海藻着生基盤
【課題】 海藻の初期幼体を、ウニの食害から保護しつつ、ウニと海藻とを共存させる。
【解決手段】 海藻着生基盤1は、基盤材2と多数の線状体3とを有する。基盤材2の下端部4は、海底5に固定される。基盤材2は、柔軟性のある上下に細長いシート状である。基盤材3から外方に線状体3が突出して延びる。基盤材2は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmである。線状体の高さH1は2〜30mmであり、線状体の相互の間隔L1は、3〜30mmであり、直径100d〜2mmφである。
【解決手段】 海藻着生基盤1は、基盤材2と多数の線状体3とを有する。基盤材2の下端部4は、海底5に固定される。基盤材2は、柔軟性のある上下に細長いシート状である。基盤材3から外方に線状体3が突出して延びる。基盤材2は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmである。線状体の高さH1は2〜30mmであり、線状体の相互の間隔L1は、3〜30mmであり、直径100d〜2mmφである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウニなど底性食植動物による食害が見られる海域における藻場造成をするために有利に実施することができる海藻着生基盤に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の先行技術である従来の人工海藻は、シート状の高オレフィン系発泡体をテープ状に加工し、海底から立ち上げることによって海藻の着生を促進するもの、ゴム系リサイクル発泡体を疑似コンブ状に加工し海藻の着生を促進するものがある。これらの人工海藻は一般的に外力の比較的弱い内湾等で用いられ、魚礁的働きのほか、海藻着生基盤としても利用されている。基盤材は発泡体であるため、そのためウニが生息するような海域で使用した場合、振動流によって気泡部は局部的に座屈し、破損する。また、表面形状は平滑であるので、大型海藻が着生、成長後に固着力を保持することができない。
【0003】
また、第2の先行技術である従来の着生促進基質としては表面形状に微細な凹凸があるポーラス状のものがある。この海藻着生促進基質は、着生促進効果はあるものの、食植動物の侵入を抑制する働きのものはない。
【0004】
第3の先行技術である従来の食植動物の侵入を制御するものとしてはしなやかな繊維ネットを束状にし海中で揺動させることでウニ等の侵入を抑制するものがある。このような食植動物の侵入を制御するものは、エリア内から食植動物をある程度除去後再び侵入を制御するものであり、エリア内における海藻への食圧は回避できるものの、ウニと海藻の共存は果たせない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、海藻の初期幼体を、ウニの食害から保護しつつ、ウニなどの食植動物と海藻とを共存させる海藻着生基盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柔軟性のある上下に細長いシート状であり、下端部が水中で固定位置に設けられる基盤材と、
基盤材から外方に突出して延びる複数の線状体とを有することを特徴とする海藻着生基盤である。
【0007】
また本発明は、基盤材は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、基盤材は、10cm/sの水の振動流に対し、基盤材の上端部が、自然状態から20度以上揺動するばね力を有する材料から成ることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、線状体の基盤材から突出した高さH1が2〜30mmであり、
線状体の相互の間隔L1は、3〜30mmであり、直径100d〜2mmφであることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、線状体の編物または織物であって、厚み方向に複数の透孔が形成された海藻着生基盤であって、
柔軟性を有し、全体の形状が、上下に細長いシート状であり、
下端部が水中で固定位置に設けられることを特徴とする海藻着生基盤である。
【0011】
また本発明は、前記全体の形状は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記基盤は、固定位置で下端部が固定具に、U字状に屈曲されて巻掛けられることによって、固定されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記透孔は、断面積3〜7mm2であり、隣接して形成されることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前述の海藻着生基盤に、海藻を着生させることを特徴とする海藻の着生方法である。
【発明の効果】
【0015】
基盤材は、ウニの這い上がりを抑制するために、合成樹脂、たとえば軟質塩化ビニル等であって、比重が1以上で強度と柔軟性があるものを使用し、表面に凹凸をもつ繊維体を張り付けるなどして固定することによる着生促進効果と物理的衝撃からの初期幼体保護効果を持たせる。基盤材は軟質塩ビ等比重が1以上で強度と柔軟性があるものを使用することによって、基盤材へのウニの這い上がりを抑制するためには、小さい振動流でも容易に揺動できる。
【0016】
表面に凹凸を持つ繊維体を張り付けることによって、海藻の着生促進効果を高める。表面に凹凸を持つ繊維体を張り付けることによって、基盤の振動による物理的衝撃から初期幼体を保護する効果を持たせる。海藻着生基盤材そのものにウニなどの食植動物の侵入抑制効果を持たせることによって、ウニと海藻の共存を図る。前述の第3の先行技術である食植動物の侵入を制御するものでは、エリアからウニなど食植動物を除去することによって効果を発揮するので海藻の生育は良好であるが、前述のように共存できないという問題がある。
【0017】
本発明は、幅5cm〜10cm、長さ20cm〜40cmで海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けた柔軟性のあるシート状材料を用いたウニ等侵入制御機能付海藻着生基盤であり、さらに10cm/sの振動流に対し揺動角度が20度以上確保できる海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けた柔軟性のあるシート状材料を用い、好ましくは、10〜40cm/sの振動流に対しウニ1〜2個体が這い上がった場合でも上記機能を損なわない程度剛性のある海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用い、また好ましくは、50cm/sの振動流に対し局部座屈等による破損を起こさない海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用いる。
上記基盤は、群体に配置し、ウニの食害に対抗する効果を高めることができる。
【0018】
この基盤を構成する基盤材に対し、表面に2mm以上の凸部を持つ繊維体を貼付けることにより、基盤の振動による物理的衝撃から海藻の初期幼体を保護する効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態の海藻着生基盤1を示す断面図である。この基盤1は、基本的に、基盤材2と、その基盤材2から外方に突出する複数の線状体3とを含む。基盤材2の下端部は、固定具4によって水中で海底5に取付けられて固定される。この基盤1には、コンブ6が着生し、このコンブ6は、ウニの摂餌されることが防がれる。こうしてコンブ胞子の着生が促進されるとともに、ウニの摂餌からの幼芽が保護され、海藻の着生が効率よく行われる。
【0020】
図2は、海藻着生基盤1が横方向に間隔L2をあけて配置され、縦方向に間隔L3をあけて群体に配置された状態を示す。このように基盤1が水中で固定位置に群体に配置されることによって、海藻の着生を、さらに効率よく行うことができる。
【0021】
図3は、海藻着生基盤1が図2の状態に比べてさらに高い配置密度で設けられた状態を示す斜視図である。このように群体に配置された基盤1の前記間隔L2は、たとえば5cmであり、間隔L3は、たとえば12.5〜25cmであってもよい。
【0022】
図4は、海藻着生基盤1の構成を示す分解斜視図である。基盤材2は、柔軟性のある上下に細長いシート状であり、その下端部8は、水中で前述のように海底5などの固定位置に設けられる。固定具4は、基盤断面がL字状である第1固定部材11と、平板状の第2固定部材12とを含む。第1固定部材11は、固定位置に固定される取付部13と、この取付部13から垂直に立ち上がって基盤材2の下端部8の一方表面に当接するもう1つの取付部14とを有する。第2固定部材12は、基盤材2の下端部8における他方の表面に当接する。1または複数のボルト15は、取付部14、基盤材2の下端部8および第2取付部材12をこの順序で挿通し、ナット16に螺合して固定される。固定具4は、たとえば金属製であってもよく、ステンレス鋼などの材料から成ってもよい。
【0023】
基盤材2は、合成樹脂材料から成り、たとえば軟質塩化ビニル、ナイロンなどの材料から成ってもよく、またウレタンゴムなどの合成ゴムなどの材料から成ってもよく、そのほかの材料から成ってもよい。この基盤材2は、柔軟性を有し、上下に細長いシート状であり、幅L4は、たとえば5〜10cmであり、長さL5は、たとえば20〜40cmであってもよい。この基盤材2は、水中で、10cm/sの水の振動流に対し、上端部17が、自然状態である、たとえば鉛直の直立状態から、角度θ1だけ仮想線18で示されるように揺動して角変位するばね力を有する。角度θ1は、たとえば20度以上であり、90度未満であり、たとえば20〜60度であってもよい。
【0024】
図5は、海藻着生基盤1の拡大断面図である。基盤材2の両表面には、複数の線状体3の基端部が固定して立設される。線状体3の基盤材2の表面から突出した高さH1は、たとえば2〜30mmであり、線状体3の相互の間隔L1は、3〜30mmであってもよい。線状体3は、直円柱状であり、直径100d〜2mmφである。
【0025】
線状体3は、たとえばポリ乳酸、ナイロン(商品名)Ny、ポリエチレンPE、ポリプロピレンPPなどの合成樹脂材料から成ってもよい。線状体3の太さは、100d以上のモノフィラメントであってもよいが、マルチフィラメントの場合、1本のフィラメントの太さが100d以上ある必要がある。線状体3は、弾発性を有し、海藻の食害を生じるウニ、アワビ、バテイラなどの貝類の重量によって橈んでもよいが押しつぶされない程度のばね力を有し、たとえば人の歯ブラシの線状体程度のばね力を有してもよく、あるいはまた可撓性を有してもよいが、剛性であってもよい。線状体3の軸線は直線状であり、表面14に垂直であってもよいが、90°以外の角度で傾斜していてもよく、あるいはまた弯曲した形状であってもよい。線状体3の太さD1は、100d(デニール)〜外径5mmφであり、たとえば円形断面を有する。線状体3の基体2から図3の上方に突出した高さH1は、1〜5mmであってもよいが、1〜30mmであってもよい。線状体3の基端部の相互間の間隔L1は、1〜3mmであってもよいが、3〜30mmであってもよい。線状体3の外径D1、高さH1および相互間の間隔L1が、前述の範囲の外では、ウニ、アワビおよびバテイラなどの食植動物などによる食害が著しい。
【0026】
この基盤1には、海中で、ホンダワラの受精卵11およびコンブの遊走子が付着し、着生して育苗する。線状体3に着生した海藻は、着生力が弱く、海水中で波に対して不安定である。ホンダワラの受精卵は、100〜500μmφであり、自重で落下して線状体3に絡むなどして付着する。コンブ科の胞子である遊走子は、長さ10〜50μmであり、水中を漂い、線状体3に絡むなどして付着する。基盤1の線状体3が突出する表面は平滑であっても、前述の受精卵および遊走子12の付着は充分に達成されるが、さらにその表面は多孔質であってもよく、または凹凸が存在してもよい。
【0027】
基盤1にはさらに、受精卵および遊走子の着生、育苗を促進するために、2価鉄、ケイ素、リンなどを含有し、長期にわたって海水中に溶出して栄養を供給するようにしてもよい。
【0028】
基盤材2の厚みL6は、たとえば0.5〜6mmであってもよいが、たとえば1〜3mmが好ましく、特に2mmが好ましい。
【0029】
本発明のウニ等侵入制御機能付き海藻着生基盤は、10〜40cm/sの振動流に対し、ウニ1〜2個体が這い上がった場合でも、上記機能を損なわない程度、剛性のある海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用いる。また50cm/sの振動流に対し、局部座屈等による破損を起こさない海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用いる。
【0030】
図6は、本発明の実施の他の形態の簡略化した斜視図である。図6に示される基盤1は、その下端部8において水中セメント19などの接着剤によって海底5などの固定位置に取付けられてもよい。こうして固定具4を用いることなく、取付けのための構成が簡略化される。
【0031】
図7は、本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤21の斜視図である。図8は、海藻着生基盤21の側面図である。この基盤21は、線状体の編物または織物であり、柔軟性を有し、全体の形状が上下に細長いシート状である。基盤21の下端部22は、水中で、たとえば海底5などの固定位置に設けられる。この下端部22は、固定位置に配置された、たとえば水平方向に延びる横に細長い棒状の固定具23に、その固定具23の下部を、たとえば約半周にわたってU字状に屈曲されて巻掛けられることによって、固定されてもよい。固定具23は、たとえば金属製であってもよく、あるいはまたセメントなどの材料から成ってもよく、本件基盤21が配置される海底5に沈んだままであるように、比重は水よりも大きい。
【0032】
図9は、図7および図8に示される海藻着生基盤21の正面図である。この基盤21の全体の形状は、前述の基盤材2と同様に幅L4が5〜10cmであり、長さL5が20〜40cmである。基盤21は、厚み方向(図9の紙面に垂直方向、前述の図8の左右方向)に複数の透孔25が隣接して形成される。これらの透孔25は、同一断面形状を有し、基盤21の厚み方向に貫通し、その断面積は、たとえば3〜7mm2であり、図9に示される実施の形態では、正六角形の亀甲状に形成される。
【0033】
図10は、図9に示される基盤21の透孔25の拡大して示す一部の斜視図である。透孔25の一辺の長さL7は、たとえば3mmであり、前述のように正六角形であってもよく、また本発明の実施の他の形態では、この透孔25の前述の一辺L7は3mmであり、対向する辺間の間隔L8は、3mmであり、上下の長さL9は6mmであってもよい。厚み方向に延びる線状体27は、合成樹脂性繊維であり、330d(デニル)、1f(フィラメント)であり、厚み方向の両端部の繊維28は、210d、48fであってもよい。この透孔25の軸線方向の長さ、すなわち基盤21の厚みL6は、たとえば2〜10mmであってもよく、3.5〜7.0mmであってもよく、さらにそのほかの値に選ばれてもよい。このような立体網と呼ぶことができる基盤21を、前述の長さL5の2以上の整数倍の長さに設定し、上下に屈曲してジグザグ状に、固定具23によって下端部22を固定するようにしてもよい。図7および図8では、基盤21は、上下の長さL5の約2倍の長さに連続して製造される。
【0034】
図11は、本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤31の正面図である。この基盤31は、前述の図7〜図10に示される実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施の形態では、透孔35は、正方形または長方形の矩形である。
【0035】
図12は、図11に示される海藻着生基盤31の透孔35を示す簡略化した斜視図である。透孔35の幅L11は、たとえば2mmであり、上下の長さL12は、たとえば3mmであってもよい。透孔35の厚みL13は、たとえば1〜10mmであってもよく、前述のように2〜8mmであってもよく、3.5〜7mmであってもよい。この透孔35の厚み方向の線状体27は、たとえば330d、1fである。この透孔35の厚み方向の両端部の繊維28,29は、210d、48fであってもよい。これらの海藻着生基盤21,31は、前述の固定具4によって海底5などの固定位置に取付けられてもよいが、図6の水中セメントなどから成る接着剤19によって取付けられるようにしてもよい。
【0036】
図13は、前述の本発明の海藻着生基盤1,21,31が取付けられる海の状態を示す簡略化した断面図である。内湾41では、海水の流速が低く、ウニは活発になり、海底5および基盤1,21,31には、泥が堆積しやすい。本発明では、これらの基盤1の基盤材2および基盤21,31は、可撓性であり、ばね力を有し、柔軟性があるので、その揺動によって、泥が付着することを回避することができる。内湾41では、基盤1,21,31は、上下に延び、したがって海底5よりも高い位置で流速ができるだけ高い領域で接触することができ、このことによって泥の付着を回避することができ、海藻の着生を促進することができる。もしも仮に、基盤1,21,31が水平な姿勢で海底5に固定されているとすれば、その海底5を、隆起部42よりも内方(図13の右方)の内湾41で参照符43に示されるように高く配置し、泥の堆積を少なくし、ウニが生息しないようにしなければならず、そのような土木工事は、大掛かりとなるという問題がある。本発明はこのような問題を解決する。隆起部42よりも図13の左方は波44が内湾41に比べて大きい外洋である。
【0037】
本件発明者の実験結果を述べる。実施例1〜6は、北海道江良漁港で平成15年3月1日〜3月13日に設置し、海藻6であるホソメコンブの着生量を測定した。実施例1〜4は、図1〜図5の構成を有し、実施例5,6は、図6〜図10の構成を有する。比較例1,2は、図1〜図5の構成を有する。基盤材2および基盤21,31は、幅6cm、長さ30cm、厚み2mmであり、線状体3の直径100dである。
【0038】
【表1】
【0039】
本発明によれば、海藻着生基盤1,21が有効であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態の海藻着生基盤1を示す断面図である。
【図2】海藻着生基盤1が横方向に間隔L2をあけて配置され、縦方向に間隔L3をあけて群体に配置された状態を示す。
【図3】海藻着生基盤1が図2の状態に比べてさらに高い配置密度で設けられた状態を示す斜視図である。
【図4】海藻着生基盤1の構成を示す分解斜視図である。
【図5】海藻着生基盤1の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の他の形態の簡略化した斜視図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤21の斜視図である。
【図8】海藻着生基盤21の側面図である。
【図9】図7および図8に示される海藻着生基盤21の表面図である。
【図10】図9に示される基盤21の透孔25の拡大して示す一部の斜視図である。
【図11】本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤31の正面図である。
【図12】図11に示される海藻着生基盤31の透孔35を示す簡略化した斜視図である。
【図13】前述の本発明の海藻着生基盤1,21,31が取付けられる海の状態を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1,21,31 基盤
2 基盤材
3,27 線状体
5 海底
6 コンブ
8,22 下端部
11 第1固定部材
12 第2固定部材
19 水中セメント
28,29 繊維
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウニなど底性食植動物による食害が見られる海域における藻場造成をするために有利に実施することができる海藻着生基盤に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の先行技術である従来の人工海藻は、シート状の高オレフィン系発泡体をテープ状に加工し、海底から立ち上げることによって海藻の着生を促進するもの、ゴム系リサイクル発泡体を疑似コンブ状に加工し海藻の着生を促進するものがある。これらの人工海藻は一般的に外力の比較的弱い内湾等で用いられ、魚礁的働きのほか、海藻着生基盤としても利用されている。基盤材は発泡体であるため、そのためウニが生息するような海域で使用した場合、振動流によって気泡部は局部的に座屈し、破損する。また、表面形状は平滑であるので、大型海藻が着生、成長後に固着力を保持することができない。
【0003】
また、第2の先行技術である従来の着生促進基質としては表面形状に微細な凹凸があるポーラス状のものがある。この海藻着生促進基質は、着生促進効果はあるものの、食植動物の侵入を抑制する働きのものはない。
【0004】
第3の先行技術である従来の食植動物の侵入を制御するものとしてはしなやかな繊維ネットを束状にし海中で揺動させることでウニ等の侵入を抑制するものがある。このような食植動物の侵入を制御するものは、エリア内から食植動物をある程度除去後再び侵入を制御するものであり、エリア内における海藻への食圧は回避できるものの、ウニと海藻の共存は果たせない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、海藻の初期幼体を、ウニの食害から保護しつつ、ウニなどの食植動物と海藻とを共存させる海藻着生基盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柔軟性のある上下に細長いシート状であり、下端部が水中で固定位置に設けられる基盤材と、
基盤材から外方に突出して延びる複数の線状体とを有することを特徴とする海藻着生基盤である。
【0007】
また本発明は、基盤材は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、基盤材は、10cm/sの水の振動流に対し、基盤材の上端部が、自然状態から20度以上揺動するばね力を有する材料から成ることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、線状体の基盤材から突出した高さH1が2〜30mmであり、
線状体の相互の間隔L1は、3〜30mmであり、直径100d〜2mmφであることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、線状体の編物または織物であって、厚み方向に複数の透孔が形成された海藻着生基盤であって、
柔軟性を有し、全体の形状が、上下に細長いシート状であり、
下端部が水中で固定位置に設けられることを特徴とする海藻着生基盤である。
【0011】
また本発明は、前記全体の形状は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記基盤は、固定位置で下端部が固定具に、U字状に屈曲されて巻掛けられることによって、固定されることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記透孔は、断面積3〜7mm2であり、隣接して形成されることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前述の海藻着生基盤に、海藻を着生させることを特徴とする海藻の着生方法である。
【発明の効果】
【0015】
基盤材は、ウニの這い上がりを抑制するために、合成樹脂、たとえば軟質塩化ビニル等であって、比重が1以上で強度と柔軟性があるものを使用し、表面に凹凸をもつ繊維体を張り付けるなどして固定することによる着生促進効果と物理的衝撃からの初期幼体保護効果を持たせる。基盤材は軟質塩ビ等比重が1以上で強度と柔軟性があるものを使用することによって、基盤材へのウニの這い上がりを抑制するためには、小さい振動流でも容易に揺動できる。
【0016】
表面に凹凸を持つ繊維体を張り付けることによって、海藻の着生促進効果を高める。表面に凹凸を持つ繊維体を張り付けることによって、基盤の振動による物理的衝撃から初期幼体を保護する効果を持たせる。海藻着生基盤材そのものにウニなどの食植動物の侵入抑制効果を持たせることによって、ウニと海藻の共存を図る。前述の第3の先行技術である食植動物の侵入を制御するものでは、エリアからウニなど食植動物を除去することによって効果を発揮するので海藻の生育は良好であるが、前述のように共存できないという問題がある。
【0017】
本発明は、幅5cm〜10cm、長さ20cm〜40cmで海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けた柔軟性のあるシート状材料を用いたウニ等侵入制御機能付海藻着生基盤であり、さらに10cm/sの振動流に対し揺動角度が20度以上確保できる海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けた柔軟性のあるシート状材料を用い、好ましくは、10〜40cm/sの振動流に対しウニ1〜2個体が這い上がった場合でも上記機能を損なわない程度剛性のある海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用い、また好ましくは、50cm/sの振動流に対し局部座屈等による破損を起こさない海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用いる。
上記基盤は、群体に配置し、ウニの食害に対抗する効果を高めることができる。
【0018】
この基盤を構成する基盤材に対し、表面に2mm以上の凸部を持つ繊維体を貼付けることにより、基盤の振動による物理的衝撃から海藻の初期幼体を保護する効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態の海藻着生基盤1を示す断面図である。この基盤1は、基本的に、基盤材2と、その基盤材2から外方に突出する複数の線状体3とを含む。基盤材2の下端部は、固定具4によって水中で海底5に取付けられて固定される。この基盤1には、コンブ6が着生し、このコンブ6は、ウニの摂餌されることが防がれる。こうしてコンブ胞子の着生が促進されるとともに、ウニの摂餌からの幼芽が保護され、海藻の着生が効率よく行われる。
【0020】
図2は、海藻着生基盤1が横方向に間隔L2をあけて配置され、縦方向に間隔L3をあけて群体に配置された状態を示す。このように基盤1が水中で固定位置に群体に配置されることによって、海藻の着生を、さらに効率よく行うことができる。
【0021】
図3は、海藻着生基盤1が図2の状態に比べてさらに高い配置密度で設けられた状態を示す斜視図である。このように群体に配置された基盤1の前記間隔L2は、たとえば5cmであり、間隔L3は、たとえば12.5〜25cmであってもよい。
【0022】
図4は、海藻着生基盤1の構成を示す分解斜視図である。基盤材2は、柔軟性のある上下に細長いシート状であり、その下端部8は、水中で前述のように海底5などの固定位置に設けられる。固定具4は、基盤断面がL字状である第1固定部材11と、平板状の第2固定部材12とを含む。第1固定部材11は、固定位置に固定される取付部13と、この取付部13から垂直に立ち上がって基盤材2の下端部8の一方表面に当接するもう1つの取付部14とを有する。第2固定部材12は、基盤材2の下端部8における他方の表面に当接する。1または複数のボルト15は、取付部14、基盤材2の下端部8および第2取付部材12をこの順序で挿通し、ナット16に螺合して固定される。固定具4は、たとえば金属製であってもよく、ステンレス鋼などの材料から成ってもよい。
【0023】
基盤材2は、合成樹脂材料から成り、たとえば軟質塩化ビニル、ナイロンなどの材料から成ってもよく、またウレタンゴムなどの合成ゴムなどの材料から成ってもよく、そのほかの材料から成ってもよい。この基盤材2は、柔軟性を有し、上下に細長いシート状であり、幅L4は、たとえば5〜10cmであり、長さL5は、たとえば20〜40cmであってもよい。この基盤材2は、水中で、10cm/sの水の振動流に対し、上端部17が、自然状態である、たとえば鉛直の直立状態から、角度θ1だけ仮想線18で示されるように揺動して角変位するばね力を有する。角度θ1は、たとえば20度以上であり、90度未満であり、たとえば20〜60度であってもよい。
【0024】
図5は、海藻着生基盤1の拡大断面図である。基盤材2の両表面には、複数の線状体3の基端部が固定して立設される。線状体3の基盤材2の表面から突出した高さH1は、たとえば2〜30mmであり、線状体3の相互の間隔L1は、3〜30mmであってもよい。線状体3は、直円柱状であり、直径100d〜2mmφである。
【0025】
線状体3は、たとえばポリ乳酸、ナイロン(商品名)Ny、ポリエチレンPE、ポリプロピレンPPなどの合成樹脂材料から成ってもよい。線状体3の太さは、100d以上のモノフィラメントであってもよいが、マルチフィラメントの場合、1本のフィラメントの太さが100d以上ある必要がある。線状体3は、弾発性を有し、海藻の食害を生じるウニ、アワビ、バテイラなどの貝類の重量によって橈んでもよいが押しつぶされない程度のばね力を有し、たとえば人の歯ブラシの線状体程度のばね力を有してもよく、あるいはまた可撓性を有してもよいが、剛性であってもよい。線状体3の軸線は直線状であり、表面14に垂直であってもよいが、90°以外の角度で傾斜していてもよく、あるいはまた弯曲した形状であってもよい。線状体3の太さD1は、100d(デニール)〜外径5mmφであり、たとえば円形断面を有する。線状体3の基体2から図3の上方に突出した高さH1は、1〜5mmであってもよいが、1〜30mmであってもよい。線状体3の基端部の相互間の間隔L1は、1〜3mmであってもよいが、3〜30mmであってもよい。線状体3の外径D1、高さH1および相互間の間隔L1が、前述の範囲の外では、ウニ、アワビおよびバテイラなどの食植動物などによる食害が著しい。
【0026】
この基盤1には、海中で、ホンダワラの受精卵11およびコンブの遊走子が付着し、着生して育苗する。線状体3に着生した海藻は、着生力が弱く、海水中で波に対して不安定である。ホンダワラの受精卵は、100〜500μmφであり、自重で落下して線状体3に絡むなどして付着する。コンブ科の胞子である遊走子は、長さ10〜50μmであり、水中を漂い、線状体3に絡むなどして付着する。基盤1の線状体3が突出する表面は平滑であっても、前述の受精卵および遊走子12の付着は充分に達成されるが、さらにその表面は多孔質であってもよく、または凹凸が存在してもよい。
【0027】
基盤1にはさらに、受精卵および遊走子の着生、育苗を促進するために、2価鉄、ケイ素、リンなどを含有し、長期にわたって海水中に溶出して栄養を供給するようにしてもよい。
【0028】
基盤材2の厚みL6は、たとえば0.5〜6mmであってもよいが、たとえば1〜3mmが好ましく、特に2mmが好ましい。
【0029】
本発明のウニ等侵入制御機能付き海藻着生基盤は、10〜40cm/sの振動流に対し、ウニ1〜2個体が這い上がった場合でも、上記機能を損なわない程度、剛性のある海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用いる。また50cm/sの振動流に対し、局部座屈等による破損を起こさない海藻着生促進効果を高めるために繊維状の凹凸を設けたシート状材料を用いる。
【0030】
図6は、本発明の実施の他の形態の簡略化した斜視図である。図6に示される基盤1は、その下端部8において水中セメント19などの接着剤によって海底5などの固定位置に取付けられてもよい。こうして固定具4を用いることなく、取付けのための構成が簡略化される。
【0031】
図7は、本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤21の斜視図である。図8は、海藻着生基盤21の側面図である。この基盤21は、線状体の編物または織物であり、柔軟性を有し、全体の形状が上下に細長いシート状である。基盤21の下端部22は、水中で、たとえば海底5などの固定位置に設けられる。この下端部22は、固定位置に配置された、たとえば水平方向に延びる横に細長い棒状の固定具23に、その固定具23の下部を、たとえば約半周にわたってU字状に屈曲されて巻掛けられることによって、固定されてもよい。固定具23は、たとえば金属製であってもよく、あるいはまたセメントなどの材料から成ってもよく、本件基盤21が配置される海底5に沈んだままであるように、比重は水よりも大きい。
【0032】
図9は、図7および図8に示される海藻着生基盤21の正面図である。この基盤21の全体の形状は、前述の基盤材2と同様に幅L4が5〜10cmであり、長さL5が20〜40cmである。基盤21は、厚み方向(図9の紙面に垂直方向、前述の図8の左右方向)に複数の透孔25が隣接して形成される。これらの透孔25は、同一断面形状を有し、基盤21の厚み方向に貫通し、その断面積は、たとえば3〜7mm2であり、図9に示される実施の形態では、正六角形の亀甲状に形成される。
【0033】
図10は、図9に示される基盤21の透孔25の拡大して示す一部の斜視図である。透孔25の一辺の長さL7は、たとえば3mmであり、前述のように正六角形であってもよく、また本発明の実施の他の形態では、この透孔25の前述の一辺L7は3mmであり、対向する辺間の間隔L8は、3mmであり、上下の長さL9は6mmであってもよい。厚み方向に延びる線状体27は、合成樹脂性繊維であり、330d(デニル)、1f(フィラメント)であり、厚み方向の両端部の繊維28は、210d、48fであってもよい。この透孔25の軸線方向の長さ、すなわち基盤21の厚みL6は、たとえば2〜10mmであってもよく、3.5〜7.0mmであってもよく、さらにそのほかの値に選ばれてもよい。このような立体網と呼ぶことができる基盤21を、前述の長さL5の2以上の整数倍の長さに設定し、上下に屈曲してジグザグ状に、固定具23によって下端部22を固定するようにしてもよい。図7および図8では、基盤21は、上下の長さL5の約2倍の長さに連続して製造される。
【0034】
図11は、本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤31の正面図である。この基盤31は、前述の図7〜図10に示される実施の形態に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施の形態では、透孔35は、正方形または長方形の矩形である。
【0035】
図12は、図11に示される海藻着生基盤31の透孔35を示す簡略化した斜視図である。透孔35の幅L11は、たとえば2mmであり、上下の長さL12は、たとえば3mmであってもよい。透孔35の厚みL13は、たとえば1〜10mmであってもよく、前述のように2〜8mmであってもよく、3.5〜7mmであってもよい。この透孔35の厚み方向の線状体27は、たとえば330d、1fである。この透孔35の厚み方向の両端部の繊維28,29は、210d、48fであってもよい。これらの海藻着生基盤21,31は、前述の固定具4によって海底5などの固定位置に取付けられてもよいが、図6の水中セメントなどから成る接着剤19によって取付けられるようにしてもよい。
【0036】
図13は、前述の本発明の海藻着生基盤1,21,31が取付けられる海の状態を示す簡略化した断面図である。内湾41では、海水の流速が低く、ウニは活発になり、海底5および基盤1,21,31には、泥が堆積しやすい。本発明では、これらの基盤1の基盤材2および基盤21,31は、可撓性であり、ばね力を有し、柔軟性があるので、その揺動によって、泥が付着することを回避することができる。内湾41では、基盤1,21,31は、上下に延び、したがって海底5よりも高い位置で流速ができるだけ高い領域で接触することができ、このことによって泥の付着を回避することができ、海藻の着生を促進することができる。もしも仮に、基盤1,21,31が水平な姿勢で海底5に固定されているとすれば、その海底5を、隆起部42よりも内方(図13の右方)の内湾41で参照符43に示されるように高く配置し、泥の堆積を少なくし、ウニが生息しないようにしなければならず、そのような土木工事は、大掛かりとなるという問題がある。本発明はこのような問題を解決する。隆起部42よりも図13の左方は波44が内湾41に比べて大きい外洋である。
【0037】
本件発明者の実験結果を述べる。実施例1〜6は、北海道江良漁港で平成15年3月1日〜3月13日に設置し、海藻6であるホソメコンブの着生量を測定した。実施例1〜4は、図1〜図5の構成を有し、実施例5,6は、図6〜図10の構成を有する。比較例1,2は、図1〜図5の構成を有する。基盤材2および基盤21,31は、幅6cm、長さ30cm、厚み2mmであり、線状体3の直径100dである。
【0038】
【表1】
【0039】
本発明によれば、海藻着生基盤1,21が有効であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態の海藻着生基盤1を示す断面図である。
【図2】海藻着生基盤1が横方向に間隔L2をあけて配置され、縦方向に間隔L3をあけて群体に配置された状態を示す。
【図3】海藻着生基盤1が図2の状態に比べてさらに高い配置密度で設けられた状態を示す斜視図である。
【図4】海藻着生基盤1の構成を示す分解斜視図である。
【図5】海藻着生基盤1の拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の他の形態の簡略化した斜視図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤21の斜視図である。
【図8】海藻着生基盤21の側面図である。
【図9】図7および図8に示される海藻着生基盤21の表面図である。
【図10】図9に示される基盤21の透孔25の拡大して示す一部の斜視図である。
【図11】本発明の実施の他の形態の海藻着生基盤31の正面図である。
【図12】図11に示される海藻着生基盤31の透孔35を示す簡略化した斜視図である。
【図13】前述の本発明の海藻着生基盤1,21,31が取付けられる海の状態を示す簡略化した断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1,21,31 基盤
2 基盤材
3,27 線状体
5 海底
6 コンブ
8,22 下端部
11 第1固定部材
12 第2固定部材
19 水中セメント
28,29 繊維
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性のある上下に細長いシート状であり、下端部が水中で固定位置に設けられる基盤材と、
基盤材から外方に突出して延びる複数の線状体とを有することを特徴とする海藻着生基盤。
【請求項2】
基盤材は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする請求項1記載の海藻着生基盤。
【請求項3】
基盤材は、10cm/sの水の振動流に対し、基盤材の上端部が、自然状態から20度以上揺動するばね力を有する材料から成ることを特徴とする請求項1または2記載の海藻着生基盤。
【請求項4】
線状体の基盤材から突出した高さH1が2〜30mmであり、
線状体の相互の間隔L1は、3〜30mmであり、直径100d〜2mmφであることを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに記載の海藻着生基盤。
【請求項5】
線状体の編物または織物であって、厚み方向に複数の透孔が形成された海藻着生基盤であって、
柔軟性を有し、全体の形状が、上下に細長いシート状であり、
下端部が水中で固定位置に設けられることを特徴とする海藻着生基盤。
【請求項6】
前記全体の形状は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする請求項5記載の海藻着生基盤。
【請求項7】
前記基盤は、固定位置で下端部が固定具に、U字状に屈曲されて巻掛けられることによって、固定されることを特徴とする請求項5または6記載の海藻着生基盤。
【請求項8】
前記透孔は、断面積3〜7mm2であり、隣接して形成されることを特徴とする請求項5〜7のうちの1つに記載の海藻着生基盤。
【請求項9】
請求項1〜7のうちの1つに記載の海藻着生基盤に、海藻を着生させることを特徴とする海藻の着生方法。
【請求項1】
柔軟性のある上下に細長いシート状であり、下端部が水中で固定位置に設けられる基盤材と、
基盤材から外方に突出して延びる複数の線状体とを有することを特徴とする海藻着生基盤。
【請求項2】
基盤材は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする請求項1記載の海藻着生基盤。
【請求項3】
基盤材は、10cm/sの水の振動流に対し、基盤材の上端部が、自然状態から20度以上揺動するばね力を有する材料から成ることを特徴とする請求項1または2記載の海藻着生基盤。
【請求項4】
線状体の基盤材から突出した高さH1が2〜30mmであり、
線状体の相互の間隔L1は、3〜30mmであり、直径100d〜2mmφであることを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに記載の海藻着生基盤。
【請求項5】
線状体の編物または織物であって、厚み方向に複数の透孔が形成された海藻着生基盤であって、
柔軟性を有し、全体の形状が、上下に細長いシート状であり、
下端部が水中で固定位置に設けられることを特徴とする海藻着生基盤。
【請求項6】
前記全体の形状は、幅5〜10cm、長さ20〜40cmであることを特徴とする請求項5記載の海藻着生基盤。
【請求項7】
前記基盤は、固定位置で下端部が固定具に、U字状に屈曲されて巻掛けられることによって、固定されることを特徴とする請求項5または6記載の海藻着生基盤。
【請求項8】
前記透孔は、断面積3〜7mm2であり、隣接して形成されることを特徴とする請求項5〜7のうちの1つに記載の海藻着生基盤。
【請求項9】
請求項1〜7のうちの1つに記載の海藻着生基盤に、海藻を着生させることを特徴とする海藻の着生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−262864(P2006−262864A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89837(P2005−89837)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(501218810)独立行政法人北海道開発土木研究所 (10)
【出願人】(000182247)サカイオーベックス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(501218810)独立行政法人北海道開発土木研究所 (10)
【出願人】(000182247)サカイオーベックス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]