説明

画像表示方法及び画像表示装置

【課題】隣接する行間で画素の配置がずらされている画素配列を有する画像表示装置において、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、文字画像のジャギーや色縁等の発生を抑制することが可能な画像表示方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る画像表示方法は、隣接する行で画素の位置がずらされている画素配列の画像表示装置に自然画像データ及び文字画像データを合成して画像を表示する表示方法であって、文字画像データに輝度補正処理を行うステップと、輝度補正処理を行った文字画像データと、自然画像データとを合成するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示方法及び画像表示装置に関し、特に、隣接する行間で画素の配置がずれている表示パネルにおいて、自然画像と文字画像とを合成して表示するための画像表示方法及びこれを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デルタ配列の画像表示装置は、1行(ライン)ごとに画素を1.5画素ピッチ分ずらした構成を有している。従って、R、G、Bいずれの画素においても、それと異なる色の画素に囲まれるので、混色が自然となり、自然画の表示に適している。また、デルタ配列のカラーフィルタは、画素数が少ない条件下でも比較的高い解像度を実現できるため、デジタルカメラやデジタルビデオ等の小型の画像表示装置において用いられている。
【0003】
しかしながら、デルタ配列のカラーフィルタを用いた表示装置において、文字画像を表示すると、隣接する行間で画素の配置がずれていることに起因して、文字の縁の部分にギザギザ(ジャギー)が発生するという問題がある。また、黒い文字の線に沿って色縁が発生する問題もある。このようなジャギーや色縁に関する問題は、例えば、デジタルカメラなどのような、自然画像の表示と同時に文字画像の表示を行う画像表示装置において特に発生しやすい。
【0004】
そこで、デルタ配列における文字画像の表示品位を改善するため、ストライプ配列の画素電極に対応した画像データから好適なデルタ配列用の画像データを作成する画像処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【非特許文献1】特開2006−221125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像処理方法では、ストライプ配列用画像データから作成されたデルタ配列用画像データに対し、一律にガンマ処理を行っている。このため、文字画像が表示される部分においては、文字の境界に発生するジャギーや、色縁を軽減させることができるとともに、文字をくっきり表示させることができる。しかしながら、自然画像が表示される部分では、ガンマ処理の影響で、画像全体の色味が変化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情を背景としてなされたものであり、本発明の目的は、隣接する行間で画素の配置がずらされている画素配列を有する画像表示装置に自然画像データと文字画像データとを合成して画像を表示させる場合に、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、ジャギーや色縁等の発生を抑制することが可能な画像表示方法及び画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る画像表示方法は、隣接する行で画素の位置がずらされている画素配列を有する画像表示装置に自然画像データ及び文字画像データを合成して画像表示する画像表示方法であって、前記文字画像データに輝度補正処理を行うステップと、前記自然画像データに、前記輝度補正処理を行った文字画像データを合成するステップとを有する。これにより、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、文字画像のジャギーや色縁等の発生を抑制することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、前記輝度補正処理を行うステップの前に、複数色に対応したサブピクセル画像データのうち、同一行で隣接する複数のサブピクセル画像データを保持し、前記保持されたサブピクセル画像データのうち複数の隣接する同一色のサブピクセル画像データに基づいて平均化処理を行うことにより、複数色のそれぞれにおいて一の画素データを生成して前記自然画像データ及び前記文字画像データをそれぞれ生成するステップを有する。これにより、簡易な方法により、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、文字画像のジャギーや色縁等の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明の第3の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、前記平均化処理は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第1マトリクスフィルタを適用する演算処理を含む。これにより、簡便に表示特性を向上させることができる。
【0010】
本発明の第4の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、xが0.3<x<0.6である前記第1マトリクスフィルタを適用する演算処理を行う。これにより、さらに表示特性を向上させることができる。
【0011】
本発明の第5の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、前記輝度補正処理は、ガンマ処理である。これにより、簡便に表示特性を向上させることができる。
【0012】
本発明の第6の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、前記平均化処理は、隣接する第1の行と第2の行とで異なる演算処理である。これにより、さらに高品位の表示を行うことができる。
【0013】
本発明の第7の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、前記第1の行で行う演算処理は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第2のマトリクスフィルタを適用し、前記第2の行で行う演算処理は、(1/2−y 1/2−y)の演算係数を有する第3のマトリクスフィルタを適用する。これにより、さらに表示特性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第8の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、xが0.2<x<0.6である前記第2のマトリクスフィルタと、yが0.2<y<0.6である前記第3のマトリクスフィルタを適用する演算処理を行う。これにより、さらに表示特性を向上させることが可能である。
【0015】
本発明の第9の態様に係る画像表示方法は、上記の画像表示方法において、前記表示素子における配列は、デルタ配列である。本発明は、このような場合に特に有効である。
【0016】
本発明の第10の態様に係る画像表示装置は、隣接する行で画素がずらされている画素配列の表示素子と、前記文字画像データに輝度補正処理を行う輝度補正処理部と、前記自然画像データに、前記輝度補正処理を行った文字画像データを合成する合成処理部とを有するものである。これにより、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、文字画像のジャギーや色縁等の発生を抑制することができる。
【0017】
本発明の第11の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、複数色に対応したサブピクセル画像データのうち同一行で隣接する複数の画像データを保持するメモリと、前記メモリに保持されたサブピクセル画像データのうち複数の隣接する同一色の画像データに基づいて、複数色のそれぞれにおいて一の画素データを生成することにより前記文字画像データ及び前記自然画像データを生成する演算処理部をさらに有するものである。これにより、簡易な方法により、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、文字画像のジャギーや色縁等の発生を抑制することができる。
【0018】
本発明の第12の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、前記演算処理部は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第1マトリクスフィルタを備えるものである。これにより、簡便に表示特性を向上させることができる。
【0019】
本発明の第13の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、前記第1マトリクスフィルタは、xが0.3<x<0.6であるものである。これにより、さらに表示特性を向上させることができる。
【0020】
本発明の第14の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、前記輝度補正処理部は、ガンマ処理を行うものである。これにより、簡便に表示特性を向上させることができる。
【0021】
本発明の第15の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、前記演算処理部は、前記表示素子の隣接する第1の行と第2の行とで異なる演算処理を行ものである。これにより、さらに高品位の表示を行うことができる。
【0022】
本発明の第16の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、前記第1の行で行う演算処理は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第2のマトリクスフィルタを適用し、前記第2の行で行う演算処理は、(1/2−y 1/2−y)の演算係数を有する第3のマトリクスフィルタを適用するものである。これにより、さらに表示特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の第17の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、xが0.2<x<0.6である前記第2のマトリクスフィルタと、yが0.2<y<0.6である前記第3のマトリクスフィルタを適用する演算処理を行うものである。これにより、さらに表示特性を向上させることができる。
【0024】
本発明の第18の態様に係る画像表示装置は、上記の画像表示装置において、前記表示素子における画素配列は、デルタ配列であるものである。本発明は、このような場合に特に有効である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、隣接する行間で画素の配置がずれている配列を有する画像表示装置に自然画像データと文字画像データとを合成して画像を表示させる場合に、自然画像の色味の変化を抑制しつつ、ジャギーや色縁等の発生を抑制することが可能な画像表示方法及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を適用可能な実施の形態について説明する。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
本発明の実施の形態に係る画像表示装置について、図1及び図2を参照して説明する。ここでは、画像表示装置としてアクティブマトリクス型の液晶表示装置を例として説明する。図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置100のブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる液晶表示装置100は、液晶表示素子101と、自然画像用メモリ102、文字画像用メモリ103、MPU104、タイミングコントローラ105などを有している。本実施形態では、デルタ配列の液晶表示素子101を用いた例を示している。本発明においては、文字画像のデルタ配列用画像データに対して、輝度補正処理を行う。ここでは、ガンマ処理を行う場合について説明する。図2は、RGBカラーフィルタの配列及び画素電極、配線を説明するための模式図である。
【0028】
液晶表示素子101は、文字画像データと自然画像データとを合成して画像を表示する。液晶表示素子101は、複数の画素から構成される表示領域を有する。液晶表示素子101は、TFT(Thin Film Transistor)アレイ基板(不図示)と対向配置される対向基板(不図示)との間に液晶を挟持した構成を有している。TFTアレイ基板には、水平(X)方向にゲート線(走査線)、垂直(Y)方向にソース線(信号線)がそれぞれ形成されており、ゲート線とソース線の交差点付近にはTFTが設けられている。また、ゲート線とソース線との間にマトリクス状に形成された複数の画素電極を有している。TFTのゲートがゲート線に、ソースがソース線に、ドレインが画素電極に、それぞれ接続される。一方、対向基板上にはコモン電極及びR(赤)、G(緑)B(青)のカラーフィルタが形成されている。コモン電極は、実際には画素電極と対向するように対向基板の略全面に形成される透明電極である。
【0029】
本実施例において、対向基板上に形成されたカラーフィルタは、従来から知られているデルタ配列のものを用いる。図2に示すように、RGB3色のカラーフィルタは、表示領域を形成している各画素電極に対応してそれぞれ配置されている。すなわち、RGBの3色のカラーフィルタが、この順番でX方向に周期的に配置された第1のカラーフィルタ列L1(奇数行目のカラーフィルタ列)と、このカラーフィルタ列L1にY方向で隣接し、第1のカラーフィルタ列L1と同じようにRGB3色のカラーフィルタがこの順番でX方向に周期的に配置された第2のカラーフィルタ列(偶数行目のカラーフィルタ列)が形成されている。また、第1のカラーフィルタ列L1と第2のカラーフィルタ列とは、1.5画素分X方向にずれて配置されている。例えば、奇数行目のカラーフィルタ列L1の隣接するRとGの画素の間に、偶数行目のBの画素が配置される。したがって、R、G、Bいずれの画素においても、それと異なる色の画素に囲まれるので、混色が自然となる。
【0030】
また、アレイ基板上には、上記のように構成したRGBのカラーフィルタに対応する位置に、画素電極が形成されている。すなわち、第1のカラーフィルタ列L1に対応する第1の画素電極列と、第2のカラーフィルタ列L2に対応する第2の画素電極列とは1.5画素分X方向にずれるように配置される。また、第2の画素電極列に−Y方向において隣接する第3の画素電極列は、第2の画素電極列を1.5画素分−X方向にずれるように配置されている。すなわち、第3の画素電極列は、第1の画素電極列を−Y方向に平行移動したような構成となっている。したがって、表示領域を形成する画素電極は、奇数行と偶数行とで左右に1.5画素分ずれている状態となっている。
【0031】
各ソース線SL1、SL2・・・は、クランク状に曲折しながらY方向に伸びている。そして、同一のソース線に対しては、同一色のカラーフィルタに対する画素電極のみが接続するようになっている。したがって、各ソース線それぞれは、RGBのいずれか1色の表示信号を供給するように構成されている。なお、本実施例では、クランク状に屈折しながらY方向に延設されたソース線を用いる構成としたが、これに限定されない。例えば、曲線状に蛇行しながらY方向に延設されているものなどを用いることができる。
【0032】
自然画像用メモリ102には、風景、人物画等の自然画像データが記憶されている。一方、文字画像用メモリ103には、文字、線画等の文字画像データが記憶されている。なお、自然画像データ及び文字画像データは、特開2006−221125号公報に示す方法により、ストライプ配列用画像データから、デルタ配列用画像データに変換されている。例えば、本実施の形態に係る液晶表示装置100は、図3に示すデータ変換処理部110を例えば、MPU104に備えている。
【0033】
図3は、本実施の形態に係るデータ変換処理部110を説明するためのブロック図である。データ変換処理部110は、ストライプ配列用画像データが入力される入力処理部111、入力されるストライプ配列用画像データをデルタ配列用画像データに変換する演算処理を行う演算処理部112、3ピクセル分の画像データを保持しておくピクセルメモリ113、演算処理後のデルタ配列用画像データ信号を出力する出力処理部114などを有している。
【0034】
入力処理部111は、演算処理部112に入力されるストライプ配列用画像データを転送する。転送された画像データのうち隣接する3ピクセル分のストライプ配列用画像データをピクセルメモリ113で保持する。すなわち、1度に9サブピクセル分の画像データを保持する。その後、演算処理部112でそれぞれ3サブピクセル分のR(赤)、G(緑)、B(青)サブピクセル画像データごとに演算処理(平均化処理)される。これにより、ストライプ配列用画像データに基づいてデルタ配列用画像データが生成される。そして、演算処理されたデルタ配列用画像データは、順次、出力処理部114に転送される。この演算処理された自然画像、文字画像のデルタ配列用画像データは、自然画像用メモリ103、文字画像用メモリ103にそれぞれ記憶される。また、文字画像用メモリ103には、文字画像の表示位置及びサイズが記憶される。
【0035】
演算処理部112で用いられる平滑化フィルタは、1×3のマトリクス構成とする。これによって、演算処理のために一時的に保持する画像データの量は3ピクセル分となるため、回路規模を小さくすることができる。したがって、デジタルカメラのような小型の画像表示装置においても画像処理のための回路を搭載することが可能である。本実施の形態では、演算処理部112で用いられる平滑化フィルタとして、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数の1×3のマトリクスフィルタを用いる。本実施の形態で用いるマトリクスフィルタにおいて、演算係数xは0.3<x<0.6の範囲であることが好ましい。このような範囲とすることによって、文字画像の表示を行ったときの、文字の境界に発生するジャギーや色縁を軽減させることができる。
【0036】
なお、ストライプ配列用画像データからデルタ配列用画像データを作成する方法としては、奇数行目と偶数行目とで異なる演算処理を行ってもよい。すなわち、奇数行では3ピクセル分、偶数行では4ピクセル分の画像データを用いて、演算処理を行う。従って、ピクセルメモリ113では、順次隣接する3又は4ピクセル分のストライプ配列用画像データを保持する。保持したストライプ配列用画像データのうち、同一色のストライプ画像データを用いて平均化処理を行い、自然画像及び文字画像のデルタ配列用画像データをそれぞれ生成する。
【0037】
また、この場合、演算処理部112で用いられる平滑化フィルタとして、1×3のマトリクスフィルタと1×4のマトリクスフィルタとを用いる。例えば、奇数行の平均化処理を行う場合、ピクセルメモリ113では、3ピクセル分のストライプ配列用画像データを保持し、1×3のマトリクスフィルタを用いて平均化処理を行う。一方、偶数行目の平均化処理を行う場合、ピクセルメモリ113では、4画素分のストライプ配列用画像データを保持し、1×4のマトリクスフィルタを用いて平均化処理を行う。
【0038】
奇数行目で用いる1×3マトリクスの平滑化フィルタとしては、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数のものを用いる。また、偶数行目で用いる1×4の平滑化フィルタとしては、(1/2−y 1/2−y)の演算係数のものを用いることができる。2つの平滑化フィルタの演算係数は、xが0.2<x<0.6、yが0.2<y<0.6の範囲であることが好ましい。このような範囲とすることによって、文字画像の表示を行ったときの、文字の境界に発生するジャギーや色縁の問題をさらに軽減させることができる。
【0039】
自然画像用メモリ102及び文字画像用メモリ103にそれぞれ記憶されたデルタ配列用画像データは、MPU104に出力される。MPU104は、自然画像及び文字画像のデルタ配列用画像データをタイミングコントローラ105に伝送する。また、MPU104は、文字画像のOn/Offを制御するOn/Off制御信号、文字画像を選択をする選択信号、及び文字画像の表示位置を決定する文字画像場所設定信号をタイミングコントローラ105に出力する。図5に、MPUから出力される各種信号の一部を示す。図5において、DCLKはクロック信号であり、HDは水平同期信号であり、DENAはイネーブル信号であり、DATAは自然画像データである。図5に示すように、自然画像データの表示に不必要な帰線期間内に、文字画像のOn/Off制御信号、選択信号、文字画像場所設定信号が埋め込まれる。
【0040】
タイミングコントローラ105は、文字画像データのみに輝度補正処理であるガンマ処理を行う。そして、タイミングコントローラ105は、ガンマ処理がなされた文字画像データと、自然画像データとを合成する。従って、本実施の形態においては、タイミングコントローラ105が、文字画像データの輝度補正行う輝度補正部であり、ガンマ処理がなされた文字画像データと、自然画像データとを合成処理する合成処理部である。
【0041】
ガンマ処理としては、
out=255(Iin/255)γ
の式で表される一般的なガンマカーブを適用することができる。ここで、Iinは入力信号の階調を示し、Ioutは出力信号の階調を示している。図4に、γ=1.0、γ=2.0、γ=3.0のガンマカーブの一例を示す。階調が0で黒表示を行い、階調が255で白表示を行うノーマリーブラックの液晶表示素子101の場合、γの値を1.0よりも大とすると、図4に示すように、入力信号に対して全体的に輝度が低くなるような出力信号を出力する。すなわち、輝度が低い部分における入力信号を、より輝度が低い出力信号とすることができる。階調が0で黒表示を行い、階調が255で白表示を行う場合、γの値を1.0よりも大とすることによって、黒い文字の表示をくっきりさせることができる。従って、画質の劣化を抑制することができ、さらに良好な表示を行うことが可能である。なお、ガンマカーブとしては、上述したものに限定されず様々な形状のものを用いることができる。一方、自然画像データには、ガンマ処理を行わない。このため、自然画像表示領域については、自然な色味を保ったまま、ジャギー、色縁等の問題を解決することができる。
【0042】
タイミングコントローラ105は、ガンマ処理がなされていない自然画像と、ガンマ処理がなされた文字画像とを合成した表示データを液晶表示素子101に出力する。これにより、液晶表示素子101は、文字画像の表示をくっきりさせるとともに、自然画像は自然な色味を保ったまま、ジャギー、色縁等の問題を解決した、高品位の表示を行うことができる。
【0043】
ここで、図6及び図7を参照して、本実施の形態に係る画像表示方法について説明する。図6は、本実施の形態に係る表示方法を説明するためのフロー図である。また、図7は、自然画像と文字画像との合成方法を説明するための図である。図7(a)は自然画像データを示す図であり、同図(b)は文字画像を示す図であり、同図(c)は自然画像中に文字画像を合成した図である。ここでは、図7(a)に示すように自然画像はL行×N列であり、図7(b)に示すように文字画像はL行×M列であるとする。そして、自然画像のa列目からa+M列目まで文字画像を合成する場合について説明する。ここで、a=3とする。また、図6において、行をy、列をxで示す。
【0044】
図6に示すように、まず、y=1行目から演算を開始する(ステップS1)。そして、演算該当行y=1のときに、演算該当列xがa≦x≦a+Mであるか否かを判断する(ステップS2)。ステップS2においてNOである場合(x≦a、a+M≦x)、自然画像Aが選択される(ステップS3)。具体的には、1列目、2列目では、自然画像A1、A2が選択される。一方、ステップS2においてYESである場合(a≦x≦a+M)、文字画像Bが選択される(ステップS4)。具体的には、3列目では文字画像B1が選択される。
【0045】
そして、選択された文字画像データに、上述のガンマ処理がなされる(ステップS5)。その後、選択した自然画像と、ガンマ処理がなされた文字画像とを合成する(ステップS6)。これにより、y=1行目の合成処理が完了する(ステップS7)。
【0046】
その後、この演算該当行に1行足したものを、新たに演算該当行y=1+1=2行目とする(ステップS8)。そして、この新たな演算該当行y=2行目がL行よりも小さいか否かを判断する(ステップS9)。演算該当行y=2行目がL行よりも小さい場合(ステップS9YES)、さらにステップS2に戻り、演算該当列xがa≦x≦a+Mであるか否かを判断する。そして、上述のステップ2〜8を繰り返す。その後、演算該当行yがL行よりも大きくなった場合、1画面の演算が終了する。
【0047】
このように、隣接する3ピクセルあるいは4ピクセル分の同一色のストライプ配列用のサブピクセル画像データを用いて平均化処理を行い、デルタ配列用画像データを生成するようにすることによって、ジャギーや色縁の問題を軽減することができる。その一方で、デルタ配列用画像データを生成する上で、他の行に含まれるピクセルの画像データは参照していないため、画像ボケの発生を抑制できる。また、文字画像データにガンマ処理を行うことで、文字画像をくっきりさせ、より高品位の表示を行うことができる。さらに、自然画像には、ガンマ処理を行っていないため、自然画像の色味の変化を抑制することができる。
【0048】
なお、データ変換処理部110には、画像処理後の画像データが負の値になった場合などのためにエラー処理部を設けてもよい。例えば、256階調表示が可能である場合、画像処理後のデルタ配列用画像データは0〜255の範囲内の値となっていなければならない。しかし、出力されるデルタ配列用画像データが負の値となる場合も存在する。このような場合、エラー処理部において、0のデルタ配列用画像データを出力するようにする。また、出力されるデルタ配列用画像データが255を超える場合は、すべて255の画像データとすることができる。
【0049】
また、ここでは、説明のためにデルタ配列の液晶パネルを用いる構成としたが、これに限定されない。隣接する2つの行において、RGBのカラーフィルタの画素位置がずれる配置となっていれば、本発明を適用することで表示性能を向上させることができる。また、カラーフィルタの奇数行・偶数行における画素位置のX方向のずれ量は0.5画素分でなくてもよい。また、本発明にかかる画像処理方法は、PDP、有機ELなどさまざまな画像表示装置に利用することが可能である。さらに、上述の例では、タイミングコントローラ105において、輝度補正処理を行ったが、MPU104において文字画像データの輝度補正処理を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態に係る画像表示装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る表示素子の構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るデータ変換処理部の構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係るガンマカーブの例を示す図である。
【図5】実施の形態に係る表示信号の一部を示す図である。
【図6】実施の形態に係る画像表示方法を説明するためのフロー図である。
【図7】実施の形態に係る画像の合成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0051】
100 液晶表示装置
101 液晶表示素子
102 自然画像用メモリ
103 文字画像用メモリ
104 MPU
105 タイミングコントローラ
110 データ変換処理部
111 入力処理部
112 演算処理部
113 ピクセルメモリ
114 出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する行で画素の位置がずらされている画素配列を有する画像表示装置に自然画像データ及び文字画像データを合成して画像表示する画像表示方法であって、
前記文字画像データに輝度補正処理を行うステップと、
前記自然画像データに、前記輝度補正処理を行った文字画像データを合成するステップとを有する画像表示方法。
【請求項2】
前記輝度補正処理を行うステップの前に、複数色に対応したサブピクセル画像データのうち、同一行で隣接する複数のサブピクセル画像データを保持し、前記保持されたサブピクセル画像データのうち複数の隣接する同一色のサブピクセル画像データに基づいて平均化処理を行うことにより、複数色のそれぞれにおいて一の画素データを生成して前記自然画像データ及び前記文字画像データをそれぞれ生成するステップを有する請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項3】
前記平均化処理は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第1マトリクスフィルタを適用する演算処理を含む請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項4】
が0.3<x<0.6である前記第1マトリクスフィルタを適用する演算処理を行う請求項3に記載の画像表示方法。
【請求項5】
前記輝度補正処理は、ガンマ処理である請求項1項に記載の画像表示方法。
【請求項6】
前記平均化処理は、隣接する第1の行と第2の行とで異なる演算処理である請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記第1の行で行う演算処理は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第2のマトリクスフィルタを適用し、
前記第2の行で行う演算処理は、(1/2−y 1/2−y)の演算係数を有する第3のマトリクスフィルタを適用する請求項6に記載の画像表示方法。
【請求項8】
が0.2<x<0.6である前記第2のマトリクスフィルタと、yが0.2<y<0.6である前記第3のマトリクスフィルタを適用する演算処理を行う請求項7に記載の画像表示方法。
【請求項9】
前記表示素子における画素配列は、デルタ配列である請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像表示方法。
【請求項10】
隣接する行で画素がずらされている画素配列の表示素子と、
前記文字画像データに輝度補正処理を行う輝度補正処理部と、
前記自然画像データに、前記輝度補正処理を行った文字画像データを合成する合成処理部とを有する画像表示装置。
【請求項11】
複数色に対応したサブピクセル画像データのうち同一行で隣接する複数の画像データを保持するメモリと、
前記メモリに保持されたサブピクセル画像データのうち複数の隣接する同一色の画像データに基づいて、複数色のそれぞれにおいて一の画素データを生成することにより前記文字画像データ及び前記自然画像データを生成する演算処理部をさらに有する請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記演算処理部は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第1マトリクスフィルタを備える請求項10又は11に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記第1マトリクスフィルタは、xが0.3<x<0.6である請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記輝度補正処理部は、ガンマ処理を行う請求項10項に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記演算処理部は、前記表示素子の隣接する第1の行と第2の行とで異なる演算処理を行う請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記第1の行で行う演算処理は、((1−x)/2 x (1−x)/2)の演算係数を有する第2のマトリクスフィルタを適用し、
前記第2の行で行う演算処理は、(1/2−y 1/2−y)の演算係数を有する第3のマトリクスフィルタを適用する請求項15に記載の画像表示装置。
【請求項17】
が0.2<x<0.6である前記第2のマトリクスフィルタと、yが0.2<y<0.6である前記第3のマトリクスフィルタを適用する演算処理を行う請求項16に記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記表示素子における画素配列は、デルタ配列である請求項10〜18のいずれか1項に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−275933(P2008−275933A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120141(P2007−120141)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】