説明

燃料量検出装置

【課題】燃料タンクの形状や大きさによらずに燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができる燃料量検出装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク2の内部における燃料の液面を検知するレベルセンサ3と、燃料タンク2の内部の底面における燃料の圧力を検知する圧力センサ4と、レベルセンサ3および圧力センサ4のセンサ出力を用いることによって燃料の密度を算出する燃料密度算出部7と、燃料密度算出部7が算出した燃料の密度を基準値として設定する基準値設定部8と、基準値設定部8が設定した燃料の密度の基準値および燃料タンク2内の燃料の深さと燃料量との関係を示す深さ−燃料量テーブルを記憶する記憶部12と、圧力センサ4のセンサ出力および燃料の密度の基準値を用いることによって燃料タンク2内の燃料の深さを算出し、この算出した燃料の深さを記憶部12で記憶する深さ−燃料量テーブルに基づいて燃料量へ変換する燃料量算出部9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の燃料量を検出する燃料量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク内部の燃料の残量を検知するための技術として、燃料タンク内にフロート部材を設け、このフロート部材の上昇下降に連動して液体タンク内の燃料量を検知する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−214523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では燃料の液面の高さのみを検知しているため、建設機械のように、燃料タンクの形状や大きさが機種によって異なる場合には、燃料量を正確に把握することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃料タンクの形状や大きさによらずに燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができる燃料量検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る燃料量検出装置は、燃料タンク内の燃料量を検出する燃料量検出装置であって、前記燃料タンクの内部に設けられ、前記燃料の液面を検知するレベルセンサと、前記燃料タンクの内部の底面に設けられ、該底面における前記燃料の圧力を検知する圧力センサと、前記レベルセンサおよび前記圧力センサのセンサ出力を用いることによって前記燃料の密度を算出する燃料密度算出手段と、前記燃料密度算出手段が算出した前記燃料の密度を基準値として設定する基準値設定手段と、前記基準値設定手段が設定した前記燃料の密度の基準値、および前記燃料タンク内の前記燃料の深さと燃料量との関係を示す深さ−燃料量テーブルを記憶する記憶手段と、前記圧力センサのセンサ出力および前記燃料の密度の基準値を用いることによって前記燃料タンク内の前記燃料の深さを算出し、この算出した前記燃料の深さを前記記憶手段で記憶する前記深さ−燃料量テーブルに基づいて燃料量へ変換する燃料量算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る燃料量検出装置は、上記発明において、前記レベルセンサは、前記燃料が前記燃料タンク内の規定量に達した状態の液面を検知することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る燃料量検出装置は、上記発明において、前記燃料量算出手段が算出した燃料量に関する情報を表示または出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る燃料量検出装置によれば、燃料タンクの内部における燃料の液面を検知するレベルセンサおよび燃料タンクの内部の底面における前記燃料の圧力を検知する圧力センサのセンサ出力を用いて燃料の密度を算出し、この算出した燃料の密度を基準値として設定した後、この設定した基準値と圧力センサのセンサ出力とを用いることによって燃料タンク内の燃料の深さを算出し、この算出した燃料の深さを予め記憶手段で記憶する深さ−燃料量テーブルに基づいて燃料量へ変換するため、燃料の密度に基づいて燃料タンクに給油された燃料量の検出を行うことができる。したがって、燃料タンクの形状や大きさによらずに燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る燃料量検出装置の要部の機能構成を模式的に示す図である。同図に示す燃料量検出装置1は、燃料タンク2が貯留する燃料Fの燃料量を検出する装置であり、燃料タンク2の内部に設けられ、燃料タンク2に給油される燃料Fが規定量である満タンの位置に達したときの燃料Fの液面を検知するレベルセンサ3と、燃料タンク2の内部の底面に設けられ、燃料タンク2の底面における燃料の圧力を検知する圧力センサ4と、レベルセンサ3および圧力センサ4のセンサ出力を用いた燃料タンク2内の燃料Fの燃料量の検出を含む各種処理を行うモニタ装置5と、を備える。
【0011】
モニタ装置5は、燃料タンク2の機種情報の入力等を受ける入力部6と、レベルセンサ3および圧力センサ4のセンサ信号に基づいて燃料タンク2が貯留する燃料Fの密度(単位体積当たりの質量)を算出する燃料密度算出部7と、燃料密度算出部7が算出した燃料Fの密度を基準値として設定する基準値設定部8と、圧力センサ4のセンサ出力および基準値設定部8が設定した燃料Fの密度の基準値を用いて燃料タンク2内の燃料量を算出する燃料量算出部9と、燃料タンク2内の燃料量を含む各種情報の表示または出力を行う出力部10と、モニタ装置5の動作を制御する制御部11と、燃料量検出処理に関する情報を含む各種情報を記憶する記憶部12と、を有する。
【0012】
レベルセンサ3は、フロート式または光学式の検出器である。
【0013】
出力部10は、燃料タンク2内の燃料量を表示する燃料ゲージ101を有する。
【0014】
記憶部12は、燃料タンク2の機種情報121、基準値設定部8が設定する燃料Fの密度の基準値122、燃料タンク2内の燃料Fの深さと燃料量との関係を示す深さ−燃料量テーブル123などを記憶している。図2は、深さ−燃料量テーブルの構成を示す図である。同図に示す深さ−燃料量テーブル123は、深さ1cmごとに深さh(cm)と燃料量V(l)との関係を記録している。
【0015】
以上の構成を有する燃料量検出装置1および燃料タンク2は、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載される。
【0016】
図3は、燃料量検出装置1が行う密度基準値設定処理の概要を示すフローチャートである。燃料量検出装置1は、燃料タンク2への燃料の給油が行われる際に、給油された燃料Fの密度を基準値として設定する処理をあわせて行う。このため、以下の説明においては、燃料タンク2への給油が満タンになるまで行われることを前提として説明する。なお、燃料Fが満タンであるか否かについては、レベルセンサ3を用いて検知してもよいし、燃料Fを給油する給油装置側で検知してもよい。
【0017】
燃料量検出装置1では、レベルセンサ3がオンになった場合(ステップS1,Yes)、燃料密度算出部7が圧力センサ4の出力(のA/D変換値)Pを読み込む(ステップS2)。これに対して、レベルセンサ3がオンになっていない場合(ステップS1,No)、すなわち燃料Fの給油中である場合、燃料量検出装置1は待機状態にある。
【0018】
続いて、燃料密度算出部7は、給油された燃料Fの密度ρを算出する(ステップS3)。具体的には、燃料密度算出部7は、読み込んだ圧力センサ4の出力Pを用いるとともに、記憶部12がそれぞれ記憶する満タン位置での燃料の深さhmaxおよび重力加速度gを用いることにより、燃料Fの密度ρ=P/(g・hmax)を算出する。
【0019】
この後、基準値設定部8は、燃料密度算出部7が算出した密度ρの値を基準値ρ0として設定する(ステップS4)。基準値設定部8は、設定した基準値ρ0を記憶部12に書き込む。
【0020】
このようにして設定された燃料Fの密度の基準値ρ0は、以下に説明する燃料量検出処理で燃料タンク2内の燃料量を算出する際に使用される。
【0021】
図4は、燃料量検出装置1が行う燃料量検出処理の概要を示すフローチャートである。まず、燃料量算出部9は、圧力センサ4の出力Pを読み込み(ステップS11)、この読み込んだ出力P、密度の基準値ρ0および重力加速度gを用いることによって燃料Fの燃料タンク2内での深さh=P/(g・ρ0)を計算する(ステップS12)。続いて、燃料量算出部9は、記憶部12が記憶する深さ−燃料量テーブル123を参照し、ステップS11で計算した深さhを燃料量Vへ変換する(ステップS13)。
【0022】
この後、出力部10の燃料ゲージ91は、燃料量算出部9が算出した燃料量Vを表示する(ステップS14)。
【0023】
燃料量検出装置1は、上述したステップS11〜S14の燃料量検出処理を所定のタイミングで繰り返し行う。すなわち、燃料量検出装置1は、燃料量Vの表示出力後、所定時間が経過した場合(ステップS15,Yes)、ステップS11に戻って処理を繰り返す。なお、燃料量検出装置1は、燃料量Vの表示出力後、所定時間経過していない場合(ステップS15,No)、待機状態にある。
【0024】
以上説明した本発明の一実施の形態に係る燃料量検出装置によれば、燃料タンクの内部における燃料の液面を検知するレベルセンサおよび燃料タンクの内部の底面における前記燃料の圧力を検知する圧力センサのセンサ出力を用いて燃料の密度を算出し、この算出した燃料の密度を基準値として設定した後、この設定した基準値と圧力センサのセンサ出力とを用いることによって燃料タンク内の燃料の深さを算出し、この算出した燃料の深さを予め記憶手段で記憶する深さ−燃料量テーブルに基づいて燃料量へ変換するため、燃料の密度に基づいて燃料タンクに給油された燃料量の検出を行うことができる。したがって、燃料タンクの形状や大きさによらずに燃料タンク内の燃料量を正確に検出することができる。
【0025】
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は、上述した一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、燃料量検出装置は、燃料タンクに燃料が給油されるたびに密度の基準値を算出するので、この求めた基準値を記憶部で記憶しておき、給油時に測定した新たな燃料の密度が、それまでに蓄積した密度の基準値の平均から所定の範囲以上逸脱した場合には、出力部から警報を出力するようにしてもよい。
【0026】
また、燃料量を算出する際には、その都度基準値を求める代わりに、密度の基準値として所定の基準値を用いてもよい。
【0027】
また、燃料量検出装置が検出した燃料タンク内の燃料量と所定期間の平均燃料消費量とを用いて燃料タンク内の燃料がなくなるまでの時間を推定し、この推定した値を出力部から出力するようにしてもよい。
【0028】
また、燃料量検出装置が検出した燃料量を用いて燃料消費量を補正することも可能である。燃料噴射インジェクタの噴出時間を用いて求められる燃料消費量は、燃料の粘性や温度等によってバラツキが生じやすいが、これを本発明で検出した燃料タンク内の燃料量によって補正することにより、燃料消費量の測定精度を向上させることができる。
【0029】
また、レベルセンサが検知する燃料タンク内の規定量は満タン以外でもかまわない。すなわち、燃料タンクに設けるレベルセンサの設置位置は、燃料の満タン位置以外でもかまわない。
【0030】
なお、本発明は、建設機械以外の移動体にも適用可能である。また、本発明は、移動体以外の製品に使用される燃料の品質判定用として適用することも可能である。
【0031】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態に係る燃料量検出装置の要部の機能構成を示す図である。
【図2】深さ−燃料量変換テーブルの構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る燃料量検出装置が行う密度基準値設定処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態に係る燃料量検出装置が行う燃料量検出処理の概要を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
1 燃料量検出装置
2 燃料タンク
3 レベルセンサ
4 圧力センサ
5 モニタ装置
6 入力部
7 燃料密度算出部
8 基準値設定部
9 燃料量算出部
10 出力部
11 制御部
12 記憶部
101 燃料ゲージ
121 機種情報
122 密度基準値
123 深さ−燃料量テーブル
F 燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内の燃料量を検出する燃料量検出装置であって、
前記燃料タンクの内部に設けられ、前記燃料の液面を検知するレベルセンサと、
前記燃料タンクの内部の底面に設けられ、該底面における前記燃料の圧力を検知する圧力センサと、
前記レベルセンサおよび前記圧力センサのセンサ出力を用いることによって前記燃料の密度を算出する燃料密度算出手段と、
前記燃料密度算出手段が算出した前記燃料の密度を基準値として設定する基準値設定手段と、
前記基準値設定手段が設定した前記燃料の密度の基準値、および前記燃料タンク内の前記燃料の深さと燃料量との関係を示す深さ−燃料量テーブルを記憶する記憶手段と、
前記圧力センサのセンサ出力および前記燃料の密度の基準値を用いることによって前記燃料タンク内の前記燃料の深さを算出し、この算出した前記燃料の深さを前記記憶手段で記憶する前記深さ−燃料量テーブルに基づいて燃料量へ変換する燃料量算出手段と、
を備えたことを特徴とする燃料量検出装置。
【請求項2】
前記レベルセンサは、
前記燃料が前記燃料タンク内の規定量に達した状態の液面を検知することを特徴とする請求項1記載の燃料量検出装置。
【請求項3】
前記燃料量算出手段が算出した燃料量に関する情報を表示または出力する出力手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の燃料量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−186283(P2009−186283A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25612(P2008−25612)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】