説明

無線通信装置、無線通信方法及びプログラム

【課題】アンテナ構成を柔軟に変更して、良好な通信状態を提供する。
【解決手段】複数のアンテナの物理的な構成として、各アンテナ間の物理的な距離や、各アンテナが送受信する信号の偏波方向を特定し、その特定結果に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを選択する。あるいは、複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知し、検知された受信品質の比較結果に応じて、使用するアンテナの組み合わせを選択する。複数のアンテナに対応して送受信する信号の処理を行う複数の信号処理回路がある場合に、選択されたアンテナの組み合わせに基づいて、使用されない回路への電力供給を停止する。あるいは、選択されないアンテナ、及び、そのアンテナに対応づけられた信号処理回路を用いて、特定の通信対象又は他の通信対象との間で通信を行うための設定値を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間多重により通信を行う際のアンテナ構成を変更可能な無線通信装置、無線通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代移動体通信システムの国際標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、E−UTRA(Evoluted−UMTS Transmitter Radio Access)の規格化が進められている。E−UTRAは、第3.5世代にあたるUTRAの高速化を図るもので、LTE(Long Term Evolution)とも呼ばれる第3.9世代に位置する。
【0003】
LTEでは、MIMO(Multi−Input Multi−Output)といった空間多重により通信を行い、高速大容量の情報伝送を実現するとともに、周波数利用効率の向上を図っている。さらに空間多重数が多く、帯域の広い第4世代にあたるIMT−Advancedも検討されている。MIMOは、複数のアンテナを使用して空間多重によりパスを増加させ、スループットの向上を図る通信方式である。また、同じ周波数を使用することで、周波数利用効率も良好な通信方式である。ここで、MIMOにおいて入力の数がa、出力の数がbであるものを、a×bMIMOとも称する。例えばLTEでは、基地局のアンテナ数(最大空間多重数)及び、端末のアンテナ数は2(最大4)となり、2×2MIMO(最大4×4MIMO)である。
【0004】
LTEにおける端末は、システム固有及びセル固有の制御情報を全体に報知する共通制御チャネルであるPBCH(Physical Broadcast Channel)に含まれる情報から、基地局のアンテナ数を得る。この端末は、RS(Reference Signal)を用いて、各々のアンテナで受信したRSから空間行列を算出し、PUCCH(Physical Uplink Control CHannel)を用いて、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)、CQI(Channel Quality Indicator)を基地局に通知する。基地局はPMI、RI、CQI情報に基づき、プリコーディング、送信モードを決定し、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)を用いて、決定結果を端末へと通知する。
【0005】
例えば、相関が低く、使用できる空間多重数が多い場合には、DL(Down Link)において最大約300Mbpsの通信が可能になる。その一方で、電波環境が悪い場合には、基地局は送信モードを送信ダイバシティとして通信を行う。後者の場合には、2つのアンテナポートから同一のデータを送信することで、スループットの向上は見込めないが、冗長性を高めて安定した通信が可能になる。
【0006】
特許文献1には、1つのアンテナを用いた通信と、複数のアンテナを用いた通信を行うための構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−166855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
移動体通信の高速化に伴い、MIMOに代表される空間多重を用いることにより、スループットと周波数利用効率の更なる向上が図られている。その一方で、空間多重数を増やせば、アンテナ数が増加したり、信号処理量の増大により消費電力が増加したりするといった、様々な問題が生じる。そのため、移動体通信に用いられる携帯端末に搭載できるアンテナ数には限界がある。
【0009】
そこで、例えば高速大容量の情報伝送が必要な状況に応じて、アンテナ数を増やして通信を行うことなどが望まれる。しかしながら、特許文献1に記載された技術は、例えば携帯電話機の電池パックや充電器に外付けアンテナ素子を設けるといった、アンテナの搭載箇所に関するものである。そのため、様々な状況に応じて柔軟にアンテナ構成を変更して良好な通信状態を維持することは困難である。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、空間多重による通信を行うために使用するアンテナ構成を、様々な状況に応じて柔軟に変更して、良好な通信状態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本願の第1の観点に係る無線通信装置は、
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを有し、空間多重により通信を行う無線通信装置であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段と、
前記複数のアンテナの物理的な構成を特定するアンテナ構成特定手段とを備え、
前記アンテナ選択手段は、前記アンテナ構成特定手段によって特定された構成に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする。
【0012】
前記アンテナ構成特定手段は、前記複数のアンテナの物理的な構成として、各アンテナ間の物理的な距離を特定し、
前記アンテナ選択手段は、前記アンテナ構成特定手段によって特定された各アンテナ間の物理的な距離が最大となるアンテナの組み合わせを選択してもよい。
【0013】
前記アンテナ構成特定手段は、前記複数のアンテナの物理的な構成として、各アンテナが送受信する無線信号の偏波方向を特定し、
前記アンテナ選択手段は、前記アンテナ構成特定手段によって特定された偏波方向が異なるアンテナの組み合わせを選択してもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本願の第2の観点に係る無線通信装置は、
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを有し、空間多重により通信を行う無線通信装置であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段と、
複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知する受信品質検知手段とを備え、
前記アンテナ選択手段は、前記受信品質検知手段によって検知された受信品質の比較結果に応じて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする。
【0015】
当該無線通信装置の通信環境における所定の変化量を検知する通信環境検知手段を備え、
前記アンテナ選択手段は、選択するアンテナの組み合わせを変更する周期を、前記通信環境検知手段によって検知された変化量が予め定めた基準値以下であるか否かに応じて異ならせてもよい。
【0016】
当該無線通信装置の通信環境における所定の変化量の時間変動を検知する通信環境変動検知手段を備え、
前記アンテナ選択手段は、選択するアンテナの組み合わせを変更する周期を、前記通信環境変動検知手段によって検知された変化量の時間変動が予め定めた基準値以下であるか否かに応じて異ならせてもよい。
【0017】
前記信号処理手段は、前記アンテナセットに含まれる複数のアンテナに対応して、送受信する信号の処理を行う複数の信号処理回路を含み、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせに基づいて、前記複数の信号処理回路のうちで使用されない回路への電力供給を停止してもよい。
【0018】
前記信号処理手段は、前記アンテナセットに含まれる複数のアンテナに対応して、送受信する信号の処理を行う複数の信号処理回路を含み、
前記アンテナ選択手段によって選択されないアンテナ、及び、当該アンテナに対応づけられた信号処理回路を用いて、前記通信対象又は他の通信対象との間で通信を行うための設定値を取得してもよい。
【0019】
前記アンテナセットは、
隣り合う各々のアンテナの偏波方向が互いに直交する複数の第1アンテナを有する第1アンテナセットと、
隣り合う各々のアンテナの偏波方向が互いに直交する複数の第2アンテナを有する第2アンテナセットとを含んでもよい。
【0020】
前記アンテナセットは、
送受信する信号の偏波方向が互いに同一となる複数の第1アンテナを有する第1アンテナセットと、
送受信する信号の偏波方向が互いに同一となる複数の第2アンテナを有する第2アンテナセットとを含み、
前記複数の第1アンテナが送受信する信号の偏波方向と、前記複数の第2アンテナが送受信する信号の偏波方向が互いに直交してもよい。
【0021】
前記第1アンテナセット又は前記第2アンテナセットは、当該無線通信装置に対して着脱可能に構成され、
前記第1アンテナセット又は前記第2アンテナセットが当該無線通信装置に対して装着されたか否かを検知する装着検知手段を備えてもよい。
【0022】
前記アンテナ選択手段は、一定の偏波方向を有する信号を常に送受信するようアンテナの組み合わせを選択してもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本願の第3の観点に係る無線通信方法は、
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信方法であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択ステップと、
前記アンテナ選択ステップにて選択したアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理ステップと、
前記複数のアンテナの物理的な構成を特定するアンテナ構成特定ステップとを備え、
前記アンテナ選択ステップは、前記アンテナ構成特定ステップにて特定した構成に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする。
【0024】
上記目的を達成するため、本願の第4の観点に係る無線通信方法は、
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信方法であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択ステップと、
前記アンテナ選択ステップにて選択したアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理ステップと、
複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知する受信品質検知ステップとを備え、
前記アンテナ選択ステップは、前記受信品質検知ステップにて検知した受信品質の比較結果に応じて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする。
【0025】
上記目的を達成するため、本願の第5の観点に係るプログラムは、
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信装置を制御するコンピュータを、
前記複数のアンテナの物理的な構成を特定するアンテナ構成特定手段と、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを、前記アンテナ構成特定手段によって特定された構成に基づいて選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段、
として機能させる。
【0026】
上記目的を達成するため、本願の第6の観点に係るプログラムは、
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信装置を制御するコンピュータを、
複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知する受信品質検知手段と、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを、前記受信品質検知手段によって検知された受信品質の比較結果に応じて選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アンテナ構成を柔軟に変更して、空間多重による良好な通信状態を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る端末の構成例を示す図である。
【図2】外部アンテナを接続した端末の構成例を示す図である。
【図3】アンテナスイッチの構成例を示す図である。
【図4】制御部の構成例を示す図である。
【図5】基地局のアンテナ数を示す図である。
【図6】通信データ量や電池残量に応じてアンテナ構成を変更する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】偏波方向が直交するアンテナの構成例を示す図である。
【図8】偏波方向が異なるアンテナの構成例を示す図である。
【図9】所定の測定結果に基づいてアンテナを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】受信品質レポートに基づいてアンテナを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】センサを付属した端末の構成例を示す図である。
【図12】アンテナを内蔵したクレードルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、無線通信装置への適用例として、E−UTRAにおけるMIMO方式を用いた携帯端末機器の一構成例を示している。
【0030】
図1に示す端末0は携帯端末機器としての無線通信装置であり、アンテナ選択部2と、RFスイッチ4と、信号処理部5と、制御部6と、接続部7と、アンテナ11及びアンテナ12と、RF部31及びRF部32とを備えている。図1に示す構成例では、アンテナ11及びアンテナ12が端末0に内蔵されて、各々が無線信号を受信できるように設置されている。
【0031】
アンテナ選択部2は、端末0に内蔵のアンテナ11及びアンテナ12や接続部7と、RF部31及びRF部32とを、接続又は未接続にするスイッチである。RF部31及びRF部32はそれぞれ、アンテナ11及びアンテナ12を含む各アンテナで受信した各々2系統(最大4系統)の高周波信号を周波数変換する性能を持つ。そして、RF部31及びRF部32はそれぞれ、2つの入力x及び入力yを有している。以下では、RF部31の入力xをRF部31xとも記し、RF部31の入力yをRF部31yとも記す。RF部32についても同様に、入力xをRF部32xとも記し、入力yをRF部32yとも記す。
【0032】
また、RF部31及びRF部32はそれぞれ、例えばLNA(Low Noise Amplifier)といった増幅器を備え、受信信号を増幅することができるようにしてもよい。加えて、RF部31及びRF部32はそれぞれ、重み付けが可能な減衰器を備え、受信信号の振幅を調整することができるようにしてもよい。さらに、RF部31及びRF部32はそれぞれ、例えば遅延回路を用いた移相器を備え、受信信号の位相を調整することができるようにしてもよい。このように、RF部31及びRF部32は、信号処理部5による復調処理等の前段階として、受信信号に対して各種の信号処理を実行できるものであればよい。なお、RF部31及びRF部32は、信号処理部5による変調処理等の後段階として、送信信号に対して各種の信号処理を実行できるものであってもよい。
【0033】
RFスイッチ4は、信号処理部5の入力52をグランドへ接地可能にするスイッチである。信号処理部5は、RF部31及びRF部32の出力信号を処理する。例えば、信号処理部5は、RF部31及びRF部32の出力信号を用いて、直交検波、アナログ・デジタル(A/D)変換、高速フーリエ変換等の信号処理を実行して、複数のサブキャリアで伝送されたデータを復調及び復号することができればよい。制御部6は、各部の設定やオン/オフ等といった、各種の制御を行う。接続部7は、端末0と外部機器を接続するためのものである。
【0034】
図2は、外部アンテナを端末0に接続した際の構成例を示している。外部アンテナ13及び外部アンテナ14は、接続部7と接続(着脱)できる構成(例えば差込プラグなど)を有し、アンテナ11やアンテナ12と同様な周波数特性を持つ。制御部6は、外部アンテナ13及び外部アンテナ14が接続(装着)されたことを、例えば接続部7の電気的特性の変化や、スイッチ等により、検知することができればよい。外部アンテナ13及び外部アンテナ14を接続(装着)することにより、2系統だけでなく、4系統までの信号を送受信することができ、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせを、柔軟に変更することができる。また、アンテナ11とアンテナ12の組み合わせが選択されるときには、外部アンテナ13及び外部アンテナ14を取り外すことで、端末0の省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0035】
図3は、アンテナ選択部2の構成例を示している。図3(a)に示す構成例において、アンテナ選択部2は、アンテナ11で受信した信号を、常にRF部31の入力x(RF部31x)へと伝送(出力)する。そして、図3(a)に示すアンテナ選択部2は、3つのアンテナスイッチ22〜24を備えている。アンテナスイッチ22は、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14のいずれかで受信した信号を、RF部31の入力y(RF部31y)へと伝送(出力)するように切替可能である。したがって、アンテナ11との相関が低いアンテナを、アンテナ11とともに使用するアンテナとして選択することができる。アンテナスイッチ23は、外部アンテナ13で受信した信号を、RF部32の入力x(RF部32x)へと伝送(出力)するか否かを切替可能であり、RF部32の入力xに外部アンテナ13を接続するか、グランドとなる端子dを接続するかを選択することができる。アンテナスイッチ24は、外部アンテナ14で受信した信号を、RF部32の入力y(RF部32y)へと伝送(出力)するか否かを切替可能であり、RF部32の入力yに外部アンテナ14を接続するか、グランドとなる端子dを接続するかを選択することができる。
【0036】
このように、アンテナスイッチ23やアンテナスイッチ24においては、RF部32の入力xや入力yをグランドに接続することができる。これにより、RF部32を停止(オフ)させたときに、外部アンテナ13や外部アンテナ14で受信した信号が回路基板やRF部32へと入力されることを回避して、妨害信号の発生を防止できる。
【0037】
なお、アンテナ選択部2として、図3(b)に例示するような構成を有するアンテナ選択部201が用いられてもよい。図3(b)に示す構成例において、アンテナ選択部201は、各アンテナと各RF部との接続を自在に選択することができる。すなわち、アンテナ選択部201では、アンテナ11がRF部31の入力x(RF部31x)には直結されていない点などにおいて、図3(a)に示したアンテナ選択部2の構成とは異なっている。図3(b)に示すアンテナ選択部201は、4つのアンテナスイッチ211〜241を備えている。各アンテナスイッチ211〜241は、4本のアンテナ(アンテナ11、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14)と、グランドとなる端子dから、いずれかを選択して、対応するRF部の入力に接続するように切替可能である。こうしたアンテナ選択部201の構成により、選択可能なアンテナの組み合わせが多様化するので、使用するアンテナの組み合わせを柔軟に選択して、空間多重を用いたより良好な通信を行うことが可能になる。
【0038】
端末0では、空間多重による通信を行うために使用するアンテナの組み合わせを、様々な状況に応じて柔軟に変更して、良好な通信状態を確立する。そのために、端末0に内蔵又は外付けの記憶部(例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM、HDD、光ディスク記憶装置あるいは光磁気ディスク記憶装置など)に記憶された動作プログラムを、制御部6が読み出して実行することで、図4に示すような機能が実現される。図4に示すように、制御部6は、アンテナ構成特定部61、通信状態検知部62、使用アンテナ選択設定部63、信号処理設定部64などとして機能すればよい。
【0039】
アンテナ構成特定部61は、アンテナ11やアンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14といった、端末0が使用可能な複数のアンテナについて、例えば物理的なアンテナ間距離や各アンテナの向き(受信偏波の向き)を示す設定データなどにより、配置等の構造を特定する。なお、アンテナ構成特定部61は、端末0に内蔵された記憶部から設定データを読み出すことにより、アンテナの構造などを特定してもよいし、端末0の外部から入力される設定データを読み取ることにより、アンテナの構造などを特定してもよい。あるいは、端末0の製造者や使用者がアンテナの構造を示すデータを入力可能な入力部を備え、アンテナ構成特定部61は、この入力部により入力されたデータを読み取ることにより、アンテナの構造などを特定してもよい。また、アンテナ構成特定部61は、接続部7における外部アンテナ13や外部アンテナ14の接続状態を検知して、アンテナの構造などを特定できればよい。その他にも、例えば端末0が使用可能な複数のアンテナのいずれかを用いて測定用の参照信号を送信し、他のアンテナによる受信結果などに基づいて、アンテナ構成特定部61がアンテナの構造などを特定できるようにしてもよい。
【0040】
通信状態検知部62は、端末0における通信動作の状態を検知する。例えば、通信状態検知部62は、接続部7における外部アンテナ13や外部アンテナ14の接続状態、アンテナ選択部2におけるアンテナの選択設定、RF部31及びRF部32や信号処理部5における受信信号の処理結果などに基づいて、端末0における通信動作に関する各種の状態を検知できればよい。また、通信状態検知部62は、端末0が有する電池の充電量(残量)や、通信するデータ量、端末0の傾き、移動速度、移動方向、測定用の参照信号の送受信結果などを、通信動作に関する状態として検知してもよい。
【0041】
使用アンテナ選択設定部63は、アンテナ11やアンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14といった複数のアンテナから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせを選択するための設定を行う。例えば、使用アンテナ選択設定部63は、アンテナ構成特定部61により特定されたアンテナの構成(構造など)に基づいて、使用するアンテナの組み合わせに対応した選択制御信号をアンテナ選択部2に送出することなどにより、アンテナ構成を変更すればよい。また、使用アンテナ選択設定部63は、通信状態検知部62によって検知された端末0における通信動作の状態に基づいて、選択制御信号の送出などによりアンテナ構成を変更すればよい。
【0042】
信号処理設定部64は、使用アンテナ選択設定部63によって選択されたアンテナの組み合わせに対応して、端末0が備える各種回路による通信信号の処理設定を行う。例えば、信号処理設定部64は、使用アンテナ選択設定部63が設定するアンテナの組み合わせに対応した切替制御信号をRFスイッチ4やRF部31及びRF部32、信号処理部5に送出することなどにより、各回路等の動作を切替制御すればよい。
【0043】
以上のような構成及び機能を有する端末0の動作を説明する。まず、端末0における通常待ち受け時の処理について説明する。なお、以下に説明する各種の処理は、例えば端末0の制御部6が内蔵又は外付けの記憶部(例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM、HDD、光ディスク記憶装置あるいは光磁気ディスク記憶装置など)に記憶されたプログラムを読み出して実行し、端末0の各構成を制御することや、制御部6における各機能を構築することにより、実現されるものであればよい。
【0044】
通常待ち受け時において、端末0に内蔵のアンテナ11とアンテナ12で受信した信号は、アンテナ選択部2を通り、RF部31へ入力される。このとき、端末0では、2系統の処理が行われる。そこで、制御部6の信号処理設定部64などにより、RF部31をオン、RF部32をオフにする。こうして使用されないRF部32をオフにすることにより、RF部32への電力供給が停止され、省電力化を図ることができる。さらに制御部6は、使用アンテナ選択設定部63などにより、アンテナ選択部2において外部アンテナ用の接続部7に接続されている端子をオープンにし、RF部32の入力x及び入力yをグランドに接続する。
【0045】
RFスイッチ4は、オフであるRF部32の出力をオープンにし、信号処理部5への入力をグランドへ接地する。RF部31の出力は信号処理部5へ入力され、信号処理部5は基地局から送信されるRSから、使用できるRIやPMIを算出し、CQIとしてPUCCHを用いて、基地局に通知する。基地局はPDCCHにRIやPMIを含む、DCIをマッピングし、サブフレーム毎に端末0に通知する。信号処理部5は、基地局から通知された処理で復号を行う。こうして、2系統を使用した2×2MIMOによる通信が可能になる。
【0046】
これに対して、図2に示したように、外部アンテナ13や外部アンテナ14を接続部7に接続したときには、端末0が4本のアンテナ構成となることがある。このときには、端末0により4系統を使用した4×4MIMOでの通信が可能になり、2×2MIMOでの通信と比べて2倍の高速通信が可能になる。
【0047】
ここで、基地局のアンテナ数が4本の場合について説明する。図5(a)は、基地局104のアンテナ114が4本の場合を例示している。この例において、最大空間多重数は4で、端末0では、制御部6の信号処理設定部64などにより、RFスイッチ4のオン制御を行うとともにRF部32をオンにする。このとき、RF部32や信号処理部5の設定には、その設定前から既に動作しているRF部31や信号処理部5の設定値を反映させることにより、起動処理の高速化を図ってもよい。
【0048】
例えば、制御部6の信号処理設定部64は、RF部31や信号処理部5の動作内容から、周波数帯域やシステム帯域幅、フレーム構成、CP長、セルID、ゲイン設定等といった、各種の設定を読み込んでもよい。あるいは、これらの設定は、通信状態検知部62によって検知され、その検知結果が信号処理設定部64に通知されてもよい。端末0は、RF部32をオンにすることなどにより、4本のアンテナ構成となり、4系統の信号を処理可能になる。端末0は、所定の設定を行った後、基地局からRSを受信し、PMI、RI、CQIを基地局に通知する。基地局は、端末0に設定を通知し、良好な電波環境であれば、4×4MIMOによる通信を開始する。こうして、4×4MIMOを実現可能な携帯端末機器を提供することができ、LTEのDLにおける最大スループットでの通信が可能になる。もっとも、RF部32をオンにすることや、パス(チャネル)の増加に伴い、信号処理部5の負荷が増加して、消費電力が増大する。そこで、適宜、RF部32をオフにしてもよい。
【0049】
図6は、アンテナ構成を変更する処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す処理において、端末0は、設定開始時(S1001)に、通信するデータ量や電池残量を確認する。このときには、通信するデータ量や電池残量が多いか少ないかを判定する(S1002)。例えば、制御部6は、データ量や電池残量が多いか少ないかを判定するための基準値を予め記憶しており、通信状態検知部62などによって、この基準値以下であるか否かを判定する。そして、基準値以下である場合に、データ量や電池残量が少ないと判断すればよい。
【0050】
そして、データ量や電池残量が基準値以下で少ない場合には(S1002;Yes)、使用アンテナ選択設定部63や信号処理設定部64などにより、選択するアンテナを2本とするようアンテナ選択部2やRFスイッチ4などを切り替える(S1003)。これにより、前述したアンテナ11及びアンテナ12とRF部31を接続する構成にする。また、信号処理設定部64は、選択したアンテナに接続しないRF部32をオフにして(S1005)、通信処理を開始する(S1006)。
【0051】
これに対して、データ量や電池残量の少なくともいずれか一方が基準値を上回る場合、すなわち、データ量が多い場合、又は、電池残量が多い場合には(S1002;No)、選択するアンテナを4本とするようアンテナ選択部2やRFスイッチ4を切り替える(S1004)。このときには、RF部31及びRF部32をオフにはせずに、通信処理を開始する(S1006)。
【0052】
以上のように、通信するデータ量が少ない場合や電池残量が少ない場合には、RF部32をオフにすることや、信号処理部5の負荷を低減することで、省電力化を図ることができる。なお、端末0がAC電源に接続されているか否かに応じて、アンテナ構成を変更できるようにしてもよい。例えば、端末0がAC電源に接続されているときにはS1004の処理により選択されるアンテナを4本とする一方、端末0がAC電源に接続されていないときにはS1003の処理により選択されるアンテナを2本とするようにしてもよい。
【0053】
なお、通信するデータ量が多いものの電池残量が少ない場合には、基地局や相手方端末などに通信できない旨の通知を送り、通信処理を開始しないようにしてもよい。また、通信するデータ量が少ないものの電池残量が多い場合には、使用するアンテナ数やRF部の使用可否を、端末0のユーザによる指定に基づいて設定してもよい。
【0054】
続いて、基地局のアンテナ数が2本の場合について説明する。図5(b)は、基地局102のアンテナ112が2本の場合を例示している。この例において、最大空間多重数は2で、E−UTRAの規格では、基地局のアンテナ数が2本となり端末0のアンテナ数が4本となる2×4MIMOのように、端末側のアンテナ数が基地局側のアンテナ数より多くなる場合はサポートされていない。そのため、端末0では、省電力化の観点から、基地局のアンテナ数が2本の場合に、4系統(RF部31及びRF部32、信号処理部5)の使用を避けることが望ましい。例えば、制御部6の使用アンテナ選択設定部63などにより、使用するアンテナをアンテナ11及びアンテナ12の2本のみとし、信号処理設定部64などによりRF部32をオフにして、使用されないRF部32への電力供給を停止する。また、信号処理部5において2系統の信号処理を行う設定とすることで、信号処理部5の負荷を低減して、省電力化を図ることができる。こうして、端末0では、制御部6による制御に基づいて、対向する通信対象となる基地局のアンテナ数と同数以下のアンテナが選択され、空間多重による通信を行うためのアンテナ構成が決定されればよい。
【0055】
上述の例では、端末0において使用するアンテナ数を2本とする場合に、アンテナ11及びアンテナ12を選択するものとしている。その一方で、複数のアンテナを使用するMIMOでは、アンテナ間の相関が低いほど、空間多重の効果を期待できる。そこで、本実施形態において、端末0が使用可能な4本のアンテナ11、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14から一部を選択して使用する場合に、相関が低いアンテナの組み合わせを選択するための構成例や動作例を説明する。一般的に、アンテナ間の距離が離れると相関が低くなることが知られている。したがって、例えば図2に示すアンテナ11と外部アンテナ14のように、物理的にアンテナ間距離が最大となるアンテナを選択すれば、アンテナ間の相関が低くなり、空間多重を行うのに良好な構成とすることができる。
【0056】
また、例えばアンテナ11と外部アンテナ14に加え、アンテナ12と外部アンテナ13のいずれか1つを選択して使用する場合には、アンテナ12と外部アンテナ13のそれぞれについて、既に選択されたアンテナ11と外部アンテナ14に対するアンテナ間距離をそれぞれ特定し、特定されたアンテナ間距離の合計が大きい方を選択すればよい。すなわち、物理的にアンテナ間距離の合計が最大となるアンテナの組み合わせとなるように、使用するアンテナが選択されればよい。以上のように、アンテナ間距離の合計が最大となるアンテナを選択することで、アンテナ間アイソレーションが高くなり、アンテナ素子間の相互結合も低くなるため、相関の度合いを示す相関係数の算出精度が向上する。こうして、複数のアンテナ間における物理的な距離に基づいて使用するアンテナが選択され、空間多重による通信を行うためのアンテナ構成を決定できればよい。
【0057】
偏波が直交している(異なる)アンテナ間では相関が低くなることが知られている。そこで、相関が低いアンテナの組み合わせを選択する別の一例として、偏波を考慮した構成例や選択動作について説明する。
【0058】
図7(a)に示す構成例において、アンテナ11とアンテナ12は、地面に対して垂直で、垂直偏波用のアンテナとなっている。これに対して、外部アンテナ13と外部アンテナ14は、地面に対して水平で、水平偏波用のアンテナとなっている。この場合、送受信する信号の偏波方向が互いに同一となるアンテナ11及びアンテナ12が、1つのアンテナセット(第1アンテナセット)を構成するとともに、送受信する信号の偏波方向が互いに同一となる外部アンテナ13及び外部アンテナ14が、もう1つのアンテナセット(第2アンテナセット)を構成する。そして、第1アンテナセットに含まれるアンテナ11又はアンテナ12が送受信する信号の偏波方向と、第2アンテナセットに含まれる外部アンテナ13又は外部アンテナ14が送受信する信号の偏波方向が、互いに直交するように配置されている。また、外部アンテナ13及び外部アンテナ14を含む第2アンテナセットは、端末0に対して着脱可能に構成されている。このような構成例では、アンテナ11又はアンテナ12と、外部アンテナ13又は外部アンテナ14を組み合わせることで、2本のアンテナの間における相関を低くすることができる。すなわち、第1アンテナセットに含まれる1つのアンテナと、第2アンテナセットに含まれる1つのアンテナを任意に選択すれば、相関が低いアンテナの組み合わせとなり、空間多重による良好な通信状態を提供することができる。なお、第1アンテナセットと第2アンテナセットは入れ替えられてもよい。
【0059】
図7(b)に示す構成例において、アンテナ11と外部アンテナ13は、地面に対して垂直で、垂直偏波用のアンテナとなっている。これに対して、アンテナ12と外部アンテナ14は、地面に対して水平で、水平偏波用のアンテナとなっている。この場合、偏波方向が互いに直交するアンテナ11及びアンテナ12が隣り合って、1つのアンテナセット(第1アンテナセット)を構成するとともに、偏波方向が互いに直交する外部アンテナ13及び外部アンテナ14が隣り合って、もう1つのアンテナセット(第2アンテナセット)を構成する。また、外部アンテナ13及び外部アンテナ14を含む第2アンテナセットは、端末0に対して着脱可能に構成されている。このような構成例では、アンテナ11又は外部アンテナ13と、アンテナ12又は外部アンテナ14を組み合わせることで、2本のアンテナの間における相関を低くすることができる。すなわち、第1アンテナセット又は第2アンテナセットに含まれる1つのアンテナと、第1アンテナセット又は第2アンテナセットに含まれる1つのアンテナを適切に選択すれば、相関が低いアンテナの組み合わせとなり、空間多重による良好な通信状態を提供することができる。加えて、外部アンテナ13や外部アンテナ14が端末0に接続されていない場合でも、アンテナ11とアンテナ12を選択すれば、相関が低いアンテナの組み合わせとすることができる。なお、第1アンテナセットと第2アンテナセットは入れ替えられてもよい。
【0060】
さらに、図8は、3次元に配置されたアンテナ構成を示している。図8に示すアンテナ311〜314はそれぞれ、直線偏波用のアンテナである。図中の矢印は、各アンテナに対応する偏波の向きを表している。
【0061】
図8(a)は3本のアンテナ構成を示し、x方向のアンテナ311、y方向のアンテナ312、z方向のアンテナ313を、互いに直交するように(90°に)配置することで、アンテナ間の相関を低くする。図8(b)は3次元に配置した4本のアンテナ構成を示している。ここで、図7(a)及び(b)のように、4本のアンテナを2次元に配置して4本のアンテナを選択(全選択)した場合には、直交しないアンテナが2対となる。その一方で、図8(b)に示すアンテナ構成では、図8(a)に示すアンテナ構成に加えて、−y方向のアンテナ314を配置している。したがって、直交しないアンテナは、偏波の向きが同一となるアンテナ313とアンテナ314の一対であり、2次元の配置に比べて直交しないアンテナ対を減らすことができる。図8(c)は4本のアンテナを互いに120°で交わるよう配置した構成例を示している。この構成例では、互いのアンテナが完全には直交しないものの、偏波の向きが同一になることもないので、相関を低くすることができる。
【0062】
このように、アンテナ11、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14の一部又は全部を組み合わせることや、アンテナ311〜アンテナ314を組み合わせることなどにより、偏波が直交する(異なる)アンテナなどを選択して使用する。こうして、複数のアンテナ間における相関を低下させ、空間多重による通信を行うのに良好なアンテナ構成とすることができる。
【0063】
例えば、制御部6のアンテナ構成特定部61は、各アンテナ間の物理的な距離を示す設定データ、あるいは、各アンテナに対応する偏波の向きを示す設定データを読み取ることなどにより、全アンテナのうちで一部のアンテナ(複数のアンテナ)を選択する場合に、複数のアンテナ間における相関を低下させるように、各アンテナの物理的な構成に応じて使用するアンテナの選択を行うようにすればよい。
【0064】
複数のアンテナの物理的な構成を特定する方法としては、予め用意された設定データを読み取るものに限定されず、所定の測定を行うようにしてもよい。図9は、所定の測定結果に基づいて特定された各アンテナの物理的な構成に応じて、使用するアンテナが選択される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理例では、アンテナ11と相関の低いアンテナが、アンテナ11とともに使用するアンテナとして選択される。この例において、アンテナ11は、使用するアンテナとして予め設定(固定)されている。
【0065】
図9に示す処理が開始されると、端末0の制御部6は、例えば通信状態検知部62が信号処理部5等の動作状態を検知することなどにより、待ち受け時、RS測定前、通信開始前又は通信を行わない時といった、待機中であるか否かを判定する(S2001)。このとき、待機中でないと判定された場合には(S2001;No)、S2001の処理を繰り返し実行する。これに対して、待機中であると判定された場合には(S2001;Yes)、例えばアンテナ構成特定部61あるいは通信状態検知部62から信号処理部5やRF部31に対して所定の指令信号を出力することなどにより、アンテナ11から測定用の参照信号を送信させる(S2002)。
【0066】
S2002にてアンテナ11から送信された参照信号を、他のアンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14で受信して、受信レベルや位相、計測した受信品質、相関係数等(これらの一部又は全部)から位置関係、相関度といった各アンテナの物理的な構成を特定する(S2003)。そして、S2003での測定結果に基づいて、アンテナ11とともに使用するアンテナを、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14のうちから選択する(S2004〜S2006)。例えば、受信レベルの測定結果に基づいて選択する場合には、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14のうちで参照信号を受信したレベルが最も低いアンテナが、参照信号を送信したアンテナ11から最も離れているアンテナ、あるいは、アンテナ11で送受信する無線信号の偏波方向との差異が最も大きいアンテナであり、アンテナ11と相関の低いものと推測することができる。こうしてアンテナの選択が終了した後には、例えば信号処理設定部64が選択されたアンテナに対応してRFスイッチ4や信号処理部5、RF部31、RF部32の動作設定を行うことなどにより、選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を開始させる(S2007)。
【0067】
このような所定の測定結果に基づいて特定された各アンテナの物理的な構成に応じて、相関の低いアンテナの組み合わせを選択することで、空間多重により通信を行うために良好なアンテナ構成とすることができる。なお、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14のうち、いずれかのアンテナが使用するアンテナとして予め設定(固定)されている場合には、その使用するアンテナからS2002にて測定用の参照信号を送信し、S2003での測定結果に基づいて相関の低いアンテナを選択すればよい。また、アンテナ11から送信した参照信号を他のアンテナ(アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14)で受信した場合の位相差を測定し、位相差が最も大きいアンテナを選択するようにしてもよい。こうして、端末0に内蔵されたアンテナ11やアンテナ12、あるいは、端末0に接続された外部アンテナ13や外部アンテナ14のうち、いずれかのアンテナから送信した参照信号を他のアンテナで受信する場合における所定の測定結果に基づいて、相関の低いアンテナの組み合わせを選択することができる。
【0068】
さらに、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせを選択する他の一例として、例えばCQIやRIなどを示す受信品質レポートを用いる場合について説明する。図10は、所定の受信品質レポートに基づいて使用するアンテナが選択される処理の一例を示すフローチャートである。この例においても、図9に示した処理例と同様に、アンテナ11は使用するアンテナとして予め設定(固定)されているものとする。
【0069】
図10に示す処理では、まず始めに、アンテナ12が選択される(S3001)。そして、アンテナ11とアンテナ12を使用した際の受信品質レポートが保持される(S3002)。例えば、制御部6の通信状態検知部62は、信号処理部5における信号処理の実行結果などからDLチャネル特性を推定し、推定されたDLチャネル特性を示す受信品質レポートを作成すればよい。S3002における保持後には、アンテナ12の選択が中止され、外部アンテナ13が選択される(S3003)。続いて、アンテナ11と外部アンテナ13を使用した際の受信品質レポートが保持される(S3004)。S3004における保持後には、外部アンテナ13の選択が中止され、外部アンテナ14が選択される(S3005)。このときには、アンテナ11と外部アンテナ14を使用した際の受信品質レポートが保持される(S3006)。こうしてアンテナ11とともにアンテナ12、外部アンテナ13及び外部アンテナ14のうちいずれか1つのアンテナを使用する場合に対応した全ての受信品質が検知され、これらの検知結果を示す受信品質レポートが保持される。その後、各々の受信品質レポートが比較される。そして、この比較結果により、アンテナ11との組み合わせにおいて、最も受信品質の良好なアンテナが決定される(S3007)。その後、S3007における決定結果に基づいて、アンテナ11とともに使用するアンテナが選択される(S3008〜S3010)。こうしてアンテナの選択が終了した後には、例えば信号処理設定部64が選択されたアンテナに対応してRFスイッチ4や信号処理回路5、RF部31、RF部32の動作設定を行うことなどにより、選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を開始させる(S3011)。
【0070】
このような受信品質レポートの比較結果に基づいて、相関の低いアンテナの組み合わせが選択されることにより、空間多重により通信を行うための良好なアンテナ構成とすることができる。なお、受信品質レポートは、DLチャネル特性を特定可能な任意の測定値を示すものであればよく、例えば、信号対干渉雑音比(SINR:Signal to Interference and Noise Ratio)やビット誤り率(BER:Bit Error Ratio)、Eb/No(1ビットあたりの電力密度対雑音電力密度比)などであってもよい。
【0071】
次に、携帯端末機器がセンサを備える場合の構成例及び動作例について説明する。図11(a)及び(b)に示す構成例では、端末0がセンサ8を備えている。センサ8は、例えば加速度センサなどを用いた方位角センサであり、端末0の傾きを検知できればよい。センサ8は、端末0の内部において、制御部6とは別個に設けられてもよいし、例えば通信状態検知部62の一部として、制御部6の内部に組み込まれてもよい。また、センサ8は、端末0に内蔵されるものに限定されず、端末0に外付けされて、検知結果を示すデータが端末0の制御部6へと伝送されるようなものでもよい。
【0072】
この構成例において、端末0は、アンテナ11及びアンテナ12の他に、アンテナ15及びアンテナ16を内蔵している。なお、アンテナ15及びアンテナ16は、端末0に内蔵されるものに限定されず、前述した外部アンテナ13及び外部アンテナ14と同様に、取り外し可能な外部アンテナとして構成されてもよい。加えて、図11(a)及び(b)に示す端末0は、前述したRF部31及びRF部32や信号処理部5の全機能を有する処理部50を備えている。すなわち、処理部50は、4系統の信号(4つの高周波信号)を処理することができる。
【0073】
図11(a)に示すような向きに端末0が配置されているときには、アンテナ11及びアンテナ12が垂直偏波用のアンテナとなる一方、アンテナ15及びアンテナ16が水平偏波用のアンテナとなる。この場合における動作の一例として、アンテナ11及びアンテナ12の組み合わせでアンテナ間距離が最大となって相関が低く、垂直偏波信号を受信するために良好なアンテナ構成になるものとする。
【0074】
その後、端末0が傾いて図11(b)に示すような向きに配置されたときには、それまで水平であったアンテナ15及びアンテナ16が垂直になり、垂直偏波信号を受信可能になる。例えば、端末0のユーザがストリーミング映像を視聴する際には、縦画面での番組選択から、横画面での映像視聴へと端末0の配置を変更する場合がある。このときには、センサ8により端末0の傾きを検知して、ある一定値以上の傾きを検知した場合に、使用するアンテナの変更を行う。一例として、始めにアンテナ構成を決定した際の初期値(傾斜角度)から45°以上の変化が検知されると、使用するアンテナをアンテナ11及びアンテナ12からアンテナ15及びアンテナ16へと変更すればよい。あるいは、端末0の使用状態が縦画面であるか横画面であるかに応じて、使用するアンテナの組み合わせを切り替えるようにしてもよい。
【0075】
このように、端末0の傾きがセンサ8により検出されて、常に垂直偏波信号を受信できるようにアンテナ構成が変更可能となる。こうして、端末0の配置(位置や向き、姿勢など)が変化した旨の検知結果に基づいて、柔軟にアンテナ構成を変更し、空間多重方式による良好な通信を行うことができる。なお、常に送受信する信号の偏波方向は、垂直方向に限定されず、例えば水平方向など、予め定めた任意の方向であればよい。
【0076】
上記の例では、相関が低く良好な通信を行うことができるアンテナ構成の初期設定状態を、垂直偏波用のアンテナ11及びアンテナ12がアンテナ間距離に基づいて選択されて受信する状態とした。これに対して、例えば初期設定状態を垂直偏波用のアンテナ11と水平偏波用のアンテナ15が送受信する信号の偏波方向に基づいて選択されて受信する状態とするなど、事前に良好なアンテナ構成となる組み合わせを推測して設定してもよい。こうしたアンテナの組み合わせを初期設定状態とすることで、起動時の設定時間を短縮することや、予め機器固有の特性を考慮した設定を行うことが可能になる。
【0077】
センサ8は、端末0の傾きを検知するものに限定されず、例えば端末0の移動速度や移動距離といった、端末0の通信環境における任意の変化量を検知できるものであってもよい。具体的な一例として、端末0が自動車に取り付けられる場合に、自動車の車速センサや距離メータなどを外付けのセンサ8として構成し、検知結果を示すデータが制御部6へと伝送されるようにしてもよい。また、制御部6は、端末0の通信環境における所定の変化量が予め定めた基準値以下であるか基準値を超えたかを判定する処理を実行してもよい。そして、端末0の通信環境における所定の変化量が基準値を超えたか否かに応じて、使用するアンテナの組み合わせを変更する周期の設定を異ならせるようにしてもよい。例えば、制御部6は、図6、図9、図10などに示した処理が実行される周期の設定を、端末0の通信環境における所定の変化量が基準値を超えたか否かに応じて異ならせるようにすればよい。すなわち、使用するアンテナの組み合わせを各アンテナの物理的な構成に基づいて変更する場合と、受信品質の検知結果に基づいて変更する場合のいずれであっても、その変更周期を通信環境における所定の変化量に応じて異ならせることができればよい。
【0078】
こうした通信環境における所定の変化量に基づいてアンテナ構成を変更する周期の設定を異ならせる動作の一例として、例えば検知された変化量が基準値以下であり、通信環境の変化が少ない場合に、アンテナ構成を変更する周期を予め定めた第1周期とする一方、検知された変化量が基準値を超えて、通信環境の変化が多い場合に、アンテナ構成を変更する周期を第1周期よりも短い第2周期とするようにしてもよい。これにより、端末0の通信環境における変化が少ないときには(例えば端末0の移動速度が遅いときには)、アンテナ構成を変更するための処理が実行される頻度を減少させて、消費電力の増大を防止することができる。また、端末0の通信環境における変化が多いときには(例えば端末0の移動速度が速いときには)、アンテナ構成を変更するための処理が実行される頻度を増加させて、変化する通信環境に速やかに対応してアンテナ構成を変更し、良好な通信状態を維持することができる。
【0079】
通信環境における所定の変化量に基づいてアンテナ構成を変更する周期の設定を異ならせる動作の他の一例として、例えば定期的に検知された変化量を記録し、その時間変動特性に応じて、アンテナ構成を変更する周期の設定を異ならせるようにしてもよい。例えば検知された変化量の時間変動が基準値以下であり、通信環境がほぼ一定の変化量で変化している場合に、アンテナ構成を変更する周期を予め定めた第3周期とする一方、検知された変化量の時間変動が基準値を超えて、通信環境がランダムな変化量で変化している場合に、アンテナ構成を変更する周期を第3周期よりも長い第4周期とするようにしてもよい。これにより、端末0の通信環境における変化量の時間変動が大きく、例えば移動距離や移動方向などの変化量がランダムに変化しているときには、アンテナ構成を変更するための処理が実行される頻度を減少させて、例えば他のアンテナ構成に変更した後に短時間で元のアンテナ構成に戻るといった、特定の(例えば2、3種類の)アンテナ構成の間で頻繁に変更が行われることを防ぎ、消費電力の増大を防止することができる。また、端末0の通信環境における変化量の時間変動が小さく、例えば移動距離や移動速度などの変化量がほぼ一定に変化しているときには、アンテナ構成を変更するための処理が実行される頻度を増加させて、変化する通信環境に速やかに対応してアンテナ構成を変更し、良好な通信状態を維持することができる。
【0080】
以上説明したように、この発明によれば、通信対象となる基地局などのアンテナ数と同数以下となるアンテナを選択して、空間多重による通信を行う場合に、相関の低いアンテナの組み合わせを選択するとともに、選択されないアンテナに対応したRF部への電力供給を停止して、信号処理部の負荷を軽減するように設定を行う。これにより、省電力化を図りつつ、空間多重による良好な通信状態を提供できるアンテナ構成に変更して、無線通信装置の利便性や安定性を向上させることができる。
【0081】
相関の低いアンテナを選択するためには、例えば各アンテナ間の物理的な距離が最大となるアンテナの組み合わせを選択することや、各アンテナが送受信する無線信号の偏波方向が異なるアンテナの組み合わせを選択することのように、各アンテナの物理的な構成に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを選択すればよい。これにより、アンテナ構成を柔軟に変更して、空間多重による良好な通信状態を提供することができる。各アンテナの物理的な構成に応じて相関の低いアンテナの組み合わせを特定するために、1つのアンテナから送信した測定用の参照信号を、他のアンテナで受信して、その受信レベルや位相、受信品質等を測定するようにしてもよい。
【0082】
あるいは、複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質レポートを作成して保持し、そのレポートに示される受信品質の比較結果に応じて、使用するアンテナの組み合わせを選択するようにしてもよい。これにより、アンテナ構成を柔軟に変更して、空間多重による良好な通信状態を提供することができる。
【0083】
なお、例えば通信データ量が多いか少ないかや、電池残量が多いか少ないかといった、無線通信装置における動作状態に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを変更するようにしてもよい。これにより、例えば通信データ量が少ないときや、電池残量が少ないときには、使用するアンテナ数や、RF部及び信号処理部における負荷を低減して、消費電力の増大を防止することができる。
【0084】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態では、基地局のアンテナ数が2本である場合などに、RF部31をオンにする一方、RF部32はオフにするものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、例えば基地局のアンテナ数が2本の場合でも、RF部31及びRF部32の双方をオンにして、RF部32及び信号処理部5などにより、他のネットワークシステム(例えば、UMTS、CDMA、HRPD、EvDO、GPS、Bluetooth等)との同時使用、モニタ、ハンドオーバーなどを行うようにしてもよい。このような動作を実現するために、RF部31、RF部32、信号処理部5は、複数種類のネットワークシステムに対応できるマルチモードのICで構成されればよい。
【0085】
以下に、他のネットワークシステムとの接続について説明する。ここでは、端末0がアンテナ11を使用するとともに、アンテナ12、外部アンテナ13、外部アンテナ14のいずれかを選択して使用する。例えば、アンテナ11とアンテナ12の組み合わせを選択し、RF部31や信号処理部5を用いてデータ通信を行うものとする。このとき、使用していない外部アンテナ13と外部アンテナ14を用いて、RF部32などにより他のネットワークシステムにおける通信を行うための信号処理が実行される。
【0086】
具体的な一例として、RF部32では、CDMAを用いた音声通話を行うための信号処理が実行されてもよい。これにより、LTEを用いたデータ通信とCDMAを用いた音声通話を、同時に行うことが可能になり、端末0の利便性を向上させることができる。RF部32は、2つの高周波信号について周波数変換などが可能な2系統の処理回路を有するところ、1系統の処理回路のみでLTEとは異なる他のネットワークシステムにおける通信を実行可能な場合には、LTEに使用しているアンテナからみて物理的にアンテナ間距離が最大となるアンテナ(例えば外部アンテナ14)を、使用するアンテナとして選択すればよい。こうして、複数のネットワークシステムにおいて通信を行う場合にも、各ネットワークシステムの間で相関の低いアンテナを選択して、相互のネットワークシステムにおける通信に与える影響を最小限に抑制し、良好な通信を行うことができる。
【0087】
LTEとともに利用する他のネットワークシステムには優先度を設け、様々な状況にあわせて利用するネットワークシステムを適宜設定できるようにしてもよい。例えば、時間や場所、移動速度等に応じて異なる優先度で利用するネットワークシステムを予め設定しておけば、接続遅延を短縮して、通信の安定化を図ることができる。他のネットワークシステムを利用すると、LTEによる既存の通信性能が著しく低下してしまう場合には、他のネットワークシステムとの接続手順を中断させるようにしてもよい。
【0088】
また、例えば、アンテナ11とアンテナ12の組み合わせを選択してLTEによる通信を行う場合に、選択していない外部アンテナ13と外部アンテナ14やRF部32を使用することにより、セルの再選択に必要なセル情報を取得するようにしてもよい。ここで、端末0が登録している現在のセルが最適ではないときに、セルの再選択を行う必要が生じる。このときには、新しいセルに登録して通信を再開するまでに、周辺セルの状態について各種の測定や判定を行い、リンクの再確立やランダムアクセス等により、ある程度の中断時間(遅延時間)が発生する。LTEでは、現在のセルが予め定めた判断基準を満たさずに再選択を行う場合、最大で100ms(ミリ秒)の時間を要する。
【0089】
そこで、セルの再選択に必要なセル情報を再選択の処理に先立って取得して、セルの優先度を決定しておくことで、リンクの再確立等により通信を再開するまでの所要時間(中断時間)を短縮することができる。一例として、RF部32などを使用して取得したセル情報に基づくセルの優先度を、LTEによる通信を実行中のRF部31などによるセルの再選択処理に適用すればよい。他の一例として、RF部32などを使用して取得したセル情報に基づくセルの優先度に従って、RF部32などによる通信を開始して、RF部31の動作を停止(オフ)させるように、通信動作を切り替えてもよい。
【0090】
上記実施の形態における外部アンテナ13や外部アンテナ14は、外付けアンテナとして専用に構成されたものでなくてもよく、例えば図12に示すようなクレードル9に搭載されてもよい。クレードル9は、端末0の充電や通信、設定を行うために使用され、端末0がクレードル9に保持されたときに、例えばコネクタ91が接続部7に差し込まれることなどにより、外部アンテナ13や外部アンテナ14と端末0との接続が確立されるようにしてもよい。
【0091】
上記実施の形態では、端末0が最大4本のアンテナを使用可能であり、2系統のRF部を2つ(RF部31及びRF部32)有する4系統の構成とした。しかしながら、この発明はこれに限定されず、アンテナの最大本数や送受信回路の系統数及び個数などは、空間多重による通信を行うための仕様などにあわせて、任意に設定可能である。例えば、端末0が8本のアンテナを使用可能であり、1系統のRF部を8つ有する8系統の構成、あるいは、8系統のRF部を1つ有する8系統の構成としてもよい。
【0092】
この発明は、専用の装置によらず、空間多重による通信を行う通常の無線通信装置を制御するコンピュータを用いても実現可能である。すなわち、無線通信装置を制御するコンピュータを上述の各構成として機能させ、上述の各処理を実行させるためのプログラムを、所定の記録媒体に記録して、CPU等のマイクロプロセッサが当該プログラムを読み出して実行することで、上記実施形態における無線通信装置として機能させることができる。こうしたプログラムは、FD、CD、DVD、MO、ICメモリー等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記録して配布するものとしてもよい。さらに、インターネット等の電気通信ネットワーク上に設けられたFTP(File Transfer Protocol)サーバ等が有するファイルシステムにプログラムを格納しておき、コンピュータに、例えば搬送波に重畳して、ダウンロード等するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
0…端末、2、201…アンテナ選択部、4…RFスイッチ、5…信号処理部、6…制御部、7…接続部、9…クレードル、11、12、15、16、112、114、311、312、313、314…アンテナ、13、14…外部アンテナ、22、23、24、211、221、231、241…アンテナスイッチ、31、32…RF部、50…処理部、61…アンテナ構成特定部、62…通信状態検知部、63…使用アンテナ選択設定部、64…信号処理設定部、91…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを有し、空間多重により通信を行う無線通信装置であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段と、
前記複数のアンテナの物理的な構成を特定するアンテナ構成特定手段とを備え、
前記アンテナ選択手段は、前記アンテナ構成特定手段によって特定された構成に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記アンテナ構成特定手段は、前記複数のアンテナの物理的な構成として、各アンテナ間の物理的な距離を特定し、
前記アンテナ選択手段は、前記アンテナ構成特定手段によって特定された各アンテナ間の物理的な距離が最大となるアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記アンテナ構成特定手段は、前記複数のアンテナの物理的な構成として、各アンテナが送受信する無線信号の偏波方向を特定し、
前記アンテナ選択手段は、前記アンテナ構成特定手段によって特定された偏波方向が異なるアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを有し、空間多重により通信を行う無線通信装置であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段と、
複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知する受信品質検知手段とを備え、
前記アンテナ選択手段は、前記受信品質検知手段によって検知された受信品質の比較結果に応じて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
当該無線通信装置の通信環境における所定の変化量を検知する通信環境検知手段を備え、
前記アンテナ選択手段は、選択するアンテナの組み合わせを変更する周期を、前記通信環境検知手段によって検知された変化量が予め定めた基準値以下であるか否かに応じて異ならせる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
当該無線通信装置の通信環境における所定の変化量の時間変動を検知する通信環境変動検知手段を備え、
前記アンテナ選択手段は、選択するアンテナの組み合わせを変更する周期を、前記通信環境変動検知手段によって検知された変化量の時間変動が予め定めた基準値以下であるか否かに応じて異ならせる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記信号処理手段は、前記アンテナセットに含まれる複数のアンテナに対応して、送受信する信号の処理を行う複数の信号処理回路を含み、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせに基づいて、前記複数の信号処理回路のうちで使用されない回路への電力供給を停止する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記信号処理手段は、前記アンテナセットに含まれる複数のアンテナに対応して、送受信する信号の処理を行う複数の信号処理回路を含み、
前記アンテナ選択手段によって選択されないアンテナ、及び、当該アンテナに対応づけられた信号処理回路を用いて、前記通信対象又は他の通信対象との間で通信を行うための設定値を取得する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記アンテナセットは、
隣り合う各々のアンテナの偏波方向が互いに直交する複数の第1アンテナを有する第1アンテナセットと、
隣り合う各々のアンテナの偏波方向が互いに直交する複数の第2アンテナを有する第2アンテナセットとを含む、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記アンテナセットは、
送受信する信号の偏波方向が互いに同一となる複数の第1アンテナを有する第1アンテナセットと、
送受信する信号の偏波方向が互いに同一となる複数の第2アンテナを有する第2アンテナセットとを含み、
前記複数の第1アンテナが送受信する信号の偏波方向と、前記複数の第2アンテナが送受信する信号の偏波方向が互いに直交する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記第1アンテナセット又は前記第2アンテナセットは、当該無線通信装置に対して着脱可能に構成され、
前記第1アンテナセット又は前記第2アンテナセットが当該無線通信装置に対して装着されたか否かを検知する装着検知手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記アンテナ選択手段は、一定の偏波方向を有する信号を常に送受信するようアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項13】
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信方法であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択ステップと、
前記アンテナ選択ステップにて選択したアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理ステップと、
前記複数のアンテナの物理的な構成を特定するアンテナ構成特定ステップとを備え、
前記アンテナ選択ステップは、前記アンテナ構成特定ステップにて特定した構成に基づいて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項14】
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信方法であって、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを選択するアンテナ選択ステップと、
前記アンテナ選択ステップにて選択したアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理ステップと、
複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知する受信品質検知ステップとを備え、
前記アンテナ選択ステップは、前記受信品質検知ステップにて検知した受信品質の比較結果に応じて、使用するアンテナの組み合わせを選択する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項15】
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信装置を制御するコンピュータを、
前記複数のアンテナの物理的な構成を特定するアンテナ構成特定手段と、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを、前記アンテナ構成特定手段によって特定された構成に基づいて選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
複数のアンテナが含まれるアンテナセットを用いて、空間多重により通信を行う無線通信装置を制御するコンピュータを、
複数種類のアンテナの組み合わせごとに、受信品質を検知する受信品質検知手段と、
前記アンテナセットから、空間多重による通信で使用するアンテナの組み合わせとして、対向する通信対象のアンテナ数と同数以下となるアンテナの組み合わせを、前記受信品質検知手段によって検知された受信品質の比較結果に応じて選択するアンテナ選択手段と、
前記アンテナ選択手段によって選択されたアンテナの組み合わせにより通信を行うための信号処理を実行する信号処理手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−101112(P2011−101112A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253257(P2009−253257)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】