説明

液晶装置の製造装置、及び液晶装置の製造方法

【課題】高い生産性で無機配向膜を形成する。
【解決手段】対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の基板の内面側に無機配向膜を形成してなる。成膜室2、2と、成膜室内にて基板Wに配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置3とを備える。スパッタ装置は、プラズマ生成領域を挟んで対向する一対のターゲット5a、5bと、プラズマ生成領域を挟む両側に配置されプラズマ生成領域からスパッタ粒子5pをそれぞれ放出する開口部3a、3aとを有する。成膜室は、開口部のそれぞれに対応して設けられる。開口部は、成膜室の基板の無機配向膜形成面に対して斜め方向からスパッタ粒子を入射させる位置にそれぞれ配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置の製造装置、及び液晶装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、表示画像を形成するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。しかし、このようなラビング法は簡便であるものの、物理的にポリイミド膜をこすることでポリイミド膜に対して配向特性を付与するために、種々の不都合が指摘されている。具体的には、(1)配向性の均一さを確保することが困難であること、(2)ラビング処理時の筋跡が残り易いこと、(3)配向方向の制御およびプレチルト角の選択的な制御が可能ではなく、また広視野角を得るために用いられるマルチドメインを使用した液晶パネルには適さないこと、(4)ガラス基板からの静電気による薄膜トランジスタ素子の破壊や、配向膜の破壊が生じ、歩留まりを低下させること、(5)ラビング布からのダスト発生による表示不良が発生しがちであること、などである。
【0004】
また、このような有機物からなる配向膜では、液晶プロジェクタのような高出力光源を備えた機器に用いた場合、光エネルギーにより有機物がダメージを受けて配向不良を生じてしまう。特に、プロジェクタの小型化および高輝度化を図った場合には、液晶パネルに入射する単位面積あたりのエネルギーが増加し、入射光の吸収によりポリイミドそのものが分解し、また、光を吸収したことによる発熱でさらにその分解が加速される。その結果、配向膜に多大なダメージが付加され、機器の表示特性が低下してしまう。
【0005】
そこで、このような不都合を解消するため、ターゲットから放出されるスパッタ粒子が1方向から斜めに基板に入射するようにスパッタリングを実施することにより、基板に対して斜め方向に結晶成長した複数の柱状構造を有する無機材料からなる配向膜を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。このような方法によれば、得られる無機配向膜は高い信頼性を有するものと期待されている。
【特許文献1】特開2004−170744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
斜め方向にスパッタ粒子を入射させることから、基板上に成膜される無機配向膜の成膜レートが遅く、量産を想定した場合には生産性が高いとはいえず、生産性に優れた装置が求められていた。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、高い生産性で無機配向膜を形成できるようにした液晶装置の製造装置及び液晶装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の液晶装置の製造装置は、対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置とを備え、前記スパッタ装置は、プラズマ生成領域を挟んで対向する一対のターゲットと、前記プラズマ生成領域を挟む両側に配置され該プラズマ生成領域からスパッタ粒子をそれぞれ放出する開口部とを有し、前記成膜室は、前記開口部のそれぞれに対応して設けられ、前記開口部は、前記成膜室の前記基板の無機配向膜形成面に対して斜め方向から前記スパッタ粒子を入射させる位置にそれぞれ配置されていることを特徴とするものである。
従って、本発明の液晶装置の製造装置では、対向ターゲット型のスパッタ装置を備えたことで、所定の方向に選択的にスパッタ粒子を放出することを可能にし、さらに前記スパッタ装置の開口部を、放出されたスパッタ粒子が基板に対して斜めに入射する位置に配置しているので、基板に対して入射角を規制されたスパッタ粒子を堆積させることができ、柱状構造の無機配向膜を容易に形成することができる。そして、上記開口部がプラズマ生成領域を挟む両側に配置され、各開口部に対応して成膜室が設けられることから、プラズマ生成領域から放出されたスパッタ粒子により、両成膜室の基板に同時に無機配向膜を形成することが可能になり、スパッタ粒子が1方向から斜めに基板に入射するようにスパッタリングを実施して成膜レートが遅い場合でも、高い生産性で無機配向膜を形成することができる。
【0009】
前記基板としては、前記成膜室にて前記無機配向膜形成面を略鉛直方向に沿わせて支持される構成を好適に採用できる。
従って、本発明の液晶装置の製造装置では、成膜室で浮遊(飛散)するパーティクル(塵埃)が自重で下降して、基板の無機配向膜形成面に堆積し、無機配向膜の品質が低下することを防止できる。
【0010】
また、本発明では、前記成膜室で前記基板を支持して、前記スパッタ粒子の放出方向と交差して往復移動自在な移動装置を有する構成も好適に採用できる。
従って、本発明では、放出されるスパッタ粒子に対して往路及び復路の双方でスパッタ粒子を基板の無機配向膜形成面に堆積させることができ、一方向のみで堆積させる場合と比較して、大幅に生産性を高めることが可能になる。
【0011】
また、本発明では、前記プラズマ生成領域の前記開口部側にそれぞれ設けられて、前記プラズマ生成領域に含まれる電子を捕捉ないし反射する電子拘束手段を有する構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、プラズマの電子が基板の無機配向膜形成面に到達しないようにすることができ、プラズマの影響による基板表面の濡れ性の上昇を抑え、スパッタ粒子の拡散によって柱状構造の形成が阻害されるのを防止することができる。従って本発明の製造装置によれば、所望形状の柱状構造を有する配向性に優れた配向膜を具備した液晶装置を容易に製造することができる。
【0012】
また、本発明では、前記プラズマ生成領域に第1のスパッタガスを流通させる第1のガス供給手段と、前記スパッタ粒子と反応して前記無機配向膜を前記基板上に形成する第2のスパッタガスを前記開口部の外側において前記基板上に流通させる第2のガス供給手段とを備える構成も好適に採用できる。
従って、本発明では、スパッタ装置と成膜室とで異なるスパッタガスを流通させる構成を採用していることで、反応性ガスのプラズマによって反応性ガスのイオンやラジカルが発生するのを防止することができる。従って反応性ガスのイオンやラジカルによる基板表面の濡れ性の上昇を抑制することができ、所望形状の柱状構造の形成を促進して配向性の良好な無機配向膜を基板上に形成することができる。このように本発明の製造装置によれば、配向性に優れる配向膜を具備した液晶装置を容易に製造することができる。
【0013】
また、本発明では、前記開口部と前記基板との間に、接地電位に保持された金属製メッシュが設けられる構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記電子拘束手段から電子やイオン状物質が漏れ出た場合であっても、金属製メッシュによりこれらの荷電粒子を捕捉し除去することができるので、基板表面にプラズマの影響が及ぶのを効果的に防止することができ、基板表面の濡れ性の上昇によって柱状構造の形成が阻害されるのを防ぐことができる。これにより、配向性の良好な無機配向膜を容易に得られるようになる。
【0014】
また、本発明では、前記開口部と前記基板との間に、前記スパッタ粒子の前記基板に対する入射角度を規制するべく接地電位に保持された筒状体が設けられる構成も好適に採用できる。
これにより、本発明では、前記筒状体によってスパッタ装置から漏れ出た電子を捕捉し除去することができる。また筒状体によりスパッタ粒子の角度規制を行えることから、スパッタ粒子の基板に対する入射角度を均一にし、均一な柱状構造の無機配向膜を形成できるようになる。
【0015】
一方、本発明の液晶装置の製造方法は、対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造方法であって、成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置とを設け、前記スパッタ装置に、プラズマ生成領域を挟んで対向する一対のターゲットと、前記プラズマ生成領域を挟む両側に配置され該プラズマ生成領域からスパッタ粒子をそれぞれ放出する開口部とを設け、前記成膜室を前記開口部のそれぞれに対応して設け、前記成膜室の前記基板の無機配向膜形成面に対して、それぞれ斜め方向から前記スパッタ粒子を入射させる工程を有することを特徴とするものである。従って、本発明の液晶装置の製造方法では、対向ターゲット型のスパッタ装置を備えたことで、所定の方向に選択的にスパッタ粒子を放出することを可能にし、さらに前記スパッタ装置の開口部を、放出されたスパッタ粒子が基板に対して斜めに入射する位置に配置しているので、基板に対して入射角を規制されたスパッタ粒子を堆積させることができ、柱状構造の無機配向膜を容易に形成することができる。そして、上記開口部がプラズマ生成領域を挟む両側に配置され、各開口部に対応して成膜室が設けられることから、プラズマ生成領域から放出されたスパッタ粒子により、両成膜室の基板に同時に無機配向膜を形成することが可能になり、スパッタ粒子が1方向から斜めに基板に入射するようにスパッタリングを実施して成膜レートが遅い場合でも、高い生産性で無機配向膜を形成することができる。
【0016】
また、本発明では、前記基板を、前記成膜室にて前記無機配向膜形成面を略鉛直方向に沿わせて支持する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、成膜室で浮遊(飛散)するパーティクル(塵埃)が自重で下降して、基板の無機配向膜形成面に堆積し、無機配向膜の品質が低下することを防止できる。
【0017】
また、本発明では、前記成膜室で前記基板を前記スパッタ粒子の放出方向と交差して往復移動させる工程を有する手順も好適に採用できる。
従って、本発明では、放出されるスパッタ粒子に対して往路及び復路の双方でスパッタ粒子を基板の無機配向膜形成面に堆積させることができ、一方向のみで堆積させる場合と比較して、大幅に生産性を高めることが可能になる。
【0018】
また、本発明では、前記プラズマ生成領域の前記開口部側で前記プラズマ生成領域に含まれる電子を捕捉ないし反射する工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、プラズマの電子が基板の無機配向膜形成面に到達しないようにすることができ、プラズマの影響による基板表面の濡れ性の上昇を抑え、スパッタ粒子の拡散によって柱状構造の形成が阻害されるのを防止することができる。従って本発明の製造装置によれば、所望形状の柱状構造を有する配向性に優れた配向膜を具備した液晶装置を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の液晶装置の製造装置、及び液晶装置の製造方法の実施の形態を、図1ないし図9を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
(液晶装置の製造装置)
図1(a)は本発明の係る液晶装置の製造装置の一実施の形態を示す概略的な平面断面図である。図1(b)は、スパッタ装置3をXa方向に観察した側面構成図である。
なお、図1においては、水平方向にX、Xa、Z、Za方向を設定し、鉛直方向にY方向を設定している。
【0021】
図1(a)に示すように、製造装置1は、液晶装置の構成部材となる基板W上にスパッタ法により無機配向膜を成膜する装置であり、X方向に延びてそれぞれが基板Wを収容する真空チャンバーである成膜室2、2と、前記基板Wの表面に無機材料からなる配向膜をスパッタ法により形成するスパッタ装置3とを備えている。スパッタ装置3は、そのプラズマ生成領域に放電用のアルゴンガス(第1のスパッタガス)を流通させる第1のガス供給手段21を備えており、成膜室2は、内部に収容された基板W上に飛来する配向膜材料と反応して無機配向膜を形成する反応ガスとしての酸素ガス(第2のスパッタガス)を供給する第2のガス供給手段22を備えている。
【0022】
成膜室2は、スパッタ装置3の両側に同様の構成でそれぞれ設けられており、各成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための排気制御装置20が配管20aを介して接続されている。また、成膜室2のスパッタ装置3に臨む側の壁面から外側に突出するようにして、スパッタ装置3との接続部を成す装置接続部25が形成されている。前記装置接続部25は、成膜室2内部に収容される基板Wの成膜面(無機配向膜形成面)法線方向(図示Z軸方向)と所定の角度(θ1)を成して斜め方向に延びて形成されており、その先端部に接続されるスパッタ装置3を基板Wに対して所定の角度で斜めに向けて配置することができるようになっている。
前記第2のガス供給手段22は、装置接続部25に関して排気制御装置20と反対側に接続されており、第2のガス供給手段22から供給される酸素ガスは、矢印22fで示すように、+Z側の成膜室2では+X側から基板W上を経由して排気制御装置20側へ−X方向に流通し、−Z側の成膜室2では−X側から基板W上を経由して排気制御装置20側へ+X方向に流通するようになっている。
【0023】
また実際の製造装置では、成膜室2の真空度を保持した状態での基板Wの搬入/搬出を可能とするロードロックチャンバーが、成膜室2の第1のガス供給手段21側に備えられている。ロードロックチャンバーにも、これを独立して真空雰囲気に調整する排気制御装置が接続され、ロードロックチャンバーと成膜室2とは、チャンバー間を気密に閉塞するゲートバルブを介して接続されている。かかる構成により、成膜室2を大気に解放することなく基板Wの出し入れを行えるようになっている。
【0024】
スパッタ装置3は、2枚(一対)のターゲット5a、5bを対向配置してなる対向ターゲット型のスパッタ装置であり、第1のターゲット5aは略平板状の第1電極9aに装着され、第2のターゲット5bは略平板状の第2電極9bに装着されている。電極9a、9bに支持されたターゲット5a、5bは、基板W上に形成する無機配向膜の構成物質を含む材料、例えばシリコンからなるものとされる。またターゲット5a、5bは図示Y方向に延びる細長い板状のものが用いられており(図2参照)、互いの対向面がほぼ平行になるように設置されている。
第1電極9aには直流電源又は高周波電源からなる電源4aが接続され、第2電極9bには直流電源又は高周波電源からなる電源4bが接続されており、各電源4a、4bから供給される電力によりターゲット5a、5bが対向する空間(プラズマ生成領域)にプラズマPzを発生させるようになっている。
【0025】
第1電極9aのターゲット5aと反対側にはターゲット5aを冷却するための第1の冷却手段8aが設けられており、第1の冷却手段8aには。第1の冷媒循環手段18aが配管等を介して接続されている。また第2電極9bのターゲット5bと反対側には、ターゲット5bを冷却するための第2の冷却手段8bが設けられており、第2の冷却手段8bには、配管等を介して第2の冷媒循環手段18bが接続されている。第1の冷却手段8aは、図1(b)に示すようにターゲット5aとほぼ同一の平面寸法に形成されており、第1電極9aを介してターゲット5aと平面視で重なる位置に配設されている。また特に図示はしないが、第2の冷却手段8bについても同様にターゲット5bと平面視で重なる位置に配設されている。冷却手段8a、8bは内部に冷媒を流通させる冷媒流路を備えており、かかる冷媒流路に対して冷媒循環手段18a、18bから供給される冷媒を循環させることでターゲット5a、5bの冷却を行うようになっている。
【0026】
また、図1(b)に示すように、平面視矩形状の第1の冷却手段8aを取り囲むようにして矩形枠状の永久磁石、電磁石、これらを組み合わせた磁石等からなる第1の磁界発生手段16aが配設されており、図1(a)に示す第2の冷却手段8bを取り囲む第2の磁界発生手段16bも同様の形状である。
なお、冷却手段8a、8bは、導電部材により作製してそれぞれ第1電極9a、9bと電気的に接続してもよく、この場合には冷却手段8a、8bに対しそれぞれ電源4a、4bを電気的に接続することができる。また、第1電極9a、9bの内部に冷媒流路を形成することで第1電極9a、9bが冷却手段を兼ねる構成としてもよい。
【0027】
図2は、図1(a)に示すスパッタ装置3の構成を示す図であり、図2(a)はスパッタ装置3を成膜室2側から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)におけるG−G’矢視図である。
図1及び図2に示すように、第1電極9a及び第2電極9bは、Y軸方向両端部にそれぞれ接続された側壁部材9c、9dとともにスパッタ装置3の真空チャンバーとなる箱形筐体を構成している。ただし、箱形筐体を構成する第1電極9a、第2電極9b、及び側壁部材9c、9dは互いに絶縁された構造である。箱形筐体は、Za方向両端部にスパッタ粒子が排出される開口部3aを有している。そして、開口部3aを介して成膜室2に突出形成された装置接続部25と接続され、かかる接続構造により前記箱形筐体の内部は成膜室2の内部とそれぞれ連通している。
【0028】
図1及び図2に示すように、側壁部材9c、9dには、前記第1のガス供給手段が接続されており、第1のガス供給手段21から供給されるアルゴンガスは、側壁部材9c、9d側からプラズマ生成領域(ターゲット対向領域)に流入し、装置接続部25を介して成膜室2内に流入するようになっている。そして、成膜室2に流入したアルゴンガスは、矢印21fで示すように、第2のガス供給手段22から供給されて矢印22fに沿って流通する酸素ガスと合流して排気制御装置20側へ流れるようになっている。本実施形態の製造装置1では、第1のスパッタガスであるアルゴンガスを図示Za方向に沿って成膜室2側へ流通させ、成膜室2内を流通する酸素ガスと合流させ、その後−X方向(+Z側の成膜室2)または+X方向(−Z側の成膜室2)に流通させるようになっており、第2のスパッタガスである酸素ガスの流通方向と前記アルゴンガスの流通方向との成す角度が鋭角になるようにしてスパッタガスを円滑に流通させるようになっている。これにより、酸素ガスとアルゴンガスとの合流地点においてガス流が乱れるのを防止することができ、基板Wに対するスパッタ粒子5pの入射角度がばらつくのを防止することができる。
【0029】
開口部3a近傍の第1電極9aのターゲット5aと反対側に第1の磁界発生手段16aが配置され、第2電極9bのターゲット5bと反対側には第2の磁界発生手段16bが配置されている。図2(b)に示すように、第2の磁界発生手段16bは、矩形状のターゲット5bの外周端に沿って配置された矩形枠状であり、第1の磁界発生手段16aも同様である。従って第1の磁界発生手段16aと第2の磁界発生手段16bとは、対向配置されたターゲット5a、5bの外周部で互いに対向して配置されている。そして、これらの磁界発生手段16a、16bがターゲット5a、5bを取り囲むXa方向の磁界をスパッタ装置3内に発生させ、かかる磁界によってプラズマPzに含まれる電子をプラズマ生成領域内に拘束する電子拘束手段を構成している。
【0030】
各成膜室2内には、基板Wをその被処理面(成膜面)が鉛直(XY面に平行)になるようにして支持する基板ホルダ6が設けられている。基板ホルダ6には、基板ホルダ6を図示略のロードロックチャンバー(図示せず)側からその反対側へ、及びその逆方向へも往復移動自在で水平に搬送する移動手段(移動装置)6aが接続されている。移動手段6aによる基板Wの搬送方向は、図1においてX軸方向に平行であり、ターゲット5a、5bの長さ方向(Y軸方向)と直交する方向となっている。
【0031】
また、基板ホルダ6には、保持した基板Wを加熱するためのヒータ(加熱手段)7が設けられており、さらに、保持した基板Wを冷却するための第3の冷却手段8cが設けられている。ヒータ7は、電源等を具備した制御部7aに接続されており、制御部7aを介した昇温動作により所望の温度に基板ホルダ6を加熱し、これによって基板Wを所望の温度に加熱できるように構成されている。一方、第3の冷却手段8cは、第3の冷媒循環手段18cと配管等を介して接続されており、第3の冷媒循環手段18cから供給される冷媒を循環させることにより所望の温度に基板ホルダ6を冷却し、これによって基板Wを所望の温度に冷却するように構成されている。
【0032】
上記構成の製造装置1により液晶装置の構成部材である基板W上に無機配向膜を形成するには、第1のガス供給手段21からアルゴンガスを導入しつつ、第1電極9a及び第2電極9bにDC電力(RF電力)を供給することで、ターゲット5a、5bに挟まれる空間にプラズマPzを発生させ、プラズマ雰囲気中のアルゴンイオン等をターゲット5a、5bに衝突させることで、ターゲット5a、5bから配向膜材料(シリコン)をスパッタ粒子5pとしてたたき出し、さらにプラズマPzに含まれるスパッタ粒子5pのうち、プラズマPzから開口部3a側へ飛行するスパッタ粒子5pのみを選択的に成膜室2側へ放出する。
【0033】
一方、各成膜室2においては、基板ホルダ6によって成膜面(無機配向膜形成面)を鉛直方向に沿わせた状態で支持された基板Wが、移動手段6aの駆動により酸素ガスが流通する方向(+Z側の成膜室2では−X方向、−Z側の成膜室2では+X方向)に沿って移動している。
そして、基板Wの面上に斜め方向から飛来したスパッタ粒子5pと、成膜室2を流通する酸素ガスとを、双方の成膜室2内の基板W上で反応させることで、シリコン酸化物からなる配向膜をそれぞれの基板W上に形成するようになっている。
【0034】
なお、本実施形態では、スパッタ粒子5pとしてのシリコンを、第2のスパッタガスである酸素ガスと反応させることでシリコン酸化物を基板W上に成膜する場合について説明しているが、ターゲット5a、5bとして例えばシリコン酸化物(SiOx)やアルミニウム酸化物(AlOy等)などを用い、ターゲット5a、5bに対してRF電力を入力してスパッタ動作を行うことで、これらシリコン酸化物やアルミニウム酸化物からなる無機配向膜を基板W上に形成することができる。またこの場合において、第2のスパッタガス(酸素ガス)を成膜室2内に流通させておくことで、形成される無機配向膜の酸化物組成からのずれを防止することができ、無機配向膜の絶縁性を高めることができる。
【0035】
このように、上記構成を備えた製造装置1によれば、対向ターゲット型のスパッタ装置3を基板Wに対して所定角度(θ1)傾けて配置しているので、スパッタ装置3の開口部3aから放出されるスパッタ粒子5pを所定角度で斜め方向から基板Wの成膜面に入射させることができる。そして、このようにして斜め方向から入射させたスパッタ粒子5pの堆積により、一方向に配向した柱状構造を具備した無機配向膜を基板W上に形成することができるようになっている。また、本実施形態では、スパッタ装置3のプラズマ生成領域を挟んだ両側に成膜室2がそれぞれ設けられているため、プラズマ生成領域から放出されたスパッタ粒子により、両成膜室2の基板Wに同時に無機配向膜を形成することが可能になり、スパッタ粒子が1方向から斜めに基板に入射するようにスパッタリングを実施して成膜レートが遅い場合でも、高い生産性で無機配向膜を形成することができる。
【0036】
また、本実施形態の対向ターゲット型のスパッタ装置3では、開口部3aから放出されないスパッタ粒子は、主にターゲット5a、5bに入射して再利用されるため、極めて高いターゲット利用効率を得られるようになっている。さらにスパッタ装置3においては、ターゲット間隔を狭めることで開口部3aから放出されるスパッタ粒子5pの指向性を高めることができるので、基板Wに到達するスパッタ粒子5pの入射角は高度に制御されたものとなり、形成される無機配向膜における柱状構造の配向性も良好なものとなる。
【0037】
さらに、本実施形態では、基板Wの成膜面を鉛直方向に設定しているため、成膜室2等で浮遊(飛散)するパーティクル(塵埃)が自重で下降して、基板Wの成膜面に堆積し、無機配向膜の品質が低下することを防止でき、高品質で配向特性に優れた液晶装置を製造することが可能になる。また、基板Wを鉛直方向に支持することから、各成膜室2の設置に要する面積(フットプリント)を少なくすることができ、製造装置1の小型化にも寄与できる。
【0038】
また、上記成膜動作に際して、スパッタ装置3のターゲット5a、5bを取り囲む矩形枠状の磁界発生手段16a、16bにより形成される磁界によって、プラズマPzに含まれる電子5rを捕捉ないし反射させることができ、プラズマPzをターゲット5a、5bが対向する領域内に良好に閉じ込めることができるので、前記電子5rが基板Wの成膜面に入射して基板W表面の濡れ性が上昇するのを防止することができる。これにより、基板Wに付着したスパッタ粒子5pの再配置により柱状構造の形成が阻害されるのを良好に防止することができる。従って本実施形態の製造装置1によれば、配向性の良好な無機配向膜を基板W上に容易に形成することができる。
上記と同様の観点から、開口部3aと基板Wとの間に位置する成膜室2や装置接続部25の壁部は、接地電位に保持しておくことが好ましい。このような構成とすることで、電子拘束手段から漏れ出た電子を前記壁部により捕捉し除去することができ、基板W表面の濡れ性が上昇してしまうのを効果的に防止することができる。
【0039】
さらに製造装置1では、ターゲット5a、5bに細長い板状のものを用いており、スパッタ装置3からY軸方向に延びるライン状にスパッタ粒子5pを放出させることができる。そして、基板ホルダ6は前記スパッタ粒子のラインと直交する方向(X軸方向)に基板Wを搬送することができるようになっているので、前記スパッタ粒子のラインにより基板W上を走査するようにして面状に成膜を行うことができ、連続的に基板処理を行うことができ、極めて高い生産効率を実現することができる。
【0040】
また本実施形態の製造装置1では、成膜法としてスパッタ装置3によるスパッタ法を採用しているので、例えば蒸着法やイオンビームスパッタ法に比べて低い圧力で成膜を行うことができ、真空ポンプ等の真空装置(排気制御装置)に関する負担を軽減することができる。さらに、蒸着法に比べて低い圧力で成膜を行うことから、成膜材料(配向膜材料)の平均自由行程が短くなり、従って蒸着法を採用した場合に比べて真空チャンバー等からなる成膜室を小型化することができ、装置に関する負担を軽減することができる。
【0041】
また、スパッタ法によってターゲットから放出されるスパッタ粒子(配向膜材料)の持つエネルギーは例えば10eVであり、蒸着法によって蒸着源から発生するクラスター状粒子の持つエネルギーが例えば0.1eVであるのに比べて格段に大きいため、スパッタ粒子は蒸着法によるクラスター状粒子に比べて密着性が高いものとなる。すなわち、クラスター状粒子の場合、例えば成膜室2や装置接続部25の内壁面に付着した粒子が振動等によって脱落し、発塵を起こしてこれが基板W上に異物となって付着してしまうおそれがあるが、スパッタ粒子の場合には、内壁面などに一旦付着すると、その高密着性によって容易には脱落せず、従ってこれが基板W上に異物となって付着してしまうといった不都合を回避することができる。
【0042】
また、基板ホルダ6に基板Wを冷却するための第3の冷却手段8cを設けているので、成膜時に第3の冷却手段8cによって基板Wを冷却し、基板Wを室温等の所定温度に保持することができ、スパッタによって基板Wに付着した配向膜材料分子の基板上での拡散(マイグレーション)を抑制することができる。これにより、基板W上における配向膜材料の局所的な成長が促進され、一軸方向に柱状に成長した配向膜を容易に得られるようになる。
【0043】
なお、上記実施形態では、箱形筐体の対向する二側壁を成す第1電極9a及び第2電極9bにのみターゲット5a、5bが支持されている構成としているが、対向ターゲット型のスパッタ装置3では、図2に示すように、側壁部材9c、9dにもそれぞれターゲット5c、5dを配設することができる。このような構成において、各側壁部材9c、9dに電源を接続して電極として機能させ、前記各ターゲット5c、5dに電力を供給するならば、これらのターゲット5c、5dから放出されるスパッタ粒子を成膜に用いることができるので、成膜速度の向上が期待できる。また、プラズマ生成領域を取り囲むようにしてターゲット5a〜5dが配置されていると、開口部3aから成膜室2へ放出されるスパッタ粒子を除くスパッタ粒子はプラズマPzを取り囲むターゲット5a〜5dに入射して、他のスパッタ粒子の生成等に再利用されるので、ターゲットの利用効率を高めることができる。
上記構成においては、ターゲット5c、5dを冷却するための冷却手段を各側壁部材9c、9dに隣接して設けることが好ましい。さらには、増設したターゲット5c、5dに対応して電子拘束手段(磁界発生手段)の配置を変更し、プラズマPzとターゲット5a〜5dとの位置関係を最適化することが好ましい。
【0044】
[製造装置の他の構成例]
本実施形態に係る製造装置1では、スパッタ粒子5pの進行方向をさらに良好に規制する手段を設けることができる。以下、かかる構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は、本構成例における製造装置1の概略構成を示す図である。図3に示すように、本構成例では、装置接続部25に通じる成膜室2の開口部に、金属製メッシュ11と複数の金属製筒状体12とがそれぞれ設けられている。図4は、これら金属製メッシュ11と金属製筒状体12とを、図3の概略Za方向に観察したときの概略斜視図である。
【0045】
金属製メッシュ11は、アルミニウム等の非磁性金属からなるもので、装置接続部25に通じる各成膜室2の開口部25aを覆うように成膜室2の内壁に取り付けられたものである。金属製メッシュ11は成膜室2の壁部と電気的に導通して接地電位に保持されている。従って金属製メッシュ11によって、電子拘束手段から漏れ出るプラズマPz中の電子やイオン状物質を捕捉して除去することができ、これにより基板Wに対してプラズマPzの影響が及ぶのを防ぐことができる。すなわち、スパッタ装置3には磁界発生手段16a、16bからなる電子拘束手段が設けられているものの、この電子拘束手段から電子等が洩れ出て基板Wに到達すると、先に記載のように基板W表面の濡れ性が上昇してスパッタ粒子のマイグレーションが生じ、柱状構造の形成が阻害されるおそれがあるが、このような金属製メッシュ11を配設しておくことにより、電子等が成膜室2の開口部25aから洩れ出てくるのを防止することができ、無機配向膜における柱状構造の形成を促進し、良好な配向性を備えた無機配向膜を形成することができる。また金属製メッシュ11については、その開口径を例えば2〜3mm程度に小さくできるため、所望の開口径にすることにより、プラズマPzに含まれる電子やイオン状物質の洩れ防止効果を十分発揮させることができる。
【0046】
金属製筒状体12は、アルミニウム等の非磁性金属からなる六角筒状のもので、金属製メッシュ11のスパッタ装置3と反対側に取り付けられたものである。また、金属製筒状体12は、図4に示すように、多数が密に配列されて筒状体群13を構成している。なお、図4では図面を見やすくするために金属製メッシュ11の一部を省略しているが、実際には金属製メッシュ11は筒状体群13のスパッタ装置3側の開口端を覆うようにして設けられている。
【0047】
図3に示すように、筒状体群13を構成する各金属製筒状体12は、その中心軸が、水平面に対する法線方向(Z軸方向)に対して、前記θ1にほぼ一致する角度で傾斜したZa方向に向くよう配置されている。従って、前記中心軸は、基板Wに対して傾斜して配置されたスパッタ装置3の開口部3aと同じ傾斜角で鉛直方向に対し傾斜させられたものとなっている。このような構成により、前記ターゲット5a、5bから放出されたスパッタ粒子は、金属製筒状体12を通過することにより、基板Wに対する入射角が設定された角度に、より良好に規制される。なお、金属製筒状体12の長さ(高さ)については特に制限がないものの、例えば数cm〜十数cm程度である。
【0048】
また、各金属製筒状体12からなる筒状体群13は、各金属製筒状体12の開口部が、ハニカム構造と呼ばれる最密充填構造となるように配置されている。かかる構造を具備した筒状体群13は、各金属製筒状体12の開口部からなる空間率が高く、よって圧力損失が小さくなり、従って成膜性を損なうことなく、スパッタ粒子の基板Wに対する入射角を良好に規制することができるものとなっている。さらに本実施形態では、筒状体群13も金属製メッシュ11と同様に接地(アース)されており、筒状体群13によってもプラズマPz中の電子やイオン状物質が捕捉除去されるので、プラズマPzの影響が基板Wに及ぶのを防ぎ、柱状構造の無機配向膜を良好に形成することができる。
【0049】
なお、上記では金属製メッシュ11と金属製筒状体12からなる筒状体群13の両方を設けた場合について説明したが、いずれか一方のみを設けるようにしてもよい。また金属製メッシュ11の格子形状や、金属製筒状体12の開口端形状等は適宜変更することが可能である。
【0050】
[液晶装置の製造方法]
次に、上記製造装置1を用いた液晶装置の製造方法(基板W上に無機配向膜を形成する工程)について説明する。
まず、基板Wとして、液晶装置用基板としてスイッチング素子や電極等、所定の構成部材が形成された基板を用意する。次いで、基板Wを成膜室2に併設されたロードロックチャンバー内に収容し、ロードロックチャンバー内を減圧して真空状態とする。また、これとは別に、排気制御装置を作動させて成膜室2内を所望の真空度に調整しておく。
【0051】
続いて、基板Wを成膜室2、2内にそれぞれ搬送し、基板ホルダ6にセットする。そして、配向膜形成の前処理として、基板ホルダ6のヒータ7によって基板Wを例えば250℃〜300℃程度で加熱し、基板Wの表面に付着した吸着水やガスなどの脱水・脱ガス処理を行う。次いで、ヒータ7による加熱を停止した後、スパッタリングによる基板温度の上昇を抑制するため、冷媒循環手段18cを作動させて冷却手段8cに冷媒を循環させることで基板Wを所定温度、例えば室温に保持する。
【0052】
次に、アルゴンガスを第1のガス供給手段21からスパッタ装置3内に所定流量で導入し、酸素ガスを第2のガス供給手段22から所定流量で成膜室2内に導入するとともに、排気制御装置20を作動させ、所定の操作圧力、例えば10−1Pa程度に調整する。酸素ガスプラズマでは酸素ラジカル、酸素の負イオンが発生するため、本実施形態の製造装置1では、プラズマ生成領域であるターゲット5a、5bの前面にはアルゴンガスのみを導入し、酸素ガスは別系統のガス供給路から基板W上へ流入させている。また、成膜中にも必要に応じてヒータ7、冷却手段8cを作動させることにより、基板Wを室温に保持することが好ましい。
【0053】
その後、このような成膜条件のもとで、移動手段6aにより基板Wを図1中のX方向に所定の速度で移動させつつ、スパッタ装置3によるスパッタリングを行う。すると、ターゲット5a、5bからは、配向膜材料となるスパッタ粒子(シリコン)が放出されるが、対向ターゲット型のスパッタ装置3では、ターゲット対向方向に進行するスパッタ粒子はプラズマPz内に閉じ込められ、ターゲット面方向の開口部3aに向かって進行するスパッタ粒子5pのみが開口部3aから成膜室2内に放出され、進行方向を規制されたスパッタ粒子5pのみが基板W上に入射するようになる。
【0054】
スパッタ粒子5pは、装置接続部25に臨む基板Wの成膜面に対してのみ選択的に入射、基板W上で酸素ガスと反応してシリコン酸化物の被膜を形成する。このように基板Wに対して斜めに傾けて配置されたスパッタ装置3から放出され、さらに基板Wに対してスパッタ装置3と同様に斜めに傾けて配置された装置接続部25を通過したスパッタ粒子5pは、基板Wの成膜面に対して所定の角度、すなわち前記θ1で入射するようになる。その結果、基板W上で酸素ガスとスパッタ粒子5pとの反応を伴って堆積した無機配向膜は、前記の入射角θ1に対応した角度で傾斜する柱状構造を有した無機配向膜となる。
【0055】
このように、製造装置1により基板W状に形成される無機配向膜は所望の角度で傾斜した柱状構造を有する無機配向膜であり、この配向膜を備えてなる液晶装置は、かかる無機配向膜によって液晶のプレチルト角を良好に制御することがでるものとなる。
またこのとき、スパッタ装置3の開口部3aに設けられた電子拘束手段(磁界発生手段16a、16b)によりプラズマPzに含まれる電子やイオン状物質が捕捉又は反射されるため、これらの電子やイオン状物質が基板Wに到達するのを防止することができる。さらに、図3及び図4に示した金属製メッシュ11や金属製筒状体12を成膜室2に配設しておけば、上記電子やイオン状物質が基板Wに到達するのをより効果的に防止することができ、また基板Wに入射するスパッタ粒子5pの入射角制御もより高精度に行うことができる。
【0056】
以上の工程により、基板W上に無機配向膜を形成したならば、別途製造した他の基板とシール材を介して貼り合わせ、基板間に液晶を封入することで液晶装置を製造することができる。なお、本発明に係る液晶装置の製造方法において、無機配向膜の形成工程以外の製造工程については公知の製造方法を適用することができる。
【0057】
(液晶装置)
以下、製造装置1を用いて製造することができる液晶装置の一例について図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態の液晶装置を構成するTFTアレイ基板80の平面構成図である。
図6は、本実施形態の液晶装置の等価回路図である。図7は、TFTアレイ基板80の画像表示領域を拡大して示す平面構成図である。図8は、図7のA−A’線に沿う液晶装置の断面構成図である。
本実施形態の液晶装置は、図8に示すように、対向配置されたTFTアレイ基板(第1基板)80と、対向基板(第2基板)90との間に液晶層50を挟持した構成を備えたTFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置である。
【0058】
図5に示すように、TFTアレイ基板80の中央には画像表示領域101が形成されている。画像表示領域101の周縁部にシール材89が配設されており、かかるシール材89により前記TFTアレイ基板80と対向基板90とを貼り合わせ、前記両基板80,90とシール材89とに囲まれる領域内に液晶層(不図示)が封止される。シール材89の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動回路120とが実装されている。TFTアレイ基板80の端部には外部回路に接続する複数の接続端子79が設けられており、かかる接続端子79には前記駆動回路110,120から延びる配線が接続されている。シール材89の四隅には前記TFTアレイ基板80と対向基板90とを電気的に接続する基板間導通部70が設けられており、基板間導通部70も配線を介して接続端子79と電気的に接続されている。
【0059】
図6は、液晶装置の等価回路図である。液晶装置の画像表示領域には、複数のデータ線46aと、データ線46aと交差する方向に延びる複数の走査線43aとが形成されており、隣接する2本のデータ線46aと隣接する2本の走査線43aとに囲まれた矩形状の領域に対応して画素電極49が配置されており、画像表示領域全体では画素電極49が平面視マトリクス状に配列されている。各画素電極49には、画素電極49への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT30が接続されている。TFT30のソースにはデータ線46aが接続されている。各データ線46aには、前述したデータ線駆動回路から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
【0060】
また、TFT30のゲートには走査線43aが接続されている。走査線43aには、前述した走査線駆動回路から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT30のドレインには画素電極49が接続されている。そして、走査線43aから供給された走査信号G1、G2、…、GmによりTFT30を一定期間だけオンすることで、データ線46aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極49を介して各画素の液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0061】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極49と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極49と容量線43bとの間に蓄積容量17が液晶容量と並列に接続されている。
【0062】
図7は、TFTアレイ基板80の平面構成図である。本実施形態の液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide;ITO)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極49(破線49aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。各画素電極49の縦横の境界に沿って、データ線46a、走査線43a及び容量線43bが設けられている。本実施形態では、各画素電極49の形成領域に対応する矩形状の領域が画素の平面領域に対応しており、マトリクス状に配列された画素毎に表示動作が行われるようになっている。
【0063】
TFT30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層41aを備えている。半導体層41aのソース領域(後述)には、コンタクトホール45を介して、データ線46aが接続されている。また、半導体層41aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール48b(48a)を介して、画素電極49が接続されている。一方、半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分には、チャネル領域41a’が形成されている。
【0064】
図8は、液晶装置の断面構造を示す図であり、図7のA−A’線に沿う断面構成図である。図8に示すように、本実施形態の液晶装置60は、TFTアレイ基板80と、これに対向配置された対向基板90と、これらの間に挟持された液晶層50とを備えて構成されている。TFTアレイ基板80は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体80A、及びその内側(液晶層側)に形成されたTFT30や画素電極49、さらにこれを覆う配向下地膜85及び無機配向膜86などを備えている。一方の対向基板90は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体90A、およびその内側(液晶層側)に形成された共通電極61、さらにこれを覆う配向下地膜95、無機配向膜92などを備えている。
【0065】
基板本体80Aの内面側には、後述する第1遮光膜51aおよび第1層間絶縁膜52が形成されている。第1層間絶縁膜52上に島状の半導体層41aが形成されている。半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分にはチャネル領域41a’が形成されており、チャネル領域41a’の両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。TFT30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しており、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。チャネル領域41a’側から順に形成された低濃度ソース領域41bと高濃度ソース領域41dとが前記ソース領域を構成し、チャネル領域41a’側から順に形成された低濃度ドレイン領域41cと高濃度ドレイン領域41eとが前記ドレイン領域を構成している。
【0066】
半導体層41aの表面にゲート絶縁膜42が形成されており、ゲート絶縁膜42上に走査線43aが形成されている。走査線43aのうちチャネル領域41a’との対向部分はTFT30のゲート電極を構成している。ゲート絶縁膜42及び走査線43aを覆って第2層間絶縁膜44が形成されている。第2層間絶縁膜44上にデータ線46a、及びドレイン電極46bが形成されており、データ線46aの一部は第2層間絶縁膜44に貫設されたコンタクトホール45内に埋設されて高濃度ソース領域41dと電気的に接続されている。一方、ドレイン電極46bは、第2層間絶縁膜44に貫設されたコンタクトホール48aを介して半導体層41aの高濃度ドレイン領域41eと電気的に接続されている。
【0067】
第2層間絶縁膜44、データ線46a、及びドレイン電極46bを覆って第3層間絶縁膜47が形成されている。第3層間絶縁膜47の表面に画素電極49が形成されており、画素電極49は第3層間絶縁膜47を貫通してドレイン電極46bに達する画素コンタクトホール48bを介してドレイン電極46bと電気的に接続されている。かかる構造により、画素電極49とTFT30とが電気的に接続されている。さらに、画素電極49を覆って、配向下地膜85が形成され、配向下地膜85上に無機配向膜86が形成されている。無機配向膜86は、先に記載のようにシリコン酸化物によって好適に構成されるが、シリコン酸化物に限らず、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物、マグネシウム酸化物、インジウム錫酸化物、あるいはシリコン窒化物、チタン窒化物などにより形成してもよい。後述する無機配向膜92についても同様である。
【0068】
半導体層41aを延設して第1蓄積容量電極41fが形成されている。また、ゲート絶縁膜42を延設して誘電体膜が形成されており、かかる領域のゲート絶縁膜42を介して前記第1蓄積容量電極41fと対向する位置に第2蓄積容量電極を成す容量線43bが配置されている。これにより、前記第1蓄積容量電極41fと容量線43bとが平面的に重なる位置に前述の蓄積容量57が形成されている。
また、TFT30の形成領域に対応する基板本体80Aの表面に、第1遮光膜51aが形成されている。第1遮光膜51aは、TFTアレイ基板80の外側からの光が、半導体層41aのチャネル領域41a’、低濃度ソース領域41bおよび低濃度ドレイン領域41cに入射して光リークを生じるのを防止するものである。
【0069】
一方、対向基板90における基板本体90A上には、第2遮光膜63が形成されている。第2遮光膜63は、対向基板90側からの光が半導体層41aのチャネル領域41a’や低濃度ソース領域41b、低濃度ドレイン領域41c等に入射するのを防止するものであり、平面視において半導体層41aと重なる領域に設けられている。前記第2遮光膜63を覆う対向基板90のほぼ全面にITO等の透明導電材料からなる共通電極61が形成されている。そして、共通電極61を覆って配向下地膜95が形成され、かかる配向下地膜95上に無機配向膜92が形成されている。
【0070】
TFTアレイ基板80と対向基板90との間には、ネマチック液晶等からなる液晶層50が挟持されている。ネマチック液晶分子は、正の誘電率異方性を有するものであり、非選択電圧印加時には基板に沿って水平配向し、選択電圧印加時には電界方向に沿って垂直配向する。またネマチック液晶分子は、正の屈折率異方性を有するものであり、その複屈折と液晶層厚との積(リタデーション)Δndは、例えば約0.40μm(60℃)となっている。TFTアレイ基板80側の無機配向膜86による配向規制方向と、対向基板90側の無機配向膜92による配向規制方向とは、約90°ねじれた状態に設定されている。基板本体80A、90Aのそれぞれの外側(液晶層50と反対側)には、偏光板58、68が互いの透過軸を直交させた状態(クロスニコル)で配置されている。従って、本実施形態の液晶装置60は、TNモードで動作し、捻れ配向した液晶の旋光性を利用した白表示と、電圧印加により垂直配向させた液晶の透過性を利用した黒表示との間で階調表示を行うものとなっている。
なお、本液晶装置60をプロジェクタのライトバルブとして用いる場合には、偏光板58、68については、サファイヤガラスや水晶等の高熱伝導率材料からなる支持基板上に装着して、液晶装置60から離間して配置することが望ましい。
【0071】
以上説明した液晶装置60にあっては、特に無機配向膜86、92として、前述したように製造装置1により形成できる配向性の良好な無機配向膜を備えているので、これらの無機配向膜86、92によって液晶分子のプレチルト角等の配向状態をより良好に制御することができ、高輝度、高コントラストの表示が可能であり、また耐熱性、耐光性に優れた信頼性の高い液晶装置となる。
【0072】
(プロジェクタ)
次に、本発明の電子機器としてプロジェクタの一実施形態について、図9を用いて説明する。図9は、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。このプロジェクタは、前述した実施形態に係る液晶装置を光変調手段として備えたものである。
【0073】
図9において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0074】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
【0075】
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0076】
前述したプロジェクタは、前記の液晶装置を光変調手段として備えている。この液晶装置は、前述したように信頼性が高く、高画質の表示が得られるものとなっているので、このプロジェクタ(電子機器)自体も信頼性が高く、高画質のプロジェクタとなる。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0078】
例えば、上記実施形態では、基板Wを酸素ガスの流通方向に移動させつつ、成膜面に無機配向膜を形成する構成としたが、これに限定されるものではなく、酸素ガスの流通方向と逆方向に移動させつつ成膜面に無機配向膜を形成する構成としてもよい。さらに、スパッタ粒子の放出方向(Za方向)と交差するX方向に往復移動させる構成としてもよい。このようにすることで、基板Wを複数回走査して無機配向膜を形成する場合に、走査する時間を減らすことが可能になり、無機配向膜を所定厚さで成膜するのに要する時間を短縮化でき、生産性を向上させることが可能になる。
また、両成膜室2における基板の移動方向も、必ずしも互いに逆方向にする必要はなく、同一方向に移動させる構成としてもよい。この場合、両成膜室2の間で基板の供給側(ロード側)と回収側(アンロード側)とを、同じにすることができるため、基板供給装置と基板回収装置とを共用するように設置することが可能になり、装置の小型化及び低価格化に寄与できる。
【0079】
また、上記実施形態では、基板W(の成膜面)を鉛直方向に沿わせて支持する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、配向膜材料がパーティクルを形成する可能性が低い場合等には、基板Wを水平に支持する構成としてもよい。
【0080】
また、上記実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、反射型液晶装置に本発明を適用することも可能である。
また、前記実施形態ではTN(Twisted Nematic)モードで機能する液晶装置を例にして説明したが、VA(Vertical Alignment)モードで機能する液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、実施形態では3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0081】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施形態に係る液晶装置の製造装置の概略構成図である。
【図2】図1に示すスパッタ装置の詳細構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る製造装置の他の構成例を示す平面断面図である。
【図4】金属製メッシュと金属製筒状体との概略斜視図である。
【図5】実施形態に係るTFTアレイ基板の全体構成図。
【図6】同、等価回路図である。
【図7】同、画素の詳細構成を示す図である。
【図8】図7のA−A’線に沿う断面構成図である。
【図9】電子機器の一例であるプロジェクタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
W…基板、 1…製造装置、 2…成膜室、 3…スパッタ装置、 3a…開口部、 5a、5b…ターゲット、 6a…移動手段(移動装置)、 11…金属製メッシュ、 16a、16b…磁界発生手段(電子拘束手段)、 21…第1のガス供給手段、 22…第2のガス供給手段、 50…液晶層、 60…液晶装置、 80…TFTアレイ基板(第1基板)、 86、92…無機配向膜、 90…対向基板(第2基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置とを備え、
前記スパッタ装置は、プラズマ生成領域を挟んで対向する一対のターゲットと、前記プラズマ生成領域を挟む両側に配置され該プラズマ生成領域からスパッタ粒子をそれぞれ放出する開口部とを有し、
前記成膜室は、前記開口部のそれぞれに対応して設けられ、
前記開口部は、前記成膜室の前記基板の無機配向膜形成面に対して斜め方向から前記スパッタ粒子を入射させる位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の液晶装置の製造装置において、
前記基板は、前記成膜室にて前記無機配向膜形成面を略鉛直方向に沿わせて支持されることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の液晶装置の製造装置において、
前記成膜室で前記基板を支持して、前記スパッタ粒子の放出方向と交差して往復移動自在な移動装置を有することを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の液晶装置の製造装置において、
前記プラズマ生成領域の前記開口部側にそれぞれ設けられて、前記プラズマ生成領域に含まれる電子を捕捉ないし反射する電子拘束手段を有していることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の液晶装置の製造装置において、
前記プラズマ生成領域に第1のスパッタガスを流通させる第1のガス供給手段と、
前記スパッタ粒子と反応して前記無機配向膜を前記基板上に形成する第2のスパッタガスを前記開口部の外側において前記基板上に流通させる第2のガス供給手段とを備えていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の液晶装置の製造装置において、
前記開口部と前記基板との間に、接地電位に保持された金属製メッシュが設けられていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の液晶装置の製造装置において、
前記開口部と前記基板との間に、前記スパッタ粒子の前記基板に対する入射角度を規制するべく接地電位に保持された筒状体が設けられていることを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項8】
対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造方法であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料をスパッタ法で成膜して無機配向膜を形成するスパッタ装置とを設け、
前記スパッタ装置に、プラズマ生成領域を挟んで対向する一対のターゲットと、前記プラズマ生成領域を挟む両側に配置され該プラズマ生成領域からスパッタ粒子をそれぞれ放出する開口部とを設け、
前記成膜室を前記開口部のそれぞれに対応して設け、
前記成膜室の前記基板の無機配向膜形成面に対して、それぞれ斜め方向から前記スパッタ粒子を入射させる工程を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の液晶装置の製造方法において、
前記基板を、前記成膜室にて前記無機配向膜形成面を略鉛直方向に沿わせて支持することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8または9記載の液晶装置の製造方法において、
前記成膜室で前記基板を前記スパッタ粒子の放出方向と交差して往復移動させる工程を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載の液晶装置の製造方法において、
前記プラズマ生成領域の前記開口部側で前記プラズマ生成領域に含まれる電子を捕捉ないし反射する工程を有していることを特徴とする液晶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−170869(P2008−170869A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5907(P2007−5907)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】