説明

照明用実装配線板、照明装置および照明器具

【課題】照明装置毎に光源部の異なる配線パターンに対応することが可能な構造を有した基板を備える照明装置とこの照明装置を具備した照明器具の技術を提供する。
【解決手段】照明器具1に用いる照明装置2は基板3に複数の光源部4を直列の配線パターンで実装して成る実装配線板3aを備える。基板3に5個の光源部4としての回路部4aが基板配線5を介して基板3に接続される。一対の前記光源部4の基板配線5の中間部と、1個目と5個目の光源部4の外側に延在する基板配線5の先端部に接続部6を設ける。基板3が容易に分離できるように基板3には易破断部としての基板分割構造7が位置S1〜位置S4の4箇所に設けられ、各基板分割構造7は基板配線5を接続部6の位置でそれぞれ二等分する位置に形成される。基板3に5個の光源部4と4箇所の基板分割構造7が設けられるので、分割位置を選ぶことで色んな配線パターン構成が選択できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回路部を備えた実装配線板と、この実装配線板を備える照明装置と、この照明装置を備える照明器具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の光源部を備えた照明器具が提供されており、光源部を直線状に配置したライン型形状や丸型に配置した照明器具が開発されている。この種のライン型の照明器具は、直線的に連続した照射が可能であることから、什器、床、壁面等に設置したり埋め込み型の照明器具として多用されている。
【0003】
ライン型の照明器具として特許文献1の記載が知られている。特許文献1によれば、図6に示すように、照明器具10は、複数の光源部11を基板12a上に配置して電源部30を具備した照明装置12が器具本体20で覆われて形成される。光源部11は発光ダイオード(LED)で、16個の高出力白色のLEDを細長平面状の基板12a上に、略直線状に1列で略等間隔に実装配置される。各LEDの光線は主としてLEDの軸線方向に放射される。基板12aは耐熱性で電気絶縁性の合成樹脂が用いられる。
【0004】
器具本体20はアルミニウム材を押し出し成形される断面略U字形の長尺状ケース部材で底面に取付用穴51と図示しない透光性のカバー部材を備える。このように、照明器具の仕様に応じて必要な数の光源部を配置することによりライン型の照明器具が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−153152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるライン型の照明器具10では、照明器具10の仕様に応じた数の光源部11を基板12a上に配置するため、光源部11の数や光源部11間の取り付けピッチ等の仕様違いに対して、基板仕様をそれぞれの配線パターンに対応して変更する必要がある。
【0007】
例えば、光源部11を5個配置する場合、図7(a)に示すように、基板12a上に光源部11が接続部11aによって直列配線パターンで接続される。同様に、図7(b)に示すように5個の光源部が一対の接続部11aで並列接続される配線パターンがある。従って、必要とする光源部11の個数や配線パターンの違いすべてに対応するために、光源部11を配置する基板12aをそれぞれ個別に作製する必要が生じる。
【0008】
このため、基板は一品一様の仕様で品番数が多くなり、開発工数、基板金型作製費用、多品種少量による基板単価、さらには量産後の基板管理工数のすべてにおいて増加するという問題があった。従って、複数の光源部を備えた照明器具において、構成部品の共有化を図り開発工数、金型投資、部品単価および量産後の管理工数の低減を図ることが重要な課題となっている。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の光源部を備えた照明装置に関し、特に、照明装置毎に異なる光源部の配線パターンに対応することが可能な構造を有した基板を備える照明装置とこの照明装置を具備した照明器具の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基板分割構造を備える基板上に複数の回路部が設けられ、前記回路部間を接続する基板配線上に前記基板分割構造が配置されることを特徴としている。
このとき、前記基板分割構造は基板配線上を横切る場合と基板配線上を縦方向に二分するように配置する場合があるが、いずれも前記基板分割構造が回路部には配置されないので基板分割する際に回路部を破損することがない。
【0011】
また、本発明は、基板分割構造を備える基板上に複数の回路部が設けられ、前記回路部は他の回路部と接続する接続部を備え、一対の対向する前記接続部の隙間に前記基板分割構造が配置されることを特徴としている。
このため、前記基板分割構造が接続部に接触しないように配置されるので基板分割する際に接続部および回路部を破損することがない。
【0012】
さらに、本発明は、前記基板上に複数の前記回路部が格子状に配置されることを特徴としている。
このため、前記回路部間を接続する複数の格子状の基板配線上で縦横方向に複数の前記基板分割構造を配置することができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の実装配線板であって、前記回路部が光源部であることを特徴としている。このため、実装配線版を照明用実装配線板として用いることができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4に記載の前記光源部がLEDであることを特徴としているので、実装配線版をLEDによる照明用実装配線板として用いることができる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の実装配線板を備えたことを特徴としているので、この実装配線板を用いて照明装置が形成される。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6に記載の照明装置を備えたことを特徴とする照明器具が形成される。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、前記基板分割構造が基板配線上に配置され回路部には配置されないので基板分割する際に回路部を破損することなく、複数の回路部で構成された一種類の基板仕様によって必要とする基板分割箇所を選択することで複数の回路部構成に対応することが可能となる。このため、基板のMT化による在庫管理工数が低減できる。また、基板数減によりコストの低減を図ることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、前記基板分割構造が一対の対向する前記接続部の隙間を通って接続部に接触しないので基板分割する際に回路部および接続部を破損することがなく、請求項1の発明の効果と同様の効果が得られる。
【0019】
請求項3の発明によれば、前記回路部間を接続する複数の基板配線上に縦横方向に複数の前記基板分割構造を配置する一種類の基板仕様で基板分割箇所を数種類選択することができるので、色んな回路部構成の組合せに対応することが可能となり、請求項1の発明の効果と同様の効果をさらに大きく得ることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、実装配線版を照明用実装配線板として用いることができるので照明用の色んな回路部構成に分割できるので基板の在庫管理工数が低減できて基板数減によりコストの低減を図ることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、実装配線版をLEDによる照明用実装配線板として用いることができて請求項4の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、実装配線板を備える照明装置が形成できるので、一種類の基板仕様で色んな照明装置に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態における、基板3上に光源部4が直列配置された状態を示す平面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における、基板3上に光源部4が並列配置された状態を示す平面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における、基板3上に複数の光源部4が格子状に設けられ、縦横方向の複数の基板配線5上に基板分割構造7が配置された状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態における、(a)は、図3に示す基板3が基板分割構造7で直列配置に分割された状態を示す平面図、(b)は、図3に示す基板3が基板分割構造7で並列配置に分割された状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態における、基板3上に設けられた一対の光源部4の対向する接続部6の隙間Qに基板分割構造7が配置された状態を示す平面図である。
【図6】従来の、照明器具10が複数の光源部11を略直線状に照明装置12の基板12a上に配置された状態を示す平面図である。
【図7】従来の、(a)は、5個の光源部11を直列に配置した状態、(b)は5個の光源部11を並列に配置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態を図1に基づいて説明する。
【0025】
(照明装置の構成)
図1に示すように、照明器具1は照明装置2を図示しないケース部材に配置して形成され、照明装置2は基板3に複数の光源部4を直列の配線パターンで実装して成る実装配線板3aが図示しない電源部を具備して構成される。基板3は細長い矩形形状で、この基板3に5個の回路部4aとしての光源部4が基板配線5を介して直列接続される。ここで、一対の光源部4の基板配線5の中間部と、1個目と5個目の光源部4の外側に延在する基板配線5の先端部に合計6組の接続部6が設けられる。基板3が容易に分離できるように基板3には易破断部としての基板分割構造7が4箇所(位置S1、位置S2、位置S3、位置S4)に各接続部6の中心位置に合わせて形成される。なお、各各接続部6の中心位置間のピッチはP1、P2、P3、P4、P5である。基板分割構造7は基板3の短辺の全長に亘って基板3を等間隔に貫通する円形穴でミシン目形状で形成される。
【0026】
このように、基板3に5個の光源部4と4箇所の基板分割構造7を設けることで色んな配線パターン構成が選択できる。例えば、5個の光源部4を全部必要とする照明装置2に対応する場合は分割しない状態の基板3をそのまま照明装置2に対応できる。
【0027】
2個の光源部4を必要とする場合は、位置S2の基板分割構造7を使用することで2個の光源部4を有した基板3を作製して接続部6を介して他の部品と接続できる。残り3個の光源部4を有する基板3は3個の光源部4を必要とする照明装置2に使用される。
【0028】
なお、照明装置2内に2個の光源部4を具備した基板3と3個の光源部4を具備した基板3を同時に配置する場合には、位置S2の基板分割構造部7にて基板3を二分割し、分割後の一対の接続部6をリード線等で再接続することにより、2個の光源部4を具備した基板3と3個の光源部4を具備した基板3を照明装置2内の任意の場所に配置することが可能となる。
【0029】
同様に、位置S1又は位置S4の基板分割構造7を使用することにより、1つと4個の光源部4を有する基板3が、位置S2又は位置S3の基板分割構造7を使用することにより、2個と3個の光源部4を有する基板3が作製できる。さらに、位置S1、位置S2、位置S3、位置S4全ての基板分割構造7を使用して、1個の光源部4を有する5組の基板3が得られる。接続部6のピッチP1、P2、P3、P4、P5をそれぞれ異なる寸法とすることで、取付のピッチの異なる5個の光源部4を有する基板仕様を得ることができる。
【0030】
なお、基板3はベークライト、エポキシ樹脂等の絶縁体の板に銅箔を敷いて成るプリント基板で、基板分割構造7の分割後の端面が接続部端面となるため導電箇所が露出してしまうので、この露出する金属部分の錆や腐食等による部品劣化が生じる恐れがある。このため、光源部4を有する基板3を照明装置2内に組み込む際に接続部端面の絶縁性能を保持するためのシールド処理等の配慮が好ましい。
【0031】
光源部4としてLEDを使用すると実装配線板3aは照明用実装配線板と成り、この照明用実装配線板を基板分割構造7で分割し各種配線パターンを備えた照明装置2を具備して照明器具1が形成される。
【0032】
(照明装置の作用)
一種類の光源部4を複数配置する基板仕様で基板分割箇所を選択することにより、必要数の光源部4を使用した配線パターンを備える照明装置2の仕様に容易に対応することができる。このため、複数の光源部4を備えた照明装置2の構成部品の共有化を図り基板3の品番数を少なくできるので、開発工数,金型投資、部品単価および量産後の管理工数のそれぞれが低減できる。在庫不足による緊急事態の回避にも繋がる。
(第2の実施形態)
【0033】
本発明の第2の実施形態を図2を用いて説明するが、図1に示す照明装置2の実装配線板3aの構成と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0034】
図2に示すように、照明装置2は基板3に5個の光源部4が基板配線5を介して並列配置される。このため、それぞれ一対の光源部4の基板配線5の中間部に二組の接続部6と、この二組の接続部6上に基板分割構造7が設けられる。1個目と5個目の光源部4の外側に延在する基板配線5の先端部には接続部6を各一組設ける。
【0035】
このような、基板3上の光源部4を並列接続する場合においても、第1の実施形態に示した直列接続と同様に、一種類の光源部4を複数配置する基板仕様を用いて基板分割箇所を選択することにより、必要数の光源部4を使用する配線パターンを備えた照明装置2の仕様に対応することが容易に可能となる。
(第3の実施形態)
【0036】
本発明の第3の実施形態を図3、図4(a)、(b)を用いて説明するが、図1、図2に示す照明装置2の実装配線板3aの構成と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、基板3上に基板配線5を介して光源部4を格子状に横列5個、縦列3個で配置し、横列5個の光源部4がそれぞれ並列接続されるので、第2の実施形態における図2の並列接続パターンを縦方向に3組連結した状態と略同じ構成である。そして、基板3上で、縦方向に位置S1、位置S2、位置S3、位置S4の4組の基板分割構造7と、横方向にT1、T2の2組の基板分割構造7を設ける。
【0038】
基板3において位置S1の基板分割構造7を使用して基板分割を行うと、図4(a)に示すように、直列接続仕様の光源部4を有した基板3を作製することができる。このとき、位置S1の基板分割構造7における接続部6aは元の接続部6の略1/2領域であるが接続部としての機能は確保される。同様に、残りの位置S2、位置S3、位置S4の基板分割構造7を使用して基板分割を行うと、合計5組の直列接続仕様の光源部4を有した基板3を作製することができる。
【0039】
位置T2の基板分割構造7を使用して基板分割を行うと、図4(b)に示すように、並列接続仕様の光源部4を有した基板3を作製することができる。このとき、位置T2の基板分割構造7における接続部6aは元の接続部6の略1/2領域、基板配線5aは元の基板配線5の幅の略1/2になるが、それぞれ接続部と基板配線としての機能は確保される。残りの位置T1の基板分割構造7も基板分割を行うと、直列接続仕様の光源部4を有した基板3を合計3組作製することができる。
【0040】
このように、位置S1、位置S2、位置S3、位置S4、位置T1、位置T2の基板分割構造7の組合せにより、直列接続や並列接続の配列を有する基板3を任意に作製することができる。このように、一種類で複数の光源部4を基板3に格子構造に実装し任意の基板分割箇所を選択することで、単数の光源部4や複数の光源部4による多様な直列又は並列接続構成で照明装置2に対応することができる。
(第4の実施形態)
【0041】
本発明の第4の実施形態を図5を用いて説明するが、図1に示す照明装置2の実装配線板3aの構成と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0042】
図5に示すように基板分割構造7を備える基板3上に複数の光源部4が設けられ、光源部4は他の光源部4と接続する接続部6を備え、一対の対向する接続部6に設けた隙間Qに基板分割構造7が配置される。例えば2個の光源部4を有する基板3と3個の光源部4を有する基板3に分割する場合、位置S2の基板分割構造7を用いて基板分割を行い、位置S1、位置S3、位置S4のそれぞれにおいて対向する一対の接続部6をリード線やジャンパー抵抗等を用いて接続することで、2個の光源部4を有する基板3と3個の光源部4を有する基板3を作製することができる。この構成であれば、接続部6に切断端面が形成されず導電箇所が露出しないので絶縁性能が保たれるので、金属部分の錆や腐食等による部品劣化の恐れがない。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、実施例1〜3では、照明用の光源部4を用いて説明したが、照明用光源以外の回路部4aでも基板3の品番数を少なくできるので、開発工数,金型投資、部品単価および量産後の管理工数の低減効果が同様に得られる。実施例1〜4における基板3に配置された光源部4の個数は実施可能な範囲で増数することができる。実施例4の一対の対向する接続部6に設けた隙間Qに基板分割構造7が配置される構成を実施例1〜3の構成に応用することもできる。基板3の表面側に基板配線5を設け、基板3の裏面側に基板分割構造7としてV字溝を形成してもよく、この場合、平面視で基板分割構造7が接続部6上に重なって配置される
【符号の説明】
【0045】
1 照明器具
2 照明装置
3 基板
3a 実装配線板
4 光源部
4a 回路部
5 基板配線
6 接続部
7 基板分割構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板分割構造を備える基板上に複数の回路部が設けられ、前記回路部間を接続する基板配線上に前記基板分割構造が配置されることを特徴とする実装配線板。
【請求項2】
基板分割構造を備える基板上に複数の回路部が設けられ、前記回路部は他の回路部と接続する接続部を備え、一対の対向する前記接続部の隙間に前記基板分割構造が配置されることを特徴とする実装配線板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の実装配線板であって、前記基板上に複数の前記回路部が格子状に配置されることを特徴とする実装配線板。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の実装配線板であって、前記回路部が光源部であることを特徴とする照明用実装配線板。
【請求項5】
請求項4に記載の前記光源部がLEDであることを特徴とする照明用実装配線板。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の実装配線板を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置を備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−3595(P2011−3595A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143413(P2009−143413)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】