説明

画像処理装置、画像処理システム、省電力装置および省電力プログラム

【課題】生産性や利便性を損なうことなく、所定の期間における消費電力の制御を行うことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する制御部200と、消費電力量を記憶する記憶部212と、予め設定される管理期間内において動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を記憶部から読み出して累計する累計手段と、累積電力計測部210と、累計した消費電力が予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定手段214と、判定手段で閾値に達したと判定された場合に、変更手段による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御部200とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、省電力装置および省電力プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザプリンタなどの画像処理装置は、一般的に待機状態においても所定量の電力を消費している。
【0003】
即ち、レーザプリンタ等は定着器を有しており、この定着器は高熱を発生するために消費電力が一般的に大きい。また、定着器において高熱を発生させるために、起動に要する時間も長くかかる場合が多いため、動作を迅速に開始するために待機状態においても所定の温度を維持しておく必要がある。そのために、待機状態においても定着器にある程度の電流を供給し続ける必要がある。
【0004】
ところが、オフィスなどでは利用できる電力量には上限があり、これを超過するとブレーカの作動やヒューズの溶断により電源が遮断されてしまう。
【0005】
オフィスにおいては、レーザプリンタ等とともにホストコンピュータやパーソナルコンピュータなどの各種電子装置も使用されることが多く、これらの装置は使用中に電力が遮断されると、作業中のデータの消失やハードディスクのクラッシュなどの不具合が発生する虞が高い。
【0006】
このような不具合の発生を解消するために、特開平9−16032号公報に開示される技術などが提案されている。
【0007】
上記公報に開示される技術では、待機状態でも電力を消費する複数の電子写真装置(レーザプリンタ等)の一部を作動させても、全体の消費電力の合計が基準電力を超過しないようにしている。つまり、動作する電子写真装置と、待機する電子写真装置との合計の消費電力が基準電力を超過しないように、待機する電子写真装置の消費電力を低減している。
【0008】
しかしながら、上記従来の技術では、電力算出手段や電力低減手段がCPUやメモリを備える必要があるためコストが嵩み、またそれらの装置自体も電力を消費するという難点があった。
【0009】
また、瞬間的に電力の消費を制御することはできるが、ある期間におけるトータルの電力を効率よく制御することができないという問題もあった。
【0010】
さらに、上記の技術では、複数の電子写真装置の組み合わせでしか消費電力を調整することができないという問題もあった。
【特許文献1】特開平9−16032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、生産性や利便性を損なうことなく、所定の期間における消費電力の制御を行うことができる画像処理装置、画像処理システム、省電力装置および省電力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像処理装置は、動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する変更手段と、動作態様毎に計測される消費電力量を記憶する記憶手段と、予め設定される管理期間内において前記動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を前記記憶手段から読み出して累計する累計手段と、該累計手段で累計した消費電力量が、予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記変更手段による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明に係る画像処理装置は、前記第2の消費態様は、それぞれ消費電力量が異なる複数の段階に分けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明に係る画像処理装置は、前記制御手段は、前記判定手段で前記閾値に達したと判定された場合に、前記第2の消費態様の段階を変更するように制御することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明に係る画像処理装置は、前記閾値は、前記入力手段で入力された許容消費電力量に対して70%を超えた値であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5の発明に係る画像処理装置は、前記閾値は、前記閾値設定手段により異なる2つ以上の値に設定され、前記制御手段は、前記判定手段で各閾値に達したと判定される毎に、前記第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度および前記第2の消費態様の段階の少なくとも一方を変更するように制御することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明に係る画像処理装置は、前記動作態様は、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明に係る画像処理装置は、前記動作態様の消費電力量は予め測定され、前記記憶手段は、それらの消費電力量を各動作態様に対応させて格納することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明に係る画像処理装置は、前記動作態様によって動作される毎に消費電力量を計測する計測手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記計測手段によって計測された消費電力量を順次格納することを特徴とする。
【0020】
また、請求項9の発明に係る画像処理装置は、前記制御手段は、前記判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作できないように制御することを特徴する。
【0021】
また、請求項10の発明に係る画像処理装置は、前記許容消費電力量は、使用者毎に設定されることを特徴とする。
【0022】
また、請求項11の発明に係る画像処理装置は、前記管理期間は、使用者毎に設定されることを特徴とする。
【0023】
また、請求項12の発明に係る画像処理装置は、前記使用者毎に、前記管理期間、前記管理期間中の許容消費電力量、前記管理期間内の累積消費電力量を記録する記録手段をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
また、請求項13の発明に係る画像処理装置は、前記使用者を認証する認証手段をさらに備え、前記制御手段は、前記認証手段で認証された使用者についてのみ前記許容消費電力量内で、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作させるように制御することを特徴とする。
【0025】
また、請求項14の発明に係る画像処理システムは、前記請求項1から請求項13の何れかに記載の1または2以上の画像処理装置と、通信回線を介して前記画像処理装置と接続される1または2以上の情報処理装置とから構成されることを特徴とする。
【0026】
また、請求項15の発明に係る省電力装置は、装置の動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する変更手段と、動作態様毎に計測される消費電力量を記憶する記憶手段と、予め設定される管理期間内において前記動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を前記記憶手段から読み出して累計する累計手段と、該累計手段で累計した消費電力量が、予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記変更手段による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項16の発明に係る省電力装置は、前記第2の消費態様は、それぞれ消費電力量が異なる複数の段階に分けられていることを特徴とする。
【0028】
また、請求項17の発明に係る省電力装置は、前記制御手段は、前記判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記第2の消費態様の段階を変更するように制御することを特徴とする。
【0029】
また、請求項18の発明に係る省電力装置は、前記閾値は、前記入力手段で入力された許容消費電力量に対して70%を超えた値であることを特徴とする。
【0030】
また、請求項19の発明に係る省電力装置は、前記閾値は、前記閾値設定手段により異なる2つ以上の値に設定され、前記制御手段は、前記判定手段で各閾値に達したと判定される毎に、前記第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度および前記第2の消費態様の段階の少なくとも一方を変更するように制御することを特徴とする。
【0031】
また、請求項20の発明に係る省電力装置は、前記動作態様は、制御される装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0032】
また、請求項21の発明に係る省電力装置は、前記動作態様の消費電力量は予め測定され、前記記憶手段は、それらの消費電力量を各動作態様に対応させて格納することを特徴とする。
【0033】
また、請求項22の発明に係る省電力装置は、前記動作態様によって動作される毎に消費電力量を計測する計測手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記計測手段によって計測された消費電力量を順次格納することを特徴とする。
【0034】
また、請求項23の発明に係る省電力装置は、前記制御手段は、前記判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、制御される装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作できないように制御することを特徴する。
【0035】
また、請求項24の発明に係る省電力装置は、前記許容消費電力量は、使用者毎に設定されることを特徴とする。
【0036】
また、請求項25の発明に係る省電力装置は、前記設定手段で入力される管理期間は、使用者毎に設定されることを特徴とする。
【0037】
また、請求項26の発明に係る省電力装置は、前記使用者毎に、前記管理期間、前記管理期間中の許容消費電力量、前記管理期間内の累積消費電力量を記録する記録手段をさらに備えることを特徴とする。
【0038】
また、請求項27の発明に係る省電力装置は、前記使用者を認証する認証手段をさらに備え、前記制御手段は、前記認証手段で認証された使用者についてのみ前記許容消費電力量内で、制御される装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作させるように制御することを特徴とする。
【0039】
また、請求項28の発明に係る省電力プログラムは、動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する変更過程と、動作態様毎に計測される消費電力量を記憶する記憶過程と、予め設定される管理期間内において前記動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を累計する累計過程と、該累計手段で累計した消費電力量が、予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定過程と、該判定過程で消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記変更過程による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0041】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、消費電力量が閾値に達したと判定された場合に第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するようにしているので、生産性や利便性を損なうことなく、所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという優れた効果がある。
【0042】
また、請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第2の消費態様は、それぞれ消費電力量が異なる複数の段階に分けられているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0043】
また、請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、閾値に達したと判定された場合に、第2の消費態様の段階を変更するようにしているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0044】
また、請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、閾値は入力された許容消費電力量に対して70%を超えた値としているので、所定の期間における消費電力の制御をより的確なタイミングで行うことができるという効果がある。
【0045】
また、請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、各閾値に達したと判定される毎に、第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度および第2の消費態様の段階の少なくとも一方を変更するようにしているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0046】
また、請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、動作態様は、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを含むようにしているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0047】
また、請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、動作態様の消費電力量は予め測定され、それらの消費電力量を各動作態様に対応させて格納するようにしているので、より低コストで所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという効果がある。
【0048】
また、請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、計測された消費電力量を順次格納するようにしているので、リアルタイムで所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという効果がある。
【0049】
また、請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、消費電力量が閾値に達したと判定された場合に、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作できないように制御しているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0050】
また、請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、許容消費電力量は、使用者毎に設定されるので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により柔軟に行うことができるという効果がある。
【0051】
また、請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、管理期間は、使用者毎に設定されるので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により柔軟に行うことができるという効果がある。
【0052】
また、請求項12に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、使用者毎に、管理期間、管理期間中の許容消費電力量、管理期間内の累積消費電力量を記録するようにしているので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により柔軟に行うことができるという効果がある。
【0053】
また、請求項13に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、認証された使用者についてのみ許容消費電力量内で、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作させるようにしているので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により的確に行うことができるという効果がある。
【0054】
また、請求項14に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、請求項1から請求項13の何れかに記載の1または2以上の画像処理装置と、通信回線を介して前記画像処理装置と接続される1または2以上の情報処理装置とから構成されているので、生産性や利便性を損なうことなく、所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという優れた効果がある。
【0055】
また、請求項15に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、消費電力量が閾値に達したと判定された場合に第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するようにしているので、生産性や利便性を損なうことなく、所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという優れた効果がある。
【0056】
また、請求項16に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、第2の消費態様は、それぞれ消費電力量が異なる複数の段階に分けられているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0057】
また、請求項17に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、閾値に達したと判定された場合に、第2の消費態様の段階を変更するようにしているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0058】
また、請求項18に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、閾値は入力された許容消費電力量に対して70%を超えた値としているので、所定の期間における消費電力の制御をより的確なタイミングで行うことができるという効果がある。
【0059】
また、請求項19に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、各閾値に達したと判定される毎に、第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度および第2の消費態様の段階の少なくとも一方を変更するようにしているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0060】
また、請求項20に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、動作態様は、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを含むようにしているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0061】
また、請求項21に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、動作態様の消費電力量は予め測定され、それらの消費電力量を各動作態様に対応させて格納するようにしているので、より低コストで所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという効果がある。
【0062】
また、請求項22に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、計測された消費電力量を順次格納するようにしているので、リアルタイムで所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという効果がある。
【0063】
また、請求項23に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、消費電力量が閾値に達したと判定された場合に、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作できないように制御しているので、所定の期間における消費電力の制御をより柔軟に行うことができるという効果がある。
【0064】
また、請求項24に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、許容消費電力量は、使用者毎に設定されるので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により柔軟に行うことができるという効果がある。
【0065】
また、請求項25に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、管理期間は、使用者毎に設定されるので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により柔軟に行うことができるという効果がある。
【0066】
また、請求項26に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、使用者毎に、管理期間、管理期間中の許容消費電力量、管理期間内の累積消費電力量を記録するようにしているので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により柔軟に行うことができるという効果がある。
【0067】
また、請求項27に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、認証された使用者についてのみ許容消費電力量内で、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作させるようにしているので、所定の期間における消費電力の制御を使用者毎により的確に行うことができるという効果がある。
【0068】
また、請求項28に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、消費電力量が閾値に達したと判定された場合に第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するようにしているので、生産性や利便性を損なうことなく、所定の期間における消費電力の制御を的確に行うことができるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0070】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る省電力システムの概略構成を示すブロック図、図2は第1の実施の形態に係る省電力システムに用いられる画像処理装置の一例としてのプリンタの制御系の構成を示すブロック図、図3は第1の実施例に係る省電力処理の処理手順を示すフローチャート、図4は第2の実施例に係る省電力処理の処理手順を示すフローチャート、図5は第2の実施の形態に係る画像処理装置の一例としてのプリンタの制御系の構成を示すブロック図、図6は第2の実施の形態に係るプリンタで実行される省電力処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0071】
第1の実施の形態に係る省電力システムS1は、図1に示すように、LAN等の通信回線Lを介して、画像処理装置の一例として示す複合型のプリンタPR1,PR2と、情報処理装置の一例としてのホストコンピュータPC1およびパーソナルコンピュータPC2とから構成されている。
【0072】
なお、本実施の形態においては、省電力機能をプリンタPR1およびPR2が備える場合について説明するが、省電力機能の全部または一部をホストコンピュータPC1あるいはパーソナルコンピュータPC2にインストールされる省電力プログラムで行うようにしてもよい。
【0073】
また、複合型のプリンタとは、印刷機能に加えて、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を備えているプリンタをいう。
【0074】
ここで、図2のブロック図を参照して、プリンタPR1の制御系の構成について説明する。なお、本実施の形態においては、プリンタPR1とPR2は同じ構成を備えているものとする。
【0075】
図2において、プリンタPR1の制御系を構成する制御部(制御手段、判定手段)200は、例えばマイクロコンピュータ等で構成され、管理期間や許容する消費電力量、閾値などの設定情報を入力する入力手段(設定手段、入力手段、設定手段)としてのコントロールパネル300や、プラテンガラスに載置される画像原稿等の撮像を行う光電変換素子としてのCCD400や、印刷用紙等の記録媒体に画像を形成するプリンタエンジンとしての画像出力装置500や、液晶表示パネル等で構成され各種情報を表示する表示器500等が接続されている。
【0076】
制御部200は、表示器600に表示するメッセージ等の制御を行う表示制御部201、コントロールパネル300等を制御する操作制御部202、CCD400で読み取られた画像情報を格納する画像メモリ203、各種周辺機器等を接続するUSBインターフェイス204、LAN等の通信回線Lに接続されてホストコンピュータPC1等とデータの授受を行うネットワークインターフェイス(I/F)205、図示しないオートドキュメントフィーダ(ADF)を制御するADF制御部206、省電力時間を管理する省電力時間管理部207、複数段階にわたって設けられる省電力モードを制御する省電力モード制御部(変更手段)208、設定される許容消費電力量を記憶する許容電力記憶部209、消費電力を累積して計測する累積電力計測部(累計手段)210、入力された管理期間を記憶する管理期間記憶部211、消費電力を記憶する消費電力記憶部(記憶手段)212、CCD400等を制御する原稿読取制御部213、省電力機能の全般を制御する省電力制御部214、入力された閾値を格納する閾値記憶部215等から構成されている。
【0077】
なお、画像メモリ203に格納された画像データは、コピー機能による動作を行う場合には記録媒体を保持しておく用紙カセットから記録媒体をフィードし、画像出力装置500において記録媒体に画像が転写されて排出される。
【0078】
また、スキャナ機能による動作を行う場合には通信回線Lを介して、ホストコンピュータPC1やパーソナルコンピュータPC2等に転送されて処理されることになる。
【0079】
また、ファクシミリ機能による動作を行う場合には、公衆回線を経由して相手側のファクシミリ装置に送信される。
【0080】
また、印刷サービス機能による動作を行う場合には、ホストコンピュータPC1やパーソナルコンピュータPC2等から送信される印刷ジョブを、本プリンタPR1が通信回線LやUSBインターフェイス204を介して受信して、画像データに変換した後、画像メモリ203に格納し、画像出力装置500において記録媒体に転写されて排出される。
【0081】
省電力時間管理部207は、操作制御部202から入力された省電力時間を管理し、省電力制御部214からの指示により、システムが省電力時間に移行する時間計測を行う。そして、指定時間が過ぎた後に、省電力モード制御部208に通知する。
省電力モード制御部208は、システムを所定の省電力状態に移行させる。また省電力からの復帰条件を検知したら、システムをスタンバイ状態に移行させる。
【0082】
管理期間記憶部211は、消費電力を管理する期間を記憶する。操作制御部202から入力される。
【0083】
許容電力記憶部209は、操作制御部202から入力された、管理期間記憶部211の管理期間において許容される消費電力量を記憶する。
【0084】
累計電力計測部210は、省電力制御部214が実行する各サービスが消費する電力を、消費電力記憶部212から取得し、管理期間記憶部211に記憶されている管理期間における累計の電力を算出する。
【0085】
消費電力記憶部212は、各機能(コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、印刷機能)の各モード(設定態様:例えば印刷機能についてカラーあるいはモノクロ等の設定)における消費電力およびスタンバイ状態の消費電力を予め測定しておき、それを記憶する。
【0086】
なお、各機能の各モード(設定態様)における消費電力およびスタンバイ状態の消費電力は、上述のように予め測定しておく以外に、各機能における動作の消費電力の測定手段を設け、リアルタイムで各消費電力を測定し、その測定結果を消費電力記憶部212で記憶するようにしてもよい。
【0087】
コントロールパネル300からは、管理期間(例えば、1週間、1ヶ月等)、許容する消費電力量(例えば、300kW、500kW等)、閾値(例えば、許容消費電力量の71〜89%,90〜94%,95〜99%,100%等)等の設定値がタッチパネルやキーボード等の入力装置を介して入力される。
【0088】
次に、以上のようにして構成される省電力システムS1において実行される第1の実施例としての省電力処理の処理手順について図3のフローチャートを参照して説明する。
【0089】
この処理が開始されると、まずステップS100でコントロールパネル300を介して管理期間が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS101に移行する。
【0090】
ステップS101では、入力された管理期間を管理期間記憶部212に格納してからステップS102に移行する。
【0091】
ステップS102では、コントロールパネル300を介して許容消費電力量が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS103に移行する。
【0092】
ステップS103では、入力された許容消費電力量を許容電力記憶部209に格納してからステップS104に移行する。
【0093】
ステップS104では、コントロールパネル300を介して閾値が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS105に移行する。
【0094】
ステップS105では、入力された閾値を閾値記憶部215に格納してからステップS106に移行する。閾値としては、例えば許容消費電力量の70%等の値が入力される。
【0095】
ステップS106では、使用する機能が選択されたか否かが判定される。具体的には、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、印刷機能の何れが選択されたか、あるいはそれらの機能の内、例えば印刷機能の場合にはカラー印刷、モノクロ印刷の何れが選択されたかが判定される。そして、判定結果が「No」の場合には選択されるまで待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS107に移行する。
【0096】
ステップS107では、使用する機能に対応する消費電力を計算する。具体的には、使用する機能に対応する消費電力を消費電力記憶部212から読み出して計算する。例えば、カラー印刷1枚当り10Wの電力を消費するという情報が消費電力記憶部212に格納されており、ジョブがカラー印刷10ページである場合には、消費電力の総計は100Wということになる。
【0097】
なお、各消費電力をリアルタイムで測定する場合には、その測定結果を逐次読み出すこととなる。
【0098】
次いでステップS108に移行して、管理期間内における累積電力を累積電力計測部210で計算してからステップS109に移行する。
【0099】
ステップS109では、累積電力は閾値を超えたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合には前記ステップS106に戻って累積電力が閾値に達するまで同様の処理を繰り返す。また、判定結果が「Yes」の場合にはステップS110に移行する。
【0100】
ステップS110では、省電力モードへの移行間隔(移行頻度)を短くしてからステップS111に移行する。省電力モードへの移行間隔(移行頻度)の短縮は、具体的には通常時において5分を経過すると省電力モードへ移行していた状態を、例えば1分間隔、10秒間隔など通常時よりも短い間隔へと変更する。なお、ここにいう省電力モードとは、動作態様(各機能)の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より消費電力量の少ない第2の消費態様に変更するモード(態様)をいう。
【0101】
これにより、累積電力が許容消費電力量の70%(閾値)を超えて、比較的消費電力が多い状況において、消費電力が比較的少ない省電力モードへ移行する頻度を高めることができ、システム全体の省電力を効果的に行うことができる。
【0102】
ステップS111では、管理期間を過ぎたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま処理を終了し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS112に移行する。
【0103】
ステップS112では、累積電力を「0」にリセットしてから処理を終了する。これにより、使用者等が入力した管理期間内において、生産性や利便性を損なうことなく省電力の管理を行うことができる。
【0104】
次に、図4のフローチャートを参照して、第2の実施例としての省電力処理の処理手順について説明する。
【0105】
この処理が開始されると、まずステップS200でコントロールパネル300を介して管理期間が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS201に移行する。
【0106】
ステップS201では、入力された管理期間を管理期間記憶部212に格納してからステップS202に移行する。
【0107】
ステップS202では、コントロールパネル300を介して許容消費電力量が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS203に移行する。
【0108】
ステップS203では、入力された許容消費電力量を許容電力記憶部209に格納してからステップS204に移行する。
【0109】
ステップS204では、コントロールパネル300を介して閾値が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS205に移行する。
【0110】
ステップS205では、入力された閾値を閾値記憶部215に格納してからステップS206に移行する。閾値としては、例えば本実施例では、許容消費電力量の71〜89%,90〜94%,95〜99%,100%の4段階のレベルが設定される。
【0111】
ステップS206では、使用する機能が選択されたか否かが判定される。具体的には、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、印刷機能の何れが選択されたか、あるいはそれらの機能の内、例えば印刷機能の場合にはカラー印刷、モノクロ印刷の何れが選択されたかが判定される。そして、判定結果が「No」の場合には選択されるまで待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS207に移行する。
【0112】
ステップS207では、使用する機能に対応する消費電力を計算する。具体的には、使用する機能に対応する消費電力を消費電力記憶部212から読み出して計算する。なお、各消費電力をリアルタイムで測定する場合には、その測定結果を読み出すこととなる。
【0113】
次いでステップS208に移行して、管理期間内における累積電力を累積電力計測部210で計算してからステップS209に移行する。
【0114】
ステップS209では、累積電力は許容消費電力の70%を超えたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合には前記ステップS206に戻って累積電力が許容消費電力の70%に達するまで同様の処理を繰り返す。また、判定結果が「Yes」の場合にはステップS210に移行する。
【0115】
ステップS210では、閾値レベルの判定が行われる。
【0116】
具体的には、累積電力が許容消費電力の71〜89%であると判定された場合にはステップS210Aに移行して、省電力モードへの移行時間を最小(例えば、1秒)に設定してからステップS211に移行する。また、累積電力が許容消費電力の90〜94%であると判定された場合にはステップS210Bに移行して、次のジョブからカラー印刷を禁止する設定を行ってからステップS211に移行する。また、累積電力が許容消費電力の95〜99%であると判定された場合にはステップS210Cに移行して、次のジョブからコピー機能と印刷機能の使用を禁止する設定を行ってからステップS211に移行する。また、累積電力が許容消費電力の100%であると判定された場合にはステップS210Dに移行して、管理期間中の全てのジョブを禁止する設定を行ってからステップS211に移行する。
【0117】
これにより、より柔軟な省電力の管理を行うことができ、効果的に省電力を実施することができる。
【0118】
ステップS211では、管理期間を過ぎたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま処理を終了し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS212に移行する。
【0119】
ステップS212では、累積電力を「0」にリセットしてから処理を終了する。これにより、使用者等が入力した管理期間内において、生産性や利便性を損なうことなく省電力の管理を行うことができる。
【0120】
次に、図5のブロック図と図6のフローチャートを参照して、第2の実施の形態に係る画像処理装置としてのプリンタPR3について説明する。
【0121】
なお、第1の実施の形態に適用されたプリンタPR1,PR2と異なる点は、制御部200にユーザ認証部700を備えている点であり、その他の構成については同一符号を付して説明は割愛する。
【0122】
ユーザ認証部700には、周知のユーザ認証装置等を適用することができる。具体的には、ユーザ(使用者)のIDコードとパスワードを記憶装置に予め登録しておき、コントロールパネル300のタッチパネルやキーボード等の入力装置から入力されたIDコードとパスワードを照合してユーザの正当性を認証するようにできる。
【0123】
また、バイオメトリックス(生体認証)を応用したユーザ認証装置を用いて、指紋,網膜,虹彩等の個人の身体的特徴によりユーザの正当性を認証するようにしてもよい。
【0124】
また、登録されたユーザに対応させて、ユーザの許容消費電力量を消費電力記憶部212に格納することもできる。これにより、ユーザ毎に省電力の管理を行うことができる。
【0125】
また、ユーザ毎に管理期間を設定して管理期間記憶部210に格納するようしてもよい。
【0126】
さらに、ユーザ毎に閾値を設定して、より柔軟に省電力の管理を行うようにすることもできる。
【0127】
また、ユーザ毎に使用できる機能を限定(例えば、ユーザAは印刷とコピーのみ使用でき、ユーザBは全機能を使用可能など)して、より柔軟且つ的確に省電力の管理を行うようにすることもできる。
【0128】
次に、上記構成のプリンタPR3で実行される省電力処理の処理手順について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0129】
この省電力処理が開始されると、まずステップS300でコントロールパネル300を介して管理期間が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS301に移行する。
【0130】
ステップS301では、入力された管理期間を管理期間記憶部212に格納してからステップS302に移行する。なお、管理期間はユーザ毎に設定することができ、各ユーザに対応させて管理期間記憶部212の所定領域に各管理期間のデータが格納される。
【0131】
ステップS302では、コントロールパネル300を介して許容消費電力量が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS303に移行する。
【0132】
ステップS303では、入力された許容消費電力量を許容電力記憶部209に格納してからステップS304に移行する。なお、許容消費電力量はユーザ毎に設定することができ、各ユーザに対応させて許容電力記憶部209の所定領域に各許容消費電力量のデータが格納される。
【0133】
ステップS304では、コントロールパネル300を介して閾値が入力されたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS305に移行する。
【0134】
ステップS305では、入力された閾値を閾値記憶部215に格納してからステップS206に移行する。閾値としては、例えば本実施の形態では、許容消費電力量の90〜94%,95〜99%,100%の3段階のレベルが設定される。また、閾値はユーザ毎に設定することができ、各ユーザに対応させて閾値記憶部215の所定領域に各閾値のデータが格納される。
【0135】
ステップS306では、ユーザが認証されたか否かが判定される。具体的には、コントロールパネルを介して入力されたIDコードとパスワードの照合あるいは、バイオメトリクスによるユーザ認証装置を用いる場合には指紋等の照合を行い、照合結果が正当であると判定された場合にはステップS307に移行し、照合結果が否であった場合には処理を終了する。
【0136】
ステップS307では、使用する機能が選択されたか否かが判定される。具体的には、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、印刷機能の何れが選択されたか、あるいはそれらの機能の内、例えば印刷機能の場合にはカラー印刷、モノクロ印刷の何れが選択されたかが判定される。なお、ユーザ毎に使用できる機能を限定することもでき、その場合にはその使用できる機能の範囲内で使用する機能を選択することとなる。
【0137】
そして、判定結果が「No」の場合には選択されるまで待機し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS308に移行する。
【0138】
ステップS308では、使用する機能に対応する消費電力を計算する。具体的には、使用する機能に対応する消費電力を消費電力記憶部212から読み出して計算する。なお、各消費電力をリアルタイムで測定する場合には、その測定結果を読み出すこととなる。
【0139】
次いでステップS309に移行して、管理期間内における累積電力を累積電力計測部210で計算してからステップS310に移行する。
【0140】
ステップS310では、累積電力は当該ユーザの許容消費電力の90%を超えたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合には前記ステップS307に戻って累積電力が当該ユーザの許容消費電力の70%に達するまで同様の処理を繰り返す。また、判定結果が「Yes」の場合にはステップS311に移行する。
【0141】
ステップS311では、閾値レベルの判定が行われる。
【0142】
具体的には、累積電力が許容消費電力の91〜94%であると判定された場合にはステップS311Aに移行して、当該ユーザについてのみ次のジョブからカラー印刷を禁止する設定を行ってからステップS312に移行する。また、累積電力が許容消費電力の95〜99%であると判定された場合にはステップS311Bに移行して、次のジョブからコピー機能と印刷機能の使用を禁止する設定を行ってからステップS312に移行する。また、累積電力が許容消費電力の100%であると判定された場合にはステップS311Cに移行して、管理期間中の全てのジョブを禁止する設定を行ってからステップS312に移行する。
【0143】
これにより、ユーザ毎に柔軟な省電力の管理を行うことができ、より効果的に省電力を実施することができる。
【0144】
ステップS312では、当該ユーザの管理期間を過ぎたか否かが判定され、判定結果が「No」の場合にはそのまま処理を終了し、判定結果が「Yes」の場合にはステップS313に移行する。
【0145】
ステップS313では、当該ユーザの累積電力を「0」にリセットしてから処理を終了する。これにより、入力された当該ユーザの管理期間内において、生産性や利便性を損なうことなく省電力の管理を行うことができる。
【0146】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0147】
例えば、上記実施の形態では、画像処理装置として複合型のプリンタを例示したが、これに限らず、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、インクジェットプリンタ、ファクシミリ装置等の省電力の管理にも適用することができる。
【0148】
また、図2および図5に示すプリンタPR1〜PR3の制御部200を独立の省電力装置あるいは省電力プログラムとして構成することも可能であり、その場合には省電力モードを備える電気機器全般の省電力の管理に適用することができる。
【0149】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明による画像処理システムは、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、インクジェットプリンタ、ファクシミリ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る省電力システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る省電力システムに用いられる画像処理装置の一例としてのプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施例に係る省電力処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施例に係る省電力処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係る画像処理装置の一例としてのプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態に係るプリンタで実行される省電力処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0152】
S1 画像処理システム
PR1,PR2,PR3 プリンタ(画像処理装置)
PC1 ホストコンピュータ(情報処理装置)
PC2 パーソナルコンピュータ(情報処理装置)
L 通信回線
200 制御部(制御手段)
201 表示制御部
202 操作制御部
203 画像メモリ
204 USBインターフェイス
205 ネットワークインターフェイス
206 ADF制御部
207 省電力時間管理部
208 省電力モード制御部
209 許容電力記憶部
210 累積電力計測部(累計手段)
211 管理期間記憶部
212 消費電力記憶部(記憶部)
213 原稿読取制御部
214 省電力制御部(判定手段)
215 閾値記憶部(閾値記憶手段)
300 コントロールパネル(設定手段、入力手段、閾値設定手段)
400 CCD
500 画像出力装置
600 表示器
700 ユーザ認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する変更手段と、
動作態様毎に計測される消費電力量を記憶する記憶手段と、
予め設定される管理期間内において前記動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を前記記憶手段から読み出して累計する累計手段と、
該累計手段で累計した消費電力量が、予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記変更手段による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第2の消費態様は、それぞれ消費電力量が異なる複数の段階に分けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記判定手段で前記閾値に達したと判定された場合に、前記第2の消費態様の段階を変更するように制御することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記入力手段で入力された許容消費電力量に対して70%を超えた値であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記閾値は、前記閾値設定手段により異なる2つ以上の値に設定され、
前記制御手段は、前記判定手段で各閾値に達したと判定される毎に、前記第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度および前記第2の消費態様の段階の少なくとも一方を変更するように制御することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記動作態様は、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記動作態様の消費電力量は予め測定され、
前記記憶手段は、それらの消費電力量を各動作態様に対応させて格納することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記動作態様によって動作される毎に消費電力量を計測する計測手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記計測手段によって計測された消費電力量を順次格納することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作できないように制御することを特徴する請求項1から請求項8の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記許容消費電力量は、使用者毎に設定されることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記管理期間は、使用者毎に設定されることを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記使用者毎に、前記管理期間、前記管理期間中の許容消費電力量、前記管理期間内の累積消費電力量を記録する記録手段をさらに備えることを特徴とする請求項10または請求項11の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記使用者を認証する認証手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記認証手段で認証された使用者についてのみ前記許容消費電力量内で、装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作させるように制御することを特徴とする請求項10から請求項12の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記請求項1から請求項13の何れかに記載の1または2以上の画像処理装置と、
通信回線を介して前記画像処理装置と接続される1または2以上の情報処理装置と、
から構成されることを特徴とする画像処理システム。
【請求項15】
装置の動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する変更手段と、
動作態様毎に計測される消費電力量を記憶する記憶手段と、
予め設定される管理期間内において前記動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を前記記憶手段から読み出して累計する累計手段と、
該累計手段で累計した消費電力量が、予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記変更手段による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする省電力装置。
【請求項16】
前記第2の消費態様は、それぞれ消費電力量が異なる複数の段階に分けられていることを特徴とする請求項15に記載の省電力装置。
【請求項17】
前記制御手段は、
前記判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記第2の消費態様の段階を変更するように制御することを特徴とする請求項16に記載の省電力装置。
【請求項18】
前記閾値は、前記入力手段で入力された許容消費電力量に対して70%を超えた値であることを特徴とする請求項15から請求項17の何れかに記載の省電力装置。
【請求項19】
前記閾値は、前記閾値設定手段により異なる2つ以上の値に設定され、
前記制御手段は、前記判定手段で各閾値に達したと判定される毎に、前記第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度および前記第2の消費態様の段階の少なくとも一方を変更するように制御することを特徴とする請求項15から請求項18の何れかに記載の省電力装置。
【請求項20】
前記動作態様は、制御される装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項15から請求項19の何れかに記載の省電力装置。
【請求項21】
前記動作態様の消費電力量は予め測定され、
前記記憶手段は、それらの消費電力量を各動作態様に対応させて格納することを特徴とする請求項15から請求項20の何れかに記載の省電力装置。
【請求項22】
前記動作態様によって動作される毎に消費電力量を計測する計測手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記計測手段によって計測された消費電力量を順次格納することを特徴とする請求項15から請求項20の何れかに記載の省電力装置。
【請求項23】
前記制御手段は、
前記判定手段によって消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、制御される装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作できないように制御することを特徴する請求項15から請求項22の何れかに記載の省電力装置。
【請求項24】
前記許容消費電力量は、使用者毎に設定されることを特徴とする請求項15から請求項23の何れかに記載の省電力装置。
【請求項25】
前記設定手段で入力される管理期間は、使用者毎に設定されることを特徴とする請求項15から請求項24の何れかに記載の省電力装置。
【請求項26】
前記使用者毎に、前記管理期間、前記管理期間中の許容消費電力量、前記管理期間内の累積消費電力量を記録する記録手段をさらに備えることを特徴とする請求項24または請求項25の何れかに記載の省電力装置。
【請求項27】
前記使用者を認証する認証手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記認証手段で認証された使用者についてのみ前記許容消費電力量内で、制御される装置が備える1または2以上の機能と、各機能を設定する設定態様と、前記各機能と各設定態様との組合せの少なくとも一つを動作させるように制御することを特徴とする請求項24から請求項26の何れかに記載の省電力装置。
【請求項28】
動作態様の消費電力量を第1の消費態様から該第1の消費態様より少ない第2の消費態様に変更する変更過程と、
動作態様毎に計測される消費電力量を記憶する記憶過程と、
予め設定される管理期間内において前記動作態様で動作する毎に、当該動作に要した消費電力量を累計する累計過程と、
該累計手段で累計した消費電力量が、予め設定された閾値に達したか否かを判定する判定過程と、
該判定過程で消費電力量が前記閾値に達したと判定された場合に、前記変更過程による第1の消費態様から第2の消費態様への移行頻度を変更するように制御する制御過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする省電力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−211712(P2008−211712A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48520(P2007−48520)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】