説明

画像形成装置

【課題】ヒータ制御部による定着ヒータの位相角点灯制御に拘らず電源部への入力電流の増大を容易に抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】交流電源1から電力供給を受け、定着ヒータ3のオンオフ制御を行うヒータ制御部4及びヒータ3を除く1又は2以上の部分へ所定電力を供給する電源部5とを備えており、制御部4は、ヒータ3のオン制御を位相角制御で行い、電源部5はアクティブフィルタ回路51を含んでおり、フィルタ回路51は、ヒータ位相制御角に基づいて電源部5への入力電流についての力率を、電源部5への入力電流を抑制する方向に補正する回路である画像形成装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置、特に、トナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させることができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子化が進むにつれて各種オフィスでOA機器が増加し、それに伴い一つの電源コンセントにOA機器や部屋の照明器具など複数の機器を接続する状態が増加しつつある。
【0003】
また、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置であって、トナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させることができる画像形成装置においては、定着回転体のウォームアップ時間短縮が要求され、そのため定着ヒーターの定格電力を大きくすることが一般的に行われている。
【0004】
しかし、一つの交流電源(例えば一つの交流電源コンセント)にOA機器や部屋の照明器具など複数の機器を接続する状態の増加と、定着ヒータの定格電力の増加によって、定着ヒータ点灯時に交流電源において急激な電流変化、これによる急激な電圧降下が生じ、また定着ヒータ消灯時に交流電源において急激な電流変化、これによる急激な電圧上昇が生じ、このような電圧の変動により同一交流電源に接続されている他の機器の誤動作が生じたり、照明器具(例えば蛍光灯)が接続されている場合には該照明器具の点灯不良(例えば蛍光灯のチラツキ現象)が増加してきている。
【0005】
一方、定着回転体温度をトナー像定着に適する温度へ向け制御するための通常の温度調整制御では、定着ヒータ電力はそれほど大きいものは要求されない。
そこで、定着回転体の温調制御では、定着ヒータ点灯制御を位相制御(ヒータ点灯位相角の制御)により行い、それによりヒータ消費電力を低減させることが提案され、実用化されてきている。
【0006】
ところが、定着ヒータ点灯制御を位相制御により行うと、ヒータ制御回路に流れる電流について力率が低下する。そして、画像形成装置は通常、定着ヒータ以外にも電力供給が要求される部分があり、そのような部分のうち1又は2以上へ所定電力を供給するための電源部(AC/DCコンバータ)が設けられており、その電源部(AC/DCコンバータ)は前記定着ヒータへ電力供給する交流電源と同じ電源(一般的には電源コンセント)から電力供給を受けるようになっていることが多い。
【0007】
そのような場合、ヒータ制御回路に流れる電流について力率が低下する結果、電源コンセント及び電源コードに流れる電流が増大してしまう。そうなると、ブレーカが落ちたり、電源コードが発熱するという事態が発生する。
【0008】
この点、特開平11−178209号公報には、電源部への入力電流とヒータへの入力電流の合成電流を変流器で検出し、該検出される合成電流を電圧位相と同相の正弦波化することで、ヒータ位相制御時の力率を改善することが記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−178209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし電源部電流とヒータ電流との合成電流を電圧位相と同相の正弦波とするヒータ位相制御時の力率改善方法では、合成入力交流電流検出のための変流器が必要であり、且つ、電源部への入力電流波形がトライアック等のスイッチング素子によるオン/オフにより不連続となるので力率制御が不安定となる。
【0011】
そこで本発明は、トナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させることができる画像形成装置にして、交流電源(例えば交流電源コンセント)から電力供給を受け、前記定着ヒータのオンオフ制御により前記定着回転体の温度を前記トナー像定着に適する温度へ向け温度調整するヒータ制御部と、同じ交流電源から電力供給を受け、前記定着ヒータを除く電力供給対象部分の1又は2以上へ所定電力を供給するための電源部とを備えており、該ヒータ制御部は、前記定着ヒータのオン制御を位相角制御で行う制御部である画像形成装置において、該ヒータ制御部による定着ヒータの位相角点灯制御に拘らず該電源部への入力電流の増大を容易に抑制できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記課題を解決するため、次の画像形成装置を提供する。すなわち、
トナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させることができる画像形成装置であり、
交流電源から電力供給を受け、前記定着ヒータのオンオフ制御により前記定着回転体の温度を前記トナー像定着に適する温度へ向け温度調整するヒータ制御部と、
前記交流電源から電力供給を受け、前記定着ヒータを除く電力供給対象部分の1又は2以上へ所定電力を供給するための電源部とを備えており、
前記ヒータ制御部は、前記定着ヒータのオン制御を位相角制御で行う制御部であり、
前記電源部はアクティブフィルタ回路を含んでおり、
前記アクティブフィルタ回路は、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角に基づいて該電源部への入力電流についての力率(換言すれば、アクティブフィルタ回路での位相角)を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正する回路である画像形成装置である。
【0013】
本発明に係る画像形成装置によると、前記電源部にアクティブフィルタ回路を含め、該アクティブフィルタ回路は、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角に基づいて該電源部への入力電流についての力率を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正する回路としたから、該ヒータ制御部による定着ヒータの位相角点灯制御に拘らず該電源部への入力電流の増大を容易に抑制できる。
【0014】
前記アクティブフィルタ回路は、代表例として、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角に基づいて前記電源部への入力電流についての力率を、該定着ヒータへの入力電流と該電源部への入力電流との合成入力電流についての力率が1(100%)となるように補正するもの(力率が丁度1になるように補正するもののほか、力率が実質上1となるとみることができるように補正するものも含む)を挙げることができる。
【0015】
前記アクティブフィルタ回路による前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角の検出或いは把握に関して言えば、例えば、該アクティブフィルタ回路は、
(1) 前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角を前記電源部への入力電圧と該電源部からの出力電圧とに基づいて把握し、該電源部への入力電圧と該電源部からの出力電圧とに基づいて該電源部への入力電流についての力率を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正するものでもよいし、
(2) 前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角を前記電源部への入力電圧と入力電流とに基づいて把握し、該電源部への入力電圧と入力電流とに基づいて該電源部への入力電流についての力率を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正するものでもよいし、
(3) これらを組み合わせたものでもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によると、トナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させることができる画像形成装置にして、交流電源(例えば交流電源コンセント)から電力供給を受け、前記定着ヒータのオンオフ制御により前記定着回転体の温度を前記トナー像定着に適する温度へ向け温度調整するヒータ制御部と、同じ交流電源から電力供給を受け、前記定着ヒータを除く電力供給対象部分の1又は2以上へ所定電力を供給するための電源部とを備えており、該ヒータ制御部は、前記定着ヒータのオン制御を位相角制御で行う制御部である画像形成装置において、該ヒータ制御部による定着ヒータの位相角点灯制御に拘らず該電源部への入力電流の増大を容易に抑制できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置例の正面図である。
図1に示す画像形成装置は、画像読取装置Sを備えた複写機であるが、ファクシミリ機の機能及びコンピュータ等から供給される画像情報に応じてプリントするプリンタ機能も併せ持つ。
【0018】
図1の画像形成装置Aは、画像形成部B及びその下の記録媒体収容カセットC1〜C4を有する部分CSを含んでいる。画像読取装置Sは画像形成部Bの上方に位置している。画像読取装置Sには原稿自動搬送装置ADF及び操作パネルPAが搭載されている。
【0019】
搬送装置ADFは開閉可能で、画像読取装置Sの原稿載置台であるガラス板g1上に配置される原稿を覆うカバーを兼ねている。
操作パネルPAには、複写画像形成やファクシミリ送信等の指示を行うスタートキー、画像形成枚数等を設定するテンキー等のキー群Ke等のほか、液晶表示部18及びスピーカ19も搭載されている。液晶表示部18は、ユーザによるキー操作を反映表示したり、ユーザへの指示メニューを表示したり、画像形成部B等からの情報を表示する等に用いられる。
【0020】
画像読取装置Sは原稿台ガラスg1上に静止配置される原稿の画像を光学的に読み取ることができるほか、原稿自動搬送装置ADFにてその原稿載置トレイa1から搬送され、原稿排出トレイa2へ排出され、その途中で画像読取装置Sの原稿流し撮り用ガラス板g2に沿って移動する原稿の画像を光学的に読み取ることもできる。
【0021】
画像読取装置Sで読み取られた画像のデータは画像形成部Bへ送られ、そこでの画像形成に供されるか、或いはフアクシミリ送信に供される。図示省略のコンピュータ等から送信されてくる画像データは画像形成部Bへ送られ、そこでの画像形成に供される。
【0022】
画像形成部Bは電子写真方式により記録媒体上にトナー画像を形成するものである。本例の画像形成部Bは、イエロー画像形成ユニットY、マゼンタ画像形成ユニットM、シアン画像形成ユニットC及びブラック画像形成ユニットKを中間転写ベルトbに沿って配列し、各画像形成ユニットにより形成されるトナー像を中間転写ベルトbに1次転写し、ベルトb上に重ねて1次転写された多重トナー像をいずれかのカセットから供給される記録媒体(記録紙等)Pに2次転写し、定着装置Fで定着させてカラー画像を得ることができるタンデム型カラー画像形成部である。
【0023】
画像形成部Bはモノクロ画像を形成することもできるし、いずれか二つ又は三つの画像形成ユニットを用いて画像形成することもできる。
画像形成部Bは他のタイプのカラー画像形成部でもよいし、モノクロ画像形成部でもよい。
【0024】
定着装置Fは、定着ヒータとしてハロゲンランプヒータ3を内蔵した定着ローラ(加熱ローラ)f1と、これに対向する加圧ローラf2とを有し、定着ローラf1はハロゲンランプヒータ3の点灯によりトナー像定着温度へ向け加熱される。定着ローラf1の温度は温度検出器(本例ではサーミスタ)2で検出される。定着ローラf1の温調制御については後述する。
【0025】
画像形成部Bでトナー像が2次転写された記録媒体Pは定着ローラf1と加圧ローラf2の間に通されることでトナー像が加熱加圧下に定着され、その後排出ローラRで排出トレイT上に排出される。
【0026】
図2は図1の画像形成装置の制御回路の一部、特にハロゲンランプヒータ3の点灯消灯に関係するヒータ制御部4及びハロゲンランプヒータ3以外の電力供給が要求される画像形成装置部分への電力供給のための電源部5(図2中、略ヒータ制御部以外の部分)を主に示す図である。
【0027】
図2の制御回路は画像形成装置全体を制御する制御部Contを含んでいる。
制御部Contは、CPU(中央演算処理装置)(図示省略)、プログラム等を記憶させたROM及びCPUとデータのやりとりを行うRAMを含むメモリ(図示省略)、外部機器等とCPUとを仲介する入出力インターフエース(図示省略)等を含んでいる。
【0028】
図2の制御回路によると、交流電源(AC電源)(例えば交流電源コンセント)1から供給される交流電力をハロゲンランプヒータ3へ供給できるようになっている。ランプヒータ3が点灯すると定着ローラf1は昇温するが、定着ローラf1の温度が温度検知用のサーミスタ2で検出され、その検出温度情報が制御部Contへ入力される。制御部Contは、定着ローラf1の温度が設定した一定温度(トナー像を記録媒体へ定着させるための温度)となるように、該検出温度情報に基づいて回路中のトライアックTRをオンオフさせ、定着ローラf1の温調制御を行える。これらヒータ3に係るサーミスタ2、トライアックTR、制御部Contにおけるヒータオンオフ制御に関係する部分はヒータ制御部4を構成している。
【0029】
図2の回路についてさらに説明する。
図2において電源部5は、交流電源1から印加される交流電圧Vacを整流ダイオードD1〜D4にて全波整流したものを、リアクトルL1、ダイオードD5、MOS形電界効果トランジスタQ1及びコンデンサC1からなる回路部分を含むアクティブフィルタ回路51を介して昇圧する。
【0030】
さらにこの直流電圧をトランスT1、MOS形電界効果トランジスタQ2、コンデンサC2及びダイオードD6を含むDC−DCコンバータから安定化された電圧(24V)として出力する。コンバータからの出力はヒータ3以外の画像形成装置Aにおける電力供給が要求される1又は2以上の部分の駆動に供される。
【0031】
ヒータ制御部4は、交流電源1をトライアックTRを介してハロゲンランプヒータ3に接続したもので、トライアックTRは、サーミスタ2からの検出温度情報に基づく制御部Contからの信号TRon*により任意の位相制御角による位相制御にてヒータ3を点灯制御し、それにより定着ローラf1の温度をトナー像の記録媒体Sへの定着に適する温度へ向け制御する。
【0032】
なお、制御部Contは電源部5(アクティブフィルタ回路51)の一部も構成している。交流電源1はヒータ制御部4及び電源部5のアクティブフィルタ回路51に対し共通のものである。
【0033】
アクティブフィルタ回路51は、ヒータ制御部4によるヒータ3の位相制御角に基づいて電源部5への入力電流についての力率、換言すれば位相角を、該電源部5への入力電流を抑制する方向に補正(位相を進める補正)する回路である。
これについてさらに説明する。
【0034】
ダイオードD1〜D4にて整流された交流電圧を抵抗R1、R2で分圧して得られる交流電圧位相信号Vacphを制御部Contのアナログポートに入力する。
このとき、ヒータ3の位相制御を行うことにより力率が図3のように変化することが知られている。
【0035】
このため、ヒータ3への入力電流は電源1からのAC入力電圧に対して位相制御角によりφ1だけ遅れることとなりヒータ3への有効電流は減少し、無効電流が増えることとなる。このとき、電源部5のみの力率を改善してもヒータ3電流と電源部5電流との合成電流は増大してしまう。
【0036】
そこで本例では、ヒータ3の位相制御角とヒータ電流により、合成電流Isumの力率が1になるように、電源部5の入力力率を次のように変化させる。
図4に示すように、φ1遅れたヒータ電流の力率を相殺するために、電源部入力電流の力率を位相角φ2だけ進めてやることにより、合成電流Isumの位相をAC電源1からの入力電流と一致させることにより合成入力力率を1とさせる。
【0037】
これは、ヒータ入力電流Ih、ヒータ3についての位相遅れφ1と電源部5への入力電流Ips、電源部5における進相φ2とにより下記関係式が成り立つように電源部5での力率cosφ2を設定することにより実現できる。
【0038】
Ih×sinφ1=Ips×sinφ2
sinφ2=(Ih/Ips)×sinφ1
力率cosφ2=√(1−sin2 φ2)
=√〔1 −(Ih/Ips)2 ×sin2 φ1〕
【0039】
ここで電源部5の入力有効電流をIpsact とすると、
Ips=Ipsact /cosφ2なので
Ips=√〔1−(Ih×cosφ2/Ipsact )2 ×sin2 φ1〕となる。
【0040】
また、電源部入力電流は、電源部5の負荷状況により推定できる。
これは、電源部5の出力電力をWo、入力電圧をVin、電源部効率をηとすると
電源部入力有効電流Ipsact は
Ipsact =Wo/η/Vinとなることから負荷電力、入力電圧、電源部効率は既知なので、これからφ2は計算できる。
【0041】
このように位相制御角により、合成電流の力率が1となるように上記計算により算出したφ2だけ、交流電圧位相信号Vacphにより検知した位相から進ませた交流電流波形Vac*を制御部Contから出力させる。
【0042】
また、アクティブフィルタ回路51からの出力直流電圧を抵抗R4、R5にて分圧して得られる信号Vdcfbを直流電圧指令Vdc*と比較しその差をエラーアンプA1にて増幅したものを、前記交流電流波形Vac*と乗算器MULにて掛け合せ重み付けしたものを直流電流指令Idc *とする。
【0043】
このIdc *と直流電流検出抵抗R3により検出した電流Idcfbとの差をエラーアンプA2にて増幅した出力IdcaoをPWM(パルス幅変調)のキャリア周波数となる三角波発振器OSC1からの出力とをコンパレータ(比較器)CMP1にて比較した出力Q1on*にてアクティブフィルタ回路51のMOS形電界効果トランジスタQ1のゲート信号としてトランジスタQ1ををオンオフし、コンデンサC1の電圧を昇圧しながら、入力電流を所望位相進みを持った正弦波とさせる。
【0044】
このときの入力電圧と電源部入力電流波形を図5に示す。
これらにより、ヒータ3と電源部5の合成入力電流の力率が1となり合成入力電流の最小化が可能となる。
【0045】
このように、画像形成装置Aでは、アクティブフィルタ回路51の力率を変更補正することにより、入力電流も連続の正弦波となり安定した制御を行うことが可能となり、入力力率を改善した画像形成装置となっている。
そして、ヒータ位相制御角により電源部5のアクティブフィルタ回路51の力率を補正するという構成でありながら、合成入力電流を減らし、配線材の定格ダウン及び配線による電圧降下の低減が可能となっている。
【0046】
以上説明した画像形成装置Aはタンデム型のカラー画像形成装置であったが、本発明は他のタイプのカラー画像形成装置(例えば、所謂4サイクル型カラー画像形成装置)やモノクロ画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明はトナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させる画像形成装置、特に、定着ヒータの点灯制御を位相角制御による位相制御で行う画像形成装置であって、ヒータ制御部による定着ヒータの位相角点灯制御に拘らず電源部への入力電流の増大を容易に抑制できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る画像装置例を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御回路の一部を示す図である。
【図3】ヒータの位相制御により力率が変化する様子を示す図である。
【図4】位相遅れしたヒータ電流の力率を相殺するために、電源部入力電流の力率を進相により補正することで、合成電流位相を交流電源からの入力電流と一致させて合成入力力率を1とする様子を示す図である。
【図5】入力電圧と電源部入力電流波形を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
A 画像形成装置
S 画像読取装置
g1、g2 ガラス板
C1〜C4 記録媒体収容カセット
CS カセットのある部分
ADF 原稿自動搬送装置
a1 原稿載置トレイ
a2 原稿排出トレイ
PA 操作パネル
Ke キー群
B 画像形成部
Y イエロー画像形成ユニット
M マゼンタ画像形成ユニット
C シアン画像形成ユニット
K ブラック画像形成ユニット
b 中間転写ベルト
F 定着装置
f1 定着ローラ(加熱ローラ)
f2 加圧ローラ
R 排出ローラ
T 排出トレイ
P 記録媒体

1 交流電源
2 サーミスタ
3 ハロゲンランプヒータ 4 ヒータ制御部
5 電源部
51 アクティブフィルタ回路
Cont 制御部
TR トライアック
D1〜D6 ダイオード
R1〜R5 抵抗
L1 リアクトル
C1、C2 コンデンサ
Q1、Q2 MOS形電界効果トランジスタ
T1 トランス
A1、A2 増幅器(アンプ)
MUL 乗算器
CMP1 比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成して記録媒体に転写し、該記録媒体を定着ヒータにて加熱される定着回転体と該定着回転体に対向する加圧回転体との間に通過させることで該トナー像を該記録媒体に加熱加圧下に定着させることができる画像形成装置であり、
交流電源から電力供給を受け、前記定着ヒータのオンオフ制御により前記定着回転体の温度を前記トナー像定着に適する温度へ向け温度調整するヒータ制御部と、
前記交流電源から電力供給を受け、前記定着ヒータを除く電力供給対象部分の1又は2以上へ所定電力を供給するための電源部とを備えており、
前記ヒータ制御部は、前記定着ヒータのオン制御を位相角制御で行う制御部であり、
前記電源部はアクティブフィルタ回路を含んでおり、
前記アクティブフィルタ回路は、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角に基づいて該電源部への入力電流についての力率を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正する回路であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記アクティブフィルタ回路は、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角に基づいて前記電源部への入力電流についての力率を、該定着ヒータへの入力電流と該電源部への入力電流との合成入力電流についての力率が1となるように補正する回路である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アクティブフィルタ回路は、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角を前記電源部への入力電圧と該電源部からの出力電圧とに基づいて把握し、該電源部への入力電圧と該電源部からの出力電圧とに基づいて該電源部への入力電流についての力率を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記アクティブフィルタ回路は、前記ヒータ制御部による前記定着ヒータの位相制御角を前記電源部への入力電圧と入力電流とに基づいて把握し、該電源部への入力電圧と入力電流とに基づいて該電源部への入力電流についての力率を、該電源部への入力電流を抑制する方向に補正する請求項1、2又は3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−299078(P2008−299078A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145035(P2007−145035)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】