流体圧緩衝器
【課題】 この発明は、正立型のダンパを収容すると共にエアサスペンションとして機能する倒立型のフロントフォークやリアクッションユニット等の流体圧緩衝器の改良に関する。
【解決手段】 車体側のアウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブ2とからなる緩衝器本体と、緩衝器本体内に収容されてインナーチューブ2の軸心部に起立するシリンダ4とアウターチューブ1に固定されてシリンダ4内に軸方向に移動自在に挿入されるロッド4とを有する正立型のダンパ3と、緩衝器本体と上記ダンパ3との間に形成されてエアばねとして機能する気室Gとを備える流体圧緩衝器において、流体圧緩衝器の最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、流体圧緩衝器が一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングSを備えることである。
【解決手段】 車体側のアウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブ2とからなる緩衝器本体と、緩衝器本体内に収容されてインナーチューブ2の軸心部に起立するシリンダ4とアウターチューブ1に固定されてシリンダ4内に軸方向に移動自在に挿入されるロッド4とを有する正立型のダンパ3と、緩衝器本体と上記ダンパ3との間に形成されてエアばねとして機能する気室Gとを備える流体圧緩衝器において、流体圧緩衝器の最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、流体圧緩衝器が一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングSを備えることである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、正立型のダンパを収容すると共にエアサスペンションとして機能する倒立型のフロントフォークやリアクッションユニット等の流体圧緩衝器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧緩衝器は、これまでに種々の提案がなされており、例えば、自動二輪車のフロントフォークやリアクッションユニット等として構成される。
【0003】
特許文献1に開示される流体圧緩衝器は、車軸側のアウターチューブと、このアウターチューブ内に摺動自在に挿入される車体側のインナーチューブとからなる緩衝器本体を備えて正立型に設定される。
【0004】
そして、上記緩衝器本体内には、上記アウターチューブの軸心部に起立するシリンダと、上記インナーチューブ側に固定されて上記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドとを有する正立型のダンパが収容される。
【0005】
また、上記緩衝器本体と上記ダンパとの間にはエアばねとして機能する気室が形成され、流体圧緩衝器は、上記気室の内圧により常に伸張方向に附勢され、エアサスペンションとして機能する。
【0006】
更に、上記流体圧緩衝器は、シリンダのヘッド部外周に張り出して設けられる上側ばね受けに吊設されるバランススプリングを備え、流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、バランススプリングの下端にインナーチューブの車軸側端部内周に設けられる下側ばね受けが当接し、バランススプリングが押し縮められて所定のばね反力を生じる。
【0007】
そして、上記バランススプリングは、流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき流体圧緩衝器を収縮方向に附勢し、流体圧緩衝器の最伸張時における上記気室によるばね反力を相殺する。
【0008】
上記構成を備えることにより、流体圧緩衝器の最伸張状態から一定のストローク範囲内おいて、流体圧緩衝器が速やかに収縮することをバランススプリングが助けて車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実公昭57−41483号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の流体圧緩衝器は、コイルスプリングからなる懸架ばねに替わりエアばねとして機能する気室と、懸架ばねよりも軽量に形成することが可能なバランススプリングを備えることにより、車両の乗り心地を良好に保ちながら流体圧緩衝器を軽量化し、安価で簡易な構成とすることが可能な点において有用である。
【0011】
しかしながら、アウターチューブを車体側に、インナーチューブを車軸側に配置して流体圧緩衝器を倒立型に設定し、正立型のダンパを収容する場合においては、以下の不具合を指摘される虞がある。
【0012】
つまり、このような流体圧緩衝器は、ストロークするときにインナーチューブとシリンダとが相対移動しないため、バランススプリングを設ける位置を変更しなければならならず、流体圧緩衝器が伸張する際に接近する部材の間にバランススプリングを取り付ける必要がある。
【0013】
ところが、上記流体圧緩衝器においては、流体圧緩衝器が伸張する際に接近する部材が少なく、バランススプリングを取り付けるための部材が限定されて流体圧緩衝器の設計自由度が低下する。
【0014】
そこで、本発明の目的は、流体圧緩衝器が倒立型に設定されて正立型のダンパを収容した場合においても、バランススプリングを取り付け易くして流体圧緩衝器の設計自由度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための手段は、車体側のアウターチューブと、このアウターチューブ内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブとからなる緩衝器本体と、この緩衝器本体内に収容されて上記インナーチューブの軸心部に起立するシリンダと、上記アウターチューブに固定されて上記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドとを有する正立型のダンパと、上記緩衝器本体と上記ダンパとの間に形成されてエアばねとして機能する気室とを備える流体圧緩衝器において、流体圧緩衝器の最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、流体圧緩衝器が一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングを備えることである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バランススプリングを引き伸ばされたとき所定のばね反力を生じる引張ばねとすることにより、流体圧緩衝器が伸張する際離間する部材間にバランススプリングを設けることが可能となり、バランススプリングを取り付け易くして流体圧緩衝器の設計自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最伸張状態を示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図2】(a)本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最収縮状態を部分的に示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。(b)(a)に記載のフロントフォークが一定量伸張して上側ばね受けがシート部材に当接した状態を部分的に示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの上側ばね受け周辺部を拡大して示す左半断面図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの下側ばね受け周辺部を拡大して示す左半断面図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの下側ばね受けを拡大して示す側面図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの連結部材を拡大し、部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図7】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第一の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図8】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第二の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図9】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第三の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図10】(a)本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第四の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。(b)(a)に記載の連結部材を拡大し、部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図11】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第五の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図12】本発明の第二の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最伸張状態を示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図13】本発明の第三の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最伸張状態を示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図14】本発明の第三の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第二のオイルロック機構周辺部を拡大して示す左半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の第一の実施の形態を示す流体圧緩衝器について図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたはそれに対応する部品を示す。
【0019】
本実施の形態に係る流体圧緩衝器は、二輪車の前輪を懸架する倒立型のフロントフォークとして構成され、図示しないが、上記フロントフォークは、上端部をブリッジ機構で連結される左右一対の懸架部材からなり、各懸架部材の下端部を前輪の車軸に連結して前輪を挟むようにして懸架する。
【0020】
また、上記ブリッジ機構は、同じく図示しないが、ハンドルに連結されるステアリングシャフトを有し、当該構成を備えることによりハンドル操作により前輪を転舵することが可能となる。
【0021】
上記各懸架部材は、図1に示すように、車体側のアウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブ2とからなる緩衝器本体を備える。
【0022】
そして、フロントフォークは、この緩衝器本体内に収容されて上記インナーチューブ2の軸心部に起立するシリンダ4と、上記アウターチューブ1に固定されて上記シリンダ4内に軸方向に移動自在に挿入されるロッド5とを有する正立型のダンパ3を備える。
【0023】
また、フロントフォークは、上記緩衝器本体と上記ダンパ3との間に形成されてエアばねとして機能する気室Gを備える。
【0024】
更に、フロントフォークは、最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングSを備える。
【0025】
以下に、本実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの各構成部品について詳細に説明する。
【0026】
車体側のアウターチューブ1と車軸側のインナーチューブ2とで構成される緩衝器本体は、アウターチューブ1の図中上端開口部に装着されるキャップ部材10により車体側開口を封止される。一方、緩衝器本体の車軸側開口は、インナーチューブ2の図中下端部外周に螺合するボトムケース21と、このボトムケース21内に挿入されてシリンダ4を支持する支持部材22とを備えるボトム部材20により封止される。また、アウターチューブ1の図中下端部内周にはインナーチューブ2外周に摺接するシール部材11、12が設けられる。
【0027】
上記構成を備えることにより、緩衝器本体内部に収容される気体や作動流体が緩衝器本体外に漏れ出すことがない。
【0028】
上記緩衝器本体の内部には所定の減衰力を発生する正立型のダンパ3が収容されてなり、緩衝器本体とダンパ3との間にリザーバ室Rが形成される。このリザーバ室Rにはダンパ3内で過不足する作動流体を補償するための作動流体が貯留され、この作動流体の液面Oを介して上方に気体が封入されて気室Gが形成される。
【0029】
この気室Gは、フロントフォークを伸張方向に常に附勢すると共に、フロントフォークの伸縮に伴いその容積が膨縮して所定のばね反力を生じ、エアばねとして機能する。
【0030】
上記構成を備えることにより、フロントフォークは、エアサスペンションとして機能して上記気室Gで路面振動を吸収し、この吸収に伴う伸縮運動をダンパ3で減衰することが可能となる。尚、図示しないが、上記気室Gの内圧は、キャップ部材10に設けられるエアバルブによって高低調整されることが可能である。
【0031】
ダンパ3は、正立型に設定され、インナーチューブ2の軸心部に起立するシリンダ4と、このシリンダ4内に出没するロッド5と、このロッド5の先端に保持されて上記シリンダ4内周に外周を摺接するピストン50と、上記シリンダ4のボトム部(図中下部)に設けられてシリンダ4内とリザーバ室Rとを連通するベース部材40と、上記ピストン50が移動する際所定の減衰力を発生する減衰力発生手段とを備え、上記緩衝器本体と共に所謂複筒式緩衝器を構成する。
【0032】
上記シリンダ4は、図中下端部内周に螺合する支持部材22及びボトムケース21を介してインナーチューブ2に固定され、そのヘッド部(図中上部)内周には環状のロッドガイド8が螺嵌する。このロッドガイド8とベース部材40との間に形成されるシリンダ4内部は、ピストン50で区画され、ロッド5側に伸側作用室R1が、ピストン50側に圧側作用室R2が形成される。
【0033】
上記ロッド5は、キャップ部材10を介してアウターチューブ1に固定されてなり、ロッド5の図中上端部がキャップ部材10のロッド保持部10a内周に螺合する。上記ロッド5の図中下側は、ロッドガイド8内周に外周を摺接させながらフロントフォークの伸縮に伴いシリンダ4内に出没する。そして、上記ロッド5の図中下端には先端部材(符示せず)を介してピストン50が保持される。
【0034】
また、本実施の形態において、フロントフォークは、上記キャップ部材10のロッド保持部10aと直列に設けられて内周にロッド5が螺合するナット部材13を有し、ダブルナット構造としてロッド5の緩み止めをする。
【0035】
上記ピストン50は、環状に形成されて軸心孔(図示せず)に先端部材のロッド部が挿通し、ナットN1により抜け止めされてなる。また、図示しないが、ピストン50には伸側作用室R1と圧側作用室R2とを連通する伸側連通路及び圧側連通路が形成される。
【0036】
シリンダ4のボトム部に設けられるベース部材40は、環状に形成されて外周に係合するシール(符示せず)を介してシリンダ4の内周に密接し、軸心孔に支持部材22のロッド部が挿通してナットN2により抜け止めされる。また、図示しないが、ベース部材40には圧側作用室R2とリザーバ室Rとを連通する伸側連通路及び圧側連通路が形成される。
【0037】
そして、ピストン50が摺動する際所定の減衰力発生手段は、ピストン50の圧側作用室R2側に取り付けられてピストン50の伸側連通路の出口を塞ぐ伸側減衰バルブV1と、ベース部材40のリザーバ室R側(図中下側)に取り付けられてベース部材40の圧側連通路の出口を塞ぐ圧側減衰バルブV2とを備える。
【0038】
また、符示しないが、ピストン50の伸側作用室R1側にはピストン50の圧側連通路の出口を塞ぐ圧側チェックバルブが取り付けられ、ベース部材40の圧側作用室R2側にはベース部材40の伸側連通路の出口を塞ぐ伸側チェックバルブが取り付けられてなる。
【0039】
上記構成を備えることにより、フロントフォークが伸張するとき、伸側作用室R1が加圧されて作動流体が伸側減衰バルブV1を開いて伸側作用室R1から圧側作用室R2に流出し、ロッド5の退出分シリンダ4内で不足する作動流体が伸側チェックバルブを開いてリザーバ室Rから圧側作用室内R2に流入し、所定の伸側減衰力を発生する。
【0040】
一方、フロントフォークが収縮するとき、圧側作用室R2が加圧されて作動流体が圧側チェックバルブを開いて圧側作用室R2から伸側作用室R1に流出し、ロッド5の没入分シリンダ4内で余剰となる作動流体が圧側減衰バルブV2を開き圧側作用室R2からリザーバ室Rに流出して、所定の圧側減衰力を発生する。
【0041】
そして、図示しないが、本実施の形態において、伸側及び圧側減衰力は減衰力調整手段を介して調整することが可能である。尚、減衰力発生手段を構成するバルブ構造は、上記の限りではなく、適宜構成を選択することが可能である。
【0042】
また、本実施の形態においてフロントフォークは、最収縮時の衝撃を緩和するオイルロック機構を備え、このオイルロック機構は、ロッド5外周に固定されるホルダ90外周に遊嵌されるオイルロックピース9と、ロッドガイド8に具現化される筒状のオイルロックケース80とを備える。
【0043】
上記ホルダ90は、環状に形成されて上記ロッド5外周に圧入固定されるホルダ本体91と、このホルダ本体91の図中上端部に螺合するホルダキャップ92とを備え、オイルロックピース9は、上記ホルダ本体91外周に遊嵌されて、ホルダ本体91のフランジ91a(図3)とホルダキャップ92との間を図中上下に移動する。そして、フロントフォークの最収縮時(図2(a))に、オイルロックピース9がオイルロックケース80内に嵌入してオイルロックする。
【0044】
更に、本実施の形態においてフロントフォークは、オイルロックケース80に図中下端側を固定される引張ばねからなるバランススプリングSを備える。
【0045】
このバランススプリングSの両端部には環状に形成される一対のばね受け6、7が係合してなり、一方のばね受けたる上側ばね受け6がロッド5の軸方向に沿ってスライドして図中下方への移動をホルダ90で規制され、他方のばね受けたる下側ばね受け7が連結部材81やオイルロックケース80を介してインナーチューブ2に固定される。
【0046】
上側ばね受け6は、図3に示すように、外周にバランススプリングSの図中上端部が係合するスライダー60と、このスライダー60の図中上端部外周に螺合してバランススプリングSの抜け止めをするナット61とを備える。
【0047】
そして、上記スライダー60の下部には拡径されてなるスカート部60aが形成されてなり、このスカート部60aでバランススプリングSがオイルロックピース9やホルダ90に接触することを防止する。
【0048】
本実施の形態において、ロッド5外周には、ホルダ90とナット部材13との間に筒状部材14と、二枚のワッシャW、Wと、環状のシート部材15が設けられ、これらが等しい外径を有する。
【0049】
したがって、上側ばね受け6がワッシャWからキャップ部材10のロッド保持部10aにかけて図中上下に摺動することが可能となり、上側ばね受け6がスライドするために必要な距離を確保することが可能となる。
【0050】
また、ホルダキャップ92及びシート部材15は、上記筒状部材14等よりも大きい外径を有するため、スライダー60がシート部材15よりも図中下側にスライドすることを阻止することが可能となる。
【0051】
尚、上記シート部材15を備えることにより、スライダー60がホルダキャップ92に接触してホルダキャップ92が傷つくことを防止することが可能となるが、必ずしもシート部材15を設ける必要はない。
【0052】
また、上記ワッシャW、Wの枚数は、適宜変更することが可能であり、上側ばね受け6がスライドする距離を確保することが可能な限りにおいて、上記ワッシャW、Wや筒状部材14を設けなくとも良く、ロッド5外周に上側ばね受け6を摺接させるとしても良い。
【0053】
バランススプリングSの下端部に係合する下側ばね受け7は、図4、図5に示すように、外周に螺旋状の係合溝70aが形成される係合部70を備える。当該構成を備えることにより、バランススプリングSの下端部を係合溝70aに沿ってねじ込むことにより、下側ばね受け7をバランススプリングSの下端部に容易に係合することが可能となり、バランススプリングSの自己締付力により、下側ばね受け7とバランススプリングSの係合が解除されない。
【0054】
また、下側ばね受け7は、上記係合部70から図中下方に延設される延設片71を備えてなり、この延設片71には、肉厚を貫通する孔71bが開穿されると共に、図中下端部外周に沿って環状のフランジ71aが形成される。
【0055】
上記下側ばね受け7は、連結部材81を介してロッドガイド8に連結されることによりインナーチューブ2に固定され、連結部材81は、図6に示すように、一対の円弧状部材81a、81bからなり、これら円弧状部材81a、81bを合わせたとき環状になる。
【0056】
そして、連結部材81は、内周に周方向に沿って形成される上側内周溝82および下側内周溝83と、連結部材81の外周に軸方向に形成される軸溝84と、この軸溝84に形成されて連結部材81の肉厚を貫通する径孔85とを備え、上側内周溝82及び下側内周溝83は、円弧状部材81a、81bを合わせたとき環状になる。
【0057】
そして、連結部材81は、上側内周溝82を下側ばね受け7のフランジ71a(図4)に、下側内周溝83をオイルロックケース80外周に形成されるフランジ80a(図4)に係合することにより下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結する。このとき、各円弧状部材81a、81bは、外周をインナーチューブ2内周で支えられるため、円弧状部材81a、81bが離れて下側ばね受け7及びロッドガイド8から脱落することがない。
【0058】
上記構成を備えることにより、下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結して下側ばね受け7をインナーチューブ2に固定することが容易に可能となる。また、下側ばね受け7の孔71bと、連結部材81の径孔85と、軸溝84とインナーチューブ2との隙間とを介して作動流体が移動することが可能となり、リザーバ室R内に収容される作動流体の移動の妨げとならない。
【0059】
尚、上記円弧状部材81a、81bは、連結部材81が二分割されて半円状に形成されるがこの限りではなく、連結部材81が三分割以上されて形成されるとしても良い。また、径孔85および軸溝84を一方の円弧状部材81a、81bにのみ設けるとしても良い。
【0060】
次に、本実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの作動について説明する。
【0061】
フロントフォークが最収縮時から一定のストローク範囲内にある(図2(a)〜(b))場合、上側ばね受け6は、インナーチューブ2に連結部材81等を介して固定される下側ばね受け7の移動に従い、キャップ部材10のロッド保持部10a、ナット部材13、筒状部材14及び二枚のワッシャW、Wの外周にスライダー60の内周を摺接させながらロッド5に沿ってスライドするため、バランススプリングSは自然長に保たれてばね反力を生じない。
【0062】
そして、フロントフォークの伸張量が一定に達したとき(図2(b))、上側ばね受け6がシート部材15を介してホルダ90に当接し、更にフロントフォークが伸張した場合(図2(b)〜図1)、上側ばね受け6がホルダ90に引っ掛かり下側ばね受け7の移動に追従しないため、バランススプリングSが引き伸ばされて所定のばね反力を生じフロントフォークを収縮方向に附勢する。また、バランススプリングSは、フロントフォークの最伸張時において(図1)、気室G(エアばね)によるばね反力を相殺する。
【0063】
上記バランススプリングSを備えることにより、フロントフォークがばね反力を生じる最伸張状態から一定のストローク範囲内にあるとき(図1〜図2(b))、バランススプリングSがばね反力を生じてフロントフォークが速やかに収縮することを助け、車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【0064】
また、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、キャップ部材10とロッドガイド8との間に形成される比較的広い空間内にバランススプリングSを配置することが可能となり、バランススプリングSの取り付けスペースを確保するためにフロントフォークが大型化して重くなることを防止することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態においては、ホルダ90が請求項でいうところの引掛部材として機能することにより、新たに引掛部材を設ける必要がなく、フロントフォークの構成を簡易にしてフロントフォークを軽量化することが可能となる。
【0066】
次に、第一の実施の形態におけるフロントフォークの変形例について図7〜図11を参照して説明する。図7〜図11は、第一の実施の形態におけるフロントフォークの変更部分のみを抜粋して記載したものである。
【0067】
第一の実施の形態におけるフロントフォークの第一の変形例は、図7に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークのワッシャW、W及びシート部材15に替えて環状のスペーサ16及び弾性リング17をロッド外周に設けたものである。
【0068】
上記スペーサ16は、上側ばね受け6の図中下方へのスライドを阻止するフランジ16aを備えてなり、上記弾性リング17は、例えば、合成樹脂やゴムで形成される。当該構成を備えることにより、第一の変形例に係るフロントフォークは、フロントフォークの伸張量が一定に達して上側ばね受け6がスペーサ16のフランジ16aに当接したとき、弾性リング17が緩衝材として機能して接触音を抑制することが可能となる。
【0069】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第二の変形例は、図8に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークのワッシャW、W及びシート部材15に替えて環状の弾性部材18を備えたものである。
【0070】
この弾性部材18は、例えば、合成樹脂やゴムで形成されてなり、上側ばね受け6の図中下方へのスライドを阻止する。当該構成を備えることにより、第二の変形例に係るフロントフォークは、フロントフォークの伸張量が一定に達して上側ばね受け6が弾性部材18に当接したとき、接触音の発声を防止すると共にその衝撃を吸収することが可能となる。
【0071】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第三の変形例は、図9に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークの上側ばね受け6の構成を変更したものである。
【0072】
この変形例に係る上側ばね受け6Aは、外周に螺旋状の係合溝62aを有する上側ばね受け本体部62と、この上側ばね受け本体部62の内周に嵌合するブッシュ63とを備える。
【0073】
上記構成を備えることにより、上側ばね受け6Aがブッシュ63を筒状部材14等の外周に摺接させてロッド5に沿ってスライド可能であると共に、係合溝62aにバランススプリングSの上端部をねじ込んで上側ばね受け6AをバランススプリングSに容易に係合することが可能となる。
【0074】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第四の変形例は、図10に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークの上記連結部材81を変更したものである。
【0075】
この変形例に係る連結部材81Aは、図10(b)に示すように、一対の円弧状部材81c、81dからなり、これら円弧状部材81c、81dを合わせたとき環状となる。また、連結部材81は、内周に周方向に沿って形成されて円弧状部材81c、81dを合わせたとき環状となる内周溝86を備え、断面コ字状に形成される。
【0076】
そして、連結部材81Aは、図10(a)に示すように、下側ばね受け7のフランジ71a及びオイルロックケース80に形成されるのフランジ80aを重ね合わせた状態で内周溝86に係合することにより、下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結する。このとき、各円弧状部材81c、81dは、外周をインナーチューブ2内周で支えられるため、円弧状部材81c、81dが離れて下側ばね受け7及びロッドガイド8から脱落することがない。
【0077】
上記構成を備えることにより、連結部材81Aの構成を簡易にすると共に下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結して下側ばね受け7をインナーチューブ2に固定することが容易に可能となる。また、当該変形例においては、オイルロックケース80がフランジ80aの図中下方に開穿される孔80bを備えることから、この孔80b及び下側ばね受け7の孔71bを介して作動流体が移動することが可能となり、リザーバ室R内に収容される作動流体の移動の妨げとならない。
【0078】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第五の変形例は、図11に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークのナット部材13を変更したものである。
【0079】
この変形例に係るナット部材13Aは、第一の実施の形態に係るナット部材13と同様にロッド5外周に螺合してロッド5の緩み止めをすると共に、図中上端部外周に形成されるフランジ19で上側ばね受け6の図中上方へのスライドを阻止する。
【0080】
上記構成を備えることにより、フロントフォークの最収縮時においてバランススプリングSが圧縮されてばね反力を生じ、オイルロック機構と共にフロントフォークの最収縮時の衝撃を緩和することが可能となる。
【0081】
次に、本発明の第二の実施の形態を示す流体圧緩衝器について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る流体圧緩衝器は、第一の実施の形態と同様に二輪車の前輪を懸架する倒立型のフロントフォークとして構成され、バランススプリングSの取り付け構造が第一の実施の形態と異なる。そこで、以下の説明においては、第一の実施の形態と異なる構成について詳細に説明し、同一の構成についての説明を省略する。
【0082】
本実施の形態におけるバランススプリングSの両端部には環状に形成される一対のばね受け6B、7Bが係合してなり、一方のばね受けたる上側ばね受け6Bがロッド5の図中上端部外周に螺合して第一の実施の形態におけるナット部材13として機能し、他方のばね受けたる下側ばね受け7B外周がインナーチューブ2内周に摺接して図中上方への移動をインナーチューブ2の図中上端部内周に取り付けられる引掛部材23で規制される。
【0083】
上記構成を備えることにより、フロントフォークの最収縮時から一定のストローク範囲内においては、下側ばね受け7Bがインナーチューブ2内周に沿って軸方向に摺動するため、バランススプリングSは自然長に保たれてばね反力を生じない。
【0084】
そして、フロントフォークが一定以上伸張したとき下側ばね受け7Bが引掛部材23に引っ掛かり、図12に示すように、バランススプリングSが引き伸ばされて所定のばね反力を生じフロントフォークを収縮方向に附勢する。
【0085】
上記構成を備えることにより、フロントフォークが最伸張状態から一定のストローク範囲内にあるとき、フロントフォークが速やかに収縮することを助け、車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【0086】
また、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、キャップ部材10とロッドガイド8との間に形成される比較的広い空間内にバランススプリングSを配置することが可能となり、バランススプリングSの取り付けスペースを確保するためにフロントフォークが大型化して重くなることを防止することが可能となる。
【0087】
また、フロントフォークの構造を複雑化させることなくバランススプリングSを取り付けて、フロントフォークを軽量化することが可能となる。
【0088】
次に、本発明の第三の実施の形態を示す流体圧緩衝器について図13を参照しながら説明する。本実施の形態に係る流体圧緩衝器は、第一、第二の実施の形態と同様に二輪車の前輪を懸架する倒立型のフロントフォークとして構成され、バランススプリングSの取り付け構造が第一、第二の実施の形態と異なる。そこで、以下の説明においては、第一、第二の形態と異なる構成について詳細に説明し、同一の構成についての説明を省略する。
【0089】
本実施の形態におけるバランススプリングSの両端部には環状に形成される一対のばね受け6C、7Cが係合してなり、一方のばね受けたる上側ばね受け6Cがロッド5の図中上端部外周に螺合して第一の実施の形態におけるナット部材13として機能し、他方のばね受けたる下側ばね受け7Cには長尺な筒部材73が連設される。
【0090】
上記筒部材73は、基端部(図中上端部)を下側ばね受け7Cに連結されながら先端側(図中下端側)がインナーチューブ2とシリンダ4との間に出没自在に挿入される筒部材本体73aと、この筒部材本体73aの先端部(図中下端部)内周に取り付けられてシリンダ4外周に内周を摺接する環状のスライド部73bとを備える。筒部材本体73aには軸方向に複数の孔74が開穿されてなり、この孔74を介して作動流体が筒部材本体73aの内外を移動することが可能となる。
【0091】
本実施の形態において、図14に示すように、ロッドガイド8外周には第二のオイルロックピース93が遊嵌されてなり、このオイルロックピース93は、図中上下方向の移動をロッドガイド8のフランジ8a及びシリンダ4の図中上端で規制される。
【0092】
そして、第二のオイルロックピース93は、筒部材本体73aの下端部を第二のオイルロックケース94としてこのオイルロックケース94と共に第二のオイルロック機構を構成する。
【0093】
上記構成を備えることにより、フロントフォークの最収縮時から一定のストローク範囲内においては、スライド部73bがシリンダ4外周に沿って軸方向に摺動するため、バランススプリングSは自然長に保たれてばね反力を生じない。
【0094】
そして、フロントフォークが一定以上伸張したとき、第二のオイルロックケース94内に第二のオイルロックピース93が嵌入してオイルロックされるため、スライド部73bが図中上方にスライドすることを阻止されて、図13に示すように、バランススプリングSが引き伸ばされて所定のばね反力を生じフロントフォークを収縮方向に附勢する。
【0095】
上記構成を備えることにより、フロントフォークが最伸張状態から一定のストローク範囲内にあるとき、フロントフォークが速やかに収縮することを助け、車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【0096】
また、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、キャップ部材10とロッドガイド8との間に形成される比較的広い空間内にバランススプリングSを配置することが可能となり、バランススプリングSの取り付けスペースを確保するためにフロントフォークが大型化して重くなることを防止することが可能となる。
【0097】
また、フロントフォークの構造を複雑化させることなくバランススプリングSを取り付けて、フロントフォークを軽量化することが可能となる。
【0098】
また、上記第二のオイルロック機構を備えることにより、フロントフォークの最伸張時の衝撃を緩和することが可能となると共に、異音の発生を防止することが可能となる。
【0099】
尚、図示しないが、スライド部73bをロッドガイド8のフランジ8aに当接させることによりスライド部73bのスライドを阻止するとしても良く、この場合においては、スライド部73b若しくはフランジ8aに接触音を抑制または防止するための弾性部材を設けることが好ましい。
【0100】
以上、本発明の好ましい各実施の形態で説明したように、流体圧緩衝器たるフロントフォークが倒立型に設定されると共にエアサスペンションとして機能し、正立型のダンパ3を収容する場合、緩衝器本体の伸張時に離間する部材が多く、例えば、アウターチューブ1やキャップ部材10やロッド5やこれらに取り付けられる部材に対して、インナーチューブ2やシリンダ4やロッドガイド8が離間する。
【0101】
つまり、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、フロントフォークの伸長時において離間するいずれの部材の間にバランススプリングSを設けるとしても良く、バランススプリング3を取り付け易くしてフロントフォークの設計自由度が向上する。
【0102】
尚、本発明に係る流体圧緩衝器の構成は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0103】
例えば、上記実施の形態においては、流体圧緩衝器が自動二輪車のフロントフォークとして構成されるとしたがこの限りではなく、リアクッションユニットとして構成されるとしても、自動車の車輪を懸架する懸架装置として構成されるとしても良い。
【符号の説明】
【0104】
G 気室
R リザーバ室
R1 伸側作用室
R2 圧側作用室
S バランススプリング
V1 伸側減衰バルブ
V2 圧側減衰バルブ
W ワッシャ
1 アウターチューブ
2 インナーチューブ
3 ダンパ
4 シリンダ
5 ロッド
6、6A、6B、6C 上側ばね受け(一方のばね受け)
7、7B、7C 下側ばね受け(他方のばね受け)
8 ロッドガイド
9 オイルロックピース
13、13A ナット部材
14 筒状部材
15 シート部材
80 オイルロックケース
81、81A 連結部材
90 ホルダ
【技術分野】
【0001】
この発明は、正立型のダンパを収容すると共にエアサスペンションとして機能する倒立型のフロントフォークやリアクッションユニット等の流体圧緩衝器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧緩衝器は、これまでに種々の提案がなされており、例えば、自動二輪車のフロントフォークやリアクッションユニット等として構成される。
【0003】
特許文献1に開示される流体圧緩衝器は、車軸側のアウターチューブと、このアウターチューブ内に摺動自在に挿入される車体側のインナーチューブとからなる緩衝器本体を備えて正立型に設定される。
【0004】
そして、上記緩衝器本体内には、上記アウターチューブの軸心部に起立するシリンダと、上記インナーチューブ側に固定されて上記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドとを有する正立型のダンパが収容される。
【0005】
また、上記緩衝器本体と上記ダンパとの間にはエアばねとして機能する気室が形成され、流体圧緩衝器は、上記気室の内圧により常に伸張方向に附勢され、エアサスペンションとして機能する。
【0006】
更に、上記流体圧緩衝器は、シリンダのヘッド部外周に張り出して設けられる上側ばね受けに吊設されるバランススプリングを備え、流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、バランススプリングの下端にインナーチューブの車軸側端部内周に設けられる下側ばね受けが当接し、バランススプリングが押し縮められて所定のばね反力を生じる。
【0007】
そして、上記バランススプリングは、流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき流体圧緩衝器を収縮方向に附勢し、流体圧緩衝器の最伸張時における上記気室によるばね反力を相殺する。
【0008】
上記構成を備えることにより、流体圧緩衝器の最伸張状態から一定のストローク範囲内おいて、流体圧緩衝器が速やかに収縮することをバランススプリングが助けて車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実公昭57−41483号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の流体圧緩衝器は、コイルスプリングからなる懸架ばねに替わりエアばねとして機能する気室と、懸架ばねよりも軽量に形成することが可能なバランススプリングを備えることにより、車両の乗り心地を良好に保ちながら流体圧緩衝器を軽量化し、安価で簡易な構成とすることが可能な点において有用である。
【0011】
しかしながら、アウターチューブを車体側に、インナーチューブを車軸側に配置して流体圧緩衝器を倒立型に設定し、正立型のダンパを収容する場合においては、以下の不具合を指摘される虞がある。
【0012】
つまり、このような流体圧緩衝器は、ストロークするときにインナーチューブとシリンダとが相対移動しないため、バランススプリングを設ける位置を変更しなければならならず、流体圧緩衝器が伸張する際に接近する部材の間にバランススプリングを取り付ける必要がある。
【0013】
ところが、上記流体圧緩衝器においては、流体圧緩衝器が伸張する際に接近する部材が少なく、バランススプリングを取り付けるための部材が限定されて流体圧緩衝器の設計自由度が低下する。
【0014】
そこで、本発明の目的は、流体圧緩衝器が倒立型に設定されて正立型のダンパを収容した場合においても、バランススプリングを取り付け易くして流体圧緩衝器の設計自由度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための手段は、車体側のアウターチューブと、このアウターチューブ内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブとからなる緩衝器本体と、この緩衝器本体内に収容されて上記インナーチューブの軸心部に起立するシリンダと、上記アウターチューブに固定されて上記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドとを有する正立型のダンパと、上記緩衝器本体と上記ダンパとの間に形成されてエアばねとして機能する気室とを備える流体圧緩衝器において、流体圧緩衝器の最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、流体圧緩衝器が一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングを備えることである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バランススプリングを引き伸ばされたとき所定のばね反力を生じる引張ばねとすることにより、流体圧緩衝器が伸張する際離間する部材間にバランススプリングを設けることが可能となり、バランススプリングを取り付け易くして流体圧緩衝器の設計自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最伸張状態を示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図2】(a)本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最収縮状態を部分的に示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。(b)(a)に記載のフロントフォークが一定量伸張して上側ばね受けがシート部材に当接した状態を部分的に示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの上側ばね受け周辺部を拡大して示す左半断面図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの下側ばね受け周辺部を拡大して示す左半断面図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの下側ばね受けを拡大して示す側面図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの連結部材を拡大し、部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図7】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第一の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図8】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第二の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図9】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第三の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図10】(a)本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第四の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。(b)(a)に記載の連結部材を拡大し、部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図11】本発明の第一の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第五の変形例を部分的に拡大して示す左半断面図である。
【図12】本発明の第二の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最伸張状態を示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図13】本発明の第三の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの最伸張状態を示す側面図であり、左半分を切り欠いて示す。
【図14】本発明の第三の実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの第二のオイルロック機構周辺部を拡大して示す左半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の第一の実施の形態を示す流体圧緩衝器について図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたはそれに対応する部品を示す。
【0019】
本実施の形態に係る流体圧緩衝器は、二輪車の前輪を懸架する倒立型のフロントフォークとして構成され、図示しないが、上記フロントフォークは、上端部をブリッジ機構で連結される左右一対の懸架部材からなり、各懸架部材の下端部を前輪の車軸に連結して前輪を挟むようにして懸架する。
【0020】
また、上記ブリッジ機構は、同じく図示しないが、ハンドルに連結されるステアリングシャフトを有し、当該構成を備えることによりハンドル操作により前輪を転舵することが可能となる。
【0021】
上記各懸架部材は、図1に示すように、車体側のアウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブ2とからなる緩衝器本体を備える。
【0022】
そして、フロントフォークは、この緩衝器本体内に収容されて上記インナーチューブ2の軸心部に起立するシリンダ4と、上記アウターチューブ1に固定されて上記シリンダ4内に軸方向に移動自在に挿入されるロッド5とを有する正立型のダンパ3を備える。
【0023】
また、フロントフォークは、上記緩衝器本体と上記ダンパ3との間に形成されてエアばねとして機能する気室Gを備える。
【0024】
更に、フロントフォークは、最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングSを備える。
【0025】
以下に、本実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの各構成部品について詳細に説明する。
【0026】
車体側のアウターチューブ1と車軸側のインナーチューブ2とで構成される緩衝器本体は、アウターチューブ1の図中上端開口部に装着されるキャップ部材10により車体側開口を封止される。一方、緩衝器本体の車軸側開口は、インナーチューブ2の図中下端部外周に螺合するボトムケース21と、このボトムケース21内に挿入されてシリンダ4を支持する支持部材22とを備えるボトム部材20により封止される。また、アウターチューブ1の図中下端部内周にはインナーチューブ2外周に摺接するシール部材11、12が設けられる。
【0027】
上記構成を備えることにより、緩衝器本体内部に収容される気体や作動流体が緩衝器本体外に漏れ出すことがない。
【0028】
上記緩衝器本体の内部には所定の減衰力を発生する正立型のダンパ3が収容されてなり、緩衝器本体とダンパ3との間にリザーバ室Rが形成される。このリザーバ室Rにはダンパ3内で過不足する作動流体を補償するための作動流体が貯留され、この作動流体の液面Oを介して上方に気体が封入されて気室Gが形成される。
【0029】
この気室Gは、フロントフォークを伸張方向に常に附勢すると共に、フロントフォークの伸縮に伴いその容積が膨縮して所定のばね反力を生じ、エアばねとして機能する。
【0030】
上記構成を備えることにより、フロントフォークは、エアサスペンションとして機能して上記気室Gで路面振動を吸収し、この吸収に伴う伸縮運動をダンパ3で減衰することが可能となる。尚、図示しないが、上記気室Gの内圧は、キャップ部材10に設けられるエアバルブによって高低調整されることが可能である。
【0031】
ダンパ3は、正立型に設定され、インナーチューブ2の軸心部に起立するシリンダ4と、このシリンダ4内に出没するロッド5と、このロッド5の先端に保持されて上記シリンダ4内周に外周を摺接するピストン50と、上記シリンダ4のボトム部(図中下部)に設けられてシリンダ4内とリザーバ室Rとを連通するベース部材40と、上記ピストン50が移動する際所定の減衰力を発生する減衰力発生手段とを備え、上記緩衝器本体と共に所謂複筒式緩衝器を構成する。
【0032】
上記シリンダ4は、図中下端部内周に螺合する支持部材22及びボトムケース21を介してインナーチューブ2に固定され、そのヘッド部(図中上部)内周には環状のロッドガイド8が螺嵌する。このロッドガイド8とベース部材40との間に形成されるシリンダ4内部は、ピストン50で区画され、ロッド5側に伸側作用室R1が、ピストン50側に圧側作用室R2が形成される。
【0033】
上記ロッド5は、キャップ部材10を介してアウターチューブ1に固定されてなり、ロッド5の図中上端部がキャップ部材10のロッド保持部10a内周に螺合する。上記ロッド5の図中下側は、ロッドガイド8内周に外周を摺接させながらフロントフォークの伸縮に伴いシリンダ4内に出没する。そして、上記ロッド5の図中下端には先端部材(符示せず)を介してピストン50が保持される。
【0034】
また、本実施の形態において、フロントフォークは、上記キャップ部材10のロッド保持部10aと直列に設けられて内周にロッド5が螺合するナット部材13を有し、ダブルナット構造としてロッド5の緩み止めをする。
【0035】
上記ピストン50は、環状に形成されて軸心孔(図示せず)に先端部材のロッド部が挿通し、ナットN1により抜け止めされてなる。また、図示しないが、ピストン50には伸側作用室R1と圧側作用室R2とを連通する伸側連通路及び圧側連通路が形成される。
【0036】
シリンダ4のボトム部に設けられるベース部材40は、環状に形成されて外周に係合するシール(符示せず)を介してシリンダ4の内周に密接し、軸心孔に支持部材22のロッド部が挿通してナットN2により抜け止めされる。また、図示しないが、ベース部材40には圧側作用室R2とリザーバ室Rとを連通する伸側連通路及び圧側連通路が形成される。
【0037】
そして、ピストン50が摺動する際所定の減衰力発生手段は、ピストン50の圧側作用室R2側に取り付けられてピストン50の伸側連通路の出口を塞ぐ伸側減衰バルブV1と、ベース部材40のリザーバ室R側(図中下側)に取り付けられてベース部材40の圧側連通路の出口を塞ぐ圧側減衰バルブV2とを備える。
【0038】
また、符示しないが、ピストン50の伸側作用室R1側にはピストン50の圧側連通路の出口を塞ぐ圧側チェックバルブが取り付けられ、ベース部材40の圧側作用室R2側にはベース部材40の伸側連通路の出口を塞ぐ伸側チェックバルブが取り付けられてなる。
【0039】
上記構成を備えることにより、フロントフォークが伸張するとき、伸側作用室R1が加圧されて作動流体が伸側減衰バルブV1を開いて伸側作用室R1から圧側作用室R2に流出し、ロッド5の退出分シリンダ4内で不足する作動流体が伸側チェックバルブを開いてリザーバ室Rから圧側作用室内R2に流入し、所定の伸側減衰力を発生する。
【0040】
一方、フロントフォークが収縮するとき、圧側作用室R2が加圧されて作動流体が圧側チェックバルブを開いて圧側作用室R2から伸側作用室R1に流出し、ロッド5の没入分シリンダ4内で余剰となる作動流体が圧側減衰バルブV2を開き圧側作用室R2からリザーバ室Rに流出して、所定の圧側減衰力を発生する。
【0041】
そして、図示しないが、本実施の形態において、伸側及び圧側減衰力は減衰力調整手段を介して調整することが可能である。尚、減衰力発生手段を構成するバルブ構造は、上記の限りではなく、適宜構成を選択することが可能である。
【0042】
また、本実施の形態においてフロントフォークは、最収縮時の衝撃を緩和するオイルロック機構を備え、このオイルロック機構は、ロッド5外周に固定されるホルダ90外周に遊嵌されるオイルロックピース9と、ロッドガイド8に具現化される筒状のオイルロックケース80とを備える。
【0043】
上記ホルダ90は、環状に形成されて上記ロッド5外周に圧入固定されるホルダ本体91と、このホルダ本体91の図中上端部に螺合するホルダキャップ92とを備え、オイルロックピース9は、上記ホルダ本体91外周に遊嵌されて、ホルダ本体91のフランジ91a(図3)とホルダキャップ92との間を図中上下に移動する。そして、フロントフォークの最収縮時(図2(a))に、オイルロックピース9がオイルロックケース80内に嵌入してオイルロックする。
【0044】
更に、本実施の形態においてフロントフォークは、オイルロックケース80に図中下端側を固定される引張ばねからなるバランススプリングSを備える。
【0045】
このバランススプリングSの両端部には環状に形成される一対のばね受け6、7が係合してなり、一方のばね受けたる上側ばね受け6がロッド5の軸方向に沿ってスライドして図中下方への移動をホルダ90で規制され、他方のばね受けたる下側ばね受け7が連結部材81やオイルロックケース80を介してインナーチューブ2に固定される。
【0046】
上側ばね受け6は、図3に示すように、外周にバランススプリングSの図中上端部が係合するスライダー60と、このスライダー60の図中上端部外周に螺合してバランススプリングSの抜け止めをするナット61とを備える。
【0047】
そして、上記スライダー60の下部には拡径されてなるスカート部60aが形成されてなり、このスカート部60aでバランススプリングSがオイルロックピース9やホルダ90に接触することを防止する。
【0048】
本実施の形態において、ロッド5外周には、ホルダ90とナット部材13との間に筒状部材14と、二枚のワッシャW、Wと、環状のシート部材15が設けられ、これらが等しい外径を有する。
【0049】
したがって、上側ばね受け6がワッシャWからキャップ部材10のロッド保持部10aにかけて図中上下に摺動することが可能となり、上側ばね受け6がスライドするために必要な距離を確保することが可能となる。
【0050】
また、ホルダキャップ92及びシート部材15は、上記筒状部材14等よりも大きい外径を有するため、スライダー60がシート部材15よりも図中下側にスライドすることを阻止することが可能となる。
【0051】
尚、上記シート部材15を備えることにより、スライダー60がホルダキャップ92に接触してホルダキャップ92が傷つくことを防止することが可能となるが、必ずしもシート部材15を設ける必要はない。
【0052】
また、上記ワッシャW、Wの枚数は、適宜変更することが可能であり、上側ばね受け6がスライドする距離を確保することが可能な限りにおいて、上記ワッシャW、Wや筒状部材14を設けなくとも良く、ロッド5外周に上側ばね受け6を摺接させるとしても良い。
【0053】
バランススプリングSの下端部に係合する下側ばね受け7は、図4、図5に示すように、外周に螺旋状の係合溝70aが形成される係合部70を備える。当該構成を備えることにより、バランススプリングSの下端部を係合溝70aに沿ってねじ込むことにより、下側ばね受け7をバランススプリングSの下端部に容易に係合することが可能となり、バランススプリングSの自己締付力により、下側ばね受け7とバランススプリングSの係合が解除されない。
【0054】
また、下側ばね受け7は、上記係合部70から図中下方に延設される延設片71を備えてなり、この延設片71には、肉厚を貫通する孔71bが開穿されると共に、図中下端部外周に沿って環状のフランジ71aが形成される。
【0055】
上記下側ばね受け7は、連結部材81を介してロッドガイド8に連結されることによりインナーチューブ2に固定され、連結部材81は、図6に示すように、一対の円弧状部材81a、81bからなり、これら円弧状部材81a、81bを合わせたとき環状になる。
【0056】
そして、連結部材81は、内周に周方向に沿って形成される上側内周溝82および下側内周溝83と、連結部材81の外周に軸方向に形成される軸溝84と、この軸溝84に形成されて連結部材81の肉厚を貫通する径孔85とを備え、上側内周溝82及び下側内周溝83は、円弧状部材81a、81bを合わせたとき環状になる。
【0057】
そして、連結部材81は、上側内周溝82を下側ばね受け7のフランジ71a(図4)に、下側内周溝83をオイルロックケース80外周に形成されるフランジ80a(図4)に係合することにより下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結する。このとき、各円弧状部材81a、81bは、外周をインナーチューブ2内周で支えられるため、円弧状部材81a、81bが離れて下側ばね受け7及びロッドガイド8から脱落することがない。
【0058】
上記構成を備えることにより、下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結して下側ばね受け7をインナーチューブ2に固定することが容易に可能となる。また、下側ばね受け7の孔71bと、連結部材81の径孔85と、軸溝84とインナーチューブ2との隙間とを介して作動流体が移動することが可能となり、リザーバ室R内に収容される作動流体の移動の妨げとならない。
【0059】
尚、上記円弧状部材81a、81bは、連結部材81が二分割されて半円状に形成されるがこの限りではなく、連結部材81が三分割以上されて形成されるとしても良い。また、径孔85および軸溝84を一方の円弧状部材81a、81bにのみ設けるとしても良い。
【0060】
次に、本実施の形態に係る流体圧緩衝器たるフロントフォークの作動について説明する。
【0061】
フロントフォークが最収縮時から一定のストローク範囲内にある(図2(a)〜(b))場合、上側ばね受け6は、インナーチューブ2に連結部材81等を介して固定される下側ばね受け7の移動に従い、キャップ部材10のロッド保持部10a、ナット部材13、筒状部材14及び二枚のワッシャW、Wの外周にスライダー60の内周を摺接させながらロッド5に沿ってスライドするため、バランススプリングSは自然長に保たれてばね反力を生じない。
【0062】
そして、フロントフォークの伸張量が一定に達したとき(図2(b))、上側ばね受け6がシート部材15を介してホルダ90に当接し、更にフロントフォークが伸張した場合(図2(b)〜図1)、上側ばね受け6がホルダ90に引っ掛かり下側ばね受け7の移動に追従しないため、バランススプリングSが引き伸ばされて所定のばね反力を生じフロントフォークを収縮方向に附勢する。また、バランススプリングSは、フロントフォークの最伸張時において(図1)、気室G(エアばね)によるばね反力を相殺する。
【0063】
上記バランススプリングSを備えることにより、フロントフォークがばね反力を生じる最伸張状態から一定のストローク範囲内にあるとき(図1〜図2(b))、バランススプリングSがばね反力を生じてフロントフォークが速やかに収縮することを助け、車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【0064】
また、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、キャップ部材10とロッドガイド8との間に形成される比較的広い空間内にバランススプリングSを配置することが可能となり、バランススプリングSの取り付けスペースを確保するためにフロントフォークが大型化して重くなることを防止することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態においては、ホルダ90が請求項でいうところの引掛部材として機能することにより、新たに引掛部材を設ける必要がなく、フロントフォークの構成を簡易にしてフロントフォークを軽量化することが可能となる。
【0066】
次に、第一の実施の形態におけるフロントフォークの変形例について図7〜図11を参照して説明する。図7〜図11は、第一の実施の形態におけるフロントフォークの変更部分のみを抜粋して記載したものである。
【0067】
第一の実施の形態におけるフロントフォークの第一の変形例は、図7に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークのワッシャW、W及びシート部材15に替えて環状のスペーサ16及び弾性リング17をロッド外周に設けたものである。
【0068】
上記スペーサ16は、上側ばね受け6の図中下方へのスライドを阻止するフランジ16aを備えてなり、上記弾性リング17は、例えば、合成樹脂やゴムで形成される。当該構成を備えることにより、第一の変形例に係るフロントフォークは、フロントフォークの伸張量が一定に達して上側ばね受け6がスペーサ16のフランジ16aに当接したとき、弾性リング17が緩衝材として機能して接触音を抑制することが可能となる。
【0069】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第二の変形例は、図8に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークのワッシャW、W及びシート部材15に替えて環状の弾性部材18を備えたものである。
【0070】
この弾性部材18は、例えば、合成樹脂やゴムで形成されてなり、上側ばね受け6の図中下方へのスライドを阻止する。当該構成を備えることにより、第二の変形例に係るフロントフォークは、フロントフォークの伸張量が一定に達して上側ばね受け6が弾性部材18に当接したとき、接触音の発声を防止すると共にその衝撃を吸収することが可能となる。
【0071】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第三の変形例は、図9に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークの上側ばね受け6の構成を変更したものである。
【0072】
この変形例に係る上側ばね受け6Aは、外周に螺旋状の係合溝62aを有する上側ばね受け本体部62と、この上側ばね受け本体部62の内周に嵌合するブッシュ63とを備える。
【0073】
上記構成を備えることにより、上側ばね受け6Aがブッシュ63を筒状部材14等の外周に摺接させてロッド5に沿ってスライド可能であると共に、係合溝62aにバランススプリングSの上端部をねじ込んで上側ばね受け6AをバランススプリングSに容易に係合することが可能となる。
【0074】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第四の変形例は、図10に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークの上記連結部材81を変更したものである。
【0075】
この変形例に係る連結部材81Aは、図10(b)に示すように、一対の円弧状部材81c、81dからなり、これら円弧状部材81c、81dを合わせたとき環状となる。また、連結部材81は、内周に周方向に沿って形成されて円弧状部材81c、81dを合わせたとき環状となる内周溝86を備え、断面コ字状に形成される。
【0076】
そして、連結部材81Aは、図10(a)に示すように、下側ばね受け7のフランジ71a及びオイルロックケース80に形成されるのフランジ80aを重ね合わせた状態で内周溝86に係合することにより、下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結する。このとき、各円弧状部材81c、81dは、外周をインナーチューブ2内周で支えられるため、円弧状部材81c、81dが離れて下側ばね受け7及びロッドガイド8から脱落することがない。
【0077】
上記構成を備えることにより、連結部材81Aの構成を簡易にすると共に下側ばね受け7とロッドガイド8とを連結して下側ばね受け7をインナーチューブ2に固定することが容易に可能となる。また、当該変形例においては、オイルロックケース80がフランジ80aの図中下方に開穿される孔80bを備えることから、この孔80b及び下側ばね受け7の孔71bを介して作動流体が移動することが可能となり、リザーバ室R内に収容される作動流体の移動の妨げとならない。
【0078】
また、第一の実施の形態におけるフロントフォークの第五の変形例は、図11に示すように、第一の実施の形態におけるフロントフォークのナット部材13を変更したものである。
【0079】
この変形例に係るナット部材13Aは、第一の実施の形態に係るナット部材13と同様にロッド5外周に螺合してロッド5の緩み止めをすると共に、図中上端部外周に形成されるフランジ19で上側ばね受け6の図中上方へのスライドを阻止する。
【0080】
上記構成を備えることにより、フロントフォークの最収縮時においてバランススプリングSが圧縮されてばね反力を生じ、オイルロック機構と共にフロントフォークの最収縮時の衝撃を緩和することが可能となる。
【0081】
次に、本発明の第二の実施の形態を示す流体圧緩衝器について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る流体圧緩衝器は、第一の実施の形態と同様に二輪車の前輪を懸架する倒立型のフロントフォークとして構成され、バランススプリングSの取り付け構造が第一の実施の形態と異なる。そこで、以下の説明においては、第一の実施の形態と異なる構成について詳細に説明し、同一の構成についての説明を省略する。
【0082】
本実施の形態におけるバランススプリングSの両端部には環状に形成される一対のばね受け6B、7Bが係合してなり、一方のばね受けたる上側ばね受け6Bがロッド5の図中上端部外周に螺合して第一の実施の形態におけるナット部材13として機能し、他方のばね受けたる下側ばね受け7B外周がインナーチューブ2内周に摺接して図中上方への移動をインナーチューブ2の図中上端部内周に取り付けられる引掛部材23で規制される。
【0083】
上記構成を備えることにより、フロントフォークの最収縮時から一定のストローク範囲内においては、下側ばね受け7Bがインナーチューブ2内周に沿って軸方向に摺動するため、バランススプリングSは自然長に保たれてばね反力を生じない。
【0084】
そして、フロントフォークが一定以上伸張したとき下側ばね受け7Bが引掛部材23に引っ掛かり、図12に示すように、バランススプリングSが引き伸ばされて所定のばね反力を生じフロントフォークを収縮方向に附勢する。
【0085】
上記構成を備えることにより、フロントフォークが最伸張状態から一定のストローク範囲内にあるとき、フロントフォークが速やかに収縮することを助け、車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【0086】
また、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、キャップ部材10とロッドガイド8との間に形成される比較的広い空間内にバランススプリングSを配置することが可能となり、バランススプリングSの取り付けスペースを確保するためにフロントフォークが大型化して重くなることを防止することが可能となる。
【0087】
また、フロントフォークの構造を複雑化させることなくバランススプリングSを取り付けて、フロントフォークを軽量化することが可能となる。
【0088】
次に、本発明の第三の実施の形態を示す流体圧緩衝器について図13を参照しながら説明する。本実施の形態に係る流体圧緩衝器は、第一、第二の実施の形態と同様に二輪車の前輪を懸架する倒立型のフロントフォークとして構成され、バランススプリングSの取り付け構造が第一、第二の実施の形態と異なる。そこで、以下の説明においては、第一、第二の形態と異なる構成について詳細に説明し、同一の構成についての説明を省略する。
【0089】
本実施の形態におけるバランススプリングSの両端部には環状に形成される一対のばね受け6C、7Cが係合してなり、一方のばね受けたる上側ばね受け6Cがロッド5の図中上端部外周に螺合して第一の実施の形態におけるナット部材13として機能し、他方のばね受けたる下側ばね受け7Cには長尺な筒部材73が連設される。
【0090】
上記筒部材73は、基端部(図中上端部)を下側ばね受け7Cに連結されながら先端側(図中下端側)がインナーチューブ2とシリンダ4との間に出没自在に挿入される筒部材本体73aと、この筒部材本体73aの先端部(図中下端部)内周に取り付けられてシリンダ4外周に内周を摺接する環状のスライド部73bとを備える。筒部材本体73aには軸方向に複数の孔74が開穿されてなり、この孔74を介して作動流体が筒部材本体73aの内外を移動することが可能となる。
【0091】
本実施の形態において、図14に示すように、ロッドガイド8外周には第二のオイルロックピース93が遊嵌されてなり、このオイルロックピース93は、図中上下方向の移動をロッドガイド8のフランジ8a及びシリンダ4の図中上端で規制される。
【0092】
そして、第二のオイルロックピース93は、筒部材本体73aの下端部を第二のオイルロックケース94としてこのオイルロックケース94と共に第二のオイルロック機構を構成する。
【0093】
上記構成を備えることにより、フロントフォークの最収縮時から一定のストローク範囲内においては、スライド部73bがシリンダ4外周に沿って軸方向に摺動するため、バランススプリングSは自然長に保たれてばね反力を生じない。
【0094】
そして、フロントフォークが一定以上伸張したとき、第二のオイルロックケース94内に第二のオイルロックピース93が嵌入してオイルロックされるため、スライド部73bが図中上方にスライドすることを阻止されて、図13に示すように、バランススプリングSが引き伸ばされて所定のばね反力を生じフロントフォークを収縮方向に附勢する。
【0095】
上記構成を備えることにより、フロントフォークが最伸張状態から一定のストローク範囲内にあるとき、フロントフォークが速やかに収縮することを助け、車両の乗り心地を向上することが可能となる。
【0096】
また、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、キャップ部材10とロッドガイド8との間に形成される比較的広い空間内にバランススプリングSを配置することが可能となり、バランススプリングSの取り付けスペースを確保するためにフロントフォークが大型化して重くなることを防止することが可能となる。
【0097】
また、フロントフォークの構造を複雑化させることなくバランススプリングSを取り付けて、フロントフォークを軽量化することが可能となる。
【0098】
また、上記第二のオイルロック機構を備えることにより、フロントフォークの最伸張時の衝撃を緩和することが可能となると共に、異音の発生を防止することが可能となる。
【0099】
尚、図示しないが、スライド部73bをロッドガイド8のフランジ8aに当接させることによりスライド部73bのスライドを阻止するとしても良く、この場合においては、スライド部73b若しくはフランジ8aに接触音を抑制または防止するための弾性部材を設けることが好ましい。
【0100】
以上、本発明の好ましい各実施の形態で説明したように、流体圧緩衝器たるフロントフォークが倒立型に設定されると共にエアサスペンションとして機能し、正立型のダンパ3を収容する場合、緩衝器本体の伸張時に離間する部材が多く、例えば、アウターチューブ1やキャップ部材10やロッド5やこれらに取り付けられる部材に対して、インナーチューブ2やシリンダ4やロッドガイド8が離間する。
【0101】
つまり、バランススプリングSを引張ばねとすることにより、フロントフォークの伸長時において離間するいずれの部材の間にバランススプリングSを設けるとしても良く、バランススプリング3を取り付け易くしてフロントフォークの設計自由度が向上する。
【0102】
尚、本発明に係る流体圧緩衝器の構成は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0103】
例えば、上記実施の形態においては、流体圧緩衝器が自動二輪車のフロントフォークとして構成されるとしたがこの限りではなく、リアクッションユニットとして構成されるとしても、自動車の車輪を懸架する懸架装置として構成されるとしても良い。
【符号の説明】
【0104】
G 気室
R リザーバ室
R1 伸側作用室
R2 圧側作用室
S バランススプリング
V1 伸側減衰バルブ
V2 圧側減衰バルブ
W ワッシャ
1 アウターチューブ
2 インナーチューブ
3 ダンパ
4 シリンダ
5 ロッド
6、6A、6B、6C 上側ばね受け(一方のばね受け)
7、7B、7C 下側ばね受け(他方のばね受け)
8 ロッドガイド
9 オイルロックピース
13、13A ナット部材
14 筒状部材
15 シート部材
80 オイルロックケース
81、81A 連結部材
90 ホルダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側のアウターチューブと、このアウターチューブ内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブとからなる緩衝器本体と、
この緩衝器本体内に収容されて上記インナーチューブの軸心部に起立するシリンダと、上記アウターチューブに固定されて上記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドとを有する正立型のダンパと、
上記緩衝器本体と上記ダンパとの間に形成されてエアばねとして機能する気室とを備える流体圧緩衝器において、
流体圧緩衝器の最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、流体圧緩衝器が一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングを備えることを特徴とする流体圧緩衝器。
【請求項2】
上記バランススプリングの両端部には環状に形成される一対のばね受けが係合して、一方のばね受けが上記ロッドに沿って軸方向にスライドし、他方のばね受けが上記インナーチューブに固定されてなり、
流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、上記ロッドの外周に取り付けられる引掛部材に上記一方のばね受けが引っ掛かり上記バランススプリングが引き伸ばされて所定のばね反力を生じることを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
【請求項3】
上記他方のばね受けは、上記シリンダのヘッド部に設けられるロッドガイドと連結部材を介して連結されることにより上記インナーチューブに固定されてなり、
上記連結部材は、一対の円弧状部材からなり、これら円弧状部材を合わせたとき環状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の流体圧緩衝器。
【請求項4】
上記連結部材は、内周に周方向に沿って形成される上側内周溝及び下側内周溝と、外周に軸方向に形成される軸溝と、この軸溝に形成されて連結部材の肉厚を貫通する径孔とを備えてなり、
上記他方のばね受けの外周に形成されるフランジを上記上側内周溝に、上記ロッドガイド外周に形成されるフランジを上記下側内周溝に係合することにより上記他方のばね受けと上記ロッドガイドとを連結し、外周を上記インナーチューブ内周で支えられることを特徴とする請求項3に記載の流体圧緩衝器。
【請求項5】
上記連結部材は、内周に周方向に沿って形成される内周溝を備えて断面コ字状に形成されてなり、
上記他方のばね受けの外周に形成されるフランジと上記ロッドガイドの外周に形成されるフランジを重ね合わせた状態で上記内周溝に係合することにより上記他方のばね受けと上記ロッドガイドとを連結し、外周を上記インナーチューブ内周で支えられることを特徴とする請求項3に記載の流体圧緩衝器。
【請求項6】
上記引掛部材は、外周にオイルロックピースが遊嵌されるホルダであることを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の流体圧緩衝器。
【請求項7】
上記バランススプリングの両端部には環状に形成される一対のばね受けが係合してなり、一方のばね受けが上記ロッドに固定され、他方のばね受けが上記インナーチューブ内周に摺接し、
流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、上記インナーチューブの内周に取り付けられる引掛部材に上記他方のばね受けが引っ掛かり上記バランススプリングが引き伸ばされて所定のばね反力を生じることを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
【請求項8】
上記バランススプリングの両端部には環状に形成される一対のばね受けが係合してなり、一方のばね受けが上記ロッドに固定され、他方のばね受けには長尺な筒部材が連設され、
上記筒部材は、基端部を上記下側ばね受けに連結されながら先端側が上記インナーチューブと上記シリンダとの間に出没自在に挿入される筒部材本体と、この筒部材本体の先端部内周に取り付けられて上記シリンダ外周に内周を摺接する環状のスライド部とを備え、
流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、上記スライド部のスライドが規制されて、上記バランススプリングが引き伸ばされて所定のばね反力を生じることを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
【請求項9】
上記シリンダのヘッド部に設けられるロッドガイドの外周にオイルロックピースを設け、上記筒部材本体内に上記オイルロックピースが嵌入することで上記スライド部のスライドが規制されることを特徴とする請求項8に記載の流体圧緩衝器。
【請求項10】
上記一方のばね受けまたは、及び他方のばね受けは、外周に螺旋状の係合溝が形成される係合部を備えてなり、上記係合溝に上記バランススプリングの端部をねじ込むことにより上記バランススプリングに係合することを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の流体圧緩衝器。
【請求項1】
車体側のアウターチューブと、このアウターチューブ内に摺動自在に挿入される車軸側のインナーチューブとからなる緩衝器本体と、
この緩衝器本体内に収容されて上記インナーチューブの軸心部に起立するシリンダと、上記アウターチューブに固定されて上記シリンダ内に軸方向に移動自在に挿入されるロッドとを有する正立型のダンパと、
上記緩衝器本体と上記ダンパとの間に形成されてエアばねとして機能する気室とを備える流体圧緩衝器において、
流体圧緩衝器の最収縮時から一定のストローク範囲内においてはばね反力を生じず、流体圧緩衝器が一定以上伸張すると引き伸ばされて所定のばね反力を生じるバランススプリングを備えることを特徴とする流体圧緩衝器。
【請求項2】
上記バランススプリングの両端部には環状に形成される一対のばね受けが係合して、一方のばね受けが上記ロッドに沿って軸方向にスライドし、他方のばね受けが上記インナーチューブに固定されてなり、
流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、上記ロッドの外周に取り付けられる引掛部材に上記一方のばね受けが引っ掛かり上記バランススプリングが引き伸ばされて所定のばね反力を生じることを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
【請求項3】
上記他方のばね受けは、上記シリンダのヘッド部に設けられるロッドガイドと連結部材を介して連結されることにより上記インナーチューブに固定されてなり、
上記連結部材は、一対の円弧状部材からなり、これら円弧状部材を合わせたとき環状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の流体圧緩衝器。
【請求項4】
上記連結部材は、内周に周方向に沿って形成される上側内周溝及び下側内周溝と、外周に軸方向に形成される軸溝と、この軸溝に形成されて連結部材の肉厚を貫通する径孔とを備えてなり、
上記他方のばね受けの外周に形成されるフランジを上記上側内周溝に、上記ロッドガイド外周に形成されるフランジを上記下側内周溝に係合することにより上記他方のばね受けと上記ロッドガイドとを連結し、外周を上記インナーチューブ内周で支えられることを特徴とする請求項3に記載の流体圧緩衝器。
【請求項5】
上記連結部材は、内周に周方向に沿って形成される内周溝を備えて断面コ字状に形成されてなり、
上記他方のばね受けの外周に形成されるフランジと上記ロッドガイドの外周に形成されるフランジを重ね合わせた状態で上記内周溝に係合することにより上記他方のばね受けと上記ロッドガイドとを連結し、外周を上記インナーチューブ内周で支えられることを特徴とする請求項3に記載の流体圧緩衝器。
【請求項6】
上記引掛部材は、外周にオイルロックピースが遊嵌されるホルダであることを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の流体圧緩衝器。
【請求項7】
上記バランススプリングの両端部には環状に形成される一対のばね受けが係合してなり、一方のばね受けが上記ロッドに固定され、他方のばね受けが上記インナーチューブ内周に摺接し、
流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、上記インナーチューブの内周に取り付けられる引掛部材に上記他方のばね受けが引っ掛かり上記バランススプリングが引き伸ばされて所定のばね反力を生じることを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
【請求項8】
上記バランススプリングの両端部には環状に形成される一対のばね受けが係合してなり、一方のばね受けが上記ロッドに固定され、他方のばね受けには長尺な筒部材が連設され、
上記筒部材は、基端部を上記下側ばね受けに連結されながら先端側が上記インナーチューブと上記シリンダとの間に出没自在に挿入される筒部材本体と、この筒部材本体の先端部内周に取り付けられて上記シリンダ外周に内周を摺接する環状のスライド部とを備え、
流体圧緩衝器が一定以上伸張したとき、上記スライド部のスライドが規制されて、上記バランススプリングが引き伸ばされて所定のばね反力を生じることを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
【請求項9】
上記シリンダのヘッド部に設けられるロッドガイドの外周にオイルロックピースを設け、上記筒部材本体内に上記オイルロックピースが嵌入することで上記スライド部のスライドが規制されることを特徴とする請求項8に記載の流体圧緩衝器。
【請求項10】
上記一方のばね受けまたは、及び他方のばね受けは、外周に螺旋状の係合溝が形成される係合部を備えてなり、上記係合溝に上記バランススプリングの端部をねじ込むことにより上記バランススプリングに係合することを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の流体圧緩衝器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−122512(P2012−122512A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272135(P2010−272135)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】
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