説明

減電圧検出回路

【課題】スイッチング電源回路に供給されるAC電源の減電圧をスイッチングトランスの出力する電圧の負側を整流したマイナスの整流電圧に基づいて検出する減電圧検出回路において、P−ON時とスタンバイ時とでスイッチング電源回路のフィードバック経路が切換わる場合に、スタンバイ時の減電圧検出を効きにくくする。
【解決手段】整流回路61と、抵抗R1と、抵抗R2と、ツェナダイオードD1と、トランジスタTr1と、整流回路62と、抵抗R3と、ツェナダイオードD2と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減電圧検出回路に関し、特にスイッチングトランス出力のプラスの整流電圧が一定となるようにフィードバック制御を行うスイッチング電源回路に供給されるAC電源にかかる減電圧を検出する減電圧検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、RCC(リンギングチョークコンバーター)方式等のスイッチング電源回路におけるAC入力電圧の減電圧の検出は、スイッチングトランスの1次側の電圧に基づいて行われることが多いが(特許文献2,3等)、スイッチングトランスの2次側の電圧にmとづいて行われることもある(例えば特許文献1等)。減電圧検出をスイッチングトランスの2次側で行う場合、スイッチングトランス出力のマイナスの整流電圧に基づいて行うことが一般的である。スイッチングトランス出力のプラスの整流電圧はスイッチング電源回路のAC入力電圧の変動に追随しないが、スイッチングトランス出力のマイナスの整流電圧は、スイッチング電源回路のAC入力電圧の変動に追随して変動するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−68631号公報
【特許文献2】特開2008−219658号公報
【特許文献3】特開2011−10494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4は、本願の発明者が本願以前に発明した減電圧検出回路の構成を示す回路図である。同図において、減電圧検出回路260は、整流回路261と、ツェナダイオードD21と、抵抗R21,R22と、トランジスタTr21と、を備えている。整流回路261はスイッチングトランス出力のマイナス側を整流したマイナス整流電圧Vmsを生成する(図のA点に発生)。
【0005】
抵抗R21,R22とツェナダイオードD21は、図のA点と所定の定電圧Vcc(図では、All3.3V)の伝送ラインとの間を、R21,R22,D21の順で直列接続する。このとき、ツェナダイオードD21は、アノードをA点に向け、カソードを所定の定電圧Vccのラインに向けて接続される。トランジスタTr21は、ベースを抵抗R21,R22の接続点(図のX点)に接続され、エミッタをグランドに接続され、コレクタをリセットラインに接続される。
【0006】
このリセットラインは、スイッチング電源回路を備える当該装置全体を制御する制御回路のリセット端子と不図示のリセット回路とを接続しており、当該装置がオンされている間は(当該制御回路がP−ON時とスタンバイ時との双方で制御動作を行う場合はP−ON時とスタンバイ時との双方、当該制御回路がP−ON時のみ制御動作を行う場合はP−ON時)、リセットの解除を指示するリセット信号がリセット回路から制御回路のリセット端子へ入力され、当該装置の電源がオフされると、リセット信号は入力されなくなる。なお、同図に示す例では、当該装置のオン時は正論理の電圧信号が入力され、オフ時は負論理の電圧信号が入力されるものとし、当該リセット回路は、負論理が入力されるとリセット状態となり、正論理が入力されるとリセットが解除される。
【0007】
ここで、トランジスタTr21がオンすると、リセットラインをグランドに引き込むことによりリセットラインにて伝送される電圧信号を負論理とし、当該装置全体をリセット状態とする。よって、装置に供給されているAC電源に減電圧が発生したときに、当該装置をリセット状態とすることにより装置を安全に停止し、装置のフリーズを防止できる。
【0008】
しかしながら、スイッチング電源回路は、通常、スイッチングトランスの2次巻線に出力される2次電圧に基づいて1次側の制御回路に対してフィードバック信号を出力するフィードバック回路を備えており、フィードバック回路が監視している出力は、2次巻線から出力される正電圧を整流したプラス整流電圧である。また、装置がオン状態とスタンバイ状態とでフィードバック信号を生成する回路のフィードバック経路が変更される場合がある。例えば図5に示すフィードバック回路250ように、トランジスタQ634のベースに対して入力されるP−ON−H信号をオンオフすることにより、P−ON時とスタンバイ時とでスイッチング電源回路の1次側にある制御回路に対するフィードバック経路が切換わるように構成されている。すなわち、P−ON時は、P−ON−H信号が入力されてトランジスタQ634をオンし、このとき第1の電流経路には電流が流れず、第2の電流経路には電流が流れるため、トランジスタQ631のベース電圧は第2の電流経路に流れる電流にて決定される。このベース電圧がトランジスタQ631のベース−エミッタ電圧とツェナダイオードD652のツェナー電圧を合わせた電圧を超えるとトランジスタQ631がターンオンしてフォトカプラIC601を点灯させることにより、1次側にフィードバック信号が入力される。一方、スタンバイ時はP−ON−H信号が入力されないためトランジスタQ634がオフし、このとき第1の電流経路と第2の電流経路の双方に電流が流れるため、トランジスタQ631のベース電圧は第1の電流経路と第2の電流経路の双方に流れる電流にて決定される。
【0009】
このとき、減電圧検出回路260は、例えば、P−ON時にはAC電源が80Vより低下したときに減電圧として検出するのに対しスタンバイ時にはAC電源が90Vより低下したときに減電圧として検出するといった現象が発生し、STBY時にP−ON時より高い電圧で減電圧としてしまう可能性があった。しかし、機器の安定動作のためには、AC120V(AC電源の定格)から所定量だけ減少した電圧(例えば、AC120Vの−20%の96V等)までの減電であれば、減電検出によるリセットを行うことなく正常動作させることが要求される。このとき、P−ON時は16Vのマージンがあるが、STBY時は6Vのマージンしかない。低温時の電解容量抜けによるリップル増加等に起因して、STBY時にAC90Vを減電検出する可能性があるため、6Vのマージンは不十分である。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、スイッチング電源回路に供給されるAC電源の減電圧をスイッチングトランス出力のマイナスの整流電圧に基づいて検出する減電圧検出回路において、P−ON時とスタンバイ時とでスイッチング電源回路のフィードバック経路が切換わる場合に、P−ON時とスタンバイ時とで減電圧検出の効きやすさを調整することが可能な減電圧検出回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様の1つは、スイッチングトランス出力のプラスの整流電圧が一定となるようにフィードバック制御を行うスイッチング電源回路に供給されるAC電源にかかる減電圧を検出する減電圧検出回路において、前記スイッチングトランス出力のマイナスの整流電圧を生成する第1整流回路と、所定の定電圧ラインに一端を接続された第1抵抗と、前記第1抵抗の他端に一端を接続された第2抵抗と、前記第2抵抗の他端にカソードを接続され、前記マイナスの整流電圧をアノードに入力された第1ツェナダイオードと、前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点にベースを接続され、グランドにエミッタを接続されたトランジスタと、前記スイッチング電源回路を備える装置がオン状態のときには所定の正の定電圧を生成して前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点に入力し、前記装置がスタンバイ状態のときには前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点に所定の正の定電圧を入力しない調整電圧生成回路と、を備え、前記AC電源に減電圧が発生すると前記トランジスタのベース電圧が上昇して前記トランジスタがターンオンし、前記トランジスタのコレクタの接続先をグランドに引き込む構成とされる。
【0012】
なお、上述した減電圧検出回路は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイッチング電源回路に供給されるAC電源の減電圧をスイッチングトランス出力の負側を整流した整流電圧に基づいて検出する減電圧検出回路において、P−ON時とスタンバイ時とでスイッチング電源回路のフィードバック経路が切換わる場合に、スタンバイ時の減電圧検出を効きにくく調整することができる。
請求項2にかかる発明によれば、スイッチングトランス出力の正側を整流した整流電圧
を利用して、調整電圧生成回路を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電源回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】減電圧検出回路の一例を示す回路図である。
【図3】減電圧検出回路の他の一例を示す要部回路図である。
【図4】従来の減電圧検出回路の一例を示す回路図である。
【図5】フィードバック回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)変形例:
【0016】
(1)本実施形態の構成:
図1は、スイッチング電源回路の概略構成を示すブロック図である。同図に示すスイッチング電源回路100は、AC電源入力端子10と、1次側整流回路20と、スイッチングトランス30と、制御回路40と、フィードバック回路50と、減電圧検出回路60と、を備えている。AC電源入力端子10には、外部の商用交流電源などが入力されている。1次側整流回路20は、AC電源入力端子10から入力されるAC電源を整流し、直流を生成する。スイッチングトランス30は、1次側整流回路20の生成した直流を1次巻線に印加されている。
【0017】
制御回路40は、スイッチングトランス30の1次巻線に印加する直流をPWM制御等により周期的にオンオフ切替えている。その結果、スイッチングトランス30の2次巻線には、制御回路40のオンオフ制御に応じて、正電圧と負電圧が交互に出力される。フィードバック回路50は、当該2次巻線に出力される電圧の負側を整流した整流電圧が所定値を超えると制御回路40にフィードバック信号を出力する。制御回路40は、スイッチングトランス30の2次巻線から出力される電圧のプラスの整流電圧が一定となるようにフィードバック制御を行っており、例えば、フィードバック信号を入力されるとスイッチングトランス30の2次巻線に出力される正の整流電圧が低下するようにフィードバック制御し、フィードバック信号が入力されないときはスイッチングトランス30の2次巻線のプラス側の整流電圧が上昇するようにフィードバック制御する。フィードバック回路50の具体的構成としては、上述した図5に示すフィードバック回路250等を採用することができる。
【0018】
図2は、減電圧検出回路の一例を示す回路図である。同図において、減電圧検出回路60は、整流回路61と、ツェナダイオードD1と、抵抗R1,R2と、トランジスタTr1と、整流回路62と、ツェナダイオードD2と、抵抗R3と、を備えている。整流回路61はスイッチングトランス30の出力のマイナス側を整流したマイナス整流電圧Vmsを生成し(図のA点に発生)、整流回路62はスイッチングトランス30の出力のプラス側を整流したプラス整流電圧Vpsを生成する(図のB点に発生)。同図では、整流回路61と整流回路62は、スイッチングトランス30の同じ出力端子の出力電圧を整流しているが、むろん、異なる端子の出力を整流して整流電圧を生成してもよい。なお、本実施形態において、整流回路61は第1整流回路を構成し、整流回路62は第2整流回路を構成する。
【0019】
抵抗R1,R2とツェナダイオードD1は、図のA点と所定の定電圧Vcc(図では、All3.3V)のラインとの間を、R1,R2,D1の順で直列接続する。このとき、ツェナダイオードD1は、アノードをA点に向け、カソードを所定の定電圧Vccのラインに向けて接続される。トランジスタTr1は、ベースを抵抗R1,R2の接続点(図のC点)に接続され、エミッタをグランドに接続され、コレクタをリセットラインに接続される。なお、本実施形態において、Vccのラインは所定の定電圧ラインを構成し、抵抗R1は第1抵抗を構成し、抵抗R2は第2抵抗を構成し、ツェナダイオードD1は第1ツェナダイオードを構成し、トランジスタTr1はトランジスタを構成する。
【0020】
このリセットラインは、スイッチング電源回路100を備える当該装置全体を制御する制御回路のリセット端子と不図示のリセット回路とを接続しており、当該装置がオンされている間は(当該制御回路がP−ON時とスタンバイ時との双方で制御動作を行う場合はP−ON時とスタンバイ時との双方、当該制御回路がP−ON時のみ制御動作を行う場合はP−ON時)、リセットの解除を指示するリセット信号がリセット回路からリセット端子へと入力され、当該装置の電源がオフされると、リセット回路からリセット信号が入力されなくなる。なお、同図に示す例では、当該装置のオン時はリセット信号として正論理の電圧信号が入力され、オフ時は負論理の電圧信号が入力されるものとし、当該リセット回路は、負論理が入力されるとリセット状態となり、正論理が入力されるとリセットが解除される。
【0021】
ここで、トランジスタTr1がオンすると、リセットラインをグランドに引き込むことによりリセットラインにて伝送される電圧信号を負論理とし、当該装置全体をリセット状態とする。よって、AC電源入力端子10に入力されるAC電源に減電圧が発生したときに、当該装置をリセット状態とすることにより装置を安全に停止し、装置のフリーズを防止できる。
【0022】
なお、スイッチング電源回路100を備える当該装置には、オフ状態、スタンバイ状態、オン状態、の3つの電源状態がある。オフ状態は、装置の何れの構成要素にも電源電圧が供給されていない状態であり、例えば、電源プラグを外部の電源ソケットに挿入していない状態、主電源がオフされている状態である。スタンバイ状態は、リモコン等の操作部からオン状態への移行指示が為されるのを待機している状態であり、電源プラグを外部の電源ソケットに挿入され、リモコン信号受信回路に電源供給されつつ他の回路に電源供給されていない状態である。オン状態は、装置がユーザーによって使用されている状態であり、電源プラグを外部の電源ソケットに挿入され、主要な回路に電源供給されている状態である。
【0023】
抵抗R3とツェナダイオードD2は、図のB点と抵抗R1,R2の接続点との間を、D2,R3の順に直列接続する。このとき、ツェナダイオードD2は、アノードを抵抗R1,R2の接続点に向け、カソードをB点に向けて接続される。なお、本実施形態において、抵抗R3が第3抵抗を構成し、ツェナダイオードD2が第2ツェナダイオードを構成する。
【0024】
ここで、ツェナダイオードD2の定格は、装置がオン状態のときにB点に発生するプラス整流電圧Vpsによって降伏し、装置がスタンバイ状態のときにB点に発生するプラス整流電圧Vpsでは降伏しないように選択される。従って、装置がオン状態のときは、所定の定電圧VccラインとB点のプラス整流電圧VpsのラインとがC点に接続され、プラス整流電圧VpsがC点の電位を上昇させる。すなわち、装置がオン状態のときには、プラス整流電圧VpsのラインをC点に接続しない状態に比べて、プラス整流電圧Vpsの作用によりC点の電位が高められる傾向で発生する。一方、装置がスタンバイ状態のときは、所定の定電圧VccラインのみがC点に接続され、プラス整流電圧VpsはC点の電位に影響を与えない。すなわち、装置がスタンバイ状態のときは、プラス整流電圧Vpsの作用が無いため、C点の電位は、プラス整流電圧VpsのラインがC点に接続されない状態と同じ条件で発生する。
なお、本実施形態においては、整流回路61からツェナダイオードD2や抵抗R3を介してC点に印加される電圧が所定の定電圧を構成し、整流回路61とツェナダイオードD2と抵抗R3が調整電圧生成回路を構成する。
【0025】
以上のように構成された減電圧検出回路60において、各素子の定格は次の2条件を満たすように設定される。
すなわち、装置がオン状態であってAC電源入力端子10から入力されるAC電源が所定の閾値Vth(不図示)以上のとき、プラス整流電圧Vpsとマイナス整流電圧Vmsと所定の定電圧VccとによってツェナダイオードD1が降伏し、ツェナダイオードD1が降伏したときにトランジスタTr1のベースに印加される電圧はトランジスタTr1のターンオン電圧より低く、トランジスタTr1はオンしない。
また、装置がオン状態であってAC電源入力端子10から入力されるAC電源が所定の閾値Vthよりも低下したとき、プラス整流電圧Vpsとマイナス整流電圧Vmsと所定の定電圧VccとによってツェナダイオードD1は降伏せず、このとき、トランジスタTr1のベースに印加される電圧はトランジスタTr1のターンオン電圧より高く、トランジスタTr1はオンする。
【0026】
このように各素子の定格が設定された減電圧検出回路60は、装置がスタンバイ状態においては、プラス整流電圧VpsのラインをC点に接続しない場合に比べるとC点の電圧が低くなるため、プラス整流電圧VpsのラインをC点に接続しない場合に比べて高いマイナス整流電圧Vmsにて、トランジスタTr1をオンしうる電圧となる。すなわち、プラス整流電圧VpsのラインをC点に接続したことにより、スタンバイ状態における減電圧検出を効きにくくすることができる。
【0027】
以上説明した実施形態によれば、整流回路61と、抵抗R1と、抵抗R2と、ツェナダイオードD1と、トランジスタTr1と、整流回路62と、抵抗R3と、ツェナダイオードD2と、を備えることにより、スイッチング電源回路に供給されるAC電源の減電圧をスイッチングトランスの出力する負側を整流したマイナスの整流電圧に基づいて検出する減電圧検出回路において、P−ON時とスタンバイ時とでスイッチング電源回路のフィードバック経路が切換わる場合に、スタンバイ時の減電圧検出を効きにくくすることができる。
【0028】
(2)変形例:
図3は、減電圧検出回路の他の一例を示す要部回路図である。同図に示す減電圧検出回路160は、整流回路161と、ツェナダイオードD11と、抵抗R11,R12と、トランジスタTr11と、調整電圧生成回路162と、を備えている。なお、整流回路161とツェナダイオードD11と抵抗R11,R12とトランジスタTr11は、上述した減電圧検出回路60における整流回路61とツェナダイオードD1と抵抗R1,R2とトランジスタTr1と同様の構成であり、以下では詳細な説明を省略する。
【0029】
調整電圧生成回路162は、上述した実施形態における整流回路62、ツェナダイオードD2、抵抗R3と同様の作用を奏する回路であり、C点に接続されている。調整電圧生成回路162は、装置がオン状態のときは電圧を発生してC点の電位を上昇させ、装置がスタンバイ状態のときは、電圧を発生させずにC点の電位に影響を与えない。すなわち、調整電圧生成回路162は、装置がオン状態のときには、調整電圧生成回路162をC点に接続しない場合に比べてC点の電位を高める作用を奏し、装置がスタンバイ状態のときは、調整電圧生成回路162をC点に接続しない場合とC点の電位が同じ傾向で発生するようにする。
【0030】
以上のように構成された減電圧検出回路60において、各素子の定格は、次の2条件を満たすように設定される。
装置がオン状態であってAC電源入力端子10から入力されるAC電源が所定の閾値Vth(不図示)以上のときに、調整電圧生成回路の出力する電圧とマイナス整流電圧Vmsと所定の定電圧Vccとによってベースに印加される電圧はトランジスタTr11のターンオン電圧より低く、トランジスタTr11がオンしない。
装置がオン状態であってAC電源入力端子10から入力されるAC電源が所定の閾値Vthよりも低下したときに、調整電圧生成回路162の出力する電圧とマイナス整流電圧Vmsと所定の定電圧Vccとによってベースに印加される電圧はトランジスタTr11のターンオン電圧より高く、トランジスタTr11がオンする。
【0031】
このように各素子の定格が設定された減電圧検出回路60は、装置がスタンバイ状態においては、調整電圧生成回路162をC点に接続しない場合に比べるとC点の電圧が低くなるため、調整電圧生成回路162をC点に接続しない場合に比べて高いマイナス整流電圧Vmsにて、トランジスタTr11をオンしうる電圧となる。すなわち、調整電圧生成回路162のラインをC点に接続したことにより、スタンバイ状態における減電圧検出を効きにくくすることができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0033】
10…AC電源入力端子、20…1次側整流回路、30…スイッチングトランス、40…制御回路、50…フィードバック回路、60…減電圧検出回路、61…整流回路、62…整流回路、100…スイッチング電源回路、160…減電圧検出回路、161…整流回路、162…調整電圧生成回路、D1…ツェナダイオード、D2…ツェナダイオード、D11…ツェナダイオード、R1…抵抗、R2…抵抗、R3…抵抗、R11…抵抗、R12…抵抗、Tr1…トランジスタ、Tr11…トランジスタ、Vcc…定電圧、Vms…マイナス整流電圧、Vps…プラス整流電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングトランス出力のプラスの整流電圧が一定となるようにフィードバック制御を行うスイッチング電源回路に供給されるAC電源にかかる減電圧を検出する減電圧検出回路において、
前記スイッチングトランス出力のマイナスの整流電圧を生成する第1整流回路と、
所定の定電圧ラインに一端を接続された第1抵抗と、
前記第1抵抗の他端に一端を接続された第2抵抗と、
前記第2抵抗の他端にカソードを接続され、前記マイナスの整流電圧をアノードに入力された第1ツェナダイオードと、
前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点にベースを接続され、グランドにエミッタを接続されたトランジスタと、
前記スイッチング電源回路を備える装置がオン状態のときには所定の正の定電圧を生成して前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点に入力し、前記装置がスタンバイ状態のときには前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点に所定の正の定電圧を入力しない調整電圧生成回路と、
を備え、
前記AC電源に減電圧が発生すると前記トランジスタのベース電圧が上昇して前記トランジスタがターンオンし、前記トランジスタのコレクタの接続先をグランドに引き込むことを特徴とする減電圧検出回路。
【請求項2】
前記調整電圧生成回路は、前記スイッチングトランス出力のプラスの整流電圧を生成する第2整流回路と、前記第1抵抗と前記第2抵抗の接続点に一端を接続された第3抵抗と、前記第3抵抗の他端にアノードを接続され、前記プラスの整流電圧をカソードに入力された第2ツェナダイオードと、を備え、
前記装置がオン状態のときの前記プラスの整流電圧は、前記装置がスタンバイ状態のときの前記プラスの整流電圧より大きく、
前記第2ツェナダイオードは、前記装置がオン状態のときは前記プラスの整流電圧により降伏し、前記装置がスタンバイ状態のときは前記プラスの整流電圧により降伏しないことを特徴とする請求項1に記載の減電圧検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235618(P2012−235618A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102641(P2011−102641)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】