説明

異常型ミトコンドリアDNA、関連融合転写物およびそのハイブリダイゼーションプローブ

本発明は、癌を予測し、診断しおよび/またはモニタリングするのに有用な新規のミトコンドリア融合転写物および親突然変異化mtDNA分子を提供する。それと相補的なハイブリダイゼーションプローブも、本発明の方法に用いるために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミトコンドリアゲノム解析の分野に関する。一態様では、本発明は、ミトコンドリアゲノム融合転写物およびそれとハイブリダイズするプローブの同定および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(ミトコンドリアゲノム)
ミトコンドリアゲノムは、核酸の小規模ではあるが重要な配列である。ミトコンドリアDNAまたは「mtDNA」は、33億bpという莫大な核ゲノム(ハプロイド)と対比して、16,569核酸塩基対(bp)(Anderson et al., 1981;Andrews et al., 1999)の小ゲノムを含む。その遺伝子補体は、その核細胞メイトより実質的に小さい(0.0005%)。しかしながら、個々の細胞は、特定の細胞機能によって、およそ103〜104個のミトコンドリアを保有する(Singh and Modica-Napolitano 2002)。情報伝達または化学的シグナル伝達は、一般的に、核およびミトコンドリアゲノム間で起こる(Sherratt et al., 1997)。さらに、特定の核構成成分がミトコンドリア配列の維持および安定性に関与する(Croteau et al., 1999)。一旦受精が起きると、卵細胞内のミトコンドリアのクローン拡大のため、所定の個体におけるmtDNAゲノムは全て同一である。しかしながら、突然変異誘発性事象は、体細胞突然変異として反映される配列多様性を誘導し得る。これらの突然変異は、異形成として知られている状態で身体全体の異なる組織中に蓄積し得る。
【0003】
(ミトコンドリアプロテオーム)
約3,000個の核遺伝子がミトコンドリアを構築し、操作し、維持するために必要とされるが、ミトコンドリアゲノムによりコードされるのはこれらのうちの37個のみであって、このことは、ミトコンドリアが核遺伝子座に重度に依存していることを示す。ミトコンドリアゲノムは、正しい翻訳を保証する、2つのrRNAと22のtRNAを含めた24の遺伝子の補体、ならびに電子伝達に不可欠である残り13の遺伝子をコードする(図1参照)。ミトコンドリアゲノムは、ミトコンドリアゲノムにより供給される13のポリペプチドのほかに、この生命機能に必要な酸化および還元反応を成し遂げるために70の核コード化タンパク質に依存する。核およびミトコンドリアタンパク質はともに、ミトコンドリア内膜を及ぶ複合体を形成し、細胞代謝に必要とされる化学燃料であるアデノシン三リン酸またはATPの80〜90%を集合的に生成する。エネルギー産生のほかに、ミトコンドリアは、同様に他の代謝経路においても中心的役割を果たす。ミトコンドリアの重要な機能は、細胞死またはアポトーシスの媒介である(Green and Kroemer, 2005参照)。本質的に、ミトコンドリア外膜を、あるいはさらに、同様にミトコンドリア内膜を透過するシグナル経路が存在する。特定のミトコンドリアタンパク質が細胞基質に放出される場合、不可逆的細胞死が始動される。この工程は、いくつかのミトコンドリアタンパク質が有する多機能的役割を強調する。これらのマルチタスク型タンパク質は、同様に、代替的機能を有し得る他のミトコンドリアタンパク質が存在する、ということを示唆する。
【0004】
(ミトコンドリア融合トランスクリプトーム)
ミトコンドリアゲノムは、それが環状の無イントロンDNA分子であるという点で異常型である。ゲノムは、特定長の配列と側面を接する反復モチーフが点在する。これらの反復間の配列は、十分に理解されていない状況下で欠失しがちである。ミトコンドリアゲノム中の反復の数を考えると、多数の考え得る欠失が存在する。最も良く知られた例は、4977の「共通欠失」である。この欠失は、いくつかの名を挙げられた症状および疾患と関連付けられてきており、老化に伴い頻度を増大すると考えられる(Dai et al., 2004;Ro et al., 2003;Barron et al., 2001;Lewis et al., 2000;Muller-Hocker, 1998;Porteous et al., 1998)(図4)。ミトコンドリアゲノムの分野における最新の見解は、ミトコンドリア欠失が、活性酸素種およびUVRのような作用物質によるミトコンドリアゲノムに対する損傷の単なる有害副産物である、というものである(Krishnan et al 2008, Nature Genetics)。さらに、高レベルのmtDNA欠失は、細胞呼吸に必要な遺伝子配列を失う結果として、ATPの形態でエネルギーを産生する細胞の能力に重篤な結果を及ぼし得ると認識されているが、しかし、これらの欠失ミトコンドリア分子が下流経路の一構成成分であり、意図された機能的役割を有し、そしておそらくは出願人により予測されてきたようにミトコンドリアの認識遺伝子の代替的天然形態としてより適切である、とは予測されない。
【0005】
mtDNAの配列動力学は、重要な診断ツールである。mtDNAにおける突然変異は、しばしば、疾患発症の予備的指標である。例えば、ミトコンドリアゲノムにおける突然変異は前立腺中の腫瘍病巣の特徴である、ということが実証されている。この傾向は、腫瘍組織に隣接したおよび離れた正常に見える組織の両方にも広がる(Parr et al. 2006)。これは、ミトコンドリア突然変異が悪性形質転換経路において早期に起きる、ということを示唆する。
【0006】
例えば、3.4kbのミトコンドリア欠失の頻度は、良性前立腺組織と悪性前立腺組織とを区別するのに優れた有用性を有する(Maki et al. 2008)。
【0007】
ミトコンドリア融合転写物は、最初に大豆で(Morgens et al 1984)、その後、稀な神経筋障害であるカーンズ・セイアー症候群を有する2名の患者(Nakase et al 1990)で、文献に以前に報告されている。重要であるのは、これらの転写物が如何なるヒト癌との関連を有することも見出されなかった(またはそれに関して研究されていなかった)ことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、異常型ミトコンドリアDNA、関連融合転写物およびそのハイブリダイゼーションプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、癌に関連した単離ミトコンドリア融合転写物が提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、上記の融合転写物に対応し、配列番号34〜49および52のいずれか1つで記述されるような配列を有するミトコンドリア融合タンパク質が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本発明の融合転写物をコードする単離mtDNAが提供される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、本発明のミトコンドリア融合転写物またはmtDNAの少なくとも一部と相補的な核酸配列を有するハイブリダイゼーションプローブが提供される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、哺乳類における癌の検出方法であって、本発明のミトコンドリア融合転写物の少なくとも一部と相補的である核酸配列を有する少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブで哺乳類からの組織試料をハイブリダイズすることにより癌に関連した少なくとも1つのミトコンドリア融合転写物の存在に関して上記試料を検定することを包含する方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、哺乳類における癌の検出方法であって、本発明のmtDNAの少なくとも一部と相補的である核酸配列を有する少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブで哺乳類からの組織試料をハイブリダイズすることにより癌に関連した少なくとも1つの異常型mtDNAの存在に関して上記試料を検定することを包含する方法が提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、哺乳類における癌の存在を検出するための検定の実行用キットであって、本発明の融合転写物またはmtDNAの少なくとも一部と相補的である少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブを含むキットが提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、癌に関連したものを同定するための10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリアDNAを有するマイクロアレイからなるスクリーニングツールが提供される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、癌に関連したものを同定するためのミトコンドリア融合転写物に対応する10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリアDNAを有するマイクロアレイからなるスクリーニングツールが提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、癌に関連したものを同定するための10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリア融合転写物を有する多重分枝DNA検定からなるスクリーニングツールが提供される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、癌に関連したものを同定するためのミトコンドリア融合転写物に対応する10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリアDNAを有する多重分枝DNA検定からなるスクリーニングツールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ミトコンドリアコード遺伝子を示す。
【図2】3.4kb欠失の損失により引き起こされる前立腺試料におけるポリアデニル化融合転写物を示す。
【図3】4977kb共通欠失の損失により引き起こされる前立腺試料におけるポリアデニル化融合転写物を示す。
【図4】mtゲノムからの3.4kbセグメントの損失により惹起される乳房試料におけるポリアデニル化融合転写物を示す。
【図5】図5aおよび5bは、遺伝子のスプライシングの前後のミトコンドリアDNA領域の一例を示す。
【図6】図6a〜6gは、結腸直腸癌腫瘍の同定における本発明の転写物2、3、8、9、10、11および12に関する結果を示す。
【図7】図7a〜7dは、肺癌腫瘍の同定における本発明の転写物6、8、10および20に関する結果を示す。
【図8】図8a〜8gは、黒色腫の同定における本発明の転写物6、10、11、14、15、16および20に関する結果を示す。
【図9】図9a〜9hは、卵巣癌の同定における本発明の転写物1、2、3、6、11、12、15および20に関する結果を示す。
【図10】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図11】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図12】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図13】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図14】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図15】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図16】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図17】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【図18】精巣癌の同定における本発明の転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20に関する結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面を参照しながら、単なる例として本発明の実施形態をここで説明する。
【0022】
本発明は、癌を予測し、診断および/またはモニタリングするのに有用な新規のミトコンドリア融合転写物および親突然変異化mtDNA分子を提供する。本発明はさらに、融合転写物および関連mtDNA分子の検出のためのハイブリダイゼーションプローブ、このようなプローブの使用を提供する。
【0023】
〔定義〕
別記しない限り、本明細書中で用いられる技術および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0024】
本明細書中で用いる場合、「異常」または「突然変異」は、融合転写物を生じる野生型ミトコンドリアDNAにおける任意の修飾を包含し、例としては、挿入、転座、欠失、重複、組換え、再配列またはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書中で定義される場合、「生物学的試料」は、当該分子が得られる細胞を含有する組織または体液を指す。例えば、生物学的試料は、前立腺、乳房、結腸直腸、肺および皮膚のような組織に、あるいは血液、唾液、脳脊髄液、痰、尿、粘液、滑液、腹水、羊水等に由来し得る。生物学的試料は、外科検体または生検検体であり得る。生物学的試料は、供給源から得られる場合に直接的に、または試料の特性を修飾するための前処理後に用いられ得る。したがって、生物学的試料は、例えば、血液から血漿または血清を調製し、細胞を崩壊し、液体を濃縮し、妨害成分を不活性化し、試薬を付加するなどして、使用前に前処理され得る。
【0026】
「連続」転写物は、両方のスプライスされた遺伝子の初めから末端まで、リーディングフレームを保持する融合転写物である。「末端」転写物は、第二スプライス化遺伝子の元の終止コドンの前に未熟終止コドンを生じる融合転写物である。
【0027】
本明細書中で用いる場合、「ミトコンドリアDNA」または「mtDNA」は、ミトコンドリア中に存在するDNAである。
【0028】
本明細書中で用いる場合、「ミトコンドリア融合転写物」または「融合転写物」という表現は、突然変異化ミトコンドリアDNA配列の転写の結果として産生されるRNA転写産物を指し、この場合、このような突然変異はミトコンドリア欠失およびその他の大規模ミトコンドリアDNA再配列を含み得る。
【0029】
〔コンピューター解析および配列ターゲッティング〕
上記で考察したように、ミトコンドリア融合転写物は、大豆(Morgens et al 1984)、および稀な神経筋障害に罹患しているヒト(Nakase et al 1990)で、報告されている。しかしながら、ヒト癌と関連した融合転写物は記載されていない。
【0030】
癌に関連したヒトミトコンドリアゲノムの大規模欠失のマッピングから得られた知識、高頻度のこれらの欠失についての観察、ならびに転写的に活性ナ突然変異化mtDNA分子についての別の生物体および別の疾患型における証拠を用いて、このような欠失は、それが癌と関連する場合、DNA分子、ならびに損傷および修復工程より以上に重要性を有し得る、と出願人は仮説を立てた。この仮説を試験するために、ミトコンドリアゲノムのコンピューター解析を、特に反復素子に関して実行し、これは、多数の考え得る欠失部位を示唆した。非隣接または非タンデム位置を有するミトコンドリア配列中の独特の反復を同定するこの初期工程後、次いで、フィルターを適用して、DNA分子における欠失事象の開始時に、再閉環または再結紮してオープンリーディングフレーム(ORF)を有する融合DNA配列を産生する反復を同定した。次に、1)それらがヒトの自然の生物学的状態で存在したか、ならびに2)それらが悪性疾患との関連性を有したか否かを調べるためのターゲッティングのために、18分子のサブセットを選択した。これらの検査からの結果を、本明細書で後述する。
【0031】
〔ゲノム突然変異〕
ミトコンドリアDNA(mtDNA)動力学は、重要な診断ツールである。mtDNAにおける突然変異は、しばしば、疾患発症の予備的指標であり、疾患開始に関連した危険因子を示すバイオマーカーとして振舞う。本発明によれば、ミトコンドリアゲノムにおける大規模再配列突然変異は、癌に関連した融合転写物の生成を生じる。したがって、このような転写物をコードするmtDNAならびに癌の検出、診断およびモニタリングのためにそれに向けられるプローブの使用が提供される。
【0032】
本発明の分子に用いるためのmtDNA分子は、天然突然変異体の単離により得られ得るし、あるいは本明細書中に記載される融合転写物のいずれかの相補的配列に基づき得る、と当業者は理解する。例示的mtDNA配列および融合転写物は、出願人の米国優先権出願第61/040,616号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されている。
【0033】
(突然変異体ゲノム配列の検出)
本発明による突然変異体mtDNA配列は、融合転写物の生成を引き起こす任意の修飾を含み得る。このような修飾の例としては、挿入、転座、欠失、重複、組換え、再配列またはその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。修飾または変化はわずか2〜3塩基から数キロ塩基までサイズを大きく変え得るし、好ましくは修飾は、かなり多くの欠失またはその他の大規模ゲノム異常を生じる。
【0034】
このような突然変異の存在を検出するためのDNAの抽出は、当該技術分野で知られた方法を用いて行われ、その後、ミトコンドリアゲノムの全てのまたは1つの領域が増幅され、そして例としては、Current Protocols in Molecular Biologyに記載されたようなミトコンドリアゲノムのシーケンシングが挙げられる。代替的には、粗製組織ホモジネートが、当該特定断片の増幅を要しない技術と同様に用いられ得る。
【0035】
突然変異の検出段階は、当業者に既知であるように、任意の技法から選択され得る。例えば、mtDNAの分析は、分枝DNAによる標的の選択、mtDNAのシーケンシング、PCR、サザン、ノーザン、ウエスタン、サウス−ウエスタンブロットハイブリダイゼーションによるmtDNAの増幅、HPLC変性、マイクロアレイ、バイオチップまたは遺伝子チップとのハイブリダイゼーション、分子マーカー分析、バイオセンサー、融解温度プロファイリングまたは上記のいずれかの組合せを包含し得る。
【0036】
ミトコンドリアDNAをシーケンシングするための任意の適切な手段が用いられ得る。好ましくは、mtDNAは、シーケンシングの前にPCRにより増幅される。PCRの方法は当該技術分野でよく知られており、Mullis and Faloona, 1987, Methods Enzymol., 155: 335に記載されたように実施され得る。PCR産物は、直接シーケンシングされルカ、またはベクター中でクローン化され、これが次に、細菌宿主中に入れられる。DNAシーケンシング方法の例は、Brumley, R.L. Jr. and Smith, L.M., 1991, Rapid DNA sequencing by horizontal ultrathin gel electrophoresis, Nucleic Acids Res. 19: 4121-4126およびLuckey, J.A., et al, 1993, High speed DNA sequencing by capillary gel electrophoresis, Methods Enzymol. 218: 154-172に見出される。PCRとmtDNAのシーケンシングの併用は、Hopgood, R, et al, 1992, Strategies for automated sequencing of human mtDNA directly from PCR products, Biotechniques 13: 82-92およびTanaka, M. et al, 1996, Automated sequencing of mtDNA, Methods Enzymol. 264: 407-421に記載されている。
【0037】
種々のプライマーを調製するための適切な配列の選択方法も、当該技術分野で知られている。例えば、プライマーは、市販の装備、例えばApplied Biosystems USA Inc. (Foster City, California)、DuPont,(Wilmington, Del.)、またはMilligen(Bedford, Mass.)から入手可能なものを用いた慣用的固相合成を用いて調製され得る。
【0038】
本発明の一態様によれば、候補ゲノム配列を確定するために、配列欠失の接合点が先ず同定される。配列欠失は、主に、5’および3’末端で欠失されるべき配列と側面を接する直接および間接的なそれぞれの素子により同定される。ゲノムからのヌクレオチドの一片の除去と、その後のゲノムの結紮は、新規の接合点の作製を引き起こす。
【0039】
接合点の同定時に、スプライスされた遺伝子を同定するために、接合点と側面を接する遺伝子のヌクレオチドが確定される。典型的には、スプライス化遺伝子は、第一の遺伝子からの開始コドンと第二の遺伝子の終止コドンを含み、そして連続転写物、すなわち両スプライス化遺伝子の初めから末端まで、リーディングフレームを保持するものとして発現され得る。本明細書中に開示される配列番号2および配列番号17により立証されるように、遺伝子配列内に含入される代替的開始または終止コドンが用いられ得る、ということも可能である。再配列化配列がスプライス部位で再連結される場合に、オープンリーディングフレーム(ORF)を有することが発見されたいくつかの既知のミトコンドリア欠失を、表1に示す。
【0040】
実験室で存在することが立証されている本発明の方法に用いるためのmtDNA分子の例を、以下に示す。これらのmtDNAは、既知のミトコンドリアゲノム(配列番号1)の修飾を基礎にしており、融合または「FUS」という名称を割り当てられており、この場合、A:Bは第一スプライス化遺伝子の最終ミトコンドリアヌクレオチドと第二スプライス化遺伝子の第一ミトコンドリアヌクレオチドとの間の接合点を表わす。スプライス化遺伝子の同定は、括弧内に示され、その後に対応する配列識別名が示される。以下で提示される場合、(AltMet)および(OrigMet)は、それぞれ、代替的および元の翻訳開始部位を指す。
【0041】
FUS8469:13447(AltMet)(ATPシンターゼF0サブユニット8〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット)(配列番号2)
FUS10744:14124(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4L(ND4L)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号3)
FUS7974:15496(シトクロムcオキシダーゼサブユニットII(COII)〜シトクロムb(Cytb))(配列番号4)
FUS7992:15730(シトクロムcオキシダーゼサブユニットII(COII)〜シトクロムb(Cytb))(配列番号5)
FUS8210:15339(シトクロムcオキシダーゼサブユニットII(COII)〜シトクロムb(Cytb))(配列番号6)
FUS8828:14896(ATPシンターゼF0サブユニット6(ATPアーゼ6)〜シトクロムb(Cytb))(配列番号7)
FUS10665:14856(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4L(ND4L)〜シトクロムb(Cytb))(配列番号8)
FUS6075:13799(シトクロムcオキシダーゼサブユニットI(COI)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号9)
FUS6325:13989(シトクロムcオキシダーゼサブユニットI(COI)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号10)
FUS7438:13476(シトクロムcオキシダーゼサブユニットI(COI)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号11)
FUS7775:13532(シトクロムcオキシダーゼサブユニットII(COII)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号12)
FUS8213:13991(シトクロムcオキシダーゼサブユニットII(COII)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号13)
FUS9191:12909(ATPシンターゼF0サブユニット6(ATPアーゼ6)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号14)
FUS9574:12972(シトクロムcオキシダーゼサブユニットIII(COIII)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号15)
FUS10367:12829(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット3(ND3)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号16)
FUS8469:13447(ATPシンターゼF0サブユニット8〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット)(配列番号17)
FUS9144:13816(ATPシンターゼF0サブユニット6(ATPアーゼ6)〜NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5(ND5))(配列番号51)。
【0042】
本発明は、癌を予測し、診断し、および/またはモニタリングするためのこれらの配列の変異体または断片の使用も提供する。
【0043】
「変異体」は、本明細書中で用いる場合、本発明のmtDNA配列とは異なるが、しかしその不可欠な特性を保持する核酸を指す。一般的に、変異体は全体的に非常によく似ており、多くの領域では、選択mtDNA配列と同一である。具体的には、本発明の変異体は、スプライス化遺伝子の接合点のヌクレオチドのうちの少なくとも1つを含み、さらに、それに隣接する1つ以上のヌクレオチドを含み得る。本発明の一実施形態では、変異体配列は、本発明のmtDNAまたはそれに対する相補的鎖のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。
【0044】
本発明において、「断片」は、開示されたゲノム配列中に含入されるものまたはそれと相補的な鎖の一部である短い核酸配列を指す。この部分は、スプライス化遺伝子の接合点を含むヌクレオチドのうちの少なくとも1つを包含し、さらに、それに隣接する1つ以上のヌクレオチドを含み得る。本発明の断片は、好ましくは、長さが少なくとも約15nt、さらに好ましくは少なくとも約20nt、さらに好ましくは少なくとも約30nt、さらに好ましくは少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約75nt、または少なくとも約150ntである。例えば、「少なくとも20nt長」の断片は、上記のmtDNA配列のうちのいずれか1つの20以上の連続塩基を含むよう意図される。この状況において、「約」は、特に列挙された値、いずれかの末端または両端で数(5、4、3、2または1)ヌクレオチド大きいか小さい値を含む。これらの断片は、例えば、本明細書中で考察されるような診断プローブおよびプライマー(これらに限定されない)としての用途を有する。もちろん、より大きな断片(例えば、50、150、500、600、2000ヌクレオチド)も意図される。
【0045】
したがって、本発明の具体的実施形態では、mtDNA配列は、以下のものからなる群から選択される:
配列番号2(FUS8469:13447;AltMet)
配列番号3(FUS10744:14124)
配列番号4(FUS7974:15496)
配列番号5(FUS7992:15730)
配列番号6(FUS8210:15339)
配列番号7(FUS8828:14896)
配列番号8(FUS10665:14856)
配列番号9(FUS6075:13799)
配列番号10(FUS6325:13989)
配列番号11(FUS7438:13476)
配列番号12(FUS7775:13532)
配列番号13(FUS8213:13991)
配列番号14(FUS9191:12909)
配列番号15(FUS9574:12972)
配列番号16(FUS10367:12829)
配列番号17(FUS8469:13447;OrigMet)
配列番号51(FUS9144:13816)、ならびに
その断片または変異体。
【0046】
(プローブ)
本発明の別の態様は、本発明の異常型mtDNA配列を認識し得るハイブリダイゼーションプローブを提供することである。本明細書中で用いる場合、「プローブ」という用語は、標的領域中の配列とプローブ中の少なくとも1つの配列の相補性のため、標的核酸中の配列と二重鎖構造を形成するオリゴヌクレオチドを指す。プローブは、当該技術分野で既知の方法に従って標識され得る。
【0047】
特定の疾患に関連する異常型mtDNAが一旦同定されれば、mtDNAと、例えばオリゴヌクレオチドの一アレイとのハイブリダイゼーションは特定突然変異を同定するために用いられ得るが、しかしながら、ハイブリダイゼーションの任意の既知の方法が用いられ得る。
【0048】
本発明のプライマーを用いる場合、プローブは、本発明の例示的mtDNA融合分子に対して直接的に、あるいはその断片または変異体に、生成され得る。例えば、配列番号2〜17および51で記述される配列、および表1に開示される配列は、当該融合配列を含む核酸配列を検出するプライマーまたはプローブを設計するために用いられ得る。当業者により理解されるように、これらの核酸分子とハイブリダイズするプライマーまたはプローブは、高緊縮ハイブリダイゼーション条件下または低緊縮条件下でそのようにし得るが、このような条件は当業者に既知であり、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New York (1989)), 6.3.1-6.3.6に見出され得る。
【0049】
本発明の具体的実施形態では、本発明のプローブは、スプライス化遺伝子の接合点を含む異常型mtDNAの少なくとも一部と相補的な配列を含有する。この部分は、接合点A:Bに関与するヌクレオチドのうちの少なくとも1つを包含し、さらに、それに隣接する1つ以上のヌクレオチドを含み得る。これに関しては、本発明は、接合点A:Bに関与するかおよび/または隣接するヌクレオチドを用いてmtDNA分子を選択する任意の適切な標的機序を含む。
【0050】
当該技術分野で知られた種々の型のプローブが、本発明により意図される。例えば、プローブは、標的ヌクレオチド配列とのその結合が一般的DNA結合染料、例えば臭化エチジウム、SYBR(登録商標)グリーン、SYBR(登録商標)ゴールド等を用いて検出され得る。代替的には、プローブは、1つ以上の検出可能標識を組み入れ得る。検出可能標識は、その特性または特質が直接または間接的に検出され得る、そしてその標的配列とハイブリダイズするプローブの能力が影響を及ぼされないよう選択される分子または部分である。核酸配列の標識方法は、当該技術分野でよく知られている(例えば、Ausubel et al., (1997 & updates) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley & Sons, New York参照)。
【0051】
本発明のプローブとともに用いるのに適した標識としては、直接的に検出され得るもの、例えば放射性同位元素、蛍光団、化学発光団、酵素、コロイド粒子、蛍光微小粒子等が挙げられる。直接的に検出可能な標識は、標識の検出を可能にするために、基質、トリガー試薬、光等のような付加的構成成分を要し得る、と当業者は理解する。本発明は、間接的に検出される標識の使用も包含する。
【0052】
本発明のプローブは、好ましくは長さが少なくとも約15nt、さらに好ましくは少なくとも約20nt、さらに好ましくは少なくとも約30nt、さらに好ましくは少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約75nt、または少なくとも約150ntである。例えば、「少なくとも20nt長」のプローブは、本発明のmtDNA配列と相補的である20以上の連続塩基を含むよう意図される。もちろん、より大きなプローブ(例えば、50、150、500、600、2000ヌクレオチド)も選択可能であり得る。
【0053】
本発明のプローブは、生物学的試料中の核酸分子ともハイブリダイズし、それにより、本発明の方法を可能にする。したがって、本発明の一態様では、癌の検出に用いるためのハイブリダイゼーションプローブを提供し、この場合、プローブは異常型mtDNA分子の少なくとも一部と相補的である。別の態様では、本発明は、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌および/または黒色腫皮膚癌の検出のためのプローブ、ならびにこのようなプローブの使用(または使用方法)を提供する。
【0054】
(検定)
生物学的試料中の異常型mtDNAのレベルの測定は、被験者における1つ以上の癌の存在を確定し得る。したがって、本発明は、癌を予測し、診断し、またはモニタリングするための方法であって、1つ以上の生物学的試料を得ること、試料からmtDNAを抽出すること、ならびに以下の:試料中の1つ以上の異常型mtDNAの量を定量し、そして検出された量を参照値と比較することにより異常型mtDNAに関して試料を検定することからなる方法を包含する。当業者に理解されるように、参照値は、癌を予測し、診断し、またはモニタリングしようとするかに基づいている。したがって、参照値は、1つ以上の既知の非癌性生物学的試料から、1つ以上の既知の癌性生物学的試料から、および/または長期間に亘って採取された1つ以上の生物学的試料から収集されたmtDNAデータと関連し得る。
【0055】
一態様では、本発明は、哺乳類における癌の検出方法であって、上記の異常型ミトコンドリアDNAの存在に関して、哺乳類からの組織試料を検定することを包含する方法を提供する。本発明は、少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブと試料をハイブリダイズすることにより、哺乳類からの組織試料を検定することを包含する方法も提供する。プローブは、本明細書中に記載されるように、本発明の突然変異体ミトコンドリアDNA配列に対して生成され得る。
【0056】
別の態様では、本発明は、上記のような方法であって、検定が、以下の:
a)少なくとも1つのプローブを相補的異常型ミトコンドリアDNA配列とハイブリダイズさせるためにプローブのうちの少なくとも1つを用いてハイブリダイゼーション反応を実行するステップ;
b)少なくとも1つのプローブとハイブリダイズされるミトコンドリアDNAの量を定量することにより、試料中の少なくとも1つの異常型ミトコンドリアDNA配列の量を定量するステップ;そして
c)試料中のミトコンドリアDNAの量を少なくとも1つの既知の参照値と比較するステップ
を包含する方法を提供する。
【0057】
癌を予測し、診断し、またはモニタリングするための方法であって、下記のような診断的画像検定を含む方法も本発明に包含される。本発明の診断的検定は、高処理量法に容易に適合され得る。高処理量検定は、多数の試料を同時に処理するという利益を提供し、多数の試料をスクリーニングするために必要とされる時間を有意に低減する。したがって、本発明は、複数の試験試料中の標的ヌクレオチド配列を検出しおよび/または定量するための高処理量スクリーニングまたは検定における本発明のヌクレオチドの使用を意図する。
【0058】
〔融合転写物〕
本発明はさらに、癌を予測し、診断し、および/またはモニタリングするための方法に有用な融合転写物および関連ハイブリダイゼーションプローブの同定を提供する。このような分子は、天然転写物の単離により、あるいは、本発明の方法に従って単離されるmtDNAの組換え発現により得られる、と当業者は理解する。上記のように、このようなmtDNAは、典型的には、第一遺伝子からの開始コドンおよび第二遺伝子の終止コドンを有するスプライス化遺伝子を含む。したがって、それらから得られる融合転写物は、スプライス化遺伝子に関連した接合点を含む。
【0059】
(融合転写物の検出)
天然融合転写物は、生物学的試料から抽出され、当該技術分野で既知の任意の適切な方法に従って同定され得るし、あるいは実施例に記載される方法に従って実行され得る。本発明の一実施形態では、ポリ−A尾部を有する転写物を標的にするオリゴ(dT)プライマーを用いて、その後、標的転写物に対して意図されたプライマー対を用いたRT−PCRにより、安定ポリアデニル化融合転写物が同定される。
【0060】
以下の例示的融合転写物はこのような方法を用いて検出され、実施例に示されるような癌を予測し、診断し、および/またはモニタリングするのに有用であることが見出された。同様に、表1で同定されるORF配列由来の融合転写物は、本発明の検定および方法に従って癌を予測し、診断し、および/またはモニタリングするのに有用であり得る。
【0061】
配列番号18(転写物1;8469:13447;AltMet)
配列番号19(転写物2;10744:14124)
配列番号20(転写物3;7974:15496)
配列番号21(転写物4;7992:15730)
配列番号22(転写物5;8210:15339)
配列番号23(転写物6;8828:14896)
配列番号24(転写物7;10665:14856)
配列番号25(転写物8;6075:13799)
配列番号26(転写物9;6325:13989)
配列番号27(転写物10;7438:13476)
配列番号28(転写物11;7775:13532)
配列番号29(転写物12;8213:13991)
配列番号30(転写物14;9191:12909)
配列番号31(転写物15;9574:12972)
配列番号32(転写物16;10367:12829)
配列番号33(転写物20;8469:13447;OrigMet)
配列番号50(転写物13;9144:13816)。
【0062】
さらに、本明細書中に記載されるものと同様の特質を有する融合転写物が、臨床腫瘍学の分野に用いるために意図される。
【0063】
融合転写物は、当該技術分野で知られた組換え技法によっても産生され得る。典型的には、これは、当該mtDNA配列を含む発現ベクターを用いた適切な宿主細胞の形質転換(トランスフェクション、形質導入または感染を含む)を含む。
【0064】
本明細書中で同定される融合転写物の変異体または断片も提供される。このような配列は、ゲノム変異体および断片に関して、または熟練技術者により適切に確定されるような、上記のサイズ制限および同一性%に密着し得る。
【0065】
さらに、転写物1〜16および20に対応する推定タンパク質配列を、以下に列挙する。仮説的融合タンパク質をコードするこれらの配列は、本発明のさらなる一実施形態として提供される。
【0066】
配列番号34(転写物1)
配列番号35(転写物2)
配列番号36(転写物3)
配列番号37(転写物4)
配列番号38(転写物5)
配列番号39(転写物6)
配列番号40(転写物7)
配列番号41(転写物8)
配列番号42(転写物9)
配列番号43(転写物10)
配列番号44(転写物11)
配列番号45(転写物12)
配列番号46(転写物14)
配列番号47(転写物15)
配列番号48(転写物16)
配列番号49(転写物20)
配列番号52(転写物13)
【0067】
(プローブ)
融合転写物が一旦特性化されれば、生物学的試料中の転写物を標的にするよう、プライマーまたはプローブが開発され得る。このようなプライマーおよびプローブは、(じょうきのような)任意の既知の方法を用いて、または以下で提供される実施例に記述されるように、調製され得る。プローブは、例えば、融合転写物のために、そして試料中の転写物の存在を検出するために用いられる検出技法、例えばPanomics(商標)によるQuantiGene2.0(商標)のために生成され得る。プライマーおよびプローブは、本発明の例示的融合転写物に対して直接的に、あるいはその断片または変異体に対して生成され得る。例えば、配列番号18〜33および50で記述される配列、ならびに表1に開示される配列は、当該融合配列を含む核酸配列を検出するプローブを設計するために用いられ得る。
【0068】
当業者に理解されるように、本発明の融合転写物とハイブリダイズするよう設計されるプローブは、スプライス化遺伝子の接合点を発現する転写物の少なくとも一部と相補的な配列を含有する。この部分は、発現接合点と相補的なヌクレオチドのうちの少なくとも1つを包含し、さらに、それに隣接する1つ以上の相補的ヌクレオチドを含み得る。これに関しては、本発明は、スプライス化遺伝子の接合点に関与し、隣接するヌクレオチドを用いる融合転写物を選択する任意の適切なターゲッティング機序を含む。
【0069】
当該技術分野で知られた種々の型のプローブおよび方法が、転写物プローブの調製のために意図される。このような型および方法は、ゲノム配列の検出に関して上記されている。本発明の転写物プローブは、好ましくは長さが少なくとも約15nt、さらに好ましくは少なくとも約20nt、さらに好ましくは少なくとも約30nt、さらに好ましくは少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約75nt、または少なくとも約150ntである。例えば、「少なくとも20nt長」のプローブは、本発明のmtDNA配列と相補的である20以上の連続塩基を含むよう意図される。もちろん、より大きなプローブ(例えば、50、150、500、600、2000ヌクレオチド)も選択可能であり得る。
【0070】
一態様では、本発明は、癌の検出に用いるためのハイブリダイゼーションプローブであって、上記のミトコンドリア融合転写物の少なくとも一部と相補的であるプローブを提供する。
【0071】
別の態様では、本発明は、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌または黒色腫皮膚癌の検出のためのプローブ、ならびにこのようなプローブの使用(または使用方法)を提供する。
【0072】
(検定)
生物学的試料中のミトコンドリア融合転写物のレベルの測定は、被験者における1つ以上の癌の存在を確定し得る。したがって、本発明は、癌を予測し、診断し、またはモニタリングするための方法であって、1つ以上の生物学的試料を得ること、試料からミトコンドリアDNAを抽出すること、ならびに以下の:試料中の1つ以上の融合転写物の量を定量し、そして検出された量を参照値と比較することにより融合転写物に関して試料を検定することからなる方法を提供する。当業者に理解されるように、参照値は、癌を予測し、診断し、またはモニタリングしようとするかに基づいている。したがって、参照値は、1つ以上の既知の非癌性生物学的試料から、1つ以上の既知の癌性生物学的試料から、および/または長期間に亘って採取された1つ以上の生物学的試料から収集された転写物データと関連し得る。
【0073】
一態様では、本発明は、哺乳類における癌の検出方法であって、ミトコンドリア融合転写物の少なくとも一部と相補的な核酸配列を有する少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブを用いて上記試料をハイブリダイゼーションすることにより、本発明の少なくとも1つの融合転写物の存在に関して、上記哺乳類からの組織試料を検定することを包含する方法を提供する。
【0074】
別の態様では、本発明は、上記のような方法であって、検定が、以下の:
a)少なくとも1つのプローブを相補的異常型ミトコンドリア融合転写物とハイブリダイズさせるために上記プローブのうちの少なくとも1つを用いてハイブリダイゼーション反応を実行するステップ;
b)少なくとも1つのプローブとハイブリダイズされる転写物の量を定量することにより、試料中の少なくとも1つのミトコンドリア融合転写物の量を定量するステップ;そして
c)試料中のミトコンドリア融合転写物の量を少なくとも1つの既知の参照値と比較するステップ
を包含する方法を提供する。
【0075】
上記のように、本発明の診断的検定は、本明細書中に記載されるような診断方法およびスクリーニングツールも包含し、高処理量法に容易に適合され得る。したがって本発明は、複数の試験試料中の標的ヌクレオチド配列を検出しおよび/または定量するための高処理量スクリーニングまたは検定における本発明の融合転写物および関連プローブの使用を意図する。
【0076】
〔診断方法およびスクリーニングツール〕
特定の疾患を診断士、または特定のミトコンドリア突然変異を同定するための方法およびスクリーニングツールも、本明細書中で意図される。ハイブリダイゼーションの任意の既知の方法は、プローブ/プライマーベースの技法、例えばシングルプレックスおよびマルチプレックスの両方の分枝DNAおよびqPCR(これらに限定されない)を含めたこのような方法を実行するために用いられ得る。野生型または突然変異化領域をマッチングするオリゴヌクレオチドプローブ、および対照プローブを有するアレイ技法も、用いられ得る。市販のアレイ、例えばマイクロアレイまたは遺伝子チップが適している。これらのアレイは、スライドまたはマイクロチップ上のプローブの数千のマッチドおよび対照ペアを胃含有し、非常に迅速に全ゲノムをシーケンシングし得る。ゲノムおよびDNA配列解析におけるマイクロアレイの使用を記載する再検討論文は、オンラインで入手可能である。
【0077】
所定の生物学的状態と関連する標的を同定するよう意図されたスクリーニングツールは、特定の疾患または障害に関連した核酸の特定の配列を包含し得る。したがって、本発明の一実施形態によれば、1つ以上の癌に関連したものを同定するための10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリア融合転写物を有するマイクロアレイからなるスクリーニングツールが提供される。さらなる一実施形態では、1つ以上の癌に関連したものを同定するための10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリア融合転写物を有するマルチプレックス分枝DNA検定からなるスクリーニングツールが提供される。本発明のさらに別の実施形態では、1つ以上の癌に関連したものを同定するためのミトコンドリア融合転写物に対応する10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリアDNAを有するマルチプレックス分枝DNA検定からなるスクリーニングツールが提供される。
【0078】
臨床腫瘍学の分野に有用なアプローチも、本明細書中で意図され、例としては、ポジトロン断層法(PET)、造影磁気共鳴画像診断(MRI)等のような診断的画像診断技法を包含し得る。これらの診断方法は、当業者によく知られており、癌の診断および予後に有用である。
【0079】
〔診断的モニタリング〕
本発明の方法はさらに、1つ以上の検定の結果に基づいたモニタリングレジメまたは療法コースを推奨する工程を包含し得る。これにより、個別化医療、例えば、患者の癌の進行をモニタリングすることによる(例えば初期またはその後の突然変異がいつ起きたかを認識することによる)癌療法、あるいは治療(例えば、突然変異が安定化された時を認識することによる)を臨床医が実施できるようになる。
【0080】
進行中の配列変異の境界についての知識に関して、前癌性状態または現存癌状態を診断するために情報が用いられ得る。さらに、長期に亘って継続的試料中の異常型mtDNAの量を定量することにより、癌状態の進行がモニタリングされ得る。例えば、野生型からの第一組の突然変異を検出するために一時点で患者の組織を検定することにより提供されるデータが、その後の検定から提供されるデータに対して比較されて、異常性の変化がおきているか否かを確定し得る。
【0081】
癌の症候をまた発症していない個体に突然変異が見出される場合、突然変異は、癌状態を発症する遺伝的感受性を示し得る。疾患に対する感受性またはその存在の診断の確定は、さらに、もしあれば、患者の家族歴における癌状態の罹患率、ならびに他の危険因子の存在、例えば環境因子への曝露、ならびに患者の細胞が別の種類の突然変異も保有するか否かに関する情報に基づいて、定性的に評価され得る。
【0082】
〔生物学的試料〕
本発明は、1つ以上の生物学的試料を獲得するかまたは収集することを含む診断的試験を提供する。本発明の状況において、「生物学的試料」は、mtDNAおよびmtRNAが獲得され得る細胞を含有する組織または体液を指す。例えば、生物学的試料は、皮膚、肺、乳房、前立腺、神経、筋肉、心臓、胃、結腸、直腸組織等(これらに限定されない)を含めた組織から、あるいは血液、唾液、脳脊髄液、痰、尿、粘液、滑液、腹水、羊水等から得られる。生物学的試料は、癌性または非癌性組織から得られ、外科検体または生検検体(これらに限定されない)であり得る。
【0083】
一試料型は、一回で(すなわち、1つより多くの癌の検出のために)検定され得る、と当業者は理解する。さらに、例えば、長時間に亘る癌のモニタリングのために、一連の収集が必要とされる場合、所定の試料が、単独で、または試験期間全体を通して採取された他の試料とともに、診断され得る。この点で、生物学的試料は、1回だけ、あるいは週2回、月1回、半年に1回または年1回といったように規則的間隔で、採取され得る。
【0084】
〔キット〕
本発明は、臨床環境において癌を検出するための診断/スクリーニングキットを提供する。このようなキットは、1つ以上の試料採取手段を、本発明による1つ以上のプローブと組合せて包含し得る。
【0085】
キットは、任意に、診断検定を実行するために必要とされる試薬、例えば緩衝剤、塩、検出試薬等を包含し得る。他の構成成分、例えば生物学的試料の単離および/または処理のための緩衝液および溶液も、キットに包含され得る。キットの構成成分のうちの1つ以上が凍結乾燥され得るし、キットは、さらに、凍結乾燥構成成分の再構成に適した試薬を含み得る。
【0086】
適切な場合、キットは、反応容器、混合容器、ならびに試験試薬の調製を促す他の構成成分も含有し得る。キットは、任意に、紙形態またはコンピューター読取形態で提供され得る使用のための使用説明書、例えばディスク、CD、DVD等も包含し得る。
【0087】
本発明の一実施形態では、癌を診断するためのキットであって、試料採取手段および本発明のハイブリダイゼーションプローブを含むキットが提供される。
【0088】
本発明の種々の態様を、以下の実施例を用いた例証により記載する。本明細書中で提供される実施例は、本発明のある具体的実施形態を例証するだけのものであって、如何なる点でも本発明の範囲を限定するよう意図されない。
【実施例】
【0089】
<実施例1:ミトコンドリア融合転写物の検出>
ミトコンドリア4977「共通欠失」、ならびにPCT出願番号PCT/CA2007/001711(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)で本出願人により以前に同定された3.4kb欠失は、前立腺組織においてオリゴ−dT選択により同定されるような活性転写物を有する独特のオープンリーディングフレームを生じる(図2および3)。乳房組織試料の検査も、3.4kb欠失に起因する安定なポリアデニル化融合転写物の存在を明示する(図4)。
【0090】
〔欠失転写物検出のための逆転写酵素−PCRプロトコール〕
(RNA単離cDNA合成)
メーカーの使用説明書に従って、Aurum(商標)総RNA脂肪および繊維組織キット(Bio-Rad, Hercules, CA)を用いて、急速凍結前立腺および乳房組織試料(腫瘍に隣接する悪性および正常組織の両方)から総RNAを単離した。この実験では、ゲノムDNA夾雑は回避されるべきものであったため、当該技術分野で一般に知られているような方法を用いて、DNアーゼ処理段階を包含した。ND−1000分光光度計(NanoDrop(登録商標) technologies)で、RNAの量および質を確定した。約100gの出発物質から、総RNA濃度は、1.89〜2.10の260/280比で100から1000ng/μLまで変化した。RNA濃度を100ng/μLに調整し、メーカーの使用説明書に従って、RT−PCR用のSuperScript(商標)一次鎖合成系(Invitrogen)での一次鎖DNA合成のために、各鋳型2μLを用いた。安定ポリアデニル化融合転写物を同定するために、ポリ−A尾部を有する転写物を標的にするオリゴ(dT)プライマーを用いた。
【0091】
(PCR)
DNAエンジンOpticon(登録商標)2連続蛍光検出系(Bio-Rad, Hercules, CA)上でのiQ(商標)SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-Rad, Hercules, CA)で5μLの各cDNA鋳型を用いて、実時間PCRを実施した。4977bp欠失をターゲッティングするプライマー対は:8416F 5'−CCTTACACTATTCCTCATCAC−3'、13637R 5'−TGACCTGTTAGGGTGAGAAG−3'であり、ならびに3.4kb欠失に関するものは:ND4LF 5’−TCGCTCACACCTCATATCCTC−3’、ND5R 5’−TGTGATTAGGAGTAGGGTTAGG−3’である。反応カクテルは、以下のものを含む:2×SYBR(登録商標)Green Supermix(100mMのKCl、40mMのトリス−HCl、pH8.4、0.4mMの各dNTP[dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP])、iTaq(商標)DNAポリメラーゼ、50単位/ml、6mMのMgCl2、SYBR(登録商標)Green1、20nMのフルオロセインおよび安定剤)、250nMの各プライマー、およびddH2O。PCRサイクルパラメーターを以下に示す:(1)95℃、2分間、(2)95℃、30秒間、(3)55℃(4977bp欠失に関して)および63℃(3.4kb欠失に関して)、30秒間(4)72℃、45秒間、(5)プレート読取、その後、工程3〜5を39サイクル、そして4℃で最終インキュベーション。サイクル閾値および融解曲線分析のほかに、増幅産物の具体的可視化のためにアガロースゲル上で試料を移動させた(図2〜4参照)。
【0092】
図2は、ミトコンドリアゲノムからの3.4kbの損失により引き起こされる前立腺試料中のポリアデニル化融合転写物を示すアガロースゲルである。図2に関する凡例:B−ブランク、レーン1〜6:cDNA中に検出される転写物;レーン7〜12:レーン1〜6における試料に関する無逆転写酵素(RT)対照。
【0093】
図3は、4977kb共通欠失の損失により引き起こされる前立腺試料中のポリアデニル化融合転写物を示す。図3に関する凡例:B−ブランク、レーン1〜6:cDNA中に検出される転写物;レーン7〜12:レーン1〜6における試料に関する無RT対照。
【0094】
図4は、mtゲノムからの3.4kbの損失により引き起こされる乳房試料中のポリアデニル化融合転写物を示す。図4に関する凡例:レーン2〜8:乳房cDNAからの転写物;レーン9:陰性(水)対照;レーン2および3における試料に関する陰性無RT対照。
【0095】
これらの結果は、安定ミトコンドリア融合転写物の存在を実証する。
【0096】
<実施例2:融合産物の同定およびターゲッティング>
3.4kb欠失のような突然変異化ミトコンドリアゲノムに起因する新規の転写物の存在を検出し、さらに実証するために、種々のハイブリダイゼーションプローブを設計した。この目的のために、定量的遺伝子発現解析用のシングルプレックス分枝DNAプラットホーム(QuantiGene 2.0(商標)、Panomics(商標))を利用した。この実施例で列挙した特定の欠失および配列は、配列番号1で列挙される全mtDNAゲノムに関するそれらの相対的位置に基づいている。本実施例においてプローブが設計された4つの転写物の核酸配列は、本明細書中で以下のように同定される:転写物1(配列番号18)、転写物2(配列番号19)、転写物3(配列番号20)および転写物4(配列番号21)。
【0097】
3.4kbミトコンドリアゲノム欠失からの連続転写物の一例は、遺伝子ND4L(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット4L)およびND5(NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5)に伴って生じる。配列番号19に対する相補的配列を有するプローブを用いて、転写物2を検出した。それぞれの素子は、ND4L中の位置10745〜10754、ND5中の14124〜14133で生じる。
【0098】
3.4kb欠失は、ND4Lの3’末端、全ND4遺伝子、tRNAヒスチジン、tRNAセリン2、tRNAロイシン2および大多数のND5の5’末端の除去を生じて(図5a参照)、10744(ND4L):14124(ND5)の接合点に関してND4LおよびND5の遺伝子スプライスを生じる(図5b)。配列番号3は、上記のように検出されるRNA転写物(配列番号19)に対する相補的DNA配列である。
【0099】
同様に、転写物1は、位置8469:13447に関連したATPアーゼ8およびND5間の融合転写物(配列番号18)である。転写物3および4(それぞれ配列番号20および21)は、それぞれヌクレオチド位置7974:15496および7992:15730に関連したCOIIおよびCytb間の融合転写物である。表3は、本実施例に用いられる種々の配列間の関係の要約を示す。表3は、検出融合転写物、ならびに検出された融合転写物と相補的なDNA配列を含む。
【0100】
<実施例3:前立腺癌への適用>
上記の4つの融合転写物、すなわち転写物1〜4を用いて、一患者からの2つの前立腺組織試料を分析して、新規の予測融合転写物の定量的差を査定した。実験結果を、以下の表2に示すが、この場合、「Homog 1」は、一患者からの凍結前立腺腫瘍組織のホモジネートを指し、「Homog 2」は、その患者の当該腫瘍に隣接する凍結正常前立腺組織のホモジネートを指す。これらの試料を、25.8mgのHomog 1および28.9mgのHomog 2で出発して、メーカーのプロトコール(QuantiGene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantiGene(登録商標)2.0 Reagent System User Manual)に従って処理した(表5aおよび5bに検定設定を示す)。
【0101】
正常隣接前立腺組織に比して、前立腺癌組織中のミトコンドリア融合転写物の存在増大が明らかに実証される。融合転写物は正常組織中に存在するが、しかし非常に低いレベルである。標的転写物とのプローブのハイブリダイゼーションにより生成される相対発光強度単位(RLU)は、各転写物の存在量と直接比例する。表2は、試料に関して得られた読取りの変動係数(CV)(パーセンテージで表される)も示す。CVは、標準偏差を値の平均で割ったものである。癌組織中のこのような安定転写ミトコンドリア遺伝子産物の有意性は、疾患の進化および進行において密接な関係を有する。
【0102】
<実施例4:乳癌への適用>
実施例3と同一プロトコールを用いて、しかし3.4kb mtゲノム欠失に関連した新規の融合転写物である転写物2のみに集中して、乳房腫瘍の2つの試料およびその腫瘍に隣接する無腫瘍組織の2つの試料、ならびに前立腺腫瘍組織の3つの試料(1試料は隣接無腫瘍組織を含む)に関して、分析を実行した。本実施例に関する結果を、表4に示す。対応する正常組織切片を有する前立腺腫瘍組織は、腫瘍組織が、正常隣接組織の約2倍の量の融合転写物を有するという点で、実施例3で分析した前立腺試料と同様のパターンを実証した。乳房腫瘍試料は、隣接非腫瘍組織と比較した場合、融合転写物レベルの顕著な増大を実証した。実施例3で言及した実験において最も再現可能的に実施されるので、ホモジネートの1:100希釈液をこの分析のために用いた。
【0103】
したがって、上記の結果は、前立腺および乳房組織の両方の腫瘍の検出における本発明の転写物の適用を例証する。
【0104】
<実施例5:結腸直腸癌への適用>
この試験は、結腸直腸癌を検出するに際しての本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。9例の対照(良性)組織試料(試料1〜9)および10例の腫瘍(悪性)組織試料(試料10〜19)を含む合計19の試料を調製した。試料を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(QuantiGene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantiGene(登録商標)2.0 Reagent System User Manual)。7つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物を、前記実施例に上記したような方法で調製した。転写物の特質を、以下のように要約する:
【0105】
【表1】

【0106】
転写物2および3は、実施例3および4に関して上記されたものと同一である、ということに留意すべきである。
【0107】
OCTブロックからの約25mgの組織を用いて、ホモジネートを調製し、転写物2および4に関しては1:1に、転写物10および11に関しては1:8に希釈した。Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で転写物の量を測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。分析は、試料に関するRLU値から下限を差し引くことにより、バックグラウンドを説明した。公式log2aRLU−log2hRLU(式中、aは標的融合転写物であり、hはハウスキーピング転写物である)を用いて、投入RNAを説明した。
【0108】
データの分析は、以下の工程を包含した:
a)三重反復検定に関するCV(変動係数)を確定する;≦15%である場合は、許容可能である。
【0109】
b)標的融合転写物(a)およびハウスキーピング転写物(h)の三重反復検定に関する平均RLUを確定する。
【0110】
c)バックグラウンドRLUの三重反復値からの下限(l)を確定する。
【0111】
d)(a)から下限(l)を差し引く。
【0112】
e)log2aRLU−log2hRLUを算定する。
【0113】
(結果の要約)
上記分析の結果を図6a〜6g(試料番号に対するlog2aRLU−log2hRLUのプロットを含む)に示す。各転写物に関する結果から確定されるそれぞれのROC(受信者動作特性)曲線も示す。
【0114】
転写物2:正常および悪性群(p>0.09)の平均(p<0.10)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような3.6129のカットオフ値の使用は、60%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.73であるが、これは、適正な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0115】
転写物3:正常および悪性群(p=0.03)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような4.0813のカットオフ値の使用は、60%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.79であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0116】
転写物8:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−6.0975のカットオフ値の使用は、60%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、適正な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0117】
転写物9:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−7.5555のカットオフ値の使用は、60%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0118】
転写物10:正常および悪性群(p=0.01)の平均(p≦0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−3.8272のカットオフ値の使用は、90%の感受性および67%の特異性を生じ、曲線下面積は0.84であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0119】
転写物11:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような3.1753のカットオフ値の使用は、70%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0120】
転写物12:正常および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような3.2626のカットオフ値の使用は、70%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0121】
(結論)
上記の結果は、結腸直腸癌の検出、ならびに正常結腸直腸組織から悪性組織を区別するに際しての、転写物2、3、8、9、10、11および12の有用性を例証する。上記のように、転写物2および3は、前立腺癌の検出において有用性があることも見出された。転写物2は、乳癌の検出において有用性があることも判明した。転写物11は、黒色腫皮膚癌の検出において有用性があることも判明した。転写物8は、肺癌の検出において有用性があることも見出された。列挙したいくつかの転写物の何れも、個別に、または組合せて、臨床設定における結腸直腸癌の特性化の検出のためのツールとして用いられ得る。
【0122】
<実施例6:肺癌への適用>
この試験は、肺癌の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。実施例5の場合と同様に、9例の対照(良性)組織試料(試料1〜9)および10例の腫瘍(悪性)組織試料(試料10〜19)を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(QuantiGene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantiGene(登録商標)2.0 Reagent System User Manual)。ホモジネートを1:8に希釈し、4つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物の量を、Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。
【0123】
以下の転写物を、この実施例のために調製した:
【0124】
【表2】

【0125】
この実施例に用いた組織試料は、以下の特質を有した:
【0126】
【表3】

【0127】
実施例5に記載した方法に従って、データの分析を実施した。結果を、図7a、7b、7cおよび7dに示す。
【0128】
(結果の要約)
転写物6:正常(良性)および悪性群(p=0.06)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−6.5691のカットオフ値の使用は、80%の感受性および71%の特異性を生じ、曲線下面積は0.77であるが、これは、適正な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0129】
転写物8:正常および悪性群の平均間の差は、統計的に有意p<0.05である(p=0.02)。ROC曲線により実証されるような−9.6166のカットオフ値の使用は、90%の感受性および86%の特異性を生じ、曲線下面積は0.86であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0130】
転写物10:正常および悪性群の平均間の差は、統計的に有意p≦0.01である(p=0.01)。ROC曲線により実証されるような−10.6717のカットオフ値の使用は、90%の感受性および86%の特異性を生じ、曲線下面積は0.89であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0131】
転写物20:正常および悪性群の平均間の差は、統計的に有意p≦0.1である(p=0.1)。ROC曲線により実証されるような2.5071のカットオフ値の使用は、70%の感受性および71%の特異性を生じ、曲線下面積は0.74であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0132】
(結論)
実施例6からの結果は、肺癌腫瘍の検出における本発明の転写物6、8、10および20の有用性、ならびに悪性および正常肺組織間の区別を例証する。これら3つの転写物のいずれかを、臨床設定における肺癌の検出または特性化のために用い得る。
【0133】
実施例7:黒色腫への適用
この試験は、黒色腫の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。この試験では、5例の対照(良性)組織試料および9例の悪性組織試料を含む合計14の試料を用いた。全試料をホルマリン固定し、パラフィン包埋した(FFPE)。FFPE組織試料を切片にして試験管に入れ、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(Quantigene(登録商標)2.0 Sample Processing Kit for FFPE Samples;およびQuantigene 2.0 Reagent System User Manual)。ホモジネートを1:4に希釈し、7つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物の量を、Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。
【0134】
この実施例に用いた14の組織試料は、以下の特質を有した:
【0135】
【表4】

【0136】
以下の転写物を、この実施例のために調製した:
【0137】
【表5】

【0138】
上記のように、転写物10および11は、実施例5でも用いられた。実施例5に記載した方法に従って、データの分析を実施した。結果を、図8a〜8gに示す。
【0139】
(結果の要約)
転写物6:正常および悪性群(p=0.01)の平均(p≦0.01)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−5.9531のカットオフ値の使用は、89%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.96であるが、これは、非常に良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0140】
転写物10:正常および悪性群(p=0.05)の平均(p≦0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−4.7572のカットオフ値の使用は、89%の感受性および40%の特異性を生じ、曲線下面積は0.82であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0141】
転写物11:正常および悪性群(p=0.02)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような1.6762のカットオフ値の使用は、78%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.89であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0142】
転写物14:正常および悪性群(p=0.05)の平均(p≦0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−4.9118のカットオフ値の使用は、89%の感受性および60%の特異性を生じ、曲線下面積は0.82であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0143】
転写物15:正常および悪性群(p=0.07)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−7.3107のカットオフ値の使用は、100%の感受性および67%の特異性を生じ、曲線下面積は0.80であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0144】
転写物16:正常および悪性群(p=0.03)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−10.5963のカットオフ値の使用は、89%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.878であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0145】
転写物20:正常および悪性群(p=0.04)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。さらに、ROC曲線により実証されるような−8.3543のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.89であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0146】
(結論)
実施例7からの結果は、悪性黒色腫の検出における本発明の転写物6、10、11、14、15、16および20の有用性を例証する。上記のように、転写物10および11は、結腸直腸癌を検出するのに有用性を有することも判明したが、一方、転写物6は肺癌の検出において有用性がある。疾患による転写物概要を、表6に示す。
【0147】
<実施例8:卵巣癌への適用>
この試験は、卵巣癌の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。10例の対照(良性)組織試料(試料1〜10)および10例の腫瘍(悪性)組織試料(試料11〜20)を含む合計20の試料を調製した。試料を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(Quantigene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantigene 2.0 Reagent System User Manual)。8つの標的転写物および1つのハウスキーピング転写物を、前記の実施例で略記したように調製した。
【0148】
この実施例に用いた20の組織試料は、以下の特質を有した:
【0149】
【表6】

【0150】
転写物の特質を、以下のように要約する:
【0151】
【表7】

【0152】
転写物1、2、3、6、11、12、15および20は、実施例3〜7に関して上記したものと同一である、ということに留意すべきである。
【0153】
約25mgの凍結組織を用いて、ホモジネートを調製し、1:4に希釈した。Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で転写物の量を測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。分析は、試料に関するRLU値から下限を差し引くことにより、バックグラウンドを説明した。公式log2aRLU−log2hRLU(式中、aは標的融合転写物であり、hはハウスキーピング転写物である)を用いて、投入RNAを説明した。
【0154】
データの分析は、以下の工程を包含した:
a)三重反復検定に関するCV(変動係数)を確定する;≦15%である場合は、許容可能である。
【0155】
b)標的融合転写物(a)およびハウスキーピング転写物(h)の三重反復検定に関する平均RLUを確定する。
【0156】
c)バックグラウンドRLUの三重反復値からの下限(l)を確定する。
【0157】
d)(a)から下限(l)を差し引く。
【0158】
e)log2aRLU−log2hRLUを算定する。
【0159】
(結果の要約)
上記分析の結果を図9a〜9h(試料番号に対するlog2aRLU−log2hRLUのプロットを含む)に示す。各転写物に関する結果から確定されるそれぞれのROC(受信者動作特性)曲線も示す。
【0160】
転写物1:正常および悪性群(p=0.002)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−11.1503のカットオフ値の使用は、90%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.91であるが、これは、非常に良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0161】
転写物2:正常および悪性群(p=0.001)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.6962のカットオフ値の使用は、90%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.96であるが、これは、非常に良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0162】
転写物3:正常および悪性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.6754のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0163】
転写物6:正常および悪性群(p=0.007)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−9.6479のカットオフ値の使用は、90%の感受性および70%の特異性を生じ、曲線下面積は0.86であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0164】
転写物11:正常および悪性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−1.3794のカットオフ値の使用は、100%の感受性および90%の特異性を生じ、曲線下面積は0.99であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0165】
転写物12:正常および悪性群(p=0.001)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−1.2379のカットオフ値の使用は、90%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.96であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0166】
転写物15:正常および悪性群(p=0.023)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−8.6926のカットオフ値の使用は、70%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.80であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0167】
転写物20:正常および悪性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.6521のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.76であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0168】
(結論)
上記の結果は、卵巣癌の検出における、ならびに正常卵巣組織から悪性組織を区別するに際しての、転写物1、2、3、6、11、12、15および20の有用性を例証する。転写物1、2および3は、前立腺癌の検出において有用性があることも見出された。転写物6は、黒色腫および肺癌の検出において有用性があることも判明した。転写物11は、黒色腫皮膚癌、結腸直腸癌および精巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物12は、結腸直腸癌および精巣癌の検出において有用性があることも見出された。転写物15は、黒色腫および精巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物20は、結腸直腸癌、黒色腫および精巣癌の検出において有用性があることも見出された。列挙した8つの転写物の何れも、個別に、または組合せて、臨床設定における卵巣癌の検出または特性化のためのツールとして用いられ得る。
【0169】
<実施例9:精巣癌への適用>
この試験は、精巣癌の検出における本発明のいくつかの転写物の有効性を確定しようとした。8例の対照(良性)組織試料(試料1〜8)および9例の腫瘍(悪性)組織試料(試料9〜17)を含む合計17の試料を調製した。悪性試料のうちの5例は非精上皮腫(試料9〜13)であり、4例は精上皮腫(試料14〜17)であった。試料を、メーカーの推奨に従ってホモジナイズした(Quantigene(登録商標)Sample Processing Kit for Fresh or Frozen Animal Tissue;およびQuantigene 2.0 Reagent System User Manual)。10の標的転写物および1つのハウスキーピング転写物を、前記の実施例で略記したように調製した。
【0170】
この実施例に用いた17の組織試料は、以下の特質を有した:
【0171】
【表8】

【0172】
転写物の特質を、以下のように要約する:
【0173】
【表9】

【0174】
転写物2、3、4、7、11、12、15、16および20は、実施例3〜8に関して上記したものと同一である、ということに留意すべきである。
【0175】
約25mgの凍結組織を用いて、ホモジネートを調製し、1:4に希釈した。Glomax(商標)多重検出系(Promega)で、相対的発光強度単位(RLU)で転写物の量を測定した。全試料を、各転写物に関して三重反復試験で検定した。バックグラウンド測定(無鋳型)を、同様に三重反復試験で実行した。分析は、試料に関するRLU値から下限を差し引くことにより、バックグラウンドを説明した。公式log2aRLU−log2hRLU(式中、aは標的融合転写物であり、hはハウスキーピング転写物である)を用いて、投入RNAを説明した。
【0176】
データの分析は、以下の工程を包含した:
a)三重反復検定に関するCV(変動係数)を確定する;≦15%である場合は、許容可能である。
【0177】
b)標的融合転写物(a)およびハウスキーピング転写物(h)の三重反復検定に関する平均RLUを確定する。
【0178】
c)バックグラウンドRLUの三重反復値からの下限(l)を確定する。
【0179】
d)(a)から下限(l)を差し引く。
【0180】
e)log2aRLU−log2hRLUを算定する。
【0181】
(結果の要約)
上記分析の結果を図10〜18(試料番号に対するlog2aRLU−log2hRLUのプロットを含む)に示す。各転写物に関する結果から確定されるそれぞれのROC(受信者動作特性)曲線も示す。
【0182】
いくつかの転写物は良性および悪性精巣組織間を区別するが、他のものは、腫瘍亜型の精上皮腫と非精上皮腫および/または良性精巣組織との間の区別を実証する。したがって、各クラスからの転写物を組合せると、精巣癌の検出だけでなく、精上皮腫または非精上皮腫の亜型への分類も助長される、と理解される。
【0183】
転写物2:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.02)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.5621のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.024)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような2.1006のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.90であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0184】
転写物3:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.018)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.969のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.969であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.017)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.8181のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.9であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0185】
転写物4:正常および悪性群(p=0.034)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−9.7628のカットオフ値の使用は、67%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は0.833であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0186】
転写物11:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.016)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.732のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.016)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような0.9884のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.90であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0187】
転写物12:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.056)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.5361のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.969であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.044)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.6039のカットオフ値の使用は、100%の感受性および80%の特異性を生じ、曲線下面積は0.9であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0188】
転写物13:正常群および悪性群(p=0.019)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−9.8751のカットオフ値の使用は、87.5%の感受性および78%の特異性を生じ、曲線下面積は0.875であるが、これは非常に良好な試験精度を示す。悪性非精上皮腫および良性群(p=0.000)の平均(p<0.01)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−13.9519のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.975であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫群(p=0.001)の平均(p<0.01)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−15.8501のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0189】
転写物15:正常および悪性群(p=0.065)の平均(p<0.1)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−5.4916のカットオフ値の使用は、75%の感受性および89%の特異性を生じ、曲線下面積は0.833であるが、これは、良好な試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0190】
転写物16:正常群および悪性群(精上皮腫および非精上皮腫の両方を含む)(p=0.037)の平均(p<0.05)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−6.448のカットオフ値の使用は、89%の感受性および75%の特異性を生じ、曲線下面積は0.806であるが、これは、良好な試験精度を示す。正常および悪性精上皮腫(p=0.037)の平均(p<0.05)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような−7.4575のカットオフ値の使用は、100%の感受性および87.5%の特異性を生じ、曲線下面積は0.938であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0191】
転写物20:正常群および悪性精上皮腫群(p=0.006)の平均(p<0.01)間に統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.8364のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。悪性精上皮腫および悪性非精上皮腫(p=0.004)の平均(p<0.01)間にも統計学的有意差が存在する。ROC曲線により実証されるような1.6065のカットオフ値の使用は、100%の感受性および100%の特異性を生じ、曲線下面積は1.00であるが、これは、優れた試験精度を示す。選択される閾値を、特定用途に関する試験の特異性または感受性を増大するよう調整し得る。
【0192】
(結論)
上記の結果は、精巣癌および亜型精巣癌の検出における、ならびに正常精巣組織から悪性組織を区別するに際しての、転写物2、3、4、11、12、13、15、16および20の有用性を例証する。転写物2は、前立腺癌、乳癌、結腸直腸癌および卵巣癌の検出において有用性があることも見出された。転写物3は、前立腺癌、乳癌、黒色腫、結腸直腸癌および卵巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物4は、前立腺癌および結腸直腸癌における有用性を有することも見出された。転写物11は、結腸直腸癌、黒色腫および卵巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物12は、結腸直腸癌および卵巣癌の検出において有用性があることも見出された。転写物15は、黒色腫および卵巣癌の検出において有用性があることも判明した。転写物16は、黒色腫皮膚癌の検出において有用性があることも判明した。転写物20は、結腸直腸癌、黒色腫および卵巣癌の検出において有用性があることも見出された。列挙した9つの転写物の何れも、個別に、または組合せて、臨床設定における精巣癌の検出または特性化のためのツールとして用いられ得る。
【0193】
一態様において、本発明は、組織試料中の癌の存在を確定するための検定を実行するためのキットを提供する。キットは、上記のような検定を実行するために必要とされる試薬を含む。特に、キットは、上記の転写物1〜17および20に対応する1つ以上のハイブリダイゼーションプローブを含有する1つ以上の容器を含む。理解されるように、検定を実行するための試薬は、任意の必要な緩衝剤、塩、検出試薬等を含む。さらに、キットは、例えばハイブリダイゼーションまたは核酸抽出により組織試料を調製するために必要とされる組織試料、試薬または材料を得るための、ならびに被験者検定(単数または複数)を実行するための任意の必要な試料収集装置、容器等を包含し得る。キットは、罹患または非罹患組織に関する許容可能な値を確定しまたは実証するための対照組織または試料も包含し得る。
【0194】
ある具体的実施形態を参照しながら本発明を記載してきたが、添付の特許請求の範囲に略記されたような本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、本発明の種々の修正が成され得ることは当業者に明らかである。本明細書中で言及される文書(論文、マニュアル、特許出願等)は全て、それらの記載内容が参照により本明細書中で援用される。
【0195】
〔文献〕
特に以下の参考文献を、前記の説明中で引用した。これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中で援用される。
【0196】
【表10】

【0197】

【0198】
【表11】

【0199】
【表12】

【0200】
【表13】

【0201】
【表14】

【0202】
−表中の単位結果はRLU(相対的発光強度単位)である。
−バックグラウンドG1、H1
−空のウエルG2〜G8、H2〜H8
【0203】
【表15】

【0204】
ホモジネート1−26 mgの組織を用いて、プロテイナーゼK(PK)を含有する700μLのH溶液中でホモジナイズした。Qiagen TissueRuptorを用いた。40μLのホモジネート上清を用いた。 希釈用20、10および5 μL。
【0205】
ホモジネート1=腫瘍状前立腺からの腫瘍組織。
【0206】
ホモジネート2−29 mgの組織を用いて、PKを含有する700μLのH溶液中でホモジナイズした。Qiagen TissueRuptorを用いた。40μLのホモジネート上清を用いた。 希釈用20、10および5 μL。
【0207】
ホモジネート2=腫瘍状前立腺からの正常組織。
【0208】
RNA希釈液は、以下のように作製した。RNAは、Ambionからの正常前立腺からであった。二重反復試験で検定を実行した。
【0209】
【表16】

【0210】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌に関連した単離ミトコンドリア融合転写物。
【請求項2】
挿入、転座、欠失、重複、組換え、再配列またはその組合せを含む請求項1記載のミトコンドリア融合転写物。
【請求項3】
欠失を含む請求項2記載のミトコンドリア融合転写物。
【請求項4】
配列番号18〜33または50のいずれか1つに記載の記配列を有する請求項3記載のミトコンドリア融合転写物。
【請求項5】
配列番号18〜21、23、25〜33または50のいずれか1つに記載の配列を有する請求項3記載のミトコンドリア融合転写物。
【請求項6】
表1に示される欠失配列の発現RNA転写物を含む請求項3記載のミトコンドリア融合転写物。
【請求項7】
配列番号34〜49および52のいずれか1つに記載の配列を有する請求項4記載のミトコンドリア融合転写物。
【請求項8】
請求項1記載のミトコンドリア融合転写物をコードする単離ミトコンドリアDNA(mtDNA)。
【請求項9】
配列番号2〜17または51のいずれか1つに記載の配列を有する請求項8記載の単離mtDNA。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミトコンドリア融合転写物または請求項8もしくは9記載のmtDNAの少なくとも一部と相補的な核酸配列を有するハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項11】
哺乳類における癌の検出方法であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミトコンドリア融合転写物の少なくとも一部と相補的である核酸配列を有する少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブによって、哺乳類からの組織試料をハイブリダイズすることにより、癌に関連した少なくとも1つのミトコンドリア融合転写物の存在に関して前記試料を検定するステップを包含する方法。
【請求項12】
哺乳類における癌の検出方法であって、請求項7または8記載のmtDNAの少なくとも一部と相補的である核酸配列を有する少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブによって、哺乳類からの組織試料をハイブリダイズすることにより、癌に関連した少なくとも1つの異常型mtDNAの存在に関して前記試料を検定する工程を包含する方法。
【請求項13】
前記癌が、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、黒色腫皮膚癌およびその組合せからなる群から選択される請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記検定が、以下の:
a)前記少なくとも1つのプローブを相補的ミトコンドリア融合転写物またはmtDNAとハイブリダイズさせるために前記プローブのうちの少なくとも1つを用いてハイブリダイゼーション反応を実行するステップ;
b)前記少なくとも1つのプローブとハイブリダイズされる前記転写物またはmtDNAの量を定量することにより、前記試料中の少なくとも1つのミトコンドリア融合転写物またはmtDNAの量を定量するステップ;および
c)前記試料中のミトコンドリア融合転写物またはmtDNAの量を少なくとも1つの既知の参照値と比較するステップ
を包含する請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記検定が診断的画像技法を用いて実行される請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記診断的画像技法が高処理量マイクロアレイ分析を含む請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記検定が分枝DNA技法を用いて実行される請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記検定がPCRを用いて実行される請求項14記載の方法。
【請求項19】
哺乳類における癌の存在を検出するための検定の実行用キットであって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のミトコンドリア融合転写物または請求項8もしくは9記載のmtDNAの少なくとも一部と相補的である少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブを含むキット。
【請求項20】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリア融合転写物を有するマイクロアレイからなる、癌に関連したものを同定するためのスクリーニングツール。
【請求項21】
請求項8または9記載の10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリアDNAを有するマイクロアレイからなる、癌に関連したものを同定するためのスクリーニングツール。
【請求項22】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリア融合転写物を有する多重分枝DNA検定からなる癌に関連したものを同定するためのスクリーニングツール。
【請求項23】
請求項8または9記載の10’s、100’sまたは1000’sのミトコンドリアDNAを有する多重分枝DNA検定からなる癌に関連したものを同定するためのスクリーニングツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a1】
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【図6a2】
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【図6b1】
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【図6b2】
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【図6c1】
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【図6c2】
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【図6d1】
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【図6d2】
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【図6e1】
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【図6e2】
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【図6f1】
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【図6f2】
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【図6g1】
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【図6g2】
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【図7a1】
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【図7a2】
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【図7b1】
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【図7b2】
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【図7c1】
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【図7c2】
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【図7d1】
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【図7d2】
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【図8a1】
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【図8a2】
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【図8b1】
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【図8b2】
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【図8c1】
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【図8c2】
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【図8d1】
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【図8d2】
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【図8e1】
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【図8e2】
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【図8f1】
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【図8f2】
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【図8g1】
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【図8g2】
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【図9a1】
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【図9a2】
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【図9a3】
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【図9a4】
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【図9b1】
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【図9b2】
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【図9b3】
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【図9b4】
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【図9c1】
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【図9c2】
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【図9c3】
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【図9c4】
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【図9d1】
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【図9d2】
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【図9d3】
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【図9d4】
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【図9e1】
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【図9e2】
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【図9e3】
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【図9e4】
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【図9f1】
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【図9f2】
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【図9f3】
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【図9f4】
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【図9g1】
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【図9g2】
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【図9g3】
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【図9g4】
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【図9h1】
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【図9h2】
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【図9h3】
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【図9h4】
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【図10a1】
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【図10a2】
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【図10a3】
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【図10b1】
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【図10b2】
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【図10b3】
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【図10b4】
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【図11a1】
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【図11a2】
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【図11a3】
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【図11b1】
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【図11b2】
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【図11b3】
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【図11b4】
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【図12(1)】
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【図12(2)】
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【図12(3)】
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【図12(4)】
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【図13a1】
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【図13a2】
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【図13a3】
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【図13b1】
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【図13b2】
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【図13b3】
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【図13b4】
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【図14a1】
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【図14a2】
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【図14a3】
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【図14b1】
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【図14b2】
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【図14b3】
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【図14b4】
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【図15a1】
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【図15a2】
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【図15a3】
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【図15a4】
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【図15a5】
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【図15a6】
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【図15b1】
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【図15b2】
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【図15b3】
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【図15b4】
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【図16(1)】
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【図16(2)】
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【図16(3)】
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【図16(4)】
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【図17a1】
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【図17a2】
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【図17a3】
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【図17a4】
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【図17a5】
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【図17a6】
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【図17b1】
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【図17b2】
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【図18a1】
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【図18a2】
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【図18a3】
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【図18b1】
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【図18b2】
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【図18b3】
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【図18b4】
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【公表番号】特表2011−515091(P2011−515091A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501069(P2011−501069)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000351
【国際公開番号】WO2009/117811
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510100508)ミトミクス インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】GENESIS GENOMICS INC.
【住所又は居所原語表記】Suite 1000,290 Munro Street,Thunder Bay,Ontario P7A 7T1
【Fターム(参考)】