、有効直径92と実ツール直径90との差)などを含むことが可能であって、これらに限定されない取得データ46を提供するために、(制御点80、ツール軸ターゲット平面62、長さターゲット平面66などを基準点として用いる)ツール26の測定をスマートカメラ34に要求することが可能である。
【0049】
ツール26が位置決めされた後、ツール26のどの特性および測定値がスマートカメラ34によって取得されるべきかに関して、(トランザクションID番号、既知のツール特性、特性を測定するためにツール26がどのように位置決めまたは方向づけされるべきか、ツール26の識別情報などを含むことが可能な)トランザクション40が、(矢印42で示されるように)システム10によって、スマートカメラ34に伝送されることが可能である。スマートカメラ34によって取得された測定結果は、その後、取得データ46として、機械加工ツールプログラム36に伝送される。ツールプログラム36は、取得データ46を用いて、機械18によるツール26の作業を制御するか、ツール26および/または機械18の状態を確認する。たとえば、ツールプログラム36は、スマートカメラ34によって取得された測定値を評価し、その評価から、たとえば、ツール26が、使用すべき適正なツールかどうか(たとえば、ツール26の有効直径が許容範囲内にあるかどうか)、ツール26が機械18によって適正に装着されているかどうか、ツール26が使用に対して適正に位置決めおよび/または方向づけされているか(および、そうでない場合は、ツール26の位置決めおよび/または方向づけをどのように更新または調整するか)、ツール26の適正でない位置決めおよび/または方向づけは、機械18がメンテナンスまたは修理を必要としていることを示しているかどうか、などを判定することが可能である。
【0050】
(図2〜4で示されたような)ツール26の、すべてまたはほとんどの関係する特性の測定の実施形態では、システム10は、「完全ツール測定」トランザクション40(以下、「ID 01」と称する)をスマートカメラ34に伝送することが可能である。ID 01は、スマートカメラ34の視野52内に表示されているツール26の角度をスマートカメラ34が知ることができるように、表示角度72(曲線矢印のペア)を含むことが可能である。ID 01はさらに、(a)図3において70で示された制御点距離(すなわち、長さターゲット平面66の方向に測定される、ツール軸64から制御点80の位置までの垂直半径距離)(これは、ツール26の半径の0〜100%の範囲であることが可能であり、たとえば、インチ(mm)単位の形式で表されることが可能である)と、(b)直径距離74(すなわち、ツール軸64に平行な、制御点80から有効半径平面76までの軸方向距離)(これは、視野52の0〜50%の範囲であることが可能であり、たとえば、インチ(mm)単位の形式で表されることが可能である)と、を含むことが可能である。
【0051】
図3に示すように、コーナ半径84は、実施されるべき他の測定の指定として用いられることが可能である。そのような実施されるべき測定のそれぞれに対応する値が、以下のように用いられることが可能である。
【0052】
0.コーナ半径84(図3を参照)または歯先角108(図4を参照)を測定しない。
【0053】
1.コーナ半径84を測定し、その測定値を返す。
【0054】
2.適用可能であれば(図4のエンドミル100を参照)、歯先角108および歯先角長さ106を測定する。
【0055】
前述の測定から、スマートカメラ34は、図3に示されるような、以下の取得データ46を提供することが可能である。
【0056】
1.長さオフセット86(すなわち、制御点80から長さターゲット平面66までの、測定された距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0057】
2.有効直径92(すなわち、実ツール直径90および振れ94を含む、回転ツールの測定された最大直径)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0058】
3.コーナ半径84(すなわち、ツール26の末端または先端とツール26の側面56との間のコーナの半径)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0059】
4.ツール軸位置偏差78(すなわち、切削ツール軸64とツール軸ターゲット平面62との間の距離)(ツール26の制御点80の平面上で測定されることが可能)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0060】
5.ツール軸偏差角度96(すなわち、ツール軸64とツール軸ターゲット平面62との間の角度)(たとえば度単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0061】
6.(たとえば、図4に示されているような)歯先角108(すなわち、歯先角面102とツール軸104とによって形成された角度)(たとえば度単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0062】
7.歯先角長さ106(すなわち、エンドミル100の、制御点103から、歯先角面102とツール面114とが交差する交差点116までの軸方向長さ)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0063】
8.実ツール直径90(すなわち、ツール26の測定された直径であって、振れ94を含まない)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0064】
9.測定されたツール振れ94(すなわち、有効直径92と実ツール直径90との差)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0065】
エラーが検出されていない場合、システム10は、エラーコード0を示すように設定されることが可能である。エラーがシステム10によって見つかった場合、これらの見つかったエラーは、それらに関連付けられたコードとともにリストされることが可能であり、有効な値を有しない可能性がある未使用の特性があれば、それは値0を付けて返される。
【0066】
「長さのみ」のツール測定を示す実施形態では、長さが視野52に完全に収まるツール26を考えると、システム10は、「長さのみのツール測定」トランザクション40(以下、「ID 02」と称する)をスマートカメラ34に伝送することが可能である。ID 02は、スマートカメラ34に伝送される、ツール26の以下の既知の特性を含むことが可能である。
【0067】
10.表示角度72(すなわち、ツール軸64と水平線68との間に形成された角度)(−90〜+90度の範囲で変化することが可能であり、たとえば、度単位の形式で与えられることが可能)。
【0068】
11.制御点距離70(すなわち、ツール軸64から制御点80の位置までの垂直半径距離)(これは、ツール半径の0〜100%の範囲であることが可能であり、たとえば、インチ(mm)単位の形式で与えられることが可能)。
【0069】
トランザクションID 02によって与えられるデータを用いて、以下の取得データ46が、スマートカメラ34によってツール26から取得され、ツールプログラム36に伝送されることが可能である。
【0070】
12.長さオフセット86(すなわち、制御点80を含む平面の方向に測定される、制御点80から長さターゲット平面66までの、測定された距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0071】
13.ツール軸位置偏差78(すなわち、ツール軸64とツール軸ターゲット平面62との間の距離)(制御点80、ツール軸64、およびツール軸ターゲット平面62を含む平面上で測定されることが可能)(たとえばインチ(mm)単位で、取得データ46の形式がツールプログラム36に伝送されることが可能)。
【0072】
14.ツール軸偏差角度96(すなわち、ツール軸64とツール軸ターゲット平面62との間の角度)(たとえば度単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0073】
エラーが検出されていない場合、システム10は、エラーコード0を示すように設定されることが可能である。エラーがシステム10によって見つかった場合、これらの見つかったエラーは、それらに関連付けられたコードとともにリストされることが可能であり、有効な値を有しない可能性がある未使用の特性があれば、それは値0を付けて返される。
【0074】
幅のみのツール測定を示す実施形態では、幅が(図2のように)視野52に完全に収まるツール26を考えると、システム10は、「幅のみのツール測定」トランザクション40(以下、「ID 03」と称する)をスマートカメラ34に伝送することが可能である。トランザクションID 03は、スマートカメラ34に伝送される、ツール26の以下のチェックまたは特性を含むことが可能である。
【0075】
15.ツール26の実ツール直径90は、チェックされる。
【0076】
16.表示角度72(すなわち、これによって、スマートカメラ34が、ツール軸ターゲット平面62および長さターゲット平面66の位置を特定または定義することが可能)。
【0077】
トランザクションID 03によって与えられる上述のチェックおよび特性を用いて、以下の取得データ46が、スマートカメラ34によってツール26から取得され、ツールプログラム36に伝送されることが可能である。
【0078】
17.有効直径92(すなわち、実ツール直径90および振れ94を含む、回転ツール26の測定された最大直径)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0079】
18.ツール軸位置偏差78(すなわち、制御点80を含む平面上で測定される、ツール軸64からツール軸ターゲット平面62までの距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0080】
19.ツール軸偏差角度96(すなわち、ツール軸64とツール軸ターゲット平面62との間の角度)(たとえば度単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0081】
20.実ツール直径90(すなわち、ツール26の測定された直径であって、振れ94を含まない)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0082】
21.測定されたツール振れ94(すなわち、有効直径92と実ツール直径90との差)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0083】
エラーが検出されていない場合、システム10は、エラーコード0を示すように設定されることが可能である。エラーがシステム10によって見つかった場合、これらの見つかったエラーは、それらに関連付けられたコードとともにリストされることが可能であり、有効な値を有しない可能性がある未使用の特性があれば、それは値0を付けて返される。
【0084】
図5に示したように、ツール26が視野52内に完全には収まらない場合は、ツール(以下、126と称する)の視野120内の部分からデータを外挿することによって全体ツール126についての取得データ46を提供することが必要である場合がある。図5に示すように、ツール軸128に垂直な長さターゲット平面154の上に、ツール126の制御点130を配置することが可能である。長さターゲット平面154に垂直な(したがって、視野120を二分する)ツール半径ターゲット平面152の上またはこれと平行に、ツール126の底面124を配置することが可能である。図2〜3に示したツール26の、既に説明した実施形態の場合と同様に、図5のツール126は、どのような特性および測定値がスマートカメラ34によってツール126から取得されるべきかを要求するトランザクション40(以下、「ID 04」と称する)が伝送される前に、位置決めおよび/または方向づけされることが可能である。たとえば、切削ツール126に関してID 04によって要求される測定は、規準からの長さオフセット176、実ツール半径190、コーナ半径174などを含むことが可能である。トランザクションID 04によって取得されることが可能であって、ツールプログラム36に伝送されることが可能な取得データ46は、以下のとおりである。
【0085】
22.表示角度132(すなわち、ツール軸128が水平線134となす角度)(−90〜+90度の範囲で変化することが可能)(たとえば度単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0086】
23.制御点距離160(すなわち、ツール半径ターゲット平面152から制御点130までの垂直半径距離)(視野120の0〜50%の範囲であることが可能)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0087】
24.半径距離162(すなわち、ツール軸128に平行な、制御点130から有効半径平面168までの軸方向距離)(視野の0〜50%の範囲であることが可能)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0088】
図5に示したコーナ半径174についての、可能性のある測定方法は、次のように、値0または1で指定されることが可能である。
【0089】
0 コーナ半径174または歯先角108を測定しない。
【0090】
1 コーナ半径174を測定し、その測定値を返す。
【0091】
視野120内に位置決めされた、ツール126の各ツール面(たとえば、上面122および底面124)の識別情報は、トランザクションID 04とともに、スマートカメラ34に伝送されることが可能である。各ツール面に対しては、値を事前に割り当てることも可能である(たとえば、底面124に対して1、上面122に対して2、など)。トランザクションID 04に含まれるデータについては、スマートカメラ34は、図5に示されるような、以下の取得データ46を提供することが可能である。
【0092】
25.長さオフセット176(すなわち、制御点130から長さターゲット平面154までの、測定された距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0093】
26.半径偏差156(すなわち、ツール126の、振れが最大の場合の底面124から、ツール半径ターゲット平面152までの距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0094】
27.コーナ半径174(すなわち、ツール126の先端192と上面122との間のコーナの半径)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0095】
28.(図4に示されたような)歯先角108(すなわち、歯先角面102とツール軸104とによって形成された角度)(たとえば度単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0096】
29.(図4に示されたような、歯先角面102の軸方向長さであって、たとえば、点116で上面114と交差するような)歯先角長さ106(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0097】
エラーが検出されていない場合、システム10は、エラーコード0を示すように設定されることが可能である。エラーがシステム10によって見つかった場合、これらの見つかったエラーは、それらに関連付けられたコードとともにリストされることが可能であり、有効な値を有しない可能性がある未使用の特性があれば、それは値0を付けて返される。
【0098】
ツール126の「長さのみ」のツール測定を示す実施形態では、ツール126の制御点130は、長さターゲット平面154およびツール半径ターゲット平面152の上に配置されることが可能である。システム10は、「長さのみのツール測定」トランザクション40(以下、「ID 05」と称する)をスマートカメラ34に伝送することが可能である。必要な測定を識別するために、トランザクションID 05を割り当てることが可能である。トランザクションID 05は、以下のデータを収集することによって「規準からの長さ偏差」を実施することを含むことが可能である。
【0099】
30.表示角度132(すなわち、水平線134に対するツール126の角度または位置)。
【0100】
31.制御点距離160(すなわち、ツール半径ターゲット平面152から制御点130までの垂直半径距離)(視野120の0〜50%の範囲であることが可能)(たとえばインチ(mm)単位の形式でスマートカメラ34に提供されることが可能)。
【0101】
視野120内に位置決めされた、ツール126の各ツール面(たとえば、底面124または上面122)の識別情報(たとえば、底面124に対して1、上面122に対して2、などの値)は、トランザクションID 05の一部として、(前述のように)スマートカメラ34に伝送されることが可能である。トランザクションID 05によって与えられるデータを用いて、以下の取得データ46が、スマートカメラ34によってツール26から取得され、ツールプログラム36に伝送されることが可能である。
【0102】
32.長さオフセット176(すなわち、制御点130から長さターゲット平面154までの、測定された距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0103】
エラーが検出されていない場合、システム10は、エラーコード0を示すように設定されることが可能である。エラーがシステム10によって見つかった場合、これらの見つかったエラーは、それらに関連付けられたコードとともにリストされることが可能であり、有効な値を有しない可能性がある未使用の特性があれば、それは値0を付けて返される。
【0104】
半径測定は、ツール(たとえば、ツール126)の幅が、視野(たとえば、視野120)の内側に収まらない場合のみ、適用可能である。ツール126の底面124は、ツール半径ターゲット平面152の上に、またはこれに近接して、配置されることが可能である。ツール126の半径偏差156は、長さターゲット平面154がツール126の任意の部分と交差する場合(ツール126が、視野120内でターゲット平面154とも交差するように位置決めされた場合)にチェックされることが可能である。システム10は、トランザクション40(以下、「ID 06」と称する)をスマートカメラ34に伝送することにより、半径偏差156の測定を実施して、ツール126の以下の特性を用い、半径偏差156の以下の測定値を提供することが可能である。
【0105】
33.表示角度132(ID 06に含まれる)。
【0106】
34.視野120内に位置決めされた各ツール面(たとえば、底面124または上面122)の位置の識別情報(ID 06に含まれる)。
【0107】
35.半径偏差156(すなわち、ツール126の、振れが最大の場合の底面124から、ツール半径ターゲット平面152までの、測定された距離)(たとえばインチ(mm)単位で、ツールプログラム36に伝送される取得データ46の形式を有する)。
【0108】
エラーが検出されていない場合、システム10は、エラーコード0を示すように設定されることが可能である。エラーがシステム10によって見つかった場合、これらの見つかったエラーは、それらに関連付けられたコードとともにリストされることが可能であり、有効な値を有しない可能性がある未使用のパラメータがあれば、値0を付けて返される。
【0109】
システム10を用いて機械加工ツールの適正な選択を検証する方法の特定の実施形態を、図6のフローチャートで示す。この図では、方法/システムの全体を300で示している。機械18に関連付けられた機械加工ツールプログラム36は、最初に、ステップ302で示されるように、ツール26の位置決めおよび/または方向づけを行い、その後、ステップ304で示されるように、位置決め/方向づけの調整を終了することが可能である。取得されるべき、ツール26の特性および測定値を含むトランザクション40(トランザクションID、既知のツール特性、ツールの識別情報、その他を含むことが可能)を、ステップ306で示されるように、スマートカメラ34に伝送することが可能である。スマートカメラ34は、ステップ308で示されるように、伝送されたトランザクション40を受け取り、ステップ310で示されるように、トランザクション40に含まれた特性の測定を実施して、取得データ46を取得する。
【0110】
さらに図6に示すように、ステップ312で示されるように、取得データ46がツールプログラム36に伝送され、ツールプログラム36では、ステップ314で示されるように、エラーコードに関して取得データ46がチェックされることが可能である。ステップ314でエラーコードが見つからなかった場合、取得データは、ステップ316で示されるように、ツールプログラム36によって評価などが行われ、その後、ツールプログラム36によって、(たとえば、ステップ318で示されるように、最初にツール26の位置および/または方向に対して必要な調整を行うことによって)機械18の作業を制御するために用いられることが可能である。ステップ318で調整が行われた後、機械18は、ステップ320で示されるように、ツール26に機械加工作業(たとえば、切削)を実施させることに進むことが可能である。
【0111】
ステップ314で、取得データ46の一部としてエラーメッセージが見つかった場合、ツールプログラム36は、ステップ322で示されるように、見つかったエラーが修正されるか、他の方法で適切な解決がなされるまで、ツール26の使用と機械の作業とを一時停止または終了することが可能である。
【0112】
図6は、方法/システム300の例示的実施形態を示しているが、ステップの順番/並びは、必要に応じて、削除、交換、変更、修正されることなどが可能であること、および追加ステップ(たとえば、再測定など)が方法/システム300に含まれることも可能であることを理解されたい。
【0113】
本発明に用いることが可能なスマートカメラ34および関連部品の実施形態を、図7〜9に示す。図7〜9に示すように、スマートカメラ34は、スマートカメラ34およびそのレンズ404を、スマートカメラ34の部品を劣化させうる環境汚染物から保護するために、シールドケース402で密封されることが可能である。カメラ34は、たとえば、スマートカメラ34のマウントの角度および位置の調節を可能にするために、ケース402の底面の水平スロットおよび/または垂直スロット(図示せず)の内側を移動することが可能な3点マウントプレートにマウントされることが可能である。スマートカメラ34用の照明を提供するために、窓414とレンズ404との間に、ライト410を配置することが可能である。ケース402によって密封された区域を冷却する空気流を提供するために、スマートカメラ34のそばに空気吸い込み口416を配置することが可能である。ケース402内を所望の温度環境に保つことを支援するために、ライト410から発生した熱を、空気吐き出し口418から放出することも可能である。図8に見られるように、ケース402内のスマートカメラ34および他の部品にアクセスできるよう、ケース402内に管422を設けることが可能である。ごみや他の異物を窓414に近づけないように、窓414の前に、エアカーテン424を配置することも可能である。
【0114】
本発明のシステムおよび方法の特定の実施形態について説明してきたが、それらに対する様々な修正が、添付の特許請求項で定義される、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく行われることが可能であることは、当業者であれば明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】(たとえば、切削ツールと、切削ツールの少なくとも1つの関係する特性を測定するスマート画像取得装置とを有する)NC機械を備えるシステムの概略図である。
【図2】スマート画像取得装置で測定可能な、ツールの様々な関係する特性を示す、図1の切削ツールの実施形態の(スマート画像取得装置の視野内に収まるミル切削ツールの形の)側面図である。
【図3】スマート画像取得装置で測定可能な、ツールの、関係する特性をさらに示す、図2の切削ツールの別の側面図である。
【図4】スマート画像取得装置で測定可能な、面取りエンドミルの様々な関係する特性を示す、図1のNC機械システムで使用可能な別の切削ツールの(面取りエンドミルの形の)側面図である。
【図5】ツールの一部分だけがスマート画像取得装置の視野内に収まる場合の、スマート画像取得装置で測定可能な、ツールの、関係する特性を示す、図2〜3のミル切削ツールの別の側面図である。
【図6】図1に示された機械加工ツールが、NC機械で使用されるのに適正な機械加工ツールかどうかを検証する、本発明のシステム/方法の実施形態のフロー図である。
【図7】機械加工ツールの特性を測定するために使用可能なスマート画像取得装置の側面図である。
【図8】図7のスマート画像取得装置の斜視図である。
【図9】図7のスマート画像取得装置の上面図である。
【符号の説明】
【0116】
10 システム
18 NC機械
26 切削ツール
34 スマートカメラ
36 機械加工ツールプログラム
38 トランザクション40の開始を示す矢印
40 トランザクション
42 スマートカメラ34へのトランザクション36の伝送を示す矢印
44 カメラ34によって取得された画像を示す両方向矢印
46 取得データの伝送を示す矢印
50 ツールプログラム48による制御/確認を示す矢印
52 図2における視野
54 ツール26の上面
56 ツール26の底面
62 ツール軸ターゲット平面
64 ツール軸
66 長さターゲット平面
68 水平線
70 制御点距離
72 表示角度
74 直径距離
76 有効半径平面
78 ツール軸位置偏差
80 制御点
84 コーナ半径
86 長さオフセット
90 ツール直径
92 有効直径
96 ツール角度偏差
100 図4のエンドミル
102 歯先角面
103 制御点
104 ツール軸
106 歯先角長さ
108 歯先角
110 交差点
112 ツールの底面
114 ツールの上面
120 図5における視野
122 上面
124 底面
126 図5のツール
128 ツール軸
130 制御点
132 表示角度
134 水平線
152 ツール半径ターゲット平面
154 長さターゲット平面
156 半径偏差
160 制御点距離
162 半径距離
168 有効半径平面
174 コーナ半径
176 長さオフセット
190 実ツール半径
192 コーナ半径チップ
300 システム
302 NC機械
304 ツールプログラムの位置決め/方向づけ調整を終了
306 トランザクション
308 トランザクションを受信
310 測定を実施
312 測定値を送信
314 エラーをチェック
316 測定値を評価
318 調整を有効化
320 切削に進む
322 手順を一時停止
402 シールドケース
404 レンズ
410 ライト
414 窓
416 空気吸い込み口
418 空気吐き出し口
422 管
424 エアカーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの機械加工ツール(26)を有するNC機械(18)と、
前記機械加工ツール(26)の少なくとも1つの関係する特性を測定して、前記測定された機械加工ツール(26)についての取得データ(46)を提供する、スマート画像取得装置(34)と、を備えるシステム(10)。
【請求項2】
前記取得データ(46)を評価して、前記測定された機械加工ツール(26)の、前記NC機械(18)による稼動使用(50)を制御するか、前記測定された機械加工ツール(26)または前記NC機械(18)の稼動状態(50)を確認する、機械加工ツールプログラム(36)をさらに備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記スマート画像取得装置がスマートカメラ(34)を備える、請求項1から2のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機械加工ツール(26)がミル(26、100、126)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項5】
(a)NC機械加工作業に機械加工ツール(26)を提供するステップ(302〜304)と、
(b)スマート画像取得装置(34)を用いて、前記機械加工ツール(26)の少なくとも1つの関係する特性を測定して、前記測定された機械加工ツール(26)についての取得データ(46)を提供するステップ(308〜310)と、を含む方法(300)。
【請求項6】
前記取得データ(46)を用いて、前記測定された機械加工ツール(26)の、前記NC機械加工作業による稼動使用(50)を制御すること(302〜304)、または、測定された機械加工ツール(26)若しくはNC機械(18)の稼動状態(50)を確認すること(312〜320)を行う、さらなるステップ(c)を含む、請求項5に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記スマート画像取得装置(34)が視野(52、120)を有し、前記機械加工ツール(26)の前記少なくとも1つの関係する特性が測定される(310)ステップ(b)の間に、前記機械加工ツール(26、126)が、前記視野(52、120)内に部分的または完全に位置決めされる、請求項5から6のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記スマート画像取得装置(34)に伝送されたトランザクション(40)に応答してステップ(b)が実行される(306)、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項9】
前記機械加工ツールプログラム(36)が、ステップ(c)の間に、前記取得データ(46)を評価して、前記測定された機械加工ツール(26)が、前記NC機械加工作業で使用されるのに適正な機械加工ツール(26)かどうか、を検証する(314〜318)、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項10】
前記機械加工ツールプログラム(36)が、ステップ(c)の間に、前記取得データ(46)を評価して、前記測定された機械加工ツールまたは前記NC機械が修理またはメンテナンスを必要とするかどうかを判定する(314〜318)、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法(300)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−296301(P2008−296301A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−142869(P2007−142869)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】