説明

燃料タンク及び作業機械

【課題】実用化が容易な上に、汎用性や信頼性に優れる液量検出装置を備えた燃料タンク等を提供する。
【解決手段】タンク本体20内に配置され、燃料の液量を検出する液量検出装置30を備える。タンク本体20は、下壁部21や上壁部22、側壁部23を有している。液量検出装置30は、複数の液位検出装置31で構成されている。液位検出装置30の各々は、先端部分にフロート32を有するアーム33と、側壁部23に取り付けられ、アーム33の基端部分を横軸回りに回動自在に支持する支持部34と、アーム33の回動位置に応じた信号を出力する信号出力装置35とを有している。液位検出装置31の各々は垂直方向に離れて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に油圧ショベル等の作業機械に用いられる液量検出機能付きの燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、先端にフロートが付いた棒状のアームを、液位の変化に応じて上下方向に回動するように燃料タンクの内部に設け、アームの角度から燃料の液量を求める液量検出装置が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
ところが、この種の液量検出装置の場合、アームの長さは燃料タンクの横幅によって制限されるため、燃料タンクが縦長になると、アームが液位に追随できなくなって液量の検出が適切に行えなくなるという問題がある。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、特許文献1の燃料タンクでは、アームが伸縮可能な液面検出器が用いられている。
【0005】
特許文献2の燃料タンクでは、リンクを介してアームを取り付ける構造の燃料残量検出装置が用いられている。具体的には、燃料タンクの異なる位置に長さの異なる2つのリンクを回動可能に取り付け、これらリンクの先端をアームの基端側の異なる部位に回動可能に取り付けている。そうして、一方のリンクの角度から燃料の液量を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−254814号公報
【特許文献2】特開2004−117120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の燃料タンクは、燃料タンクが大きくなればなるほど、アームの全長を長くする必要がある。アームが長くなればそれだけ材料コストも増加するし、アームの撓みが大きくなって検出精度が低下する。
【0008】
また、アームを伸縮させるために構造が複雑化する。その結果、故障し易くなるし更なるコストアップを招く。しかも、アームの伸縮が常に円滑に行われないと、検出精度に狂いが生じる。燃料タンクのサイズが変われば、アームの長さや伸縮量もそれに合わせて変える必要があり、汎用性に欠ける不利もある。
【0009】
特許文献2の燃料タンクも特許文献1の燃料タンクと同様である。リンク構造は更に構造が複雑であるため、よりいっそう故障やコストアップ、検出精度や汎用性などの面で難がある。
【0010】
いずれの燃料タンクの場合も課題が多く、信頼性に欠けるため、実用化するのは容易でない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、実用化が容易な上に、汎用性や信頼性に優れる液量検出機能付き燃料タンク等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
目的を達成するために、本発明では、複数の液位検出装置をタンク内に縦並びに配置して、液量の検出を各液位検出装置に分担させるようにした。
【0013】
具体的には、本発明の燃料タンクは、タンク本体と、前記タンク本体内に配置され、当該タンク本体に貯留された燃料の液量を検出する液量検出装置とを備える。前記タンク本体は、下壁部と、前記下壁部と垂直方向に対向して位置する上壁部と、前記下壁部及び前記上壁部のそれぞれの縁に連なって垂直方向に拡がる側壁部とを有している。
【0014】
前記液量検出装置は、複数の液位検出装置で構成されている。前記液位検出装置の各々は、先端部分にフロートを有するアームと、前記側壁部に取り付けられ、前記アームの基端部分を横軸回りに回動自在に支持する支持部と、前記アームの回動位置に応じた信号を出力する信号出力装置とを有している。そして、前記液位検出装置の各々が垂直方向に離れて配置されている。
【0015】
この燃料タンクでは、タンク本体内に配置される液量検出装置が複数の液位検出装置で構成され、これら液位検出装置の各々は垂直方向に離れて配置されている。従って、燃料の液位がタンク本体の下方にある場合には、下方に配置された液位検出装置でその液位を検出することができ、また、燃料の液位がタンク本体の上方にある場合には、上方に配置された液位検出装置でその液位を検出することができる。
【0016】
すなわち、燃料の液位に応じて適切な液位検出装置を選択し、その液位検出装置を用いて燃料量を検出することができるので、タンク本体が縦に長くなっても燃料量を適切かつ高精度に検出することができる。配置する液位検出装置の数を増やしたり液位検出装置の位置を調整することにより、検出できる燃料量の範囲を自在に調整できるので、タンク本体のサイズの制限を受けずに適用できる。また、アームの長さも短くできるので、材料コストや検出精度の面で有利である。
【0017】
しかも、液位検出装置に特別なものを用いる必要がない。機種やサイズ等も選ばず汎用品を用いることができる。従って、部材の共通化が図れるし、信頼性や汎用性に優れる。汎用品が利用できるうえに構造も簡素であるので、実用化も容易である。
【0018】
より具体的には、垂直方向から見て、前記液位検出装置の前記アームの回動軌跡が重ならないように、前記液位検出装置の各々は水平方向に離れて配置するのが好ましい。
【0019】
そうすれば、上下に隣接して配置された液位検出装置において、アームどうしが接触するのを回避できるので、誤作動や故障を防止できる。
【0020】
また、垂直方向に互いに隣接する2つの前記液位検出装置のうち、上側に位置する前記液位検出装置の前記フロートの下限位置よりも、下側に位置する前記液位検出装置の前記フロートの上限位置の方が上側に位置するようにするのが好ましい。
【0021】
このように、上下に連続する液位検出装置の検出範囲が重なるようにすることで、一方の液位検出装置から他方の液位検出装置への切り替えを円滑に行うことができる。従って、燃料量の検出を途切れることなく連続して行うことができる。
【0022】
特に、前記フロートが燃料に沈む場合のある前記液位検出装置に対しては、前記アームの上方への回動を規制する上限規制部を設けるのが好ましい。また、前記フロートが燃料から浮き上がる場合のある前記液位検出装置に対しては、前記アームの下方への回動を規制する下限規制部を設けるのが好ましい。
【0023】
そうすれば、浮力や重力によってアームや支持部に過度な力が加わるのを阻止できるので、アーム等の変形や破損を防ぐことができる。
【0024】
この燃料タンクは作業機械に好適である。作業機械は自動車等に比べて動きが激しい特性がある。本発明によれば、アームを短くできるので、アームが激しく動いても支持部への負担を軽減でき、耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、汎用性、信頼性に優れた燃料タンクを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を適用した作業機械の一例を示す概略図である。
【図2】燃料タンクを示す概略図である。(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図3】液量表示を行うためのシステム構成を示す概略図である。
【図4】燃料量と出力信号との関係を示すグラフである。
【図5】液位検出装置の切替制御におけるフローチャートである。
【図6】燃料タンクの変形例を示す概略図である。(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図7】燃料タンクの変形例を示す概略図である。(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図8】燃料タンクの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0028】
図1に、本発明を適用した油圧ショベル1(作業機械の一例)を示す。この油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2の上に、上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には、アタッチメント4やキャノピ5、機械室6などが設けられている。なお、説明で用いる上下や前後左右、垂直、水平等の方向は、同図における常態の油圧ショベル1を基準とする。
【0029】
アタッチメント4は、ブームやバケットなどで構成され、この機種の場合、上部旋回体3の前側に起伏自在、かつ、左右に揺動自在に設けられている。キャノピ5は、ルーフや支柱などで構成され、上部旋回体3の左側に配置されている。キャノピ5内には、オペレータが着座する運転シートや、オペレータが操作する操作レバー等の操作機器の他、後述する燃料表示器41等の表示機器が配置されている。
【0030】
機械室6は、主に上部旋回体3の右側から後側に至る部分の上に配置されている。機械室6の内部には、エンジンや油圧ポンプコントロールバルブなど、油圧ショベル1を駆動制御するための各種装置が配置されている(図示せず)。エンジン供給用の燃料を貯留する燃料タンク10も機械室6の内部に配置されている。
【0031】
図2に、燃料タンク10の詳細を示す。燃料タンク10には、長方形箱状のタンク本体20と、タンク本体20の内部に配置され、燃料の液量を検出する液量検出装置30とが備えられている。
【0032】
タンク本体20は、矩形板状の下壁部21と、下壁部21と略同形同寸法の上壁部22と、下壁部21及び上壁部22のそれぞれの縁に連なって垂直方向に拡がる側壁部23とを有している。詳しくは、上壁部22は、下壁部21の上側に位置して下壁部21と垂直方向に対向している。側壁部23は、長方形板状の4つの部分側壁部23aで構成されている。タンク本体20は、その長手方向が垂直方向に向いた状態で機械室6に設置されている。
【0033】
上壁部22には燃料注入用の注入口22aが設けられている。注入口22aは、小さな通気孔が設けられたキャップ22bで開閉可能に塞がれている。また、タンク本体20の下方には、エンジンに燃料を供給する給油配管が接続されている(図示せず)。
【0034】
本実施形態の液量検出装置30は、2つの液位計31(液位検出装置)で構成されている。これら液位計31を特に区別する必要がある場合には、下側に位置するものを液位計31Aと称し、液位計31Aの上側に位置するものを液位計31Bと称する。
【0035】
液位計31A及び液位計31Bには、一般品を用いることができ、そのタイプやサイズは同一でも別々でもよい。従って、この液量検出装置30には、部材の共有化が図れ、汎用性に優れる利点がある。液位計31は、フロート32やアーム33、支持部34、可変抵抗器35(信号出力装置)などで構成されている。
【0036】
フロート32は、燃料に対してその重量よりも浮力の方が十分に大きな素材で形成された塊状の部材である。アーム33は、剛性に優れた細長い棒状の部材であり、その先端部分にフロート32が固定されている。アーム33の基端部分は支持部34に回動自在に支持されている。
【0037】
支持部34は、アーム33が横軸J回りに回動するように側壁部23に取り付けられている。アーム33の回動範囲は、180度以下の所定の角度で規制されている。従って、側壁部23に取り付けられた液位計31のアーム33は、フロート32が支持部34よりも下側に位置し、アーム33が斜め下方に延びた状態の位置(回動下限RLともいう)と、フロート32が支持部34よりも上側に位置し、アーム33が斜め上方に延びた状態の位置(回動上限RHともいう)との間で回動することができる。液位計31では、この回動上限RHと回動下限RLの間の範囲において、フロート32が液面に浮かんだ状態でのアーム33の角度を検出することにより、液位の検出が行われる。
【0038】
可変抵抗器35は、支持部34に組み込まれている。可変抵抗器35は、アーム33の回動位置に応じて抵抗値を変化させる機能を有している。可変抵抗器35には、所定の定電圧を印加する入力線と、可変抵抗器35の抵抗値に連動して変化する電圧を信号電圧として出力する出力線とが接続されている。なお、図では、入力線及び出力線は一つの入出力線36として示してある。
【0039】
液位計31A及び液位計31Bは、同一の部分側壁部23aにおいて、各々垂直方向に離れて配置されている。具体的には、タンク本体20には、その仕様に応じて燃料の上限を示す液位(上限液位Hともいう)と、燃料の下限を示す液位(下限液位Lともいう)とが予め設定されている。そして、上限液位H及び下限液位Lの中間を示す液位(中間液位Mともいう)を基準に、タンク本体20を上下に二つに分け、上側の部分の液量は液位計31Bで検出され、下側の部分の液量は液位計31Aで検出されるように、液位計31A及び液位計31Bが配置されている。
【0040】
液位計31Bの支持部34は、垂直方向における上限液位Hと中間液位Mとの間の略2等分した位置に配置されている。また、液位計31Aの支持部34は、垂直方向における中間液位Mと下限液位Lとの間の略2等分した位置に配置されている。
【0041】
下限液位Lにおける液位計31Aのフロート32は、その回動下限RLよりも上方に位置し、中間液位Mにおける液位計31Aのフロート32は、その回動上限RHよりも下方に位置している。また、中間液位Mにおける液位計31Bのフロート32は、その回動下限RLよりも上方に位置し、上限液位Hにおける液位計31Bのフロート32は、その回動上限RHよりも下方に位置している。
【0042】
液位計31Bのフロート32の回動下限RLよりも、液位計31Aのフロート32の回動上限RHの方が上側に位置しているため、中間液位Mの付近で双方のアーム33は交差する。
【0043】
そのため、垂直方向から見た場合に、各々のフロート32やアーム33の回動軌跡が重ならないように、液位計31Aと液位計31Bとは水平方向に離れて配置されている。従って、双方のアーム33が交差しても互いに接触せず、液位計31Aと液位計31Bとを独立して作動させることができる。
【0044】
図3に、この燃料タンク10を用いて液量を表示する構成(表示システム40)の一例を示す。この表示システム40には、燃料タンク10の他、燃料表示器41やシステム本体42が備えられている。燃料表示器41とシステム本体42とは一体に設けられていてもよい。
【0045】
システム本体42には、制御装置42aや定電圧供給装置42bが備えられている。システム本体42には、液位計31A及び液位計31Bの各々から導出された入出力線36が接続され、また、システム本体42は燃料表示器41とも電気的に接続されている。
【0046】
定電圧供給装置42bは、入力線を通じて液位計31A及び液位計31Bの各々の可変抵抗器35に所定の定電圧を供給する。そして、液位計31A及び液位計31Bの各々の可変抵抗器35から出力線を通じて信号電圧が制御装置42aに入力される。
【0047】
制御装置42aには、CPUやメモリ等のハードウエアと、これらハードウエアに組み込まれたソフトウエアとが実装されている。制御装置42aは、入力される信号電圧に基づいて、液位計31A及び液位計31Bのいずれかを選択し、選択した液位計31を用いて燃料量を判断する。その判断結果に基づいて、制御装置42aは、燃料表示器41との協働により燃料量を表示する。
【0048】
図4に、燃料量と信号電圧との関係を示す。同図中、符号SAで示す実線は、液位計31Aが出力する信号電圧と燃料量との関係を示しており、符号SBで示す実線は、液位計31Bが出力する信号電圧と燃料量との関係を示している。同図に示すように、検出範囲では、信号電圧と燃料量とは一次関数の関係にあり、信号電圧の変化に対して燃料量は一定の比率で増減する。
【0049】
下限液位L(E)では、液位計31Aは、そのフロート32が液面に浮かんだ適正な作動状態にあり、液位計31Aからその液位に応じたV1の信号電圧が制御装置42aに出力される。このとき、液位計31Bのフロート32は燃料から浮き上がった回動下限RLの位置にあり(図2の想像線参照)、液位計31Bは燃料量の検出ができない状態にある。
【0050】
中間液位M(1/2)では、液位計31A及び液位計31Bは、いずれのフロート32も液面に浮かんだ適正な作動状態にある。このとき、液位計31Aからは、その液位に応じたV2の信号電圧が出力され、液位計31Bからは、その液位に応じたV3の信号電圧が出力される。
【0051】
上限液位H(F)では、液位計31Bは、そのフロート32が液面に浮かんだ適正な作動状態にあり、液位計31Bからその液位に応じたV4の信号電圧が制御装置42aに出力される。このとき、液位計31Aのフロート32は燃料中に沈んで回動上限RHの位置にあり、液位計31Aは燃料量の検出ができない状態にある(図2の実線参照)。
【0052】
図5に、制御装置42aで行われる切替制御のフローチャートを示す。制御装置42aでは、液位計31Aから出力される信号電圧(VA)が、中間液位M(1/2)を示すV2以下か否かが判断される(ステップS1)。
【0053】
液位計31Aから出力される信号電圧(VA)がV2以下である場合には(ステップS1でYES)、液位計31Aが選択される(ステップS2)。そして、液位計31Aから入力される信号電圧に基づいて燃料量が判断され、燃料表示器41にその燃料量に応じた表示が行われる。
【0054】
液位計31Aから出力される信号電圧(VA)がV2より大きい場合には(ステップS1でNO)、液位計31Bが選択される(ステップS3)。そして、液位計31Bから入力される信号電圧に基づいて燃料量が判断され、燃料表示器41にその燃料量に応じた表示が行われる。
【0055】
仕様変更等により、燃料タンク10の高さが変わる場合でも、大幅な変更でなければ、液位計31の垂直方向における取り付け位置を調整するだけで対応可能である。従って、本発明の燃料タンク10は、異なるサイズに対しても同じ液量検出装置30を用いることができる利点がある。
【0056】
(変形例1)
図6に、燃料タンク10の変形例を示す(燃料タンク10Aと称する)。この燃料タンク10Aは、上述した実施形態の燃料タンク10と比べて、規制部が設けられている点で異なっている。なお、同図の実線は燃料の液位が上限液位Hにある状態であり、想像線は燃料の液位が下限液位Lにある状態である。
【0057】
具体的には、燃料が多い場合にフロート32が燃料に沈む液位計31Aに対し、アーム33の上方への回動を規制する上限規制部が設けられている。フロート32が燃料に沈むとその浮力がアーム33に作用する。それにより、アーム33や支持部34に過度な力が作用して変形や破損を招く虞がある。そこで、フロート32が少なくとも回動上限RHを超えて回動しないように、上限規制部を設けて支持部34に過度な力が作用しないようにしている。
【0058】
本実施形態では、側壁部23に所定位置でフロート32に接触する板状の突起51(上限規制部)を設け、この突起51でフロート32の浮き上がりを規制している。
【0059】
また、燃料が少ない場合にフロート32が燃料から浮き上がる液位計31Bに対しては、アーム33の下方への回動を規制する下限規制部が設けられている。フロート32が燃料から浮き上がると、その重力がアーム33に作用する。それにより、アーム33や支持部34に過度な力が作用して変形や破損を招く虞がある。そこで、フロート32が少なくとも回動下限RLを超えて回動しないように、下限規制部を設けて支持部34に過度な力が作用しないようにしている。
【0060】
本実施形態では、上限規制部と同様に、側壁部23に所定位置でフロート32に接触する突起52(下限規制部)を設け、この突起52でフロート32の垂れ下がりを規制している。
【0061】
(変形例2)
図7に、燃料タンク10の変形例を示す(燃料タンク10Bと称する)。この燃料タンク10Bは、上述した実施形態等の燃料タンク10と比べて、液位計31Aと液位計31Bの配置が異なっている。
【0062】
具体的には、液位計31A及び液位計31Bは、互いに連なった2つの部分側壁部23aの隅部に配置されている。液位計31Aは一方の部分側壁部23aに沿って配置され、液位計31Bは他方の部分側壁部23aに沿って配置されている。そうすることにより、垂直方向から見た場合に、液位計31Aのアーム33と液位計31Bのアーム33とは、各々の基端側の部分で交差している。
【0063】
この燃料タンク10の場合、両液位計31A,31Bの入出力線36の引き出し位置をタンク本体20の隅部に集約することができるので、配線作業が容易になる。また、部分側壁部23aに沿って配置したことで、アーム33の回動を規制する突起51,52を側壁部23に設ける場合にも、突起51,52を小さくできる利点がある。
【0064】
(変形例3)
図8に、燃料タンク10の変形例を示す(燃料タンク10Cと称する)。この燃料タンク10Cは、3つの液位計31で液量検出装置30が構成されている。上述した実施形態等では、2つの液位計31で液量検出装置30を構成したが、このように、3つの液位計31で液量検出装置30を構成してもよい。更に、4つ以上の液位計31で液量検出装置30を構成することもできる。液量検出装置30を構成する液位計31の個数は、燃料タンク10の仕様に合わせて適宜選択できる。
【0065】
(その他)
本発明の燃料タンク10等は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0066】
例えば、液位計31の配置は、向かい合わせに配置するなど、必要に応じて適宜変更できる。タンク本体20の外形状も円柱状や多角柱状であってもよい。液位計31の切替制御は、液位計31Aの信号電圧だけでなく、液位計31Bの信号電圧V3に基づいて切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 油圧ショベル(作業機械)
10 燃料タンク
20 タンク本体
21 下壁部
22 上壁部
23 側壁部
30 液量検出装置
31 液位計(液位検出装置)
32 フロート
33 アーム
34 支持部
35 可変抵抗器(信号出力装置)
36 入出力線
40 表示システム
41 燃料表示器
42 システム本体
42a 制御装置
42b 定電圧供給装置
51 突起(上限規制部)
52 突起(下限規制部)
RH 回動上限
RL 回動下限
H 上限液位
L 下限液位
M 中間液位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク本体と、
前記タンク本体内に配置され、当該タンク本体に貯留された燃料の液量を検出する液量検出装置と、
を備え、
前記タンク本体は、
下壁部と、
前記下壁部と垂直方向に対向して位置する上壁部と、
前記下壁部及び前記上壁部のそれぞれの縁に連なって垂直方向に拡がる側壁部と、
を有し、
前記液量検出装置は、複数の液位検出装置で構成されていて、
前記液位検出装置の各々は、
先端部分にフロートを有するアームと、
前記側壁部に取り付けられ、前記アームの基端部分を横軸回りに回動自在に支持する支持部と、
前記アームの回動位置に応じた信号を出力する信号出力装置と、
を有し、
前記液位検出装置の各々が垂直方向に離れて配置されている燃料タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料タンクにおいて、
垂直方向から見て、前記液位検出装置の前記アームの回動軌跡が重ならないように、前記液位検出装置の各々が水平方向に離れて配置されている燃料タンク。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の燃料タンクにおいて、
垂直方向に互いに隣接する2つの前記液位検出装置のうち、上側に位置する前記液位検出装置の前記フロートの下限位置よりも、下側に位置する前記液位検出装置の前記フロートの上限位置の方が上側に位置している燃料タンク。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の燃料タンクにおいて、
前記フロートが燃料に沈む場合のある前記液位検出装置に対し、前記アームの上方への回動を規制する上限規制部が設けられている燃料タンク。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の燃料タンクにおいて、
前記フロートが燃料から浮き上がる場合のある前記液位検出装置に対し、前記アームの下方への回動を規制する下限規制部が設けられている燃料タンク。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の燃料タンクが搭載された作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173043(P2012−173043A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33343(P2011−33343)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】