説明

物品保持部材、および梱包体

【課題】搬入および搬出対象の形状が異なる種の円筒状物品を破損させることなく確実に保持する。
【解決手段】梱包体100は、梱包箱110内に物品保持部材120で直管型LEDランプ20の両端に配置された口金22を保持する。物品保持部材120は、上面121に物品下側受部130が下面122に物品上側受部140が形成されている。物品下側受部130には、凹部131と口金22下面を受ける弧状凸部132と、電極23を受ける棚部234とが形成され、物品上側受部140には第2凹部141と口金22上面を押さえる第2弧状凸部142とが形成されている。弧状凸部132と第2弧状凸部142とで両端の口金22を保持する。とりはずした直管型蛍光ランプ10は、再度物品保持部材120を用いて直管型LEDランプ20を取り出した梱包箱110に梱包できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状物品を梱包する際に使用する物品保持部材および梱包体に係り、特に複数の異なる形状の円筒状物品を確実に保持することができる物品保持部材およびこの物品保持部材を使用した梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化促進の観点から、室内の照明を直管型蛍光ランプから直管型LEDランプに置き換える傾向がある。この直管型LEDランプとしては、直管型蛍光ランプと同じ電極を備え、直管型蛍光ランプが使用されていた照明器具にそのまま取り付けることができるものがある。
【0003】
直管型蛍光ランプは、円筒状であり、従来1つ1つを片段ボール製のスリーブで梱包して保管搬送されることがある(特許文献1参照)。また、とりはずした直管型蛍光ランプを収納する容器として、直方体形状または立方体形状の少なくとも上方側に位置することとなる側面のシートまたはネットに、円筒状の蛍光灯を通す穴が形成され、上面側が関口した箱状の容器として組み立てられる回収容器が開示されている(特許文献2参照)。
【0004】
さらに、直管型LEDランプを梱包する梱包箱として、1つの梱包箱に複数のランプを横並びで収容するに際して、前記ランプの管状側面を載置する側保持部を有する中間パンパ一対と、前記ランプの端部を載置する端保持部を有する端パンパ一対とを備えものが提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
直管型蛍光ランプを直管型LEDランプに置き換えるに際しては、新品の直管型LEDランプを梱包する梱包体と、とりはずした直管型蛍光ランプを回収する回収具と、それぞれ個別に梱包体等が準備する必要がある。
【0006】
直管型LEDランプは、その構造上口金が直管型の蛍光ランプの口金より長手方向に長く、また口径も小さい(特許文献4参照)。図12は直管型蛍光ランプと直管型LEDランプの各部の寸法例を示す模式図である。ここで、(A)は直管型蛍光ランプを、(B)は直管型LEDランプを示すものであり、それぞれ(a)は平面図を(b)は側面図である。
【0007】
図12に示すように。直管型蛍光ランプ10のガラス管部11の直径D1は、直管型LEDランプ20の発光管部21の直径D2より大きく、また、直管型蛍光ランプ10の口金12の直径d1は、直管型LEDランプ20の口金22の直径d2より大きい。さらに直管型蛍光ランプ10の口金12の長さt1は、直管型LEDランプ20の口金22の長さt2より小さい。なお、図中符号13は直管型蛍光ランプ10の電極を、符号23は直管型LEDランプ20の電極を、24は直管型LEDランプ20の感電防止スイッチの端子を示している、
【0008】
従来、直管型LEDランプを梱包した梱包体に、とりはずした直管型蛍光ランプを梱包できる共用の梱包体は提供されていなかった。これは、両ランプの交換に際して、直管型LEDランプを支持部材で保持して梱包してきた梱包体に、回収した直管型蛍光ランプを収納しようとしても、直管型蛍光ランプの口金が支持部材の口金支持凹部に一致しないからである。例えば、口金受凹部の長さすべてを直管型LEDランプの口金にあわせておくと、回収した直管型蛍光灯ランプ口金の直径が大きいため口金支持凹部に収容することができない。一方直管型蛍光ランプの口金直径にあわせた口金受凹部にすると直管型LEDランプの口金直径が小さいため口金受凹部での遊びが大きくなり位置の保持ができないこととなる。
【0009】
さらに、直管型LEDランプの口金にのみ対応するように口金受凹部を構成した場合には、直管型蛍光ランプ10の口金の長さが短いため、輸送時の衝撃等で直管型蛍光ランプ10が口金受凹部からずれ落ちてしまいガラス管部が破損して、蛍光灯内部の水銀が漏れるおそれがある。
【0010】
なお、受け部の長さを直管型蛍光灯の口金幅より大きくしてガラス管部分までに延長した場合に、ランプの質量に対して受け面積が大きすぎることになるため、受け部の長さすべてを一律に接触させるのではなく、部分的に接触させることで、衝撃が加わったときに受け部の変形をしやすくすることでランプへの負荷を軽減させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような事情の基、直管型LEDランプを梱包して搬入してきた梱包体にとりはずした直管型蛍光ランプを収納して搬出できれば、梱包体の無駄がなく経済的かつ省資源化が図れる。このため、直管型蛍光ランプの納入から直管型のLEDランプの回収までを共通の梱包体で梱包する技術が要望される。
【0012】
本発明は、前記課題にかんがみなされたものであり、搬入および搬出対象の形状が異なる種の円筒状物品を破損させることなく確実に保持することができる物品保持部材、および梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決する請求項1の発明は、円筒形状の物品を梱包箱に収容するに際して、前記物品の長手方向の両端に配置される物品保持部材であって、前記物品保持部材は、梱包箱に配置されたとき上側に向く上面、同じく下側に向く下面、および物品配置側に向く内側面、前記内側面と反対側を向く外側面とを備えるとともに、前記上側面に前記物品の端部の下側を受ける物品下側受部を備え、前記物品下側受部は、断面半月状の凹部と、この凹部の内周から立ち上がり形成される弧状凸部とを備え、前記凹部は、前記内側面に開設された半月状開口、および前記上面に前記半月状開口と連通して開設された長方形開口を備え、前記弧状凸部は、前記凹部の半径よりも小さい半径の内周縁を備え、前記円筒形部材の端部の外周面下側に接触すること、を備えることを特徴とする物品保持部材である。
【0014】
同じく請求項2の発明は、請求項1に記載の物品保持部材において、前記弧状凸部は、前記物品に衝撃が負荷したとき変形して前記物品への衝撃を吸収するようその強度が設定されていることを特徴とする。
【0015】
同じく請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の物品保持部材において、前記凹部は、前記円筒状の物品の最大径をなす外周部と接触しない半径に形成されていることを特徴とする。
【0016】
同じく請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の物品保持部材において、前記凹部は、前記内側面から外側面に向け途中まで形成され、前記物品下側受部の外側面側には、前記上面と面一に形成された棚部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
同じく請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品保持部材において、前記物品保持部材は、上下方向に複数段配置され、上下の物品保持部材の間で前記物品を挟んで固定するものであり、上側から配置される物品保持部材の下面には、前記下側に配置される物品保持部材で保持される物品の上側を保持する物品上側受部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
同じく請求項6の発明は、請求項5記載の物品保持部材において、前記物品上側受部は、断面半月状の第2凹部を備え、前記第2凹部は、外側面と内側面とに開設された半月状開口を備え、前記下面には前記外側面と内側面の半月状開口に連通して開設された長方形開口を備える、ことを特徴とする。
【0019】
同じく請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載の物品保持部材において、前記物品上側受部には、前記第2凹部の内周面から立ち上がり形成された第2弧状凸部を備え、前記第2凸部は、前記第2凹部の半径よりも小さい半径の内周縁を備え、前記円筒形部材の端部の外周面に接触することを特徴とする。
【0020】
同じく請求項8の発明は、請求項6に記載の物品保持部材において、前記物品下側受部および物品上側受部は前記物品の配置長手方向と垂直な幅方向に複数配置されていることを特徴とする。
【0021】
同じく請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の物品保持部材において、前記物品保持部材は、段ボールを積層して構成したことを特徴とする。
【0022】
同じく請求項10の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の物品保持部材と、立方体状の梱包箱とを備え、円筒状の部材を複数梱包する梱包体であって、前記梱包箱の相対する2壁面の内側に、それぞれ前記物品保持部材を複数段配置し、上下に隣接して配置された物品保持部材の物品下側受部と物品上側受部との間に前記物品の両端部を保持することを特徴とする梱包体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、納入および回収対象である異なる形状をそなえる2種の円筒状物品を破損のおそれなく確実に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例1に係る梱包体を示す斜視図である。
【図2】同じく梱包体の要部を示す拡大斜視図である。
【図3】同じく梱包体に使用する物品保持部材を示す図であり(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図4】同じく梱包体に使用する物品保持部材を示す斜視図である。
【図5】同じく物品保持部を示す図4中のA部を拡大して示す斜視図である。
【図6】同じく物品保持部材での保持状態を示すものであり、(A)は直管型蛍光ランプの保持状態を示す図、(B)は直管型LEDランプの保持状態を示す断面図である。
【図7】同じく物品保持部材を重ねた状態を示す模式図である。
【図8】実施例1に係る物品保持部材の具体的構成を示す図である。
【図9】重ね合わせた固定具に直管型LEDランプを保持した状態を示す模式図であり、(a)は10本の直管型LEDランプを保持した状態、(b)は25本の直管型LEDランプを保持した状態を示す模式図である。
【図10】実施例2に係る物品保持部材の具体的構成を示す図である。
【図11】同じく物品保持部材での保持状態を示すものであり、(A)は直管型蛍光ランプの保持状態を示す図、(B)は直管型LEDランプの保持状態を示す断面図である。
【図12】直管型蛍光ランプと直管型LEDランプの端部の形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る梱包体は、梱包箱内に物品保持部材で直管型LEDランプまたは直管型蛍光ランプの両端に配置された口金を保持する。物品保持部材は、上面に物品下側受部が下面に物品上側受部が形成されている。物品下側受部には、凹部と弧状凸部が形成され、物品上側受部には第2凹部と第2弧状凸部とが形成されている。弧状凸部と第2弧状凸部とで両端の口金を保持する。とりはずした直管型蛍光ランプは、梱包された直管型蛍光ランプに使用された物品保持部材を用いて梱包箱に梱包する。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施例(以下では単に実施例と記載する)に係る物品保持部材、および梱包体について説明する。以下異なる形状の円筒部材として、直管型LEDランプおよび直管型蛍光ランプを例として説明する。例えば、照明器具に取り付けられた直管型蛍光ランプを梱包体に梱包された直管型LEDランプに交換し、とりはずした直管型蛍光ランプを梱包体に梱包して搬出する。
【0027】
<実施例1>
以下実施例1に係る梱包体について説明する。図1は実施例1に係る梱包体を示す斜視図、図2は同じく梱包体の要部を示す拡大斜視図、図3は同じく梱包体に使用する物品保持部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。梱包体100は、図1および図2に示すように、段ボール製の梱包箱110に10本の直管型LEDランプ20を梱包する。梱包箱110内には、3つの同形状の物品保持部材120−1、120−2、120−3を重ねた物品保持部材組150を、長手方向両端部の内側にそれぞれ配置している。そして、物品保持部材組150の最下段(第1段)の物品保持部材120−1と第2段の物品保持部材120−2の間に5本の直管型LEDランプ20を配置し、第2段の物品保持部材120−2と第3段の物品保持部材120−3との間に5本の直管型LEDランプ20を配置する。
【0028】
従って、梱包体100には、10本の直管型LEDランプ20が配置できる。なお、図2では、直管型LEDランプ20を5本だけ上段に配置した状態が描いてあるが、実際には記載された直管型LEDランプ20の下段にさらに5本の直管型LEDランプ20が配置される。
【0029】
直管型LEDランプ20を梱包体100に梱包するには、梱包箱110内の長手方向両端部に物品保持部材120−1を配置し、この物品保持部材120−1上に5本の直管型LEDランプ20を配置し、物品保持部材120−1上に物品保持部材120−2を重ね、この物品保持部材120−2の上に5本の直管型LEDランプ20を配置し、さらに物品保持部材120−2の上に物品保持部材120−3を重ね、梱包箱110を梱包する。
【0030】
直管型蛍光ランプ10の交換に際しては、この状態で、直管型LEDランプ20を交換場所に搬入する。直管型LEDランプ20を梱包体100から取り出すには、前述した手順と逆の手順による。また、梱包体100には、直管型LEDランプ20と同じく手順でとりはずした直管型蛍光ランプ10を梱包することができる。
【0031】
なお、図2中符号160は、直管型LEDランプ20が物品保持部材120−2と物品保持部材120−3との間に配置されないような状態のとき、物品保持部材120−120−2、120−3が落下するのを防止する落ち止め部材を示している。この落ち止め部材160は、例えば段ボールを組み立てて構成される。
【0032】
次に、物品保持部材120について説明する。図4は実施例1に係る梱包体に使用する物品保持部材を示す斜視図、図5は同じく物品保持部を示す図4中のA部を拡大して示すものであり、(a)、(b)は斜視図、(c)は正面図、図6は同じく物品保持部材で物品の保持状態を示すものであり、(A)は直管型蛍光ランプの保持状態を示す図、(B)は直管型LEDランプの保持状態を示す断面図、図7は同じく2つの物品保持部材を重ねた状態を示す模式図である。
【0033】
なお、上述した物品保持部材120−1、120−2、120−3は、同一形状であるので、以下1つの物品保持部材についてその符号を120として説明する。物品保持部材120は、図4に示すように、上面121と、下面122と、内側面123と、外側面124と両側面125、126とを備えた直方体形状の部材である。
【0034】
物品保持部材120の上面121には、円筒形状の物品である直管型蛍光ランプ10または直管型LEDランプ20の口金12、22の下面を保持する物品下側受部130が形成される。
【0035】
さらに、物品保持部材120の下面122には、下段に配置された物品保持部材120の端部上側に配置されたとき、下段に保持された直管型蛍光ランプ10または直管型LEDランプ20の口金12、22の上側がはめ込まれる物品上側受部140が形成される。
【0036】
物品下側受部130は、物品保持部材120の上面に等間隔で5カ所に形成されている。また、物品上側受部140は、物品保持部材120の下面の物品下側受部130に対応する5カ所に形成されている。
【0037】
物品下側受部130は、断面半月状の凹部131を備える。この凹部131により、内側面123には、中心Oを上面121より上側とした半径r1(図5(c)参照)の半月状開口136(図4中網掛け部)が開設され、上面121には半月状開口136に連通する長方形開口137(図4中網掛け部)が開設される。物品下側受部130の凹部131の内周面138は、半月状開口136と同じ半径r1を備える。また、凹部131の外側面124側には、半月状の端面接触部133が形成される。この端面接触部133は、半月状開口136に相対した位置に形成される。
【0038】
さらに、物品下側受部130は、弧状凸部132を備える。この弧状凸部132は、凹部131の中心Oと同心で凹部131の半月状開口136の半径r1よりも小さい半径r2(図5(c))の内周端139を備え、凹部131の内周面138に沿って前記内周面から立ち上がるよう形成される。ここで、弧状凸部132の内周面138からの突出量をhとする(図5(c))。
【0039】
また、端面接触部133と弧状凸部132の内側端部との間の寸法L1は、直管型蛍光ランプ10の口金12の長さt1より小さく形成されている(図6(A)(a)参照)。同様に、直管型LEDランプ20の口金22の長さt2より小さい。このため、弧状凸部132には、配置された直管型蛍光ランプ10の口金12および直管型LEDランプ20の口金22の外周面下側に接触する。さらに、端面接触部133は、配置された直管型蛍光ランプ10の口金12および直管型LEDランプ20の口金22の外側端部に接触する。
【0040】
物品下側受部130には、直管型蛍光ランプ10および直管型LEDランプ20の電極13、23を受ける棚部134が形成される。この棚部134は、物品下側受部130と内側面123から外側面124との間に上面121と面一に形成される。棚部134は、外側面124から寸法L3の位置まで形成される(図6(A)(a)参照)。
【0041】
また、物品上側受部140は、断面半月状の第2凹部141を備える。この第2凹部141により、外側面124と内側面123には、中心Oを下面122より上側とした半径r1(図5(c)参照)の半月状開口143、144が開設され、下面122には、半月状開口143、144に連通する長方形状開口147が開設される。
【0042】
また、物品上側受部140は、第2弧状凸部142を備える。この第2弧状凸部142は、凹部141の半月状開口143、144の半径r1よりも小さい半径r2(弧状凸部132と同じく半径)の内周端146を有し、第2凹部141の内周面145に沿って立ち上がるよう形成される。第2弧状凸部142の内周面145からの突出量をhとしている(図5(c))。
【0043】
この第2弧状凸部142の内周端146は、直管型LEDランプ20の口金22、直管型蛍光ランプ10の口金12の外周面上側に接触する。この第2弧状凸部142は、弧状凸部132と同位置になるよう、外側面124から寸法L4(L1+L3)だけ離間した位置に形成される(図6(A)(b)、(B)(b))。
【0044】
このような構成の2つの物品保持部材120を重ねると、図7に示すように、下側に配置した物品保持部材120の物品下側受部130と、上側に配置した物品保持部材120の物品上側受部140とで、円形の開口部が形成され、この開口部の直径(2×r1)は直管型蛍光ランプ10のガラス管部11に接触することなく収容できる程度の大きさに設定される。
【0045】
また、物品保持部材120を重ねた状態で、弧状凸部132と、第2弧状凸部142とが接触して円形の開口部が形成され、この開口部の直径(2×r2)は、直管型蛍光ランプ10の口金12および直管型LEDランプ20の口金22を収納できる程度の大きさに設定されている。このため、図6(A)に示すように、直管型蛍光ランプ10を配置した状態で、直管型蛍光ランプ10の口金12は保持される。
【0046】
なお、直管型LEDランプ20の口金22の直径は直管型蛍光ランプ10の口金12の直径より小さいが、図6(B)に示すように、直管型LEDランプ20の口金22はこの開口部に実用上支障なく保持される。
【0047】
そして、実施例1では、弧状凸部132は、梱包体100が落下などして、直管型蛍光ランプ10または直管型LEDランプ20に衝撃が負荷したとき、つぶれやすくするものとする。これにより、直管型蛍光ランプ10や直管型LEDランプ20への衝撃を低減することができる。
【0048】
以上をまとめると、実施例1に係る物品保持部材120の各部の寸法は以下のように設定される。
(1)弧状凸部132、第2弧状凸部142は、直管型蛍光ランプ10および直管型LEDランプ20の口金12、22を保持できる位置に配置される。このため、L1<t1(図6(A)(a))、L1<t2とする(図6(B)(a))。
【0049】
(2)弧状凸部132に直管型LEDランプ20の口金22を保持するとき、電極13のみが棚部134上に載せられて配置され、口金22が弧状凸部132から浮き上がらない。このため、H=h+d2/2とする(図6(B)(b))。この状態で、発光管部21が凹部131の内周面138に接触しない。このため、2×r2>D2とする(図6(B)(a)、(b))。
【0050】
(3)直管型蛍光ランプ10の口金22を弧状凸部132に載置したとき、電極23のみが棚部134に載せられて配置され、口金12が弧状凸部132から浮き上がらない。このため、H=h+d1/2とする(図6(A))。さらに、口金12が弧状凸部132に載置されたときに、ガラス管部11が凹部131の内周面138に接触しない。このため、2×r2>D1とする(図6(A)(a)、(b))。
【0051】
なお、一般的にはd1とd2とは等しくない(d1>d2)が、d1とd2の差は小さく、また、弧状凸部132、第2弧状凸部142は変形するため、弧状凸部132、第2弧状凸部142の突出量hを直管型蛍光ランプ10の口金12もしくは直管型LEDランプ20の口金22を保持できる寸法としておけば、実用上差し支えない。
【0052】
実施例1では、物品保持部材120の各部を前記条件にすることで、各部寸法が異なる直管型蛍光ランプ10および直管型LEDランプ20を同一の梱包体100で梱包することができる。
【0053】
物品保持部材120は、所定形状に型抜きした片段ボールを積層して形成することができる。図8は実施例1に係る物品保持部材の具体的構成を示す図である。この例では物品下側受部130の凹部131は、半月状の切欠を形成した片段ボール製の板材を重ね、その周囲を片段ボールで被覆して構成したものである。そして、弧状凸部132を積層する板材のうち1枚の板材切欠部の半径をほかの切欠より小さくしたもので形成している。
【0054】
この物品保持部材120は、紙製の片段ボールで構成しているので、回収後においても再生でき、省資源化を図ることができる。また、弧状凸部132を1枚の段ボールで構成しているので、弧状凸部132に載置した直管型蛍光ランプ10、直管型LEDランプ20に衝撃が作用した場合につぶれ、効率良く衝撃を吸収することができる。弧状凸部132の強度は、直管型蛍光ランプ10および直管型LEDランプ20への衝撃を吸収できるよう設定する。この設定は、弧状凸部132を構成する段ボールの種類、枚数により適宜調整できる。
【0055】
なお、物品保持部材120は片段ボール製としたが、その他の紙材、発泡樹脂等の合成樹脂等で構成することができる。また、直管型蛍光ランプ10および直管型LEDランプ20はその消費電力タイプなどによりそのガラス管部、発光管部、口金および電極のサイズや形状が異なる。このため、物品保持部材120は収納する直管型蛍光ランプ10および直管型LEDランプ20にあわせてその寸法や形状を適宜変更することができる。
【0056】
このような梱包体100を使用して、直管型蛍光ランプ10の交換先に直管型LEDランプ20を搬入するときは、図1および図2に示すように、物品保持部材120で直管型LEDランプ20の両端に形成された口金22の上下面を挟み、これを梱包箱110に収容する。なお、梱包箱110中に配置した物品保持部材120に直管型LEDランプ20を配置し、その上に次の物品保持部材120を配置し、これを必要に応じて繰り返す。
【0057】
実施例1に係る物品保持部材120では、物品保持部材120を2段で重ねることで5本、3段重ねることで10本、6段重ねることで25本の直管型LEDランプ20を収納することができる。
【0058】
図9は重ね合わせた固定具に直管型LEDランプを保持した状態を示す模式図であり、(a)は10本の直管型LEDランプを保持した状態、(b)は25本の直管型LEDランプを保持した状態を示す模式図である。このように必要な数の直管型LEDランプ20分だけ物品保持部材120を用意すればよい。このとき、上下左右に配置した直管型LEDランプ20の間には隙間が形成されるため直管型LEDランプ20どうしが接触することがないほか、再下段に配置した直管型LEDランプ20が直接梱包体100の設置面に接触することがない。
【0059】
直管型蛍光ランプ10や直管型LEDランプ20は、1箱10本入り、または1箱25本入りの形態で取引されることが一般的である。図9に示すように、10本の直管型LEDランプ20を配置した梱包体100の高さ(T)は、直管型LEDランプ20を25本配置した梱包体200の高さ(2T)の半分となり、10本収納用の梱包体100および25本収納用の梱包体200を混ぜて配置しておくとき、その高さを統一でき、積み重ねやすくなる。このため、実施例1に係る物品保持部材120を使用して梱包体100、200を構成することが有用である。
【0060】
そして、直管型LEDランプ20の交換先で、とりはずされた直管型蛍光ランプ10を、図6(A)(a)、(b)に示すように梱包して、回収することができる。なお、直管型LEDランプ20の設置の後における直管型蛍光ランプ10の回収に際しては、梱包体100を用いることなく、直管型LEDランプ20の搬入にだけ梱包体100を使用してもよいのはもちろんである。
【0061】
なお、物品保持部材は、直管型蛍光ランプ10または直管型LEDランプ20を5つ載置できる形状としているが、この載置数は任意の数とすることができる。
【0062】
<実施例2>
次に実施例2に係る物品保持部材220について説明する。図10は実施例2に係る物品保持部材の具体的構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は異なる方向からの斜視図、(c)は底面図、図11は同じく物品保持部材での保持状態を示すものであり、(A)は直管型蛍光ランプの保持状態を示す図、(B)は直管型LEDランプの保持状態を示す断面図である。実施例2に係る物品保持部材220は、実施例1と物品下側受部230の構成が異なるものである。
【0063】
すなわち、実施例2に係る物品保持部材220では、物品下側受部230の弧状凸部232を片段ボール3枚分で構成している。その他の構成は実施例1に係る物品保持部材120と同じである。物品保持部材220には、図10に示すように、物品下側受部230と物品上側受部240が形成されている。物品下側受部230に凹部231、弧状凸部232、端面接触部233、棚部234を備える。また、物品上側受部240は、第2凹部241、第2弧状凸部242を備える。
【0064】
実施例2に係る物品保持部材220では、図11に示すように、直管型蛍光ランプ10の口金12および直管型LEDランプ20の口金22を保持することができる。実施例2に係る物品保持部材220では、弧状凸部232を段ボール3枚で形成しているので、下方に荷重が加わったとき、よりつぶれにくくなり、物品を確実に保持することができる。
【符号の説明】
【0065】
10 直管型蛍光ランプ
11 ガラス管部
12 口金
13 電極
20 直管型LEDランプ
21 発光管部
22 口金
23 電極
100 梱包体
110 梱包箱
120 物品保持部材
121 上面
122 下面
123 内側面
124 外側面
125、126 側面
130 物品下側受部
131 凹部
132 弧状凸部
133 端面接触部
134 棚部
136 半月状開口
137 長方形開口
138 内周面
139 内周端
140 物品上側受部
141 第2凹部
142 第2弧状凸部
143、144 半月状開口
145 内周面
146 内周端
147 長方形状開口
150 物品保持部材組
160 落ち止め部材
200 梱包体
220 物品保持部材
230 物品下側受部
231 凹部
232 弧状凸部
233 端面接触部
234 棚部
240 物品上側受部
241 第2凹部
242 第2弧状凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開平9−150879号公報
【特許文献2】特開2005−263302号公報
【特許文献3】特開2011−001078号公報
【特許文献4】特開2010−123359号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の物品を梱包箱に収容するに際して、前記物品の長手方向の両端に配置される物品保持部材であって、
前記物品保持部材は、梱包箱に配置されたとき上側に向く上面、同じく下側に向く下面、および物品配置側に向く内側面、前記内側面と反対側を向く外側面とを備えるとともに、前記上側面に前記物品の端部の下側を受ける物品下側受部を備え、
前記物品下側受部は、断面半月状の凹部と、この凹部の内周から立ち上がり形成される弧状凸部とを備え、
前記凹部は、前記内側面に開設された半月状開口、および前記上面に前記半月状開口と連通して開設された長方形開口を備え、
前記弧状凸部は、前記凹部の半径よりも小さい半径の内周縁を備え、前記円筒形部材の端部の外周面下側に接触すること、
を備えることを特徴とする物品保持部材。
【請求項2】
前記弧状凸部は、前記物品に衝撃が負荷したとき変形して前記物品への衝撃を吸収するようその強度が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の物品保持部材。
【請求項3】
前記凹部は、前記円筒状の物品の最大径をなす外周部と接触しない半径に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品保持部材。
【請求項4】
前記凹部は、前記内側面から外側面に向け途中まで形成され、前記物品下側受部の外側面側には、前記上面と面一に形成された棚部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の物品保持部材。
【請求項5】
前記物品保持部材は、上下方向に複数段配置され、上下の物品保持部材の間で前記物品を挟んで固定するものであり、
上側から配置される物品保持部材の下面には、前記下側に配置される物品保持部材で保持される物品の上側を保持する物品上側受部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品保持部材。
【請求項6】
前記物品上側受部は、断面半月状の第2凹部を備え、
前記第2凹部は、外側面と内側面とに開設された半月状開口を備え、
前記下面には前記外側面と内側面の半月状開口に連通して開設された長方形開口を備える、
ことを特徴とする請求項5記載の物品保持部材。
【請求項7】
前記物品上側受部には、前記第2凹部の内周面から立ち上がり形成された第2弧状凸部を備え、
前記第2凸部は、前記第2凹部の半径よりも小さい半径の内周縁を備え、前記円筒形部材の端部の外周面に接触することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の物品保持部材。
【請求項8】
前記物品下側受部および物品上側受部は前記物品の配置長手方向と垂直な幅方向に複数配置されていることを特徴とする請求項6に記載の物品保持部材。
【請求項9】
前記物品保持部材は、段ボールを積層して構成したことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の物品保持部材。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の物品保持部材と、立方体状の梱包箱とを備え、円筒状の部材を複数梱包する梱包体であって、
前記梱包箱の相対する2壁面の内側に、それぞれ前記物品保持部材を複数段配置し、上下に隣接して配置された物品保持部材の物品下側受部と物品上側受部との間に前記物品の両端部を保持することを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−192934(P2012−192934A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56153(P2011−56153)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】