説明

照明装置

【課題】放熱性に優れ、長寿命なLED照明装置を提供する。
【解決手段】ベース部材と、前記ベース部材上に設けられた複数の支持部と、前記支持部に搭載された複数のLEDチップと、を備え、前記複数の支持部は、互いに接触していないことを特徴とする照明装置。好ましくは、複数の支持部は、それぞれ、1つのLEDチップを搭載し、ベース部材は、板状であり、複数のLEDチップの少なくとも1つの発光面を、ベース基板の基板面に対して傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)チップを複数用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップは、蛍光管や白熱電球等よりも少ないエネルギーで同程度の明るさを実現でき、しかも長寿命であるため、省エネルギーな照明装置の光源材料として注目されている。
【0003】
しかしながら、LEDチップ1個の光出力を大きくすることが難しい、LEDチップは光の指向性が高いため広範囲を照らすことができない、等の問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1は、複数のLEDチップを、向きを変えて配置してなるLEDランプに関する技術を提案し、特許文献2は、複数のLEDチップを用いるとともに反射面を利用する技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−135308号公報
【特許文献2】WO2005/055328号公報
【0006】
特許文献1は、屈曲部を介して隣接する2つの搭載面を備え、2つの搭載面の法線方向が互いに異なる方向を向いているLEDランプを開示している。そして、搭載面のそれぞれは、LEDチップが複数配置されている。
【0007】
この構成によれば、複数の搭載面の法線方向(LEDチップの発光面の方向)が、互いに異なる方向を向いているため、強い出力で広範囲を照らすことが可能であるとされる。
【0008】
特許文献2は、短波長光を放射するLED素子が実装された複数のLED実装基板と、凹部にLED素子の短波長光により変換光を発光する波長変換部が設けられた反射面を有する筐体と、筐体の凹部底面の中央部に立設された熱伝導性の基板支持板と、を備え、反射面は、LED基板支持板の立設部の両側に沿って形成された放物面からなり、LED実装基板は、LED基板支持板の両面にLED素子の発光面を反射面に各々向けて取り付けられている照明器具を開示している。
【0009】
この技術によると、発光面からの光取り出し効率が高く、長寿命の照明器具を得ることができるとされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、LEDチップは、熱によってダメージを受け、劣化が早まるという問題がある。特に、複数のLEDチップを用いる場合においては、個々のLEDチップの通電(発光)による発熱のみならず、隣り合うLEDチップからの熱伝導によって熱ダメージを受けるおそれがある。しかしながら、上記特許文献1、2の技術では、複数のLEDチップが1つの搭載面(LED実装基板)に搭載されており、隣り合うLEDチップからの熱が搭載面を介して容易に伝導するので、シングルチップの照明装置よりも熱ダメージを受け易くなる。このため、個々のLEDチップの寿命が短くなり、複数のLEDチップを用いてなるLEDランプの長寿命化が図れないという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、複数のLEDチップを配置した照明装置において、隣り合うLEDチップからの熱伝導を小さくして、照明装置を構成する個々のLEDチップの熱ダメージを低減し、照明装置を長寿命化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための第1の本発明は、ベース部材と、前記ベース部材上に設けられた複数の支持部と、前記複数の支持部の各々に搭載されたLEDチップと、を備え、前記複数の支持部は、互いに接触していないことを特徴とする照明装置である。
【0013】
この構成では、複数の支持部が、ベース部材上に互いに接触しないように配置され、これらの支持部にLEDチップが搭載されている。よって、隣接する支持部に設けられたLEDチップ相互間においては、LEDチップから発生する熱が、LEDチップ‐支持部‐ベース部材‐支持部‐LEDチップという経路で伝導する。このため、隣接する支持部に設けられたLEDチップ相互間での熱影響が極めて小さくなり、LEDチップの劣化が防止される。これにより照明装置の長寿命化を実現することができる。
【0014】
ここで、複数とは、2以上の自然数を意味するが、LEDチップの数は、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上とする。また、1つの支持部には、1ないし複数のLEDチップが搭載されるので、2≦支持部の数≦LEDチップの数、という関係が成立することになる。
【0015】
1つの支持部に複数(例えば、2つ)のLEDチップが搭載されている場合、一方のLEDチップから発生する熱が他方に容易に伝わるので、LEDチップの劣化が早まる。このため、複数の支持部には、それぞれ、1つのLEDチップを搭載する(支持部の数=LEDチップの数である)構成とすることが好ましい。
【0016】
また、ベース部材の形状は、どのような形状であってもよく、例えば凸部や凹部が設けられた形状とすることもできる。ただし、板状のベース基板とすると、支持部やLEDチップのベース部材上への搭載が容易となるのでより好ましい。また、複数のLEDチップの少なくとも1つの発光面は、ベース基板の基板面に対して傾斜している構成とすることができ、このようにすると、光の照射角度を大きくできる。このとき、それぞれのLEDチップからの光が、他のLEDチップを直接照射することがないように、LEDチップの配置や傾斜角を設定することが好ましい。
【0017】
また、明るさのバランスを確保する観点から、複数の支持部及び複数のLEDチップは、ベース部材上に回転対称に配置されている構成(回転対称軸が存在する構成)や、ベース部材上に面対称に配置されている構成(対称面が存在する構成)を採用することが好ましい。回転対称の場合は3回対称以上であってもよく、面対称の場合は対称面が2以上存在する構成であってもよく、面対称且つ回転対象であってもよい。また、回転対称軸や対称面がベース部材の中心(平面視したときの中心点)を通らない構成であってもよい。
【0018】
また、配線の容易化等の観点から、複数のLEDチップはそれぞれ、上面に一方電極が、底面に他方電極が形成されている構成や、複数のLEDチップはそれぞれ、上面に双方の電極が形成されている構成とすることが好ましい。
【0019】
また、複数のLEDチップはそれぞれ、封止樹脂により覆われている構成とすることができる。この場合、封止樹脂による熱影響を抑制するために、複数のLEDチップのそれぞれを覆う封止樹脂相互が接触していない構成とすることが好ましい。ここで、複数のLEDチップの間の領域で封止樹脂相互が接触していない構成であれば、複数のLEDチップの外側の領域で封止樹脂相互が接触している構成としてもよい。
【0020】
封止樹脂内には、蛍光物質を混合することができる。この場合、例えばLEDチップとして青〜紫外領域で発光するものを用い、且つ、蛍光物質として、LEDチップの光を受けてより長い波長の光に変換するもの、あるいはこれに加えて変換後の光を受けてより長い波長の光に変換するものを用いれば、白色光源を実現することが容易となる。
【0021】
各LEDチップの周囲には、前記蛍光物質の濃度が高い沈降層が形成されている構成とすることが好ましい。
【0022】
なお、単色光源として使用する場合(例えば、植物工場において、栽培に適した(植物の吸収の良い)波長の光のみを照射する場合)、蛍光物質は不要である。
【発明の効果】
【0023】
上記で説明したように、本発明によると、複数のLEDチップ相互間の熱影響による熱ダメージを低減でき、これにより照明装置を長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1に係る照明装置の概略を示す平面図である。
【図2】図1の照明装置のX−X線断面図である。
【図3】実施の形態2に係る照明装置の概略を示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は、図3(a)のY−Y線断面図、図3(c)は、図3(a)のZ−Z線断面図である。
【図4】実施の形態3に係る照明装置の概略を示す平面図である。
【図5】実施の形態4に係る照明装置の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。本実施の形態は、上記第1本発明に関するものである。
【0026】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1,2に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態の照明装置の一構成例を示す平面図であり、図2は、図1の照明装置のX−X線断面図である。
【0027】
本実施の形態に係る照明装置は、板状のベース部材(以下、ベース基板と称することがある)6と、ベース部材6上に設けられた2つの支持部18a・18bと、支持部18a・18b上にそれぞれ1つずつ搭載された青色LEDチップ1a・1bと、を有している。
【0028】
また、1a・1bは、対称面(LEDチップ1a・1bの中間点(ベース部材6の面積中心点に相当)を含み、直線X−Xに対して垂直な面)15に対して、面対称に配置されている。
【0029】
ここで、2つの支持部18a・18bのLEDチップ搭載面は、それぞれ、図2に示すように、ベース基板6の基板面に対して傾斜して(基板面とのなす角θが、0<θ<90°となって)いる。そして、この搭載面と発光面14a・14bとが平行となる(搭載面の法線方向と発光方向とが等しくなる)ように2つのLEDチップ1a・1bが搭載されているので、ベース基板6の基板面に平行に発光面を配する場合よりもLED照明装置の照射角を大きくする(広範囲を照らす)ことができる。
【0030】
図2に示すように、支持部18a・18bの下面及び傾斜面(LEDチップの搭載面)にはそれぞれ、電極3a・3bが形成されている。ここで、電極3a・3bの下面の電極はベース部材6に形成されてもよい。さらに電極3a・3bは支持部18a・18bの下面及び傾斜面に一体形成されて、かつ、ベース部材6に形成されてもよい。
【0031】
そして、この電極3a・3bはそれぞれ、ベース部材6のリードフレーム電極と導通するように設置されている。また、図1に示すように、ベース部材6には、支持部18a・18bと離隔した位置(同図において上方)に、電極(リードフレームの一部分である)3dが設けられている。
【0032】
そして、LEDチップ1a・1bは、それぞれ、その上面に2つの電極が設けられており、このうちの一方の電極と支持部18a・18bに設けられた電極3a・3bとが、他方の電極とベース部材6上の電極3dとが、金属製のワイヤ2によりそれぞれ電気的に接続されている。ここで、電極3a・3b・3dは、例えばCu−Ni上にAgメッキを施してなる構成とすることができる。なお、図2では、ワイヤ2は省略して示している。
【0033】
上記の配線構造を採用することにより、LEDチップをシートから吸着し、パッケージに搭載する際の量産性が向上し、LEDチップと接続するワイヤ数を減らすことができる。したがって、量産性を向上できる。
【0034】
また、ベース部材6の両端部には、それぞれ、リードフレームの一部分であるアウターリード部(アノード)4、及び、アウターリード部(カソード)5が形成されている。
【0035】
また、LEDチップ1a・1bは、図2に示すように、蛍光物質が混合された有機変性シリコーン樹脂からなる封止樹脂11により覆われている。なお、蛍光物質は、LEDチップ1a・1b側に沈降して蛍光物質混合層12を形成しているが、透光性のある有機変性シリコーン樹脂の封止樹脂11のみからなる層と、蛍光物質が混合されてなる蛍光物質混合層12との界面は明確ではない。
【0036】
ここで、有機変性シリコーン樹脂は、透光性を有する材料であるが、封止樹脂としてこれ以外の材料を用いてもよい。また、蛍光物質は、LEDチップからの発光を受けて、より長波長の光(蛍光)を発する材料であり、複数種類の蛍光物質が含まれていてもよい。また、図2では、封止樹脂11は、ベース部材6の下側をも覆っているが、ベース部材6を覆わない構成としてもよい。
【0037】
ここで、図2に示すように、支持部18a・18bは、直接接触することがなく、封止樹脂11は、支持部18a・18b間の領域に存在しない構造である。このため、LEDチップ1aにより生じた熱が他方のLEDチップ1bに伝わる際には、その間に存在する空気の熱伝導が悪いため、LEDチップ1a−電極3a(−支持部18a−電極3a)−ベース部材6−電極3b(−支持部18b−電極3b)−LEDチップ1bという迂遠な経路をたどることになるとともに、この経路から外れて照明装置外部に放熱されることもある。このため、隣り合うLEDチップ相互間の熱影響が極めて小さくなり、LEDチップの熱ダメージを低減でき、照明装置の長寿命化を図ることができる。
【0038】
次に、照明装置の製造方法を説明しつつ、その構造の詳細を説明する。
【0039】
電極や配線等が一体化されたリードフレームを、樹脂を流し込む鋳型(ベース基板6の鋳型)に組み込み、鋳型にエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などを流し込むことによってリードフレームが組み込まれた(電極や配線と一体化された)ベース基板6が得られる。
【0040】
また、このとき、ベース基板6の外側に、リードフレームの端部が、アウターリード部4(アノード)およびアウターリード部5(カソード)として形成される。
【0041】
上記作業と並行して、樹脂を流し込むための鋳型に樹脂を流し込むことによって、下面(ベース基板との接触面)及び傾斜面となる部分に電極(3aないし3b)が形成された2個の支持部18a・18bを作製する。
【0042】
2個の支持部18a・18bのそれぞれの電極3a・3bの上に、青色LED(Light Emitting Diode)チップ1a・1bを載せ、シリコーン樹脂接着剤を用いて仮固定する。シリコーン樹脂接着剤は、熱処理(例えば100℃で1時間、続いて150℃で2時間)により硬化され、これにより青色LEDチップ1a・1bが電極3a・3b上に固定される。
【0043】
青色LEDチップの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の材料・方法を用いて作製することができる。
【0044】
青色LEDチップ1a・1bを固定した支持部18a・18bを、ベース部材6のリードフレームの電極部分の上に載せ、導電接着剤によりリードフレームの電極部分と電極3a・3bとを導電接着する。
【0045】
ここで、青色LEDチップ1a・1bのサイズは、例えばチップ高さ140μm、短辺240μm、長辺600μmの長辺・短辺比2.5の長尺状のもの(平面形状が長方形状)のものを用いることができる。なお、LEDチップの発光色やサイズはこれに限定されない。また、LEDチップの作製方法は、公知の方法を採用することができる。
【0046】
LEDチップ1a・1bの最表面には、アノード電極(P側電極)8とカソード電極(N側電極)9と、が形成されている。青色LEDチップ1a・1bのアノード電極(P側電極)8は、金製のワイヤ2(φ30μm)を介して電極3dに、LEDチップ1a・1bのカソード電極(N側電極)9は、ワイヤ2を介して各上面電極3a・3bに、それぞれ接続する。
【0047】
この方法を採用することにより、LEDチップをシートから吸着し、パッケージに搭載する際の量産性が向上し、LEDチップと接続するワイヤ数を減らすことができる。したがって、量産性が向上する。
【0048】
次に、各上面電極3aおよび3b上に、透光性のある有機変性シリコーン樹脂に蛍光物質が分散されてなる封止樹脂11を、例えば滴下により付着し、熱処理(例えば80℃において1時間、続いて150℃において5時間)により硬化する。
【0049】
封止樹脂11に含まれる蛍光物質は、LEDチップ1a・1b側に沈降して、蛍光物質混合層(沈降層)12a・12bが形成される。このため、LEDチップ1a・1bの周辺に当該蛍光物質が隙間無く存在し、LEDからの発光を効率よく利用できる。
【0050】
蛍光物質としては、例えば、青色発光により緑色発光する蛍光物質としての(Sr,Ba,Mg)SiO:Euと、青色発光により赤色発光する蛍光物質としての(Sr,Ca)AlSiN:Euと、を混合して用いることができる。この構成を採用すると、単色(青色)LEDチップのみで、白色発光を実現できる。重量比(緑色蛍光物質/赤色蛍光物質)は、例えば6とすることができる。また、蛍光物質と有機変性シリコーン樹脂透明材料との重量比は0.085とすることができる。
【0051】
なお、蛍光物質としては、例えば、黄色蛍光物質として(Si,Al)(O,N):Euと、赤色蛍光物質として(Sr,Ca)AlSiN:Euとを混合して用いてもよい。また、緑色蛍光物質としてCa(Sc,Mg)SiO12:Ceと、赤色蛍光物質として(Sr,Ca)AlSiN:Euとを混合して用いてもよい。
【0052】
このように、封止樹脂11内に蛍光物質を混合して蛍光物質混合層12を形成することにより、光の取り出し効率を高めることができる。
【0053】
なお、ベース部材の材料及び支持部の材料としては、白色のPPA(ポリフタルアミド)樹脂(これに限らずポリアミド9T樹脂)等を使用することができる。
【0054】
本実施の形態に係る照明装置は、一般にSMD(surface mount device)型と呼ばれるものとは全く異なり、受けた光を完全拡散反射に近い条件で反射する、白色のPPA(ポリフタルアミド)樹脂製の枠構造を備えていないが、必要ならば枠構造を備えていてもよい。
【0055】
ここで、青色LEDチップ1a・1bは、図2に示すように、面対称に、且つ、発光面が当該対称面とは逆方向を向くように、ベース基板面とは傾斜した状態で配置されている。このため、青色LEDチップ1a・1bの側面から放射された光が、近接する青色LEDチップ1a・1bに吸収されて閉じ込められることが防止されるので、光取り出し効率を高め、且つ、照射範囲を広げることができる。
【0056】
また、LEDチップ1a・1bは通電(発光)の際に発熱するが、この配置によれば、LEDチップ1a・1bが、ベース基板6上に離隔配置された支持部18a・18b上に搭載され、且つ、発光面LEDチップ14a・14bが他方のLEDチップ1a・1bとは逆方向に照射されるので、互いの発光による発熱の影響を受けることがない。したがって、LEDチップ1a・1bの温度上昇を低く抑えることができ、LEDチップは劣化しにくくなり、結果として照明装置を長寿命化できるという効果を有する。
【0057】
封止樹脂11としては、有機変性シリコーン樹脂を採用しているが、その他のシリコーン樹脂を用いてもよいし、エポキシ樹脂もしくはアクリル樹脂などを用いてもよい。
【0058】
〔実施の形態2〕
実施の形態2に係る照明装置について、図3を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
図3は、実施の形態2に係る照明装置を示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は、図3(a)のY−Y線断面図、図3(c)は、図3(a)のZ−Z線断面図である。
【0060】
本実施の形態は、LEDチップ1a・1bが、対称面に対して面対称ではなく、対称軸17に対して回転対称(2回対称)に配置されていること以外は、上記実施の形態1と同様である。
【0061】
2つの支持部18a・18bは、それぞれ独立しており、直接接触しない構造となっている。そして、支持部18a・18bのLEDチップ1a・1bの搭載面は、ベース基板6の基板面から傾斜している。この構成では、2つのLEDチップ1a・1bの発光面は、それぞれ、他方のLEDチップ1b・1a側を向いている。
【0062】
この構成によれば、LEDチップ1a・1bの発光面の側面から放射された光が、隣り合うLEDチップ1b・1aに吸収されるというデメリットはあるが、縦に長いLEDチップを搭載する場合においては、省スペースでLEDチップを複数配置することができる。よって、発光面が直接向き合わないようにずらした配置とすることにより、最小限の光犠牲(発光面の側面から放射された光の一部)でコンパクトな照明装置を得ることができる。
【0063】
また、LEDチップ1a・1bを搭載する支持部18a・18bが互いに接触しないため、隣り合うLEDチップからの熱影響によりダメージを受けにくい。このため、LEDチップ1a・1bは劣化しにくく、結果として照明装置の長寿命化が実現するという効果を奏する。
【0064】
〔実施の形態3〕
実施の形態3に係る照明装置について、図4を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
図4は、実施の形態3に係る照明装置の概略を示す平面図である。本実施の形態は、図4に示すように、LEDチップが4つであり、対称軸17に対して回転対称(2回対称)に配置されていること以外は、上記実施の形態1と同様である。なお、同図において、X’−X’断面、及び、X”−X”断面は、図2と同様に現れる。この構成によっても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0066】
〔実施の形態4〕
実施の形態4に係る照明装置について、図5を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0067】
図5は、実施の形態4に係る照明装置の概略を示す平面図である。本実施の形態は、図5に示すように、LEDチップが6つであり、対称軸に対して回転対称(6回対称)に配置されており、ベース基板6の平面形状が円形であること以外は、上記実施の形態1と同様である。なお、同図では説明の便宜のため、アノード4、カソード5は省略している。この構成によっても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0068】
(追加事項)
なお、LEDチップが2、4あるいは6個の例を用いて説明したが、本発明はこれらの数に限定されるものではなく、LEDチップを3個や5個、7個以上とすることも可能である。
【0069】
また、上記実施の形態では、LEDチップとして、青色のものを用いて説明したが、紫外、赤、黄色等、他の発光色のLEDチップを用いてもよく、異なる波長の光を発光するLEDチップを組み合わせて用いることもできる。
【0070】
また、ベース部材のLEDチップ搭載面とは反対側の面に、公知のヒートシンク等を設けてさらに放熱性を高める構成としてもよい。
【0071】
また、本発明に係る照明装置は、省エネルギー照明として、家庭内、オフィス内、店舗や施設に用いる照明装置として使用可能である。また、植物栽培工場の照明装置として用いることもできる。
【0072】
従来植物栽培工場において、天井にLED照明を設置して、植物に光を照射していたが、一方向からの光の照射のため、植物の葉の影になる領域の植物において、植物の生育に差が生じていた。しかし、上記の本発明の照明装置は、コンパクトで、照射角が広く、長寿命であり、この照明装置を植物の葉の裏などに設置することにより、影になる領域が生じることを防止でき、生育ムラなく植物を育成できるという効果がある。
【0073】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した発明の範囲内又はこれと均等な範囲内で種々の変更が可能である。例えば、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる態様についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上に説明したように、本発明によると、複数のLEDチップを用いてなる照明装置の長寿命化を実現できる。よって、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0075】
1a,1b,1e,1f LEDチップ
2 ワイヤ
3a,3b,3d,3e,3f 電極
4 アウターリード部(アノード)
5 アウターリード部(カソード)
6 ベース部材
8 アノード電極(P側電極)
9 カソード電極(N側電極)
10,20,30,40,50,80 照明装置
11 封止樹脂
12 蛍光物質混合層
14 発光面
15 対称面
17 対称軸
18 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上に設けられた複数の支持部と、
前記複数の支持部の各々に搭載されたLEDチップと、を備え、
前記複数の支持部は、互いに接触していない、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記複数の支持部は、それぞれ、1つのLEDチップを搭載している、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、板状のベース基板であり、
前記LEDチップの少なくとも1つの発光面は、前記ベース基板の基板面に対して傾斜している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記複数の支持部及び前記LEDチップは、前記ベース部材上に回転対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記複数の支持部及び前記LEDチップは、前記ベース部材上に面対称に配置されている、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の照明装置。
【請求項6】
前記複数のLEDチップはそれぞれ、上面に二つの電極が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数のLEDチップはそれぞれ、上面に一方電極が、底面に他方電極が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記複数のLEDチップはそれぞれ、封止樹脂により覆われており、且つ、前記複数のLEDチップのそれぞれを覆う前記封止樹脂相互が接触していない、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記封止樹脂内には、蛍光物質が混合されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記複数のLEDチップそれぞれの周囲には、前記蛍光物質の濃度が高い沈降層が形成されている、
ことを特徴とする請求項9に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98473(P2013−98473A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242280(P2011−242280)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】