説明

田植機のステアリングコラム

【課題】ステアリングシャフトとトルクジェネレータの連結部の錆付きを防ぐとともに、グリス注入を容易として作業性を向上させた田植機を提供する。
【解決手段】ステアリングハンドル軸53,55にステアリングコラム56を覆設したステアリングシャフト52の下端を、トルクジェネレータ58に連結部57を介して連結し、連結部57では、カラー59を装着したステアリングシャフト52の下端部を、取付フランジ61を介してトルクジェネレータ58に支持させ、カラー59は、トルクジェネレータ58の上面に接する底部周面に、開口部60を形成するとともに、取付フランジ61の底部にも開口部60と連通する開口部63を形成したものである。加えて、カラー側開口部60と、取付フランジ側開口部63のそれぞれを組立てることによって、ラビリンス形状Lを構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンネットに備えるダッシュボードから突設させたステアリングハンドルと、このステアリングハンドルを回転自在に支持し、ステアリングコラムを覆設したステアリングシャフトと、このステアリングシャフトの下端をトルクジェネレータに連結部を介して連結し、連結部では、カラーを装着したステアリングシャフトの下端部を、取付フランジを介してトルクジェネレータ上に取付け、ステアリングシャフトをトルクジェネレータに支持させた田植機に関し、より詳細には、カラーは、トルクジェネレータの上面に接する底部周面に、複数のカラー側開口部を形成するとともに、取付フランジの底部には、カラー側開口部と連通する取付フランジ側開口部を形成し、ステアリングシャフトのトルクジェネレータ連結部における錆の発生防止とグリス注入作業をし易くした田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の田植機には、トルクジェネレータにステアリングコラム内を貫通するステアリングシャフトの下端を挿入連結し、ステアリングシャフトの上方にステアリングホイールが設けられており、トルクジェネレータとステアリングシャフトの連結部において、トルクジェネレータに過大な荷重がかからないようにするため、トルクジェネレータ上のステアリングシャフト下部周囲にカラーが装着されるとともに、カラーを装着したステアリングシャフトの下端部を、取付フランジを介してトルクジェネレータ上に取付け、ステアリングシャフトをトルクジェネレータに支持させたものがある。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−207785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような田植機では、圃場から跳ね返った泥水や降雨による雨水などが、ダッシュボードの開口部を介してステアリングシャフトに覆設するステアリングコラム上部に形成された開口部から浸入し、ステアリングコラムの内壁に沿って流下した後、カラーと取付フランジとの隙間にこれら水が滞留してしまうため、これらカラーや、取付フランジ、トルクジェネレータなどステアリングシャフトの連結部に錆が発生し、ステアリングハンドルの操作に悪影響をおよぼしかねず、頻繁にメンテナンスをしなければならない。また、上記連結部には、トルクジェネレータ内部への水の浸入防止や、ステアリングシャフトを円滑に回転させるためにグリスなどの潤滑油を塗布しているが、このグリスを補充する際には、ステアリングコラムやカラー、取付フランジなど多くの部材を取外して連結部を露出させなければならず、これらの理由から作業性が悪いという問題があった。
そこで、この発明の目的は、ステアリングシャフトとトルクジェネレータの連結部の錆付きを防ぐとともに、グリス注入を容易として作業性を向上させた田植機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、ステアリングハンドル軸にステアリングコラムを覆設したステアリングシャフトの下端を、トルクジェネレータに連結部を介して連結し、前記連結部では、カラーを装着した前記ステアリングシャフトの下端部を、取付フランジを介して前記トルクジェネレータに支持させた田植機において、前記カラーは、前記トルクジェネレータの上面に接する底部周面に、開口部を形成するとともに、前記取付フランジの底部にも前記開口部と連通する開口部を形成したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の田植機において、前記カラー側開口部と、前記取付フランジ側開口部のそれぞれを組立てることによって、ラビリンス形状を構成することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2に記載の田植機において、前記フランジ側開口部から前記連結部にグリスを注入可能かつ水が浸入しにくいように上方向にラビリンス形状を構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の田植機において、前記カラー側開口部および前記取付フランジ側開口部は、1または複数形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ステアリングハンドル軸にステアリングコラムを覆設したステアリングシャフトの下端を、トルクジェネレータに連結部を介して連結し、連結部では、カラーを装着したステアリングシャフトの下端部を、取付フランジを介してトルクジェネレータに支持させた田植機において、カラーは、トルクジェネレータの上面に接する底部周面に、開口部を形成するとともに、取付フランジの底部にも開口部と連通する開口部を形成したので、ダッシュボードの開口部を介してステアリングコラム上部に形成された開口部から浸入し、ステアリングコラムの内壁に沿って流下した、圃場から跳ね返った泥水や降雨による雨水などが、カラーと取付フランジとの隙間に滞留することなく、これらカラーや、取付フランジ、トルクジェネレータなどステアリングシャフト連結部の錆発生を防止することができる。また、カラー側開口部および取付フランジ側開口部は、トルクジェネレータおよびステアリングシャフトの接触部に塗布するグリスの注入口に兼用でき、グリスを接触部に補充する際には、カラーおよび取付フランジの両開口部を介して容易にグリスを注入することができる。従って、操作性および作業性を向上させた田植機を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、カラー側開口部と、取付フランジ側開口部のそれぞれを組立てることによって、ラビリンス形状を構成するので、取付フランジ側開口部からカラー側開口部までを複雑な経路にし、圃場から跳ね返った泥水や降雨による雨水などが、取付フランジ側開口部から取付フランジ内に侵入しても、連結部およびステアリングシャフト内までの到達を阻み、これら連結部およびステアリングシャフトの錆付きを防止することができる。従って、操作性および作業性を向上させた田植機を提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、フランジ側開口部から連結部にグリスを注入可能かつ水が浸入しにくいように上方向にラビリンス形状を構成したので、取付フランジ側開口部からカラー側開口部までの経路に異なる方向性を与え、連結部にグリスを注入しやすい構造にするとともに圃場から跳ね返った泥水や降雨による雨水などが、取付フランジ側開口部から取付フランジ内に侵入しても、連結部およびステアリングシャフト内までの到達を阻み、これら連結部およびステアリングシャフトの錆付きを防止することができる。従って、操作性および作業性を向上させた田植機を提供することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、カラー側開口部および取付フランジ側開口部は、1または複数形成したので、取付フランジに開口部が1箇所形成されている場合であっても、この開口部からカラー側開口部を介して容易にステアリングシャフトにグリスを注入させることができるが、さらに取付フランジに開口部を複数形成することで、どの方向からもステアリングシャフトにグリスを注入させることができる。従って、作業性を向上させた田植機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一例としての田植機の全体側面図である。
【図2】ステアリング部材の配設位置を示す、ダッシュボードの斜視図である。
【図3】ステアリング部材の斜視図である。
【図4】ステアリングシャフトとトルクジェネレータの連結部の拡大斜視図である。
【図5】取付フランジの拡大斜視図である。
【図6】取付フランジを取外した連結部の拡大斜視図である。
【図7】カラーの拡大斜視図である。
【図8】連結部の側面模式図である。
【図9】連結部の断面側面図である。
【図10】開口部を複数形成した取付フランジの拡大斜視図である。
【図11】駆動軸としての一例を示すローター伝動軸周辺を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、この発明の一例として、田植機の全体側面図、図2はステアリング部材の配設位置を示す、ダッシュボードの斜視図である。
【0015】
本願の田植機1は、作業者が搭乗する車両であり、4条植えを例に説明する。図1〜2に示すように、エンジン2を機体フレーム3に搭載させ、前後方向に長手状のミッションケース4前方にフロントアクスルケース5を介して水田走行用の前輪6を支持させるとともに、ミッションケース4後部のリヤアクスルケース7に水田走行用の後輪8を支持させる。
【0016】
そして、エンジン2などを覆うボンネット9の両側に予備苗載台10を取付けるとともに、作業者が搭乗する車体カバー11によってミッションケース4などを覆い、車体カバー11後側の運転台12上面に運転席13を取付け、その運転席13の前方でボンネット9後部にステアリングハンドル14が設けられる。
【0017】
また、植付部15は、4条植え用の苗載台16並びに複数の苗植付爪17などを具備するものであり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18およびガイドレール19を介して植付フレーム20に左右往復摺動自在に支持させるとともに、センターケース31を介して得られたPTO軸33からの動力を、一方向に等速回転させる一方向に等速回転させるロータリケース21を植付フレーム20に支持させ、このロータリケース21の回転軸芯を中心とした対称位置に一対の爪ケース22を配設し、その爪ケース22先端に苗植付爪17が取付けられる。
【0018】
また、植付フレーム20の左右両端側に左右サイドフレーム23を立設させて苗載台16を支持させ、植付フレーム20左右中央のヒッチブラケット24をトップリンク25およびロワーリンク26を含む昇降機構27を介して車両に連結させ、この車両に設けた油圧式の昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結させ、この昇降シリンダ28の駆動時に昇降機構27を介して植付部15を昇降させるとともに、植付部15の下降時には左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗植え作業が可能な構成とされる。
【0019】
なお、符号29は主変速レバー、30は機体の搭乗位置および機体から降りた位置で走行停止などの操作を可能とさせる苗継ぎレバー、32は主クラッチペダル、34はセンターフロート、35はサイドフロート、36は施肥機、37は後輪8の外側に配備させる補助車輪である。
【0020】
また、施肥機36は、肥料を入れる肥料ホッパ38と、肥料を供給する肥料繰出部である肥料繰出ケース39と、フロート34,35の側条作溝器40にフレキシブル形搬送ホース41を介して肥料を排出させるターボブロワー型送風機42と、円筒形のエアタンク43とを備えるとともに、エアタンク43右側端に、この送風機42を取付け、肥料繰出ケース39をエアタンク43上側に配設させ、肥料ホッパ38の後側に苗載台16の上端を近接配備させている。
【0021】
また、図2に示すように、ボンネット9の後部上面には、パネルや各種スイッチ、計器類を配備したダッシュボード51が取付けられ、このダッシュボード51から上方にはステアリングハンドル14を突設している。
【0022】
そして、このステアリングハンドル14の中央部には、ダッシュボード51内下方に向けてステアリングシャフト52の上軸53が連結されるとともに、この上軸53にはユニバーサルジョイント54を介してステアリングシャフト52の後述する下軸55が連結されており、この下軸55には、上端部に開口部Oを形成したステアリングコラム56が覆設されている。なお、図2では、説明の便宜上、予備苗載台10などボンネット9周辺の部材を取り除いて示したものである。
【0023】
次に、本願発明の田植機におけるステアリング部材の構成について説明する。図3はステアリング部材の斜視図、図4はステアリングシャフトとトルクジェネレータの連結部の拡大斜視図、図5は取付フランジの拡大斜視図、図6は取付フランジを取外した連結部の拡大斜視図、図7はカラーの拡大斜視図、図8は連結部の側面模式図、図9は連結部の断面側面図、図10は開口部を複数形成した取付フランジの拡大斜視図である。
【0024】
ステアリングシャフト52は、上述したように、上軸53および下軸55から構成され、この下軸55の下端部は、図3に示すように、連結部57を介して油圧により回転力を発生するトルクジェネレータ58に連結されている。なお、トルクジェネレータ58は周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0025】
そして、この連結部57では、図6に示すように、トルクジェネレータ58に過大な荷重がかからないようにするため、トルクジェネレータ58上のステアリングシャフト52における下軸55の下部周囲にはカラー59が装着されており、このカラー59を覆うようにして取付フランジ61をトルクジェネレータ58上にボルト締結などさせて、ステアリングシャフト52をトルクジェネレータ58に支持させている。
【0026】
カラー59は、図7に示すように、金属製の円筒形状を有するもので、その内径は、下軸55の外径よりもやや大きい程度とし、下軸55に着脱自在に嵌合可能とされる。
【0027】
そして、このカラー59には、下軸55装着時におけるトルクジェネレータ58の上面に接する底部周面を、等間隔に切り欠いてそれぞれ開口した、複数のカラー側開口部60が形成される。
【0028】
また、取付フランジ61は、図5に示すように、トルクジェネレータ58の上面に接する水平な底部の中央部62を、カラー59の外径よりもやや大きい内径を有する円筒形状に隆起させてカラー59を内設可能とし、さらに底部の一端を上方に屈曲させている。そして、この屈曲部および底部にはボルト穴を形成し、取付フランジ61を、底部のボルト穴でトルクジェネレータ58に固定させるとともに、屈曲部のボルト穴により図示しないステーに固定させる構成としている。
【0029】
そして、この取付フランジ61には、水平な底部の底面を、中央部62の円筒形状の隆起部分まで切り欠いて開口し、カラー側開口部60と連通させた取付フランジ側開口部63が形成される。
【0030】
そして、上記カラー59を装着した下軸55を、トルクジェネレータ58内に連結させるとともに、中央部62にカラー59を嵌合させた取付フランジ61を、トルクジェネレータ58上などにボルト締結させて、ステアリングシャフト52をトルクジェネレータ58に支持させる。なお、下軸55には、ステアリングコラム56が覆設される。なお、ステアリングコラム56と、取付フランジ61とは溶接により固着されている。
【0031】
そして、ダッシュボード51の開口部を介してステアリングコラム56上端部に有する開口部Oから圃場から跳ね返った泥水や降雨による雨水などがステアリングコラム56内に侵入し、ステアリングコラム56内壁に沿って流下した場合、これら水は、図8〜9に示すように、カラー59と、取付フランジ61との隙間に侵入し、カラー59に設けたカラー側開口部60を介して取付フランジ61に設けた取付フランジ側開口部63から連結部57外方へ排出される。
【0032】
このような構成にすることで、ステアリングコラム56内に侵入した水が、カラー59と取付フランジ61との隙間に滞留することなく、これらカラー59や、取付フランジ61、トルクジェネレータ58などステアリングシャフト52における連結部57の錆発生を防止することができる。このため、ステアリング操作性能の維持およびメンテナンス頻度を低下させることができる。
【0033】
また、カラー側開口部60と、取付フランジ側開口部63のそれぞれを組立てることによって、図9に示すように、両開口部60,63間の経路をラビリンス形状Lにしたものである。これは、トルクジェネレータ58の上面に対して、取付フランジ61が、水平方向に取付フランジ側開口部63を形成するとともに、カラー59は、連通路を介して略鉛直方向(上方向)にカラー側開口部60が形成される。
【0034】
このような構成により、取付フランジ側開口部63からカラー側開口部60までを距離および異なる方向性を与えて複雑な経路(ラビリンス形状L)にし、圃場から跳ね返った泥水や降雨による雨水などが、取付フランジ側開口部63から取付フランジ60内に侵入しても、連結部57およびステアリングシャフト52内までの到達を阻み、これら連結部57およびステアリングシャフト52の錆付きを防止することができる。
【0035】
さらに、本願発明のカラー59および取付フランジ61では、それぞれに設けた水の抜出口としてのカラー側開口部60および取付フランジ側開口部63を、連結部57へのグリス注入口に兼用することができる。
【0036】
上述の図9に示したように、下軸55と、カラー59と、取付フランジ61における中央部62の円筒形状隆起部分との間には、下軸55回転の潤滑剤および、回転トルクジェネレータ58内への水や異物の浸入をシールするためにグリス(潤滑剤)が塗布(貯留)されたグリス部64が設けられている。
【0037】
このグリス部64のグリスが摩擦などにより消耗するなどして、グリス部64にグリスを補充する場合には、ステアリングコラム56を取外した連結部57の側方からグリス補充具の注入口(例えばチューブや注射器など)を、取付フランジ側開口部63を介してカラー側開口部60内に挿入し、グリス部64にグリスを補充する。
【0038】
このような構成にすることで、従来のように、グリス部64へのグリス補充の際、ステアリングコラム56やカラー59、取付フランジ61など多くの部材を取外して連結部57を露出させる必要がなく、ステアリングコラム56のみを取外し、カラー59および取付フランジ61の両開口部60,63を介して容易にグリスを注入することができる。
【0039】
なお、上述の例では、取付フランジ61の水平な底部における底面の1箇所に、取付フランジ側開口部63を形成した例で説明したが、図10に示すように、取付フランジ61の水平底部の他側にも同様の開口部63´を、適宜複数個所設けることで、さらなる水の排出効率およびグリス補充方向の自由度を向上させることができる。
【0040】
上述したステアリングシャフト52の連結部57におけるグリス補充用の開口部60,63は、ステアリングハンドル14のステアリングシャフト52に限定されず、駆動軸(回転軸)の取付部分に用いることができる。図11は駆動軸としての一例を示すローター伝動軸周辺を下方から見た斜視図である。
【0041】
この図11の例に示すように、センターケース31の下部は、ローター駆動ケース70が構成されており、PTO軸33からの動力は、図示しない中間軸または従動軸などを介してローター駆動軸71に伝達され、このローター駆動軸71の駆動によりローター72を回転させ、圃場の枕地を整地させることができる。
【0042】
そして、ローター駆動ケース70と、ローター駆動軸71との連結部73は、例えばローター駆動ケース70に取付けたブラケット74内に図示しないカラーなど介して連結してもよく、この場合、上述同様にして、ブラケット74および前記カラーにそれぞれ1箇所または複数個所の図示しない開口部(ブラケット74の開口部75のみ図示)を形成することで、多くの部材を取外すことなく、外方からこれら開口部を介してローター駆動軸71にグリスなどを容易に注入させることができる。なお、ブラケット74および前記カラーの開口位置を上述同様にずらして形成することで、ラビリンス形状Lを構成し、ローター駆動軸71への直接的な泥水などの浸入を防ぎ、ローター駆動軸71の錆付きを防止することができる。
【0043】
さらに、上述のほか、PTO軸33や前輪6および後輪8の車軸などの連結部にもグリス補充用の開口部を形成してもよく、このように潤滑剤を必要とする駆動軸(回転軸)の連結部に適用することができる。
【0044】
以上詳述したように、この例の田植機1は、ステアリングハンドル軸53,55にステアリングコラム56を覆設したステアリングシャフト52の下端を、トルクジェネレータ58に連結部57を介して連結し、連結部57では、カラー59を装着したステアリングシャフト52の下端部を、取付フランジ61を介してトルクジェネレータ58に支持させ、カラー59は、トルクジェネレータ58の上面に接する底部周面に、開口部60を形成するとともに、取付フランジ61の底部にも開口部60と連通する開口部63を形成したものである。加えて、カラー側開口部60と、取付フランジ側開口部63のそれぞれを組立てることによって、ラビリンス形状Lを構成した。
【産業上の利用可能性】
【0045】
なお、この発明は、ステアリングハンドルの、ステアリングコラムを覆設したステアリングシャフトを、連結部を介してトルクジェネレータに連結させたあらゆる田植機に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 田植機
14 ステアリングハンドル
52 ステアリングシャフト
55 下軸
56 ステアリングコラム
57 連結部
58 トルクジェネレータ
59 カラー
60 カラー側開口部
61 取付フランジ
62 中央部
63 取付フランジ側開口部
64 グリス部
L ラビリンス形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングハンドル軸にステアリングコラムを覆設したステアリングシャフトの下端を、トルクジェネレータに連結部を介して連結し、
前記連結部では、カラーを装着した前記ステアリングシャフトの下端部を、取付フランジを介して前記トルクジェネレータに支持させた田植機において、
前記カラーは、前記トルクジェネレータの上面に接する底部周面に、開口部を形成するとともに、前記取付フランジの底部にも前記開口部と連通する開口部を形成したことを特徴とする田植機。
【請求項2】
前記カラー側開口部と、前記取付フランジ側開口部のそれぞれを組立てることによって、ラビリンス形状を構成することを特徴とする、請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記フランジ側開口部から前記連結部に、グリスを注入可能かつ水が浸入しにくいように上方向にラビリンス形状を構成したことを特徴とする、請求項1〜2に記載の田植機。
【請求項4】
前記カラー側開口部および前記取付フランジ側開口部は、1または複数形成したことを特徴とする、請求項1に記載の田植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−236430(P2012−236430A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104661(P2011−104661)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】