説明

歩行支援装置及びその制御方法

【課題】使用者の歩容の異常を検出することができる歩行支援装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る歩行支援装置1は、使用者の腿部に装着され、使用者の歩行を支援する歩行支援装置であって、使用者の歩行状態を検出する検出手段7と、検出手段7の検出結果に基づいて算出した、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間とに基づいて、使用者の歩容が正常か否かを判定する歩容判定手段93と、を備える。このとき、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が0以下であると、制御手段92を制御して使用者の膝が伸展するように駆動手段6を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行支援装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行支援装置は、例えば腿部に麻痺症状等の障害が残る患者のリハビリ訓練に用いられ、当該腿部に装着される。腿部の麻痺症状により、患者は腿部の接地状況や膝の曲がり具合などを認知する機能が低下している。
【0003】
歩行時に積極的に膝の曲げ伸ばしを支援する歩行支援装置は、着地タイミングが早い場合には、膝が曲がった状態で着地することになる。膝が曲がった状態で着地してしまうと、患者(使用者)を支えるだけの十分なトルクを出力できないことで、使用者の体重が歩行支援装置に作用したとき、当該歩行支援装置の関節部が屈曲し、使用者が姿勢を崩す可能性がある。
【0004】
ところで、特許文献1には、予め用意された多関節ロボットの運動方程式に、一つの特定関節の角度を除いて他の関節角にセンサの検出関節角を代入して特定関節の推定関節角を算出し、特定関節の算出関節角と検出関節角の角度差が予め定められた許容範囲から外れている場合に、特定関節のフィードバック制御が異常であると判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−73127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、多関節ロボットの異常を検出することができるが、使用者の歩容の異常を検出することができない。
【0007】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、使用者の歩容の異常を検出することができる歩行支援装置及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る歩行支援装置は、使用者の腿部に装着され、前記使用者の歩行を支援する歩行支援装置であって、前記使用者の歩行状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて算出した、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間とに基づいて、前記使用者の歩容が正常か否かを判定する歩容判定手段と、を備える。
【0009】
上記歩行支援装置において、前記使用者の上腿部に固定される第1のリンクと、前記第1のリンクに回転可能に連結され、前記使用者の下腿部に固定される第2のリンクと、前記第1のリンクに対して相対的に前記第2のリンクを駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、をさらに備え、前記検出手段は、前記第1のリンクに対する前記第2のリンクの回転角度を検出する第1の検出手段と、前記使用者の足裏に作用する荷重を検出する第2の検出手段と、を備え、前記歩容判定手段は、前記第1又は第2の検出手段の検出結果に基づいて前記遊脚完了予測時間を算出する予測時間算出手段と、前記第1又は第2の検出手段の検出結果に基づいて遊脚動作時間を算出する動作時間算出手段と、前記遊脚完了予測時間と、前記遊脚動作時間と、を比較し、比較結果に基づいて前記使用者の歩容が正常か否かを判定する状態判定手段と、を備えること、が好ましい。
【0010】
上記歩行支援装置において、前記状態判定手段は、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差が0以下であると、前記制御手段を制御して前記使用者の膝が伸展するように前記駆動手段を動作させること、が好ましい。
【0011】
上記歩行支援装置において、前記状態判定手段は、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記制御手段を制御して、前記駆動手段の駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現するように、前記駆動手段を動作させること、が好ましい。
【0012】
上記歩行支援装置において、前記使用者に注意を喚起する注意喚起手段をさらに備え、前記歩容判定手段は、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記使用者に注意を喚起するように前記注意喚起手段を制御すること、が好ましい。
【0013】
上記歩行支援装置において、前記検出手段の検出結果に基づいて前記使用者に装着されている側の腿部が遊脚か否かを判定する歩行モード判定手段をさらに備えること、が好ましい。
【0014】
本発明の一形態に係る歩行支援装置の制御方法は、使用者の腿部に装着され、前記使用者の歩行を支援する歩行支援装置の制御方法であって、以前に取得した前記使用者の歩行状態に基づいて、遊脚完了予測時間を算出する工程と、歩行中の前記使用者の歩行状態に基づいて、遊脚動作時間を算出する工程と、前記遊脚完了予測時間と、前記遊脚動作時間と、を比較し、比較結果に基づいて前記使用者の歩容が正常か否かを判定する工程と、前記使用者の歩容が正常か否かの判定結果に基づいて、前記歩行支援装置の駆動手段を制御する工程と、を備える。
【0015】
上記歩行支援装置の制御方法において、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差が0以下であると、前記使用者の膝が伸展するように前記駆動手段を動作させること、が好ましい。
【0016】
上記歩行支援装置の制御方法において、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記駆動手段の駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現するように、前記駆動手段を動作させること、が好ましい。
【0017】
上記歩行支援装置の制御方法において、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記使用者に注意を喚起するように注意喚起手段を制御すること、が好ましい。
【0018】
上記歩行支援装置の制御方法において、前記使用者に装着されている側の腿部が遊脚か否かを判定する工程をさらに備えること、が好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明によると、使用者の歩容の異常を検出することができる歩行支援装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置の使用形態を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置の使用形態を概略的に示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置の使用形態を概略的に示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置における、制御系の構成ブロック図である。
【図5】歩容判定部の構成ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置の制御方法のフローチャート図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置の制御方法のフローチャート図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る歩行支援装置の制御方法のフローチャート図である。
【図9】膝伸展制御のフローチャート図である。
【図10】(a)は駆動モータの指令トルクと駆動軸の回転角速度との関係を示す図である。(b)は駆動モータの指令トルクが印加される様子を示す図である。
【図11】使用者の膝が固定されない構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0022】
本実施の形態の歩行支援装置は、図1乃至図3に示すように、例えば使用者の腿部に装着され、使用者の歩行を支援するために好適に用いられる。この歩行支援装置1は、図1乃至図4に示すように、第1のリンク2、第2のリンク3、足裏載置部4、膝装着部5、駆動部6、検出部7、腰装着部8、処理部9、注意喚起部10を備えている。
【0023】
第1のリンク2は、使用者の上腿部の側部に配置される。本実施の形態の第1のリンク2は、使用者の上腿部の左右両側部にそれぞれ配置される。第1のリンク2の上端部は、上腿保持部11の側部に連結されている。第1のリンク2の下端部は、第2のリンク3に回転可能に連結されている。
【0024】
ここで、上腿保持部11は、板状部材であって、使用者の上腿部の外周形状に倣うように湾曲した形状とされている。当該湾曲した面の内側面を使用者の上腿部に接触させる。ここで、当該内側面にはスポンジ等の緩衝部材が設けられていることが好ましい。
【0025】
第2のリンク3は、使用者の下腿部における脛部分の側部に配置される。本実施の形態の第2のリンク3は、使用者の脛部分の左右両側部にそれぞれ配置される。第2のリンク3の上端部は、第1のリンク2の下端部に回転可能に連結されている。第2のリンク3の下端部は、足裏載置部4に回転可能に連結されている。
【0026】
足裏載置部4は、使用者の足を支持する。本実施の形態の足裏載置部4は、載置部4a、アーム4bを備えている。載置部4aは板状部材であって、使用者の足裏が載置される。アーム4bは、載置部4aを第2のリンク3に連結する。つまり、アーム4bは使用者の下腿部における足首部分の左右両側部にそれぞれ配置される。
【0027】
アーム4bの上端部は、第2のリンク3の下端部に回転可能に連結されている。アーム4bの下端部は、載置部4aの側部に連結されている。これにより、使用者の体重を歩行支援装置1に支持させることができる。
【0028】
膝装着部5は、アーチ5a、図示を省略したビンディングを備えている。アーチ5aは、左右の第1のリンク2と第2のリンク3との連結部相互を連結する。ビンディングは、アーチ5aに設けられている。ビンディングは、アーチ5aを使用者の膝に固定する。ビンディングは、アーチ5aを使用者の膝に固定できる構成であれば特に限定しないが、例えば使用者の膝に着脱可能なバンドを含む。
【0029】
駆動部6は、第1のリンク2と第2のリンク3との連結部分に駆動力を伝達する。駆動部6は、駆動モータ6a、減速機6bを備えている。駆動モータ6aは、処理部9の制御部92の制御信号に基づいて駆動する。駆動モータ6aの駆動力は、減速機6bに入力される。
【0030】
減速機6bは、駆動モータ6aから入力される駆動力を増幅して第1のリンク2と第2のリンク3との連結部分の回転軸に伝達する。これにより、第2のリンク3が第1のリンク2に対して使用者の前後方向に回転駆動する。
【0031】
検出部7は、一般的な歩行支援装置で備えられているセンサ類であり、使用者の歩行状態を検出する。本実施の形態の検出部7は、角度検出センサ7a、荷重センサ7b、姿勢検出センサ7cを備えている。
【0032】
角度検出センサ7aは、第1のリンク2と第2のリンク3との連結部分に設けられている。角度検出センサ7aは、第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度を検出し、検出信号を処理部9に出力する。ここで、第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度は、使用者の歩行状態である当該使用者の膝の屈曲角度として扱うことができる。
【0033】
荷重センサ7bは、足裏載置部4の載置部4aに設けられている。荷重センサ7bは、載置部4aに作用する荷重を検出し、検出信号を処理部9に出力する。ここで、載置部4aに作用する荷重は、使用者の歩行状態である当該使用者の足裏に作用する荷重として扱うことができる。
【0034】
姿勢検出センサ7cは、腰装着部8の収納ボックス8b内に収納されている。姿勢検出センサ7cは、地面に対する第1のリンク2の角度を検出し、検出信号を処理部9に出力する。ここで、地面に対する第1のリンク2の回転角度は、地面に対する使用者の上腿部の角度として扱うことができる。
【0035】
腰装着部8は、ベルト8a、収納ボックス8bを備えている。ベルト8aは、使用者の腰に着脱可能な構成とされている。収納ボックス8bは、ベルト8aに設けられている。収納ボックス8bには、駆動モータ6a等の電源であるバッテリ、姿勢検出センサ7c、及び処理部9等が搭載されている制御基板が格納されている。収納ボックス8bに収納されているバッテリ及び制御基板は、角度検出センサ7a及び荷重センサ7bに配線12を介して接続されている。
【0036】
処理部9は、歩行モード判定部91、制御部92、歩容判定部93を備えている。歩行モード判定部91は、荷重センサ7b、姿勢検出センサ7cから入力される検出信号に基づいて、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が立脚状態か遊脚状態かを判定し、歩行モードを指示する指示信号を制御部92に出力する。
【0037】
つまり、歩行モード判定部91は、荷重センサ7bから入力される検出信号に基づいて、使用者の足裏に作用する荷重を算出し、算出結果に基づいて使用者の足裏が着地しているか否かを判定する。
【0038】
また、歩行モード判定部91は、姿勢検出センサ7cから入力される検出信号に基づいて、地面に対する使用者の上腿部の角度を算出し、算出結果に基づいて使用者の腿部が前方に向いているか、又は後方に向いているかを判定する。
【0039】
そして、歩行モード判定部91は、使用者の足裏が着地しているか否かの判定結果、及び使用者の腿部が前方に向いているか、後方に向いているかの判定結果に基づいて、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が立脚状態か遊脚状態か否かを判定する。
【0040】
例えば、歩行モード判定部91は、使用者の足裏に作用する荷重が予め設定された第1の閾値以上であって、且つ使用者の腿部が後方に向いていると、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が立脚状態であると判定する。一方、歩行モード判定部91は、使用者の足裏に作用する荷重が予め設定された第1の閾値より小さいと、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が遊脚状態であると判定する。
【0041】
歩行モード判定部91は、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が今回の歩行動作では遊脚状態であると判定すると、次回の歩行動作では駆動部6の駆動モータ6aを立脚モードで制御するように制御部92に指示信号を出力する。一方、歩行モード判定部91は、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が今回の歩行動作では立脚状態であると判定すると、次回の歩行動作では駆動部6の駆動モータ6aを遊脚モードで制御するように制御部92に指示信号を出力する。
【0042】
制御部92は、角度検出センサ7aや荷重センサ7bからの検出信号、歩行モード判定部91からの指示信号、及び後述するように歩容判定部93からの遊脚動作が完了した旨の信号に基づいて、駆動部6の駆動モータ6aを制御する。
【0043】
つまり、制御部92は、歩行モード判定部91から駆動モータ6aを立脚モードで制御する旨の指示信号が入力されると、歩容判定部93から遊脚動作が完了した旨の信号が入力されているかを判定し、入力されていると、歩行支援装置1が装着されている側の腿部と逆側の腿部が遊脚状態となった際に、歩行支援装置1で使用者の体重を支持することができるように、駆動モータ6aを制御する。
【0044】
一方、制御部92は、歩行モード判定部91から駆動モータ6aを遊脚モードで制御する旨の指示信号が入力されると、少なくとも前回に歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時に、角度検出センサ7a、荷重センサ7b及び姿勢検出センサ7cから取得した検出信号に基づいて、次回の歩行動作で歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時の使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌道等を予測的に算出する。
【0045】
つまり、制御部92は、少なくとも前回に歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時に、角度検出センサ7aから入力された検出信号に基づいて、使用者の膝の屈曲角度を算出する。
【0046】
また、制御部92は、少なくとも前回に歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時に、荷重センサ7bから入力された検出信号に基づいて、使用者の足裏が着地した時間を算出する。
【0047】
さらに制御部92は、少なくとも前回に歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時に、姿勢検出センサ7cから入力された検出信号に基づいて、地面に対する使用者の大腿部の角度を算出する。
【0048】
制御部92は、これらの情報に基づいて、例えば順運動学を用いて使用者の歩幅を算出し、当該歩幅と使用者の足裏が着地した時間に基づいて使用者の歩行速度を算出する。さらに制御部92は、算出した歩行速度を実現するための、時間と使用者の膝角度との関係(歩行軌跡)を算出する。制御部92は、算出した使用者の歩行軌跡等に基づいて、次回の歩行動作で歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時の使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌道等を予測的に算出する。つまり、制御部92は、前回の歩行動作に基づいて算出した使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等に倣うように、次回の歩行動作を実現する。
【0049】
制御部92は、予測的に算出した使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等が実現されるように、駆動部6の駆動モータ6aの制御信号を生成し、当該制御信号に基づいて駆動モータ6aを制御する。その一方で、制御部92は、予測的に算出した使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等を歩容判定部93に出力する。
【0050】
ここで、制御部92は、歩容判定部93の判定結果に基づいても、駆動部6の駆動モータ6aを制御する。歩容判定部93は、図5に示すように、予測時間算出部93a、動作時間算出部93b、状態判定部93cを備えている。
【0051】
予測時間算出部93aは、制御部92から入力された、予測的に算出された使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等に基づいて、遊脚状態である、歩行支援装置1が装着されている側の腿部の足裏が着地する遊脚完了予想時間を算出する。予測時間算出部93aは、算出した遊脚完了予測時間を示す出力信号を状態判定部93cに出力する。
【0052】
動作時間算出部93bは、遊脚動作時間を算出する。つまり、動作時間算出部93bは、荷重センサ7b及び姿勢検出センサ7cの検出信号に基づいて、遊脚状態となる、歩行支援装置1が装着されている側の腿部の足裏が地面から離れ、再び地面に着地するまで、断続的に時間を算出(測定)する。動作時間算出部93bは、算出した遊脚動作時間を示す出力信号を状態判定部93cに出力する。
【0053】
状態判定部93cは、角度検出センサ7a又は荷重センサ7bから入力される検出信号に基づいて、歩行動作が完了したか否かを判定したり、予測時間算出部93a及び動作時間算出部93bから入力される信号に基づいて、遊脚完了予測時間と、遊脚動作時間と、を比較し、比較結果に基づいて制御部92に指示信号を出力したり、注意喚起部10を制御したりする。
【0054】
注意喚起部10は、状態判定部93cから入力される指示信号に基づいて、使用者に注意を喚起する。注意喚起部10は、視覚、聴覚、触覚などによって使用者に注意を喚起することができる構成であれば良い。例えば、注意喚起部10はスピーカ等を備えており、当該スピーカが状態判定部93cから入力される指示信号に基づいて動作する。注意喚起部10は、例えば腰装着部8に設けられている。但し、注意喚起部10からの注意喚起を使用者が認識することができる位置に設けられていれば、設置位置は特に限定されない。
【0055】
このような構成の歩行支援装置は、図6乃至図9に示すように動作する。但し、以下の説明では、歩行支援装置が装着されている側の腿部が立脚状態から遊脚状態となる場合の動作であって、特に使用者の歩容に基づく動作に関して詳細に説明する。
【0056】
先ず、角度検出センサ7aは、使用者の膝の屈曲角度を検出し、検出信号を制御部92及び歩容判定部93に出力する(S1)。同時に、荷重センサ7bは、使用者の足裏に作用する荷重を検出し、検出信号を歩行モード判定部91、制御部92及び歩容判定部93に出力する。また、姿勢検出センサ7cは、地面に対する使用者の上腿部の角度を検出し、検出信号を歩行モード判定部91、制御部92及び歩容判定部93に出力する。
【0057】
次に、歩行モード判定部91は、荷重センサ7b及び姿勢検出センサ7cから入力された検出信号に基づいて、使用者の足裏に作用する荷重を算出すると共に、使用者の上腿部の角度を算出する(S2)。
【0058】
ここで、本実施の形態では、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が立脚状態から遊脚状態となる場合を前提としているため、S2の工程では、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が立脚状態であり、その際の使用者の足裏に作用する荷重及び上腿部の角度を算出する。
【0059】
次に、歩行モード判定部91は、これらの情報に基づいて、歩行支援装置1が装着されている側の腿部が立脚状態か遊脚状態かを判定する(S3)。ここで、上述したように歩行支援装置1が装着されている側の腿部が遊脚状態となることを前提としているので、歩行モード判定部91は、次回の歩行動作では歩行支援装置1が装着されている側の腿部が遊脚状態となると判定し、次回の歩行動作では駆動モータ6aを遊脚モードで制御する旨の指示信号を制御部92に出力する。
【0060】
次に、制御部92は、歩行モード判定部91から駆動モータ6aを遊脚モードで制御する旨の指示信号が入力されると、少なくとも前回に歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時の、使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等に基づいて、次回の歩行動作で歩行支援装置1が装着された側の腿部が遊脚状態となった時の使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌道等を予測的に算出する(S4)。そして、制御部92は、予測的に算出した使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌道等を歩容判定部93の予測時間算出部93aに出力する。
【0061】
次に、予測時間算出部93aは、予測的に算出した使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等に基づいて、歩行支援装置1が装着されている側の腿部の足裏が地面に着地する遊脚完了予想時間を算出する(S5)。そして、予測時間算出部93aは、算出した遊脚完了予測時間を示す出力信号を状態判定部93cに出力する。
【0062】
次に、制御部92は、予測的に算出した使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等が実現されるように、駆動部6の駆動モータ6aの制御信号を生成し、当該制御信号を駆動モータ6aに出力する(S6)。
【0063】
駆動モータ6aは、当該制御信号に基づいて制御される。このとき、角度検出センサ7aは、使用者の膝の屈曲角度を検出し、検出信号を制御部92及び歩容判定部93に出力する(S7)。同時に、荷重センサ7bは、使用者の足裏に作用する荷重を検出し、検出信号を歩行モード判定部91、制御部92及び歩容判定部93に出力する。また、姿勢検出センサ7cは、地面に対する使用者の上腿部の角度を検出し、検出信号を歩行モード判定部91、制御部92及び歩容判定部93に出力する。さらに、歩容判定部93の動作時間算出部93bは、遊脚動作時間の算出を開始し、遊脚動作時間を示す出力信号を状態判定部93cに出力する。
【0064】
次に、状態判定部93cは、角度検出センサ7a又は荷重センサ7bから入力される検出信号に基づいて、歩行動作が完了したか否かを判定する(S8)。例えば、状態判定部93cは、角度検出センサ7aから入力される検出信号に基づいて、使用者の膝の屈曲角度を算出して予め設定された第2の閾値と比較し、比較結果が第2の閾値より小さいと、使用者の足裏が着地状態であって、歩行動作が完了していると判定する。または、状態判定部93cは、荷重センサ7bから入力される検出信号に基づいて、使用者の足裏に作用する荷重を算出して予め設定された第3の閾値と比較し、比較結果が第3の閾値より大きいと、使用者の足裏が着地状態であって、歩行動作が完了していると判定する。但し、歩行動作が完了したか否かを判定する手法は、これらに限定されない。
【0065】
状態判定部93cは、歩行動作が未だに完了していないと判定すると(S8のNO)、予測時間算出部93a及び動作時間算出部93bから入力される信号に基づいて、遊脚完了予測時間と、遊脚動作時間と、を比較する(S9)。ここで、状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差の絶対値が第4の閾値より大きいか否かを判定する。
【0066】
状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差の絶対値が第4の閾値以下であると判定すると(S9のNO)、当該制御信号に基づいて駆動モータ6aを制御する工程(S6)に戻る。このような判定結果が導かれた場合、未だ正常な歩行動作中であると推定することができるので、駆動モータ6aの制御を続行する。
【0067】
一方、状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差の絶対値が第4の閾値より大きいと判定すると(S9のYES)、使用者に注意を喚起するように、注意喚起部10に指示信号を出力する(S10)。注意喚起部10は、当該指示信号に基づいて使用者に対して視覚、聴覚、触覚などのいずれかの五感を刺激するように動作する。このような判定結果が導かれた場合、遊脚動作完了時間を超えても、使用者の足裏が着地していない状態であり、何らかの異常が生じている(例えば、使用者が体勢を崩している等の)可能性があるので、使用者に注意を喚起する。これにより、使用者は、歩行動作と歩行支援装置1の支援動作とが同調していないことを簡単に認識することができる。
【0068】
そして、状態判定部93cは、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に当該駆動モータ6aから発現されるように、制御部92に指示信号を出力する。制御部92は、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力を伸展方向に駆動モータ6aが発現するように、駆動モータ6aの制御信号を生成し、当該制御信号に基づいて駆動モータ6aを制御する(S11)。
【0069】
つまり、歩行動作が未だに完了しておらず遊脚動作時間が未確定であって、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が第4の閾値より大きいと、上述したように何らかの異常が生じている可能性が極めて高い。このとき、断続的に駆動モータ6aが使用者の膝を伸展させるように動作している可能性があり、例えば体勢を崩した使用者が膝を曲げようとしても、駆動モータ6aの駆動力によって阻害される可能性がある。
【0070】
そこで、制御部92は、図10(a)、(b)に示すように、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現されるように、駆動モータ6aを制御する。これにより、膝屈曲方向に回転角速度が発生すると、その回転角速度に応じて膝伸展方向にトルクが発生する。そのため、使用者はゆっくりと膝を曲げると、駆動モータ6aの駆動力による抵抗を略感じることが無い。よって、使用者は不測の事態が生じた際に容易に膝を曲げることができる。
【0071】
ちなみに、図10(a)のグラフは、駆動モータ6aの駆動軸の回転方向がマイナス方向に行くに従って、使用者の膝が屈曲した状態となる。
【0072】
なお、本実施の形態では、図10(a)に示すように、駆動モータ6aの駆動軸が0rad/sから所定の角速度まで不感帯とし、駆動モータ6aの駆動力が発現されない。そのため、使用者はより容易に膝を伸展した状態から屈曲させることができる。
【0073】
状態判定部93cは、歩行動作が完了していると判定すると(S8のYES)、歩行動作が完了した旨の信号を動作時間算出部93bに出力する。動作時間算出部93bは、当該信号に基づいて、遊脚動作時間を確定させる(S12)。
【0074】
次に、状態判定部93cは、確定した遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差の絶対値が第5の閾値より大きいか否かを判定する(S13)。状態判定部93cは、確定した遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差の絶対値が第5の閾値より小さいと判定すると(S13のNO)、今回の歩行動作を完了させて次回の歩行動作に移行させる。このような判定結果が導かれた場合は、正常に歩行動作が完了したと推定することができるので、遊脚動作が完了した旨の信号を制御部92に出力する。
【0075】
一方、状態判定部93cは、確定した遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差の絶対値が第5の閾値より大きいと判定すると(S13のYES)、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が0より大きいか否かを判定する(S14)。状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が0以下であると判定すると(S14のNO)、使用者の膝が伸展するように制御部92に指示信号を出力する。制御部92は、当該指示信号に基づいて駆動モータ6aを制御する(S15)。このような判定結果が導かれた場合は、使用者の膝が屈曲した状態で足裏が着地したと推定することができるので、使用者の膝が伸展するように駆動モータ6aを制御する。
【0076】
具体的には、使用者の膝が伸展するように駆動モータ6aを制御するS15の工程は、図9に示す流れで実行される。
先ず、制御部92は、当該指令信号が入力されると、使用者の膝が伸展するように第1のリンク2に対する第2のリンク3の目標回転角度を設定する(S151)。すなわち、制御部92は、当該指令信号が入力されると、例えば予め設定されている第1のリンク2に対する第2のリンク3の目標回転角度を読み出し、この目標回転角度を設定する。
【0077】
次に、制御部92は、角度検出センサ7aの検出信号に基づいて、現在の第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度を算出する(S152)。
【0078】
次に、制御部92は、現在の第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度と、設定した第1のリンク2に対する第2のリンク3の目標回転角度と、に基づいて駆動モータ6aの制御信号を生成し(S153)、当該制御信号に基づいて駆動モータ6aを制御する(S154)。
【0079】
その後、図8の流れに戻って、状態判定部93cは、角度検出センサ7aの検出信号に基づいて、現在の第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度と目標回転角度との差の絶対値が第6の閾値より小さいか否かを判定する(S16)。状態判定部93cは、現在の第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度と目標回転角度との差の絶対値が第6の閾値より小さいと判定すると(S16のYES)、遊脚動作が完了した旨の信号を制御部92に出力する。
【0080】
このように、本来使用者の膝が伸展する前に足裏が着地してしまっても、使用者の膝を伸展するように駆動力が発現されるので、使用者の歩行が不安定になることを防ぐことができる。
【0081】
一方、状態判定部93cは、現在の第1のリンク2に対する第2のリンク3の回転角度と目標回転角度との差の絶対値が第6の閾値以上であると判定すると(S16のNO)、遊脚完了予測時間と遊脚動作時間との差が第7の閾値より大きいか否かを判定する(S17)。
【0082】
状態判定部93cは、遊脚完了予測時間と遊脚動作時間との差が第7の閾値以下であると(S17のNO)、使用者の膝を伸展するように駆動モータ6aを制御する工程(S15)に戻る。このような判定結果が導かれた場合は、若干早く使用者の足裏が着地した状態であって、まだ膝の伸展制御が足りない状態であると推定できるので、使用者の膝が伸展するように駆動モータ6aを制御し続ける。
【0083】
一方、状態判定部93cは、遊脚完了予測時間と遊脚動作時間との差が第7の閾値より大きいと(S17のYES)、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力を伸展方向に当該駆動モータ6aが発現するように、制御部92に指示信号を出力する。制御部92は、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に当該駆動モータ6aから発現されるように、駆動モータ6aの制御信号を生成し、当該制御信号に基づいて駆動モータ6aを制御する(S18)。このような判定結果が導かれた場合は、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が大きく、取り敢えず使用者の足裏が着地しただけで、何らかの異常が生じていると推定することができる。この場合、駆動モータ6aは使用者の膝を伸展するように動作し続けるので、使用者の膝が固定されてしまっている可能性がある。そこで、制御部92は、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現されるように、駆動モータ6aを制御する。これにより、使用者は、駆動モータ6aの駆動力による抵抗を略感じることなく、容易に膝を曲げることができる。
【0084】
状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が0より大きいと判定すると(S14のYES)、使用者に注意を喚起するように、注意喚起部10に指示信号を出力する(S19)。注意喚起部10は、当該指示信号に基づいて使用者に対して視覚、聴覚、触覚などのいずれかの五感を刺激するように動作する。このような判定結果が導かれた場合は、取り敢えず使用者の足裏が着地しただけで、何らかの異常が生じている可能性があるので、使用者に注意を喚起する。これにより、使用者は、歩行動作と歩行支援装置1の支援動作とが同調していないことを簡単に認識することができる。
【0085】
さらに状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が第8の閾値より大きいか否かを判定する(S20)。状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が第8の閾値以下であると判定すると(S20のNO)、今回の歩行動作を完了させて次回の歩行動作へ移行させる。このような判定結果が導かれた場合は、遊脚動作時間に時間が掛ったものの使用者の膝が伸展した状態で足裏が地面に着地したと推定できるので、遊脚動作が完了した旨の信号を制御部92に出力する。
【0086】
一方、状態判定部93cは、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が第8の閾値より大きいと判定すると(S20のYES)、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力を伸展方向に当該駆動モータ6aが発現するように、制御部92に指示信号を出力する。制御部92は、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に当該駆動モータ6aが発現するように、駆動モータ6aの制御信号を生成し、当該制御信号に基づいて駆動モータ6aを制御する(S21)。このような判定結果が導かれた場合は、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間との差が大きく、取り敢えず使用者の足裏が着地しただけで、何らかの異常が生じていると推定することができる。この場合、駆動モータ6aは使用者の膝を伸展するように動作し続けるので、使用者の膝が固定されてしまっている可能性がある。そこで、制御部92は、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現されるように、駆動モータ6aを制御する。これにより、使用者は、駆動モータ6aの駆動力による抵抗を略感じることなく、膝を曲げることができる。
【0087】
本実施の形態の歩行支援装置及びその制御方法は、遊脚動作時間及び遊脚完了予測時間を基づいて使用者の歩容を判定する。そして、判定結果に基づいて、駆動モータを制御する。そのため、使用者の歩容が乱れても、使用者の歩容を安定させたり、歩容を適切に復帰させたりすることができる。
【0088】
しかも、前回の歩行動作時の使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等に基づいて、次回の歩行動作時の使用者の歩幅、歩行速度、歩行軌跡等を予測的に算出する。そのため、常に使用者の歩行状態を反映させた歩行支援を行うことができる。
【0089】
以上、本発明に係る歩行支援装置及びその制御方法の実施の形態を説明したが、上記に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、変更することが可能である。
例えば、上記実施の形態では、駆動モータ6aの駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現するように当該駆動モータ6aを駆動させることで、使用者の膝の伸展状態が固定されないように制御しているが、この限りでない。すなわち、図11に示すように、例えば第1のリンク2が伸展状態に近づくに従って、反発力が増加する弾性体13を備えた構成とし、使用者の膝の伸展状態が固定されない構成としても良い。このような構成により、簡単に使用者の膝の伸展状態が固定されない構成を実現することができる。例えば、第2のリンク3の上端部に固定冶具を設け、当該固定冶具と第1のリンク2との間に弾性体13を配置することで、膝が伸展状態に近づくに従って、第1のリンク2に反発力を作用させることができる。勿論、弾性体13の設置方法は、これに限定されない。
【0090】
例えば、上記実施の形態では、膝伸展制御時に使用者に注意喚起を行っていないが、膝伸展制御時にも使用者に注意喚起を行うことが好ましい。
例えば、上記実施の形態では、ハードウェア資源を用いて制御方法を実行しているが、ソフトウェア資源を用いて制御方法を実行しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 歩行支援装置
2 第1のりンク
3 第2のリンク
4 足裏載置部、4a 載置部、4b アーム
5 膝装着部、5a アーチ
6 駆動部、6a 駆動モータ、6b 減速機
7 検出部、7a 角度検出センサ、7b 荷重センサ、7c 姿勢検出センサ
8 腰装着部、8a ベルト、8b 収納ボックス
9 処理部
91 歩行モード判定部
92 制御部
93 歩容判定部、93a 予測時間算出部、93b 動作時間算出部、93c 状態判定部
10 注意喚起部
11 上腿保持部
12 配線
13 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の腿部に装着され、前記使用者の歩行を支援する歩行支援装置であって、
前記使用者の歩行状態を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて算出した、遊脚動作時間と遊脚完了予測時間とに基づいて、前記使用者の歩容が正常か否かを判定する歩容判定手段と、
を備える歩行支援装置。
【請求項2】
前記使用者の上腿部に固定される第1のリンクと、
前記第1のリンクに回転可能に連結され、前記使用者の下腿部に固定される第2のリンクと、
前記第1のリンクに対して相対的に前記第2のリンクを駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
をさらに備え、
前記検出手段は、
前記第1のリンクに対する前記第2のリンクの回転角度を検出する第1の検出手段と、
前記使用者の足裏に作用する荷重を検出する第2の検出手段と、
を備え、
前記歩容判定手段は、
前記第1又は第2の検出手段の検出結果に基づいて前記遊脚完了予測時間を算出する予測時間算出手段と、
前記第1又は第2の検出手段の検出結果に基づいて遊脚動作時間を算出する動作時間算出手段と、
前記遊脚完了予測時間と、前記遊脚動作時間と、を比較し、比較結果に基づいて前記使用者の歩容が正常か否かを判定する状態判定手段と、
を備える請求項1に記載の歩行支援装置。
【請求項3】
前記状態判定手段は、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差が0以下であると、前記制御手段を制御して前記使用者の膝が伸展するように前記駆動手段を動作させる請求項2に記載の歩行支援装置。
【請求項4】
前記状態判定手段は、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記制御手段を制御して、前記駆動手段の駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現するように、前記駆動手段を動作させる請求項2又は3に記載の歩行支援装置。
【請求項5】
前記使用者に注意を喚起する注意喚起手段をさらに備え、
前記歩容判定手段は、前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記使用者に注意を喚起するように前記注意喚起手段を制御する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歩行支援装置。
【請求項6】
前記検出手段の検出結果に基づいて前記使用者に装着されている側の腿部が遊脚か否かを判定する歩行モード判定手段をさらに備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歩行支援装置。
【請求項7】
使用者の腿部に装着され、前記使用者の歩行を支援する歩行支援装置の制御方法であって、
以前に取得した前記使用者の歩行状態に基づいて、遊脚完了予測時間を算出する工程と、
歩行中の前記使用者の歩行状態に基づいて、遊脚動作時間を算出する工程と、
前記遊脚完了予測時間と、前記遊脚動作時間と、を比較し、比較結果に基づいて前記使用者の歩容が正常か否かを判定する工程と、
前記使用者の歩容が正常か否かの判定結果に基づいて、前記歩行支援装置の駆動手段を制御する工程と、
を備える歩行支援装置の制御方法。
【請求項8】
前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差が0以下であると、前記使用者の膝が伸展するように前記駆動手段を動作させる請求項7に記載の歩行支援装置の制御方法。
【請求項9】
前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記駆動手段の駆動軸の屈曲方向の回転角速度に比例する駆動力が伸展方向に発現するように、前記駆動手段を動作させる請求項7又は8に記載の歩行支援装置の制御方法。
【請求項10】
前記遊脚動作時間と前記遊脚完了予測時間との差の絶対値が閾値より大きいと、前記使用者に注意を喚起するように注意喚起手段を制御する請求項7乃至9のいずれか1項に記載の歩行支援装置の制御方法。
【請求項11】
前記使用者に装着されている側の腿部が遊脚か否かを判定する工程をさらに備える請求項7乃至10のいずれか1項に記載の歩行支援装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−90739(P2013−90739A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234119(P2011−234119)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】