説明

版の製造方法、レンズアレイ、バックライトユニット及び表示装置

【課題】液晶表示装置などの表示装置の多くは光源その他の光学部品からなるバックライトユニットを備えており、該バックライトユニットには多数のマイクロレンズからなるレンズアレイが使用されている。該レンズアレイを作製するために用いる版をより安価且つ簡易に製造する技術を提供する。
【解決手段】版25の製造方法は、樹脂からなる層22に複数の粒子21の各々を部分的に埋め込むことと、この状態で前記樹脂を硬化させることと、前記複数の粒子21を硬化後の前記樹脂を含んだ前記層22から除去することとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示装置の多くは、光源その他の光学部品からなるバックライトユニットを備えている。このバックライトユニットには、多数のマイクロレンズからなるレンズアレイが使用される場合がある。このレンズアレイは、光源が放射した光を集光し且つ拡散させることにより、表示装置に表示される像の輝度を向上させると共に、その輝度ムラを抑制する役割を担っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このレンズアレイは、典型的には、版を用いて作製される。この版は、従来、切削法又はレーザ描画法により製造されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法により版を製造するためには、通常、高価な製造装置を要する。また、これらの方法では、微細加工の精度並びに製造に要するコスト及び時間等の制約により、版の凹部の大きさ、形状及び配列等の規則性を制御することが比較的困難である。
【特許文献1】特開2007−229996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、レンズアレイ等を作製するために用いる版をより安価且つ簡易に製造する技術を提供することを目的とする。特には、本発明は、版に設けられる凹部の大きさ、形状及び配列等の規則性をより容易に制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によると、樹脂からなる層に複数の粒子の各々を部分的に埋め込むことと、この状態で前記樹脂を硬化させることと、前記複数の粒子を硬化後の前記樹脂を含んだ前記層から除去することとを具備したことを特徴とする版の製造方法が提供される。
【0007】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る方法により製造された版を用いて作製されることを特徴とするレンズアレイが提供される。
【0008】
本発明の第3側面によると、光源と、第2側面に係るレンズアレイとを具備したことを特徴とするバックライトユニットが提供される。
【0009】
本発明の第4側面によると、第3側面に係るバックライトユニットと、第2側面に係るレンズアレイを間に挟んで前記光源と向き合った表示パネルとを具備したことを特徴とする表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、レンズアレイ等を作製するために用いる版をより安価且つ簡易に製造する技術を提供することが可能となる。特には、本発明によると、版に設けられる凹部の大きさ、形状及び配列等の規則性をより容易に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一態様に係る版の製造方法を概略的に示す断面図である。
この方法では、まず、図1(a)に示すように、基材23上に樹脂層22を形成する。
【0013】
基材23の材料には、特に制限はない。基材23の材料は、典型的には、金属である。
【0014】
樹脂層22の膜厚Hは、典型的には、面内方向で均一とする。樹脂層22は、例えば、塗布法又はラミネート法により形成する。
【0015】
樹脂層22の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又は光硬化性樹脂、典型的には、熱硬化性樹脂を使用する。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系、エポキシ系、メラミン系又はポリエステル系の熱硬化性樹脂を使用する。なお、樹脂層22の材料のガラス転移点は、完成した版25を用いてレンズアレイ等を作製する際にかかる温度より高いことが必要である。それゆえ、樹脂層22の材料としては、ガラス転移点が約50℃以上の樹脂を使用することが望ましい。
【0016】
次に、図1(b)に示すように、樹脂層22上に複数の粒子21の各々を部分的に埋め込む。この埋め込みは、例えば、以下の方法により行う。
【0017】
即ち、樹脂層22上に複数の粒子21を分散させた後、樹脂層22をその軟化点以上の温度まで加熱するか、又は、軟化点以上の温度に加熱した樹脂層22上に複数の粒子21を分散させる。こうすると、重力の作用により、複数の粒子21の各々を部分的に樹脂層22へと沈降させることができる。その後、樹脂層22をその軟化点より低い温度まで冷却させる。これにより、複数の粒子21を樹脂層22に固着させる。
【0018】
或いは、樹脂層22が光硬化性樹脂からなる場合には、複数の粒子21を分散させて複数の粒子21の各々を部分的に樹脂層22へと沈降させた後、光を照射して樹脂層22を硬化させることにより、複数の粒子21を樹脂層22に固着させてもよい。
【0019】
なお、これら埋め込みは、超音波を用いて基材23及び樹脂層22を振動させながら行ってもよい。こうすると、複数の粒子21をより深く且つより均一に埋め込むことが可能となる。
【0020】
また、樹脂層22上に複数の粒子21を分散させる方法に特に制限はない。粒子21を分散させる方法としては、例えば、スピンコート法を使用する。
【0021】
粒子21の樹脂層22への埋め込みは、ラミネートロールなどを用いて行ってもよい。即ち、ラミネートロールなどを用いて、複数の粒子21を樹脂層22へと押し込んでもよい。この場合、粒子21に外力が加わるため、粒子21を比較的深く埋め込むことが可能となる。また、粒子21が異方的な形状を有する場合には、樹脂層22上における粒子21の配向を制御することが可能となる。
【0022】
なお、この押し込みは、典型的には、樹脂層22をその軟化点以上の温度まで加熱しながら行う。この場合、粒子21が樹脂層22へと押し込まれた状態で樹脂層22をその軟化点より低い温度まで冷却させることにより、粒子21を樹脂層22に固着させる。
【0023】
或いは、樹脂層22が光硬化性樹脂からなる場合には、この押し込みは、光照射の前段階で行う。その後、粒子21が樹脂層22に押し込まれた状態で光照射を行い、樹脂層22を硬化させることにより、粒子21を樹脂層22に固着させる。
【0024】
上述した固着の後、典型的には、余分な粒子21を除去する。この除去には、例えば、吸引、送風、液体を用いた洗浄を利用することができる。
【0025】
粒子21の材料としては、典型的には、樹脂層22を構成している樹脂とは異なる材料を使用する。この場合、粒子21と樹脂層22とが同一の材料からなる場合と比較して、後述する粒子21の樹脂層22からの除去がより容易となる。このような粒子21としては、例えば、ガラスなどからなる無機粒子又はポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリスチレン(PS)などからなる有機粒子を使用する。
【0026】
複数の粒子21の各々は、その表面の少なくとも一部が離型剤により被覆されていてもよい。この場合、後述する粒子21の樹脂層22からの除去がより容易となり、所望の形状を有した版25を簡易に製造することが可能となる。
【0027】
後述するように、版25には、樹脂層22上に形成されたこれら粒子21の形状及び配列に対応した形状及び配列を有した複数の凹部が形成される。それゆえ、各粒子21の形状は、版25に形成すべき凹部の形状及び配列等に応じて適宜選択する。
【0028】
例えば、版25をレンズアレイの作製のために使用する場合、粒子21の形状は、典型的には、球状又は楕円体状とする。或いは、版25をプリズムの作製のために使用する場合、粒子21の形状は、三角錐又は四角錐などの錐体状とする。
【0029】
なお、複数の粒子21の配列は、各粒子21の形状のほか、粒子21の粒度分布及び粒子21の分散方法等を変化させることにより制御することができる。この点に関しては、後で詳述する。
【0030】
また、版25に形成される凹部の大きさは、粒子21の大きさにより定まる。従って、粒子21の大きさは、版25の用途に応じて、適宜調整する。
【0031】
粒子21の樹脂層22の法線方向についての寸法dと樹脂層22の膜厚Hとは、例えば、不等式0.4d≦H≦0.7dを満たすようにする。即ち、例えば粒子21の寸法dが10μmである場合、膜厚Hは、約4μm乃至約7μmの範囲内とする。膜厚Hが寸法dと比較して過度に大きいと、樹脂層22中及び樹脂層22上に、複層の粒子21が堆積してしまう場合がある。膜厚Hが寸法dと比較して過度に小さいと、各粒子21のうちごく一部分のみしか樹脂層22に埋め込まれず、所望の型形状を得られない場合がある。
【0032】
なお、版25をマイクロレンズからなるレンズアレイの作製に使用する場合、上記の寸法dは、典型的には、10μm乃至100μmの範囲内とする。各粒子21の寸法が均一でない場合には、これら寸法の平均値がこの範囲内に含まれるようにする。例えば、不均一な粒度分布を有した球状の粒子21を使用する場合、これらの平均粒径がこの範囲内に含まれるようにする。
【0033】
上記の寸法dに対する各粒子21のうち樹脂層22に埋め込まれる部分の法線方向の寸法d´の比率は、例えば、30%乃至60%の範囲内とする。例えば、粒子21の寸法dが10μmである場合、粒子21のうち樹脂層22に埋め込まれる部分の上記寸法d´は、約3μm乃至約6μmの範囲内とする。この比率が小さいと、版25に形成される凹部の深さが小さくなる。それゆえ、版25を用いて所望の構造を作製できないことがある。例えば、版25を用いてレンズアレイを作製する場合、上記の比率が小さいと、各レンズの集光効果が低くなる場合がある。一方、この比率が大きいと、後述する樹脂層22からの粒子21の除去が困難となる場合がある。
【0034】
次いで、図1(c)に示すように、粒子21及び樹脂層22上に、粘着層24を形成する。
【0035】
粘着層24の材料には、特に制限はない。但し、粘着層24の材料としては、粘着層24と粒子21との接着性が、粒子21と樹脂層22との接着性と比較してより高いものを使用することが望ましい。このような粘着層24の材料としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系又はビニル系の樹脂を使用する。
【0036】
最後に、図1(d)に示すように、粘着層24と複数の粒子21とを樹脂層22から同時に剥離する。このようにして、図1(e)に示すような平板状の版25を得る。
【0037】
版25には、粒子21の形状に対応した複数の凹部が形成されている。従って、版25を使用することにより、当該複数の凹部に対応した複数の凸部を備えた構造を作製することができる。
【0038】
なお、図1では、粒子21を粘着層24と同時に引き剥がしているが、粒子21を樹脂層22から除去する方法は、これに限られない。例えば、粒子21は、粒子21のみを溶解させる溶剤を使用することにより、樹脂層22から除去してもよい。或いは、粒子21は、粒子21を吸引することにより除去してもよい。或いは、粒子21は、送風により除去してもよい。
【0039】
また、版25には、金属メッキなどの表面処理を施してもよい。この場合、版25の耐久性が向上する。
【0040】
図2は、本発明の他の態様に係る版の製造方法を概略的に示す断面図である。この方法では、平板上の基材23の代わりに、シリンダ26を使用する。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、シリンダ26上に樹脂層22を形成する。
【0042】
シリンダ26は、典型的には、金属製である。
【0043】
樹脂層22の材料としては、先に図1を参照しながら説明したものと同様の材料を使用する。樹脂層22は、例えば、塗布法又はラミネート法により形成する。但し、後者の場合、樹脂層22を形成する際に繋ぎ目を生じうる。そのため、樹脂層22の膜厚を均一にできない場合がある。従って、典型的には、樹脂層22は、塗布法により形成する。
【0044】
その後、下敷27上に分散させた複数の粒子21に、シリンダ26上に形成された樹脂層22を押し付けることにより、複数の粒子21の各々を部分的に樹脂層22に埋め込む。この埋め込みは、例えば、樹脂層22をその軟化点以上の温度に加熱しながら、樹脂層22が形成されたシリンダ26を粒子21が分散された下敷27に沿って回転させることにより行う。これにより、樹脂層22に粒子21の各々が部分的に埋め込まれた状態で、粒子21を樹脂層22に固着することができる。なお、樹脂層22の材料として光硬化性樹脂を使用した場合には、この埋め込みは、樹脂層22が形成されたシリンダ26を粒子21を分散させた下敷27上で回転させた後、樹脂層22に光照射を行うことによっても達成できる。このようにして、図2(b)に示すような、シリンダ26の表面上に樹脂層22及び粒子21が形成された構造を得る。
【0045】
次に、図2(c)に示すように、粒子21及び樹脂層22上に、粘着層24を貼り付ける。
【0046】
粘着層24の材料としては、先に図1を参照しながら説明したものと同様の材料を使用することができる。粘着層24は、例えば、以下のように形成する。即ち、まず、下敷27上に粘着層24の材料を塗布する。次に、粒子21及び樹脂層22を形成したシリンダ26をこの上で回転させ、粘着層24の材料を巻き取る。このようにして、図2(d)に示すような、シリンダ26の表面上に樹脂層22、粒子21及び粘着層24が形成された構造を得る。
【0047】
最後に、図2(e)に示すように、樹脂層22と粒子21とを互いから剥離する。具体的には、粒子21を、粘着層24と共に、樹脂層22から剥離する。この剥離は、例えば、粒子21と接着した粘着層24を、下敷27へと転写することにより行う。このようにして、図2(f)に示すようなシリンダ状の版28を得る。
【0048】
なお、粒子21を樹脂層22から除去する方法については、先に述べたのと同様の変形が可能である。即ち、粘着層24を形成する工程及び粘着層24及び粒子21を樹脂層22から剥離する工程は、省略することができる。
【0049】
図3は、図1に示す方法により製造した版を用いたレンズアレイの作製方法の一例を示す概略図である。この方法では、図1(e)に示すような平板状の版25を使用する。
【0050】
まず、図3(a)に示すように、版25に形成された複数の凹部に、紫外線硬化性樹脂32aを注入する。この樹脂32aは、例えば、ノズル33を用いて供給する。
【0051】
その後、樹脂32a上に光透過性基材30をラミネートする。このラミネート処理は、例えば、ニップロール31aを用いて行う。
【0052】
次に、図3(b)に示すように、紫外線照射装置29から紫外線を放射することにより、紫外線硬化性樹脂32aを硬化させる。このようにして、レンズ32bを得る。
【0053】
最後に、図3(c)に示すように、版25から、光透過性基材30及びレンズ32bを剥離する。以上のようにして、レンズアレイ34を得る。
【0054】
図4は、図2に示す方法により製造した版を用いたレンズアレイの作製方法の一例を示す概略図である。この方法では、図2(f)に示すようなシリンダ状の版28を使用する。
【0055】
まず、版28を回転させながら、版28に形成された複数の凹部に、紫外線硬化性樹脂32aを塗布する。この樹脂32aは、例えば、ノズル33を用いて供給する。
【0056】
その後、樹脂32a上に光透過性基材30をラミネートする。このラミネート処理は、例えば、ニップロール31aを用いて行う。
【0057】
次に、樹脂32a及び光透過性基材30が形成された部分に、紫外線照射装置29から紫外線を放射することにより、紫外線硬化性樹脂32aを硬化させる。このようにして、レンズ32bを得る。
【0058】
最後に、版28から光透過性基材30及びレンズ32bを剥離する。この剥離は、例えば、剥離ロール31bを用いて行う。以上のようにして、レンズアレイ34を得る。
【0059】
この方法によると、レンズアレイ34の作製を連続プロセスで行うことができる。従って、レンズアレイ34を大量に且つ高速で作製することが可能となる。また、他の製造プロセスとの組み合わせが容易となる。
【0060】
なお、図4に示す方法において、樹脂32aは、あらかじめ光透過性基材30上に塗布しておいてもよい。但し、この場合、樹脂32a中に気泡が残存する可能性が比較的高い。そのため、典型的には、図4に示すように、版28に形成された複数の凹部に樹脂32aを直接塗布する。
【0061】
レンズアレイ34を構成する各レンズの形状及び配列は、粒子21の形状、粒度分布及び分散方法などを変化させることにより、比較的容易に制御することができる。
【0062】
図5は、本発明の方法により製造した版を用いて作製したレンズアレイの例を概略的に示す平面図である。以下、図5に示す各例について順に説明する。
【0063】
図5(a)及び(b)は、ラミネートロールを用いて球状の粒子21を樹脂層22へと押し込むことにより製造した版を用いて作製したレンズアレイの例を示している。図5(a)に示すレンズアレイ34は、不均一な粒度分布を有する粒子21を用いて製造した版により作製したものである。図5(b)に示すレンズアレイ34は、分級により粒子径を均一化した粒子21を用いて製造した版により作製したものである。
【0064】
図5(a)に示すレンズアレイ34では、複数のレンズ32bが不規則的に配置されている。複数のレンズ32bが不規則的に配置されたレンズアレイ34は、表示装置のバックライトユニット等に使用した場合に、他の光学部品との関係でモアレを生じることが少ない。それゆえ、表示装置における画像の表示に悪影響を与える場合が少ない。
【0065】
このレンズアレイ34の不規則的な構造は、版の製造に用いた粒子21の粒子径が不均一であるために、樹脂層22上での粒子21の配置が不規則的であったことに起因している。即ち、本発明の方法によると、複数のレンズ32bが不規則的に配置されたレンズアレイ34を極めて容易に作製できる。例えば、本発明によると、複数のレンズ32bが不規則的に配置されたレンズアレイ34を作製するために、高価な製造装置を用いて複雑な加工を行う必要はない。
【0066】
これに対し、図5(b)に示すレンズアレイ34では、複数のレンズ32bが正方格子状に規則的に配置されている。このレンズアレイ34の規則的な構造は、版の製造に用いた粒子21の粒子径が均一であるために、樹脂層22上での粒子21の配置が規則的であったことに起因している。即ち、粒子21の粒度分布を制御することにより、版に形成される凹部の配列等の規則性を容易に制御できる。
【0067】
図5(c)は、超音波を用いて基材23及び樹脂層22を振動させながら樹脂層22に球状の粒子21を埋め込むことにより製造した版を用いて作製したレンズアレイ34の一例を示している。図5(c)に示す例では、各レンズ32bは、三角格子状に配列している。即ち、この場合、図5(b)に示すレンズアレイ34と比較して、各レンズ32bがより密に充填したレンズアレイ34が得られる。
【0068】
図5(d)は、楕円体状の粒子21を使用して製造した版を用いて作製したレンズアレイの一例を示している。この場合、複数のレンズ32bを異方的に配列することができる。この例では、複数のレンズ32bが矩形格子状に規則的に配置されている。
【0069】
なお、粒子21として楕円体状の粒子を使用する場合、ラミネートロールを用いて粒子21を樹脂層22へと押し込むことにより、粒子21の樹脂層22の表面に対する配向を制御することができる。この方法によると、通常、楕円体形状の粒子21の長径方向が樹脂層22の表面に平行となる。
【0070】
図5(e)は、球状の粒子21と楕円体状の粒子21とを組み合わせて使用して製造した版を用いて作製したレンズアレイの一例を示している。この場合、図5(b)及び(d)に示す場合と比較して、レンズ32bの配列をより不規則的にすることができる。従って、図5(a)を参照しながら説明したのと同様の効果が得られる。
【0071】
図5(f)は、スピンコート法を利用して粒子21を樹脂層22上に分散させることにより製造した版を用いて作製したレンズアレイ34の一例を示している。この場合、中心から外側に向かってレンズ径が徐々に小さくなるようなパターンが得られる。
【0072】
以上のように、本発明の方法によると、粒子21の形状、粒度分布及び分散方法等を変化させることにより、版に形成される凹部の大きさ、形状及び配列等の規則性を容易に制御することができる。従って、レンズアレイ34における各レンズ32bの形状及び配列等の規則性を容易に制御することができる。
【0073】
図6は、本発明の方法により製造した版を用いて作製したレンズアレイの一例を概略的に示す断面図である。
【0074】
図6に示すように、本発明の方法により得られるレンズアレイ34では、典型的には、隣接するレンズ32bの間の隙間は、湾曲した断面構造を有している。これは、粒子21が樹脂層22に埋め込まれる際に、隣接する粒子21間において、樹脂層22の表面が湾曲することに起因している。この場合、レンズアレイ34の上記隙間部分においても、集光及び光拡散効果を達成しうる。そのため、このレンズアレイ34を用いることにより、表示装置における輝度の向上及び輝度ムラの低減を達成しうる。
【0075】
以上のようにして製造されたレンズアレイ34は、例えば、バックライトユニットの一部品として使用する。そして、このレンズアレイ34と光源とを含んだバックライトユニットは、典型的には、表示装置を構成する光学部品として使用する。この表示装置は、レンズアレイ34と光源とを含んだバックライトユニットと、レンズアレイ34を間に挟んで光源と向き合った表示パネルとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一態様に係る版の製造方法を概略的に示す断面図。
【図2】本発明の他の態様に係る版の製造方法を概略的に示す断面図。
【図3】図1に示す方法により製造した版を用いたレンズアレイの作製方法の一例を示す概略図。
【図4】図2に示す方法により製造した版を用いたレンズアレイの作製方法の一例を示す概略図。
【図5】本発明の方法により製造された版を用いて作製したレンズアレイの例を概略的に示す平面図。
【図6】本発明の方法により製造された版を用いて作製したレンズアレイの一例を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
【0077】
21…粒子、22…樹脂層、23…基材、24…粘着層、25…版、26…シリンダ、27…下敷、28…レンズ、29…紫外線照射装置、30…光透過性基材、31a…ニップロール、31b…剥離ロール、32a…樹脂、32b…レンズ、33…ノズル、34…レンズアレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる層に複数の粒子の各々を部分的に埋め込むことと、この状態で前記樹脂を硬化させることと、前記複数の粒子を硬化後の前記樹脂を含んだ前記層から除去することとを具備したことを特徴とする版の製造方法。
【請求項2】
前記複数の粒子の前記層からの除去は、前記複数の粒子上に粘着層を形成した後、前記粘着層と前記複数の粒子とを前記層から同時に剥離することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の版の製造方法。
【請求項3】
前記層への前記複数の粒子の埋め込みは、前記層の表面に前記複数の粒子を分散させることと、前記層を前記樹脂の軟化点以上の温度に加熱することとにより行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の版の製造方法。
【請求項4】
前記層への前記複数の粒子の埋め込みは、前記層を超音波を用いて振動させながら行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の版の製造方法。
【請求項5】
前記複数の粒子の各々は球状又は楕円体状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の版の製造方法。
【請求項6】
前記複数の粒子の各々の前記層の法線方向の寸法dと前記層の膜厚Hとは、不等式0.4d≦H≦0.7dを満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の版の製造方法。
【請求項7】
前記複数の粒子の各々の前記層の法線方向の寸法に対する前記複数の粒子の各々ののうち前記層に埋め込まれる部分の前記法線方向の寸法の比率は30%乃至60%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の版の製造方法。
【請求項8】
前記版はレンズアレイを作製するために用いられることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の版の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法により製造された版を用いて作製されることを特徴とするレンズアレイ。
【請求項10】
光源と、請求項9に記載のレンズアレイとを具備したことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のバックライトユニットと、前記レンズアレイを間に挟んで前記光源と向き合った表示パネルとを具備したことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−115804(P2010−115804A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289068(P2008−289068)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】