発光装置
【課題】反射面における反射率を減少することができる発光装置を提供する。特に、濡れた路面においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置1において、偏向光20を発する発光素子2と、発光素子2から発せられた偏向光20を反射する反射面4への入射面21Fに対して、偏向光20(入射光21)の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュール3とを備える。
【解決手段】発光装置1において、偏向光20を発する発光素子2と、発光素子2から発せられた偏向光20を反射する反射面4への入射面21Fに対して、偏向光20(入射光21)の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュール3とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光素子から発せられ反射面において反射される光の反射率を制御することができる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶ディスプレイのバックライト等には発光素子から入射される光の伝搬方向を変更して出力する光学素子(導光板)が使用されている。この導光板から出力された光は偏光板を介して液晶パネルに入力され、液晶ディスプレイに画像を表示することができる。導光板に入射された光(以下、単に「入射光」という。)は導光板の内部において散乱された後、光を取り出す発光面全体において散乱された光を均一に発光させることができる。すなわち、導光板の内部において入射光を反射する反射面の表面に反射パターンが形成されており、入射光が反射パターンによって方向付けされて導光板の内部を伝搬し、導光板の内部を伝搬した光は発光面から出力される。
【0003】
近年、出力光を偏向光とする発光素子が採用される傾向にある。この種の発光素子を液晶バックライトやプロジェクタの光源として使用すれば、偏光板においてカットされる光の成分が少なくなり、発光効率を向上することができるものであると、下記非特許文献1に記載されているように期待がなされている。
【非特許文献1】タケウチ(T. Takeuchi)他著、「ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス、第39巻 (Japanese Journal of Applied Physics vol.39) 」、2000年、413頁−416頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、自動車等の車両のヘッドライト、テールランプ等の照明装置に発光ダイオード(LED)が使用される傾向にある。発光ダイオードはバッテリの低消費電力化に優れており、又寿命が長い特徴がある。一般的に使用される発光ダイオードは無偏光照明装置である。このような照明装置から発せられる光は、雨天時、雨天後等の濡れた路面において、ギラギラした反射を生じる。ヘッドライトにおいては対向車両の運転手が、テールランプにおいては後続車両の運転手が、いずれも車線の視認性を損うという不具合があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、反射面における反射率を減少することができる発光装置を提供することである。特に、本発明は、濡れた路面においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、発光装置において、偏光特性を持つ光を発する発光素子と、発光素子から発せられた光を反射する反射面への入射面に対して、入射光のP波の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュールとを備える。特に、発光素子から発せられる入射光のP波の偏光方向が入射面に対して平行に設定されていることが好ましい。更に、第1の特徴に係る発光装置において、発光素子は、非極性面又は半極性面を主面とするIII族窒化物半導体により構成され、第1導電型の第1半導体層、この第1半導体層上の発光層及びこの発光層上の第2導電型の第2半導体層を備えていることが好ましい。
【0007】
この第1の特徴に係る発光装置は車両のテールランプ又は車両のヘッドライトに組み込まれる。また、第1の特徴に係る発光装置において反射面は表示装置の画面であり、発光装置は表示装置の画面を照明する照明装置又はそれに組み込まれる発光装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反射面における反射率を減少することができる発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、自動車等の車両のテールランプ及びヘッドライトに組み込まれる発光装置に本発明を適用した例を説明するものである。
【0011】
[発光装置のシステム構成]
図1に示すように、第1の実施の形態に係る発光装置1は、偏光特性を持つ光(以下、単に「偏向光」という。)20を発する発光素子2と、発光素子20から発せられた偏向光20を入射光21として反射する反射面4への入射面21Fに対して、入射光21の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュール3とを備えている。
【0012】
[発光素子の構成]
第1の実施の形態に係る発光素子2は、例えば、図2に示すように、偏向光20を発生する発光部220と、この発光部220を搭載し発光部20から発せられる偏向光20を出力する出力部(基板)210とを備えている。ここで、「偏向光」とは直線偏光成分が均等(ランダム)ではなく偏りがあるものを意味するが、第1の実施の形態においては100%の直線偏光である必要はない。従って、偏向光20の偏光方向とは、最も直線偏光成分の大きい方向である。
【0013】
発光部220は、GaN結晶の非極性(ノンポーラ)面又は半極性(セミポーラ)面を結晶成長表面として使用し、第1導電型の第1半導体層221、活性層222及び第2導電型の第2半導体層223のそれぞれを、順次、結晶成長表面の法線方向に積層して形成されている。例えば、結晶成長表面が非極性面であるm面とすると、発光素子2はm面を主面とするIII族窒化物半導体により構成される。III族窒化物半導体には、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等がある。代表的なIII族窒化物半導体はAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)により表される。GaN半導体は、窒素を含む六方晶化合物半導体の中でもよく知られたIII−V族化合物半導体である。
【0014】
活性層222には、第1半導体層221から第1導電型のキャリアが供給され、第2半導体層223から第2導電型のキャリアが供給される。第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である場合、活性層222において第1半導体層221から供給される電子と第2半導体層223から供給される正孔との再結合がなされ、活性層222から偏向光20が発せられる。なお、活性層222には、例えば、井戸層(ウェル層)を井戸層よりもバンドギャップの大きなバリア層(層障壁層)でサンドイッチ状に挟んだ量子井戸(quantum well)構造を採用することができる。また、量子井戸構造には井戸層が1つではなく多重化された量子井戸構造が含まれ、更に活性層222を多重量子井戸(MQW)構造とする量子井戸構造が含まれる。
【0015】
通常、GaN結晶の極性面であるc面を結晶成長表面とするIII族窒化物半導体からなる活性層から取り出される光はランダム偏光(無偏光)状態である。一方、c面以外のa面、m面等の非極性面又は半極性面を結晶成長表面とするIII族窒化物半導体を用いて形成した活性層222から取り出される光においては強い偏光状態を実現することができる。例えば、m面を主面として活性層222が構成される場合、m面に平行な偏光成分、より具体的にはa軸方向の偏光成分を多く含む偏向光20を活性層222から発生させることができる。非極性面及び半極性面の詳細な説明は後述する。
【0016】
発光部220は出力部210の結晶成長面上に結晶成長により成長させ形成される。すなわち、図2に示すように、発光素子2は、出力部210を含み、この出力部210と、この出力部210上の第1半導体層221と、この第1半導体層221上の活性層222と、この活性層222上の第2半導体層223とを備えている。第1の実施の形態において、出力部210は例えばGaN単結晶基板により構成されている。出力部10の結晶成長表面となる主面が非極性面であるm面を主面とした場合、この主面上に結晶成長により発光部220を形成することができる。つまり、発光部220はm面を結晶成長主面とするGaNにより構成され、発光素子2はm面を結晶成長面主面として成長させたIII族窒化物半導体により構成される。出力部210の主面は発光部220の主面と同一である。
【0017】
発光素子2は、更に第1半導体層221に動作電圧を供給する第1電極211と、第2半導体層223に動作電圧を供給する第2電極212を備える。同図2に示すように、第2半導体層223、活性層222及び第1半導体層221の一部の領域がメサエッチングにより除去され第1半導体層221が露出された表面上に第1電極211が配設される。第1の半導体層221と第1電極211との間は電気的に接続されている。第2電極212は第2半導体層223上に配設される。第2半導体層223と第2電極212との間は電気的に接続されている。
【0018】
第1電極211には例えばアルミニウム(Al)が使用され、第2電極212には例えばパラジウム(Pd)−金(Au)合金が使用される。第1電極211は第1半導体層211にオーミック接続され、第2電極212は第2半導体層233にオーミック接続される。なお、第1半導体層221と第1電極211の間に第1導電型のコンタクト層を介在させてもよい。また、第2半導体層223と第2電極212との間に第2導電型のコンタクト層を介在させてもよい。
【0019】
発光素子2において、出力部210の第1半導体層221に接する結晶成長表面(主面若しくは表面)に対向する面(裏面)は出力面210Aである。活性層222から発せられた偏向光20は、出力光として出力面210Aから発光素子2の外部に出力される。第1の実施の形態に係る発光素子2は、発光素子取付モジュール3の電極(図示しない。)にバンプ電極を介して電気的に接続され、フリップチップ方式により実装されている。
【0020】
[発光素子の結晶構造]
発光素子2を構成するIII族窒化物半導体のユニットセルの結晶構造は図3及び図4に示すように六方晶系の結晶構造により近似することができる。六方晶系の結晶構造において、c軸は六角柱の軸方向に沿う軸である。このc軸を法線とする面(六角柱の頂面)はc面{0001}である。c面に平行な2つの面においてIII族窒化物半導体の結晶を劈開すると、+c軸側の面(+c面)はIII族原子を並べた結晶面になる。−c軸側の面(−c面)は窒素原子を並べた結晶面となる。このため、c面は、+c軸側と−c軸側とにおいて異なる性質を示すので、極性面(polar plane)と呼ばれている。
【0021】
図4に示すように、1つのIII族原子に対して4つの窒素原子が結合されている。4つの窒素原子はIII族原子を中央に配置した正四面体の4つの頂点に位置している。これらの4つの窒素原子のうち、1つの窒素原子はIII族原子に対して+c軸方向に位置し、他の3つの窒素原子はIII族原子に対して−c軸側に位置している。このような結晶構造を有するので、III族窒化物半導体において分極方向はc軸に沿っている。
【0022】
六方晶系の結晶構造においては、六角柱の側面のそれぞれはm面{1−100}である。隣り合わない一対の稜線を通る面はa面{11−20}である。m面並びにa面は、c面に対して直角な結晶面であり、分極方向に対して直交しているため、極性のない平面すなわち非極性面(non-polar plane)である。更に、c面に対して傾斜している(c面に平行でもなく、直角でもない)結晶面は、分極方向に対して斜めに交差しているので、若干の極性のある平面すなわち半極性面(semi-polar plane)である。半極性面の具体例は、図5(A)に示す{10−11}面、図5(B)に示す{10−13}面等である。
【0023】
[偏向光の反射特性]
第1の実施の形態に係る発光装置1の発光素子2から発せられる偏向光20は、図1に示すように、P波21p及びS波21sの2種類の偏向方向を持つ入射光21として反射面4に入射され、反射面4の表面において反射される。入射光21の入射光軸と反射面4の面法線とを含む面を入射面21Fとし、図1に仮想的に示すと、P波21pは入射光21の偏向の入射面21Fに対する平行成分であり、S波21sは入射光21の偏向の入射面21Fに対する垂直成分である。
【0024】
発光装置1において、発光素子取付モジュール3により、発光素子2から発せられる偏向光20の入射光21は、図6に示すように、P波21pの偏向方向を入射面21Fに対して平行に設定している。つまり、入射光21のP波21pは反射面4に対して垂直方向に振動する。
【0025】
入射光21の反射面4に対する入射角度と反射率との関係を図7に示す。図中、横軸は入射光軸と反射面4の面法線とがなす入射角θである。縦軸は反射率Rである。ここで、屈折率ntは例えば1.52である。入射光21の反射率Rは下記式により表される。
【0026】
R = ( 反射率Rp + 反射率Rs ) / 2
反射率Rpは入射光21のP波21pが反射面4に入射したときの反射率である。反射率Rsは入射光21のS波21sが反射面4に入射したときの反射率である。入射角θが約30度から約90度の範囲内において、入射光21の反射率Rに比べて、S波21sの反射率Rpは大きい。これに対して、同角度範囲内において、入射光21の反射率Rに比べて、P波21pの反射率Rpは小さい。
【0027】
第1の実施の形態に係る発光装置1においては、発光素子2から発せられる偏向光20のP波21pの反射率Rpが小さくなる性質を利用し、図8に示すように、自動車等の車両6のテールランプ61に発光装置1を組み込むことにより、この発光装置1から発せられる偏向光20の反射面4における反射率を減少することができる。特に、反射面4、具体的には路面41に水42が存在するいわゆる濡れた路面41においてギラギラした反射を減少することができるので、後続車両7の運転手8の車線に対する視認性を向上することができる。
【0028】
また、第1の実施の形態に係る発光装置1においては、車両6のヘッドライト62にも組み込むことができる。この場合には、同様に濡れた路面41においてギラギラした反射を減少することができるので、対向車両の運転手(図示しない。)の車線に対する視認性を向上することができる。この結果、雨天走行時等の安全性を向上することができる発光装置1を実現することができる。
【0029】
図9に示すように、入射光21の偏向方向が入射面21Fに対して若干傾きを生じる場合であっても、第1の実施の形態に係る発光装置1は、P波21pの反射率Rpを減少することができる。偏向方向に傾きを持つP波21pにおいては、入射面21Fに対して平行なP波成分21p1と入射面21Fに対して垂直なS波成分21s1とに分解することができる。後者のS波成分21s1はギラギラを生じる反射成分である。このS波成分21s1に対して、P波成分21p1が大きければP波成分21p1が支配的になり、反射率Rpを減少することができる。具体的には、入射面21Fに対して入射光21の偏光方向が±45度未満の傾き|θA|に設定されていれば、自然光に比べてP波21pの反射率Rpを減少することができる。
【0030】
更に、前述の図7に示すように、入射光21のP波21pの反射率Rpがゼロになる入射角θBが存在する。つまり、濡れた路面41において、ギラギラした反射が実効的に生じることがない。第1の実施の形態において、反射率Rpを実質的にゼロにすることができる入射角θBは53度から60度の範囲内である。また、第1の実施の形態においては、入射光21のP波21pの入射角θが45度から75度の範囲内であれば、入射光21そのものの反射率Rに対して半減することができ、大幅に反射率を減少することができる。従って、第1の実施の形態において、発光素子2から発せられる入射光21の偏光方向を入射面21Fに対して平行に設定することにより、濡れた路面41においてギラギラした反射を大幅に減少することができる。
【0031】
[発光素子取付モジュールの構成]
図10(A)に示すように、発光素子取付モジュール3において、発光素子2は、それから発せられる入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して平行(又は反射面4に対して垂直)に調整し、かつP波21pの入射角θを反射率Rpゼロに調整して、本体内部に組み付けられる。なお、第1の実施の形態においては、前述のように、入射光21の偏向方向が反射面4への入射面21Fに対して±45度未満の傾きに調整して、発光素子取付モジュール3の本体内部に発光素子2を組み付けることができる。
【0032】
また、第1の実施の形態においては、図10(B)に示すように、発光素子2は、それから発せられる入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して平行でなく、発光素子取付モジュール3に組み付けてもよい。この場合、テールランプ(ユニット)61又はヘッドライト(ユニット)62に発光素子取付モジュール3が組み付けられた際に、この発光素子取付モジュール3の発光素子2から発せられる入射光21の偏向方向が反射面4への入射面21Fに対して平行に調整される。
【0033】
このように第1の実施の形態に係る発光装置1においては、反射面4における反射率Rを減少することができる発光装置1を提供することができる。特に、第1の実施の形態に係る発光装置1においては、濡れた路面41においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置1を提供することができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る発光装置1を室内照明装置に使用した例を説明するものである。
【0035】
[発光装置のシステム構成]
図11に示すように、第2の実施の形態に係る発光装置1は室内照明装置に利用されている。すなわち、発光装置1は、偏向光20を発する発光素子2と、発光素子20から発せられた偏向光20を反射する反射面4への入射面21F(図1参照。)に対して、入射光21の偏光方向を±45度未満好ましくは平行に設定する発光素子取付モジュール3とを備えている。
【0036】
ここで、反射面4は、表示装置の画面であり、発光装置1は表示装置の画面を照明する室内照明装置として使用されている。表示装置には例えばブラウン管表示装置、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等が含まれ、この表示装置はテレビジョンやパーソナルコンピュータのモニタとして使用されている。
【0037】
つまり、第2の実施の形態に係る発光装置(室内照明装置)1は、発光素子2から発せられる入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して平行に調整している。また、発光装置1は、前述のように、入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して±45度未満の傾きに調整している。結果的に、発光装置1から発せられる入射光21の反射面4におけるP波21pの反射率Rpを減少することができるので、反射面4(表示装置の画面)においてギラギラの反射を減少することができる。従って、使用者9においては、室内照明装置からの反射が少ない表示装置の画面を見ることができる。
【0038】
このように第2の実施の形態に係る発光装置1においては、反射面4における反射率Rを減少することができる発光装置1を提供することができる。特に、第2の実施の形態に係る発光装置1においては、表示装置の画面においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置1を提供することができる。なお、発光装置1は室内照明装置に使用される場合に限るものではなく、第2の実施の形態に係る発光装置1においては室外(野外)照明装置に使用することができる。
【0039】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は前述の第1の実施の形態及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。例えば、雨等の悪天候によって反射面が濡れ、反射面においてギラギラした反射により視認性が劣化する道路標識、信号機等に向かって偏向光を発する発光装置に本発明を適用することができる。
【0040】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含む。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置のシステム構成を説明する概念図である。
【図2】図1に示す発光装置の発光素子の構成を示す要部断面図である。
【図3】図2に示す発光素子のIII族窒化物半導体の非極性面を説明する結晶構造図である。
【図4】図2に示す発光素子のIII族窒化物半導体の原子配列を説明する結晶構造図である。
【図5】(A)及び(B)はいずれも図2に示す発光素子のIII族窒化物半導体の半極性面を説明する結晶構造図である。
【図6】図1に示す発光装置から発せられる偏向光の入射光と反射面との関係を示す図である。
【図7】図1に示す発光装置から発せられる偏向光の入射光の反射面への入射角度と反射面における反射率との関係を示す図である。
【図8】図1に示す発光装置のテールランプ及びヘッドランプへの応用例を説明する概念図である。
【図9】図1に示す発光装置から発せられる偏向光の入射光と反射面との関係を示す図である。
【図10】(A)及び(B)はいずれも図1に示す発光装置において発光素子を組み込む発光素子取付モジュールの構成を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置のシステム構成を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0042】
1…発光装置
2…発光素子
20…偏向光
21…入射光
21p…P波
21s…S波
21F…入射面
210…出力部
210A…出力面
211…第1電極
212…第2電極
220…発光部
221…第1半導体層
222…活性層
223…第2半導体層
3…発光素子取付モジュール
4…反射面(表示装置の画面)
41…路面
42…水
6、7…車両
61…テールランプ
62…ヘッドランプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、特に、発光素子から発せられ反射面において反射される光の反射率を制御することができる発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶ディスプレイのバックライト等には発光素子から入射される光の伝搬方向を変更して出力する光学素子(導光板)が使用されている。この導光板から出力された光は偏光板を介して液晶パネルに入力され、液晶ディスプレイに画像を表示することができる。導光板に入射された光(以下、単に「入射光」という。)は導光板の内部において散乱された後、光を取り出す発光面全体において散乱された光を均一に発光させることができる。すなわち、導光板の内部において入射光を反射する反射面の表面に反射パターンが形成されており、入射光が反射パターンによって方向付けされて導光板の内部を伝搬し、導光板の内部を伝搬した光は発光面から出力される。
【0003】
近年、出力光を偏向光とする発光素子が採用される傾向にある。この種の発光素子を液晶バックライトやプロジェクタの光源として使用すれば、偏光板においてカットされる光の成分が少なくなり、発光効率を向上することができるものであると、下記非特許文献1に記載されているように期待がなされている。
【非特許文献1】タケウチ(T. Takeuchi)他著、「ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス、第39巻 (Japanese Journal of Applied Physics vol.39) 」、2000年、413頁−416頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、自動車等の車両のヘッドライト、テールランプ等の照明装置に発光ダイオード(LED)が使用される傾向にある。発光ダイオードはバッテリの低消費電力化に優れており、又寿命が長い特徴がある。一般的に使用される発光ダイオードは無偏光照明装置である。このような照明装置から発せられる光は、雨天時、雨天後等の濡れた路面において、ギラギラした反射を生じる。ヘッドライトにおいては対向車両の運転手が、テールランプにおいては後続車両の運転手が、いずれも車線の視認性を損うという不具合があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、反射面における反射率を減少することができる発光装置を提供することである。特に、本発明は、濡れた路面においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、発光装置において、偏光特性を持つ光を発する発光素子と、発光素子から発せられた光を反射する反射面への入射面に対して、入射光のP波の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュールとを備える。特に、発光素子から発せられる入射光のP波の偏光方向が入射面に対して平行に設定されていることが好ましい。更に、第1の特徴に係る発光装置において、発光素子は、非極性面又は半極性面を主面とするIII族窒化物半導体により構成され、第1導電型の第1半導体層、この第1半導体層上の発光層及びこの発光層上の第2導電型の第2半導体層を備えていることが好ましい。
【0007】
この第1の特徴に係る発光装置は車両のテールランプ又は車両のヘッドライトに組み込まれる。また、第1の特徴に係る発光装置において反射面は表示装置の画面であり、発光装置は表示装置の画面を照明する照明装置又はそれに組み込まれる発光装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反射面における反射率を減少することができる発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、自動車等の車両のテールランプ及びヘッドライトに組み込まれる発光装置に本発明を適用した例を説明するものである。
【0011】
[発光装置のシステム構成]
図1に示すように、第1の実施の形態に係る発光装置1は、偏光特性を持つ光(以下、単に「偏向光」という。)20を発する発光素子2と、発光素子20から発せられた偏向光20を入射光21として反射する反射面4への入射面21Fに対して、入射光21の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュール3とを備えている。
【0012】
[発光素子の構成]
第1の実施の形態に係る発光素子2は、例えば、図2に示すように、偏向光20を発生する発光部220と、この発光部220を搭載し発光部20から発せられる偏向光20を出力する出力部(基板)210とを備えている。ここで、「偏向光」とは直線偏光成分が均等(ランダム)ではなく偏りがあるものを意味するが、第1の実施の形態においては100%の直線偏光である必要はない。従って、偏向光20の偏光方向とは、最も直線偏光成分の大きい方向である。
【0013】
発光部220は、GaN結晶の非極性(ノンポーラ)面又は半極性(セミポーラ)面を結晶成長表面として使用し、第1導電型の第1半導体層221、活性層222及び第2導電型の第2半導体層223のそれぞれを、順次、結晶成長表面の法線方向に積層して形成されている。例えば、結晶成長表面が非極性面であるm面とすると、発光素子2はm面を主面とするIII族窒化物半導体により構成される。III族窒化物半導体には、例えば窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等がある。代表的なIII族窒化物半導体はAlxInyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)により表される。GaN半導体は、窒素を含む六方晶化合物半導体の中でもよく知られたIII−V族化合物半導体である。
【0014】
活性層222には、第1半導体層221から第1導電型のキャリアが供給され、第2半導体層223から第2導電型のキャリアが供給される。第1導電型がn型であり、第2導電型がp型である場合、活性層222において第1半導体層221から供給される電子と第2半導体層223から供給される正孔との再結合がなされ、活性層222から偏向光20が発せられる。なお、活性層222には、例えば、井戸層(ウェル層)を井戸層よりもバンドギャップの大きなバリア層(層障壁層)でサンドイッチ状に挟んだ量子井戸(quantum well)構造を採用することができる。また、量子井戸構造には井戸層が1つではなく多重化された量子井戸構造が含まれ、更に活性層222を多重量子井戸(MQW)構造とする量子井戸構造が含まれる。
【0015】
通常、GaN結晶の極性面であるc面を結晶成長表面とするIII族窒化物半導体からなる活性層から取り出される光はランダム偏光(無偏光)状態である。一方、c面以外のa面、m面等の非極性面又は半極性面を結晶成長表面とするIII族窒化物半導体を用いて形成した活性層222から取り出される光においては強い偏光状態を実現することができる。例えば、m面を主面として活性層222が構成される場合、m面に平行な偏光成分、より具体的にはa軸方向の偏光成分を多く含む偏向光20を活性層222から発生させることができる。非極性面及び半極性面の詳細な説明は後述する。
【0016】
発光部220は出力部210の結晶成長面上に結晶成長により成長させ形成される。すなわち、図2に示すように、発光素子2は、出力部210を含み、この出力部210と、この出力部210上の第1半導体層221と、この第1半導体層221上の活性層222と、この活性層222上の第2半導体層223とを備えている。第1の実施の形態において、出力部210は例えばGaN単結晶基板により構成されている。出力部10の結晶成長表面となる主面が非極性面であるm面を主面とした場合、この主面上に結晶成長により発光部220を形成することができる。つまり、発光部220はm面を結晶成長主面とするGaNにより構成され、発光素子2はm面を結晶成長面主面として成長させたIII族窒化物半導体により構成される。出力部210の主面は発光部220の主面と同一である。
【0017】
発光素子2は、更に第1半導体層221に動作電圧を供給する第1電極211と、第2半導体層223に動作電圧を供給する第2電極212を備える。同図2に示すように、第2半導体層223、活性層222及び第1半導体層221の一部の領域がメサエッチングにより除去され第1半導体層221が露出された表面上に第1電極211が配設される。第1の半導体層221と第1電極211との間は電気的に接続されている。第2電極212は第2半導体層223上に配設される。第2半導体層223と第2電極212との間は電気的に接続されている。
【0018】
第1電極211には例えばアルミニウム(Al)が使用され、第2電極212には例えばパラジウム(Pd)−金(Au)合金が使用される。第1電極211は第1半導体層211にオーミック接続され、第2電極212は第2半導体層233にオーミック接続される。なお、第1半導体層221と第1電極211の間に第1導電型のコンタクト層を介在させてもよい。また、第2半導体層223と第2電極212との間に第2導電型のコンタクト層を介在させてもよい。
【0019】
発光素子2において、出力部210の第1半導体層221に接する結晶成長表面(主面若しくは表面)に対向する面(裏面)は出力面210Aである。活性層222から発せられた偏向光20は、出力光として出力面210Aから発光素子2の外部に出力される。第1の実施の形態に係る発光素子2は、発光素子取付モジュール3の電極(図示しない。)にバンプ電極を介して電気的に接続され、フリップチップ方式により実装されている。
【0020】
[発光素子の結晶構造]
発光素子2を構成するIII族窒化物半導体のユニットセルの結晶構造は図3及び図4に示すように六方晶系の結晶構造により近似することができる。六方晶系の結晶構造において、c軸は六角柱の軸方向に沿う軸である。このc軸を法線とする面(六角柱の頂面)はc面{0001}である。c面に平行な2つの面においてIII族窒化物半導体の結晶を劈開すると、+c軸側の面(+c面)はIII族原子を並べた結晶面になる。−c軸側の面(−c面)は窒素原子を並べた結晶面となる。このため、c面は、+c軸側と−c軸側とにおいて異なる性質を示すので、極性面(polar plane)と呼ばれている。
【0021】
図4に示すように、1つのIII族原子に対して4つの窒素原子が結合されている。4つの窒素原子はIII族原子を中央に配置した正四面体の4つの頂点に位置している。これらの4つの窒素原子のうち、1つの窒素原子はIII族原子に対して+c軸方向に位置し、他の3つの窒素原子はIII族原子に対して−c軸側に位置している。このような結晶構造を有するので、III族窒化物半導体において分極方向はc軸に沿っている。
【0022】
六方晶系の結晶構造においては、六角柱の側面のそれぞれはm面{1−100}である。隣り合わない一対の稜線を通る面はa面{11−20}である。m面並びにa面は、c面に対して直角な結晶面であり、分極方向に対して直交しているため、極性のない平面すなわち非極性面(non-polar plane)である。更に、c面に対して傾斜している(c面に平行でもなく、直角でもない)結晶面は、分極方向に対して斜めに交差しているので、若干の極性のある平面すなわち半極性面(semi-polar plane)である。半極性面の具体例は、図5(A)に示す{10−11}面、図5(B)に示す{10−13}面等である。
【0023】
[偏向光の反射特性]
第1の実施の形態に係る発光装置1の発光素子2から発せられる偏向光20は、図1に示すように、P波21p及びS波21sの2種類の偏向方向を持つ入射光21として反射面4に入射され、反射面4の表面において反射される。入射光21の入射光軸と反射面4の面法線とを含む面を入射面21Fとし、図1に仮想的に示すと、P波21pは入射光21の偏向の入射面21Fに対する平行成分であり、S波21sは入射光21の偏向の入射面21Fに対する垂直成分である。
【0024】
発光装置1において、発光素子取付モジュール3により、発光素子2から発せられる偏向光20の入射光21は、図6に示すように、P波21pの偏向方向を入射面21Fに対して平行に設定している。つまり、入射光21のP波21pは反射面4に対して垂直方向に振動する。
【0025】
入射光21の反射面4に対する入射角度と反射率との関係を図7に示す。図中、横軸は入射光軸と反射面4の面法線とがなす入射角θである。縦軸は反射率Rである。ここで、屈折率ntは例えば1.52である。入射光21の反射率Rは下記式により表される。
【0026】
R = ( 反射率Rp + 反射率Rs ) / 2
反射率Rpは入射光21のP波21pが反射面4に入射したときの反射率である。反射率Rsは入射光21のS波21sが反射面4に入射したときの反射率である。入射角θが約30度から約90度の範囲内において、入射光21の反射率Rに比べて、S波21sの反射率Rpは大きい。これに対して、同角度範囲内において、入射光21の反射率Rに比べて、P波21pの反射率Rpは小さい。
【0027】
第1の実施の形態に係る発光装置1においては、発光素子2から発せられる偏向光20のP波21pの反射率Rpが小さくなる性質を利用し、図8に示すように、自動車等の車両6のテールランプ61に発光装置1を組み込むことにより、この発光装置1から発せられる偏向光20の反射面4における反射率を減少することができる。特に、反射面4、具体的には路面41に水42が存在するいわゆる濡れた路面41においてギラギラした反射を減少することができるので、後続車両7の運転手8の車線に対する視認性を向上することができる。
【0028】
また、第1の実施の形態に係る発光装置1においては、車両6のヘッドライト62にも組み込むことができる。この場合には、同様に濡れた路面41においてギラギラした反射を減少することができるので、対向車両の運転手(図示しない。)の車線に対する視認性を向上することができる。この結果、雨天走行時等の安全性を向上することができる発光装置1を実現することができる。
【0029】
図9に示すように、入射光21の偏向方向が入射面21Fに対して若干傾きを生じる場合であっても、第1の実施の形態に係る発光装置1は、P波21pの反射率Rpを減少することができる。偏向方向に傾きを持つP波21pにおいては、入射面21Fに対して平行なP波成分21p1と入射面21Fに対して垂直なS波成分21s1とに分解することができる。後者のS波成分21s1はギラギラを生じる反射成分である。このS波成分21s1に対して、P波成分21p1が大きければP波成分21p1が支配的になり、反射率Rpを減少することができる。具体的には、入射面21Fに対して入射光21の偏光方向が±45度未満の傾き|θA|に設定されていれば、自然光に比べてP波21pの反射率Rpを減少することができる。
【0030】
更に、前述の図7に示すように、入射光21のP波21pの反射率Rpがゼロになる入射角θBが存在する。つまり、濡れた路面41において、ギラギラした反射が実効的に生じることがない。第1の実施の形態において、反射率Rpを実質的にゼロにすることができる入射角θBは53度から60度の範囲内である。また、第1の実施の形態においては、入射光21のP波21pの入射角θが45度から75度の範囲内であれば、入射光21そのものの反射率Rに対して半減することができ、大幅に反射率を減少することができる。従って、第1の実施の形態において、発光素子2から発せられる入射光21の偏光方向を入射面21Fに対して平行に設定することにより、濡れた路面41においてギラギラした反射を大幅に減少することができる。
【0031】
[発光素子取付モジュールの構成]
図10(A)に示すように、発光素子取付モジュール3において、発光素子2は、それから発せられる入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して平行(又は反射面4に対して垂直)に調整し、かつP波21pの入射角θを反射率Rpゼロに調整して、本体内部に組み付けられる。なお、第1の実施の形態においては、前述のように、入射光21の偏向方向が反射面4への入射面21Fに対して±45度未満の傾きに調整して、発光素子取付モジュール3の本体内部に発光素子2を組み付けることができる。
【0032】
また、第1の実施の形態においては、図10(B)に示すように、発光素子2は、それから発せられる入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して平行でなく、発光素子取付モジュール3に組み付けてもよい。この場合、テールランプ(ユニット)61又はヘッドライト(ユニット)62に発光素子取付モジュール3が組み付けられた際に、この発光素子取付モジュール3の発光素子2から発せられる入射光21の偏向方向が反射面4への入射面21Fに対して平行に調整される。
【0033】
このように第1の実施の形態に係る発光装置1においては、反射面4における反射率Rを減少することができる発光装置1を提供することができる。特に、第1の実施の形態に係る発光装置1においては、濡れた路面41においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置1を提供することができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る発光装置1を室内照明装置に使用した例を説明するものである。
【0035】
[発光装置のシステム構成]
図11に示すように、第2の実施の形態に係る発光装置1は室内照明装置に利用されている。すなわち、発光装置1は、偏向光20を発する発光素子2と、発光素子20から発せられた偏向光20を反射する反射面4への入射面21F(図1参照。)に対して、入射光21の偏光方向を±45度未満好ましくは平行に設定する発光素子取付モジュール3とを備えている。
【0036】
ここで、反射面4は、表示装置の画面であり、発光装置1は表示装置の画面を照明する室内照明装置として使用されている。表示装置には例えばブラウン管表示装置、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置等が含まれ、この表示装置はテレビジョンやパーソナルコンピュータのモニタとして使用されている。
【0037】
つまり、第2の実施の形態に係る発光装置(室内照明装置)1は、発光素子2から発せられる入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して平行に調整している。また、発光装置1は、前述のように、入射光21の偏向方向を反射面4への入射面21Fに対して±45度未満の傾きに調整している。結果的に、発光装置1から発せられる入射光21の反射面4におけるP波21pの反射率Rpを減少することができるので、反射面4(表示装置の画面)においてギラギラの反射を減少することができる。従って、使用者9においては、室内照明装置からの反射が少ない表示装置の画面を見ることができる。
【0038】
このように第2の実施の形態に係る発光装置1においては、反射面4における反射率Rを減少することができる発光装置1を提供することができる。特に、第2の実施の形態に係る発光装置1においては、表示装置の画面においてギラギラした反射光の発生を減少することができる発光装置1を提供することができる。なお、発光装置1は室内照明装置に使用される場合に限るものではなく、第2の実施の形態に係る発光装置1においては室外(野外)照明装置に使用することができる。
【0039】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は前述の第1の実施の形態及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。例えば、雨等の悪天候によって反射面が濡れ、反射面においてギラギラした反射により視認性が劣化する道路標識、信号機等に向かって偏向光を発する発光装置に本発明を適用することができる。
【0040】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含む。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置のシステム構成を説明する概念図である。
【図2】図1に示す発光装置の発光素子の構成を示す要部断面図である。
【図3】図2に示す発光素子のIII族窒化物半導体の非極性面を説明する結晶構造図である。
【図4】図2に示す発光素子のIII族窒化物半導体の原子配列を説明する結晶構造図である。
【図5】(A)及び(B)はいずれも図2に示す発光素子のIII族窒化物半導体の半極性面を説明する結晶構造図である。
【図6】図1に示す発光装置から発せられる偏向光の入射光と反射面との関係を示す図である。
【図7】図1に示す発光装置から発せられる偏向光の入射光の反射面への入射角度と反射面における反射率との関係を示す図である。
【図8】図1に示す発光装置のテールランプ及びヘッドランプへの応用例を説明する概念図である。
【図9】図1に示す発光装置から発せられる偏向光の入射光と反射面との関係を示す図である。
【図10】(A)及び(B)はいずれも図1に示す発光装置において発光素子を組み込む発光素子取付モジュールの構成を示す概略図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置のシステム構成を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0042】
1…発光装置
2…発光素子
20…偏向光
21…入射光
21p…P波
21s…S波
21F…入射面
210…出力部
210A…出力面
211…第1電極
212…第2電極
220…発光部
221…第1半導体層
222…活性層
223…第2半導体層
3…発光素子取付モジュール
4…反射面(表示装置の画面)
41…路面
42…水
6、7…車両
61…テールランプ
62…ヘッドランプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光特性を持つ光を発する発光素子と、
前記発光素子から発せられた光を反射する反射面への入射面に対して、入射光の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュールと、
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光素子から発せられる入射光の偏光方向が前記入射面に対して平行に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子は、非極性面又は半極性面を主面とするIII族窒化物半導体により構成され、第1導電型の第1半導体層、この第1半導体層上の発光層及びこの発光層上の第2導電型の第2半導体層を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光装置は車両のテールランプに組み込まれる発光装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光装置は車両のヘッドライトに組み込まれる発光装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記反射面は表示装置の画面であり、前記発光装置は前記表示装置の画面を照明する照明装置又はそれに組み込まれる発光装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項1】
偏光特性を持つ光を発する発光素子と、
前記発光素子から発せられた光を反射する反射面への入射面に対して、入射光の偏光方向を±45度未満に設定する発光素子取付モジュールと、
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光素子から発せられる入射光の偏光方向が前記入射面に対して平行に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子は、非極性面又は半極性面を主面とするIII族窒化物半導体により構成され、第1導電型の第1半導体層、この第1半導体層上の発光層及びこの発光層上の第2導電型の第2半導体層を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光装置は車両のテールランプに組み込まれる発光装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光装置は車両のヘッドライトに組み込まれる発光装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記反射面は表示装置の画面であり、前記発光装置は前記表示装置の画面を照明する照明装置又はそれに組み込まれる発光装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−37954(P2009−37954A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202957(P2007−202957)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]